JPH10194350A - エチレン系樹脂製耐熱容器 - Google Patents

エチレン系樹脂製耐熱容器

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JPH10194350A
JPH10194350A JP35169696A JP35169696A JPH10194350A JP H10194350 A JPH10194350 A JP H10194350A JP 35169696 A JP35169696 A JP 35169696A JP 35169696 A JP35169696 A JP 35169696A JP H10194350 A JPH10194350 A JP H10194350A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】衛生性および柔軟性が良好で、115℃以上の
滅菌処理を行なっても透明性が失われず、しかも、耐熱
性に優れ、シワや変形が生じたりしないようなポリエチ
レン製の耐熱容器を提供する。 【解決手段】密度が0.918〜0.940g/cm3の範囲にあり、M
FRが0.1〜10.0g/10分の範囲にあり、室温におけるデカ
ン可溶成分量率(W)と密度(d)とがW<80×exp(-100(d-0.
88))+0.1で示され、溶融重合体の190℃におけるずり応
力が2.4×106dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義さ
れる流動インデックス(FI)とMFRとがFI>75 ×MFRで示さ
れ、190 ℃における溶融張力(MT)とMFRとが、5.5×MFR
-0.65>MT>2.2×MFR-0.84で示される関係を満たすエチレ
ン・α−オレフィン共重合体からなる耐熱容器であっ
て、該耐熱容器の加熱滅菌処理後のヘイズが30%以下で
あり、変形開始温度が115℃以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、エチレン系樹脂製加熱容
器に関し、さらに詳しくは、衛生性、柔軟性、耐衝撃
性、透明性、耐熱性等に優れた、血液、薬液等を入れる
耐熱容器、および調理済みの食品等を入れる耐熱容器に
関する。
【0002】
【発明の技術的背景】現在、使用されている医療用容器
としては、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
からなる硬質の容器と、可塑剤を含むポリ塩化ビニルか
らなる軟質の袋が知られている。しかしながら、上記の
硬質の容器は、血液、薬液などの内容液を滴下する際
に、通気針または通気孔付きの輸液セットを用いて空気
を導入する必要があり、また、これらの器具による内容
液の汚染などが生じる虞がある。一方、軟質の袋は、内
容液を滴下する際に、上記の硬質の容器とは異なり、空
気の導入が不要であり、内容液の滴下とともに袋自体が
大気圧によって絞られるため、衛生性、運搬の便利性、
廃棄物の嵩が小さい等の利点がある。しかしながら、ポ
リ塩化ビニルに含まれる可塑剤、残留モノマーの毒性等
の問題がある。
【0003】これに対し、柔軟性、透明性、衛生性等の
向上を目的として、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エ
ラストマー等のポリマーを中間層に用いた医療用袋が提
案されている(特開昭58−165866号公報)。し
かしながら、この医療用袋では、中間層に使われるポリ
マーの耐熱性が乏しいため、加熱滅菌処理時に袋にシワ
状態が発生するなどの問題がある。また従来のポリエチ
レンを原料とした医療用袋は、耐熱性がやや不十分で滅
菌温度を高くすることができないため、滅菌処理時間が
長くなったり、あるいはクリーン度の高い雰囲気下で滅
菌処理を行なわなければならないなどの滅菌処理工程で
の効率の悪さが問題になっている。
【0004】したがって、衛生性および柔軟性が良好
で、日本薬局方に示されている115℃以上の滅菌処理
を行なっても透明性が失われず、しかも、耐熱性に優
れ、シワや変形が生じたりしないようなポリエチレン製
の医療用容器、たとえば多層または単層フィルムからな
る医療用袋、多層または単層からなる医療用ボトルの出
現が望まれている。
【0005】ところで、一般に食品ラミネート包装材料
のシーラントフィルムには、ポリオレフィン系樹脂が使
用されており、レトルト食品用としては耐熱性の観点か
ら融点の高いポリプロピレンフィルムが用いられること
が多かった。
【0006】しかしながら、近年の大型業務用容器のパ
ウチ化等により低温時および寒冷地における長期保存を
実現するため、レトルト食品用フィルムは、耐低温衝撃
性が要求されるようになってきており、同時に、内容物
が確認できる方が良いとの観点から透明性も要求される
ようになっている。
【0007】ポリプロピレンフィルムは、一般に耐低温
衝撃性に劣っているため、上記要求を満足させることが
できない。耐低温衝撃性を改良したフィルムとして、エ
チレン・プロピレンブロック共重合体等のフィルムがあ
るが、これらのフィルムは、透明性に劣るため、透明性
を必要とする分野には使用することができない。
【0008】一方、従来の低密度ポリエチレンフィルム
