JPH1136138A - ポリエステル異収縮混繊糸の製造方法 - Google Patents

ポリエステル異収縮混繊糸の製造方法

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JPH1136138A
JPH1136138A JP19217297A JP19217297A JPH1136138A JP H1136138 A JPH1136138 A JP H1136138A JP 19217297 A JP19217297 A JP 19217297A JP 19217297 A JP19217297 A JP 19217297A JP H1136138 A JPH1136138 A JP H1136138A
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JP
Japan
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yarn
shrinkage
godet roller
spinneret
polyester
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JP19217297A
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English (en)
Inventor
Takashi Katagiri
孝 片桐
Haruhiko Kanda
晴彦 神田
Hiroshi Ishida
石田  央
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Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製編織して得られる布帛に良好なふくらみ、
ソフト感、ドレープ性及びハリ・コシ感の優れたシルキ
ー風合を付与できるポリエステル異収縮混繊糸を、簡易
な直接紡糸延伸方法で効率よく安定して製造する方法を
提供する。 【解決手段】 2種類のポリエステルを用いて、直接紡
糸延伸方法で異収縮混繊糸を製造するに際し、少なくと
も高収縮成分として2,2−ビス{4−(β−ヒドロキ
シエトキシ)フェニル}プロパンとイソフタル酸との共
重合ポリエステルを用い、同一紡糸口金1のそれぞれ異
なる吐出孔から溶融吐出し、冷却固化させた後、紡糸口
金1下2m以内の位置で糸条に給油しながら集束し、次
いで、第1ゴデットローラ6にて2,000m/分以下
の速度で引き取り、引き続き第1ゴデットローラ6と第
2ゴデットローラ7との間で延伸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製編織して得られ
る布帛に良好なふくらみ、ソフト感、ドレープ性及びハ
リ・コシ感の優れたシルキー風合を付与することのでき
るポリエステル異収縮混繊糸の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】異収縮混繊糸は、製編織して得られる布
帛に良好なふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ
感の優れたシルキー風合を付与することのできる高付加
価値素材として多用されている。その中でも、特にポリ
エステル異収縮混繊糸は高級シルキー素材として好適の
ため多量に生産されている。これら異収縮混繊糸の製造
方法は、特公昭39−24317号公報、特公昭61−
19417号公報等で開示されており、また、本発明の
ような共重合ポリエステルを用いた方法も、特公昭60
−35450号公報、特公平7−59770号公報等で
多数開示されている。しかしながら、これらの方法は、
紡糸工程と延伸工程を分離して製造するものであるか、
あるいは個々に紡糸、延伸してから混繊するものなの
で、生産性が低いという欠点がある。
【0003】一方、実公昭50−32574号公報に
は、2つの糸条群に分割吐出し、それぞれの糸条群ごと
に設けられたフィードローラで引き取り、引き続きドロ
ーローラで延伸してから合糸交絡処理してポリエステル
異収縮混繊糸とする方法が提案されている。しかしなが
ら、この方法は、それぞれの糸条群ごとにフィードロー
ラとドローローラを設置する必要があるため、設備費が
