JPH11288741A - リチウム二次電池及びリチウム二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池及びリチウム二次電池用電極の製造方法

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JPH11288741A
JPH11288741A JP11027966A JP2796699A JPH11288741A JP H11288741 A JPH11288741 A JP H11288741A JP 11027966 A JP11027966 A JP 11027966A JP 2796699 A JP2796699 A JP 2796699A JP H11288741 A JPH11288741 A JP H11288741A
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lithium
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高エネルギー密度・高出力密度を有し、かつ電
池内の温度が異常に上昇しても高い安全性が得られ、ま
た優れた生産性が得られるリチウム二次電池及びそのリ
チウム二次電池用電極の製造方法を提供する。 【解決手段】本発明のリチウム二次電池は、リチウムイ
オンを放出できる正極1と、正極1から放出されたリチ
ウムイオンを吸蔵および放出できる負極2と、正極1と
負極2との間でリチウムイオンを移動させる電解質3
と、を備えるリチウム二次電池において、前記正極1及
び前記負極2の少なくとも一方(図1では負極2)は、
他方との対向面にセパレータに代わる多孔質被膜2cを
一体的に有することを特徴とする。また、本発明のリチ
ウム二次電池用電極の製造方法は、電極体成形工程、高
分子塗布工程、高分子析出工程及び乾燥工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノート型コンピュ
ーターや小型携帯機器などの電子機器や自動車のバッテ
リーに利用できるリチウム二次電池及びその電極の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ノート型コンピューターや小型携
帯機器などの電子機器、又は自動車のクリーンなエネル
ギー源として利用できる高性能な二次電池の開発が盛ん
である。こうした二次電池には、小型、軽量でありなが
ら大容量・高出力をもつもの、すなわち高エネルギー密
度・高出力密度をもつ電池が求められている。最近、特
にリチウム二次電池が、このような性能をもつ二次電池
として注目されている。
【0003】従来のリチウム二次電池には、リチウムイ
オンを放出できる正極と、該正極から放出された該リチ
ウムイオンを吸蔵および放出できる負極と、該正極及び
該負極の間に介在するセパレータと、該正極と該負極と
の間で該リチウムイオンを移動させる電解質と、を備え
る電池がある。従来のリチウム二次電池では、正極及び
負極とは別に用意されたセパレータが、電池の組立段階
で正極及び負極の間に挟み込まれていた。しかし、この
電池では、正極、負極及びセパレータをそれぞれ整合性
良く組み合わせることが容易でないため、高い歩留まり
率で製造することができなかった。例えば円筒型の電池
では、帯状の正極及び負極が間に帯状のセパレータを挟
んで巻回されて電池容器内に収納されているが、この巻
回の工程でセパレータの巻きズレなどが生じていた。こ
のように、従来のリチウム二次電池では、生産性が優れ
ているとは言い難く、電池の製造コストが高くなってい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、高エネルギー密度・高出力密
度を有し、かつ電池内の温度が異常に上昇しても高い安
全性が得られ、また優れた生産性が得られるリチウム二
次電池及びその電極の製造方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のリチウム二次電池は、リチウムイオンを放出できる
正極と、該正極から放出された該リチウムイオンを吸蔵
および放出できる負極と、該正極と該負極との間で該リ
チウムイオンを移動させる電解質と、を備えるリチウム
二次電池において、前記正極及び前記負極の少なくとも
一方は、他方との対向面にセパレータに代わる多孔質被
膜を一体的に有することを特徴とする。
【0006】この多孔質被膜は、リチウムイオンを選択
的に通過させる大きさの孔(ポア)を有する被膜であ
る。この多孔質被膜がセパレータの役割を果たすため、
本発明のリチウム二次電池ではセパレータが不要とな
る。それゆえ、電池の製造においては、正極及び負極の
みを整合性良く組み合わせればよいため、セパレータの
巻きズレによる歩留まり率の低下が生じなくなる。その
結果、優れた生産性が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のリチウム二次電池では、
コイン型電池、ボタン型電池、円筒型電池及び角型電池
等の公知の電池構造をとることができる。正極の活物質
にはLiMn24などの公知の正極活物質を用いること
ができる。また、負極の活物質には公知の炭素材を用い
ることができる。中でも結晶性の高い天然黒鉛や人造黒
鉛などからなるものを用いることが好ましい。このよう
な結晶性の高い炭素材を用いることにより、負極のリチ
ウムイオンの受け渡し効率を向上させることができる。
また、炭素材以外に酸化物及び硫黄化物などを活物質と
して用いてもよい。正極および負極のいずれも、活物質
を集電体上に設けた電極を用いることが好ましい。
【0008】電解質にも公知のものを用いることができ
る。特に、LiPF6などのリチウム塩をエチレンカー
ボネートなどの有機溶媒に溶解した非水電解液を用いる
ことが好ましい。本発明のリチウム二次電池では、前記
多孔質被膜を一体的に有する前記正極及び前記負極の少
なくとも一方は、水酸基を有する水溶性高分子材料と、
該水酸基と反応する官能基を有する架橋剤とから成る結
着剤が用いられて形成されていることが好ましい。
【0009】本発明においては、多孔質被膜が一体的に
形成される電極は、高分子塗布工程において高分子材料
が溶解した高温の有機溶媒中に浸漬され、さらに高分子
析出工程において水、アルコ−ル、ケトン等に浸漬され
るため、これらの溶液に対して非溶解性のものである必
要がある。水酸基を有する水溶性高分子材料と、該水酸
基と反応する官能基を有する架橋剤とから成る結着剤
は、高温の有機溶媒や、水、アルコ−ル、ケトン等に対
して非溶解性であるため、多孔質被膜が一体的に形成さ
れる電極のそれらの溶液に対する非溶解性を向上させる
ことができる。この架橋させた結着剤を用いた電極で
は、耐有機溶剤性、耐水性が両立し、高分子塗布工程、
高分子析出工程に用いる溶液の選択範囲が広くなり、多
孔質膜の膜質制御が容易になるという利点がある。
【0010】前記架橋剤は、その種類で特に限定される
ものではないが、シランカップリング剤、チタンカップ
リング剤、尿素ホルマリン樹脂、メチロールメラミン樹
脂、グリオキザール及びタンニン酸の少なくとも一種で
あることが好ましい。これらの架橋剤は、水溶性高分子
に含まれる水酸基との反応性に優れた官能基を有し、水
溶性高分子を架橋性良く架橋することができる。中で
も、耐有機溶剤性に優れた水溶性高分子材料を用い、シ
ランカップリング剤を用いてその水溶性高分子材料の水
酸基部分を架橋させた結着剤を用いることが望ましい。
【0011】前記水溶性高分子材料は、その種類で特に
限定されるものではないが、カルボキシメチルセルロー
