WO2011145459A1

WO2011145459A1 - 試験片延伸装置及び試験片延伸方法

Info

Publication number: WO2011145459A1
Application number: PCT/JP2011/060590
Authority: WO
Inventors: 佐野　孝義
Original assignee: 東芝機械株式会社
Priority date: 2010-05-19
Filing date: 2011-05-06
Publication date: 2011-11-24
Also published as: DE112011101680T5; KR20130079444A; CN102893139B; CN102893139A; TWI510353B; JP5587668B2; KR101764946B1; JP2011240621A; TW201202005A

Abstract

　本発明は、フィルムやシートの試験片を延伸させる試験片延伸装置及び試験片延伸方法に関する。　試験片延伸装置は、互いの間隔が一端側よりも他端側において広くなるような軌道に配置された第１レール及び第２レールと、前記第１レールに沿って走行する複数の第１クリップの一群と、前記第２レールに沿って走行する複数の第２クリップの一群と、を備える。前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、互いに対向するように配置されて、試験片を把持するようになっている。前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、試験片を把持した状態で、それぞれ前記第１レールと前記第２レールとを一端側から他端側に向けて走行可能となっており、当該走行によって試験片が幅方向に延伸するようになっている。

Description

試験片延伸装置及び試験片延伸方法

　本発明は、フィルムやシートの試験片を延伸させる試験片延伸装置及び試験片延伸方法に関する。特には、本発明は、原反シートの試験片または原反フィルムの試験片をクリップで把持して延伸させる試験片延伸装置及び試験片延伸方法に関する。

　従来より、包装用や基材用のフィルムを連続して生産する装置として、二軸延伸フィルム製造装置が知られている。二軸延伸フィルム製造装置の延伸工程では、フィルムの原料や用途に応じて、種々の形式の延伸機が採用されている。

　特開平１０－２４９９３４号公報（特許文献１）には、原反シートを縦延伸機で流れ方向に延伸し、その後、レールとスプロケットとで形成される一対の無端状の軌道を、チェーンを介して一連かつ無端状に連結された複数個のクリップが連続して走行する装置を用いて、原反シートを幅方向に延伸することが開示されている。

　特開２００８－４４３３９号公報（特許文献２）には、レールとスプロケットで形成される一対の無端状の軌道を、リンク部材を介して一連かつ無端状に連結された複数個のクリップが連続して走行する装置を用いて、シート乃至フィルムを幅方向に延伸することが開示されている。さらに、リンク部材の開閉によって隣り合うクリップの間隔を変化させることで、シート乃至フィルムを流れ方向（走行方向）にも延伸することが開示されている（リンク式同時二軸延伸機）。

　特開２００４－１２２６４０号公報（特許文献３）には、等長リンク装置を備えた延伸機のレールの屈曲部において、掴み装置の掴みピッチに変化が生じることが開示されている。

　特開２００２－１０３４４５号公報（特許文献４）には、レールで形成される一対の無端状の軌道を、リニアモータで駆動される複数個のクリップが連続して走行することにより、フィルムを幅方向に延伸することが開示されている。さらに、隣り合うクリップの間隔を変化させることで、フィルムを流れ方向（走行方向）にも延伸することが開示されている（リニア式同時二軸延伸機）。

　さらに、光学フィルム等の機能性フィルムの製造に対応するため、様々な延伸方法および延伸機が開発されている。

　特開平２－１１３９２０号公報（特許文献５）には、レールで形成される一対の無端状の軌道に対し、一方の軌道と他方の軌道との距離を変えることで、フィルムまたはシートを斜めに延伸する方法が開示されている。

　特開２００８－２３７７５号公報（特許文献６）には、レールとスプロケットとで形成される一対の無端状の軌道に対し、一方の軌道を走行するクリップと他方の軌道を走行するクリップとの間でピッチ拡大を開始する位置に差を与えることで、シート・フィルムを斜めに延伸する装置および方法が開示されている。

　そして、前述したような種々の延伸機および延伸方法を採用した二軸延伸フィルム製造装置を用いてフィルムを連続生産する際には、所望の物性を有したフィルムが生産されることを事前確認するために、原反シートの試験片または原反フィルムの試験片を試験片延伸装置によって延伸し、延伸後の試験片（フィルムサンプル）に対して物性評価が行われる。

