JPS6119853B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動調整装置を組み込んでいるブレー
キ駆動装置に関するものである。

一般に、ブレーキ駆動装置は例えばデイスクブ
レーキのロータのような回転部材に近接して一対
の摩擦要素を位置させる自動調整装置を備えてい
る。事実、摩擦要素と回転部材との間に小さな回
転間隙を保つて、ブレーキペダルが作動された直
後にブレーキ作動が行われるようにすることは有
益である。

本発明は特に、孔を形成しているハウジング
と、上記孔内を往復動自在なピストンと、上記孔
内に摺動自在に嵌装された軸方向に伸長可能な部
材と、上記伸長可能な部材を介して上記ピストン
を回転部材に向けて押圧する駆動装置と、上記ピ
ストンと上記伸長可能な部材との間に設けられ、
歯付部材に係合して上記駆動装置の駆動時上記伸
長可能な部材を伸長させる方向に上記歯付部材を
回転させるつめを含むラチエツト装置とを包含す
る少なくとも１個の摩擦要素を回転部材に押圧し
てブレーキ駆動を行うブレーキ駆動装置に関して
いる。このようなブレーキ駆動装置は米国特許第
3967705号明細書に記載されている。

この型のブレーキ駆動装置において、ラチエツ
ト装置はつめと歯付部材とを含み、ブレーキ適用
時つめが歯付部材に係合し且つ同部材に対して回
転してねじ付部材に通常固定されている歯付部材
を回転させるように構成されている。ねじ付部材
の回転により伸長可能な部材が伸長されてピスト
ンを回転部材により接近せしめ、摩擦要素を回転
部材に近接して位置させ、回転部材からの摩擦要
素の引込量を制限する。

しかし、摩擦要素のライニングの摩耗あるいは
初期組立時に生じる間隙により摩擦要素と回転部
材との間に大きな間隙がある場合、伸長可能な部
材を十分に伸長させて摩擦要素を回転部材との許
容回転間隙に位置させるためブレーキを数回適用
させる必要がある。

本発明の主目的は、摩擦要素と回転部材との間
に大きな間隙がある場合でも一回のブレーキ適用
でブレーキ調整を行わせることができる装置を備
えた自動調整装置を提供することにより、上記型
のブレーキ駆動装置を改良することにある。

本発明の他の目的は、ブレーキ調整の初期を通
常時よりも速やかに行わせ且つ間隙が非常に小さ
い場合極めて正確な調整を行わせるため、伸長可
能な部材を少なくとも２つの比率で伸長させてブ
レーキ調整を行わせることにある。

この目的のため、本発明は、上記つめが上記歯
付部材に対向し且つ同部材と別個に係合し得る少
なくとも２つのキーを含み、上記ラチエツト装置
が、上記歯付部材の上記つめからの軸方向離隔に
より異なつた上記キーが上記歯付部材に係合する
ことにより、上記伸長可能な部材を異なつた比率
で伸長させることを特徴とする上記型のブレーキ
駆動装置を提案している。

上記構成によれば、摩擦要素と回転部材との間
の間隙が大きい場合には、つめの１つのキーが歯
付部材に係合して伸長可能な部材を大きい比率で
回転させることにより、大きい間隙を速やかに吸
収することができる。又、間隙が小さい場合に
は、つめの他のキーが歯付部材に係合して伸長可
能な部材を小さい比率で回転させることにより、
間隙の微調整を行うことができるのである。

本発明の一実施例を添付図面を参照して詳細に
説明する。

第１図において、総括的に符号１０で示されて
いるデイスクブレーキは一対の摩擦面１４と１６
を有するロータ１２を含む。一対の摩擦要素１８
と２０は摩擦面１４と１６にそれぞれ近接して装
架され、ブレーキ適用時摩擦面に係合する。総括
的に符号２２で示されているキヤリパは当業技術
者には周知の適宜な機構によつて固定支持体又は
トルク部材２４上に摺動自在に装架される。固定
支持体２４は車両のスピンドルハウジングのよう
な車両の非回転部分にボルト締めされる。本実施
例においては、摩擦要素１８は固定支持体又はト
ルク部材２４上に碇留されている。