は、耐低温衝撃性および透明性に優れ、さらに低温シー
ル性に優れているため、上記ポリプロピレンフィルムの
欠点を克服できるが、耐熱性に劣るため滅菌処理温度を
上げることができないという問題がある。また、低密度
ポリエチレンに高密度ポリエチレンを配合した組成物を
使用すると、得られるフィルムの耐熱性は向上するもの
の、透明性が低下するという問題がある。さらに、この
フィルムは、加熱滅菌処理(レトルト処理)による透明
性の低下が問題となる。
【0009】したがって、衛生性が良好で、透明性に優
れ、シワや変形が生じたりしないような耐熱容器の出現
が望まれている。
【0010】
【発明の目的】本発明は、成形性に優れ、かつ上記のよ
うな従来技術に伴う問題を解決しようとするものであっ
て、衛生性および柔軟性が良好で、115℃以上の滅菌
処理を行なっても透明性が失われず、しかも、耐熱性に
優れ、シワや変形が生じたりしないようなポリエチレン
製の耐熱容器を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】本発明に係るエチレン系樹脂製耐熱容器
は、エチレンと炭素数3〜12のα-オレフィンとの共
重合体からなる耐熱容器であって、このエチレン・α-
オレフィン共重合体は、(i)密度が0.918〜0.94
0g/cm3の範囲にあり、(ii)190℃、2.16kg荷重
におけるメルトフローレート(MFR(g/10分))が0.
1〜10.0g/10分の範囲にあり、(iii)室温におけるデ
カン可溶成分量率(W(重量%))と、密度(d(g/c
m3))とが W<80×exp(-100(d-0.88))+0.1 で示され、(iv)溶融重合体の190℃におけるずり応力
が2.4×106dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義さ
れる流動性インデックス(FI(1/秒))と、メルトフロ
ーレート(MFR(g/10分))とが、 FI>75×MFR で示され、(v)190℃における溶融張力(MT(g))
と、メルトフローレート(MFR(g/10分))とが、 5.5×MFR-0.65>MT>2.2×MFR-0.84 で示される関係を満たし、かつ、前記耐熱容器は、(A)
加熱滅菌処理後のヘイズが30%以下であり、(B)変形
開始温度(Td(℃))が115℃以上であることを特徴
としている。
【0012】前記エチレン・α-オレフィン共重合体
[A]は、(a)特定の置換シクロペンタジエニル基を配
位子とした周期律表第IV族の遷移金属化合物と、(b)有
機アルミニウムオキシ化合物とを含むオレフィン重合用
触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜12のα-オレ
フィンとを共重合させて得られた共重合体からなること
が好ましい。
【0013】前記エチレン・α-オレフィン共重合体
[A]:70〜95重量部と、高密度ポリエチレン
[B]:5〜30重量部とを含むエチレン・α-オレフ
ィン共重合体組成物からなる耐熱容器であって、この耐
熱容器は、(A) 加熱滅菌処理後のヘイズが30%以下で
あり、(B) 変形開始温度(Td(℃))が115℃以上で
あることを特徴としている。
【0014】前記高密度ポリエチレン[B]は、(i)密
度が0.940〜0.970g/cm3の範囲にあり、(ii)G
PCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)が1.5
〜4.0の範囲にあることが好ましい。
【0015】このような本発明に係るエチレン系樹脂製
耐熱容器は、医療用容器および食品容器として好適であ
る。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るエチレン系樹
脂製耐熱容器について具体的に説明する。まず、本発明
に係るエチレン系樹脂製耐熱容器に用いられるエチレン
・α-オレフィン共重合体[A]について説明する。
【0017】エチレン・α−オレフィン共重合体[A] 本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体
[A]は、エチレンと炭素数3〜12のα-オレフィン
とのランダム共重合体である。
【0018】このエチレン・α-オレフィン共重合体
[A]は、エチレンから導かれる構成単位が、65〜9
9重量%、好ましくは70〜98重量%、より好ましく
は75〜96重量%の量で存在し、炭素原子数が3〜1
2のα-オレフィンから導かれる構成単位は、1〜35
重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは4
〜25重量%の量で存在している。
【0019】炭素原子数が3〜12のα-オレフィンと
しては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセンなどが挙げられる。
【0020】エチレン・α-オレフィン共重合体[A]
の密度は、0.918〜0.940g/cm3、好ましくは
0.920〜0.930g/cm3の範囲にある。エチレン
・α-オレフィン共重合体[A]の190℃,2.16k
g荷重におけるメルトフローレート(MFR(g/10分))
は、0.1〜10.0g/10分、好ましくは0.2〜10.