　特開２００９－２５８５７１号公報（特許文献７）には、引っ張り試験機で延伸前のフィルム片を一軸方向に引っ張って延伸サンプルを得ることが開示されている。

　特開昭６１－１１２６２８号公報（特許文献８）には、シート状試料をパンタグラフ機構を構成するリンクを用いて二軸に延伸する二軸延伸試験機が開示されている。

　特開２００４－１４８６９４号公報（特許文献９）には、リンク装置と、縦延伸手段と、横延伸手段と、を具備し、縦延伸手段と横延伸手段とによる変化時間を制御する制御手段を更に具備したシート状物の延伸用試験装置が開示されている。

　しかしながら、特許文献７～９に開示された延伸試験装置によって延伸されたフィルムサンプルの物性評価に基いて、特許文献１～６に開示された延伸機および延伸方法を採用した二軸延伸フィルム製造装置でフィルムを連続生産する場合、延伸試験装置と各延伸機との構造の相違や延伸時の挙動の相違により、フィルムサンプルと同等の物性を有するフィルムが得られない場合がある。

　また、特許文献７に開示された引っ張り試験機および特許文献８に開示された二軸延伸試験機では、原反シートの試験片または原反フィルムの試験片が静止した状態で延伸されるので、二軸延伸フィルム製造装置の延伸機による連続生産状態と同等の条件での延伸試験とは言い難い。

　また、特許文献９に開示された延伸用試験装置は、リンク装置の等長リンクが開き、末広がり状に配置された一対のレールの一端部から他端部に向かって掴み装置が延びることにより、二軸延伸フィルム製造装置の延伸機による連続生産状態と同等の条件での延伸試験を実現しようとするものである。しかしながら、この延伸用試験装置では、先端の掴み装置のみが他端部に到達し、それに把持されたシート状物の先端のみが延伸完了となる。そして、シート状物の先端は、切断端であるから、連続フィルムの特性に対しては相違が存在し得る。すなわち、特許文献９に開示された延伸用試験装置でも、二軸延伸フィルム製造装置の延伸機でのフィルムの連続生産状態と同等の条件での延伸試験とは言い難い。

　特に、延伸機のレールの屈曲部では、特許文献３で開示されているように、隣り合うクリップとの間隔に変化が生じるが、特許文献９に開示された延伸用試験装置では、この屈曲部における挙動が考慮されていない。さらに、特許文献５および特許文献６に開示されたフィルムまたはシートを斜めに延伸する方法については、対応する延伸試験を実施できない。

発明の要旨

　本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、二軸延伸フィルム製造装置の延伸機によるフィルムの連続生産状態と同等の条件での延伸試験を行って、延伸機によって連続生産されるフィルムと同等の特性を示すフィルムサンプルを得ることができるような、試験片延伸装置および試験片延伸方法を提供することにある。

　本発明は、互いの間隔が一端側よりも他端側において広くなるような軌道に配置された第１レール及び第２レールと、前記第１レールに沿って走行する複数の第１クリップの一群と、前記第２レールに沿って走行する複数の第２クリップの一群と、を備え、前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、互いに対向するように配置されて、試験片を把持するようになっており、前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、試験片を把持した状態で、それぞれ前記第１レールと前記第２レールとを一端側から他端側に向けて走行可能となっており、当該走行によって試験片が幅方向に延伸するようになっていることを特徴とする試験片延伸装置である。

　本発明によれば、試験片の全体（特に試験片の中央部）に幅方向の延伸処理が施されるので、延伸後の試験片（サンプル）の物性を評価することによって、連続生産されるフィルムの物性評価に代えることが可能である。

　好ましくは、前記複数の第１クリップの一群は、前記走行中に、互いの間隔が拡がるようになっており、前記複数の第２クリップの一群も、前記走行中に、互いの間隔が拡がるようになっており、これにより試験片が走行方向にも延伸するようになっている。

　この場合、走行方向においても試験片の全体（特に試験片の中央部）に延伸処理が施されるので、延伸後の試験片（サンプル）の物性が、連続生産されるフィルムの物性に更に近いものとなる。

