2024年7月26日 第28回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

日時

令和6年7月26日(金)18:00~20:00

場所

オンライン会議

厚生労働省 専用第22~24会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2

出席者

出席構成員



出席参考人
 

議題

  • パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策について
  • 候補成分のスイッチOTC化について
  • スイッチOTC医薬品の候補となる成分の検討状況等
  • その他

議事

○医薬局医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第28回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。
 まず初めに、本日の構成員の出欠状況について御報告申し上げます。間藤構成員から遅れての参加ということで御連絡をいただいております。また、平野構成員は後ほど御参加されると考えております。現在のところ19名の構成員に御出席いただいております。
 前回、令和6年3月10日開催以降に、2名の構成員が退任され、新たに2名の構成に御参画いただくことになりましたので、御紹介いたします。新たに構成員に参加された日本薬剤師会常務理事富永孝治構成員でございます。一言お願いできますでしょうか。
○富永構成員 皆様こんにちは。日本薬剤師会の富永でございます。前任者岩月先生は会長になられて御多忙ということで、私に御指名をいただきましたが、私は、病院10年、保険薬局で30年ほど患者さんに対応している薬剤師だからこそ、患者サイドに立った話ができるだろうということで、代表として出されたと思います。より効果的な薬物療法を行う中で、安全性の担保を最優先に考えて、検討会に参加させていただきたいと思います。どうぞ、皆様よろしくお願いいたします。
○医薬局医薬品審査管理課長 ありがとうございます。続きまして、東邦大学医学部耳鼻咽喉科学講座教授の和田弘太構成員です。お願いいたします。
○和田構成員 東邦大学の和田といいます。前任は、東京大学の近藤准教授が教授に就任されて御多忙ということで、私が日本耳鼻咽喉科学会からの派遣ということで参加させていただきます。ぜひよろしくお願いいたします。
○医薬局医薬品審査管理課長 ありがとうございました。また、本日、議題2の候補成分のスイッチOTC化の議論をするに当たりまして、関係する学会の参考人の先生に御出席いただいております。御紹介いたします。日本小児科学会より、岡田邦之先生に御出席いただいております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○岡田参考人 よろしくお願いいたします。
○医薬局医薬品審査管理課長 会議を開催するに当たって、注意事項を御説明いたします。Web参加の方が発言される際は、システム上で挙手をいただき、座長に指名された後、画面前のマイクのボタンを押して、ミュートを解除した上で、お名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。また、発言されないときは、マイクをミュートにしてください。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、会議の途中でも結構ですので、あらかじめお伝えしています事務局の連絡先まで御連絡いただきますようお願いします。会議参加者の方が発言される際には、挙手していただき、座長の指名をお待ちいただければと思います。本日は、頭撮りは終わっているということでよろしいですね。それでは、笠貫座長に進行をお願いいたします。
○笠貫座長 よろしくお願いします。それでは、本日の配布資料の確認を事務局からお願いします。
○事務局 事務局でございます。資料につきましては、ペーパーレス化を実施しておりまして、オンライン参加の方におかれましては、事前にお送りしております電子媒体の資料を、会場参加の方におかれましては、お手元のタブレット端末で、資料を御確認ください。タブレット端末ですけれども、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配布をしております。ほかの資料を画面に表示するには、画面左上のファイルというのがありますので、それを指で1回軽くタップした上で御覧をいただければと思います。
 本日の資料としては、ファイルに表示されている上から順に、会議資料、参考資料となってございます。会議資料につきましては、資料1つのPDFファイルとしておりまして、議事次第、配布資料一覧、パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策に関する資料として、資料1-1及び資料1-2、候補成分のスイッチOTC化に関する資料として、資料2-1から資料5-2、スイッチOTC医薬品の候補となる成分の検討状況等に関する資料として、資料6-1及び資料6-2、その他に関する資料として、資料7から資料8-2となってございます。その他参考資料は1から3ということで配布をしてございます。
 タブレットには、各個別の会議資料及び参考資料の個別資料のフォルダに保存しておりますので、適宜、御活用いただければと思います。本日の資料関係の説明は以上となります。御不明な点ありましたら、事務局までお申し付けください。事務局からは以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。本日の議題に入ります。
 まず、パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の問題点とその対応策についてです。エソメプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾールについて、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。エソメプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール及びランソプラゾールのPPI4成分について御説明をいたします。
 1ページ、資料1-1を御確認ください。PPIの4成分につきましては、前回、3月のこちらの検討会議におきまして、一度皆様に御検討いただいておりまして、その内容をまとめた資料がこちらになってございます。続いて、資料7ページまで飛びまして、こちらから資料1-2となってございます。こちらは、パブリックコメントで寄せられた13件の意見について記載をしているものですけれども、簡単に御紹介させていただきます。13件のうち12件は、PPI4成分のスイッチOTC化について賛成との御意見でしたけれども、残りの1件については、「候補成分のスイッチOTC化は、管理できない可能性が生じ、大変危険であるため容認できない」との御意見をいただいてございます。パブリックコメントで寄せられた御意見の中から、資料1-1に反映させるべき御意見はないかと考えているところでございますけれども、構成員の方から何か御意見がございましたら、いただければと思います。事務局からの御説明は、以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。 スイッチOTC化の課題点と対応策について、個別の御意見があれば、お伺いしたいと思います。前回も、議論としてはかなり尽くされたと思いますが、さらに、パブリックコメントを踏まえた上で、御意見をいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
 本成分は長い間議論して参りましたので、新たな意見は、特になかったかと思います。本検討会議では、賛成か反対かというパブリックコメントの数を議論することではなく、課題抽出と対応策について議論をいただき、多数の人たちの御意見を整理してまとめていただきたいと思っていますが、よろしいでしょうか。
 販売に関しても、前回もかなり議論が出たと思うのですが、相談医療ガイドや、アラートシステムという、販売制度について、検討を進めていただき、医師・医療関係者、薬剤師、薬局関係者と製造販売業者の人たちの連携についても、かなり議論をいただいたと思います。
 それでは、特にございませんか。
 特にご意見がなければ、本日のパブリックコメントを踏まえまして、事務局で検討会結果案を作成していただき、それを構成員の方々にもう一度御確認するという形で進めてもよろしいでしょうか。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、PPI4成分につきましては、皆さんの合意をいただきました。次の議題に移りたいと思います。
 候補成分のスイッチOTC化で、アダパレンについて、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。アダパレンについて、御説明をさしあげます。
 10ページ、資料2-1を御覧ください。アダパレンですけれども、こちらは、令和4年度及び令和5年度に、それぞれ要望が提出されておりまして、スイッチOTC化した際の効能・効果は「尋常性ざ瘡、にきび」ということで出てきてございます。対応する医療用の医薬品はディフェリンゲル0.1%でございまして、効能・効果はこちらの資料に記載のとおりです。アダパレンですけれども、国内初のレチノイド様作用を有する外用尋常性ざ瘡治療薬として、2008年に薬事承認をされていまして、その再審査結果は2018年に通知をされているものですけれども、承認拒否事由のいずれにも該当しないということで判断をされております。今回、要望を出されてきた方ですけれども、本成分の主な要望理由としては、にきびで悩む者は多くて、若年層のドラッグストアへの来店理由として大きな割合を占めていること、また、現在、OTCとして認められている医薬品の種類は少なく、皮膚科で使用されている医薬品とのずれも生じていること、また、日本皮膚科学会の治療ガイドラインで強く使用が推奨されているというものになっていまして、かつ、副作用が発現しても、多くは軽微な症状であるということを主張されています。
 続いて、11ページを御覧ください。臨床での使われ方についてです。海外の研究において、12週間アダパレン0.1%ゲル外用を塗布したところ、面皰数が58.1%、炎症性皮疹数が52.3%減少したと報告をされております。また、副作用は落屑、乾燥が80%程度、灼熱感、かゆみが20%程度の患者に認められますけれども、多くは軽微な症状であり、使用中止に至ることはほとんどないということで報告をされております。加えて、日本人と外国人で効果及び副作用は、同等であるという報告をされていることから、面皰、軽症から重症の炎症性皮疹に、本剤を使用することが強く推奨をされてございます。
 12ページを御覧ください。こちらは安全性に関する情報となってございます。本剤は禁忌に、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者及び妊婦または妊娠している可能性のある女性が設定をされております。次に、推定使用患者数ですけれども、こちらは推定生涯罹患率が95.8%とされてございます。続いて、同種同効薬についてですけれども、こちら「にきび、吹き出物」の効能・効果を持つスイッチOTCとしてイブプロフェンピコノールが含有される製剤が1990年に承認をされている状況です。
 続いて、13ページを御覧ください。海外での承認条件についてです。こちらは、本成分はアメリカで一般用医薬品として既に承認をされております。一方、医療用の医薬品としては、こちらの6か国、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、カナダ及びオーストラリアを含め81か国で承認をされているところでございます。
 続いて、17ページ、資料2-2を御覧ください。日本皮膚科学会及び日本臨床皮膚科医会から見解が提出されてございます。
 まず、日本皮膚科学会からの見解を御紹介します。スイッチOTC化の妥当性に関連してですけれども、添付文書では使用部位、使用方法等の制限が多く、これらを遵守するには、医師の管理下で使用することが望ましい。また、妊婦または妊娠している可能性のある女性に対する使用が禁忌であり、塗布部位刺激症状の出現は半数近くに及ぶため、OTCとすることは妥当ではない。との御意見をいただいております。
 また、スイッチOTC化する際の留意事項として、日焼け止めを使用し、過剰な太陽光への暴露は避けることへの注意喚起、あるいは、乾燥、かゆみ、熱感などの皮膚刺激症状が起こり得ることへの注意喚起、妊娠または妊娠の可能性がある場合は使用しないことの周知徹底が必要であることを挙げていただいております。
 続いて、日本臨床皮膚科医会からの見解を御紹介します。スイッチOTC化の妥当性に関連してですけれども、処方された外用剤の過敏症の有無等を含む、これまでのざ瘡治療歴の確認、あるいは、妊娠・授乳の有無の確認、外用部位の刺激が生じた場合の対応の十分な確認がなされれば、スイッチOTC化は妥当との御意見をいただいております。事務局からの説明は、以上となります。
○笠貫座長 ありがとうございました。それでは、本成分のOTC化について、個別の御意見があればお願いします。磯部構成員、お願いします。
