川崎、横浜両市内で特別養護老人ホームや認可保育所を運営していた社会福祉法人「母子育成会」(川崎市川崎区)の深瀬亮一元理事長が、20年以上にわたり計8億4690万円を私的流用していたことが5月に明らかになった。取材を進めるにつれ、深瀬氏がずさんな法人運営を続けた背景に、市との強いつながりへの慢心があったのではないかと考えるようになった。
深瀬氏は法人の口座から雑費支出として引き出したり、出張旅費として経費に計上したりした金を、私的な旅行や女性への高額なプレゼントなどに充てていたとされる。馬主となった競走馬の餌代なども法人口座から支出していたとみられる。法人は2010年ごろから恒常的に赤字運営が続き、22年末には資金繰りが破綻。ボーナス支給にも苦心していたという。
市も運営状況の悪化を把握し、監査を実施していたが、会計処理などを十分に確認できない状況が続いていたとしている。今年5月の会見で、市の担当者は「市に捜査権限はなく、監査に限界があった」と述べた。一方、元市職員が法人に天下りしていたとして、市議からは「市のOBが理事にいて、現職の市職員がちゃんとした監査ができるのか」と指摘された。
深瀬氏の前の法人理事長は父の故・幹男氏で、1990年から12年間、市の助役を務めた実力者だった。「市役所では、母子育成会を『第3市役所』と呼んでいた」という話も漏れ聞こえ、市が長年、市有地を法人に...
残り 599/1198 文字
今なら最大2カ月無料
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。