0g/10分の範囲にある。
【0021】エチレン・α-オレフィン共重合体[A]
は、室温におけるデカン可溶成分量率(W(重量%))
と、密度(d(g/cm3))とが、 W<80×exp(-100(d-0.88))+0.1 好ましくは W<60×exp(-100(d-0.88))+0.1 で
示される関係を満たしている。
【0022】エチレン・α-オレフィン共重合体[A]
は、溶融重合体の190℃におけるずり応力が2.4×1
06dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動性
インデックス(FI(1/秒))と、メルトフローレート
(MFR(g/10分))とが、 FI>75×MFR 好ましくは FI>80×MFR で示される関係を
満たしている。
【0023】さらに、このようなエチレン・α-オレフ
ィン共重合体[A]は、190℃における溶融張力(M
T(g))と、メルトフローレート(MFR(g/10分))と
が、 5.5×MFR-0.65>MT>2.2×MFR-0.84 好ましくは、 5.0×MFR-0.65>MT>2.5×M
FR-0.84 で示される関係を満たしている。
【0024】上記のようなエチレン・α−オレフィン共
重合体[A]は、耐熱容器用に好適である。
【0025】このようなエチレン・α-オレフィン共重
合体[A]は、例えば、(a)シクロペンタジエニル骨格
を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物、(b)有機アル
ミニウムオキシ化合物、(c)担体、必要に応じて(d)有機
アルミニウム化合物から形成されるオレフィン重合触媒
の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィ
ンとを共重合させることによって製造することができ
る。
【0026】以下にこのようなオレフィン重合触媒およ
び各触媒成分について説明する。遷移金属化合物(a) (a)シクロペンタジエニル骨格を含む周期律表第IV族の
遷移金属化合物と、(以下「成分(a)」と記載すること
がある。)は、具体的には下記式[I]で表わされる遷
移金属化合物である。
【0027】ML1 X … [I] (式中、Mは周期律表第IV族から選ばれる遷移金属を示
し、L1は遷移金属原子に配位する配位子を示し、これ
らのうち少なくとも2個の配位子L1は、メチル基およ
びエチル基から選ばれる置換基のみを2〜5個有する置
換シクロペンタジエニル基であり、置換シクロペンタジ
エニル基以外の配位子L1は、炭素数1〜12の炭化水
素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、
トリアルキルシリル基または水素原子であり、Xは遷移
金属原子Mの原子価を示す。) L1は遷移金属原子Mに配位した配位子を示し、これら
のうち少なくとも2個の配位子L1は、メチル基および
エチル基から選ばれる置換基のみを2〜5個有する置換
シクロペンタジエニル基であり、各配位子は同一でも異
なっていてもよい。この置換シクロペンタジエニル基
は、置換基を2個以上有する置換シクロペンタジエニル
基であり、置換基を2〜3個有するシクロペンタジエニ
ル基であることが好ましく、二置換シクロペンタジエニ
ル基であることがより好ましく、1,3-置換シクロペンタ
ジエニル基であることが特に好ましい。なお、各置換基
は同一でも異なっていてもよい。
【0028】また上記式[I]において、遷移金属原子
Mに配位する置換シクロペンタジエニル基以外の配位子
1は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、
アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基
または水素原子である。
【0029】このような一般式[I]で表わされる遷移
金属化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-プロ
ピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジ
クロリド、ビス(n-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ビス(メチル-n-プロピルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メ
チル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジ
クロリド、ビス(ジメチル-n-ブチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(n-ブ
チルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロ
リド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムエトキシクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムブトキシクロリド、ビス(n-ブチ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシド、ビ
ス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチ
ルクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジメチル、ビス(n-ブチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムベンジルクロリド、ビス(n-ブチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、ビス
(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニ
ルクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムハイドライドクロリド、ビス(ジメチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジ
エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ビス(ジメチルエチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス
(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキ
シクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムエトキシクロリド、ビス(ジメチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムブトキシクロリド、ビス
(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジエト
キシド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムメチルクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジメチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムベンジルクロリド、ビス
(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベン
ジル、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムフェニルクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムハイドライドクロリドなどが挙げ
られる。なお、上記例示において、シクロペンタジエニ
ル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三置換
体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。本発明では、上
記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム
金属を、チタン金属またはハフニウム金属に置き換えた
遷移金属化合物を用いることができる。
【0030】これらの一般式[I]で表わされる遷移金
属化合物のうちでは、ビス(n-プロピルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-
メチル-3-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3-ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(1,3-ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-エチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが特に好まし
い。
【0031】本発明に用いられる遷移金属化合物は、上
記一般式[I]で表される遷移金属化合物と、下記一般
式[II]で表される遷移金属化合物との混合物であって
もよい。
【0032】MKL2 X-2 … [II] (式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原
子を示し、KおよびL2は遷移金属原子に配位する配位
子を示す。配位子Kは同一または異なったインデニル
基、置換インデニル基またはその部分水添加物が低級ア
ルキレン基を介して結合した2座配位子であり、配位子
2は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、
アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基
または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を
示す。) このような一般式[II]で表される遷移金属化合物のと
しては、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-
