欧米が新型コロナウイルスのワクチンの「買い占め」で批判される中、新興国や途上国に自国製ワクチンを積極的に提供してきたのが中国だ。しかし、最近は接種後でも感染・死亡する人が少なくないとして、効果を疑問視する声も広がっている。中国は「効果はある」と反発している。
新型コロナの感染が爆発的に増えているインドネシア。接種を完了した医療従事者の間にも感染が蔓延(まんえん)しているとして、中国のシノバック製ワクチンへの不信感が高まっている。
現地の医師会などによると、今年、感染して亡くなった医師295人の4分の1がワクチンを接種済み。7月1日時点で政府が調達したワクチンは約1億1972万回分で、うち9割がシノバック製だった。
まだ1回以上接種した人は人口の16%にとどまるとはいえ、6月以降に感染が急拡大。インドで見つかった変異株(デルタ株)の広がりもあり、1日の感染者数が7月15日に約5万6千人と過去最多を更新するなどブラジルやインドを上回る世界最悪の水準が続いていることも、効果への疑問を強める一因になっている。
政府は半ば強制的に接種を急いでいる。案内が届いても接種しないと罰金の対象になる可能性もあるが、自分で種類が選べないこともあり、シノバック製への不信感から、ためらう人も少なくない。
ジャカルタの40代女性は6月下旬に接種を受けたが、直前まで「受けても亡くなる人がいる。副反応も怖いので、それなら受けないほうがいい」と悩んだ。当日、会場で英アストラゼネカ製だと知り、「祈りが通じたと思った」と喜んだ。ただ、7月は毎日のように知人の訃報(ふほう)が届いた。シノバック製の接種を受けた人もいるとみられる。身近でも40~50代の親戚や知人が8人が死亡したという。
「ないよりまし」3回目に米国製ワクチンを打つ動きも
このため政府は7月16日…
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