MSV(モビルスーツバリエーション)とは、アニメ『機動戦士ガンダム』におけるメカニックデザイン企画、及びそれを初代とするシリーズである。
最初のMSVは雑誌や模型を中心とした展開が主だったが、後のMSV企画では漫画や小説、ゲームなど多方面で展開されることも。
狭義には一つの企画であるため、MSV企画以外に登場する機体はMSVに含まない。例外として他の作品から流用されたり、先述の様にそのMSV自体が多方面で展開されるケースがある。詳しくは本記事の下部にある「MSVという分類」「MSVシリーズ」を参照。
簡単に言えば色んな人達の案をバンダイが採り入れ、リリースしたリアル指向のガンプラ、およびその副読本的な設定資料のことである。
バンダイのノーマルキットの展開が全て終了し、商品展開に行き詰っていた時期に「リアルタイプシリーズ」の展開を開始。この一部はゾゴックなどファンからジオン水泳部と呼ばれる機体、つまり富野のラフスケッチを基に大河原がクリーンナップした、後の『MSV』に分類される本編の没機体である。この時の展開がMSVシリーズとしての商品化への前段階となった。
バンダイ・ホビーはガンダムほかザブングルシリーズの技術蓄積から必要充分と判断し、83年にMSVシリーズの展開を開始した。機体作例、設定資料など付属品要素も充実したMSVシリーズは従来のガンプラの常識を覆し、ミリタリー感あふれる機体がよりニッチな層の心をつかみ、ガンダム界にMSVの地位を確立させた。
ちなみに第1弾の機体はMS-06R「高機動型ザクⅡ」である。以降、バンダイはザクバリエーションシリーズを暫く展開させ、軌道に乗らせた。
また、コミックボンボンのプラモ狂四郎に登場する模型オリジナル機「パーフェクトガンダム」をMSV用にリファインし「フルアーマーガンダム」としてMSVに輸入したりするなど、ボンボンとの連動企画も行われている。
かくして軌道に乗ったMSVを筆頭に、MS/MAは「宇宙世紀の兵器」という観点・設定から独自の兵器体系を構築していったのである。
U.C.0079
オデッサ戦終了後に舞台が宇宙に移りつつあった頃、連邦はジオンが廃棄した兵器の調査を開始した(終戦暫く経ってから大規模な調査に発展したが、それまでは小規模に留まった)。
一年戦争終結後も連邦上層部は宇宙移民者とジオン軍残党に恒常的に悩まされており、モビルスーツを主体とした軍備増強が必要不可欠となっていた。MSVとはジオン残党を含む各方面に対し、“連邦の技術的優位を喧伝するために公開した情報”とされる。
MSVはあくまでも戦中から暫く行われたMSV調査の一部を公表したものであり、他にもペズンで開発計画が進行したジオン軍の異質なバリエーション「MS-X」や、機密にかかわるため秘匿され続けたバリエーション「M-MSV」に分類される機体が存在する。
更に調査組織「FSS」の発足と発展に伴い、ネオ・ジオン戦争後に第二次MSV調査(MSV-R)が行われた。
MSVという括り自体は単なるメカニックデザイン企画の総称と思われているが、作中世界では兵器調査によって公開された背景を持つ企画なのである。
ガンダムは70年代においては視聴率も振るわない打ち切りアニメに過ぎなかった。しかしプラモデルの販売、再放送などを重ねて80年代にはガンダムは飛ぶ鳥を落とす勢いの国民的大人気アニメとなっていた。だがそれも映画三部作が終わってブームが落ち着いてしまったのだという。
ここでヒット商品の仕掛け人であった編集者の安井ひさし氏がガンダムに関わる。安井氏はウルトラマンや仮面ライダーなどの特撮モノのリバイバルブームの仕掛け人であり、ガンダム・ライダー・ウルトラの御三家も彼がいなければ現在の人気はなかった…とは言いすぎかもしれないが、少々違うものになっていた可能性がある。
特に、ガンダムに与えた影響と言えば後世のガンダム界隈と偉人と称しても過言ではないだろう。
安井氏は仮面ライダーとウルトラシリーズで得たノウハウをガンダムに注いだ。この時期、講談社からは『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』、『講談社ポケット百科シリーズ15 機動戦士ガンダム』、『テレビ版 機動戦士ガンダム ストーリーブック』等が発刊されているが、これらの執筆を氷川竜介氏に依頼したのも安井氏であった。
81年5月発刊の『劇場版 アニメグラフブック』で描かれた大河原氏によるザク・バリエーション設定画稿は、現在も続くMSVシリーズの原点とされている。
