JPH10217415A - 複合構造体 - Google Patents

複合構造体

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JPH10217415A
JPH10217415A JP2076097A JP2076097A JPH10217415A JP H10217415 A JPH10217415 A JP H10217415A JP 2076097 A JP2076097 A JP 2076097A JP 2076097 A JP2076097 A JP 2076097A JP H10217415 A JPH10217415 A JP H10217415A
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JP
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fiber
sheet
fibers
density
pulp
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JP2076097A
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Inventor
Hiroshi Suenaga
浩 末永
Hisao Ishikawa
久夫 石川
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New Oji Paper Co Ltd
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で高い層間強度を有するパルプ系低密度
体とシート状物又は成形体との複合構造体を提供する。 【解決手段】 湿潤カールファクターが0.4〜1.0
の範囲にあるカールドファイバーと、結合強化ファクタ
ーが0.05以上の微細繊維を含有し、かつ密度が0.
05〜0.45g/cm3 であるパルプ系低密度体と、
シート状物または成形体を積層してなる複合構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量で高い層間強
度を有するパルプ系低密度体とシート状物又は成形体と
の複合構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に低密度体は、その軽量性、緩衝
性、断熱性、吸音性等の特性を生かして様々の分野に使
用されており、最も汎用的に使われているのがポリスチ
レン、ポリウレタン、ポリエチレン等の合成樹脂の発泡
体である。これらの低密度体は単独で十分な性能が出な
い場合や価格を引き下げたい時には、他の素材と貼り合
わせた複合構造体として使用されるケースも多く、例え
ば、上質紙、板紙、ダンボール紙、合成紙、布、不織
布、木板、合成樹脂板或いはシート、ガラス繊維等の無
機繊維紙、金属箔或いは板等と組み合わせて使用され
る。しかし、この合成樹脂発泡体は緩衝性や断熱性に優
れているが、反面、生分解性が無く、自然環境に放置さ
れた場合にそのままの形状を維持し続けるために、長期
間にわたってその場の美観を損ね、環境を汚染する問題
をもつ。又、埋め立てによってその廃棄物を処理した場
合、生分解性が無いことと更には嵩張っていることも災
いして、埋め立て処分場の寿命の短命化の原因ともなっ
ている。又、この素材は、高い燃焼カロリーを有する為
に、焼却炉で処分する場合に、燃焼温度が高くなり、焼
却炉を傷めて炉の寿命を縮めるといった問題を有する。
【0003】そのため、生分解性を有し低燃焼カロリー
であるセルロース繊維系低密度体の提案が多くなされて
いる。例えば、合成樹脂にセルロース繊維を混合して発
泡体とする製造方法(特開昭55−23109号公報、
特開平3−269025号公報、特公昭52−1915
2号公報参照)やセルロース繊維に動植物性の糊料、合
成樹脂エマルジョン、ゴムラテックス等から選ばれた接
着剤を一定の割合で配合した組成物に、分解温度が10
0℃以下の発泡剤を含有させ、発泡させることによる発
泡体の製造方法(特開平7−41588号公報)、セル
ロース繊維に粒子状の発泡剤を混入して抄紙して得られ
る原紙を加熱することにより発泡させて低密度で嵩高な
紙を製造する方法(特開平5−339898号公報)、
セルロース繊維に中空球状バテライト型炭酸カルシウム
を配合してなる嵩高紙(特開平3−124895号公
報)、繊維の柔軟化剤の存在下で架橋剤を反応させて得
られる架橋パルプと、熱融着性繊維の混合物を成型して
得られる嵩高性シート(特開平4−202895号公
報)等が提案されている。
【0004】しかし、セルロース系繊維に熱融着性繊維
を組み合わせて得られる低密度体は、嵩高性には優れて
いるものの、繊維同士の結着点が少なく、又、その接着
力が弱いなどの理由から層間剥離を生じやすく、その製
造時或いは取扱い時或いは成形加工時に紙粉が出やす
く、それを製造あるいは取扱う場所での作業環境に問題
を生じている。又、上記の発泡剤にて発泡させて低密度
体を得る方法の場合、発泡状態の制御が難しく、発泡状
態が局部的に異なる不均一な構造体になりやすく、発泡
が進みすぎた部分は層間剥離を起こし易く、その箇所か
ら紙粉が出るという問題を有する。更に、生分解性のな
い樹脂或いは繊維を使用する方法の場合、廃棄の際に前
述の事柄が問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、生分解性を有するセルロース繊維を原料に
して優れた特性を有する複合構造体を得るべく鋭意検討
した結果、複合構造体の低密度体層部を、特定のカール
ドファイバーと微細繊維を含有せしめたスラリーを脱
液、乾燥して形成することによって、それが得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の成功
の原因は、湿潤カールファクターが0.4〜1.0の範
囲にあるカールドファイバーは繊維間の結合強度が極め
て劣るが、空隙を多く保持できるので低密度になりやす
いことに着目し、これと繊維間結合強化のための他の繊