○磯部構成員 日本OTC医薬品協会磯部でございます。本製品に関しまして、先ほど、事務局の方から、にきびの治療に関して、OTCでいいものがなかなかないと。にきびの治療に関しまして、当然、保険診療で必要な方もいて、治療しなければいけない方もおられると思いますけれど、セルフケア、セルフメディケーションでそういう管理をするというある程度の選択肢をつくっていくことも、私は必要な部分だと思います。そういう意味で、特に若い方々で、にきびでお悩みの方もおられるので、ニーズとしてはよく理解できるものではないかと思います。一方、学会の御意見もありますように、また、添付文書で禁忌になっていますように、承認申請に当たっての動物実験のデータで、催奇形性が見られたということで、妊婦の方へは禁忌となっているところもございます。これについては、最大限注意をしていかなければいけない。安全性ということは非常に重要な部分でありますので、その点は注意をして、適正に使っていく必要があると思います。一方、海外も含めますと、これは20年間ぐらい使われているのですが、きちんと使われているからこそだと思いますけれども、現実には、臨床の現場では、催奇形性とかそういう妊娠毒性といいましょうか、催奇形性が疑われる症例の報告はないことも、それはよく理解をした上で、考えていく必要がある。つまり、適切に使っていけば、これまで20年間の経験の中でもできてきたということもありますので、そういうことも踏まえまして、そのニーズと安全管理、両方を鑑みて、今後、検討を進めていっていただきたいと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、先ほど、皮膚科学会、臨床皮膚科医会の御意見を御説明いただきましたけれども、五十嵐構成員から、皮膚科学会についての御意見、補足等がございましたら、お願いします。
○五十嵐構成員 五十嵐でございます。確かに、にきびの患者さんはものすごく多くて、特に中学生あたりから高校生、それから若い方が多くて、例えば、受験勉強で忙しいのに、クリニックになかなか行けないという、そういうお悩みの患者さんは結構多いようです。そういう意味では、OTC薬として有効性の高い塗り薬、非常にニーズがあると思います。 翻って、アダパレンというお薬を見てみると、これは、先ほどの意見書にも書きましたけれども、扱いが結構難しくて、すごい刺激が出る人も少なからずいるのですよね。僕も、昔、このお薬が出たときに最初使ったときに、その患者さんにあんまりしっかり説明しないでいたら、外来にどなり込まれたことがあります。すごい刺激になって、泣きながら。そういうことで、これはかなり徹底して、安全性というか、そういう刺激があることをしっかり周知、説明してからやらないと、患者さんがせっかくお金を払って買ったのに、とんでもない目にあってしまったということで、そうなってしまうと、薬局にとっても、今、SNSとかでいろいろすぐ噂が立ってしまうような世の中ですので、その辺非常に注意していかないと、かえって薬局の評価を落とすようなことになりかねないので、そういう意味ではちょっと扱いづらいお薬というところがある面は否めません。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、臨床皮膚科医会からの御意見について、矢口構成員からお願いします。
○矢口構成員 アダパレンという薬は、にきびの特に面皰の治療に対するピーリング効果のある成分を含む薬剤です。にきびを根本から治療する薬剤として、我々も大変重宝している。そういう薬です。しかし、妊婦または妊娠している可能性のある女性に対し禁忌であるために、現在では、おおむね20代から40代の女性に対しては、他のピーリング効果のある外用剤、そういうのがありますので、それを選択することがほとんどです。妊娠している可能性をどこまで把握できるか大変難しい問題ではないでしょうかというふうに思います。また、海外では、アメリカのみがOTC化されているようですが、他の国々がOTC化していない理由が、もしお分かりであれば、お教えいただきたいと思います。一定の条件を満たせばと申しましたけれども、一定の条件を満たすのは大変難しいので、OTC化には反対すべきかなと思っております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、個別の御意見を伺っていきたいと思いますが、薬剤特性の観点から、厳しいお話もいただきましたが、この点について、御意見はございますか。
○堀構成員 ありがとうございます。COMLの堀です。私は、保護者の立場から言いますと、若い10代、20代前半の男性、女性問わず、やはりにきび、特に顔にできますにきびは非常にセンシティブな問題であり、非常に生活にも関わる重大なものと考えております。 ですので、本音を言えば、やはりOTC化していただきたい。それが本音ですが、いろいろ調べてみますと、副作用がかなりひどい。今、五十嵐構成員、矢口構成員からもお話ありましたけれども、そうすると、副作用が出てしまったときに、結局、さっき泣きつかれたとおっしゃっていたと思うのですけれども、患者が勝手にやめてしまうという、つまり、治療の途中で勝手にやめてしまうことが多々あると聞いております。そのときに、実際に、もし薬局で販売になったときには、薬剤師の方が、懇切丁寧な資材を使ってきちんと患者さんにその副作用の説明をし、そして、もし万が一何かあれば皮膚科に行くようにと伝えていただけるような、そういう流れの資材を活用していただけるのであれば、OTC化も少し考慮の中に入るのではないかと思いました。20代以上の先ほど妊娠をしていらっしゃる方に対しての販売に関しましても、もし薬局で購入の際に、それこそチェックリストのようなものとかがあって、それをクリアした方限定ということができるのであれば、OTC化を考えていただきたいというのが本音です。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、ほかにございません。富永構成員、お願いします。
○富永構成員 富永です。実際、薬局で、アダパレンを処方箋薬として出すと、紅斑といいますか赤みが出たり、痛みがあるとか、そういう訴えは多いです。もちろんOTC薬で言うと、硫黄を主体とした皮膚軟化剤といいますか、イオウカンフルローションの上澄み液とかそういうのを使うのですけれども、なかなか効果が出ないのは、磯部先生がおっしゃったように、いい薬はOTCの中にはないと。今言われたように、薬剤師がしっかりしていれば、何とかOTCできるのではないかなというのはよく分かります。そういうチェックリスト等があって、そこを確認した上で出すとすれば、OTC化も可能ではないかと考えています。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございますか。佐藤構成員、お願いします。
○佐藤構成員 産経新聞、佐藤です。ありがとうございます。にきびの薬については、これまでにもOTC化されているものもありますし、ある程度、薬の強い・弱いが分かるようにしていただいてOTCとして出すことは有効なのではないかと思いました。皮膚科医会からは、基本、反対という意見が出ていますけれども、条件として、こういった条件が満たされればというような表記になっておりますので、妊娠していらっしゃる方に対するチェックシートみたいなものは、医療用の医薬品でもございますし、妊娠しているか否かだけではなくて、過去2週間ぐらいでそういうチャンスを持ったかどうかなどもチェックするようなシートがありますので、そういうものを使うことでクリアすることができるのではないかと思いました。以上です。ありがとうございます。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 各構成員からの御意見、当然のことであろうと思います。このOTCの制度をしっかりと考えていただきたいです。従来であれば、OTC化して3年経過して、そのまま要指導医薬品から一般用医薬品に流れていきます。しかしながら、今、諸先生、それから、日本皮膚科学会からもございましたように、ある程度注意喚起が必要な薬であるから、要指導医薬品に留め置くということであれば、これは結構だろうと思いますけれども、それが自動的に一般用医薬品になってくると問題があるのかなということで、そういう今の薬局での販売の方法をしっかりと考えて、再構築していくということの中で、この薬が活きていくのであろうなと考えております。ですから、OTC化することの妥当性については、今、いろいろな方々がお話になったように、課題がたくさんありますので、その課題をクリアにしていただきたい。それに対しては、薬剤師が薬剤師らしく、しっかりと管理していくということが非常に重要であり、そういう姿勢を示していただくことが、国民に対する安全性、そして、そこから有効性が見えてきます。濫用や誤用するという形になれば、これは有効性さえも損なわれるということですので、それはしっかりとした判断というものが必要であろうかなと考えてございます。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。平野構成員、お願いします。
○平野構成員 日本チェーンドラッグストア協会の平野でございます。薬剤師には、しっかり接客を指導することは当然でございますが、その前に、患者さんが実際にどんなふうにOTCで皮膚科の薬剤について振る舞うかということについて言えば、実は、お客様のほうから薬の選択についての相談を得るという意味では、皮膚科系の薬剤は一番相談が多いのですね。ということから言うと、実は、患者さん自身も不安を持っておられる。しっかりした相談が本当にやりやすい。かつ、それが現実に十分可能であるという意味で、しっかり相談体制は担保できると考えております。以上でございます。
○笠貫座長 ありがとうございます。高野構成員、お願いします。
○高野構成員 ありがとうございます。日本中毒情報センターの高野です。このお薬は、皮膚症状は結構高率に出るのかなと思っております。そのぴりぴり感とか刺激感が出たときに、薬局薬剤師の方がどういった形で対処をするという流れになるのかなというところが少し気になっておりました。例えば物によっては、すぐ消えるから少し継続してやってくださいというような書き方をされていたりとか、もしくは、出たときには、洗顔をして、それを洗い流して、医療機関に受診をするとか、何となくどちらに振るのかなというところに関して、患者さんがどういう形で判断していくのかなというのがちょっと気になったというところですね。ちょっと気になったというか、その判断を薬剤師の先生方がどういった形で指導されていくのか、また、それをツールによってどういった形で誘導していくのかなというところが、この資料を見て感じた次第です。もし、何かそのあたりを分かる範囲で結構ですので、教えていただければありがたいです。お願いいたします。
○笠貫座長 富永構成員、お願いします。
○富永構成員 富永です。実際の対応をお伝えすると、その症状に応じてフィードバックをかけるというか、ドクターに相談する場合もありますし、ぴりぴり感があるんですよというのは、こういう副作用があるんですよということで納得いただければ、塗布を続けるということになります。だから、ケース・バイ・ケースでその回答を出していくということになります。だから、必ずこれがあったらこうするということではなくて、例えば、ほかの薬に変えることも含めて、または、医師に受診することをお勧めすることもありますし、それを電話で問い合わせることもありますし、それはもう臨機応変に対応していくということになります。
○笠貫座長 ありがとうございます。渡邊構成員、お願いします。
○渡邊構成員 実際に皮膚科さんからディフェリンゲル、アダパレン、処方されてきます。先生方がお話ししているのと同じように、どのように使うか、どういう症状が起きるか、なぜぴりぴり感が起きるのか、それがしばらく続くけれども、我慢できないところまでだったらやめなさいということは伝えます。ピーリング効果を狙うところがありますので、しばらく続けて使っていくというところがあるのですけれども、あとは傷がついた皮膚にはつけないとか、妊婦さんにやったことは全くないですし、今のところ、中高生、せいぜい20歳ちょっとぐらいの方に御説明しますけれども、あとは、洗顔はごしごしやったら駄目よとか、泡だけで洗うのよとか、日常生活のことを話しながら、このお薬がお肌に刺激があるということはきちんと伝えていきます。多分、処方箋として来ても、OTCとして来ても、お話しすることはきっと同じなのだろうなとは思うのですが、病院の先生の手を離れますと、薬剤師の指導はきちんとしていかなくてはいけないだろうと思います。チェックリストが必要だろうと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。高野先生。
○高野構成員 ありがとうございます。そうしますと、薬剤師の職能を発揮すれば、そのあたりは十分解決し得る課題であるという認識でいればいいということですね。ありがとうございます。
○笠貫座長 宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 今、高野構成員が御指摘になったように、導入部分、要するに患者さんや購入者が薬を使い始める入り口時点のチェックリストを作るかを検討する場合はあるのですが、薬をやめるときのチェックリストみたいなのはないのです。実際にないということを踏まえて考えていただきたい。それは、薬剤師の先生たちが、職能の中で、知識の中で、使用を止めなければならない状況を説明して、それで、どのように判断するかが重要となります。そして、薬剤師の先生方の能力というか、その範疇を超えた場合には、受診勧奨するという形の中で成り立っていますので、この薬は、ピーリング効果があって、ある程度使用者が我慢するというような言葉が先ほどから出てくるわけですけれども、個人差が非常にあって、どのような症状であれば大丈夫かというのは、皮膚科の先生でなければ分からないというところもあります。薬剤師の先生たちが販売時等に、何らかの障害等が起きたとき、どれだけそこで責任を取られるのでしょうか。つまり、健康被害が起きたときに、最終的には、また医師のところに戻るわけです。そういうとき速やかに受診勧奨できるという体制は、こういう薬であれば、しっかりとつくらなければいけない。つまり、入口のチェックリストではなくて、出口のほうのチェックリストというか、そういうやり方は徹底していかなければいけないという薬です。ですから、OTC化を否定しない場合は、どのような枠組みの中で販売していくのか。そして、そういう症例があったらば、そこから要指導医薬品の中にとどめて、しっかりとした薬剤師、医師との連携関係等がなければいけないという立てつけをつくっていかなければいけない。それがこの薬のOTC化に際して重要な課題であるであると考えていただければよいかなと考えます。
