創業77年の水産商社として
新たな価値を創造する食の開拓者に
日本を支えた海産問屋が世界に羽ばたく水産企業に
「株式会社道水」は、1947年、戦後日本の食糧事情改善を目的に、国の指定公認水産物出荷機関「北海道水産製造」として札幌市で創業。1993年に社名を「道水」に変更し、同年、事業の中心地となっていた函館市に本社を移転。創業者の孫である3代目社長の髙野元宏さんは、投資会社やオーストラリアの免税店などの海外勤務で培った経験と語学力を生かし、函館の海産物卸問屋から世界の市場を見据えた現地プロジェクト推進型の企業へと舵を切り、東京都や高知県、韓国へと事業拠点を拡大。高知事業所での国産本マグロの蓄養事業を主力に、道産水産物の加工販売、三国間貿易と、高品質な食材の提供や食文化の発展を支える多国籍企業として確固たる地位を築いてきた。北斗市にある自社工場では、「いかさしそうめん」「いかそうめん塩辛」などのイカ製品をはじめ、日本初導入の冷凍技術「プロトントンネルフリーザー」で旨みを逃さず閉じ込めた刺身用貝柱「プロトン帆立」や道産コンブとアカイカ、数の子を2種類のしょう油をブレンドした特製ダレに漬け込むロングセラー「数の子松前漬」を製造。加工商品は工場で直売するほか、テレビショッピングを中心に関東で絶大な人気を誇り、4年前にスタートした自社サイトでの通信販売でさらなる注目を集めている。
定番商品を豪華海鮮丼に唯一無二のものづくりを
2014年に発売した「綺羅漬」は、函館の朝市で食べられるような海鮮丼を家庭でも楽しめる商品を作ろうと、髙野社長の発案から生まれた商品。半分に折った1本羽の数の子を、形を崩さず均一に混ぜ込めるよう手作業でかくはんするこだわりで20年以上愛される「数の子松前漬」をベースに、プロトン凍結した道産ホタテ、食べやすいよう頭の部分のみ細かく手切りしたオホーツク海の真ダコ、約70g使う道産イクラ、ズワイガニと、刺身用の海産物を〝キラキラ輝く〟よう一つひとつ手作業で盛り付ける。全体の味のバランスを考え、松前漬には黒しょう油仕込みの黒造りを選ぶなど、2年の開発期間を経て誕生した綺羅漬は、ご飯に乗せても酒のつまみにもぴったりで、大切な人への贈り物や北斗市のふるさと納税品として好評を集めた。 「味、見た目、コストと、オリジナリティーを持って色々な面で付加価値を作れれば新たな道を切り開いていける。為替、天候、国際情勢まで世の中の変化を多角的に捉え、リスクヘッジしながら自社の強みをしっかり生かしてビジネスチャンスに関わっていきたい」と髙野社長。世界で初参入したマルタ共和国での本マグロ畜養事業で培った技術を元に、高知県で養殖する「黒潮本まぐろ」は2021年、全国の養殖クロマグロの品評会で日本一の称号を獲得。近年不漁が続くイカに代わる安定的な海産物を求め、新たな輸入先の開拓やクラゲを使った新商品の開発にも取り組む。常に〝オンリーワンのものづくり〟を追及し、まだ見ぬ価値を生み出していく。
株式会社 道水
道水はこだて工場
北斗市清水川142‐24
☎0138‐77‐2200
8:30~17:15
日曜・祝日定休
ハコラク2024年10月号掲載