ス、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニル
アルコール、ポリアクリル酸塩及びポリエチレンオキサ
イドの少なくとも一種であることが好ましい。これらの
水溶性高分子材料は、耐有機溶剤性に特に優れ、多孔質
被膜が一体的に形成される電極の有機溶剤に対する非溶
解性を向上させることができる。
【0012】また、前記水溶性高分子材料に対する前記
架橋剤の添加量は、水溶性高分子に含まれる水酸基の数
と同数以上の加水分解基を有する量であることが好まし
い。このように架橋剤の添加量を選択することにより、
水溶性高分子材料に含まれる親水基(水酸基)を全て架
橋反応させることができる。それゆえ、結着剤の耐水性
と、高温の有機溶媒や、水、アルコ−ル、ケトン等に対
する非溶解性とをさらに向上させることができる。
【0013】具体的には、カルボキシルメチルセルロー
ス:C672(OH)2OCH2COONaにシランカ
ップリング剤:H2NC36Si(OC2 5 3 を添
加する場合であれば、カルボキシルメチルセルロースナ
トリウム塩の分子量が242、水に溶解した状態での水
酸基の数は3であり、一方シランカップリング剤の分子
量が221、加水分解基の数が3であることから、シラ
ンカップリング剤の添加量としてはカルボキシルメチル
セルロースの重量の(221/3)/(242/3)=
0.91倍以上にすることが望ましい。
【0014】本発明のリチウム二次電池では、正極及び
前記負極の少なくとも一方が、他方との対向面にセパレ
ータに代わる多孔質被膜を一体的に有する。この多孔質
被膜は、有機物及び無機物のどちらからなるものでもよ
いが、熱可塑性高分子よりなることが好ましい。ショー
トなどによって電池内の温度が異常に上昇したときに
は、熱可塑性高分子よりなる多孔質被膜がシャットダウ
ン機能を発揮して短絡電流を阻止することができる。そ
れゆえ、電池内の温度が異常に上昇したときでも電池の
安全性が確保される。
【0015】また、前記熱可塑性高分子は、結晶性高分
子であれば150℃以上の融点を有し、非結晶性高分子
であれば150℃以上のガラス転移温度を有する耐熱性
高分子であることが好ましい。このように融点又はガラ
ス転移温度が150℃以上の耐熱性高分子からなる多孔
質被膜は、150℃を超える高温であっても収縮や溶融
などを起こすことがない。それゆえ、電池内の温度が1
50℃を超える高温になっても、この多孔質被膜により
電池の安全性が確保される。
【0016】このとき、前記耐熱性高分子は、ポリベン
ズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポ
リアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエー
テルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリメチルペンテン、アラミド、ポリビニリデン
フロライド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポ
リアセタール及びポリフェニレンエーテル(ポリフェニ
レンオキシド)の少なくとも一種であることが好まし
い。
【0017】これらの耐熱性高分子は、150℃以上の
融点又はガラス転移温度を有する耐熱性高分子の中で
も、特に融点又はガラス転移温度が高い高分子である。
それゆえ、耐熱性に極めて優れた多孔質被膜が得られ
る。本発明のリチウム二次電池では、前記多孔質被膜
は、スポンジ状の中央部と、該中央部に比べて孔径の小
さい空孔を緻密に有する表面部とを備えることが好まし
い。
【0018】この多孔質被膜では、中央部がスポンジ状
となっているため、サイズの大きい空孔を有するととも
に高い空孔率を有する。そのため、電解質(リチウムイ
オン)が極めて移動しやすく、その通過性に極めて優れ
る。さらに、中央部に比べて孔径の小さい空孔を緻密に
有する表面部は、負極におけるデンドライトの析出を抑
制することができる。また、空孔の孔径が小さいため、
高温となったときにその空孔を迅速にかつ十分に閉じる
ことができる。そのため、電池が高温となったときのシ
ャットダウン機能をさらに効果的に働かせることができ
る。さらに、この表面部は、密度が高く頑丈であるた
め、多孔質被膜の機械的強度を大きなものとすることが
できる。
【0019】従って、この多孔質被膜は、電解質(リチ
ウムイオン)の通過性に極めて優れるとともに、高温に
おいてもシャットダウン機能を効果的に働かせることが
できる。それゆえ、リチウム二次電池の負荷特性及び出
力特性など、その電池性能を優れたものとすることがで
きる上、ショート及び異常発熱を効果的に防止すること
ができる。その結果、電池の安全性が極めて高いものと
なる。
【0020】一方、上記課題を解決する本発明のリチウ
ム二次電池用電極の製造方法は、正極活物質及び負極活
物質のいずれか一方の活物質が保持される電極体を成形
する電極体成形工程と、高分子材料が溶解した高分子溶
液を前記電極体の表面に塗布する高分子塗布工程と、前
記高分子溶液が塗布された電極体を高分子材料に対して
難溶性の液に曝すことにより前記高分子材料を析出させ
る高分子析出工程と、前記高分子析出工程で得られた電
極体を乾燥させて析出高分子材料を多孔質被膜とする乾
燥工程とからなることを特徴とする。
【0021】この製造方法では、リチウムイオンが選択
的に通過できる微細なポアを緻密に有する多孔質被膜を
電極の表面上に薄くかつ均一に形成することができる。
その多孔質被膜の膜厚は、電極の表面精度と同程度の厚
さ(5μm)以上にすることができる。この製造方法で
は、高分子材料の種類については特に限定されるもので
はなく、所望の多孔質被膜に応じて選択することができ
る。このとき、高分子材料として特に熱可塑性高分子を
用いれば、得られる多孔質被膜は、従来のセパレータよ
りも薄肉であって、かつ優れたシャットダウン機能を発
揮することができる。また、高分子材料を溶解させる溶
媒及び高分子材料に対して難溶性の液は、使用する高分
子材料に応じてそれぞれ適宜選択する。
【0022】特に、高分子材料は、ポリベンズイミダゾ
ール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホ
ン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
メチルペンテン、アラミド、ポリビニリデンフロライ
ド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセター
ル及びポリフェニレンエーテルの少なくとも一種であっ
て、該高分子材料を溶解させる溶媒は、N−メチル−2
−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、ジメ
チルスルホアミド、ジグライム、トルエン、キシレン、
ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、シクロヘキサ
ン及びシクロヘキサノンの少なくとも一種であるととも
に、該高分子材料に対して難溶性の液は、水、アルコー
ル及びケトンの少なくとも一種であることが好ましい。
【0023】電極体成形工程では、公知の電極体の成形
方法により、正極活物質及び負極活物質のいずれか一方
の活物質を有する電極体を成形することができる。高分
子塗布工程では、高分子材料を溶媒に溶解させて調製し
た高分子溶液を先の工程で得られた電極体に塗布する。
この工程では、高分子溶液の高分子材料の濃度等は特に
限定されるものではなく、高分子材料の種類及び後の工