維を組み合わせた点にある。又、該低密度層と他の素材
からなる層を組み合わせることによって、例えば強度、
表面強度、防水性・防湿性、ガスバリヤー性、柔軟性、
平滑性、印刷適性等の性能の面でより優れたレベルのも
のが得られることを見出した点にある。本発明の目的
は、軽量で層間強度の優れたパルプ系低密度体とシート
状物又は成形体との複合構造体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の複合構造体は、
湿潤カールファクターが0.4〜1.0の範囲にあるカ
ールドファイバーと、結合強化ファクターが0.05以
上の微細繊維を含有し、かつ密度が0.05〜0.45
g/cm3 であるパルプ系低密度体と、シート状物又は
成形体を積層してなることを特徴とするものである。本
発明の複合構造体は、該シート状物又は成形体が、上質
紙、板紙、ダンボール紙、パルプモールド、布、不織
布、木板、合成樹脂板又はシート、無機繊維紙、無機質
紙、金属箔、金属板、およびこれらを複合してなるシー
ト状物又は成形体の何れかであることが好ましい。本発
明の複合構造体においては、該微細繊維の結合強化ファ
クターが0.15〜1.5であることが好ましい。本発
明の複合構造体においては、該カールドファイバーの保
水度が10〜80%の範囲であることが好ましい。ま
た、本発明の複合構造体においては、該低密度体が、該
微細繊維を全繊維重量当たり3〜65重量%と、該カー
ルドファイバーを全繊維重量当り35〜97重量%の割
合で含有するのが好ましい。さらに、本発明の複合構造
体においては、該低密度体が、シート状物、又は成形体
であるのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の複合構造体は、湿潤カー
ルファクターが0.4〜1.0の範囲にあるカールドフ
ァイバーと、結合強化ファクターが0.05以上の微細
繊維を含有し、かつ密度が0.05〜0.45g/cm
3 であるパルプ系低密度体と、シート状物又は成形体と
を積層してなり、例えば、図1〜5に示すような構成を
挙げることが出来る。図の1の部分は、パルプ系低密度
体であり、2の部分はシート状物又は成形体を示してい
る。これらは通常接着剤を用いて貼り合わされるが、互
いに接着性があればそのまま貼り合わせることも出来
る。図1は、シート状物2の片面に、パルプ系低密度体
1が積層された例、図2は、シート状物2の片面に、パ
ルプ系低密度体1が部分的に積層された例、図3は、パ
ルプ系低密度体1の両面にシート状物2が積層された
例、また図4は、シート状物2の両面にパルプ系低密度
体1が積層された例であり、さらに図5は、シート状物
2により作製された箱の四隅にパルプ系低密度体1を貼
り付けた例で、中に入れた物を衝撃から守る効果が期待
できる。パルプ系低密度体1、及びシート状物又は成形
体2の構造及び大きさは、内容物の形状と大きさに合わ
せてデザインされる。本発明の複合構造体の形状は図に
示されるようなシート状、板状などの形状に限定される
ものではなく、又、貼り合わせるもの同士が異なる形状
であってもよく、更に多くの層を積層することも可能で
ある。
【0008】本発明で用いられるシート状物又は成形体
2としては、用途に応じて種々の材料や様々な形状を有
するものが使用されるが、例えば、上質紙、板紙、ダン
ボール紙、パルプモールド、布、不織布、木板、合成樹
脂板又はシート、無機繊維紙、無機質紙、金属箔、金属
板、およびこれらを複合してなるシート状物又は成形体
等が好ましく用いられる。また、カールドファイバーと
微細繊維からなり、密度、強度等の物性の異なるパルプ
系低密度体同士を積層して、所望の複合構造体を得るこ
とも可能である。
【0009】本発明の成功は、カールドファイバーと該
カールドファイバーより繊維間結合の強い微細繊維を組
み合わせることによって、カールドファイバーと他の結
着材の組合せでは到底成しえなかった低密度と強度のバ
ランスのとれた材料となり得ることを見出したことにあ
る。
【0010】カールドファイバーは、架橋反応による化
学結合によってカールやネジレのような変形を固定化し
た、元の繊維の長さと比べて見掛けの長さが小さくなっ
たパルプ繊維であり、本発明では湿潤カールファクター
が0.4〜1.0の範囲にあるカールドファイバーが用
いられる。因みに、湿潤カールファクターとは、湿潤状
態での繊維の変形の程度を示す指標で、カールドファイ
バーを室温下、24時間純水に浸漬した後の繊維の実際
の長さ(LA)と繊維の最大投影長さ(繊維を囲む長方
形の最長辺の長さ、LB)を顕微鏡を用いて測定し、
〔(LA/LB)−1〕で算出される値で、直線的な元
の繊維の長さからどれだけ曲線化しているかを数値化し
たものである。湿潤状態でのカールの状態を示す湿潤カ
ールファクターが重要となるのは、乾燥状態でのカール
ファクターがいくら高くても湿潤カールファクターが小
さければ湿潤することでカールが戻ってしまい、低密度
に成り難いためである。
【0011】湿潤カールファクターが0.4〜1.0の
範囲のカールドファイバーは、パルプ繊維に相当量変形
が付与されて屈曲しており、しかも架橋結合が施されて
いるので繊維は剛直であり、そのためこれ単独からなる
スラリーを脱水・乾燥して得たものは低密度体になる。
しかし、この材料は繊維同士の絡み合いが弱く、又、架
橋処理によりセルロース分子の水酸基(−OH)が減少
しているために、水酸基による水素結合も生成し難くな
っており、得られたものは層間強度が弱く、単独系は実
用に供することができない。パルプ繊維に架橋剤を添加
した後、機械的攪拌を施し、次いでフラッフ化と加熱処
理を行い、繊維に変形を付与したまま固定すると湿潤カ
ールファクターの大きなカールドファイバーが得られ
る。
【0012】カールドファイバーとしては公知のものが
本発明に使用できる。例えば、C2〜C8のジアルデヒ
ド並びに酸官能基を有するC2〜C8のモノアルデヒド
を使用してセルロース系繊維の内部を架橋させた平均保
水度28%〜50%の架橋繊維(特公平5−71702
号公報)、C2〜C9のポリカルボン酸を用いてセルロ
