スズキは、2025年3月19日に発売され、2025年3月から同年11月までの期間限定生産となる特別仕様車「スイフトスポーツ ZC33S Final Edition」を、「東京オートサロン2025」において初公開した。
現行「スイフトスポーツ」最後の特別仕様車となる「ZC33S Final Edition」が「東京オートサロン2025」において初披露された。ちなみに、「スイフトスポーツ」標準車は2025年2月に生産を終了し、その後在庫がなくなり次第販売終了となる予定だ
「スイフトスポーツ ZC33S Final Edition」の価格は、6MTが2,329,800円、6ATが2,401,300円。全方位モニターパッケージ装着車は、6MTが2,382,600円、6ATが2,454,100円になる。
開発責任者のスズキ 商品企画本部 四輪B/C 商品統括部 チーフエンジニアの小堀昌雄さんによると、「日常において、特別なお気に入りが手元にあれば、それだけで毎日やる気が上がることでしょう。そんな気持ちが、お客様に少しでも芽生えたらということを期待して『スイフトスポーツ ZC33S Final Edition』を開発しました」と語る。このことは、そのままコンセプトにもつながっており、「これまで、走りについては好評を頂いているので、持つ喜びにいっそう力を入れよう、手元に置いてあると毎日が楽しくなれるというのを強く押し出した特別仕様となっています」と言う。
そのコンセプトを踏まえ、新型「スイフト」に採用されているボディカラー「フロンティアブルー」を「スイフトスポーツ ZC33S Final Edition」で初めて設定。また、ルーフを黒にして2トーンカラー化した。
「スイフトスポーツ ZC33S Final Edition」のフロント、リアイメージ
フロント周りは、グリルやフォグランプベゼルを塗装して、日光などを浴びるとキラキラと光るようにすることで、「他のクルマとは少し異なる、特別な感じを持ってもらえるでしょう」と小堀さん。
ホイールは、切削ではなく黒塗装に変えたことも目新しい。サイドビューから見ると、フロントスポイラーからサイドスポイラー、リアアンダーガーニッシュなどを黒にしていることから、全体的に凝縮感を覚える仕上がりだ。また、ワンポイントアクセントとしてブレーキキャリパーが赤く塗装されていることも、その効果を後押ししている。
「スイフトスポーツ ZC33S Final Edition」に装着されている、グロスブラック仕上げの17インチアルミホイール
左右Cピラーには、ファイナルモデルということからZ33Sのステッカーが奢(おご)られた。これは、左右でデザインが異なり、よく見ると続き文字になっていることに気付くだろう。
左側Cピラーのステッカー
右側Cピラーのステッカー
インテリアは、助手席前のインパネにスポーツのロゴが入れられており、「ヒートグラデーション」と呼ばれるマフラーが焼けた感じを加飾で表現している。このグラデーションは、ドアアームレストやコンソールにも配されており、コンソールには「Z33S」の文字があしらわれている。
インテリアは、インパネやコンソール、ドアトリムに採用されている「ヒートグラデーション」が印象的で、所有欲をいっそう満たしてくれそうだ
全体を通して、パワートレイン系などには手は入れられていないものの、冒頭で述べたように走りには定評があるクルマなので、その必要がなかったのだろう。それよりも、ファイナルエディションなので、楽しさや持つ喜びに軸足が置かれている。
ちなみに、「スイフトスポーツ ZC33S Final Edition」のカタログなどを見ても「フロンティアブルー」のボディカラーが強調されているが、「スイフトスポーツ」と言えば「チャンピオンイエロー」は忘れてはならないボディカラーだろう。小堀さんは、「チャンピオンイエロー」も一定数は受注するだろうという。そして、「(チャンピオンイエローのボディカラーは)グループ感覚があるようです。道ですれ違ったりするとお互いピースサインを送ったりという話を聞きます。このカラーを選ぶ方は、かなり好きな方という意識があるようで、それをお互いが認め合っているような雰囲気があるのかなと。実際に、僕の周りも多いですね」と、小堀さんは「チャンピオンイエロー」が「スイフトスポーツ」として重要なボディカラーであることを強調した。
ついに、ファイナルを迎える「スイフトスポーツ」。次期型がどうなるのかは明確な回答がないものの、新型「スイフト」の動的性能は高いので、それをベースにすることでさらに走りを楽しめる新型「スイフトスポーツ」が誕生するはずだ。ぜひ、発売を楽しみに待ちたいと思う。そして、読者のみなさんが「東京オートサロン」に出向いた際はスズキブースでその要望を伝えてほしい。ユーザーであるみなさんの声こそが、彼ら開発陣の原動力につながるはずだからだ。
(写真:島村栄二)