　あるいは、本発明は、互いに間隔を開けて配置された第１レール及び第２レールと、前記第１レールに沿って走行する複数の第１クリップの一群と、前記第２レールに沿って走行する複数の第２クリップの一群と、を備え、前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、互いに対向するように配置されて、試験片を把持するようになっており、前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、試験片を把持した状態で、それぞれ前記第１レールと前記第２レールとを一端側から他端側に向けて走行可能となっており、前記複数の第１クリップの一群は、前記走行中に、互いの間隔が拡がるようになっており、前記複数の第２クリップの一群も、前記走行中に、互いの間隔が拡がるようになっており、これにより試験片が走行方向に延伸するようになっていることを特徴とする試験片延伸装置である。

　本発明によれば、試験片の全体（特に試験片の中央部）に走行方向の延伸処理が施されるので、延伸後の試験片（サンプル）の物性を評価することによって、連続生産されるフィルムの物性評価に代えることが可能である。

　また、本発明は、前記いずれかの特徴を有する試験片延伸装置を用いて試験片を延伸させる方法であって、複数の第１クリップの一群と複数の第２クリップの一群とを、互いに対向するように配置して、試験片を把持させる工程と、複数の第１クリップの一群と複数の第２クリップの一群とを、第１レール及び第２レールの一端側から他端側に向けて走行させ、試験片を延伸させる工程と、を備えたことを特徴とする試験片延伸方法である。

本発明の一実施の形態による試験片延伸装置を示す平面図。

　以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。

　図１には、原反シートまたは原反フィルムを二方向に同時に延伸するリンク式同時二軸延伸機による連続生産状態と同等の条件で延伸試験を行えて、その結果として、連続生産されるフィルムと同等の物性を有するフィルムサンプルを得ることができるような、本発明に従う一実施の形態の試験片延伸装置１０が示されている。図１において、紙面に対して上下の方向が走行方向（流れ方向）であり、上側が走行方向の上流側であり、下側が走行方向の下流側である。また、紙面に対して左右の方向が、幅方向である。

　試験片延伸装置１０は、対となる第１レール１１および第２レール１２を備えている。第１支持装置１３が、第１レール１１に案内されて走行可能となっており、第２支持装置１４が、第２レール１２に案内されて走行可能となっている。そして、試験片１５の一方の縁を把持するように構成された複数の第１クリップ１６が、第１支持装置１３に取り付けられて、第１クリップの一群１７を形成している。同様に、試験片１５の他方の縁を把持するように構成された複数の第２クリップ１８が、第２支持装置１４に取り付けられて、第２クリップの一群１９を形成している。第１支持装置１３は、第１駆動装置２０によって駆動され、これにより、第１クリップの一群１７が第１レール１１に沿って走行するようになっている。同様に、第２支持装置１４が、第２駆動装置２１によって駆動され、これにより、第２クリップの一群１９が第２レール１２に沿って走行するようになっている。また、試験片１５を加熱する加熱装置２２が設けられている。

　第１レール１１は、長手方向の一端部が始点Ｓ１として機能し、長手方向の他端部が終点Ｅ１として機能するようになっており、図１においては、始点Ｓ１が流れ方向上流側に配置され、終点Ｅ１が流れ方向下流側に配置されている。同様に、第２レール１２は、長手方向の一端部が始点Ｓ２として機能し、長手方向の他端部が終点Ｅ２として機能するようになっており、図１においては、始点Ｓ２が流れ方向上流側に配置され、終点Ｅ２が流れ方向下流側に配置されている。

　第１レール１１および第２レール１２は、それら自身が、それぞれ流れ方向および幅方向へ移動可能に構成されている。さらに、それら自身の長手方向の軌道（輪郭）についても、調整（変形）可能に構成されている。図１の例では、試験片１５の延伸試験条件に対応して、第１レール１１と第２レール１２との間に所定の間隔Ｄｐが維持される区間が形成されるように、第１レール１１および第２レール１２の軌道（輪郭）が形成されている。