高く、かつ大きな設備スペースが必要になるという欠点
がある。
【0004】また、特公平1−221505号公報に
は、隣接する2種の押出し機と紡糸口金から溶融吐出し
た糸条をそれぞれの糸条群ごとに設けられたフィードロ
ーラで引き取り、引き続きドローローラで延伸してから
合糸交絡処理してポリエステル異収縮混繊糸とする方法
が開示されている。この方法の特徴は、別々の押出し機
と紡糸口金から溶融吐出するため、供給するポリマーの
種類や吐出の条件を個別に設定したり、熱処理条件を糸
条群毎に異ならせることができるため、収縮率及び収縮
率差を自在に選ぶことができることである。しかしなが
ら、糸条群毎にローラを併設しているため設備費が高
く、かつ大きな設備スペースを要し、しかも各ローラへ
の糸掛けが複雑となるため、作業性が極めて悪いという
欠点を有している。
【0005】さらに、特開昭61−160419号公報
には、融点の異なる2種のポリエステルを同時に溶融吐
出し、4,000m/分以上の速度で引き取り、引き続
き延伸を行う方法が開示されている。この方法は、前述
した実公昭50−32574号、特公平1−22150
5号公報記載の方法と比較してローラの数、設備スペー
ス、糸掛け等の作業性の面で向上している。しかしなが
ら、2種のポリエステルの融点差を利用して収縮差を付
与しているため、紡糸時に単糸同士の密着による切断
や、4,000m/分以上の速度で引き取るための切断
が増加し、操業性が著しく低下するという欠点がある。
また、共重合ポリエステルを用いて融点差を付与してい
るが、共重合成分については融点差を付与することのみ
が考慮され、糸条の耐候性や染色堅牢性等については何
等の考慮もなされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来の問題を解決し、製編織して得られる布帛に良好なふ
くらみ、ソフト感、ドレープ性及びハリコシ感の優れた
シルキー風合を付与することのできるポリエステル異収
縮混繊糸を、簡略な直接紡糸延伸方法で効率よく安定し
て製造する方法を提供することを技術的な課題とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、2種類のポリエステルを用い
て、直接紡糸延伸方法で異収縮混繊糸を製造するに際
し、少なくとも高収縮成分として2,2−ビス{4−
(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンとイソ
フタル酸との共重合ポリエステルを用い、同一紡糸口金
のそれぞれ異なる吐出孔から溶融吐出し、冷却固化させ
た後、紡糸口金下2m以内の位置で糸条に給油しながら
集束し、次いで、第1ゴデットローラにて2,000m
/分以下の速度で引き取り、引き続き第1ゴデットロー
ラと第2ゴデットローラとの間で延伸することを特徴と
するポリエステル異収縮混繊糸の製造方法を要旨とする
ものである。
【0008】
【発明の実施形態】以下、本発明について詳細に説明す
る。
【0009】本発明において、製編織して得られる布帛
に良好な膨らみ、ソフト感、ドレープ性を付与できる糸
条を得るためには、2種類のポリエステルを用いて得ら
れる収縮率の異なる2種の糸条群を混繊糸とする必要が
ある。そして、高収縮性糸条と低収縮性糸条との収縮率
差は、所望する風合によって適宜選択する必要がある。
例えば、ピュアシルクタイプの風合を得るためには、高
収縮性糸条と低収縮性糸条との収縮率差は小さい方が好
ましく、その差は沸水収縮率で3〜8%、190℃乾熱
収縮率で11〜21%が好ましい。
【0010】一方、ピーチタッチの風合を得るために
は、高収縮性糸条と低収縮性糸条との収縮率差は大きい
方が好ましく、その差は沸水収縮率で12〜21%、1
90℃乾熱収縮率で23〜35%が好ましい。異収縮混
繊糸使いの織編物を熱処理して潜在嵩高性を発現させる
方法として、沸水を含めた湿熱状態及び/又は190℃
近傍の乾熱状態で実質的に緊張を与えることなく熱処理
するのが一般的な方法であり、沸水収縮率差や190℃
乾熱収縮率差が小さいと織編物に良好な嵩高性とドレー
プ性を付与し難く、また沸水収縮率差が大きすぎると糸
長差の発現により加工工程での通過性が悪化したり、織
編物の表面に大きな凹凸が発現して荒れた状態となりや
すいためである。すなわち、高収縮性糸条と低収縮性糸