程での析出量などに応じて選択できる。さらに、膜厚が
均一な多孔質被膜を得るため、高分子溶液に界面活性
剤、消泡剤及び表面調製剤などを添加してもよい。こう
した添加物としては、電池の中で反応性が低く、少量の
添加量でも効果のあるフッ素系又はシリコン系の化合物
が好ましい。さらに、多孔質被膜のポアの形状、大きさ
及び分布を適切にするため、高分子溶液に水、アルコー
ル、グリコール及びケトンなどを添加してもよい。
【0024】前記高分子溶液には塩が溶解されているこ
とが好ましい。この塩により、多孔質被膜にリチウムイ
オンが透過できる孔が形成されやすくなる。その結果、
リチウムイオンの透過性に優れた多孔質被膜を電極に容
易に形成することができるようになる。前記塩は、その
種類で特に限定されるものではないが、リチウム塩が好
ましく、特に塩化リチウム、硝酸リチウム、ヨウ化リチ
ウム、テトラフルオロほう酸リチウム、リチウムビスト
リフルオトメチルスルホニルイミド、6フッ化ひ酸リチ
ウムの少なくとも一種であることが好ましい。これらの
リチウム塩は、溶媒への溶解性に優れるため、塩の添加
量により孔径を制御することができる。
【0025】リチウム塩の濃度は、高分子材料に対して
5重量%〜20重量%が望ましい。リチウム塩の濃度が
5%を下回ると、形成される多孔質被膜の孔が小さくな
り過ぎてリチウムイオンの透過性が悪くなる。その結
果、高い出力特性を得ることが難しくなるなど、優れた
電池性能を得ることが難しくなってしまう。一方、その
濃度が20%を上回ると、多孔質被膜の孔が大きくなり
過ぎて、多孔質被膜のシャットダウン機能などが低下し
てしまう。その結果、許容範囲内ではあるが高い安全性
を得ることが難しくなるなど、優れた電池性能を得るこ
とが難しくなる。
【0026】また、高分子溶液の塗布方法も、ブレード
コーター、ロールコーター、ナイフコーター及びダイコ
ーターなどの塗布方法から電極体の形状に応じて選択す
ることができる。これらの塗布方法では、高分子溶液が
電極体のポア内の空気と置換しないようにするため、高
分子溶液は粘度の高い溶液であることが好ましい。例え
ば高分子材料としてポリエーテルイミドが用いられると
きには、その溶解量を高分子溶液全体に対して10〜3
0重量%(固形分濃度)とすれば、粘度の高い高分子溶
液が得られる。また、増粘剤などを添加することによ
り、高分子溶液の粘度を増加させてもよい。
【0027】前記に挙げた塗布方法の他に、電極体を高
分子溶液に浸漬して塗布することもできる。この塗布方
法では、電極体が高分子溶液から引き上げられたときの
液切れを良くするために、粘度の低い高分子溶液を用い
ることが好ましい。例えば高分子材料としてポリエーテ
ルイミドが用いられるときには、その溶解量を高分子溶
液全体に対して10重量%以下とすれば、粘度の低い高
分子溶液が得られる。
【0028】高分子析出工程では、高分子溶液が塗布さ
れた電極体を高分子材料に対して難溶性の液に浸漬した
り、あるいはこの液を気相としたガスに暴露したりする
ことにより、高分子材料に対して難溶性の液に曝すこと
ができる。高分子材料に対して難溶性の液に曝された高
分子溶液はゲル化し、高分子材料が析出する。乾燥工程
では、恒温槽、熱風乾燥機及び真空乾燥機などを用いて
高分子溶液の溶媒成分を除去することができる。高分子
溶液の溶媒成分が除去されると、析出した高分子材料が
多孔質被膜となる。
【0029】また、前記課題を解決する本発明のもう一
つのリチウム二次電池用電極の製造方法は、正極活物質
及び負極活物質のいずれか一方の活物質が保持される電
極体を成形する電極体成形工程と、高分子材料に対して
可溶性の良溶媒と高分子材料に対して難溶性でかつ該良
溶媒より高沸点を有する貧溶媒との混合溶媒に高分子材
料が溶解した高分子溶液を前記電極体の表面に塗布する
高分子塗布工程と、前記高分子塗布工程で塗布された高
分子溶液を乾燥して相分離させ多孔質被膜とする乾燥工
程とからなることを特徴とする。この製造方法において
も、リチウムイオンが選択的に通過できる微細なポアを
緻密に有する多孔質被膜を電極の表面上に薄くかつ均一
に形成することができる。
【0030】電極体成形工程では、先述の電極体成形工
程と同じようにして電極体を成形することができる。高
分子塗布工程では、高分子溶液の調製方法及び塗布方法
で特に限定されるものではない。例えば、良溶媒に高分
子材料を溶解させ、次いで貧溶媒を混合して高分子溶液
を調製することができる。この高分子溶液は、先述の高
分子塗布工程と同じようにして電極体に塗布することが
できる。
【0031】乾燥工程では、良溶媒が貧溶媒より先に高
分子溶液から飛散する。その結果、高分子材料と相溶性
のない貧溶媒が残り、高分子材料が相分離して析出す
る。次いで残った貧溶媒が飛散し、析出した高分子材料
が多孔質被膜となる。この製造方法では、高分子材料
は、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテ
ルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリメチルペンテン、アラミド、ポ
リビニリデンフロライド、ポリアミド、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリ
レート、ポリアセタール及びポリフェニレンエーテルの
少なくとも一種であって、良溶媒は、NMP、ジメチル
スルホキシド、ジメチルスルホアミド、ジグライム、ト
ルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、ジクロロメ
タン、シクロヘキサン及びシクロヘキサノンの少なくと
も一種であるとともに、貧溶媒は、スルホラン、γ−ブ
チルラクトン、ホルムアミド、ニトロベンゼン、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、トリクレジ
ルホスフェート及びトリフェニルホスフェートの少なく
とも一種であることが好ましい。
【0032】ここに列挙される高分子材料は、ここに列
挙される良溶媒に良く溶解することができる。それゆ
え、高分子溶液の調製が容易になる。また、ここに列挙
される貧溶媒は200℃以上の沸点を有し、これらの良
溶媒よりもかなり高い沸点を有する。それゆえ、乾燥工
程において高分子材料の相分離を容易になすことができ
る。
【0033】また、前記課題を解決する本発明のさらに
もう一つのリチウム二次電池用電極の製造方法は、正極
活物質及び負極活物質のいずれか一方の活物質が保持さ
れる電極体を成形する電極体成形工程と、高分子材料に
対して可溶性の良溶媒に、該良溶媒に対して難溶性でか
つ該良溶媒より高い沸点を有する難溶媒及び該良溶媒に
可溶な塩の少なくとも一方が高分子材料とともに溶解し
た高分子溶液を前記電極体の表面に塗布する高分子塗布
工程と、前記高分子塗布工程で塗布された高分子溶液を
乾燥して前記良溶媒を除去する乾燥工程と、前記難溶媒
及び前記塩を抽出して析出高分子材料を多孔質被膜とす
る抽出工程とからなることを特徴とする。この製造方法
においても、リチウムイオンが選択的に通過できる微細
なポアを緻密に有する多孔質被膜を電極の表面上に薄く
かつ均一に形成することができる。
【0034】電極体成形工程では、先述の電極体成形工
程と同じようにして電極体を成形することができる。高
分子塗布工程では、高分子溶液の調製方法及び塗布方法
で特に限定されない。例えば、良溶媒に難溶媒が高分子
材料とともに溶解した高分子溶液を用いる場合には、良
溶媒に高分子材料を溶解させ、次いで難溶媒を混合して
高分子溶液を調製することができる。また、良溶媒に塩
が高分子材料とともに溶解した高分子溶液を用いる場合