1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられ
る。
【0033】上記一般式[I]で表される遷移金属化合
物(a-1)から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物
と、上記一般式[II]で表される遷移金属化合物(a-2)
から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物とは、モ
ル比(a-1)/(a-2)で99/1〜50/50、好ましくは
97/3〜70/30、より好ましくは95/5〜75
/25、最も好ましくは90/10〜80/20の範囲
となるような量で用いられることが望ましい。
【0034】有機アルミニウムオキシ化合物(b) 次に、有機アルミニウムオキシ化合物(b)について説明
する。本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合
物(b)(以下「成分(b)」と記載することがある。)は、
従来公知のベンゼン可溶性のアルミノオキサンであって
もよく、また特開平2−276807号公報で開示され
ているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ
化合物であってもよい。
【0035】上記のようなアルミノオキサンは、例えば
下記のような方法によって調製することができる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、ト
リアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
を添加して反応させて炭化水素の溶液として回収する方
法。
【0036】(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキル
アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や
氷や水蒸気を作用させて炭化水素の溶液として回収する
方法。
【0037】(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒
体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム
化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシ
ド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0038】なお、このアルミノオキサンは、少量の有
機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のア
ルミノオキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アル
ミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解し
てもよい。
【0039】アルミノオキサンを調製する際に用いられ
る有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチ
ルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピ
ルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ
n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、
トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert- ブチルアルミ
ニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアル
ミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアル
ミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリシクロ
ヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウ
ムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;ジメチルア
ルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、
ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニ
ウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアル
ミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハ
イドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチ
ルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウ
ムアルコキシド;ジエチルアルミニウムフェノキシドな
どのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げ
られる。
【0040】これらのうち、トリアルキルアルミニウム
およびトリアルキルアルミニウムが特に好ましい。ま
た、この有機アルミニウム化合物として、一般式 (i-C49)xAly(C510)z (x、y、zは正の数であり、z≧2xである)で表わ
されるイソプレニルアルミニウムを用いることもでき
る。
【0041】上記のような有機アルミニウム化合物は、
単独であるいは組合せて用いられる。アルミノオキサン
の調製の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トル
エン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水
素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪
族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロ
オクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水
素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記
芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハ
ロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水
素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。
これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0042】また前記ベンゼン不溶性の有機アルミニウ
ムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成
分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、
特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶
性あるいは難溶性である。
【0043】このような有機アルミニウムオキシ化合物
のベンゼンに対する溶解性は、100ミリグラム原子の
Alに相当する該有機アルミニウムオキシ化合物を10
0mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下60℃で6時間
混合した後、ジャケット付G−5ガラス製フィルターを
用い、60℃で熱時濾過を行ない、フィルター上に分離
された固体部を60℃のベンゼン50mlを用いて4回
洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の存在量(x
ミリモル)を測定することにより求められる(x%)。
【0044】担体(c) 本発明で用いられる担体(c)は、無機あるいは有機の化
合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは2
0〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用
される。このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ま
しく、具体的にはSiO2、Al23、MgO、Zr
2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、Th
2等またはこれらの混合物、例えばSiO2-MgO、
SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V
25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgO等を
例示することができる。これらの中でSiO2およびA
23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を
主成分とするものが好ましい。なお、上記無機酸化物に
は少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgC
3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KN
3、Mg(NO3)2、Al(NO 3)3、Na2O、K2O、
Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含
有していても差しつかえない。
【0045】このような担体(c)はその種類および製法
により性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担
体は、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは
100〜700m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.