条との収縮率差は沸水収縮率で12〜21%、好ましく
は15〜20%、190℃乾熱収縮率で23〜35%、
好ましくは26〜33%が加工工程での通過性が良好
で、優れたピーチタッチの風合が得られるのである。
【0011】そこで本発明では、熱収縮率差を付与する
ために、高収縮性糸条を構成するポリエステルとしてに
2,2−ビス{4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル}プロパン(以下、BA−EOと称する。)と、イソ
フタル酸(以下、IPAと称する。)の共重合ポリエス
テルを使用するものである。沸水収縮率差及び190℃
乾熱収縮率差の少なくとも一方を5%以上とするために
は、高収縮性糸条にBA−EOとIPAの共重合量の合
計が3モル%以上とすることが好ましく、ピーチタッチ
の風合を得るためには共重合量の合計が6モル%以上と
することが好ましい。
【0012】共重合量の合計が10モル%以上となる
と、高収縮性糸条の収縮率が高くなりすぎて糸長差の発
現により加工通過性が悪化したり、織編物の表面に大き
な凹凸が発現して荒れた状態となり、布帛の品位が低下
しやすくなる。一方、共重合量の合計が3モル%未満で
は収縮率差が小さくなり、織編物はフラットな風合とな
りやすい。
【0013】次に、高収縮性糸条とともに異収縮混繊糸
を構成する低収縮性糸条のポリエステル成分は特に限定
されるものではないが、シルキー素材とするのに適した
ポリエチレンテレフタレート(PET)を使用すること
が好ましい。また、低収縮性糸条の沸水収縮率は15%
以下、190℃乾熱収縮率は18%以下とすることが好
ましく、収縮率がこれらの値を超えると布帛全体が収縮
して粗硬な風合となりやすい。さらに、糸条の断面形状
は、高収縮性糸条、低収縮性糸条ともに三葉、五葉、六
葉等の異型断面形状が好ましい。
【0014】次に、本発明を工程順に図面を用いて説明
する。
【0015】図1は、本発明で使用する直接紡糸延伸装
置の一実施態様を示す概略工程図である。図1におい
て、高収縮性糸条及び低収縮性糸条となる2種のポリエ
ステルを溶融して同一の紡糸口金1より吐出し、紡糸孔
を同心円に配した紡糸口金1の内周部から高収縮性糸条
用の未延伸糸条3を、外周部から低収縮性糸条用の未延
伸糸条2を吐出させる。
【0016】紡糸口金1より吐出させた未延伸糸条2、
3を冷却装置4により冷却固化した後、紡糸口金より2
m以内の位置に設けた給油装置5により、未延伸糸条
2、3を集束させて混繊未延伸糸としながら所定の油剤
を付与する。そして、第1ゴデットローラ6で2,00
0m/分以下の速度で引取り、引き続き第2ゴデットロ
ーラ7へ導き、第1ゴデットローラ6と第2ゴデットロ
ーラ7との間で両ローラの周速度差により延伸し、捲取
機8によってパッケージ9に捲取る。また、必要に応じ
て油剤を付与した後あるいは捲取機8の前にインターレ
ースノズル10、11を設けて交絡処理を施してもよ
い。なお、図中、6, と7, はセパレートローラであ
る。
【0017】図1の例は、未延伸糸条2、3を集束させ
て混繊未延伸糸としながら油剤を付与したが、シルキー
素材特有のフラッシュ効果を得るためには、図2に示す
ように同一紡糸口金1より吐出した未延伸糸条2、3を
左右別々に所定の油剤を付与しながら集束した後、第1
ゴデットローラ6で合糸して混繊糸とすることが好まし
い。
【0018】本発明において収縮率及び収縮率差の設定
であるが、収縮率は第2ゴデットローラ7の温度を適宜
選定することによって所望の値に設定することができ
る。一方、収縮率の差は、高収縮性糸条とする共重合ポ
リエステル中のBA−EO、IPAの共重合量を適宜変
更することで所望の収縮率差が得られ、ピーチタッチ調
のシルキー素材を得るためには、BA−EOとIPAの
共重合量の合計を6〜10モル%とし、また、ピュアシ
ルクタッチのシルキー素材を得るためには、BA−EO
とIPAの共重合量の合計を3〜6モル%とすることが
好ましい。
【0019】また、本発明では、第1ゴデットローラ6
で未延伸糸条を引取る際に紡糸口金面下2m以内の位置
で給油装置5で給油しながら集束する必要がある。糸条
を集束させるのは、第1ゴデットローラ6により引取ら
れる際に発生する糸条の随伴気流によって単糸間の配向
度に不均一性を生じ、糸切れと糸質異常が発生するのを