○笠貫座長 宮園先生、お願いします。
○宮園構成員 よろしくお願いします。NACSの宮園といいます。消費者側からですが、ぴりぴり感というのが、多分、薬剤師さんや専門家の方から思うぴりぴり感と、自分自身、消費者が思うぴりぴり感が、もしかしたらずれるかもしれないし、どういうのがぴりぴり感というのかというぐらいのレベルかもしれないので、何か具体的に、例えばこういう痛みができたらとか、何かもうちょっとイメージしやすい表現でアドバイスいただけると、自分の中でも使っていいのかどうか。あともう一つ、契約の話だと、多くの方が、これは自分の肌に合わないと思ったら、恐らく返品したいという思いになると思うのですね。そのときに問い合わせができる、お客様相談体制をしっかり構築した上で、売っていただきたいなという、メーカーに言うのか、お店に言うのかとかも含めまして、その辺が気になりました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。そのほかにはございますか。
○磯部構成員 OTC医薬品協会、磯部ですが、今、宮園先生と宮川先生のほうからお話いただきました。まさしく前回のPPIのときにも大分議論がありまして、どういう形で使っていくのがこの薬として生きていくのか、逆に、安全に使えるのかということが大事な部分だと思います。その点については、当然、現場の薬剤師の先生方に、製造販売業者の責務として、必要な情報を提供し、今のお話のぴりぴり感もなるべく分かりやすい資材はどういうものがあるかとか、そういうことも、当然、製造販売業者として行って、現場でうまく説明できて、使う方もどういうことだったらどうなのかというのがイメージしやすいようなものが非常に重要なことだと思います。また、やめていくときもこうだったらちょっとやめたほうがいいのではないかという、先ほどの宮川先生のお話なども、きちんと準備しなければいけないと思います。そういうものが、逆に言うと、必要条件として、この薬を出していく要件、また、製造販売業者としてきちんと現場の先生方によくお伝えもして、よく確認をして使っていくことが必要だと思います。そういうことは製造販売業者の責務だと私も認識しております。以上です。
○笠貫座長 宮川先生、お願いします。
○宮川構成員 宮川でございます。ぴりぴり感というのは、日本皮膚科学会からの御報告がありますように、半数以上ございます。その中にも、グレードがたくさんあることは認識しなければいけません。熱感、灼熱感まで持たれる方が多く、それで中止される方が多いため、ほかのお薬に変更せざるを得ないことがあるということは御認識いただきたいと思います。決して日常で感じるぴりぴり感という症状ではなく、この皮膚症状の半数以上はそういう違和感、異常な灼熱感が多いということもあるので、そこはしっかりとした受診勧奨を含めて、皮膚科の先生に診ていただくチャンスを担保できなければ問題であるということは申し上げたとおりでございます。以上です。
○笠貫座長 高野構成員お願いします。
○高野構成員 ありがとうございます。今の宮川構成員と同じような内容ですけれども、第2類とかに落ちてきて、登録販売者は、そういった方がどこまで対応できるのかなというのが、話を聞いていても、不安に感じております。ですので、このあたりも、今後のことも考えていくと、登録販売者の方がどういった形で対処していくのかなというところに関しても、すごく気になりました。ですから、そのあたりも考えていかなければいけないのかなと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。渡邊先生、お願いします。
○渡邊構成員 ロキソニンの承認のときもそうだったのですけれども、一度使用したことがあるということが、私たち販売するところで、必ず確認をしていました。なので、今回、アダパレンを使用したことがあるかどうかということをお聞きして、販売をしたいなと思いました。なぜかというと、中高生は忙しくて、皮膚科は長いですね、3時間、4時間待つ皮膚科さんもいっぱいあります。その時間に対応できないお子さんたちで、継続で、一時的に使いたいとか、そういうところのために使うのは、私は可能性があるなと思っております。そのために、使用経験があるとか、皮膚科さんから処方していただいたことがあるというところを限定するかどうかは分からないですけれども、条件に挙げるのはいいのではないかなと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。
○松野構成員 日本保険薬局協会の松野と申します。私どもも、調剤としてこの薬を使った場合に、皮膚不快感とか皮膚のぴりぴり感は出て当たり前の薬という認識で、ずっと指導をしてきた薬ですので、これがOTC化される場合には、出て当たり前の副作用なので、そこに不安を持ち過ぎる必要はないですよという説明も1つ必要なお薬だと認識していますので、今までの先生方がおっしゃるように、その部分を、買ってくださる方にいかに理解をいただいて、その上で、初期の2週間以内に、さらに悪化するような症状が出れば、直ちに受診をする必要がありますよというところがきちんと説明できるのであれば、これがOTC化される、そういう可能性があるお薬だなと思っております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。お願いします。
○堀構成員 ありがとうございます。COMLの堀です。今、いろいろとお話を聞いて思ったのですけれども、患者さんが、OTC化になった場合は、消費者として、その薬の使い方と副作用がそれから病院に行く、行かないということを決める一番の要だと思います。ですので、そのためには、まず患者さん自身が、このお薬がどういう副作用があり、そして、どのようなことが起こったら皮膚科に行かなければいけないとか、あと、使う際には日焼け止めを塗る必要があるとかを理解する必要があると思います。そのため、さっき渡邊構成員がおっしゃったように、本来であれば、一度受診して、その使い方が分かった方に販売をすることがより良いとかを記載した患者さんにとって非常に分かりやすい資材をつくっていただきたいと思います。私、さっきチェックリストと言いました。それは、薬局サイドが販売をするときのチェックリストだったのですけれども、でも、それ以前に、まずは、患者さん自身、また、消費者自身が、このお薬に対してどのような情報を持たなければいけないかということを記載された懇切丁寧な資材をつくった上で、OTC化を考えていただきたいと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。皆様から御意見をいただいたと思います。
 論点をまとめますと、まず、本成分は非常にニーズが高い。特に、受診のための時間と若い人たちの精神的な面も含めた上で、非常にニーズが高いということは皆さん同じ御意見だったと思っています。ただ、その中で課題として、まず妊婦の方をどうするかについては、セルフチェックリストでどれだけチェックができるか、あるいは、薬剤師の方がどれだけチェックできるかという対応策についてどう捉えるかという話だったと思います。副作用として使用部位の刺激症状を含めてかなり頻度が高いこと、場合によって非常に重くなるという御指摘もいただきました。これについても、受診勧奨や相談体制を含めて、あるいは販売する側の薬剤師と製造販売業者がどれだけ研修をするかということも挙げられたと思います。そういう意味で、適正使用販売制度の質をどこまで求めるのか。それに対して、薬剤師・薬局や業者がどこまで対応できるのかということで皆さんのお考えが多少分かれていたように、課題と対応策がかなり明確だということと、それをどのように消費者がそのリスクを受容可能なのかどうかということが、まとめになると思います。今日は1回目の議論ですので、そういった課題と対応策について、お話をまとめていただければと思っています。そこで、確認ですが、3年間で要指導薬を自動的に上げることについてはまだ決まっていないのですね。受容可能なリスクをどこで線を引くかというときに、3年間でどうなのかという判断も、大事な話になるでしょう。そこは、これからの販売制度の在り方の中で、以前から指摘されていることですので、議論を進めていただきたいと思います。このOTC化は、専門家の学会、医会からは、この課題について十分対応できないのではないかという御指摘があり、皆さんからは賛成と反対の意見と、条件つきということもありましたので、それらをまとめていただくことになるかと思います。それでは、論点の整理をした上で、まとめを事務局でつくり、それを構成員の先生方に再度御確認いただくということで進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、アダパレンについては、そういう形で進めさせていただきます。御確認いただいた後でパブリックコメントを実施することになりますので、それについても、構成員の方々の御意見をお聞きすることにしたいと思います。
 佐藤構成員、どうぞ。
○佐藤構成員 ありがとうございます。申し訳ありません、中座させていただきます関係上、ちょうどグッドタイミングで、発言させていただければと思います。
 規制改革実施計画について申し上げようと思ったのですけれども、ツロブテロールについて、よい例だと思いましたので、ツロブテロールを引用しながら話させていただきます。ツロブテロールは我が家で愛用している薬でありまして、家中みんな喘息気味でせきっぽいものですから、大人は大きいやつで、子供は小さいやつを使っております。もちろん、かかりつけ医が出してくれるものでありまして、かかりつけ医が出した後には必ず「どきどきしなかったか」と聞くものですから、どきどきしたら剥がすのだなと理解をして使っております。 今回、これが出てきたときに、せきが出始めるのは大体夜なものですから、これが例えば3日分だけ市販されたら便利だなと思ったところですが、学会・医会からは駄目という御意見で、残念だなという感じがいたしました。ツロブテロールに限らないのですけれども、御専門の先生方が一般用にと考えるときに、例えば、初めて使う方が、ずっと使ったら危険ではないかとか、海外からの旅行者が買って、副作用が出たらどうするのかとか、世の中で最も脆弱な方たちがずっと使ったら危険だよねということで御意見をされるのは、常に、最も弱い方たちのことを考えるのは、医療職の美徳だとは思うのですけれども、OTC化するときに、本当にその層を標準に考えるべきかというのは疑問のあるところです。先ほども、にきびの薬について、使った経験のある人に出したい、という発言があったのは、とても示唆に富んだ御意見だと思いました。例えば、診断がついている人に出すとか、処方を既にされた経験のある人に出すということが、枠組みとしてできると、OTC化できる薬はたくさんあるのではないかと思っています。今回、規制改革実施計画で、もっとたくさん、もっと早く、平たく言うと、そういう内容だったと思うのですけれども、そういう内容が出ていて、私自身は、一般用にできる薬はほかにも、まだ可能性がある薬はあると思っていて、そのためには、ぜひ環境をつくることが大事だと思います。現在、要指導医薬品に留め置けるようにできないか、ということが制度部会で議論されているのは、大変希望のあるところです。その他にも、処方された経験のある人に、OTC化された薬を、例えば3日分の包装単位で出して、月曜日にはかかりつけ医に行ってね、というような使い方ができると、一般用医薬品にする可能性が随分広がると思いました。ぜひ、環境を整えることを考えていただければと思います。以上です。ありがとうございます。すみません。中座させていただきます。申し訳ありません。
○笠貫座長 ありがとうございます。事務局からお答えすることはありますか。
○事務局 ありがとうございます。先生、今、御指摘をいただいたとおり、ちょうど医薬品医療機器制度部会で、次の薬機法の改正に向けた議論をしておりまして、その中で、要指導医薬品についてどのような形があり得るのかというのを議論しておりますので、その点も含めて、今いただいた議論を踏まえて、検討をしていきたいと思っております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、続きまして、デキサメタゾンシペシル酸エステルに移りたいと思います。これは、カプセル外用及び点鼻粉末が存在し、2製品の使用方法が異なるため、これは区別して議論させていただきたいと思います。まず、カプセル外用について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。デキサメタゾンシペシル酸エステル(カプセル外用)について、御説明をさしあげます。
 21ページの資料3-1を御覧ください。デキサメタゾンシペシル酸エステルのスイッチOTC化した際の効能・効果ですけれども、花粉症、ハウスダストなどによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和ということで、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりということでいただいてございます。対応する医療用医薬品は、エリザスカプセル外用400μgでございまして、粉末が充填されたカプセルを専用の噴霧器にセットして使用する製剤でございます。効能・効果はアレルギー性鼻炎です。要望者は、本成分の主な要望理由として、局所での高い貯留性と持続的な抗炎症作用を得られることを挙げてございます。