5cm2/gであることが望ましい。該担体は、必要に
応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700
℃で焼成して用いられる。
【0046】さらに、本発明に用いることのできる担体
としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の
顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。こ
れら有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブ
テン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数2〜14のα-
オレフィンを主成分とする(共)重合体あるいはビニル
シクロヘキサン、スチレンを主成分とする重合体もしく
は共重合体を例示することができる。
【0047】本発明で用いられるエチレン・α-オレフ
ィン共重合体の製造に用いられるオレフィン重合触媒
は、上記成分(a)、成分(b)および(c)担体から形成され
るが、必要に応じて(d)有機アルミニウム化合物を用い
てもよい。
【0048】有機アルミニウム化合物(d) 必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物(d)
(以下「成分(d)」と記載することがある。)として
は、例えば下記一般式[II]で表される有機アルミニウ
ム化合物を例示することができる。
【0049】R1 nAlX3-n … [II] (式中、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、X
はハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3であ
る。) 上記一般式[II]において、R1 は炭素数1〜12の炭
化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基または
アリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル
基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などであ
る。
【0050】このような有機アルミニウム化合物として
は、具体的には以下のような化合物が挙げられる。トリ
メチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイ
ソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシル
アルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;イソプ
レニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジ
メチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムク
ロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソ
ブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブ
ロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチル
アルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセス
キクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリ
ド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミ
ニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセス
キハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルア
ルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジク
ロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキル
アルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイド
ライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの
アルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0051】また有機アルミニウム化合物(d)として、
下記一般式[III]で表される化合物を用いることもで
きる。 R1 nAlY3-n … [III] (式中、R1 は上記一般式[II]中のR1と同様の炭化
水素を示し、Yは−OR2基、−OSiR3 3基、−OAl
4 2基、−NR5 2基、−SiR6 3基または−N(R7)Al
8 2基を示し、nは1〜2であり、R2、R3、R4およ
びR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブ
チル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R
5は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、
フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R6およ
びR7はメチル基、エチル基などである。) このような有機アルミニウム化合物としては、具体的に
は、以下のような化合物が用いられる。
【0052】(1)R1 nAl(OR2)3-nで表される化合
物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチル
アルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメ
トキシドなど、 (2)R1 nAl(OSiR3 3)3-nで表される化合物、例え
ばEt2Al(OSi Me3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、
(iso-Bu)2Al(OSiEt3)など; (3)R1 nAl(OAlR4 2)3-nで表される化合物、例え
ばEt2AlOAlEt2、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2