防止するためである。この給油装置5は、紡糸口金面に
近付けるほど随伴気流が小さくなって有効であるが、紡
糸口金に近すぎたり固化点以前に配置すると集束による
単糸同士の密着による糸切れを起こすので好ましくな
い。
【0020】給油装置5で給油しながら集束する適正な
位置は紡糸口金面より2m以内で、好ましくは1.2m
以内で行うことが重要である。集束位置を紡糸口金面下
2mより長くすると、前記したように、随伴気流が増加
して糸切れしたり、糸質が不均一になる。集束方法は、
集束ガイドを兼用した給油ガイドが最も好ましいが、ロ
ーラによる給油方式を用いてもよい。ローラ方式の場
合、集束位置はなるべく給油位置に近い法がよい。ま
た、給油装置5の直後に別のガイド又はインターレース
ノズルを設けて集束してもよい。
【0021】また、本発明では、油剤を付与しながら集
束した未延伸糸条を第1ゴデットローラ6で2,000
m/分以下の速度で引取る必要がある。引取り速度が
2,000m/分を超えると、無緊張の状態では所望の
収縮率が発現する糸条が得られるが、収縮応力が極めて
低下し、布帛にしたとき隣接する糸糸間の摩擦によって
収縮が制限され、目的とする風合が得られない。
【0022】さらに、第2ゴデットローラ7を加熱する
ことで、延伸された混繊糸は熱セットされるので、混繊
糸の収縮率は第2ゴデットローラの温度を変えることで
所望の収縮率とすることができる。第2ゴデットローラ
の温度は特に限定されるものではないが、120℃以上
に加熱することが好ましい。ただし、第2ゴデットロー
ラを175℃以上に加熱すると第2ゴデットローラ上の
糸ゆれが大きくなり、糸切れやパッケージに毛羽が発生
するので175℃未満とすることが好ましい。
【0023】混繊糸の伸度は、第1及び第2ゴデットロ
ーラの周速度差を変更することで通常のポリエステル延
伸糸の伸度レベルである25〜45%の間で自由に設定
することができる。また、異収縮混繊糸を構成する高収
縮性糸条と低収縮性糸条の繊度は同じ繊度が好ましい
が、必要に応じて糸条及び単糸繊度を異ならせてもよ
い。この場合、糸条では高収縮性糸条を細繊度、低収縮
性糸条を太繊度とし、単糸繊度では高収縮性糸条側を太
繊度、低収縮性糸条側を細繊度とすることが好ましい。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における各物性値の測定や評価は、次
の方法で行った。また、高収縮性糸条と低収縮性糸条の
収縮率の測定は、混繊糸から別々に分離して行った。 (1) 沸水収縮率(%) 試料は周長 1.125mのかせ取り機で20回捲きのものを
1サンプルとし、0.1g/d荷重下で初長L1 を求め
る。次に、無荷重下沸水中で30分間処理した後、0.1
g/d荷重下で処理後の長さL2 を求め、次式より算出
する。これを1試料につき5回測定し、平均値を沸水収
縮率(%)とする。 沸水収縮率(BW)=〔(L1 −L2 )/L1 〕×10
0 (2) 沸水収縮率差(%) 沸水収縮率差(△BW)=BWH −BWL なお、高収縮性糸条の沸水収縮率をBWH とし、低収縮
性糸条の沸水収縮率をBWL とした。 (3) 190℃乾熱収縮率(%) 試料は周長1.125mのかせ取り機で20回捲きのも
のを1サンプルとし、0.1g/d荷重下で初長L3
求める。次に、無荷重下で190℃の乾熱雰囲気中で3
0分間処理した後、0.1g/d荷重下で処理後の長さ
4 を求め、次式より算出する。これを1試料につき5
回測定し、平均値を190℃乾熱収縮率(%)とする。 190℃乾熱収縮率(HS)=〔(L3 −L4 )/
3 〕×100 (4) 乾熱収縮率差(%) 乾熱収縮率差(△HS)=HSH −HSL なお、高収縮性糸条の乾熱縮率をHSH 、低収縮性糸条
の乾熱縮率をHSL とした。 (5) ウースター値(%) 計測器工業社製EVENNESS TESTER80型
を用いて、糸速25m/分、撚数120T/M、チヤー
ト速度5cm/分、測定モード1/2Inertにて糸
条を100m測定した。測定長50mでのチャート上で
最大ピークをA%、最小ピークをB%とした。これを1
試料2回測定し、平均値をウースター値(%)とした。 ウースター値=A−B/2 (6) 風合の評価 ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリ、コシについ
