システム化の進展
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アメリカ海軍では、1960年代初頭より海軍戦術情報システム(NTDS)を配備して、まず艦隊防空の組織化、ついで武器システムとの統合化を進めていた。DDGは艦型が小さいためになかなか搭載対象にならなかったものの、チャールズ・F・アダムズ級の準同型艦としてドイツ海軍が購入したリュッチェンス級駆逐艦において、NTDSの縮小版というべきSATIR-Iが導入されて、駆逐艦へのNTDS系戦術情報処理装置搭載の端緒となった。また海上自衛隊もNTDSの技術を応用して武器管制システム(WDS)をデジタル化したWES(Weapon Entry System)を導入し、たちかぜ型護衛艦で搭載したほか、これらの開発に携わったアメリカ海軍自身も、その成果を踏まえてチャールズ・F・アダムズ級の一部にJPTDS(Junior Participating Tactical Data System)を搭載した。 しかしこのように彌縫的なシステム化では、1970年代中期以降に著しい向上を見たソ連軍の対艦攻撃能力に対抗するには不十分と見積もられたことから、アメリカ海軍は、統合システムとして完全に設計を刷新したイージスシステム(AWS)を開発した。これを搭載するDDGとして計画されたタイコンデロガ級は1番艦の建造途上でミサイル巡洋艦に艦種変更されたが、イージスDDGはアーレイ・バーク級として結実し、1991年より就役を開始するとともに、海上自衛隊のこんごう型護衛艦や大韓民国海軍の世宗大王級駆逐艦など、アメリカ国外のイージスDDGのベースにもなった。またヨーロッパでもホライズン計画としてミサイル駆逐艦の共同開発が志向され、途中で脱退したイギリス海軍は45型駆逐艦、計画を続行したフランス海軍とイタリア海軍はそれぞれフォルバン級駆逐艦とアンドレア・ドーリア級駆逐艦を建造した。 一方、防空艦の欠如に悩まされていた中国人民解放軍海軍も、1990年代後半よりロシアからソヴレメンヌイ級駆逐艦を購入することで、DDGの運用に着手した。その後、同級と同等のSAMシステムを搭載した052B型を建造したのち、国産のシステムを搭載した052C型、続いて発展型の052D型の大量建造が開始された。そしてまた、052C/D型を更に発展させて満載排水量10,000トン以上まで大型化させた055型の整備も着手された。 アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦 45型駆逐艦 蘭州級駆逐艦
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システム化の進展 (1970-90年代)
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アメリカ海軍は、1970年度計画よりスプルーアンス級の建造を開始した。これはFRAM改装型駆逐艦の後継となる次期駆逐艦(DX)として開発されたものであったが、静粛化の徹底や航洋性の向上などの要求に応じて満載排水量7,800トンまで大型化したほか、主機としてガスタービンエンジンを導入、更に駆逐艦として初めて海軍戦術情報システム(NTDS)を導入してシステム艦になるなど、多くの新機軸が導入された。一方、これとファミリー化した防空艦としてDXGも計画されたが、結局は原子力ミサイル・フリゲート(DLGN)たるバージニア級となり、建造数も4隻どまりで、イージスシステム搭載の後期型の建造は実現しなかった。かわってスプルーアンス級から発展したタイコンデロガ級が初の実用イージス艦となったが、こちらも1番艦の建造途上でミサイル巡洋艦に類別変更された。 これと並行して、1970年代末からはアダムズ級などを更新するための次期ミサイル駆逐艦(DDGX)計画がスタートした。こちらはイージスシステム搭載のアーレイ・バーク級として結実し、1985年度より建造を開始した。また海上自衛隊のこんごう型護衛艦や大韓民国海軍の世宗大王級駆逐艦など、アメリカ国外のイージスDDGのベースにもなった。 また1980年代には、北大西洋条約機構(NATO)諸国によるフリゲートの共同開発計画としてNFR-90計画が進められていた。これ自体は空中分解したものの、イギリスの45型駆逐艦やフランスのフォルバン級駆逐艦、イタリアのアンドレア・ドーリア級駆逐艦やドイツのザクセン級フリゲート、オランダのデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートと、いずれも統合された戦闘システムを備えた戦闘艦へとつながっていった。なおこの時期には、巡洋艦やフリゲートと駆逐艦との境界の不明瞭化が進み、単に、搭載する戦闘システムの性能や兵装の多寡による区別としての性格が強くなっている。 米海軍のスプルーアンス級 米海軍のアーレイ・バーク級 英海軍の45型
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システム化の進展
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このように、方位盤を含めて、射撃統制のための諸装置のシステム化が急激に進展したことから、射撃指揮システム(FCS)と称されるようになった。アメリカ海軍では、そのシステムで使用されている方位盤の制式名で呼称されることが多い。 1945年の春に、大日本帝国海軍の組織的戦力が壊滅したために、連合国軍艦の主任務が対艦射撃から対地射撃に移った。これにあわせて米艦のいくつかは対艦射撃用の射撃指揮装置を艦から降ろした。この時を境に世界的な対艦戦闘での射撃指揮法の新たな研究は終わりを迎えた。 一方、ジェット機の登場に伴って、経空脅威は多数の低速機から、比較的少数の高速機へと、その様相を変じていった。このような高速機に対しては、近接信管やレーダーFCSの支援を受けても、砲熕兵器では対処が困難であった。この情勢に応じて、新しい対空兵器として艦対空ミサイルが登場すると、これに対応するミサイルFCS(MFCS)は更に長距離・高精度を追求して、大規模なシステムとなった。しかしこのようなシステムでも、過去の名残りから、射撃の際に目標の捕捉・照準に使用する機材の名称として、「方位盤」が残っていることがある。例えば海上自衛隊の81式射撃指揮装置2型(FCS-2)でも、追尾レーダーなどを装備して、ミサイルの発射諸元及び発砲諸元を算出するために目標を捕捉・追尾する装置を「方位盤」と呼称している。
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