戦力外通告とは、スポーツ選手に対して戦力ではないと通告することである。事実上の解雇。ここは特に日本のプロ野球での戦力外通告について解説する。
曖昧さ回避
概要
日本プロ野球の戦力外通告とは、球団所属選手に対し、翌年以降のチーム構想に必要でない=戦力外であると通告することである。NPBの場合、通告されるとその選手は自由契約や任意引退となる。
任意引退を選んだ場合、戦力外通告を受けた選手はそのまま現役引退となる。選手としての保有権は球団に残っており、現役復帰には元球団の許可が必要になる。また、球団スタッフとしての雇用が決まっている場合も他球団との交渉を行わないように任意引退の形をとる。引退後の制約が大きいため、近年は将来の幹部候補を除き自由契約とする場合がほとんどである。
自由契約の場合、戦力外通告を受けた選手は現役続行するための行動を起こすことになる。自由契約となった選手は他球団と自由に交渉できるようになっている。近年は生え抜きのベテランや功労者に対してイメージダウンを防ぐために行われる事が多いが、この場合通告期間(後述)に先立って内密に伝えられるケースが殆どで、実際には通告も行わず契約満了という形になる(このためペナントレース中に戦力外を言い渡される場合もあり、中にはシーズン最終盤に記念試合が組まれることもある。2019年の鳥谷敬、2020年の能見篤史などが該当)。
実際に球団との契約が切れるのは12月であるが、秋季キャンプへの参加やほか球団との交渉の問題もあるため、毎年10月から選手本人に対して戦力外通告が伝えられるようになっている。期限は以下のようになっている。
第1次通告 | 10月1日からクライマックスシリーズ前日まで |
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第2次通告 | クライマックスシリーズファイナルステージ終了から日本シリーズ終了翌日まで |
日本シリーズ出場チームについては終了から5日後まで |
育成選手について
戦力外通告を受けても球団を離れずに、あるいは別の球団と、育成選手として契約する場合もある。
育成選手契約では1軍の試合に出場することはできず、最低年棒も240万円になる、背番号は3桁など非常に選手側にとって不利な契約となるが、翌年以降での球団支配下登録選手への復帰を目指すことはできる。
また育成契約から3シーズン(支配下からの降格は1シーズン)が経過すると自動的に戦力外通告を受け、再契約か他球団への移籍を目指すことになる。
12球団合同トライアウトについて
自由契約の場合、他のチームとの再契約は可能であり、近年は戦力外通告された選手のアピールのための合同トライアウトが毎年行われている。
選手にとっても12球団のスカウトにとっても一度にアピール及びチェックができるという点が利点となっている。また、日本のプロ野球12球団以外にも台湾や社会人野球の球団もスカウトを送ることもあり、それらNPB以外のチームとの契約が決まる場合もある。
近年のこの合同トライアウトでは試合形式のシートバッティング形式で選手がアピールする形式が取られている。
ただし、この合同トライアウト以外でも再契約の話が出ることもあり、これに参加しないことを選ぶ戦力外通告選手も多い。
プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達
毎年12月にTBS系列で放送されている戦力外通告を受けた選手たちを追ったドキュメンタリー番組。戦力外通告を受けた選手やその家族、現役続行するかの決断、合同トライアウトに挑むまでとその結果などを放送する。
その他のスポーツでの戦力外通告
サッカー・Jリーグではゼロ円提示といい、翌年契約するとしても年俸が0円であると通告される事が戦力外通告の代わりとなっている。
当然、ゼロ円提示を受けた選手は次の移籍先を探したり、トライアウトを受けるなどの活動を余儀なくされるが、それにうまくいかなかった場合は引退という事になる。
その他転用
本来の意味から転じて、いらないものの喩え。そのようなネタが2chなどであることがある。「戦力外通告したい鍋の具」
また、ニコニコ動画などではゲームなどで新しいキャラクターが加入し、能力が劣る既存キャラクターがパーティや出撃メンバーから外される時にもこの言葉が使われている。
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関連項目
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