には、良溶媒に高分子材料を溶解させ、次いで塩を混合
して高分子溶液を調製することができる。この高分子溶
液は、先述の高分子塗布工程と同じようにして電極体に
塗布することができる。
【0035】乾燥工程では、良溶媒に難溶媒が高分子材
料とともに溶解した高分子溶液を用いた場合には、良溶
媒が難溶媒より先に高分子溶液から飛散する。その結
果、高分子材料が析出するとともに、析出した高分子材
料中に相溶性のない難溶媒が残る。一方、良溶媒に塩が
高分子材料とともに溶解した高分子溶液を用いた場合に
は、良溶媒が高分子溶液から飛散する。その結果、高分
子材料が析出するとともに、析出した高分子材料中に塩
が残る。
【0036】抽出工程では、乾燥工程で得られた電極体
を、難溶媒及び塩が溶解できる抽出液などに浸漬するな
どして曝す。その結果、高分子材料中に残った難溶媒及
び塩が抽出され、高分子材料が多孔質被膜となる。この
製造方法では、高分子材料は、ポリベンズイミダゾー
ル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホ
ン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
メチルペンテン、アラミド、ポリビニリデンフロライ
ド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセター
ル及びポリフェニレンエーテルの少なくとも一種であっ
て、良溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチル
スルホキシド、ジメチルスルホアミド、ジグライム、ト
ルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、ジクロロメ
タン、シクロヘキサン及びシクロヘキサノンの少なくと
も一種であるとともに、難溶媒は、スルホラン、γ−ブ
チルラクトン、ホルムアミド、ニトロベンゼン、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、トリクレジ
ルホスフェート及びトリフェニルホスフェートの少なく
とも一種であることが好ましい。
【0037】ここに列挙される高分子材料は、ここに列
挙される良溶媒に良く溶解することができる。それゆ
え、高分子溶液の調製が容易になる。また、ここに列挙
される難溶媒は200℃以上の沸点を有し、これらの良
溶媒よりもかなり高い沸点を有する。それゆえ、乾燥工
程において良溶媒の除去が容易になる。ここに列挙され
る難溶媒は、水、アルコール及びケトンなどの抽出液で
抽出することができる。
【0038】また、この製造方法では、高分子材料は、
ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイ
ミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、
ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリメチルペンテン、アラミド、ポリビ
ニリデンフロライド、ポリアミド、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレー
ト、ポリアセタール及びポリフェニレンエーテルの少な
くとも一種であって、良溶媒は、NMP、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルスルホアミド、ジグライム、トルエ
ン、キシレン、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタ
ン、シクロヘキサン及びシクロヘキサノンの少なくとも
一種であるとともに、塩は、塩化リチウム及びリチウム
パーフルオロメチルスルホニルイミドの少なくとも一種
であることが好ましい。
【0039】ここに列挙される高分子材料は、ここに列
挙される良溶媒に良く溶解することができる。それゆ
え、高分子溶液の調製が容易になる。また、ここに列挙
される貧溶媒は200℃以上の沸点を有し、ここに列挙
される良溶媒よりもかなり高い沸点を有する。それゆ
え、乾燥工程において良溶媒の除去が容易になる。ここ
に列挙される塩は、水、アルコール及びケトンなどの抽
出液で抽出することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。 (実施例1)本実施例のリチウム二次電池は、図1にそ
の電池構造を概略的に示すように、リチウムイオンを放
出できる正極1と、正極1から放出されたリチウムイオ
ンを吸蔵及び放出できる炭素材料よりなる負極2と、電
解液3、3とを備えるコイン型のリチウムイオン二次電
池である。正極1、負極2及び非水電解液3がステンレ
スよりそれぞれなる正極ケース4および負極ケース5内
にポリプロピレンよりなるガスケット6を介して密封さ
れている。
【0041】正極1は、アルミニウムよりなる正極集電
体1a上に、LiMn24が含まれる正極活物質層1b
を有する電極である。負極2は、銅箔よりなる負極集電
体2a上に、炭素材の負極活物質層2bを有し、かつ正
極1との対向面にセパレータに代わる多孔質被膜2cを
一体的に有する電極である。非水電解液3は、エチレン
カーボネートとジエチルカーボネートとをそれぞれ所定
の割合で混合して得た溶媒に、電解質としてLiPF6
を1モル/リットルの濃度で溶解して調製したものであ
る。
【0042】負極2は、次のようにして形成したもので
ある。 [電極体成形工程]炭素材としてメソフェーズマイクロ
ビーズ(MCMB)粉末を用意し、ポリビニリデンフロ
ライド(PVDF)とともに所定の割合で所定量のNM
Pとともに良く混合してペースト状の負極用合剤を得
た。次いで、この負極用合剤を銅箔2aにブレードコー
ターを用いて塗布した。この塗布した負極用合剤を高温
槽で乾燥させることにより合剤中のNMPを揮発させて
除去し、合剤を固化させた。最後に、この固化させた負
極用合剤を所定の密度となるようにプレス成形すること
により、銅箔よりなる負極集電体2a上に炭素材の負極
活物質層2bを有する負極用電極体を得た。 [高分子塗布工程]高分子材料として用意されたポリエ
ーテルイミドをNMPに溶解して高分子溶液を得た。こ
こでは、ポリエーテルイミドの溶解量を高分子溶液全体
に対して25重量%として増粘剤により粘度を比較的高
くした。本工程では、この高分子溶液をブレードコータ
ーを用いて負極用電極体に塗布した。このとき、高分子
溶液は、その高粘度により負極用電極体のポア内の空気
と置換することはなかった。 [高分子析出工程]高分子溶液が塗布された負極用電極
体をアセトン液に1分間浸漬した。アセトン液は、ポリ
エーテルイミドに対して難溶性の液である。その結果、
負極用電極体の表面上の高分子溶液がゲル化し、この高
分子溶液中にポリエーテルイミドが均質に析出した。本
工程では、高分子溶液が塗布された負極用電極体をアセ
トンガスに暴露してもよい。 [乾燥工程]該高分子析出工程で得られた負極用電極体
に80℃の熱風を吹きかけ、塗布した高分子溶液を乾燥
させた。その結果、高分子析出工程で析出させたポリエ
ーテルイミドが負極用電極体上に多孔質被膜となって残
された。こうして、多孔質被膜2cを一体的に有する負
極2が得られた。 (実施例2)本実施例では、高分子塗布工程において、
高分子材料としてポリイミドを用いた他は実施例1と同
じ工程を経て負極を形成した。なお、高分子溶液のポリ
イミドの溶解量は高分子溶液全体に対して20重量%と
した。この負極を用い、実施例1のリチウム二次電池と
同じ電池を作製した。 (放電容量の評価)実施例1及び実施例2の各リチウム