 22ページを御覧ください。エリザスカプセル外用400μgですけれども、2009年に医療用として承認をされまして、再審査結果は2018年に通知をされております。承認拒否事由のいずれにも該当しないということで判断をされています。
 23ページを御覧ください。安全性に関する情報です。本剤は禁忌に、有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者及び本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者が設定されております。また、重大な副作用にアナフィラキシー反応が設定されております。
 24ページを御覧ください。推定使用者数等として、鼻がつまる・鼻みずが出るという症状を訴える者は455.1万人ということで推定をされてございます。次に、同種同効薬についてです。同様の効能・果を持つミストタイプの点鼻ステロイド薬として、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、及びフルニソリドがスイッチOTCとして既に承認をされておりますが、粉末タイプの点鼻ステロイド剤は、今のところ承認はされてございません。
 26ページを御覧ください。海外での承認状況ですけれども、本成分は海外で一般用医薬品としては承認されてございません。一方、医療用医薬品としては、韓国でのみ承認をされてございます。
 30ページ、資料3-2を御覧ください。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会及び日本臨床耳鼻咽喉科医会から、両会合同の見解が提出されておりますので、簡単に御紹介をさせていただきます。スイッチOTC化の妥当性に関連して、本成分は類薬と比較して全身循環に回る薬剤量が極めて低く抑えられているとは判断し難い、粉末タイプであるため鼻粘膜への粘着性があり、ミストタイプより薬効の持続時間が長くなることは利点であるけれども、副作用が発現した場合には、その特性から、局所における副作用を助長する可能性が否定できない、また、カプセルを誤飲する危険性があるということで、医師の管理下で使用すべき薬剤であり、スイッチOTC化の妥当性は疑問が残るということで、御意見をいただいてございます。
 31ページ御覧ください。スイッチOTC化する際の留意事項ですけれども、季節に限定された花粉症のみを適用とすることが望ましい、医療用と同様に、小児は対象外とすべき、最長でも合計3か月の投薬期間に限定するべき、との御意見をいただいてございます。事務局からの説明は、以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からの見解について、和田構成員からお願いします。
○和田構成員 橋本先生からでもよろしいですか。
○笠貫座長 結構です。橋本構成員からお願いします。
○橋本構成員 そうしましたら、橋本のほうから説明をいたします。今、事務局の方から御案内いただきましたように、本薬剤は鼻の粘膜から吸収されて全身循環に回る薬剤量があまり低く抑えられているとは判断し難いと。前回、御議論いただきましたモメタゾンのバイオアベイラビリティは1%未満とされておりますが、このエリザス点鼻デキサメタゾンシペシル酸エステルに関しましては、インタビューフォームですと、15%です。先ほどの事務局の方の説明のように、パウダータイプですので、鼻の粘膜に吸着されて、局所に大分長く停留するので、局所へのよい影響と併せまして、もし、副作用が起きた場合には、局所への副作用という、それだけではなく、全身循環に回ることによって、それが長期間続くと、内科的・眼科的副作用が招来されるリスクが一定程度あると認識しております。一方で、諸外国でもOTC化されてないということでございますけれども、パウダータイプですので、鼻の入口のところに粉が付着するので、逆に、粘りが出て、鼻閉感が取れないという患者さんもいらっしゃるのですね。先発品の重要な基本的注意事項に、例えば、通年性の患者さんにおいて、長期に使用する場合には、症状の改善状態が持続するようであれば、本剤の減量または休薬に努めることあります。こういった観点からいたしますと、基本的には、鼻の中の状況を詳細に観察しながら、厳重な医師の観察下において使用するべき薬剤と捉えておりますので、先ほど渡邊構成員からもお話ございましたように、我々の手を離れると独り歩きをしますので、そういった観点からは、我々医療者が使うとしても、この薬剤は短期にとどめることが多いかと思います。その上で、別な薬剤にまた切り替えることが多いと思いますので、この薬剤に関しましては、そういった観点から、安易にスイッチOTC化することに関しては懸念が残ると認識しております。あと、和田先生から追加御意見いただければと思います。
○笠貫座長 和田先生、お願いします。
○和田構成員 よろしくお願いいたします。この薬に関しては2点あるのですけれども、まず1点が、今、お話ししてくださったのはカプセル剤で、それに続いて、いわゆる噴霧剤というか、カプセルではないほうに、薬自体は変わらないのですけれども、その議論が2つあると思うのですが、まず薬ということに関して言いますと、ナゾネックス、アラミスト、この辺の薬の開発の経緯は、血中になるべく入らないようにする、鼻だけでとどまるということが、開発の経緯だったと思います。いわゆるバイオアベイラビリティが低いナゾネックスだと、ネット上の情報で言えば、0.1%以下、アラミスト、フルチカゾンであれば0.5%以下ということで、ほとんど血中に入らないということで、OTC化も通っていたのかなという認識があります。このエリザスは、デキサメタゾンですからステロイドだけで言えばストロングの領域に入りますので、長期に投与するのは、耳鼻科医としてはなかなか認め難いなと思います。ですから、橋本先生がおっしゃられたように、もし万が一OTC化するのであっても、例えば花粉症とか、3か月程度のそういう期間に限ってやることがいいのではないかなと思います。今回、カプセルということですけれども、僕の医者の人生において、最初はカプセルだったのですよね。カプセルを何か変なあれにかちゃっと入れて、針刺して、それで噴霧するという面倒くさいやつだったので、それが途中で、日本新薬さんがプッシュできるようなタイプに開発していった経緯がありますので、カプセル剤は、橋本先生ちょっとおっしゃられませんでしたが、このカプセルがプラスチック容器なのかを飲み込んでしまった場合に、胃の中で消化されるのか異物になるのか悪影響があるのか、製剤がちょっとよく分からないのですけれども、カプセル製剤で売るとなると、買ったとき、1週間、1か月は覚えているでしょうけれども、その後、3か月後、ちょっと鼻がと言って使おうかなと思ったときに、飲んでしまうとか、そういうような誤った使用法の可能性もあるので、少なくともカプセル剤は難しいのではないかなというのが、私どもの見解になります。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、本製剤につきましての個別の御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。磯部構成員、お願いします。
○磯部構成員 ありがとうございます。OTC医薬品協会、磯部でございます。今、いろいろお話をいただきました。私としては、この医薬品は類似のものが幾つかあると。今、先生方もお話があった、フルナーゼとかナゾネックスとか、かなりなじみのある点鼻のお薬があって、製剤が、パウダーとか、剤形的に若干違いはあるのだろうと思いますが、それが大きな差だというお話をいただきました。これは、別途、医療用医薬品のほうでは、どこまでが同種同効薬として見るのかということで、私も医療保険を大分長くやってきたのですが、医療用の世界で言うと、現実に、薬ごとの製剤をどれくらい緻密に分けていくのかということですが、今のフルナーゼとかナゾネックスとかアラミストと、基本的には同種同効薬であるということで、医療用の世界ではあって、それとは製剤特性がかなり違うということだとすると、医療用の世界では、製剤特性の情報提供をメーカーサイドからやるのかということになってくるので、どこまで違うのかということについては、いろいろ議論がある薬だと思いますので、私としては、同種同効薬がOTCで認められたのもありますので、それと比較しながら、どういう点をよく見ていくのかということをやっていただきたいと思います。それから、カプセルの問題ですが、スイッチOTCは、長年の医療用医薬品として使用されてきた経験に基づいて、それをベースに、もともと治験だけのデータで新薬が出るのと違って、医療用医薬品としての臨床現場での使用経験を基に出てくるわけでございます。現実には、先ほど和田先生からも御指摘いただいたカプセルの誤飲の問題、そういうものは服薬指導上の大きなポイントなので、どちらかというと医療現場では薬剤師の方が調剤をする際に、そういうことは気をつけてくださいということをいろいろと言っていると思います。そう考えますと、OTC化された場合には、少なくとも3年間は、要指導で、薬剤師の方が売ることになると、調剤された方はかなり多いでしょうから、同様の説明はかなり徹底してやるということになろうと思いますので、そういったリスクは、医療用と同じように、かなり管理ができるのではないかと思います。あと、1つだけ、事務局にちょっと御質問をしたいと思うのですが、現実に、今、和田先生がおっしゃったカプセルを誤飲してしまう事例が、医療用でも実際に起こっているのかどうかというのは、結構重要な要素だと思うので。起こっているのであれば、そのリスクマネジメントをどういうふうに考えるのかということは大事だと思いますので、その辺があるかないか、そういった報告が医療安全のほうでも出てくると思いますので、もし、そこら辺、御教示いただければ、ありがたいと思います。以上です。
○笠貫座長 事務局からどうぞ。
○事務局 事務局でございます。今、磯部構成員から御質問いただいた件ですけれども、エリザスについては、そのような誤飲の報告はないのですけれども、サルコートで、誤飲に関わる報告が3例確認されているところでございます。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。原構成員お願いします。
○原構成員 よろしくお願いします。先ほどからちょっとお聞きしていますと、バイオアベイラビリティが決して低くないというふうにお伺いしていると、眼科の立場としては、緑内障のことがすごく気になります。ステロイドレスポンダーという、いわゆるそのステロイドに反応して眼圧が上がってしまうという人は、成人でも大体3分の1ぐらいの人で見られるものですし、特に、9歳くらいまでの学童に限って言えば、半分近くの人のステロイドレスポンダーだという報告もありますので、僕たちもアレルギーなんかでステロイドを使う際には、1週間ごとに眼圧をモニターするということをしています。なので、耳鼻科の先生の手にあるうちは、恐らく眼科受診を勧めてくださると思うのですけれども、これが一般の人の判断で使うとなると、緑内障のリスクはかなり高いのではないかと思いますので、43ページにもあるように、せめて、通年性ではなくて、期間が比較的短い季節性に限ったほうがいいのではないかという点と。それから、小児に関しては対象外としたほうがいいのではないかというのが、眼科としての立場になります。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。高野構成員、お願いします。
○高野構成員 ありがとうございます。日本中毒情報センターの高野です。先ほど、カプセルの誤飲についてお話がありましたので、中毒情報センターのほうの問い合わせの中では、吸入カプセルの誤飲の問い合わせはある一定数ございます。ただ、ほぼ全ての製剤が、通常の経口のカプセル剤の材料でつくられているものですので、内服したことによって何か健康被害が起こるということに関しては、あまり考えなくてもいいような状況です。ただ、お水と一緒に飲んだ場合は、そういった形になるかと思います。急性中毒に関しては、ステロイドに関しては、毒性はそれほど高くないものになってきますので、単回の内服であれば、特段、いわゆる医療上の影響はほぼ考えなくていいような状況だと思います。 あとは、内服しないような工夫といたしましては、今回のこの審議に上がっている製品に関しては、透明なカプセルになります。これは、全て吸入されたかどうかということが目視できるような工夫になっているのですけれども、例えばカプセルの色とかそういったものを工夫したりとか、もともとPTPのほうには「服用しないでください」と書いてあるのですけれども、多くの場合が、使おうと思って、PTPから出した状態のときに、子供が誤飲してしまったりとか、大人が子供に与えてしまったりとか、そういった状況がありますので、何かしら工夫をすることによって、防止策というのがさらに何か工夫ができる可能性があるなと思っております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。宗林構成員お願いします。