月刊OUT別冊『ガンダムセンチュリー』にて、設定文だけだが数多のMSバリエーションが設定された。特にMSVシリーズの代表機であるMS-06R「高機動型ザクⅡ」や8機のRX-78、ミノフスキー物理学なども大まかにはここでの創作設定を取り入れていると言っていい。
そして81年10月号に創刊されたコミックボンボン。創刊から大河原が毎号オリジナルのイラストを描き下ろしており、このイラストをストリームベースが立体化するという企画があった。これはSFプラモマガジンという企画である。これも安井氏が大きく関わっている。
ガンダムセンチュリーで設定されたMS-06R「高機動型ザクⅡ」はSFプラモマガジンにて、大河原によるデザインが描き起こされることとなる。この企画は「SFプラモブック1 機動戦士ガンダム REAL TYPE CATALOGUE」として別冊化された。こうした流れがMSV誕生のきっかけを作った物として知られている。
その後『HOW TO BUILD GUNDAM 2』にてストリームベース製ザクⅡRタイプの模型が掲載され、MSVへ繋がる改造プラモ熱も一気に高まっていくのである。
ちなみに翌年82年に安井ひろし・クラフト団を原作とした『プラモ狂四郎』の連載が始まった。
アニメ作品に登場する機体はほとんどが設計された通りに作られた完成品であるが、まれに先行で作られた試作機だったり改良型だったり未完成品だったりもする。しかしそれらはアニメ作品として必要に応じてデザインされ設定をつけられているだけであり、MSVには分類されない。
あくまで劇中に登場した機体から派生し、MSVという括りのためにデザインされたものだけがMSVと分類される。
例外として、富野のラフスケッチを基にしている物も存在する。というよりはMSVの一部機はTVアニメ版ガンダムの初期案を基に大河原が描き起こした物である。
これらは本編ではまともな出番を得ることはまれで、たまに出演してもゲスト扱いで数カットだけなのがほとんど。そのサプライズ出演も根源にはプラモデルを売りたいという大人の事情があることは想像に難くない。
主に宇宙世紀という初代に連なる世界観の作品において使われるが、機動戦士ガンダムSEEDでも機動戦士ガンダムSEED MSVという呼称が使われ派生作品を生み出している。
また、MSVという名称は使われていないものの、機動戦士ガンダム00では機動戦士ガンダム00外伝という枠がそれに相当するものとして存在する。
たまに勘違いされるが、漫画・小説作品とそこに登場する機体を指してMSVと呼ぶのは間違いである。
ただし逆輸入されることもある。
ガンダムシリーズを扱った作品を多く輩出しているために版権元と密接な関係を持つ角川関連の会社がガンダム関係の作品も多く輩出しているためごちゃ混ぜになりやすいが、あくまで版権元がMSVであると定義したものだけがMSVに分類される。
ネットではガンダムに関わる情報があちこちで事細かに記述されているが、それらの多くは版権元に許可を取って作られた作品の内容を含めてしまっているのがほとんどである。しかし前述の通りの角川関連の本は自社で扱っただけの作品を年表に含めていることすらある。
30年以上に渡り多数の関連作品と書籍が出ている為、もはや正確な情報だけをえり抜くのは困難となっている。
掲示板
35 ななしのよっしん
2022/01/16(日) 16:36:25 ID: eN6MSLwdpU
Gセイバーはサウンドドラマとゲームの機体?それともあれはあれで本編なのか
なら模型誌のみで出たG2セイバーとか?
大河原御大がネットでイラスト晒したG3とJのスペースモードもそうか?
36 ななしのよっしん
2022/05/21(土) 12:07:42 ID: rHUyFUpK1O
鉄血のオルフェンズMSVも始まったな。
月鋼やテレビシリーズ以外のMSを取り扱うらしい
37 ななしのよっしん
2024/02/06(火) 20:16:26 ID: yjXaxvDHmR
劇場版00もMSV的なのあったし劇場版種の機体でもMSVやれそうだけどもどんなのが出せるだろうか
インパルスSpecIIにデスティニーシルエット等別シルエット装備型や没になった立体物で再現しやすそうなズゴック風アーマーは思い付くけど
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最終更新:2024/12/14(土) 21:00
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