二次電池について、次のようにして放電容量を測定し
た。
【0043】1mA/cm2 の定電流、4.3Vの定電
圧で合計4時間充電した後、0.25〜4mA/cm2
の定電流で放電を行った。このときの放電容量を測定し
た。その結果、実施例1のリチウム二次電池は、1.6
mAhの放電容量を有することがわかった。この放電容
量は、正極活物質1g当たりの量に換算すると、103
mAh/gであり、高容量である。従って、実施例1の
リチウム二次電池は、高エネルギー密度・高出力密度を
有することがわかる。
【0044】一方、実施例2のリチウム二次電池は、
1.7mAhの放電容量を有することがわかった。この
放電容量は、正極活物質1g当たりの量に換算すると、
106mAh/gであり、高容量である。従って、実施
例2のリチウム二次電池も、高エネルギー密度・高出力
密度を有することがわかる。 (安全性の評価)実施例1及び実施例2の各リチウム二
次電池について、電池内温度を150℃にして前記と同
様の充放電試験をそれぞれ行った。その結果、いずれの
電池においても、負極の多孔質被膜が収縮及び溶融する
ことなく充放電がなされ、ショートが生じることがなか
った。 (実施例3)負極活物質としてMCMBと、結着剤とし
てSBRラテックスと、カルボキシルメチルセルロース
ナトリウム塩と、シランカップリング剤とをそれぞれ用
意し、それらを固形分比率95:3:1:1で配合し
て、水を分散媒(溶媒)として負極ペーストを作製し
た。次いで、この負極ペーストを銅箔にブレードコータ
を用いて塗布した。
【0045】この塗布した負極合剤を恒温槽で乾燥させ
ることにより合剤中の水分を揮発させて除去し、合剤を
固化させた。次にこの固化させた負極合剤を所定の密度
となるようにプレス成形し、さらに恒温槽で110℃×
1時間加熱することにより架橋反応を促進し、耐有機溶
剤性及び耐水性に優れる負極を得た。高分子塗布工程で
は、先ず、ポリフェニレンエーテル(GEプラスチック
社製、PPO534)、リチウムビストリフルオロスル
ホニルイミド及びNMPをそれぞれ25:5:75の重
量比で混合した後、100℃まで加熱して均一に溶解さ
せて高分子溶液を調製した。この高分子溶液をブレード
コータを用いて負極の表面上に塗布した。
【0046】この高分子塗布工程に次ぐ抽出工程では、
高分子溶液が塗布された負極をエタノール中に浸漬し
て、NMP及びリチウムビストリフルオロスルホニルイ
ミドの抽出を行い、負極の表面上に多孔質被膜を一体的
に形成した。こうして多孔質被膜が表面に一体的に形成
された負極を用い、実施例1と同様にしてリチウム二次
電池を作製した。このリチウム二次電池を表1に示す充
放電条件により充放電を繰り返し、サイクル毎にその放
電容量を測定した。その測定結果を図2に示す。なお、
図2では、測定された放電容量を、正極活物質1g当た
りの量に換算して示した。
【0047】
【表1】 図2より、正極活物質1g当たりの初期容量は101
(mAh/g)と高い値であることがわかる。この結果
より、本実施例のリチウム二次電池が高容量を有するこ
とがわかる。 (実施例4)本実施例では、NMP及び塩の抽出液とし
て水を用いたことの他は、実施例3と同様にして、多孔
質被膜が表面に一体的に形成された負極を形成した。次
いで、この負極を用い、実施例1と同様にしてリチウム
二次電池を作製した。このリチウム二次電池を表1に示
す充放電条件により充放電を繰り返し、サイクル毎にそ
の放電容量を測定した。その測定結果を図2に併せて示
す。なお、本実施例についても、実施例3と同様に、測
定された放電容量を正極活物質1g当たりの量に換算し
て、図2に示した。
【0048】図2より、正極活物質1g当たりの初期容
量は106(mAh/g)と高い値であることがわか
る。この結果より、本実施例のリチウム二次電池が高容
量を有することがわかる。このような結果が得られたの
は、抽出液として水を用いたことにより、NMPとの置
換速度が遅くなって、均一な大きさの孔径の孔を均一な
分布で有する多孔質被膜が形成されたためであると考え
られる。すなわち、このような多孔質被膜では、孔の実
質的な開口率が大きくなる。その結果、大電流放電時の
電池特性が向上したものと考えられる。
【0049】以上のように、実施例3及び実施例4で
は、高分子材料の難溶性溶媒に可溶な塩を高分子溶液に
加えられ、この塩が難溶性溶媒に溶解するため、表面部
が多孔質化される。その結果、スポンジ状の中央部と、
該中央部に比べて孔径の小さい空孔を緻密に有する表面
部とを備える多孔質被膜が形成される。この多孔質被膜
では、イオン伝達がスムーズに行われ、負荷特性・出力
特性に優れた電池を得ることができる。 (実施例5)以下のようにしてそれぞれ形成した正極及
び負極を用いた他は、実施例1と同様にしてリチウム二
次電池を作製した。
【0050】正極については次のようにして形成した。
先ず、87重量部のLiMn24 からなる正極活物質
と、10重量部の人造黒鉛からなる導電材と、3重量部
のポリフッ化ビニリデンからなる結着剤とを混合して正
極合剤を調製した。この正極合剤をAl箔上に塗布した
後、プレス成形してシート状の正極を形成した。
【0051】負極については次のようにして形成した。
先ず、95重量部のMCMBからなる負極活物質と、
4.7重量部のSBRと、0.3重量部のCMC(カル
ボキシルメチルセルロース)からなる結着剤を含む合剤
をCu箔上に塗布後、プレス成形してシート状の負極を
形成した。続いて、固形分濃度が25重量%のポリフェ
ニレンエーテル(GEプラスチック社製、PPO53
4)と、リチウムビストリフルオロスルホニルイミドと
をそれぞれNMPに溶解して、高分子溶液を調製した。
なお、ここでは、リチウムビストリフルオロスルホニル
イミドが高分子溶液全体に対して5重量%含有されるよ
うに、高分子溶液を調製した。
【0052】こうして得られた高分子溶液を、負極の表
面上にブレードコータを用いてほぼ均一な厚さで一様に
塗布した。この高分子溶液が塗布された負極を水中に2
分間浸漬し、引き上げて乾燥した。その結果、負極上に
多孔質被膜が形成された。この多孔質被膜の表面を走査
型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した結果、図3の
SEM写真に写されているように、最大孔径が80nm
の空孔が緻密に存在していることがわかった。
【0053】一方、その多孔質被膜の断面をSEMを用
いて観察した結果、図4のSEM写真に写されているよ
うに、多孔質被膜が電極上に一体的に形成されているこ
とがわかった。次いで、多孔質被膜の表面付近の厚み方
向の断面をさらに詳細に観察した結果、表面より1μm
以内では図5のSEM写真に写されているように、小さ
な空孔が緻密に存在することが確認できるとともに、フ
ィブリルが比較的細く、長径及び短径も比較的揃ってい
ることがわかった。
【0054】また、多孔質被膜の中央付近の厚み方向の
断面をさらに詳細に観察した結果、図6のSEM写真に
写されているように、空孔がスポンジの空孔のように存
在していることがわかった。従って、本実施例で形成さ
れた多孔質被膜は、SEMによる観察の結果、スポンジ
状の中央部と、該中央部に比べて孔径の小さい空孔を緻
密に有する表面部とを備えていることがわかった。 (実施例6)多孔質被膜を次のように負極の表面上に形
成した他は、実施例5と同様にしてリチウム二次電池を
作製した。
【0055】実施例5で用いたポリフェニレンエーテル
と同じものと、リチウムビストリフルオロスルホニルイ
ミドとをそれぞれNMPに溶解して、高分子溶液を調製
した。ここでは、リチウムビストリフルオロスルホニル