○宗林構成員 宗林です。ありがとうございます。次の御説明も同じ成分だろうと思うのですが、スイッチ化する場合には、消費者にとって利便性が向上してとか、それから、カプセルのものが誤飲というようなリスクが多少でもあるならば、ない形でとか、そういうことを勘案しますと、2剤続けて出ていまして、同じ成分なので、同じ成分であれば、簡単に使えて、本人自体ではなくて、今、高野さんのところにもありましたけれども、子供が家の中にあるだけで誤飲ということがよくありますので、そういったものを避けられるようなもの。そして、粉末も、固まって中に残るようなもの、鼻の中でもですけれども、そういうことがないような簡単なもののほうをスイッチ化するという選択がいいのではないかと思っています。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 宮川でございます。先ほど磯部構成員より同種同効薬があり、それもさらに進んでいるものもあるとのお話がありました。より安全に使える同種同効薬があるということであれば、今、宗林構成員からお話があったように、あえて、その数を増やすことはなかろうかなと思うのであります。先日、国の別な会議で、日本チェーンドラッグストア協会からは、OTCをバックヤードに置くことは、非常に数が多くてできない、200種類も300種類もあるというような御見解があったのです。実際には、私も数えたところ、店舗に置いてあったのは150種類以下でした。それでも、OTCの同種同効薬を増やすということは、国民にとっての利便性が本当にあるのかどうか。それから、様々な販売する側にとっても、同種同効薬が4種類も5種類もあった場合に、何を選ぶのか使用者の特性に合わせてお勧めできるのか。それから、使用者のほうもそれを選択できるのかどうかというのは非常に大きな問題かなと思います。既に同種同効薬が1種類か2種類あれば、それも優れたものが出ているのであれば、それ以上の同種同効薬をこの検討会議で選定するということも、逆に言えば、少し乱暴なのかなと思いますので、優れたものがOTC化されて、そして、国民の手の届きやすいように、利便性があるようにするのが当然だろうと思うので、古い薬をあえてOTCにするという必要もあるのかどうかということも、議論が必要な問題であろうかなと思っております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませか。
論点を整理させていただきます。まずカプセル外用についての論点です。私が気になりましたのは、バイオアビリティが従来の先行薬の0.1%、0.5%に比べて15%とかということから、薬剤特性としては、副作用を含めた問題があると思います。そういうことを踏まえて、この副作用として特に長期間での内科・眼科の問題が出ました。OTCの場合には短期間でありますが、同種同効薬として、バイオアビリティの低い安全なものがあるという御意見がありました。論点としては、先ほど挙げましたような問題が挙げられましたし、誤飲については、カプセルについては共有の問題であり、薬剤師の方の御説明と協会側としては、誤飲しにくいような工夫をしていただくことも、議論で出ていたと思います。以上の論点として挙げていただいたことを踏まえて、パブリックコメントを行うに当たり、検討会議としての方向性について事務局でまとめていただくということでよろしいでしょうか。
○笠貫座長 ありがとうございました。それでは、カプセル外用については、パブリックコメントを実施する前に、構成員の先生方にはお配りし、御意見をいただきたいと思います。
 それでは続きまして、点鼻粉末について、耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からの見解について、和田構成員から、補足ないしは説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○和田構成員 薬剤に関しましては、先ほどお話をしたとおりですので、結局、話は同じになるのですけれども、まず最初このカプセルがあって、それが使いにくいということで、こういう製剤ができたという流れの経緯があるのではないかなと思います。ナゾネックス、フルナーゼ等がある中で、これを認めていくかどうかというのは、短期的な部分でいいのかなと思っております。特に、結局、薬剤の問題ですので。あと、もう一つのあれは、患者さんが、アラミストとナゾネックスは水薬ですけれども、これが結構しみるから嫌だと言う人もいらっしゃって、そういう方にこの粉の製剤を使うことが多かったのですね。逆に、今度はこれを出すと、何か入っている感じがしないから、何回もやってしまうという人がいたりとかして、その辺がちょっといいような悪いような難しい問題です。先ほどと同じになりますけれども、バイオアビリティの問題で、本当に認める必要があるのかという、その問題はちょっと置いておけば、いわゆる通年性のアレルギー性鼻炎ということではなくて、百歩譲って、認めるとしても、花粉症という季節性のものに限ることが重要かなと思っております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。次に、橋本構成員お願いします。
○橋本構成員 今、和田先生からのお話、おっしゃるとおりと思いますが、個人的には、実地の診療を行っている立場で申しますと、鼻の粘膜がアレルギー性鼻炎で相当腫れているという場合に、ミスト型、液体を振りかけると、お風呂を洗うときに、浴槽にぴゅーっと洗剤をかけても、液だれしてしまうのと一緒なのですね。腫れている粘膜のところに幾らそういった液を振りかけても液だれするので、個人的には、工夫として、まず粘膜収縮剤を使って、それで鼻腔の粘膜を広げて、その側面にパウダーを使うというような配慮を、私個人はしております。そういったことを考えますと、薬剤師の方がそういった説明をするのは、現実問題としてはちょっと難しいのかということもございますので、そういった観点から、これは耳鼻咽喉科の医師が、鼻の中の詳細を見ながら投薬すべきものではないかなという意見もございます。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。どうぞ。
○磯部構成員 敬愛する宮川先生にコメントするわけでも何でもないのですが、私も行政もやり、また、今、協会の仕事をさせていただいていて、各社、例えばこの会社の同種同効のやつが認められたように、こっちは駄目というのは、よほどの理由がないとなかなか難しい。つまり、それは公平性という意味ですね。現実に、確かに社会的ニーズは、宮川先生が言うようにごもっともで、それについて、この検討会議でどんどん言っていただくのはもう当然だと思うのですが、では、何でこっちは認められて、こっちは認められないんだというのを、私も追及されても、なかなか説明がしづらいところもあるので、そういったお立場も御勘案いただければと思います。それだけでとどめておきます。以上でございます。
○笠貫座長 お願いします。
○宮川構成員 手短に申し上げます。日本OTC医薬品協会のそういう意味では御苦労をされているのだろうと思いますけれども、では、その販売を認めて、そして、販売するといったときに、非常に数少ない需要や要求に対してであっても、その薬をつくり続ける義務が生じるという、そういう困窮もあろうかと思いますので、たくさんの方が求められるものを提供するという形にならないと、かえって、製造販売業者が困窮するのではないかなと思います。私がそういうことを言うべきことではないのかもしれませんが、日本OTC医薬品協会と企業が考えて、社会的な貢献ということであれば、廉価なものであっても、しっかりと供給して、供給不足を起こさないということをしっかりやっていただくのが本当の役割であろうと思います。ですから、途中で撤退することがなければよろしいのですが、撤退するようなことがあっては、それは、日本OTC医薬品協会、それから、製造販売業者の責任であるということはここに私も一言申し上げたいと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。渡邊構成員。
○渡邊構成員 渡邊です。なぜ、先生方はこれだけ違う種類の点鼻薬をいっぱい出すのだろうと思うくらい、薬局の中には違うメーカーの違う点鼻薬がそろえてございます。先生の御請求のあったとおりに、そのお薬を出すようにしております。その中で、先ほど橋本先生が、腫れを取って、そこに噴霧剤を入れて、鼻の症状を抑えていくということを聞いて、ああ、そうなんだと合点がいきました。それ以上に、今は、別なほうのアラミスト等の点鼻薬が数多く出ております。はっきり言って、エリザスはもう少なくなっていますし、出ている数が少ないです。だけど、使い方によってはいい点があるのだなということも分かりました。本当に、企業さんがいっぱい出す中で、どれだけ公正にいろいろな薬を選べるかというのは問題かなと思います。まず、使ったことがあるかなというところから私はいつも始めていますので、そこから、患者さんとお話をしながら進めていきたいと思っています。エリザスの粉は悪くないなと。噴霧剤のほうですね。カプセル剤は、私も実は反対でございます。とてもやりやすいのではないかなと思います。1日1回で済みますしね。ありがとうございます。失礼します。
○笠貫座長 ありがとうございます。
○松野構成員 日本保険薬局協会の松野です。可能性として、OTC化ができるかどうかと考えた場合に、先生方がおっしゃるように、これが唯一粉であるという点だと思うのですよね。そのよさで国民の選択肢が広がる可能性がある。ただ、今まで医療用として使っている、この噴霧剤の容器ですけれども、患者さんに説明する場合に、本当に使いにくい。申し訳ないのですけれども、とても使い勝手が悪い容器になっていますので、もし、OTC化されることがあれば、あの容器のままでは恐らく国民の方は使い方が分からないとか、これ、どうやってやるんだということになると思うので、その工夫も要るのかなと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。カプセルの場合のバイオアビリティが10倍以上ということが、同種同効薬との違いであると思ったのですが、この点鼻粉末については、同種同効薬との違いとして、1日1回という話が出ましたのが、この点鼻粉末に使う場合に、今までの同種同効薬とのこの薬の優れた点、あるいは副作用として懸念される点はございますか。
○和田構成員 結局、粉であるということになるのですけれども、今の点鼻薬、基本的には、先発で言うと、ナゾネックス、アラミストでほぼ9割以上は処方されているのではないかなと思いますので、僕は開業医ではないですけれども、耳鼻科開業医の立場からすると、ナゾネックス、フルナーゼは2回ですけれども、この2剤が認められている時点で、かなりの譲歩をしていると言うと変な言い方ですけれども、かなりもう取られているという状況だと思います。確かに、今は、アラミスト、ナゾネックスも1回ですので、1回であるということが、この薬の優位性ということにはならないかなと思います。先ほど先生がおっしゃられたように、粉ということになって、刺激性がどうしても嫌いだという人がいて、例えばちょっと腫れても、抗ヒスタミン薬、飲み薬を出して、点鼻でやるともっといいよと言っても、つんとするから嫌だという人もいますので、そういう人にどうしても使いたければ、これを使うというぐらいな程度で、先生がおっしゃられたように、実際、処方していることが少ない薬ですので、別に、OTC化することに、いわゆる花粉症、季節性に限定すれば、カプセルは抜きにしていいと思うのですが、製剤の機械というか、あれもなかなかコストかかるでしょうから、本当に企業が乗ってくるか、ペイするのかどうかというのは、そこは僕の問題ではないですので、分かりません。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、点鼻粉末についての論点を整理させていただきます。
 これは、バイオアビリティの問題はないので、同種同効薬でも十分あり得ると思います。1日1回だけでなくて、2回ということも、1回もあるということでしたので、同種同効薬をどうするか、何剤までいいのか、あるいは、この本成分が実際に使われるのかということも含めて、議論がありました。それぞれの選択肢が多いという問題と利点、あるいは安定供給の話も出ましたが、そういうことを含めた課題と対応策をまとめていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、そのような内容でまとめていただき、パブリックコメント前には、構成員の方々にチェックをいただくことにしたいと思います。続きまして、ツロブテロールについて、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。ツロブテロールについて、御説明をさしあげます。
 45ページ、資料5-1を御覧ください。ツロブテロールのスイッチOTC化した際の効能・効果は「せき、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)を伴うせき、たん」となっております。対応する医療用医薬品はホクナリンテープ0.5 mg、同1 mg及び同2 mgでございまして、貼付剤となってございます。効能・効果は、気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難などの諸症状の緩和となってございます。要望者ですけれども、本成分の主な要望理由としては、鎮咳去痰薬のスイッチOTC化は、エプラジノン塩酸塩の承認以降、約30年間行われていない。また、鎮咳去痰薬の製造販売承認基準に収載されている成分の中には、依存性等から取り扱いに注意を要するものもあることから、一時的な「せき、たん」への対処方法として、依存性等への懸念がない成分の必要性があると考えられること。また、貼付剤という特徴から、服用が難しい場合でも使用できる利便性を有することを挙げられています。
 46ページを御覧ください。ホクナリンテープですけれども、1998年に医療用として承認をされておりまして、再審査結果は2009年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないということで判断されております。
