緊急集会の手続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 15:20 UTC 版)
内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない(国会法第99条第1項)。内閣が参議院に対し緊急集会を求める場合は、内閣総理大臣から参議院議長あて請求書を送付するほか、(事実上召集詔書に代わるものとして)内閣告示が官報に掲載される。この場合、請求書には緊急集会において審議・審査の対象とする案件の内容、集会の開会日及び場所(東京)が記載されるが、告示には日付と場所は書かれるが案件内容は記載されない。 内閣総理大臣から請求があったときは、参議院議長は、これを各議員に通知し、議員は指定された集会の期日の午前10時に参議院に集会しなければならない(国会法第99条第2項)(参議院規則第251条)。 議題は内閣が明示的に提出した案件に制限され、議員の発議権もこの案件に関連するものに限定される(国会法101条)。また、請願も同様に案件に関連するものに限定される(国会法102条)。 参議院の緊急集会において案件が可決された場合には、参議院議長から、その公布を要するものは、これを内閣を経由して奏上し、その他のものは、これを内閣に送付する(国会法第102条の3)。 案件のうち、可決した法律案については、過去の緊急集会においては、公布の際、公布文の冒頭に「日本国憲法第五十四条第二項但書の参議院の緊急集会において議決された」という文言が冠された。後に法令用語の表記方式変更(但書→ただし書)があったため、今後緊急集会で可決した法律案が公布されるときは「日本国憲法第五十四条第二項ただし書の参議院の緊急集会において議決された」と冠されると考えられる。このように公布文の冒頭に文言を冠する例としては、他に日本国憲法第95条の規定による特別法がある(住民投票#日本国憲法の規定による住民投票参照)。 緊急集会は会期が存在せず期日があるのみで、集会期間は一日ごとに更新され、全ての議題を採決した時点で当然に終了となる。緊急の案件がすべて議決されたときは、議長は、緊急集会が終ったことを宣告するが(国会法102条の2)、この宣告は確認的な意味にとどまる。全ての議題の採決を終了する前に特別国会が開会された場合、緊急集会の残りの議題は特別国会に吸収され、緊急集会は終了となる。
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