ース系繊維を内部架橋させた保水度25%〜60%の架
橋繊維(特開平3−206174号公報、特開平3−2
06175号公報、特開平3−206176号公報参
照)、更には市販のもの(例えば、米国ウェアハウザー
社製、商品名:HBA−FF、NHB405、NHB4
16等)が挙げられ、適宜選択して用いられる。
【0013】カールドファイバーとしては、水を保持す
る能力を示す保水度の値が10〜80%の範囲のものが
好ましい。中でも、25〜60%の範囲のものがより好
ましい。保水度が10%未満のものは、セルロース表面
の水酸基(−OH)が少な過ぎて繊維間結合が弱くな
り、低密度体は保形性の悪いものに成りがちである。ま
た、保水度が80%を越えたものを使用すると、湿潤状
態でカールが比較的短時間に伸びて元の繊維の形状に近
づいてしまうために、調製時間の長さの違いによって密
度が違ってくる等、安定して低密度体が得られないとい
った問題を有する。しかし、この範囲以外のものを使用
しても、用途によっては実用可能なものと成り得るた
め、本発明のカールドファイバーの保水度はこの範囲に
限定されるものではない。因みに、保水度は、湿潤状態
にある繊維を15分間3000Gの遠心力で脱水した後
のその繊維が保持している水の量を絶乾繊維1g当りの
量として表示した値(%)と定義されるもので、その測
定方法はJAPAN TAPPI No.26−78に
規定されている。
【0014】本発明の低密度層を構成する微細繊維とし
ては、通常天然高分子繊維或いは合成高分子繊維或いは
半合成高分子繊維或いはそれらを処理して得られるもの
が用いられ、結合強化ファクター0.05以上の微細繊
維を用いることにより、十分な層間強度を有する低密度
層が得られる。結合強化ファクターが0.05未満の微
細繊維を使用した場合、カールドファイバー同士の結合
が不充分となり、得られる低密度体は層間剥離を生じや
すく紙粉が発生しやすいものとなり実用的でない。好ま
しくは結合強化ファクターが0.15〜1.5の範囲の
微細繊維が使用され、より好ましくは0.20〜1.5
の範囲のものが使用される。1.5を超える微細繊維
も、本発明において、品質的には十分使用することが可
能であるが、製造コストが上昇する。
【0015】本発明に使用される微細繊維の大きさにつ
いては、特に限定するものではないが、通常数平均繊維
長が0.01〜0.80mmの範囲のものが好ましく使
用される。さらに、歩留り及び分散性の面で0.05〜
0.60mmの範囲のものがより好ましい。繊維形態と
しては、その大部分が細い繊維でできたものや、パルプ
繊維の一部がフィブリル化してその部分だけ細い繊維状
となって分散しているもの等、いろいろな形態がある。
そのため、繊維幅については、パルプ繊維の種類、処理
方法によって異なり一概には言えないが、通常0.1〜
30μmの幅のものが好ましく使用される。
【0016】天然高分子繊維としては、例えば、針葉
樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ
化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パ
ルプ、GP、TMP(サーモメカニカルパルプ)等の機
械パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ、古紙パル
プ等のパルプ繊維、及びバクテリアセルロース等のセル
ロ−ス系繊維、さらにウールや絹糸やコラーゲン繊維等
の蛋白系繊維、キチン・キトサン繊維やアルギン酸繊維
等の複合糖鎖系繊維等が挙げられる。合成高分子繊維と
しては、例えば、脂肪族ポリエステル系繊維、ポリエチ
レン繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維のように
単量体から合成される繊維が挙げられる。また、半合成
高分子繊維としては、例えば、アセチルセルロース系繊
維等のように、天然物を化学修飾して得られる繊維が挙
げられる。
【0017】これらの中でも、セルロース系繊維、脂肪
族ポリエステル系繊維、アセチルセルロース系繊維等の
ように生分解性を有するものが好ましく用いられる。さ
らに、原料供給の安定性及び価格の面から、セルロース
系繊維或いはそれを処理して得られるものが、より好ま
しい。さらに、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サ
ルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得られる
未晒又は晒化学パルプ、GP、TMP(サーモメカニカ
ルパルプ)等の機械パルプ、コットンパルプ、リンター
パルプ、古紙パルプ等のパルプ繊維を湿式で機械的処理
して得られる微細繊維は枝分かれした形状になりやす
く、層間強度向上の効果が特に大きく好ましい。
【0018】機械的処理としては、例えば、媒体攪拌ミ
ル処理(特開平4−18186号公報)、振動ミル処理
(特開平6−10286号公報)、高圧均質化装置での
処理、コロイドミル処理、叩解機処理等が挙げられる
が、本発明では特に処理装置を限定するものではない。
前記処理装置のうちで、媒体攪拌ミルや振動ミルによっ
て得られる微細繊維パルプは、他の処理装置で得られる
パルプ繊維より柔軟性に富んだものが得やすく、繊維の
長さ方向だけでなく3次元的に微細繊維化が施されるた
めに、本発明で用いるカールドファイバー同士を効率よ
く、又強固に結合することができるため特に好ましい。
【0019】因みに、媒体攪拌ミルは、ガラスビーズ或
いはアルミナビーズ等を充填した粉砕容器に攪拌機を挿
入して高速で回転させて、剪断応力によってスラリー中
の分散物を粉砕する装置で、塔式、槽式、流通管式、ア
ニュラー式等がある。又、振動ミルは、粉砕容器を高速
振動させ、容器内に充填されたビーズ、ボール、ロッド
等によってスラリー中の分散物に衝撃力、剪断力等の力
を作用させて粉砕する装置である。又、高圧均質化装置
は、高い圧力をかけて小径オリフィス間を通過させて、
スラリー中の分散物を粉砕する装置である。
【0020】本発明で言う結合強化ファクター(BF)