キヤリパ２２はロータ１２の摩擦面１４に実質
的に平行に延びている駆動部２６、ロータ１２の
外周を横切つているブリツジ部２８及び摩擦面１
６に略平行に半径方向内方に延びている内方突出
部３０を含む。摩擦要素２０は内方突出部３０に
固定されている。

キヤリパ２２のハウジングは駆動部２６に孔３
２を形成し、ブレーキ駆動装置は孔３２内に摺動
自在に収容されたピストン３４を含む。ピストン
３４の前面３６は摩擦要素１８に係合し、ピスト
ン３４の後面３８は総括的に符号４０で示されて
いる伸長可能な部材に係合することができ、伸長
可能な部材は第１図に示されているように孔３２
に延びている小径の孔４２内に摺動自在に支持さ
れている。伸長可能な部材４０はピストン３４と
総括的に符号４４で示されている機械的駆動装置
との間の力伝達リンクとして働く。

伸長可能な部材４０は総括的に符号４６で示さ
れている第１の要素を含み、要素４６は孔４２の
壁に設けられたスプライン５０と係合してキヤリ
パ２２のハウジングに対する要素４６の回転を阻
止する突出部材４８を支持している。同様に、キ
ヤリパ２２によつて支持された他の突出部材５２
はピストン３４の壁に設けられたスプライン５４
内に延びてキヤリパに対するピストンの回転を阻
止する。伸長可能な部材４０はまたねじ５８によ
つて要素４６に螺合された第２の要素５６を含
む。従つて、要素５６は要素４６に対して回転す
ることができ、ねじ５８のピツチに応じた適当な
方向への要素５６の回転により要素５６はデイス
ク１２に向けて移動する。第１図からわかるよう
に、比較的小さい間隙が要素５６の端部６０とピ
ストン３４の後面３８との間に限界される。この
間隙は摩擦要素１８と摩擦面１４との間の所望の
回転間隙に等しい。さらに、フランジ又は歯付部
材６２は要素５６から半径方向に突出し、ピスト
ン３４に対向する面６４を具えている。面６４は
枢軸７０によつてピストン３４上に装架されたつ
め６８に係合し得るラチエツト歯６６を具えてい
る。第２図に示されているように、ばね７２はつ
め６８をラチエツト歯６６の１つに係合せしめて
いる。他のばね７４は駆動装置４４の解放時伸長
可能な部材４０を図示の所定のブレーキ解放位置
へ向けて押圧する。

また、ブレーキ調整が行われた後伸長可能な部
材４０がその原位置に戻る「パツキング・オフ」
を防止するためバツクラツシ防止ばね７６が設け
られている。

本発明によると、つめ６８は第２図、第３図及
び第４図に明瞭に示されているように第１又は半
径方向外方のキー６７と第２又は半径方向内方の
キー６９とを含み、これらのキーはラチエツト歯
６６に対向している。キー６７と６９は第３図及
び第２図にそれぞれ示されているように歯６６と
別個に係合し、伸長可能な部材４０がピストン３
４に向かつて移動する時歯付部材６２を介して伸
長可能な部材の第２要素５６を回転移動せしめ
る。キー６７はつめ６８が枢軸７０を中心として
回転する時枢軸７０に対するキー６７の長い半径
方向のてこ長さにより大きい円弧を移動するの
で、キー６７が歯６６に係合する時、第２要素５
６の回転量又は比率はキー６９が歯６６に係合す
る時よりも大きい。

