出版社内容情報
おもてなしに欠かせないニセモノから人魚のミイラまで。多彩なニセモノが文化史の深層を語る。ニセモノ図版多数!
西谷 大[ニシタニ マサル]
国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学教授。専門は考古学。展示代表を務めた企画展示「大ニセモノ博覧会―贋造と模倣の文化史―」(2015年)は、ニセモノがもつ多様な意味を描き出す展示で話題となる。
内容説明
贋金、偽文書に書画骨董の贋作、人魚のミイラまでニセモノから見えてくる日本の文化―貴方の知らないニセモノの世界!!
目次
第1章 ニセモノとおもてなし(宴会風景の再現;おもてなしで活躍するニセモノ ほか)
第2章 なぜ偽文書は作られたのか?(偽文書の需要と供給;文書を偽造しても欲した、“由緒” ほか)
第3章 パクリかパロディか(コピー商品は時代を超えて;ものつくりを支えた中世の生産革命 ほか)
第4章 ニセモノを創造する(創造されたニセモノ人魚;平田篤胤、人魚を食す ほか)
第5章 ニセモノから学ぶ(博物館のレプリカから見える世界;小判製作工程の復元 ほか)
著者等紹介
西谷大[ニシタニマサル]
国立歴史民俗博物館教授。東アジア人類史。1959年京都府生まれ。1985年熊本大学文学研究科修士課程修了(考古学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
90
人魚のミイラや鬼の骨、なんかいいよね夢がある。2017/01/02
へくとぱすかる
80
ひょっとしたらニセモノの方が、本物より奥が深いかもしれない。だます目的で作った物もあれば、本物が入手不可なら、せめてコピーでも、というのもあるし、博物館の展示用レプリカなど、製作自体が研究であり、本物の劣化を防ぐ効用もあるわけです。日本は「ニセモノ」に寛容な国だという論もあります。骨董品の本物はもともと数が少ないものだと、心得るべきなのでしょう。2019/07/28
あじ
48
“ニセモノ”より“ホンモノ”を良しとする現代。お宝を鑑定する番組を視聴していると、かなりの割合で“ニセモノ”を噛まされ(?!)落胆するゲストが多い。なぜに贋作が作られるのか?意外にも正当な動機が存在している事を学んだ。勿論、端から騙すつもりで発掘ビデオを製作し、信用を得ようとする業者も居るには居る。ニセモノ需要があるという事実を、時代と社会的背景を考慮しつつ寛容な態度を持って向き合える本だった。掛け軸、安南陶器、人魚などを取り上げる。★3/52016/12/15
むぎじる
44
素晴らしい作品が出ることによって、ニセモノはどんどん作られていくことがわかる。レプリカのような、本物の消耗を防ぐために作られるものもあったり、勉強のための模倣として作られたり、商売目的でコピ-されたり、種類はさまざま。そして、世の中の骨董品の八割はニセモノだという説もあるようで、よほどの目利きでなければ判断することは難しいのだろう。とても興味深かったのは、“存在しないものを作り上げること”。ファンタジーだ!人魚のミイラの作り方は、笑ってしまうほど手が込んでいる。2017/02/05
G-dark
43
ニセモノにまつわる様々なエピソードを通して芸術史を学べるというユニークな作りの本です。どこまでが模倣? どこからがニセモノ? 本物って何? パロディとの違いは? 復元・修復されたものは本物? 非常にレベルの高いニセモノはニセモノと言える? などなど、ああでもないこうでもないと読者を唸らせてくれます。日本画、書画、古文書、茶碗といった様々な作品の写真も数多く載っており、読者を飽きさせない工夫が文章からも感じ取れるので、幅広い年代の方におすすめ。2020/08/19