は、(E2−E1)/E1で計算される。但し、E1は
カナダ濾水度500mlまで叩解されたパルプ繊維(例
えばLBKP、NBKP、等)のみを水中に離解して水
性スラリーを調製し、手抄マシンにて脱水・風乾し、そ
の後130℃で1分間熱処理して坪量60g/m2 のシ
ートを作製し、20℃、65%RHに調湿した後測定さ
れた超音波弾性率を示す。E2は上記パルプ繊維の50
%を微細繊維で置き換えて水性スラリーを調製し、E1
を測定するのと同じ方法でシート作製、測定した場合の
超音波弾性率を示す。因みに、超音波弾性率は、動的ヤ
ング率測定器(型式:SST−210A、野村商事
(株)製)を用いて測定した超音波伝播速度の値から、
下記式に従って算出した。 E(GPa)=ρ(g/cm3 )×{S(km/s)}2 但し、ρはシートの調湿後の密度(g/cm3 )、Sは
超音波伝播速度(km/s)を示す。
【0021】本発明に使用される微細繊維パルプとして
は、保水度の値が120〜500%の範囲にあるものが
好ましい。又、より好ましくは165〜500%の範囲
のもので、特に好ましくは210〜450%の範囲のも
のである。因みに、保水度が120%未満の場合には、
繊維の結合能力が不充分なために、カールドファイバー
同士を結び付ける力が十分でなく、この様な微細繊維と
カールドファイバーの組合せで得られる低密度体は、層
間強度が不充分で紙粉を発生しやすい傾向にある。特
に、低密度体がシートの場合には、紙力が不充分で、用
途によっては実用不可となる。一方、保水度が500%
を超えると、その微細繊維の製造コストが上昇する。本
発明においては、上記の如き微細繊維を、単独使用或い
は二種以上併用することが出来る。
【0022】本発明の低密度層におけるカールドファイ
バーと微細繊維の混合比率は、その比率を変えることで
密度と層間強度のバランスをコントロールすることが出
来るので、目的に応じて適宜選択することができる。即
ち、密度よりも層間強度を重視する場合には、微細繊維
の配合を増やし、逆に層間強度よりも密度を重視する場
合には、カールドファイバーを増やした配合を選択すれ
ばよい。中でも、微細繊維を全繊維絶乾重量当たり3〜
65重量%、カールドファイバーを全繊維絶乾重量当た
り35〜97重量%の割合で混合して用いた場合、密度
と層間強度のバランスが特に優れ好ましい。
【0023】本発明の低密度層には、目的に応じて上記
繊維以外に適宜、有機合成繊維、無機繊維、紙力増強
剤、耐水化剤、撥水剤、発泡性マイクロカプセル、サイ
ズ剤、染料、顔料、歩留向上剤、填料、PH調整剤、ス
ライムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌
剤、難燃剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保
持剤、脱酸素剤、マイクロカプセル、発泡剤、界面活性
剤、電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消
臭剤等を選択し配合することができる。これらは複数種
併用することも出来る。
【0024】有機合成繊維としては、例えば、ポリエチ
レン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル
繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊
維等が挙げられるが、中でも、脂肪族ポリエステル、ア
セチルセルロースの様な生分解性繊維が特に好ましい。
また、該繊維の形状としては、直線的な繊維よりもカー
ル等の曲がりを有する繊維が低密度化への効果が期待で
きるので好ましい。これらは、単独で或いは適宜選択さ
れて2種以上が併用される。この有機合成繊維の配合量
は、低密度体の用途によって変わるが、通常全固形分の
0〜30重量%の範囲で添加される。有機合成繊維の添
加は一般的に水湿潤状態での強度向上等に効果がある。
【0025】無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、
炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、シリカ・アル
ミナシリケート繊維、ロックウール繊維等を挙げること
が出来る。これらは、単独で或いは適宜選択されて2種
以上が併用される。この無機繊維の配合量は、低密度体
の用途によって変わるが、通常全固形分の0〜30重量
%の範囲で添加される。無機繊維の添加は一般的に耐熱
性向上等に効果がある。
【0026】紙力増強剤としては、例えば、澱粉、加工
澱粉、植物ガム、PVA等の乾燥紙力増強剤、尿素ホル
ムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポ
リアミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリ
アミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン
エピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジル
エーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の湿潤紙力増
強剤を挙げることができる。これらは、単独で或いは適
宜選択されて2種以上が併用される。紙力増強剤の配合
量は、低密度体の用途によって変わるが、通常全固形分
の0〜10重量%の範囲で添加される。紙力増強剤の添
加は一般的に強度向上等に効果がある。特に湿潤紙力増
強剤を用いると、水湿潤状態での強度向上に大きな効果
がある。
【0027】耐水化剤としては、上記湿潤紙力増強剤を
耐水化剤として使用できる他、アルデヒド基を有するホ
ルムアルデヒド、グリオキザール、ジアルデヒド澱粉、
多価金属化合物である炭酸アンモニウムジルコニウム等
が挙げられる。撥水剤としては、各種ワックス(天然ワ
ックス、石油系ワックス、塩素化パラフィン、ワックス
エマルジョンなど)、高級脂肪酸誘導体、合成樹脂類、