て、官能評価により、8段階で総合判定した。8級が最
良、1級が最も不良で、6級以上のものを合格とした。
なお、風合比較用布帛としては、 目標の風合をピュアシルク風合とする場合、高収縮性
糸条及び低収縮性糸条ともにPETを用いて紡糸し、延
伸で熱履歴差を付与した2工程法で製造した異収縮混繊
糸使いの織物を評価ランク8級の比較用布帛(A)とし
て用いた。 目標の風合をピーチタッチ風合とする場合、高収縮性
糸条はBA−EOを4.5モル%、IPAを4.0モル
%共重合したポリエステルを、低収縮性糸条はPETを
用いて紡糸及び延伸の2工程法で製造した異収縮混繊糸
使いの織物を評価ランク8級の比較用布帛(B)として
用いた。
【0025】実施例1〜7、比較例1〜3 テレフタル酸/エチレングリコール及びIPA/エチレ
ングリコールスラリーを用いてエステル化反応を行った
後、BA−EOのエチレングリコール液を添加し、通常
の方法で重合を行い、フェノール−四塩化エタン等重量
混合溶媒を用いて20℃で測定した極限粘度が0.60
の表1に示す数種の共重合ポリエステルペレットを得
た。なお、艶消剤として酸化チタンを0.02重量%添
加した。
【0026】低収縮成分用ポリエステルとして、極限粘
度が0.65のPETを、また、高収縮成分用ポリエス
テルとして前記した共重合ポリエステルを用い、2機の
押出し機より前記ポリエステルを別々に溶融供給し、同
一パック内に導入する紡糸機を用いて、紡糸口金の外周
配列の24孔のY型断面形状の吐出孔より低収縮成分用
ポリエステルを、紡糸口金の内周配列の24孔のY型断
面形状の吐出孔より高収縮成分用共重合ポリエステルを
それぞれ溶融吐出し、図1に示す装置で直接紡糸延伸を
行った。溶融吐出した糸条は冷却し、紡糸口金面から給
油装置間の距離を表1のとおり変更して糸条を集束しつ
つ給油して油剤を0.9重量%付与した後、インターレ
ースノズルで交絡処理を施した。
【0027】次いで、第1ゴデットローラ(第1GR)
と第2ゴデットローラ(第2GR)の条件、及び集束給
油位置を表1のとおり変更して延伸した後、捲き取り、
PETで形成された37d/24fの低収縮性糸条と、
共重合ポリエステルで形成された37d/24fの高収
縮性糸条との異収縮混繊糸74d/48fを得た。な
お、第1GRと第2GRの捲き数は6.5回とし、第1
GRの温度は98℃(一定)とした。また、いずれの混
繊糸も伸度は36〜40%の範囲であった。
【0028】
【表1】
【0029】得られた異収縮混繊糸を経糸と緯糸使いで
羽二重に製織した後、沸水下で5分間のリラックス精
練、弛緩状態で190℃で5分間の乾熱処理、100℃
の3重量%水酸化ナトリウム水溶液で織物を20重量%
の減量処理してから通常のポリエステルの染色仕上げを
行った。得られた異収縮混繊糸の物性と織物風合の評価
結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】実施例1〜5及び比較例1〜2は紡糸速度
の効果を示すもので、実施例1〜3はピュアシルクの風
合が目標のもので、仕上がった織物は比較用の布帛
(A)とほぼ同様で極めて良好な風合を呈するものであ
った。
【0032】比較例1は、BW(%)及びHS(%)の
収縮率は十分あるにも関わらず、紡糸速度が2,400
m/分と高いため織物にした後の収縮が十分でなく、風
合は極めて見劣りするものであった。また、比較例2に
ついても同様で、共重合量を増加させたにも関わらず、
紡糸速度の影響で織物にした後の収縮が十分でなく、風
合は極めて見劣りするものであった。次に、実施例4〜
5はピーチタッチの風合を目標のもので、ピーチタッチ
風合の比較用布帛(B)と同様に良好な風合を呈するも
のであった。
【0033】さらに、実施例6〜7及び比較例3は、紡
糸口金から集束給油装置間の距離の効果を示すもので、
実施例6〜7は実施例1〜3と同様に良好な風合を呈し
た。
【0034】一方、比較例3は集束給油装置間の距離が
2.2mと長いため、紡糸口金から給油装置間の間で糸
揺れが発生し、ウースター斑が異常に大きくて織物に染
色斑が発生し、製品に供することができなかった。
【0035】実施例8 高収縮性糸条としては、実施例1に用いたBA−EOが
2.0モル%、IPAが4.0モル%共重合したポリエ
ステルを、また、低収縮性糸条としては固有粘度が0.
