<2024かながわ 取材ノート>川崎・母子育成会 元理事長の私的流用問題 市、監査で実態つかめず

2024年12月26日 07時27分 会員限定記事
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 川崎、横浜両市内で特別養護老人ホームや認可保育所を運営していた社会福祉法人「母子育成会」(川崎市川崎区)の深瀬亮一元理事長が、20年以上にわたり計8億4690万円を私的流用していたことが5月に明らかになった。取材を進めるにつれ、深瀬氏がずさんな法人運営を続けた背景に、市との強いつながりへの慢心があったのではないかと考えるようになった。

深瀬氏(左から2人目)が馬主の競走馬が川崎競馬で優勝した時とみられる写真。馬にかかる費用も法人口座から支出されていたという(一部画像処理)

 深瀬氏は法人の口座から雑費支出として引き出したり、出張旅費として経費に計上したりした金を、私的な旅行や女性への高額なプレゼントなどに充てていたとされる。馬主となった競走馬の餌代なども法人口座から支出していたとみられる。法人は2010年ごろから恒常的に赤字運営が続き、22年末には資金繰りが破綻。ボーナス支給にも苦心していたという。
 市も運営状況の悪化を把握し、監査を実施していたが、会計処理などを十分に確認できない状況が続いていたとしている。今年5月の会見で、市の担当者は「市に捜査権限はなく、監査に限界があった」と述べた。一方、元市職員が法人に天下りしていたとして、市議からは「市のOBが理事にいて、現職の市職員がちゃんとした監査ができるのか」と指摘された。
 深瀬氏の前の法人理事長は父の故・幹男氏で、1990年から12年間、市の助役を務めた実力者だった。「市役所では、母子育成会を『第3市役所』と呼んでいた」という話も漏れ聞こえ、市が長年、市有地を法人に...

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