クロム錯塩、ジルコニウム塩、シリコン樹脂などが挙げ
られる。耐水化剤、撥水剤は、単独で或いは適宜選択さ
れて2種以上が併用される。耐水化剤、撥水剤の添加
は、低密度体の耐水性向上に効果がある。配合量は、低
密度体の用途によって変わるが、通常全固形分の0〜1
0重量%の範囲で添加される。
【0028】発泡性マイクロカプセルとしては、樹脂微
粒子中に低沸点溶剤を内包したもので、70〜150℃
の温度で直径が3〜5倍、体積で30〜120倍に膨張
する平均粒径が5〜30μmの粒子が通常用いられる。
樹脂材料としては、通常塩化ビニリデン、アクリロニト
リル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の
共重合体からなる熱可塑性樹脂が使用され、低沸点溶剤
としては通常イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘ
キサン、低沸点ハロゲン化炭化水素等が用いられてい
る。この発泡性マイクロカプセルは、単独で或いは適宜
選択されて2種以上が併用される。配合量は低密度体の
用途によって変わるが、通常全固形分の0〜30重量%
の範囲で添加される。発泡性マイクロカプセルは乾燥工
程での熱によって発泡し、密度をさらに低下させる効果
が有る。
【0029】本発明の低密度体形成に用いられるスラリ
ーは、通常攪拌機を有する装置でバッチ式或いは連続的
に調製される。カールドファイバーは長時間水湿潤状態
で放置せず、できるだけ低密度体製造の直前に離解し、
微細繊維と混合するのが望ましい。その理由は、カール
ドファイバーの親水性は通常のパルプよりも下がってい
るものの長時間水中につけて置くと、水を含んで繊維自
体も柔軟となり、同じプレス圧で製造しても密度が上が
りやすくなり、嵩が出にくいからである。従って、水系
スラリーの調製はバッチ式よりも低密度体の製造に合わ
せて調製出来る連続式が好ましい。スラリーを形成する
のに用いられる媒体としては通常水が使用されるが、他
に水とアルコール(メタノール或いはエタノール或いは
グリセリン等)の混和液、アルコール、アセトン、酢酸
エチル、グリセリン等の有機溶媒を使用することができ
る。スラリーの濃度は、低密度体製造装置によって異な
るが、通常乾燥固形分量が0.05〜10重量%の範囲
に調製される。一般的には抄紙機の場合には、乾燥固形
分量が0.05〜2重量%となる様に調製される。あま
り濃度が高いとカールドファイバーと微細繊維の混合が
うまく行われないため好ましくない。本発明の低密度体
は媒体を使うスラリー方式、所謂ウエット方式で得られ
るが、媒体を使わないドライ方式と比べて、繊維の混合
が均一に成りやすく、繊維間の水素結合による結合が強
くなるので、強度の強いものが得られる。
【0030】本発明の低密度体の形状としては、シート
状物(シート或いはボード等)、及び成形体が挙げられ
る。いわゆるシートの場合には、円網抄紙機、長網抄紙
機、傾斜型抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等、一般に製
紙用の抄紙機を使って製造することができる。これらの
抄紙機によって得られるシートの厚みは、30μm〜5
mmである。得られるシートの密度は、カールドファイ
バーや微細繊維の種類或いはその配合比率、又他の添加
物の種類或いは配合量に影響されるが、それ以外に、製
造段階でのシートにかかる圧力が重要で、出来るだけ低
密度にするためには、ワイヤー部での脱水圧を弱めるた
めサクションロールの真空度を抑える、ダンディロール
の圧力を出来るだけ下げる、プレス圧を下げる、ドライ
ヤーのカンバスの張り及びサイズプレスのプレス圧を弱
める、オンマシンのカレンダーを使わない等の工夫が重
要となる。本発明では、スラリーの配合と製造上の工夫
を行うことで0.05〜0.45g/cm3 の範囲のも
のを得ることができる。
【0031】厚みが5mm〜数cmのシート状物は、一
般にボードと称され、シートの場合と同様な上記の如き
抄紙機を使用して製造することが出来るが、装置によっ
ては湿紙の状態で薄いシートを積層して厚物とすること
ができる。ボードの場合もシートの場合と同様、スラリ
ーの配合と製造上の工夫を行うことで0.05〜0.4
5g/cm3 の範囲のものを得ることができる。又、特
殊な製造方法としては、インジェクション方式で、スラ
リーを高温高圧下ボード状に押し出す方法も有効であ
る。その際、スラリー中に高アミロース含有澱粉も添加
しておくと、より低密度のものが得られる。尚、上記の
方法によって得られたシート或いはボードは、複数枚貼
り合わせて更に厚いシートやボードにすることができ
る。
【0032】成形体は、パルプモールド方式やインジェ
クション方式で所望の形態のものを得ることができる。
これは、スラリーの配合を選択することによって0.0
5〜0.45g/cm3 の範囲のものを得ることができ
る。
【0033】抄紙機或いはパルプモールド製造機等でス
ラリーを脱水するために用いられる網としては、例えば
一般に使用されている60、80等のメッシュサイズの
ものが使用できるが、微細繊維が極めて細かい或いはス
ラリー濃度が低い場合には150メッシュ以上の細かな
網目のものなどが適宜用いられる。尚、本発明で使用さ
れる低密度体の製造装置は、上記のものに限定されるも
のではない。
【0034】低密度体に、紙力増強剤、耐水化剤、撥水
剤、染料、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、防錆剤、難燃剤、
防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱酸素
剤、芳香剤、消臭剤、界面活性剤、帯電防止剤、電磁シ
ールド材等を含有せしめる方法としては、前記の如くス
ラリー中にこれらを添加・混合する内添法以外に、シー
ト、ボード、成形体を製造した後に表面塗布する方法、
つまり外添法をとることも出来る。この塗布には、塗
工、刷毛塗り、スプレー等の手段が使える。勿論内添・
外添を併用しても構わない。
【0035】本発明の複合構造体は、上記の如くして得