　第１レール１１および第２レール１２の配置例の詳細について、更に説明する。図１の例においては、試験片１５の延伸試験条件に対応するように、第１レール１１と第２レール１２とが、流れ方向中心線ＣＬに対して対象に配置されている。そして、始点Ｓ１／始点Ｓ２から終点Ｅ１／終点Ｅ２に至るまでの間に、流れ方向上流側から順に、間隔Ｄｐが一定である予熱区間Ａと、間隔Ｄｐが下流側に向けて拡大されていく延伸区間Ｂと、間隔Ｄｐが予熱区間Ａのそれよりも広く且つ一定である熱処理区間Ｃと、が形成されている。そして、予熱区間Ａ，延伸区間Ｂ，熱処理区間Ｃは、それぞれ、オーブン式の加熱装置２２ａ，２２ｂ，２２ｃによって覆われている。

　ここで、予熱区間Ａは、試験片１５を予熱するための区間である。延伸区間Ｂは、間隔Ｄｐを拡大することにより第１クリップの一群１７と第２クリップの一群１９との間隔を拡大し、両側縁を把持された試験片１５を幅方向に延伸するための区間である。熱処理区間Ｃは、試験片１５を延伸することによって形成されたフィルムサンプル２３の物性を安定させるための区間である。

　なお、前述したように、第１レール１１と第２レール１２との間の間隔Ｄｐは、試験片１５の延伸試験条件に基づいて、流れ方向の各位置ごとに定められる（修正ないし調整可能である）。

　本実施の形態では、第１支持装置１３は、２つのリンクが一つの関節で開閉自在（回動自在）に接続されてなる第１リンク機構２４が複数連結されることにより構成されている。第１リンク機構２４の開閉するリンク先端の側（図１の内側）には、第１レール１１に案内されて転動するベアリングが設けられており、リンク基端の側（図１の外側）には、第１レール１１に対して間隔Ｌ１ｐを開けて配置された第１ピッチ調節レール２５に案内されて転動するベアリングが設けられている。複数の第１クリップ１６は、第１リンク機構２４と対となって、リンク先端の側に取り付けられている。これにより、第１レール１１と第１ピッチ調節レール２５との間の間隔Ｌ１ｐが変化して、第１リンク機構２４の開閉状態が変化すると、隣り合う第１クリップ１６の間隔、すなわちクリップピッチが変化するようになっている。

　同様に、第２支持装置１４も、２つのリンクが一つの関節で開閉自在（回動自在）に接続されてなる第２リンク機構２６が複数連結されることにより構成されている。第２リンク機構２６の開閉するリンク先端の側（図１の内側）には、第２レール１２に案内されて転動するベアリングが設けられており、リンク基端の側（図１の外側）には、第２レール１２に対して間隔Ｌ２ｐを開けて配置された第２ピッチ調節レール２７に案内されて転動するベアリングが設けられている。複数の第２クリップ１８は、第２リンク機構２６と対となって、リンク先端の側に取り付けられている。これにより、第２レール１２と第２ピッチ調節レール２７との間の間隔Ｌ２ｐが変化して、第２リンク機構２６の開閉状態が変化すると、隣り合う第２クリップ１８の間隔、すなわちクリップピッチが変化するようになっている。

　第１レール１１および第２レール１２は、試験片１５の延伸試験条件に基づく軌道を形成するべく、直線状レール部材２８が取り付けられた複数のレール台２９を、それぞれ第１レールベース３０および第２レールベース３１上に配置固定し、隣接するレール部材２８同士を湾曲レール部材３２で連結することにより形成されている。第１レールベース３０および第２レールベース３１は、べ一ス３３に載置されている。これにより、第１レール１１と第２レール１２との図１の左右方向（流れ方向に垂直な方向）の間隔が、所定の間隔Ｄｐとなるように固定されている。

　第１ピッチ調節レール２５は、第１レール１１に対して第２レール１２とは反対の側に所定の間隔Ｌ１ｐを開けて、レール台２９に配置されたレール部材２８同士を湾曲レール部材３２で連結することにより、形成されている。第２ピッチ調節レール２７も同様に、第２レール１２に対して第１レール１１とは反対の側に所定の間隔Ｌ２ｐを開けて、レール台２９に配置されたレール部材２８同士を湾曲レール部材３２で連結することにより、形成されている。従って、第１支持装置１３および第２支持装置１４が第１レール１１および第２レール１２にそれぞれ配置されると、第１クリップ１６および第２クリップ１８が中心線ＣＬの側を向き、互いに対向する。

