ケルト音楽とは、西ヨーロッパのケルト人達の民族音楽から発展・継承されていったとされる音楽の総称である。
概要
一般的にケルト文化圏とみなされている地域の伝統音楽や、それらを基に様々な方面に発展させた音楽の総称として「ケルト音楽」という言葉が用いられる。ケルト文化圏諸地域の現代における「ケルト的な」文化の代表として広く認知されており、特に80年代から90年代にかけてのケルトブームを牽引した。ブルターニュのロリアンでは毎年8月にケルト文化の祭典「インターケルティック・フェスティバル」が開催され、ケルト文化圏諸地域から毎年数多くのアーティストが参加し、数十万人の観客が訪れる一大イベントとなっている。
ケルト音楽というものは実態として存在するわけではなく、文化的にケルト民族が起源を発するかも定かではない。また現在ケルト音楽と呼ばれる類の音楽は伝統音楽を含めても実際に古代ケルト人にまでルーツが辿れるわけではない。ケルト音楽という言葉自体は伝統音楽の流れを汲むアーティスト達の活躍により、それらの音楽が商業的に拡大しいく中で比較的最近使われるようになった商業的側面の強い言葉である。故に伝統音楽からその表層をなぞっただけの (もしくはなぞってすらいない) ポピュラー音楽まで非常に幅広く適用される曖昧なジャンルとなっている。特にニューエイジでケルト文化圏の伝統音楽の流れを汲むアーティストが活躍した事もあり、それらのイメージも誤解の基となっている様である。
ケルト音楽の様式は中世ヨーロッパ的世界観を基にするファンタジー映画やアニメ・ゲームの楽曲でよく模倣され、そうした世界観を想起させるものとして定着している。そのためにゲームやアニメに親しみがあると思われるニコニコユーザーの間では古くから作業用BGMとしてコアな人気があった音楽ジャンルである。
「ケルト文化圏」の伝統音楽
「ケルト文化」とされている物が実際には何なのかという点については現在も議論されている所(「ケルト」の記事を参照)であり、比較的センシティブな話題である。先述の商業的に濫用されがちなケルト音楽という言葉で十把一絡げにしてしまうと保守寄りの愛好家には嫌な顔をされるかもしれない。少なくとも18世紀にはこれらの地域である程度の共通点が感じられる音楽が存在しており、ケルト文化圏とされる各地域それぞれの伝統音楽である事は間違いない。
現在こうした伝統音楽が残る地域としてはアイルランド、UKのうちイングランドを除いた地域とコーンウォール州、スペインのガリシア州、フランスのブルターニュ地方が挙げられる。特にアイルランド音楽は"The Chieftains"を始めとする数多くのミュージシャンの活躍もあって伝統音楽(またはその文法に従った音楽)自体が商業ジャンルを築いている。
またこれらの音楽は移民によって北アメリカにも渡りケープ・ブレトンの様に伝統音楽として残る他、アメリカでは後にオールドタイム、引いてはブルーグラスやカントリー・ミュージックの源流となった。ロカビリーやロックンロールはこれらの白人音楽と黒人音楽が影響し合って生まれたとされる事からロックの源流の一つとしてケルト音楽が挙げられることがある。
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