られた低密度体に、例えば、上質紙、板紙、ダンボール
紙、パルプモールド、布、不織布、木板、合成樹脂板又
はシート、無機繊維紙、無機質紙、金属箔、金属板、お
よびこれらを複合してなるシート状物、成形体などを貼
り合わせて作ることが出来るが、その積層方法、貼り合
わせ方法は特に限定されるものではない。
【0036】貼り合わせる材料によって、該低密度体の
みでは達成不可能な優れた特性を有する複合構造体が得
られる。例えば、合成樹脂板或いはシートと貼り合わせ
ることで、耐水性や強度やバリヤー性等を改善すること
ができる。上質紙、板紙、ダンボール紙、木板と貼り合
わせることで、表面強度、表面の印刷性、バリヤー性緩
衝性等を改善することができる。不織布、布と貼り合わ
せることで、表面の柔らかさ等を改善することができ
る。無機繊維紙或いは無機質紙と貼り合わせることで、
耐熱性等を改善することができる。また通常のパルプモ
ールドと組み合わせることによって、緩衝性、表面の平
滑性等を改善することができる。尚、貼り合わせは、各
素材を目的の形状に加工した後に行うこともできる。貼
り合わせる材料としては、生分解性を有するものが好ま
しい。
【0037】層間の接合は、例えば熱融着材料が層に含
まれている場合には、加熱処理のみでそれが可能とな
る。又、パルプモールド法で連続的に複数層を形成し乾
燥する場合、或いは紙ボ−ド製造法の様に湿紙を複数枚
重ねて乾燥する場合の様に、繊維の絡みが生じやすい系
の場合には、特にバインダーを使わなくとも層間の接合
が可能である。しかし、貼り合わせには通常バインダー
が使用される。該バインダーとしては、例えば、澱粉、
PVA、CMC、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマ
リン樹脂、SBR系ラテックス、酢酸ビニル系ラテック
ス、EVA、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
これらは、水性系、溶剤系、ホットメルト系として塗布
される。塗布量は、通常3〜50g/m2 である。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げてより具体的に説明する
が、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例および比較例において「部」および「%」と
あるのは特に断らない限り「固形分重量部」および「重
量%」を示す。
【0039】実施例1 固形分濃度1%の広葉樹晒クラフトパルプの水スラリー
を、平均粒径2mmφのガラスビーズを70%充填した
1.5リットル容のダイノミル(型式:KDL−PIL
OT型、シンマル・エンタープライゼス社製)装置に3
00ml/分で導入、通過させることにより結合強化フ
ァクターが0.60で、数平均繊維長が0.25mm、
保水度が310%の微細繊維を得た。また、針葉樹晒ク
ラフトパルプ絶乾30gを容量が1リットルの双腕型ニ
ーダー(型式:S1−1、森山製作所製)に入れ、更に
非ホルムアルデヒド系架橋剤(商品名:スミテックスN
F−500K、住友化学工業社製)とその架橋助剤(商
標:スミテックスACCELERATOR X−60、
住友化学工業社製)をそれぞれ絶乾パルプ重量当り3.
0%、0.25%となる様に添加し、次いで水を加えて
固形分濃度35%に調製した後、27℃下で双腕をそれ
ぞれ60rpmと100rpmで回転させ、20分間撹
拌処理を施した。その後、パルプを前記ニーダーから取
り出し、パルプを手でよくほぐしてから実験用ワーレン
ブレンダーによりパルプ塊を離解してフラッフ化し、次
いでこのフラッフ化したパルプを温度150℃の送風乾
燥器に入れ、無拘束の状態で2時間乾燥させて湿潤カー
ルファクター0.75、保水度45%のカールドファイ
バーを得た。
【0040】次いで、このカールドファイバー85部と
上記微細繊維15部を混合したものに水を加えて固形分
濃度を1%に調整し、充分攪拌してパルプスラリーを得
た。次に、このパルプスラリーを原料にしてボード用金
型を有する小型パルプモールド成型器(型式:SDM
型、ノリタケカンパニー製)により湿紙ボードを作製
し、続いて、熱圧プレスをかけながら乾燥して、縦50
0mm×横500mm×厚さ30mmのボードを得た。
最後に、そのボードの片面に厚さ20μmのポリエチレ
ンフィルムをラミネートして複合構造体を得た。該複合
構造体の低密度層から市販のカッターナイフ(商品名:
NTカッターL−500)で縦25mm、横25mm、
厚さ5mmのシートを切り出し、層間強度の測定を行っ
た。切り出す際、紙粉の発生は殆ど見られなかった。
又、その複合構造体の面に水を落とした後に拭き取って
その面の濡れを観察した結果、フィルムでラミネートし
た面は、他の面と違って全く濡れが見られなかった。低
密度層の密度、及び層間剥離強度の測定結果を表1に示
す。
【0041】以下に、用いた微細繊維、カールドファイ
バーの特性の評価方法、及び層間剥離強度の測定方法を
示す。評価方法 [結合強化ファクタ−の測定方法]広葉樹晒クラフトパ
ルプ50部と針葉樹晒クラフトパルプ50部を混合し、
2%濃度に調整して、実験用ナイアガラビーター(容量
23L)にて、カナダ標準フリーネス(CSF)500
mlとなるまで叩解した。この紙料絶乾3.7g分をと
り薬品を加えること無く、150メッシュのワイヤーを
用いて、角型(25cm×25cm)手抄マシンにてシ
ートを形成させ、コーチング処理の後、常法に従って
3.5kg/cm2 の圧力にて5分間(第一プレス)と
2分間(第二プレス)のウェットプレスを施した後、枠
に挟んで送風乾燥機により常温にて乾燥を行った。その
後130℃で2分間熱処理して坪量60g/m2 のシー
ト1を作製し、20℃、65%RHに調湿した。一方、
上記NL混合叩解パルプ50部と微細繊維50部をよく
混合した原料から絶乾3.7g分をとり、同様の方法に
てシート2を作製し、20℃、65%RHにて調湿し
た。シート1及び2の密度を測定した後、動的ヤング率
測定器(野村商事(株)製、型式:SST−210A)
を用いて超音波伝播速度を測定することにより、シート