イミドが高分子溶液全体に対して2.5重量%含有され
るように、高分子溶液を調製した。こうして得られた高
分子溶液を、負極の表面上にブレードコータを用いてほ
ぼ均一な厚さで一様に塗布した。この高分子溶液が塗布
された負極を水中に2分間浸漬し、引き上げて乾燥し
た。その結果、負極の表面上に多孔質被膜が形成され
た。 (実施例7)多孔質被膜を次のように負極の表面上に形
成した他は、実施例5と同様にしてリチウム二次電池を
作製した。
【0056】実施例5で用いたポリフェニレンエーテル
と同じものと、リチウムビストリフルオロスルホニルイ
ミドとをそれぞれNMPに溶解して、高分子溶液を調製
した。ここでは、リチウムビストリフルオロスルホニル
イミドが高分子溶液全体に対して1.25重量%含有さ
れるように、高分子溶液を調製した。この高分子溶液を
負極の表面上に、ブレードコータを用いてほぼ均一な厚
さで一様に塗布した。この高分子溶液が塗布された負極
を水中に2分間浸漬し、引き上げて乾燥した。その結
果、負極の表面上に多孔質被膜が形成された。 (実施例8)多孔質被膜を次のように負極の表面上に形
成した他は、実施例5と同様にしてリチウム二次電池を
作製した。
【0057】実施例5で用いたポリフェニレンエーテル
と同じものをNMPに溶解して、高分子溶液を調製し
た。この高分子溶液を負極の表面上に、ブレードコータ
を用いてほぼ均一な厚さで一様に塗布した。この高分子
溶液が塗布された負極を水中に2分間浸漬し、引き上げ
て乾燥した。その結果、負極の表面上に多孔質被膜が形
成された。 (実施例5〜8のリチウム二次電池の放電容量の測定)
上記のように作製された実施例5〜8の各リチウム二次
電池について、次の充放電条件によってそれぞれ放電容
量を測定した。
【0058】1mA/cm2 の定電流、4.2Vの定電
圧で合計4時間充電した後、0.5〜12mA/cm2
の定電流で放電を行った。各リチウム二次電池の放電容
量の測定結果をそれぞれ表2及び図7に示す。なお、図
7では、測定された放電容量を、正極合剤1g当たりの
量に換算して示した。
【0059】
【表2】 表2及び図7より、実施例5〜7の各リチウム二次電池
では、いずれも実施例8に比較して、放電負荷特性に優
れていることがわかった。従って、この結果から、リチ
ウム塩として、リチウムビストリフルオロスルホニルイ
ミドを用いることにより、表面の緻密な層の多孔化が可
能になることがわかる。
【0060】また、表2及び図7より、実施例8のリチ
ウム二次電池では、0.5mA/cm2 の低電流のとき
では十分な容量が得られにくいのに対し、実施例5〜7
のリチウム二次電池では、0.5mA/cm2 の低電流
のときでも十分な容量が得られることがわかる。特に、
実施例5のリチウム二次電池では、高電流の時にも優れ
た特性が得られることがわかる。これらの結果から、リ
チウム塩の濃度を高分子材料に対して5重量%〜20重
量%にすると、低電流及び高電流のいかなる電流によっ
ても十分に高い放電容量を容易に得ることができること
がわかる。
【0061】なお、本発明のリチウム二次電池は上述の
実施例のコイン型に限られるものではなく、円筒型であ
ってもよい。例えば、図8及び図9に示されるように、
心棒10、巻回電極20、電池ケース30、及び電池ケ
ース30内に保持された非水電解液(図示せず)からな
るリチウム二次電池とすることができる。図8及び図9
に示したリチウム二次電池は、負極の表面に多孔質被膜
が一体的に形成されたものである。
【0062】心棒10は、一端側に設けられる正極端子
部11と、他端側に設けられる負極端子部12と、正極
端子部11及び負極端子部12の間に介在して正極端子
部11及び負極端子部12を連結する連結ピン13とか
らなる。正極端子部11は、有底円筒状の本体部111
と、本体部111の一端側に一体的に形成されたフラン
ジ112と、フランジ112より突出し外周にネジ山が
形成された突出部113とからなり、それぞれ導電体材
料により一体的に成形されてなる。負極端子部12も正
極端子部11と同様に、有底円筒状の本体部121と、
本体部121の他端側に一体的に形成されたフランジ1
22と、フランジ122より突出し外周にネジ山が形成
された突出部123とからなり、それぞれ導電体材料に
より一体的に成形されてなる。連結ピン13は、正極端
子部11及び負極端子部12を絶縁するため絶縁材料に
よりなり、中央部にリング状の突部131を有する。
【0063】巻回電極20は、帯状の正極21と帯状の
負極22とが、渦巻き状に巻回されて形成されたもので
ある。正極21は、集電体211と、この集電体211
の両面に形成された正極活物層212とからなる。集電
体211は、数10μm以下の薄いアルミニウム箔から
なる。正極活物層212は、リチウムマンガン酸化物及
び導電材が結着剤で結着されて形成されたものである。
【0064】負極22は、集電体221と、この集電体
221の両面に設けられた負極活物質222と、負極活
物質の表面上に形成された多孔質被膜23とからなる。
負極22の集電体221は、数10μm以下の薄い銅箔
からなる。負極活物質222は、カーボンなどからな
る。巻回電極20は、正極21及び負極22が巻回軸方
向に対してそれぞれ反対方向にずらされて巻回されて形
成されたものであり、その軸方向端より突出した集電体
よりなる突出端部213(上端側)及び突出端部223
(下端側)を有する。すなわち、正極21の突出端部2
13と負極22の突出端部223とは、巻回軸長方向に
沿って互いに背向する方向へ突出している。
【0065】この巻回電極20は、正極21及び負極2
2を公知の巻回方法によって巻回して形成することがで
きる。正極21の突出端部213は、求心方向に延びて
その先端部で正極端子部11に接合されている正極集電
板214に溶接されている。すなわち、正極21は、突
出端部213及び正極集電板214を介して正極端子部
11に電気的に接続されている。また、負極22の突出
端部223は、求心方向に延びてその先端部で負極端子
部12に接合されている負極集電板224に溶接されて
いる。すなわち、負極22は、突出端部223及び負極
集電板224を介して負極端子部12に電気的に接続さ
れている。
【0066】ケース30は、金属製の筒部31と、筒部
31の両端の開口を塞ぐ蓋部32、32とから構成され
ている。蓋部32、32はそれぞれ中心部に貫通孔を有
する。これら蓋部32、32の貫通孔に、心棒10の正
極端子部11及び負極端子部12の突出部113、12
3が絶縁パッキング33、33を介して装着される。そ
して、雌ねじを有する平ワッシャー状のナット34、3
4が正負の突出部113、123に螺合されることによ
り、蓋部32、32が固定されて筒部31の開口を封止
し、電池内が密閉されている。
【0067】非水電解液は、エチレンカーボネートなど
を含む有機溶媒にLiPF6 などのリチウム塩を溶解さ
せて調製したものである。
【0068】
【効果】本発明のリチウム二次電池は、高エネルギー密
度・高出力密度を有するため、携帯用電子機器や自動車
のバッテリーとして利用することができる。また、本発
明のリチウム二次電池では優れた生産性が得られるた
め、従来の電池に比べて製造コストが小さくなる。
【0069】本発明のリチウム二次電池用電極の製造方
法では、多孔質被膜を電極の表面上に薄くかつ均一に形
成することができるため、本製造方法で得られた薄い電
極を用いれば、セパレータが占めていた体積量だけ電極
の占める体積を増やすことができる。その結果、電池容
量が大きくなり、電池のエネルギー密度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のリチウム二次電池において、その