 48ページを御覧ください。安全性に関する情報です。本剤は禁忌に、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者が設定されております。また、重大な副作用にアナフィラキシー反応及び重篤な血清カリウム値の低下が設定されております。
 50ページを御覧ください。同種同効薬についてですけれども、スイッチOTCとして承認された前例はございません。
 続いて、52ページを御覧ください。海外での承認状況ですけれども、本成分は海外で一般用医薬品として承認されておりません。また、医療用医薬品としては、韓国、中国及びインドで承認されているところでございます。
 続いて、58ページ、資料5-2を御覧ください。ツロブテロールについては、3つの学会・医会からの見解が提出されてございます。
 まず、日本呼吸器学会の見解を御紹介させていただきます。スイッチOTC化の妥当性に関連してですけれども、効能・効果について、喀痰症状の改善には必ずしも妥当性のある薬剤ではない。非医師には、呼吸器症状の悪化時に喘息やCOPDである可能性の鑑別・除外は困難である。また、本剤が潜在患者を含む安定期の喘息患者に長期連用された場合、適切な治療を受けた場合と比較して死亡リスクが上昇することから、本薬剤のOTC化のリスクについて十二分に考慮する必要がある。そのためスイッチOTC化は不適切との御意見をいただいてございます。
 続いて、59ページを御覧ください。スイッチOTC化する際の留意事項ですけれども、治療対象を急性気管支炎に限り、また使用期間を3日間に限定すること。小児を含む喘息、肺気腫、慢性気管支炎、COPDの既往・罹患歴がある者及び喘息やCOPDに特有の症状を有する者には販売しないこと。さらに、症状が改善しない場合には、販売日を含む3日以内に医療機関を受診することが、スイッチOTC化の条件であるということで、御意見をいただいてございます。
 続いて、61ページを御覧ください。日本臨床内科医会からの見解となっております。スイッチOTC化の妥当性に関連してですけれども、漫然と使用することで気管支喘息の治療が遅れること、心疾患への悪影響が懸念されることから、本薬剤のOTC化には反対であるとの御意見をいただいております。
 続いて、62ページ、スイッチOTC化する際の留意事項ですけれども、小さい子供や高齢者がせきで苦しんでいるときに、保護者や介護者の方が病院受診までの間に安全に使用すればメリットがあることから、一度処方を受けたことがある人を対象とする、かつ、販売時に気管支喘息が疑われる方には受診を促す等の条件を付す必要があるとの御意見をいただいております。
 続いて、63ページ、日本小児科学会の見解を御紹介します。スイッチOTC化の妥当性に関連してですけれども、「喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)」について、喘嗚の判断は専門医であっても容易ではないため、聴診による診断なしに判断することは危険であること。また、医療現場において、医師の指示とは異なり用量を保護者の判断で貼付する事例をかなりの頻度で現場で経験していること。添付文書には、「用法・用量を超えて使用を続けた場合、不整脈、場合によっては心停止を起こす恐れがある」との注意書きがなされていることを踏まえ、本剤がスイッチOTCに適しているとは考えにくいとの御意見をいただいております。
 64ページを御覧ください。スイッチOTC化する際の留意事項、課題点としては、適正使用の遵守は極めて困難。複数規格を販売することは貼り間違えリスクにつながる可能性があるので、単一規格の販売が望ましいとの御意見をいただいてございます。事務局からの説明は、以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。日本呼吸器学会の見解について、間藤構成員から、補足等をお願いします。
○間藤構成員 発言の機会をありがとうございます。自治医科大学呼吸器内科の間藤と申します。よろしくお願いします。私も呼吸器学会の意見に近いところはあるのですけれども、この薬の幾つかいい点を挙げるとすれば、貼付剤であり、非常に簡単に使用できるということ。あとは、発売から30年たっていて、非常に大きい、重篤な副作用はなく今まで使えているということは、貼付剤の特徴ですけれども、立ち上がりは遅くて、血中濃度がピークになるまでに10時間ぐらいかかるので、逆に言えば、少し切れは悪いけれども、効いてくれば非常にいいということで、急性の副作用等は、逆に言うと起きにくいというところはあるかなと思います。あとは、昨今、COVID-19初め感冒、それからウイルス感染等に伴う長期的な咳嗽等での受診の方も増えていますので、そういう方にこういった薬剤が民間で使えるのは大きいのかなと思っているのですけれども、ただ一方で、呼吸器学会が述べておりますように、大きな懸念事項としては2つありまして、振戦、動悸、そういったような心臓に対する有害事象がありますので、その販売する時点で、そういった方をどのように除外できるかというようなところとかは、ちょっと大きな課題かなと思います。実際、救急とかのレポート、論文とかを見ましても、貼付によっての頻拍等での救急受診もあるようなので、そのあたりが1つやはり懸念かなと思っています。もう一つ大きな懸念としては、2つ目の懸念としましては、気管支喘息は、学会でも指針にありましたけれども、喘息は、今、軽症でも、吸入ステロイドというのが治療の一番の中心となる薬剤となっておりますので。こういう気管支拡張剤を使うと一時的には効いてしまう。ただ、それが長期になっていくと、逆に、喘息の増悪につながってくるというところもありますので、短期であればいいのですけれども、連用というのは、かえって病態を悪化させるというところがありますので、恐らく、これからいろいろ御意見あるかと思うのですけれども、いろいろな制限をつけての商品が必要になる薬剤なのかなと思っております。ひとまず以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。臨床内科医会から湯浅構成員、お願いします。
○湯浅構成員 ありがとうございます。効能・効果の喘鳴(ぜーぜー、ひゅー、ひゅー)という症状の中に、相当数、気管支喘息の患者さんが混ざっていることを懸念しております。気管支喘息の本態は、慢性的な気道の炎症です。発作を繰り返すと、気道の壁が厚くなっていき、これはリモデリングと呼ばれるものですが、状態が悪くなり重症化していくということになります。発作時には、気道の筋肉が収縮して気道が狭くなるために、息苦しさや、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)などの症状が出てきます。この気道の収縮を抑えて気道を広げる薬がβ2刺激薬で、ツロブテロール(貼付剤)もこの範疇にはいるお薬です。喘息の患者さんが発作を起こした場合に、吸入ステロイド薬(ICS)などの適切な治療を怠り、例えばβ2刺激薬を安易に繰り返すと、一時的に症状が収まっても、筋肉自体が線維化を起こして硬くなっていき、先ほどお話ししたリモデリングを起こす結果になります。そのような状態に陥ると、β2刺激薬等のお薬が効かなくなってしまうこともあります。ですから、喘息患者には、長期の管理や治療が必要になります。そして、その治療の柱になるのはICSになります。ICSの使用が、ガイドラインにも掲載されて、一般化してから、喘息死が激減しているという事実があります。繰り返しになりますが、喘息が疑われるあるいは、喘息様の症状がある患者さんに、ICSを使用せずに、β2刺激薬を単独で安易に使用することは非常に危険だということです。関西の有名な落語家が亡くなられましたが、喘息死ということです。ICSをきちんと使用されていたのか、分かりませんが、発作を繰り返されたいたようです。喘息は死につながる疾病であることを忘れてはいけないと思います。仮にこの薬をOTC化するとしても、効能・効果の中にある喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)という表現は、削除しなければならないと考えます。また、喘鳴は、感冒や気管支炎などでも起こることはもちろんありますが、肺炎や心不全など重篤な疾患でも起こることがあり、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)を効能・効果に記載すべきではないと思います。効能・効果については、喘鳴を削除すると「せき、たん」になります。確かに、その効能・効果では、効果は限定的になると思いますが、急性気管支炎のせき症状に使う、あるいは、ツロブテロールは、繊毛運動を賦活化し粘液絨毛クリアランスを促進し、去痰に対して有効であるというデータもあります。それから、夜間などで病院をどうしても受診できないときなどのために、OTC化するとしても、一時的な使用にとどめて、数枚の販売に限定するということ、あるいは、効果が見込めないときには、薬剤師から受診勧奨を徹底していただくことも必要であると思います。ただし、この薬は、効果持続時間は長いものの、効果発現まで4時間、薬の効果がピークに到達するまで10時間ぐらいかかりますので、夜間等せきが止まらない場合のレスキューになりえるかと言えば疑問です。最後になりますが、この貼付剤には、3つの規格0.5と1と2 mgがございます。スイッチOTC化をする場合に、これを3種とも出すのか、どうかも検討課題の一つになると考えます。小児に利用する場合などに、保護者が貼付量を勝手に調整することがあると聞いております。貼付剤は飲み薬とは違い、使用にあたり安易に考えられることが多いようです。そういう意味では1規格に絞るべきと思います。最後に、日本臨床内科医会としては、この薬を安易に使用できるような形でのOTC化に対しては、積極的に容認できないことを最後に申し添えておきます。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、日本小児科学会の見解について、岡田参考人からお願いします。
○岡田参考人 岡田から解説させていただきます。まず、このお薬、佐藤委員が先ほど、せき止めとお話をされていましたが、これをせき止めとして処方されていることがもともとの間違いだと。これは今し方、呼吸器の先生方が解説いただきましたけれども、空気の通り道が、平滑筋が狭窄することによって起きているのを、広げることでせきを止めるという、鎮咳薬とは本来違うものであると思っています。残念ながら、多くの医療機関で、このホクナリンテープがせき止めとして処方されてしまっているので、我々の問題でもありますけれども、市民、消費者の人たちにとっては、せき止めというふうに解釈されているだろうというのが、まず一番の私たちが懸念するところでございます。結局、先ほど臨床内科の先生がおっしゃったとおりで、これ、「せき止め」と書いてあるのですね。ひゅー、ひゅー、ぜーぜーがあるせきを治すのだと。ひゅー、ひゅー、ぜーぜーするのは、特に小児においては、ほかのものでも、器質性の空気の通り道が細くなっている先天性気管狭窄があると、そういったものでもぜーぜー、ひゅーひゅーは起こってしまいます。生まれてからすぐに空気の通り道がかなり細い場合は、もう最初の生まれたときから呼吸障害が出てくるわけですから、それは誰でも分かるのですけれども、残念ながら、そうではない子たちが多くて、部分的に狭窄している、部分的に細くなっている、気管支の一部が狭窄しているような子たちは、体調が悪くなると、ぜーぜー、ひゅーひゅーしてきます。それは専門医であっても、残念ながら、診断をつけるのに苦慮することが結構多い。この場合でもホクナリンテープを貼って、やっぱりよくなった、じゃ、これでいいんだとなってくると、結局、診断そのものがかなり遅れていくだろうということがあります。ちなみにですけれども、もともとは喘息としての病気の薬であって、成人または小児それぞれにおいて、気管支喘息管理ガイドラインというのがあります。小児のガイドラインが、昨年、新しく変わったのですけれども、このホクナリンテープの位置づけとしては、最重症の人に対して使う薬になっています。これを一般的に使うのかという、僕らはそういう位置づけにしているのですよということもあるわけですね。ですから、佐藤構成員が、かかりつけの先生が「どきどきしませんか」とおっしゃっておられたということですけれども、やはり心臓への影響はあるんだよねということを、我々医者は考えながら処方しているし、来たときには確認をしている。でも、残念だけど、そこまでの確認は、さあ、できますかという、薬局でどこまでそういうことができるでしょうかという話になってくると、ちょっと心配。最重症で使う薬剤が市販されるというところ、誰でもが手に入ってしまうというところで、それはちょっと心配だよねというところがあって、日本小児科学会は約40の分科会があるのですけれども、ほぼ全員が反対なんです。全員が反対するというのはなかなかないのです。それは、各委員が、このホクナリンテープの使われ方、もともとの使われ方にすごく懸念を持っていて、何らかの副作用を経験している人が多いからと思っています。だから、日本小児科学会としては、残念ながら、ちょっとOTCにすることが難しいのではないか。不思議なことに、効能・効果のところの対象疾患に、喘息が抜けているのですよね。ですから、喘息の人に使うのだったら、まあ、皆さんがおっしゃったとおり、一晩越すのに使いたい。本来せき止めではない薬をせき止めとして使うのですかという、そういうことになっていくかなと。小児科学会としては、その辺を懸念しております。