1及び2の弾性率(GPa)を測定した。弾性率(E)
は以下の式で計算した。 E(GPa)=ρ(g/cm3 )×{S(km/s)}2 但し、ρはシートの調湿後の密度(g/cm3 )、Sは
超音波伝播速度(km/s)を示す。シート1の弾性率
をE1(GPa)、シート2の弾性率をE2(GPa)
とした場合、結合強化ファクターは{(E2/E1)−
1}で表される。
【0042】[数平均繊維長の測定法]カヤーニ繊維長
測定器(型式:FS−200)により測定した。
【0043】[保水度の測定方法]保水度は、JAPA
N TAPPI No.26−78に準じて測定した。
カールドファイバーが乾燥状態にある場合は、次のよう
にした。紙料を絶乾0.5g分採取し、蒸留水100m
l中に十分分散させ、そのまま24時間室温で放置して
十分水を含浸させた。その後、紙料を濾過器上で捕集
し、次いでG2のガラスフィルターを有する遠心分離機
(型式:H−103N、国産遠心器社製)の遠心管に入
れ、遠心力3000Gで15分間脱水した。遠心脱水処
理した試料を遠心管より取り出し、湿潤状態の重量を測
定し、その後105度の乾燥器で恒量になるまで乾燥
し、乾燥重量を測定し、下記式により保水度を算出し
た。 保水度(%)={(W−D)/D}×100 但し、Wは遠心脱水後の試料の湿潤重量(g)、Dはそ
の試料の乾燥重量(g)である。また微細繊維の場合
は、固形分濃度を6〜9%の範囲に調整し、試料を絶乾
重量で0.7gとなるように採取し、G3のガラスフィ
ルターを有する遠心管に入れ、前記と同様にして遠心脱
水処理を行い、湿潤重量と乾燥重量から上記式により保
水度を算出した。
【0044】[湿潤カールファクターの測定法]蒸留水
に室温で24時間浸漬した後の100本のカールドファ
イバーを顕微鏡用スライドガラス上に置き、画像解析装
置を利用して、繊維1本ごとの実際の(直線状の)長さ
LA(μm)及び最大投影長さ(繊維を囲む長方形の最
長辺の長さに等しい)LB(μm)を測定し、湿潤カー
ルファクターを下記式から求め、その平均値を用いた。 湿潤カールファクター=(LA/LB)−1
【0045】[層間剥離強度の測定法]層間剥離強度
は、TAPPI UM 403に基づいて測定した。
【0046】実施例2 固形分濃度1%の広葉樹晒クラフトパルプの水スラリー
を、平均粒径2mmφのガラスビーズを80%充填した
1.5リットル容のダイノミル(型式:KDL−PIL
OT型、シンマル・エンタープライゼス社製)装置に4
70ml/分で導入、通過させることにより、結合強化
ファクター0.43、数平均繊維長0.32mm、保水
度223%の微細繊維を得た。この微細繊維15部と、
湿潤カールファクターが0.65、保水度が50%の市
販のカールドファイバー(商品名:NHB416、米国
ウェアーハウザー社製)85部を混合し、水を加えて固
形分濃度2%に調整して撹拌し、十分に分散した繊維ス
ラリーを得た。このスラリーから絶乾150g分の原料
をとり、80メッシュブロンズワイヤーを備えた角型
(25cm×25cm)手抄きシートマシンにて脱水さ
せ、ワイヤー上に湿潤ボードを形成させた。この湿潤ボ
ードをワイヤーから、3mmφの穴の無数に空いたステ
ンレス板に濾紙を敷いたものの上に移し、そのまま送風
乾燥器中で105℃にて乾燥させた。乾燥終了後、20
℃、65%RHにて調湿した後のこのボード(A)の重
量は152g、厚さは20mmであった。一方、前記微
細繊維を15部、前記カールドファイバーを50部、及
び未叩解の針葉樹晒クラフトパルプ(フリーネス717
mlCSF)35部を混合して、水を加えて固形分濃度
2%に調整したスラリーを準備した。このスラリーから
絶乾280g分の原料をとり、前記と同様の方法にてボ
ード(B)を作製した。20℃、65%RHにて調湿し
た後のこのボード(B)の重量は283g、厚さは20
mmであった。
【0047】次いで、ボード(A)及びボード(B)か
ら、縦120mm、横120mmの板を2枚ずつ市販の
カッターナイフを用いて切り出し、ボード(B)から得
られた2枚のボード(B−1、B−2)には各々の中心
部に糸鋸とカッターナイフを用いて、(B−1)には直
径30mmφの穴、(B−2)には直径100mmφの
穴を空けた。さらに、ボード(A)の1枚と(B−1)
を市販の酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤(商品
名:木工用ボンド、コニシ社製)にて接着し、縦120
mm、横120mm、高さ40mmの構造体(AB−
1)を得た。同様にボード(A)の残った1枚と(B−
2)を接着し、構造体(AB−2)を得た。一方、市販
の両面段ボール(規格A、厚さ5mm)をカッターナイ
フ及び上記接着剤を用いて加工し、内寸法が縦120m
m、横120mm、高さ440mmの、上部が開閉可能
な直方体状の箱を作製した。この箱の上部を開放し、上
で得られた構造体(AB−2)の穴の空いていない側
(A側)に上記接着剤を塗布し、この面が下になるよう
に箱に挿入し、箱の底面に接着した。
【0048】さらに、この箱の中に、未開封の日本酒一
升瓶(上部直径30mmφ、底部直径100mmφ、高
さ400mm)を構造体(AB−2)にはめ込みながら
挿入し、上部には構造体(AB−1)を一升瓶上部が穴
に入るように重ね、最後に段ボールの開封部を閉じ、粘
着テープでとめた。この一升瓶が入った箱を50cmの
高さからコンクリート面に落下させたが、一升瓶が割れ
て液体が洩れることはなく、実用上全く問題のないもの
であった。また、ボード(A)及びボード(B)の残り
から、縦25mm、横25mm、厚さ5mmのシートを
切り出し、層間剥離強度測定に供した。ボード(A)及
びボード(B)の密度及び層間剥離強度の測定結果を表
1に示す。
【0049】実施例3 実施例1で用いたカールドファイバーを95部、微細繊
維を5部とを混合し、水を加えて固形分濃度2%に希釈
して、十分に分散された繊維スラリーを得た。このスラ
リーから絶乾30g分の原料をとり、実施例2と同様に
角型手抄マシンを用いて乾燥ボードを得た。20℃、6
5%RHにて調湿後のこのボードの重量は31.2g、