　本実施の形態においては、間隔Ｌ１ｐおよび間隔Ｌ２ｐが縮小する時に、第１リンク機構２４および第２リンク機構２６が開いて、クリップピッチが拡大するようになっている。これにより、第１クリップ１６および第２クリップ１８によって把持された試験片１５が、クリップピッチの拡大方向（図１の上下方向：流れ方向）にも延伸されるようになっている。

　間隔Ｌ１ｐおよび間隔Ｌ２ｐは、前述のように、試験片１５の延伸試験条件に基づいて、流れ方向の各位置ごとに定められる。本実施の形態では、試験片１５が幅方向および流れ方向に同時に延伸されるように、延伸区間Ｂにおいて間隔Ｌ１ｐおよび間隔Ｌ２ｐが下流側に向けて徐々に縮小するように、設定されている。

　第１駆動装置２０は、一端が第１支持装置１３に接続されたワイヤー３４と、当該ワイヤー３４を巻き取るドラム３５と、当該ドラム３５を回転させるモータ３６と、を備えている。本実施の形態では、ドラム３５及びモータ３６は、第１レールベース３０の下流側に配置されている。第１駆動装置２０によって、始点Ｅ１に配置された第１支持装置１３を終点Ｓ１まで牽引することにより、第１支持装置１３が第１レール１１及び第１ピッチ調整レール２５に案内されて走行する。これにより、第１クリップの一群１６が、第１レール１１に沿って走行する。第２駆動装置２１も同様に、一端が第２支持装置１４に接続されたワイヤー３４と、当該ワイヤー３４を巻き取るドラム３５と、当該ドラム３５を回転させるモータ３６と、を備え、当該ドラム３５及びモータ３６は第２レールベース３１の下流側に配置されている。第２駆動装置２１によって、始点Ｓ２に配置された第２支持装置１４を終点Ｅ２まで牽引することにより、第２支持装置１４が第２レール１２と第２ピッチ調整レール２６に案内されて走行する。これにより、第２クリップの一群１８が、第２レール１２に沿って走行する。

　以上のような本実施の形態によれば、原反シートまたは原反フィルムを二方向に同時に延伸するリンク式同時二軸延伸機による連続生産状態と同等の条件で、延伸試験を行うことができる。すなわち、リンク式同時二軸延伸機により連続生産されるフィルムと同等のフィルムサンプルを得ることができる。試験片延伸装置１０による延伸試験の具体的手順について、以下に説明する。

　まず、試験片１５の流れ方向の延伸倍率や幅方向の延伸倍率などの延伸試験条件に基いて、第１レール１１と第２レール１２の軌道を決定し、当該軌道を形成するように第１レール１１と第２レール１２とを設置（移動）する。具体的には、所定の間隔Ｄｐが流れ方向の各位置において形成されるように、中心線ＣＬに対して対象に、第１レール１１と第２レール１２が配置される。

　そして、第１レール１１に対して間隔Ｌ１ｐを開けて、第１ピッチ設定レール２５が設置され、第２レール１２に対して間隔Ｌ１ｐと等しい間隔Ｌ２ｐ（Ｌ１ｐ＝Ｌ２ｐ）を開けて、第２ピッチ設定レール２７が設置される。また、始点Ｓ１および始点Ｓ２と終点Ｅ１および終点Ｅ２との間に、試験片１５を幅方向および流れ方向の二方向に同時に延伸する延伸区間Ｂが設定される。具体的には、幅方向の延伸を施すために、間隔Ｄｐは拡大され、クリップピッチを拡大することで流れ方向の延伸を施すために、間隔Ｌ１ｐおよび間隔Ｌ２ｐが縮小される。さらに、延伸区間Ｂの上流側に予熱区間Ａが設定され、延伸区間Ｂの下流側に熱処理区間Ｃが設定される。