○笠貫座長 どうもありがとうございます。3学会かの医学的な見解をお聞きしましたが、宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 宮川です。この薬は、議論すべき議題ではないと考えます。申請者が、鎮咳去痰薬という位置づけでこの成分を出していること自体が間違いなのです。今、小児科の先生からお話があったように、これは気管支拡張薬です。その時点でもう間違えています。幾ら有用だ、急場しのぎで使える、と様々な方が主張したとしても、使用者を救えない事態を起こす様な医薬品のスイッチ化を承認してしまっては、社会的な責任問題です。ですから、子供たちを守るため、それから、いたずらにいろいろな病態を増悪させないためにも、ぜひとも、これは適切な考え方を持ってしかるべきだろうと思っております。これは、鎮咳去痰薬ではなく、気管支拡張薬であると薬理学的に位置づけは端的に決まっているという理解を共通認識としなければなりません。
○笠貫座長 どうぞ。
○堀構成員 ありがとうございます。今、岡田先生のお話を聞いて、私も保護者でしたので、私もせき止めで理解しておりました。ママ友、要するにお母様同士で、「これは非常に便利な薬であり、確かに即効性はないけれども、子供が夕方せきをし始めたら寝る前に貼付をすると、夜中、子供がちゃんと寝られるので、小児科で「このお薬をください」と言ったら、いいよ。」という会話は実際にありました。ですから、私もせき止めと思っておりましたし、そのように思っている保護者は多数いると思います。ですので、今こういう状況の中で、もし、OTC化された場合、そこの部分の誤った先入観を持っていらっしゃるお保護者が購入に走ってしまったときのことを考えると、今、宮川先生がおっしゃったように、効能が違うんだということをきちんと把握させない限りは、販売はちょっと難しいのではないかと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。お願いします。
○磯部構成員 いろいろ御意見ありがとうございます。OTC医薬品協会磯部です。今の岡田先生のお話を伺っていて、私は、医療用の世界で、医師のほうも間違った使い方をしているということであれば、そこはそこで医療界としてしっかり対応してもらいたいと僕は思います。ただ、そういうふうに専門の先生が薬理作用から言ってそうだと言っていても、臨床の現場の先生たちがそういう使い方をされて、患者さんたちもその理解の下に使い、適切に使われている。この薬は、日本国内ではもう26年間使われていて、メーカーのほうにも聞いたら、これまで累計で35億枚ぐらい使われているのですね。それなりの評価をされている。確かに、薬理作用的にはおかしいというのは、私も理解できるのですが、現実にそういう使い方が定着をして、先ほど呼吸器学会の先生からも、それなりに安全には使えているという状況にあり、確かに振戦や動悸だってあるのですが、それについても、私、再審査報告書を見たら、治験時には現実に心悸亢進が2.66%、それから、振戦が3.83%あるのですが、使用成績調査で見ますと、動悸という形で0.66%、それから、振戦で0.52%、実際には確かに見逃しているのではないかという御指摘はあると思うのですが、それほど大きな率になっていないというのが現実だと思います。その上で、私は、このせきという問題に関しまして、特に小児での医療上のニーズは非常に高いのではないかと私は思っております。特に、私もいろいろ医療提供体制の勉強もしてきて、小児の休日・夜間の体制をどう考えるのかということは、小児科学会の先生方、また、小児科医会の先生方も、大変重い問題として捉えられてやっておられると思うのですね。昨年の3月に出た医政局の通知の中でも、小児の医療の現状に関しまして、外来では、急性の上気道感染症、いわゆる呼吸器系の疾患が非常に多い。それから、小児の救急診療でも、軽症者が多いけれども、準夜勤帯がかなり多いと、つまり、18時から23時ぐらいまでの対応をどうするのかということで、小児の特に夜間の診療体制、特に準夜勤帯の体制は御苦労されていると思います。それで、私ももう少し調べたら、例えば川口市で出されているのですが、一言で言えば、簡単には来ないでくださいと。昼間仕事があるから、子供を連れてくるのはよくないですと、そういうようなことまで伝えて、実際に、小児の休日・夜間診療を使っていくのかということについて、自治体もそういう意味でのかなり注意喚起をして、本当に必要な人だけにしてほしいというようなことがあって、でも、現場のお母さん方、お父さん方は、苦しくて、何とかうちの子を心配だから診てもらいたい。だから、なるべく小児の専門の先生に診てもらいたい子はたくさんあると思うのですが、それに十分にアクセスができる状況になっているのかということもよく考えなければいけなくて、そういうときに、例えば使い方として、1回でも使われた方がいて、ある程度これで楽になるというような方には、これを、例えば準夜勤帯は、薬局やドラッグストアでは十分対応可能な時間帯でありますから、そういうところで、3日というと、さすがにメーカーのほうもちょっと供給の問題でいろいろ議論があるので、1週間分ぐらいを一つ目安に、短期使用は前提ですが、小児医療の提供体制を守るためにも、小児専門の手が届かない方々に、そういうような手を差し伸べることは、私は重要なことではないかと思います。また、御指摘もいろいろあることの結構重い副作用もあることについては、よくよく確認をして、適切な使用体制をつくっていかなければいけないのは私も同意いたしますが、そういうことを基に、苦しんで、夜間の診療を受けにくいような形になっている方々のために、こういう薬をOTCとして提供することはぜひ考えてもらいたいと私は思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。この議論は、かなり重要ですが時間に限りがありますので、できるだけ端的にお話をしていただきたいと思います。高野構成員と富永構成員、どうぞ。
○高野構成員 端的に言うと、使用経験、処方経験がある方に対してのみ販売ができるOTCというのが、セルフメディケーションに該当するのかというところに関して、実はこの議論を聞くたびにずっと思っていた部分なのですね。そのあたりは、事務局の方はどのようにお考えになっているのか、一度聞いてみたいなと思って、手を挙げさせていただきました。以上です。
○笠貫座長 事務局からお答えいただけますか。
○医薬局医薬品審査管理課長 どのような条件をつけて販売する側と、医薬品を提供する側でどういうふうにコントロールできるかということのセットの問題だと思っています。例えば、既に一度処方されたことを確認した上でという条件をつけるのは可能だと思います。ただし、繰り返しますが、実効性を持たせるためにどういう方法で行うかというのは、医薬品を患者に販売する側と、医薬品を販売店に供給する側でのいろいろな資材を含めて検討していただきたいと思います。
○高野構成員 ありがとうございました。
○笠貫座長 宮川構成員どうぞ。
○宮川構成員 磯部構成員が、大変窮しながら御発言されていたのだろうと思います。はっきり言いますと、休日夜間救急体制全般に話を置き換えているのは詭弁だろうと思います。一部がこういう気管支の問題であるのを全部のような形でおっしゃるのは、大変問題です。小児科の先生たちが通常診療時に御苦労されて、例えば慢性の患者の方であれば、事前にこういう対策を、ということをしっかり患者家族に教えていらっしゃるので、夜間の体制の全般的な救急体制のことをこの薬に当てはめるということは、詭弁だろうと私は思っております。大変危険な考え方であろうという小児科の先生の御意見があると思います。
○岡田参考人 岡田でございます。ホクナリンテープ、実はジェネリックによって血中濃度の上がり方が変わっているのが論文として幾つか出ておりますが、磯部先生がおっしゃったとおりで、夜間救急のことを考えるのであれば、実は、血中濃度の上がりが悪いホクナリンテープを貼ってもよくならないのですね。ですから、逆によくないものを販売するということになりますし、先生に伺いたいのは、薬効がもともと違う。効いているということがあるから、それでいいのだというふうには、残念ながら私たちとしてはならないのではないか。心臓に影響があることがある程度分かっている薬を、本当はせき止めでもないのに、せき止めとして発売するというところには、さすがに抵抗があるというところです。先生、申し訳ありません。
○笠貫座長 富永先生、お願いします。
○富永構成員 議論の途中でちょっと手を下げてしまったのですけれども、実際、現場の話をすると、小児科・耳鼻科の処方箋には、このツロブテロールがよく出ていて、β2刺激薬として自分たちは認識しているのですが、長年、子供さんの症状改善の経験から、お母さんたちのニーズが多いのですよね。もちろん、これは経験した方なのですけれども、リクエストが多くて、ぜひ出してくださいという話を薬局でされると。もちろん、薬局では勝手に出しませんが、小児にフィードバックが出ると、やはり出していただくと。服薬が苦手な子供たちとか、眠ったまま貼れることとか、使い勝手がいいようで。あとは、夜苦しんでいる子供に、眠ったまま何とか症状を止めるのがいいのかというところですけれども、一時的な使用にとどめて、次は受診をしていただくという形でできればなと。患者に寄り添う気持ちで言うと、そういうところです。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。磯部構成員、お願いします。
○磯部構成員 宮川先生から大変厳しい御指摘をいただきまして、ありがとうございました。私の説明がちょっと足らなかったかと思います。本当にせきが苦しくて、顔が青くなって重いのは、実は小児科学会の子供の救急のホームページも拝見いたしました。それで、OTCはOTCであるので、当然限界があると思います。本当にやばいケースについては、救急車も含めて考えなければいけない。ただ、元気は元気だけれども、ちょっとせきが出て寝苦しいだろうなというところの夕方のそういう方々でも、例えばこういうもので、平日の診療時間が閉まったら、夜間の診療に行くところを、少しでも、そこで朝まで何とかしのげるというものは意味があるのではないか。今の小児科学会の中では、発作用にもらっているものがあったら、それを貼って、とりあえず様子見たらと。ただ、次の日受診だよと書いてあります。ですから、OTCであることは現実なので、当然、本当に苦しい、青くなっているようなものは対象にはならないのですが、そうまでいかないようなレベルでこういう選択肢があることは、私は、例えば川口市がおっしゃっているようなことの意味合いにもつながるのではないかと思いますし、また、小児のかかりつけの患者さんの声が中医協の中でも報告が出ておりますが、例えば夜間や休日であっても、体調が悪くなった場合に連絡できるのは、小児のかかりつけ医に求めるニーズとしてあります。それは先生も百も御存知だと思いますが、逆に言うと、そういう声があるのは、そういったことが必ずしもうまくいけてないところもあると。そこのアンメットニーズですね。小児科医がたくさん増えて、当然、一番プロフェッショナルにみんな診てもらいたいのですが、なかなかそこが難しい中で、どういうその踊り場をうまくつくっていって、小児科医の疲弊も守り、現場のそういったニーズもある程度確保してマッチングさせていくのかということは、それはそれで考えていかなければいけない話だと思うので、そういう意味で、こういうもののニーズで、それを安全に、せき止めではないということはしっかり言わなければといけないと思います。気管支拡張薬だと。ですから、急性の気管支炎で少しおかしいときに、重いときには当然救急で行かないといけないけれども、そうでもないようなケースだけど、子供が少し寝苦しいかもなというときに、少し使っていくということのニーズは十分あるのではないかと私は思います。すみません、いろいろ盾突いて、大変申し訳ないと思いますが、この辺は、私もいろいろ勉強してきて、強く思いましたので、申し上げました。以上です。
○笠貫座長 高野構成員もよろしいですか。
○高野構成員 大丈夫です。
○笠貫座長 この議論は大事なことで、この検討会議の中で共通認識を持てたらと思いました。私も、医学的には、薬剤特性と対象疾患の観点から考えればこれまでの議論では、OTC化が難しいということは、皆さん共通でした。しかし、実際、夜間、小児の救急の話が出ましたが、それにどうするかという問題を提起されて、そこにOTCがどういう意味を持つのかということです。これは、緊急避妊薬の議論と同じだろうと思います。そういう意味で、将来的にこの薬の使い方は、かかりつけ医とかかりつけ薬局との連携の話になるかとも思いました。いろいろ議論されたことも受け止め、座長として、まとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○笠貫座長 ありがとうございました。
 それでは、事務局でまとめていただいて、構成員の先生方にお回ししてまとめたいと思います。この検討会議は非常に多くの人たち、各ステークホルダーのリテラシーを高めるという意味を持っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。スイッチOTC医薬品の候補となる成分の検討状況について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。ただいま、予定時刻を既に超えておりますので、ごく簡単にご紹介をさせていただきます。
 65ページ、資料6-1を御覧ください。令和5年度に要望があった成分の一覧をお示ししてございます。令和5年度ですけれども、計25成分の要望を受け付けておりまして、本日、議論させていただきました4成分のほか10成分は、再審査期間中または再審査結果が公表されていない状況ということで、今後、残りの11成分についての議論をしていくということになります。
 続いて、70ページを御覧ください。令和6年度、4月1日から6月30日までに要望があった成分の一覧でございます。