厚さは5.0mmであった。このボードの一部から縦2
5mm、横25mm、厚さ5mmのシートを切り出し層
間剥離強度の測定に供した。次いで、残ったボードの両
面に、実施例2で用いた市販の接着剤を用いて、坪量1
57g/m2 、厚さ0.17mmの厚口上質紙を貼り合
わせた。乾燥後、市販のカッターナイフにて、この構造
体から縦15cm、横20cmのボードを切り出し、写
真用パネルとした。切り出す際に紙粉が発生することは
なかった。この複合構造体の厚さは5.4mm、密度は
0.16g/cm3 であった。なお、低密度層の密度及
び層間剥離強度の測定結果を表1に示す。
【0050】実施例4 固形分濃度3%の広葉樹晒クラフトパルプの水スラリー
を12インチリファイナー(熊谷理機工業社製)にてフ
リーネス396mlCSFまで繰り返し叩解し、結合強
化ファクター0.10、数平均繊維長0.46mm、保
水度125%の繊維を得た。この繊維を結合強化ファク
タ−が0.60で、保水度が310%の微細繊維の代わ
りに用いた以外は、実施例1と全く同様にして複合構造
体を得た。該複合構造体の低密度層から市販のカッター
ナイフ(商品名:NTカッターL−500)で層間剥離
強度測定のため縦25mm、横25mm、厚さ5mmの
シートを切り出した。その際の紙粉の発生状況を目視判
定し結果、紙粉の発生は実施例1よりかなり劣るもの
の、実用上問題のないレベルであった。又、その複合構
造体の面に水を落とした後に拭き取ってその面の濡れを
観察した結果、フィルムでラミネートした面は、他の面
と違って全く濡れが見られなかった。低密度層の密度及
び層間剥離強度の測定結果を表1に示す。
【0051】比較例1 実施例1と同様にして得たカールドファイバーに水を加
えて固形分濃度を1%に調整し、充分攪拌してパルプス
ラリーを得た。次いで、微細繊維化パルプとカールドフ
ァイバーの混合系スラリーの代わりに、上記カールドフ
ァイバー単独系スラリーを使用した以外は実施例1と全
く同様にして複合構造体を得た。該複合構造体を市販の
カッターナイフ(商品名:NTカッターL−500)で
切断し、その際の紙粉の発生状況を目視判定し結果、紙
粉の発生が激しく実用に適さないものであった。層間剥
離強度測定用のシートも切り出すことができなかった。
【0052】
【表1】
【0053】表1からわかるように、実施例1〜4で使
用された低密度層は、密度が低く、また層間強度も強
く、複合構造体とすることによって、各々の用途で十分
に使用できる品質のものであった。実施例1、4から分
かる様に、湿潤カールファクターが0.4〜1.0の範
囲にあるカールドファイバーと、結合強化ファクターが
0.05以上の微細繊維の二成分からなるパルプ系低密
度層に、フィルム層を積層して得た複合構造体は、紙粉
の発生が少なく、フィルムラミ面は水に濡れることがな
い。中でも、該微細繊維として結合強化ファクターが
0.15以上の微細繊維を使用した場合には、極めて紙
粉発生が少ない(実施例1)。ところが、カールドファ
イバー単独系の場合には、紙粉発生が激しく実用に適さ
ないものとなった(比較例1)。また、本発明では密度
が違う二つの低密度層を貼り合わせて複合構造体を得る
ことができ、また、その複合体に段ボール等の他の素材
を組み合わせてさらに大きな複合構造体を製造すること
ができ、低密度層の持つ緩衝性によって優れた包装材料
となる(実施例2)。また、実施例3に示したように、
低密度層の片面だけでなく両面にシートを接着して写真
パネル、展示用ボード等に使用可能な低密度複合構造体
を作製することができる。
【0054】
【発明の効果】本発明は、軽量で高い層間強度を有する
パルプ系低密度体とシート状物又は成形体との複合構造
体を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、シート状物2の片面に、パルプ系低
密度体1を積層した例を示す断面図である。
【図2】第2図は、シート状物2の片面に、パルプ系低
密度体1を部分的に積層した例を示す断面図である。
【図3】第3図は、パルプ系低密度体1の両面に、シー
ト状物2を積層した例を示す断面図である。
【図4】第4図は、シート状物2の両面に、パルプ系低
密度体1を積層した例を示す断面図である。
【図5】第5図は、シート状物2からなる箱の四隅にパ
ルプ系低密度体1を配置した例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:パルプ系低密度体 2:シート状物

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿潤カールファクターが0.4〜1.0
    の範囲にあるカールドファイバーと、結合強化ファクタ
    ーが0.05以上の微細繊維を含有し、かつ密度が0.
    05〜0.45g/cm3 であるパルプ系低密度体と、
    シート状物又は成形体を積層してなることを特徴とする
    複合構造体。
  2. 【請求項2】 該シート状物又は成形体が、上質紙、板
    紙、ダンボール紙、パルプモールド、布、不織布、木
    板、合成樹脂板又はシート、無機繊維紙、無機質紙、金
    属箔、金属板、およびこれらを複合してなるシート状物
    又は成形体の何れかである請求項1記載の複合構造体。
  3. 【請求項3】 該微細繊維の結合強化ファクターが0.
    15〜1.5である請求項1記載の複合構造体。
  4. 【請求項4】 該カールドファイバーの保水度が10〜
    80%の範囲である請求項1記載の複合構造体。
  5. 【請求項5】 該低密度体において、該微細繊維を全繊
    維重量当たり3〜65重量%と、該カールドファイバー
    を全繊維重量当り35〜97重量%の割合で含有する請
    求項1記載の複合構造体。
  6. 【請求項6】 該低密度体がシート状である請求項1記
    載の複合構造体。
  7. 【請求項7】 該低密度体が成形体である請求項1記載
    の複合構造体。
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