1)米国の文献に“青を好む者は内向型である”とあるが色彩象徴との関係はどうであろうか.そこで外向型,内向型,精神分裂病との相関々係の有無を検討したい.
2)調査対象:中学,高校,大学の女子390名,夜間洋裁校,女事務員,主婦の50名,17~40才の精神分裂病入院女患者25名,計465名.
3)調査方法:快感情,不快感情各5種を選び,それらを何色で表現したらよいか連想させた.但し色彩カードは全く用いなかつた.
4)成績:(a)外向型と内向型との間は有意の差の認め難いもの3,差の認められるもの0である.(b)外向型と精神分裂病との間は有意の差の認め難いもの0,差の認められるもの3である.(c)内向型と精神分裂病との間は有意の差の認め難いもの1,差の認められるもの2である.
5)考察:外向型と内向型間=Jung, C.Gが気質を外向と内向に分類したが,実際には超内向と超外向との間は一延長線上に連続的に竝ぶので分類は人為的となり,理論的な境界線を各類型の間に引くことは困難である.更に各個人をみても外向型と内向型を併存しており,それが時,所,相手により内向型,外向型になるように気質ほ複雑である.それで気質を外向的傾向,内向的傾向というのが妥当と思われる.かように考察すれば両者間に色彩象徴が殆ど同傾向を示したのは自然と思われる.米国で内向型の者が青を好むというが,それが事実とすれば民族性の相違かもしれない.外向型と精神分裂病間=MentaI Energyが外界に向う傾向及び躁うつ病的躁状態の外向的傾向と,内閉性の精神分裂病とは相反するように思われる.本調査でも3:0と有意の差は認められる.内向型と精神分裂病との間,さらに詳しく云えばMental Energyが内面に向う傾向及び躁うつ病的うつ状態の内向的傾向と精神分裂病との間には類似がある様にと思われる.本調査でも2:1と有意の差のないことが認められる.
以上の結果,淡路・岡部式向性検査法はPersonalityの一因子をしる上には50問であるから,被験者に疲労と倦怠を感じさせない点はように思われる.
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