　以上のように、延伸試験条件に基づいて第１レール１１および第２レール１２並びに第１ピッチ設定レール２５および第２ピッチ設定レール２７を設置（配置）した後に、第１レール１１の始点Ｓ１に配置された第１クリップの一群１７に試験片１５の一方の縁が把持され、第２レール１２の始点Ｓ２に配置された第２クリップの一群１９に試験片１５の他方の縁が把持される。

　次いで、第１駆動装置２０および第２駆動装置２１が作動され、第１支持装置１３および第２支持装置１４が牽引される。これにより、試験片１５を把持した第１クリップの一群１７および第２クリップの一群１９が、それぞれ、第１レール１１および第２レール１２に沿って走行し、予熱区間Ａに進入する。そして、そこで一時停止する。予熱区間Ａでは、加熱装置２２ａによって試験片１５が所定の予熱温度に加熱される。

　そして、予熱区間Ａでの試験片１５の予熱が完了した後、第１駆動装置２０および第２駆動装置２１が再び作動される。これにより、試験片１５を把持する第１クリップの一群１７および第２クリップの一群１９が、それぞれ、第１レール１１および第２レール１２に沿って走行し、加熱装置２２ｂによって予め所定の延伸温度に上昇されている延伸区間Ｂを通過する。

　このとき、試験片１５は、間隔Ｄｐの拡大に伴って幅方向に延伸される。と同時に、間隔Ｌ１ｐおよび間隔Ｌ２ｐの縮小に応じたクリップピッチの拡大に伴って、流れ方向にも延伸される。ここで、試験片１５を把持した第１クリップの一群１７および第２クリップの一群１９の全体が延伸区間Ｂを通過することにより、試験片１５の全体が幅方向と流れ方向に延伸される。

　次いで、延伸区間Ｂを通過した後、第１クリップの一群１７および第２クリップの一群１９は、熱処理区間Ｃに進入して、そこで一時停止する。熱処理区間Ｃでは、加熱装置２２ｃにより、試験片１５が延伸されて形成されたフィルムサンプル２３が、所定の熱処理温度で加熱される。これにより、その物性が安定させられる。

　そして、熱処理区間Ｃでのサンプルフィルム２３の熱処理が完了した後、第１駆動装置２０および第２駆動装置２１が再び作動される。これにより、サンプルフィルム２３を把持した第１クリップの一群１７および第２クリップの一群１９が、それぞれ、終点Ｅ１および終点Ｅ２に到着する。その後、第１クリップの一群１７および第２クリップの一群１９に把持されたサンプルフィルム２３が取り出される。

　サンプルフィルム２３が取り出された後、次の延伸試験のために、第１クリップの一群１７を備えた第１支持装置１３と第２クリップの一群１９を備えた第２支持装置１４とが、それぞれ、終点Ｅ１および終点Ｅ２から取り外され、始点Ｓ１および始点Ｓ２に再び取り付けられる。もっとも、第１支持装置１３と第２支持装置１４の終点Ｅ１および終点Ｅ２から始点Ｓ１および始点Ｓ２への移動は、始点Ｓ１および始点Ｓ２側に牽引装置を設けて行ってもよい。すなわち、第１駆動装置２０および第２駆動装置２１が、それぞれ、第１支持装置１３および第２支持装置１４を始点Ｓ１および始点Ｓ２と終点Ｅ１および終点Ｅ２との間で往復移動できるように、構成されてもよい。

　以上のような本実施の形態によれば、試験片１５を把持した第１クリップの一群１７および第２クリップの一群１９が、それぞれ、第１レール１１および第２レール１２の始点Ｓ１および始点Ｓ２から終点Ｅ１および終点Ｅ２に向かって走行する。そして、走行区間中に設定された延伸区間Ｂを通過する際に、試験片１５全体が延伸されて、フィルムサンプル２３を得ることができる。少なくとも試験片１５の中央部は連続しているので（切断端ではないので）、得られたフィルムサンプル２３は、二軸延伸フィルム製造装置で連続生産されるフィルムと同等の物性を有すると言える。

　なお、リンク式同時二軸延伸機それ自体を用いて延伸試験をしようとすると、レールとスプロケットとで形成される一対の無端状の軌道に対して、リンク部材を介して一連にかつ無端状に連結された複数個のクリップを、連続的に走行させなければならない。このような試験は、大掛かりで、効率も悪い。