第４図において、キー６７が枢軸７０に対して
キー６９から角方向に離れていることが示されて
いる。この角方向の距離は第２図に示されている
ようにキー６７の干渉を生じさせることなくキー
６９を歯６６と協働できるようにしている。両キ
ーは枢軸７０から各キーに延びている半径方向の
てこ腕に対して実質的に直角に方位された端縁を
具えているので、キーは歯６６と十分に係合して
歯に対して回転することができる。

上述したデイスクブレーキは次のとおり作動す
る。駆動装置４４の作動時、伸長可能な部材４０
とピストン３４は第１図の左方へ押圧されて摩擦
要素１８を摩擦面１４にブレーキ係合せしめる。
ブリツジ部２８及び内方突出部３０を介して作用
する反動力は摩擦要素２０を摩擦面１６にブレー
キ係合せしめてブレーキ適用を行う。ブレーキ解
放時ばね７４は伸長可能な部材４０を第１図に示
されている位置へ戻す。しかし、ピストン３４と
摩擦要素１８はロータ１２に適用されたブレーキ
力を解放するに十分な距離のみを引込む。

駆動装置４４の行程が摩擦要素のライニングの
摩耗あるいは初期組立時に生じる間隙により増大
すると、ピストン３４と伸長可能な部材４０との
間の距離が増大する。その結果、ばね７２はつめ
６８を枢軸７０を中心として第２図及び第３図に
おいて時計方向に回転させるので、キー６７又は
キー６９はピストン３４と伸長可能な部材４０と
の間の距離に応じて歯付部材６２の歯６６の１つ
に係合する。その後、伸長可能な部材４０がピス
トン３４に向かつて移動すると、つめ６８は枢軸
７０を中心として回転して歯付部材６２と要素５
６を要素４６に対して回転させ、伸長可能な部材
４０を伸長させて伸長可能な部材４０とピストン
３４との間の距離を短縮させる。

もしピストンと伸長可能な部材との間の距離が
第３図に示されているようにキー６７を歯６６に
係合させるようなものである場合、伸長可能な部
材４０のピストン３４への移動はつめ６８を枢軸
７０を中心として回転させるので、キー６７は歯
付部材６２と要素５６を要素４６に対して回転さ
せて伸長可能な部材を伸長させ、ピストンと伸長
可能な部材はピストン３４に接近するので、キー
６７は上方に移動し、歯付部材６２は第２図に示
されているようにキー６９が歯付部材に接触する
まで第２図及び第３図の左方へ移動する。伸長可
能な部材４０のピストン３４への付加の移動は歯
６６をキー６９に係合させて要素５６をキー６７
の場合よりも小さい比率で回転させ、またキー６
７を歯付部材６２から分離させるようにつめ６８
を回転させる。

ブレーキ解放時伸長可能な部材４０はピストン
３４から離れてつめ６８が次の歯を割出すことを
許す。もしブレーキ解放時伸長可能な部材とピス
トンとの間の距離が第２図に示されているような
距離に達する場合、キー６９が次の歯を割出し、
キー６７は歯付部材６２に対して離隔関係に保た
れる。機械的駆動装置４４の連続的な適用により
伸長可能な部材はキー６９を介して伸長せしめら
れて要素５６の面６０とピストン３４の後面３８
との間の間隙を実質的に一定に保つ。

