地産地消の飲食店発スイーツで函館から“口福”を届ける
大手チェーン店から脱退し地域に愛される飲食店に
地元の食材にこだわった一品料理や地酒の品揃えで、五稜郭地区でも屈指の人気を誇る「函館 海鮮居酒屋 魚まさ五稜郭総本店」や、「うに専門店世壱屋函館魚まさ店」、台湾パンケーキ専門店を手掛ける「函館フーズプランニング」。ピアノの教師をしていた創業者の故・髙野眞砂子さんは親戚が経営する大手居酒屋チェーン店立て直しの手伝いから飲食業界に足を踏み入れた。親戚一同の助力を得て持ち直すも、大手チェーン店ゆえの制約が足かせになり問題は山積。「地域に愛される店づくり」の実現に向け、打開策を模索し力を注いだ。常連客からの紹介などで生産者との縁がつながり、地元食材を使用したオリジナルメニューの提供が大きな転機に。来店客の評判を追い風に2004年にチェーン店から脱退し、「魚まさ」を創業。道南各地に足を運び、食材や生産者との出会いを大切にしたメニューを拡充。売り上げも少しずつ上向きになり、「食を通して函館を豊かにする」を経営理念に掲げ、08年に「函館フーズプランニング」を設立して法人化。16年には函館市本町に自社物件を構えた。市内にあった2店舗を統合しリニューアルオープン。翌年、眞砂子さんは病に倒れ他界したが、現在は娘の信子社長が、その想いを継ぎ二代目社長として奔走している。
コロナ禍の逆境を新境地を切り開く鍵に
〝港町から「ひと口の福」を〟と21年に発売を開始した冷凍スイーツ「箱館港福カタラーナ」 の開発は、コロナ禍がきっかけ。信子社長は「売り上げも激減し苦しかったが、立ち止まり飲食業はどうあるべきかを考える時間を与えられた期間でもあった」と振り返る。コロナ禍でにぎわいが消えた街に〝少しでも 明るい話題を〟と、「魚まさ」のメニューをヒントに弁当や土産品などを開発。その一つとして宴会コースに登場し、土産品としても要望の高かった、スペイン発祥のスイーツ「カタラーナ」の商品化に着手した。開発と製造はカタラーナ好きの信子社長からの熱望に応えた総料理長が担当。弱火にかけた「函館牛乳」と北海道産生クリーム、泡立てないよう溶いた卵黄を混ぜ合わせ、丁寧に漉してから容器に注ぎ、スチームコンベクションオーブンで蒸し焼きにする。急速冷凍し固めた表面に、こだわりの砂糖をかけバーナーでキャラメリゼしてから再冷凍。濃厚で滑らかな舌触り、ふわりと甘い香りを放つカリカリのカラメル―。作る手間を惜しまないからこそ、味の良さが際立つ。発売と同時に話題を集め22年の「函館圏優良土産品推奨会」で最高賞の函館市長賞を受賞。ラインアップは「函館牛乳」を冠したプレーン、七飯町の酒造元の酒粕を使う「箱館醸蔵郷宝酒粕」、老舗珈琲店の水出しコーヒーをぜいたくに使用した「函館十字屋珈琲」の3種類。パッケージにもこだわり、函館の観光名所と、大森浜から見た函館山のシルエットをイラスト化して側面にあしらっている。店頭ほかオンラインショップでも購入可能。信子社長は「商品開発は自分たちの軌跡を振り返り、今後の可能性を探る上で大事なことでした。飲食業をもっと、ワクワクするものにしていきたい」と話し、次の一手を講じている。
株式会社 函館フーズプランニング
函館市本町4‐7
☎0138‐53‐1146(魚まさ内)
[商品取扱い店・時間]
函館 海鮮居酒屋 魚まさ五稜郭総本店
17:00~22:00
(金・土曜、祝日は23:00まで)
無休 キャッシュレス決済利用可
ハコラク2024年1月号掲載