ど; (4) R1 nAl(NR5 2)3-nで表される化合物、例えばM
e2AlNEt2、Et2AlNHMe、Me2AlNHEt、Et2
AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2AlN(SiMe3)2など; (5)R1 nAl(SiR6 3)3-nで表される化合物、例えば
(iso-Bu)2AlSi Me3 など; (6)R1 nAl(N(R7)AlR8 2)3-nで表される化合物、
例えばEt2AlN(Me)AlEt2 、(iso-Bu)2AlN(Et)
Al(iso-Bu)2 など。
【0053】上記一般式[II]および[III]で表され
る有機アルミニウム化合物の中では、一般式R1 3Al、
1 nAl(OR2)3-n、R1 nAl(OAlR4 2)3-nで表わされ
る化合物が好ましく、特にRがイソアルキル基であり、
n=2である化合物が好ましい。
【0054】本発明で用いられるエチレン・α-オレフ
ィン共重合体を製造するに際して、上記のような成分
(a)、成分(b)および担体(c)、必要に応じて成分(d)を接
触させることにより調製される触媒が用いられる。この
際の各成分の接触順序は、任意に選ばれるが、好ましく
は担体(c)と成分(b)とを混合接触させ、次いで成分(a)
を混合接触させ、さらに必要に応じて成分(d)を混合接
触させる。
【0055】上記各成分の接触は、不活性炭化水素溶媒
中で行うことができ、触媒の調製に用いられる不活性炭
化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シク
ロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水
素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタ
ンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物な
どを挙げることができる。
【0056】成分(a)、成分(b)、担体(c)および必要に
応じて成分(d)を混合接触するに際して、成分(a)は担体
(c)1g当り、通常5×10-6〜5×10-4モル、好ま
しくは10-5〜2×10-4モルの量で用いられ、成分
(a)の濃度は、約10-4〜2×10-2モル/リットル、
好ましくは2×10-4〜10-2モル/リットルの範囲で
ある。成分(b)のアルミニウムと成分(a)中の遷移金属と
の原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好
ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる
成分(d)のアルミニウム原子(Al-d)と成分(b)のアル
ミニウム原子(Al-b)の原子比(Al-d/Al-b)は、
通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲で
ある。成分(a)、成分(b)、担体(c)および必要に応じて
成分(d)を混合接触する際の混合温度は、通常−50〜
150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時
間は1分〜50時間、好ましくは10分〜25時間であ
る。
【0057】上記のようにして得られたオレフィン重合
触媒は、担体(c)1g当り成分(a)に由来する遷移金属原
子が5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは1
-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、また担体
(c)1g当り成分(b)および成分(d)に由来するアルミニ
ウム原子が10-3〜5×10-2グラム原子、好ましくは
2×10-3〜2×10-2グラム原子の量で担持されてい
ることが望ましい。
【0058】エチレン・α-オレフィン共重合体の製造
に用いられる触媒は、上記のような成分(a)、成分(b)、
担体(c)および必要に応じて成分(d)の存在下にオレフィ
ンを予備重合させて得られる予備重合触媒であってもよ
い。予備重合は、上記のような成分(a)、成分(b)、担体
(c)および必要に応じて成分(d)の存在下、不活性炭化水
素溶媒中にオレフィンを導入することにより行うことが
できる。
【0059】予備重合の際に用いられるオレフィンとし
ては、エチレンおよび炭素数が3〜20のα-オレフィ
ン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチ
ル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1
-ドデセン、1-テトラデセンなどを例示することができ
る。これらの中では、重合の際に用いられるエチレンあ
るいはエチレンとα-オレフィンとの組合せが特に好ま
しい。
【0060】予備重合する際には、上記成分(a)は、通
常10-6〜2×10-2モル/リットル、好ましくは5×
10-5〜10-2モル/リットルの量で用いられ、成分
(a)は担体(c)1g当り、通常5×10-6〜5×10-4
ル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いら
る。成分(b)のアルミニウムと成分(a)中の遷移金属との
原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ま
しくは20〜200である。必要に応じて用いられる成
分(d)のアルミニウム原子(Al-d)と成分(b)のアルミ
ニウム原子(Al-b)の原子比(Al-d/Al-b)は、通
常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲であ
る。予備重合温度は−20〜80℃、好ましくは0〜6
0℃であり、また予備重合時間は0.5〜100時間、
好ましくは1〜50時間程度である。
【0061】予備重合触媒は、例えば下記のようにして
調製される。すなわち、担体(c)を不活性炭化水素で懸
濁状にする。次いで、この懸濁液に有機アルミニウムオ
キシ化合物(成分(b))を加え、所定の時間反応させ
る。その後上澄液を除去し、得られた固体成分を不活性
炭化水素で再懸濁化する。この系内へ遷移金属化合物
(成分(a))を加え、所定時間反応させた後、上澄液を
除去し固体触媒成分を得る。続いて有機アルミニウム化
合物(成分(d))を含有する不活性炭化水素中に、上記
で得られた固体触媒成分を加え、そこへオレフィンを導
入することにより、予備重合触媒を得る予備重合で生成
するオレフィン重合体は、担体(c)1g当り0.1〜50
0g、好ましくは0.2〜300g、より好ましくは0.
