■参加者
・齊藤陽介 スクウェア・エニックス エグゼクティブ・プロデューサー
本作のプロデューサー。久々にプロデューサーとして現場の指揮を執る。過去には『ユーラシアエクスプレス殺人事件』『トゥームレイダー3日本語版』『アストロノーカ』『クロスゲート』など。スクウェア・エニックスのiモードの立ち上げにも携わる。
・横尾太郎 キャビア
ディレクターとして"横尾ワールド"を今回も展開。過去には『ドラッグ オン ドラグーン』など。キャビア以前には、SCE、ナムコなどに在籍。
・古林雅俊 キャビア
作品の進行管理などを担当。過去には『ドラッグ オン ドラグーン』『バレットウィッチ』など。
・片山武史 キャビア
リードプログラマとして制作の中心で活躍。『ドラッグ オン ドラグーン』に関わった一人。
・北村元 キャビア
プログラマでCRIのミドルウェアの組み込みなどを担当。過去には『バレットウィッチ』『鬼武者2』『ポケモンコロシアム』などを開発。
・西村隆文 キャビア
サウンド関連のディレクションなど全般を担当。過去作品としては『頭文字D』(PS3)『ウインバック2』『ビートダウン』などを開発。
―――まずゲームの概要を教えていただけますか?
ニーアのキャラクター「実験兵器7号」のお面をかぶって登場の横尾氏 |
―――『ドラッグ オン ドラグーン』でのタッグが再びとなりました。スクウェア・エニックスとキャビアがもう一度タッグを組んだ経緯を聞かせてください
齊藤氏 |
スクウェア・エニックスには『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』という、ターン式の確立されたRPGがあるので、それとは異なるアクション性の強いもの、それでいて『キングダムハーツ』とは年齢層がかぶらないゲームが出来ないかと考えていました。
そうした中で、たまたま選んだのが横尾さんの書いた『ニーア』というゲームだったんです。もちろんそのままゲームになったわけではありませんが、スクウェア・エニックスの「弾」として持っておくべきと感じたものが、企画初期の段階からプロトタイプ、そして最終製品まで、テーマやコンセプトの面でブレることなく仕上げる事が出来たと思います。
―――横尾さんの企画書で特に惹かれた部分はどんなところだったのですか?
齊藤: 色々な遊びが詰まっているところでしょうか。最近流行りのゲームを批判するわけではありませんが、「見ているだけ」のゲームが多くなっている気がしています。横尾さんの企画書には、ゲーム本来の面白さである、プレイヤーのアクションに対してインタラクティブに反応が返ってくるという面白さを追求しつつ、固定概念に囚われないゲームデザインというものを感じたんです。世界が3Dから2Dになってみたり、古今東西のゲームの面白さをオマージュした要素が入っていたり、いわゆる横尾ワールド的なハチャメチャな面白さも最初の段階から見えました。
横尾: 変なゲームを作りたかったんですよ(笑)。仕事柄、最近のゲームって、1面を遊ぶと大体最後まで流れが想像できてしまう。そうじゃない、どんでん返しの連続みたいなゲームを作りたいなと。でも大変でした(笑)。先ほどの3Dと2Dの切り替わるカメラなんかも、実はかなり複雑な仕組みになっています。他にも驚きの仕掛けを盛り込んでいます。齊藤さんにもギリギリまで内緒にしておいたくらいです(笑)。
齊藤: 怖かったので、会社にはマスターアップしてから伝えましたよ(笑)。
横尾: 昔のゲームってもっと無茶苦茶だったと思うんです。何が起こるか分からないし、買ってみたら本当に心の底からクソゲーだったこともあります(笑)。そうした開拓時代を経て、今は規模も大きくなって、やらないといけないことや、できないことも増えてきました。でも、それでも原点に戻って色々と無茶な事をやらせてもらった作品でしたね。
■「レプリカント」と「ゲシュタルト」という2本立て