65のPETを、2機の押出し機より前記ポリエステル
を別々に溶融供給し、同一紡糸パック内に導入する紡糸
機を用いて、図2に示すように紡糸口金の左群配列半分
に24孔のY型断面形状の吐出孔より低収縮成分用ポリ
エステルを、また紡糸口金の右群配列半分に24孔のY
型断面形状の吐出孔より高収縮成分用ポリエステルをそ
れぞれ別々に溶融吐出した。口金面と集束給油装置間の
距離が0.8mの位置で、左右別々に集束しつつ給油及
びインターレースノズルによる交絡処理を施した。引き
続き、第1GRで合糸を行い、98℃の第1GRに6.
5回捲き付け、145℃の第2GRに6.5回捲き付
け、延伸倍率を2.65で直接紡糸延伸を行い、PET
で形成された37d/24fの低収縮性糸条と共重合ポ
リエステルで形成された37d/24の高収縮性糸条か
らなる異収縮混繊糸74d/48fを得た。得られた異
収縮混繊糸の物性を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】次いで、得られた異収縮混繊糸を経糸と緯
糸使いで羽二重に製織し、沸水下で5分間のリラックス
精練、弛緩状態で190℃、5分間の乾熱処理、100
℃の3重量%の水酸化ナトリウム水溶液で織物に20重
量%の減量処理を施してから通常のポリエステルの染色
仕上げを行った。
【0038】得られた織物について、比較用布帛(A)
と風合を比較した結果、評価点は7級で、さらには低収
縮性糸条と高収縮性糸条を別々に溶融吐出し、集束して
いるため、織物内でも高収縮性糸条と低収縮性糸条が並
列に並び、布帛の表面はシルク特有のフラッシュ効果が
強調され、高級感あふれる極めて良好な風合を呈するも
のであった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステル異収縮混
繊糸を直接紡糸延伸方法という簡易なプロセスで製造す
ることが可能であり、製編織すれば、良好なふくらみを
有し、ソフト感、ドレープ性及びハリ・コシ感の優れた
布帛となるポリエステル異収縮混繊糸を安定して提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する直接紡糸延伸装置の一実施態
様を示す概略工程図である。
【図2】本発明で使用する直接紡糸延伸装置の他の実施
態様を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金 2 低収縮性糸条用の未延伸糸条 3 高収縮性糸条用の未延伸糸条 4 冷却装置 5 給油装置 6 第1ゴデットローラ 7 第2ゴデットローラ 8 捲取機 9 パッケージ 10 インターレースノズル 11 インターレースノズル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種類のポリエステルを用いて、直接紡
    糸延伸方法で異収縮混繊糸を製造するに際し、少なくと
    も高収縮成分として2,2−ビス{4−(β−ヒドロキ
    シエトキシ)フェニル}プロパンとイソフタル酸との共
    重合ポリエステルを用い、同一紡糸口金のそれぞれ異な
    る吐出孔から溶融吐出し、冷却固化させた後、紡糸口金
    下2m以内の位置で糸条に給油しながら集束し、次い
    で、第1ゴデットローラにて2,000m/分以下の速
    度で引き取り、引き続き第1ゴデットローラと第2ゴデ
    ットローラとの間で延伸することを特徴とするポリエス
    テル異収縮混繊糸の製造方法。
  2. 【請求項2】 同一紡糸口金のそれぞれ異なる吐出孔か
    ら溶融吐出した2種のポリエステルの糸条群を別々に給
    油しながら集束した後、第1ゴデットローラで合糸する
    ことを特徴とするを請求項1記載の異収縮混繊糸の製造
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002294528A (ja) * 2001-03-29 2002-10-09 Toray Ind Inc ポリエステル収縮差混繊糸
JP2002302835A (ja) * 2001-04-04 2002-10-18 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル異収縮混繊糸
CN103060936A (zh) * 2013-01-29 2013-04-24 朱建平 一步法高速poy+fdy复合丝纺丝设备

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