構造を概略的に示す縦断面図である。
【図2】 実施例3及び実施例4の各リチウム二次電池
について、それらの充放電サイクル特性をそれぞれ示す
グラフである。
【図3】 実施例5のリチウム二次電池において、その
負極に形成された多孔質被膜の表面の様子を10万倍に
拡大して示すSEM写真である。
【図4】 実施例5のリチウム二次電池において、その
負極に形成された多孔質被膜の断面を2000倍に拡大
して示すSEM写真である。
【図5】 実施例5のリチウム二次電池において、その
負極に形成された多孔質被膜の表面付近の厚み方向の断
面を5万倍に拡大して示すSEM写真である。
【図6】 実施例5のリチウム二次電池において、その
負極に形成された多孔質被膜の中央付近の厚み方向の断
面を5万倍に拡大して示すSEM写真である。
【図7】 実施例5〜8の各リチウム二次電池につい
て、それらの放電負荷特性をそれぞれ示すグラフであ
る。
【図8】 本発明のリチウム二次電池として用いること
のできる円筒型電池を概略的に示す電池の断面図であ
る。
【図9】 図8の要部(巻回電極20)の断面を拡大し
て概略的に示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1:正極 1a:正極集電体 1b:正極活物質層
2:負極 2a:負極集電体 2b:負極活物質層 2
c:多孔質被膜 3:非水電解液 4:正極ケース
5:負極ケース 6:ガスケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 4/62 H01M 4/62 Z (72)発明者 細川 徳一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 新開 竜一郎 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムイオンを放出できる正極と、該
    正極から放出された該リチウムイオンを吸蔵および放出
    できる負極と、該正極と該負極との間で該リチウムイオ
    ンを移動させる電解質と、を備えるリチウム二次電池に
    おいて、前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、他
    方との対向面にセパレータに代わる多孔質被膜を一体的
    に有することを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 前記多孔質被膜を一体的に有する前記正
    極及び前記負極の少なくとも一方は、水酸基を有する水
    溶性高分子材料と、該水酸基と反応する官能基を有する
    架橋剤とから成る結着剤が用いられて形成されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 前記架橋剤が、シランカップリング剤、
    チタンカップリング剤、尿素ホルマリン樹脂、メチロー
    ルメラミン樹脂、グリオキザール及びタンニン酸の少な
    くとも一種であることを特徴とする請求項2に記載のリ
    チウム二次電池。
  4. 【請求項4】 前記水溶性高分子材料が、カルボキシメ
    チルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロー
    ス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩及びポリ
    エチレンオキサイドの少なくとも一種である請求項2に
    記載のリチウム二次電池。
  5. 【請求項5】 前記水溶性高分子材料に対する前記架橋
    剤の添加量が、水溶性高分子に含まれる水酸基の数と同
    数以上の加水分解基を有する量であることを特徴とする
    請求項2に記載のリチウム二次電池。
  6. 【請求項6】 前記多孔質被膜は、熱可塑性高分子より
    なる請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電
    池。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性高分子は、結晶性高分子で
    あれば150℃以上の融点を有し、非結晶性高分子であ
    れば150℃以上のガラス転移温度を有する耐熱性高分
    子である請求項6に記載のリチウム二次電池。
  8. 【請求項8】 前記耐熱性高分子は、ポリベンズイミダ
    ゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド
    イミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスル
    ホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
    リメチルペンテン、アラミド、ポリビニリデンフロライ
    ド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
    チレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセター
    ル及びポリフェニレンエーテルの少なくとも一種である
    請求項7に記載のリチウム二次電池。
  9. 【請求項9】 前記多孔質被膜は、スポンジ状の中央部
    と、該中央部に比べて孔径の小さい空孔を緻密に有する
    表面部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のリ
    チウム二次電池。
  10. 【請求項10】 正極活物質及び負極活物質のいずれか
    一方の活物質が保持される電極体を成形する電極体成形
    工程と、高分子材料が溶解した高分子溶液を前記電極体
    の表面に塗布する高分子塗布工程と、前記高分子溶液が
    塗布された電極体を前記高分子材料に対して難溶性の液
    に曝すことにより高分子材料を析出させる高分子析出工
    程と、前記高分子析出工程で得られた電極体を乾燥して
    析出高分子材料を多孔質被膜とする乾燥工程とからなる
    ことを特徴とするリチウム二次電池用電極の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記高分子材料は、ポリベンズイミダ
    ゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド
    イミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスル
    ホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
    リメチルペンテン、アラミド、ポリビニリデンフロライ
    ド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
    チレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセター
    ル及びポリフェニレンエーテルの少なくとも一種であっ
    て、該高分子材料を溶解させる溶媒は、N−メチル−2
    −ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホ
    アミド、ジグライム、トルエン、キシレン、ジメチルア
    セトアミド、ジクロロメタン、シクロヘキサン及びシク
    ロヘキサノンの少なくとも一種であるとともに、該高分