 続いて、71ページ、資料6-2を御覧ください。令和5年度に要望を受け付けたアドレナリン及びオマリズマブの検討の進め方について、御意見をいただきたいと考えてございます。まず、アドレナリンに対応する医療用医薬品はエピペンですけれども、こちらはアナフィラキシー反応に対する補助治療に用いられる医薬品となってございます。次に、オマリズマブに対応する医療用医薬品はゾレア皮下注シリンジ及び同ペンで、既存治療で効果不十分な重症または最重症患者の季節性アレルギー性鼻炎等の治療に用いられる医薬品となってございます。こちらはいずれも注射剤となってございます。
 続いて、71ページを御覧ください。剤形に関する規制について御紹介させていただきます。告示におきまして、注射剤は処方箋医薬品に指定されております。また、「医薬品の承認申請について」の通知におきまして、医師、歯科医師が自ら使用し、または、医師、歯科医師の指導・監督下で使用することが適当な医薬品は、原則として医療用医薬品として取り扱うものとされてございます。現在の規制状況及びOTCは一般の人が自らの判断で使用できるよう、一般の方が使いやすい剤形である必要があることに鑑みると、今説明申し上げた2成分の注射剤については、この場で要望があったことを御紹介することをもって、ニーズを把握するのみにとどめ、スイッチOTC化に係る具体的な議論はしないとさせていただきたいと考えてございます。この方針について、御意見をいただければと思っております。なお、資料中には記載はございませんけれども、昨年12月に開催されました第26回のこの検討会議においても、令和3年度受付成分である「テリパラチド」という成分があるのですけれども、そちらについても注射剤でしたので、同様の観点から、今回と同旨の御議論をいただいていることを簡単に御紹介させていただきます。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ただいまの事務局の御説明に御質問等がございませんか。それでは、アドレナリン及びオマリズマブについて、検討会議としては、スイッチOTC化に関する検討は行わないことにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○磯部構成員 その点はいいのですが、全体の話でちょっとコメントしたいと思います。
○笠貫座長 どうぞ。
○磯部構成員 全体の話でコメントをしたいので、後ほどでも構わないのですが、よろしいですか。
○笠貫座長 本成分については、検討を行わないということで、御了解をいただいたということにいたします。磯部委員どうぞ。
○磯部構成員 ありがとうございます。議題と言えば議題なのですが、注射薬の取り扱いは、前回申し上げたように、今後は、いつかは検討できるようなときには、その余地は残してほしいということは申し上げたとおりですが、その前のところにたくさん要望が挙がっております。最近、多分、個人の方ではないかなと思われる方からたくさん要望が出ています。先ほどのホクナリンテープもそうですし、そのほかのアダパレンとかもいろいろそうだったのですが、医療用医薬品と同じ使い方をする前提なのかということは議論があるところで、医療用医薬品がある程度長期に使うような効能もあるけれども、OTCなら短期の使用をしなければいけないとか、どういう患者層で使わなければいけないとか、いろいろなことを考えながら、実は、この検討会議でも検討をしなければいけないのだろうと思います。この検討会議は、医療用医薬品の中でスイッチOTC化できるものを見極めて、スイッチOTC化を進めていくためにこの検討会議があるのだろうと理解をしておりますが、そうしますと、今申し上げた、要望者の方が実際にどういう意図で、どういう使い方を、つまり、どういう患者層、それから、OTC化としてなじむような、つまり、先ほどからいろいろお話もありましたが、この薬の中で、OTC化になじむ部分とはどこなのかと。効能・効果とか、使用方法とか、それから、適正使用の確保ができるのかということも要望者の方からでないと、この検討会議ではあれこれいろいろ考え過ぎてしまって、一体何を議論したらいいのかということにもなってしまうと思います。そうしますと、特に個人の方のいろいろ要望が多いのではないかと思うのですが、一定の期間内に開発希望を持つ製造販売事業者の方が、事務局の方に申し出て、今みたいなことを、こんなふうに考えて提供していきたい、だから、それを前提に、ここの場で議論をしてほしいということをやったほうが、先生方のストレスも少なく、何を議論しなければいけないのかということが分かると思いますので、この場で、さらにスイッチ化の議論について、有益な議論ができるのではないかと思いますので、そういった方策を事務局でも少し御検討いただいて、たくさん出てきていますので、うまく整理して、議論がうまくできるような形でお願いできればありがたいなと思いまして、発言させていただきました。以上です。
○医薬局医薬品審査管理課長 ありがとうございます。事務局といたしましては、御提案のとおり、少し絞った形にしていかないと、時間がかかりますので、それについての対応を少し考えさせていただきたいと思います。また次回御説明申し上げたいと思います。
○笠貫座長 宗林先生、お願いします。
○宗林構成員 すみません、一言だけ。事前レクのときから少し気になっていたのですが、アドレナリンが1点ですけれども、学校の給食などで、食物アレルギーで急にアナフィラキシーを起こした場合の対応ということで、文科省はそれなりのことを何か対応しているようにという通知は出ていたような気がするのですが、その場合も処方箋薬ということで、医者からということだったのでしょうか。仕組みとしては、これは常備しておかなくてはいけないというものだと思うのですが、これを質問してあったのですが、いかがでしょうか。
○岡田参考人 小児アレルギー学会の薬務委員をしております岡田といいます。おっしゃるとおりで、全て処方薬として処方しております。もちろん、個人に対して処方しておりますので、ほかの人に対して使わないようにという指導も同時にしているというところが現状でございます。
○宗林構成員 そうしますと、個々人のアレルギーの子がランドセルに入れてくることはあっても、学校に常備しているという体制はないということですか。
○岡田参考人 それは、学校または地区によってです。私が住んでいるところは、私がほぼほぼ学校保健を行っていますので、学校内にも常備するということで、何本か処方しています。ですから、地域によって変わっていると思っています。
○宗林構成員 その場合の処方箋の出し方はあるのですね。ごめんなさい、こんなところで聞かなくてもいいのですけれども。
○岡田参考人 そのとおりですね。
○宗林構成員 生命に関わることで、よくアレルギーショック、それから、窒息のときとか、いろいろなときに、学校はこの訓練もしているぐらいなので。
○医薬局医薬品審査管理課長 これについては、また後ほど、詳細な説明をさせていただきますけれども、いずれにせよ、これは処方箋医薬品として供給されているということは事実でございます。
○宗林構成員 分かりました。ほかにもちょっと、先ほどのやつのも気になるところがありましたけれども、今日はやめておきます。以上です。
○笠貫座長 富永先生、どうぞ。
○富永構成員 すみません、時間がないのに。自分は薬剤師部会の部会長ですけれども、エピペンについては、学校で置くようにということを言っておりまして、その期限が1年しかないので、もし、OTC化できたら、その場合に限って補充できるような体制があればいいかなと思うところです。それを最後の意見として、ちょっと残してください。すみません。
○笠貫座長 それでは、議題「その他」として配布しています。資料について、簡単に御説明いただけますか。
○事務局 すみません。最後、追加で2つほど御説明をさせていただきます。1つ目の緊急避妊薬の調査事業に関してでございます。
 74ページ、資料7を御覧いただければと思います。当検討会議で御検討いただいておりました「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」ですけれども、本5月に昨年度の報告書を公表しておりますので、その概要を御報告させていただきます。
 75ページを御覧ください。こちら、概要紙になっておりますけれども、試験販売は、右上に記載の4つの要件があるのですけれども、こちらを満たす全国145の薬局で実施されてございます。研究内容としては、本研究事業への参加者、協力薬局及び連携産婦人科医に緊急避妊薬の適正販売に係るアンケートを実施し、その結果を解析したものとなってございます。結果ですけれども、2023年11月の末から2024年1月末の2か月間の販売実績、こちらは2,181件でございました。都道府県によりばらつきはございますけれども、東京都及び神奈川県では200件超の販売があったということでございます。
 調査研究における購入者への満足度調査も行っているのですけれども、薬剤師の対応とか説明の分かりやすさ、プライバシーへの配慮への満足度は高い一方で、支払った費用の満足度は低い傾向がございました。ただし、この傾向は、参照としている医師の処方を受けた者でも同様に見られているものでございます。なお、購入から3~5週間後に実施をした2回目の購入者への事後アンケートでは、約8割の方が医師の診察を受けずに、薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したいと回答しているため、本調査研究はおおむね問題なく遂行されていると判断をしてございます。ただし、協力薬局に対するアンケート調査では、「販売可否に係るチェックリスト」における妊娠の可能性に関する項目を改善すべきという御意見が約半数で見られてございますので、そこは改善点であると考えてございます。
 具体的なデータについては、76ページから80ページに載せておりますので、適宜、御参照ください。また、報告書全文につきましては、厚生労働省のホームページに掲載してございますので、そちらを御確認いただければ幸いでございます。
 81ページ御覧ください。令和5年度の調査事業においては、販売数量が限定され有効な分析が難しい一部地域があること、また、販売プロトコールを適正化する必要があること等を踏まえ、引き続き、令和6年度についても、本調査事業を継続することとしております。また、令和6年度の調査結果についても、当検討会議に御報告をさせていただく予定です。事務局の説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。続けてお願いします。
○事務局 続けて、最後の資料ですけれども、今年、閣議決定をされています文書に、スイッチOTC化に関する記載がございますので、こちらについては、一つ一つ読み上げることはないのですけれども、資料を御確認いただければ、ありがたいところでございます。特に、規制改革実施計画のほうで、かなり細かく規定をされているものでございます。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ただいまの御説明について、御意見・御質問ございましたらお願いします。よろしいでしょうか。
 私は、緊急避妊薬の研究事業も2,000件を超え、非常に順調に進んでいるということは、高い評価をすべきだと思います。この調査に当たりましては、現在、緊急避妊薬を求める苦しんでいる人たちがたくさんいるということは事実ですので、令和6年度もこれを続けるということですが、できるだけ早く、この調査事業の成果をまとめていただきたいと思っています。
 それでは、先ほどの閣議決定のお話もございましたが、特に御意見がないようでしたら、私からの一つの提案があります。この検討会議は、最初は採否を決める、全員合意を目指し皆さん全てに御意見をいただきながら議論を進めてきました。その後、採否を決めないということになり、課題抽出と対応策について議論することになりました。その中でも、今日の議論のように、OTCにとどまらず、医師・医療側、薬剤師・薬局、企業、そして、国・行政を含めてどのような形で、医薬品を国民へ提供できるのかについて課題がたくさん出されており、私はこの検討会議は新たな意義を持ってきているではないかと思います。一方で、規制改革実施計画において、この検討会議の検討をさらに加速するようにという宿題も受けていると理解しております。検討会議は、可否を決めるという役割を担っていたために、パブリックコメント後に、もう一度検討会議を開く形で採否を決めていたという経緯がございます。この在り方についても、この検討会議としての新たな使命と意義づけを考えたときに、パブリックコメント後の検討会議については、在り方を見直してもよいのではないかと思っております。そういう意味で、事務局において、加速化という意味と、本検討会議の意義を含めて、在り方について検討いただいて、次回にどのような進め方がよいのかを提案し、皆さんで議論をさせていただきたいと思います。この件についてはいかがでしょうか。
○宮川構成員 適切な議論ができれば、よろしいかなと思っております。
○笠貫座長 閣議決定の要望にも応えながら、より良い議論ができるようにしていただけたらと思っています。それでは、長時間にわたりまして御議論いただきましたことを、心から感謝申し上げます。
○事務局 本日は御議論いただき、ありがとうございました。次回の検討会議ですけれども、詳細が決まり次第、また改めて御連絡をさしあげたいと思います。御多用のところ恐縮でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは、以上でございます。
○笠貫座長 それでは、これで第28回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を終了とさせていただきます。ありがとうございました。
( 了 )

照会先

厚生労働省 医薬局 医薬品審査管理課

03-5253-1111(内線 2737、4225)