　これに対して本実施の形態では、試験片１５を把持する第１クリップの一群１７および第２クリップの一群１９が、それぞれ、試験片１５のサイズに合わせて構成配置された第１レール１１および第２レール１２の始点Ｓ１および始点Ｓ２から終点Ｅ１および終点Ｅ２に向かって走行するだけであるので、効率の良い延伸試験が可能である。

　また、本実施の形態においては、第１レール１１と第２レール１２とを中心線ＣＬに対して対称に配置しているが、これは試験片１５の延伸試験条件に基づいて適宜に選択されるものであって、延伸試験条件によっては、第１レール１１と第２レール１２の軌道（長さや曲線部の曲率など）は、適宜変更され得る。例えば、第１レール１１と第２レール１２とを対称に配置せずに、第１レール１に対して第２レール１２の長さを変え、異なった軌道を形成することによって、試験片１５を斜めに延伸する条件での試験も可能である。また、例えば、第１クリップの一群１７のクリップピッチが拡大を開始する位置と第２クリップの一群１９のクリップピッチが拡大を開始する位置とに差を与えることによっても、試験片１５を斜めに延伸する試験が可能である。

　本実施の形態においては、延伸区間Ｂの前後に予熱区間Ａと熱処理区間Ｃとを設けているが、これも、試験片１５の延伸試験条件に基づいて設定されたのものである。延伸試験条件によっては、区間の追加や変更や省略がなされる。また、そのような変更等にあわせて、加熱装置２２Ａ，２２Ｂ，２２Ｃについても、適宜組み合わせの変更や入れ替え等がなされ得る。

　また、本実施の形態においては、第１駆動装置２０および第２駆動装置２１が第１支持装置１３および第２支持装置１４を牽引する速度を、一定としている。しかしながら、この場合、牽引走行中に第１リンク機構２４および第２リンク機構２６が開閉することによって、第１クリップ１６および第２クリップ１８の走行速度は変化する。このことを考慮して、延伸試験条件によっては、第１駆動装置２０および第２駆動装置２１による牽引速度を、流れ方向の位置ごとに補正することが望ましい場合があり得る。

　また、本実施の形態においては、予熱区間Ａおよび熱処理区間Ｃで、第１駆動装置２０および第２駆動装置２１を一時停止して、予熱および熱処理を行っている。ここで、試験片１５の延伸試験条件に基づいて、予熱および熱処理の時間や、予熱温度および熱処理温度の上昇パターンや下降パターンが設定され得る。これにより、延伸機の長い予熱区間や熱処理区間を反映させることができ、原反シートまたは原反フィルムが走行する状態と同等の条件での延伸試験を行うことができる。

　また、ベース３３に対する第１レールベース３０および第２レールベース３１の移動や、第１レールベース３０および第２レールベース３１に対するレール台２９の移動や、レール台２９に取り付けられた第１レール１１および第２レール１２に対する第１ピッチ設定レール２５および第２ピッチ設定レール２７の移動については、ボールねじ機構とサーボモータとを組み合わせた直動機構などを用いることにより、自動化され得る。これにより、第１レール１１および第２レール１２並びに第１ピッチ設定レール２５および第２ピッチ設定レール２７の配置関係の変更が容易となり、予熱区間Ａおよび熱処理区間Ｃでの試験片１５（すなわちフィルムサンプル２３）の膨張や収縮などの熱変形に対応できるように、間隔Ｄｐや間隔Ｌ１ｐおよび間隔Ｌ２ｐを調節することが可能である。

　第１クリップ１６及び第２クリップ１８の形状は、延伸試験条件に基づいて、同じであってもよいし、異なる形状であってもよい。第１リンク機構２４及び第２リンク機構２５の形状も、延伸試験条件に基づいて、同じであってもよいし、中心線ＣＬに対して対称であってもよいし、異なる形状であってもよい。レール部材２８とレール台２９は、延伸試験条件に基づく第１レール１１および第２レール１２の様々な軌道に対応するべく、種々の長さのものが用意されることが好ましい。