    子材料に対して難溶性の液は、水、アルコール及びケト
    ンの少なくとも一種である請求項10に記載のリチウム
    二次電池用電極の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記高分子溶液には塩が溶解されてい
    る請求項10及び請求項11のいずれかに記載のリチウ
    ム二次電池用電極の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記塩は塩化リチウム、硝酸リチウ
    ム、ヨウ化リチウム、テトラフルオロほう酸リチウム、
    リチウムビストリフルオトメチルスルホニルイミド、6
    フッ化ひ酸リチウムの少なくとも一種である請求項11
    に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
  14. 【請求項14】 正極活物質及び負極活物質のいずれか
    一方の活物質が保持される電極体を成形する電極体成形
    工程と、高分子材料に対して可溶性の良溶媒と高分子材
    料に対して難溶性でかつ該良溶媒より高沸点を有する貧
    溶媒との混合溶媒に高分子材料が溶解した高分子溶液を
    前記電極体の表面に塗布する高分子塗布工程と、前記高
    分子塗布工程で塗布された高分子溶液を乾燥して相分離
    させ多孔質被膜とする乾燥工程とからなることを特徴と
    するリチウム二次電池用電極の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記高分子材料は、ポリベンズイミダ
    ゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド
    イミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスル
    ホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
    リメチルペンテン、アラミド、ポリビニリデンフロライ
    ド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
    チレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセター
    ル及びポリフェニレンエーテルの少なくとも一種であっ
    て、前記良溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメ
    チルスルホキシド、ジメチルスルホアミド、ジグライ
    ム、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、ジク
    ロロメタン、シクロヘキサン及びシクロヘキサノンの少
    なくとも一種であるとともに、前記貧溶媒は、スルホラ
    ン、γ−ブチルラクトン、ホルムアミド、ニトロベンゼ
    ン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
    トリクレジルホスフェート及びトリフェニルホスフェー
    トの少なくとも一種である請求項14に記載のリチウム
    二次電池用電極の製造方法。
  16. 【請求項16】 正極活物質及び負極活物質のいずれか
    一方の活物質が保持される電極体を成形する電極体成形
    工程と、高分子材料に対して可溶性の良溶媒に、該良溶
    媒に対して難溶性でかつ該良溶媒より高い沸点を有する
    難溶媒及び該良溶媒に可溶な塩の少なくとも一方が高分
    子材料とともに溶解した高分子溶液を前記電極体の表面
    に塗布する高分子塗布工程と、前記高分子塗布工程で塗
    布された高分子溶液を乾燥して前記良溶媒を除去する乾
    燥工程と、前記難溶媒及び前記塩を抽出して析出高分子
    材料を多孔質被膜とする抽出工程とからなることを特徴
    とするリチウム二次電池用電極の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記高分子材料は、ポリベンズイミダ
    ゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド
    イミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスル
    ホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
    リメチルペンテン、アラミド、ポリビニリデンフロライ
    ド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
    チレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセター
    ル及びポリフェニレンエーテルの少なくとも一種であっ
    て、前記良溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメ
    チルスルホキシド、ジメチルスルホアミド、ジグライ
    ム、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、ジク
    ロロメタン、シクロヘキサン及びシクロヘキサノンの少
    なくとも一種であるとともに、前記難溶媒は、スルホラ
    ン、γ−ブチルラクトン、ホルムアミド、ニトロベンゼ
    ン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
    トリクレジルホスフェート及びトリフェニルホスフェー
    トの少なくとも一種である請求項16に記載のリチウム
    二次電池用電極の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記高分子材料は、ポリベンズイミダ
    ゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド
    イミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスル
    ホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
    リメチルペンテン、アラミド、ポリビニリデンフロライ
    ド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
    チレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセター
    ル及びポリフェニレンエーテルの少なくとも一種であっ
    て、前記良溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメ
    チルスルホキシド、ジメチルスルホアミド、ジグライ
    ム、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、ジク
    ロロメタン、シクロヘキサン及びシクロヘキサノンの少
    なくとも一種であるとともに、前記塩は、塩化リチウム
    及びリチウムパーフルオロメチルスルホニルイミドの少
    なくとも一種である請求項16に記載のリチウム二次電
    池用電極の製造方法。
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