本実施例において、つめ６８によつて得られる
可変調整はデイスクブレーキ１０と組み合わせて
示されている。しかし、可変調整はシユーとドラ
ムとの間の回転間隙を一定に保つようにドラムブ
レーキにも適用できる。さらに、本実施例におい
ては、つめ６８はピストン３４に連結され、歯付
部材６２は要素５６に含まれている。しかし、つ
めと歯付部材をそれぞれ要素５６とピストン３４
上に配置しても上記場合と同様な態様で伸長可能
な部材４０を可変比率で伸長させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるブレーキ駆動装置を有す
る機械的駆動型デイスクブレーキの断片的な縦断
面図、第２図は第１図の線２−２に沿つた断片的
な断面図、第３図は第１図の線２−２に沿つた断
片的な断面図で、ピストンと伸長可能な部材との
間の間隙が通常よりも大きい場合を示したもの、
第４図は第１図のブレーキに用いられているつめ
の拡大平面図である。 図面において、符号１０はデイスクブレーキ、
１２はロータ、１４，１６は摩擦面、１８，２０
は摩擦要素、２２はキヤリパ、２４は固定支持
体、３２，４２は孔、３４はピストン、４０は伸
長可能な部材、４４は機械的駆動装置、４６，５
６は要素、４８，５２は突出部、６２は歯付部
材、６６はラチエツト歯、６７，６９はキー、６
８はつめ、７０は枢軸、７２，７４はばね、７６
はバツクラツシ防止ばねを示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 孔を形成しているハウジングと、上記孔内を
   往復動自在なピストンと、上記孔内に摺動自在に
   嵌装された軸方向に伸長可能な部材と、上記伸長
   可能な部材を介して上記ピストンを回転部材に向
   けて押圧する駆動装置と、上記ピストンと上記伸
   長可能な部材との間に設けられ、歯付部材に係合
   して上記駆動装置の駆動時上記伸長可能な部材を
   伸長させる方向に上記歯付部材を回転させるつめ
   を含むラチエツト装置とを包含する、少なくとも
   １個の摩擦要素を回転部材に押圧してブレーキ駆
   動を行う装置において、上記つめ６８が上記歯付
   部材６２に対向し且つ同部材と別個に係合し得る
   少なくとも２つのキー６７，６９を含み、上記ラ
   チエツト装置６６，６８，７２が、上記歯付部材
   ６２の上記つめ６８からの軸方向離隔により異な
   つた上記キー６７，６９が上記歯付部材６２に係
   合することにより、上記伸長可能な部材を異なつ
   た比率で伸長させることを特徴とするブレーキ駆
   動装置。 ２ 上記つめ６８が上記ピストン３４又は上記伸
   長可能な部材４０上に回転可能に装架され、上記
   つめ６８の枢軸７０と上記キー６７，６９との間
   の距離が上記各キー６７，６９のための異なつた
   てこ長さを定めていることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載のブレーキ駆動装置。 ３ 上記つめ６８が上記２つのキー６７，６９を
   含み、上記キーの一方６７の上記つめ６８の枢軸
   ７０に対して上記キーの他方６９から半径方向外
   方に配置されていることを特徴とする特許請求の
   範囲第２項記載のブレーキ駆動装置。 ４ 上記伸長可能な部材４０が一対の相対的に回
   転可能な要素４６，５６を含み、上記要素の一方
   ４６と上記ピストン３４が上記ハウジング２２に
   対する回転を阻止され、上記ラチエツト装置６
   ６，６８，７２が上記ピストン３４と上記要素の
   他方５６との間に設けられて、上記駆動装置４４
   の駆動時上記他方の要素を上記一方の要素に対し
   て上記伸長可能な部材４０の伸長方向へ回転させ
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項ないし
   第３項のいずれか１項に記載のブレーキ駆動装
   置。 ５ 上記つめ６８が上記ピストン３４の軸線に実
   質的に直角な枢軸７０を中心にして回転可能に上
   記ピストン３４上に装架され、上記歯付部材６２
   が上記伸長可能な部材４０の上記他方の要素５６
   に設けられ、上記ピストン３４に対向する面６４
   を具え、上記面６４上に形成された歯６６が上記
   駆動装置４４の駆動以前に上記つめ６８の枢軸７
   ０と上記面６４との間の距離に応じて上記キー６
   ７，６９の一方あるいは他方に係合することを特
   徴とする特許請求の範囲第４項記載のブレーキ駆
   動装置。 ６ 弾性装置７２が上記キー６７，６９を上記歯
   ６６に係合せしめるように設けられていることを
   特徴とする特許請求の範囲第５項記載のブレーキ
   駆動装置。