　第１クリップの一群１７を形成する複数の第１クリップ１６および第２クリップの一群１９を形成する複数の第２クリップ１８は、それぞれ、第１レール１１および第２レール１２の始点Ｓ１および始点Ｓ２から終点Ｅ１および終点Ｅ２に向かって走行するときに、把持する試験片１５が延伸区間Ｂを通過できる個数であることが望ましい。

　前述の実施の形態では、リンク式同時二軸延伸機によるフィルムの連続生産状態と同等の条件で延伸試験を行える試験片延伸装置１０について述べたが、第１クリップの一群１７を備えた第１支持装置１３と第２クリップの一群１９を備えた第２支持装置１４とを、それぞれ、チェーンにより連結されたクリップ台によって構成し、第１レール１１および第２レール１２を当該クリップ台に対応できるレールとして構成することで、横延伸機による連続生産状態と同等の条件で延伸試験を行える試験片延伸装置を構成することもできる。また、リニアモータで駆動するクリップ台を用いて、リニア式同時二軸延伸機による連続生産状態と同等の条件で延伸試験を行える試験片延伸装置を構成することもできる。

Claims

　互いの間隔が一端側よりも他端側において広くなるような軌道に配置された第１レール及び第２レールと、
　前記第１レールに沿って走行する複数の第１クリップの一群と、
　前記第２レールに沿って走行する複数の第２クリップの一群と、
を備え、
　前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、互いに対向するように配置されて、試験片を把持するようになっており、
　前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、試験片を把持した状態で、それぞれ前記第１レールと前記第２レールとを一端側から他端側に向けて走行可能となっており、当該走行によって試験片が幅方向に延伸するようになっている
ことを特徴とする試験片延伸装置。
　互いに間隔を開けて配置された第１レール及び第２レールと、
　前記第１レールに沿って走行する複数の第１クリップの一群と、
　前記第２レールに沿って走行する複数の第２クリップの一群と、
を備え、
　前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、互いに対向するように配置されて、試験片を把持するようになっており、
　前記複数の第１クリップの一群と前記複数の第２クリップの一群とは、試験片を把持した状態で、それぞれ前記第１レールと前記第２レールとを一端側から他端側に向けて走行可能となっており、
　前記複数の第１クリップの一群は、前記走行中に、互いの間隔が拡がるようになっており、前記複数の第２クリップの一群も、前記走行中に、互いの間隔が拡がるようになっており、これにより試験片が走行方向に延伸するようになっている
ことを特徴とする試験片延伸装置。
　前記複数の第１クリップの一群は、前記走行中に、互いの間隔が拡がるようになっており、前記複数の第２クリップの一群も、前記走行中に、互いの間隔が拡がるようになっており、これにより試験片が走行方向にも延伸するようになっている
ことを特徴とする請求項１に記載の試験片延伸装置。
　請求項１に記載の試験片延伸装置を用いて試験片を延伸させる方法であって、
　複数の第１クリップの一群と複数の第２クリップの一群とを、互いに対向するように配置して、試験片を把持させる工程と、
　複数の第１クリップの一群と複数の第２クリップの一群とを、第１レール及び第２レールの一端側から他端側に向けて走行させ、試験片を幅方向に延伸させる工程と、
を備えたことを特徴とする試験片延伸方法。
　請求項２に記載の試験片延伸装置を用いて試験片を延伸させる方法であって、
　複数の第１クリップの一群と複数の第２クリップの一群とを、互いに対向するように配置して、試験片を把持させる工程と、
　複数の第１クリップの一群と複数の第２クリップの一群とを、第１レール及び第２レールの一端側から他端側に向けて走行させ、試験片を走行方向に延伸させる工程と、
を備えたことを特徴とする試験片延伸方法。
　請求項３に記載の試験片延伸装置を用いて試験片を延伸させる方法であって、
　複数の第１クリップの一群と複数の第２クリップの一群とを、互いに対向するように配置して、試験片を把持させる工程と、
　複数の第１クリップの一群と複数の第２クリップの一群とを、第１レール及び第２レールの一端側から他端側に向けて走行させ、試験片を幅方向と走行方向との二軸方向に延伸させる工程と、
を備えたことを特徴とする試験片延伸方法。