5〜200gの量であることが望ましい。また、予備重
合触媒には、担体(c)1g当り成分(a)は遷移金属原子と
して約5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは
10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、成分
(b)および成分(d)に由来するアルミニウム原子(Al)
は、成分(a)に由来する遷移金属原子(M)に対するモ
ル比(Al/M)で、5〜200、好ましくは10〜1
50の範囲の量で担持されていることが望ましい。
【0062】予備重合は、回分式あるいは連続式のいず
れでも行うことができ、また減圧、常圧あるいは加圧下
のいずれでも行うことができる。予備重合においては、
水素を共存させて、少なくとも135℃のデカリン中で
測定した極限粘度[η]が0.2〜7dl/gの範囲、好ま
しくは0.5〜5dl/gであるような予備重合体を製造す
ることが望ましい。
【0063】本発明で用いられるエチレン・α-オレフ
ィン共重合体は、前記のようなオレフィン重合触媒また
は予備重合触媒の存在下に、エチレンと、炭素数が3〜
20のα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1
-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オク
テン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキ
サデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンとを共重合す
ることによって得られる。
【0064】本発明では、エチレンとα-オレフィンと
の共重合は、気相であるいはスラリー状の液相で行われ
る。スラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒と
してもよいし、オレフィン自体を溶媒とすることもでき
る。
【0065】スラリー重合において用いられる不活性炭
化水素溶媒として具体的には、ブタン、イソブタン、ペ
ンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキ
サデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化水素;シク
ロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、
シクロオクタンなどの脂環族系炭化水素;ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ガソリン、
灯油、軽油などの石油留分などが挙げられる。これら不
活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭
化水素、石油留分などが好ましい。
【0066】スラリー重合法または気相重合法で実施す
る際には、上記のようなオレフィン重合触媒または予備
重合触媒は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度とし
て、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好まし
くは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いら
れることが望ましい。
【0067】また、本重合に際して成分(b)と同様の有
機アルミニウムオキシ化合物および/または有機アルミ
ニウム化合物(d)を添加してもよい。この際、有機アル
ミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物に
由来するアルミニウム原子(Al)と、遷移金属化合物
(a)に由来する遷移金属原子(M)との原子比(Al/
M)は、5〜300、好ましくは10〜200、より好
ましくは15〜150の範囲である。
【0068】スラリー重合法を実施する際には、重合温
度は、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の
範囲にあり、気相重合法を実施する際には、重合温度
は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範
囲である。
【0069】重合圧力は、通常常圧ないし100kg/c
2、好ましくは2〜50kg/cm2の加圧条件下であ
り、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式
においても行うことができる。
【0070】さらに重合を反応条件の異なる2段以上に
分けて行うことも可能である。本発明のエチレン・α-
オレフィン共重合体には、本発明の目的を損なわない範
囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリッ
プ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔
料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸
化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよ
い。また、本発明の趣旨を逸脱しない限り他の高分子化
合物を少量ブレンドすることができる。
【0071】エチレン・α-オレフィン共重合体組成物 次に、本発明に係るエチレン系樹脂製耐熱容器に用いら
れるエチレン・α-オレフィン共重合体組成物について
説明する。
【0072】本発明で用いられるエチレン・α-オレフ
ィン共重合体組成物は、上記エチレン・α-オレフィン
共重合体[A]と高密度ポリエチレン[B]とからな
る。このようなエチレン・α-オレフィン共重合体組成
物は、エチレン・α-オレフィン共重合体[A]を70
〜95重量部、好ましくは80〜95重量部、さらに好
ましくは90〜95重量部の量であり、高密度ポリエチ
レン[B]を5〜30重量部、好ましくは5〜20重量
部、さらに好ましくは5〜10重量部の量で含んでいる
ことが望ましい。
【0073】このようなエチレン・α−オレフィン共重
合体は、耐熱容器用に好適である。
【0074】このような高密度ポリエチレン[B]は、
エチレンと炭素原子数3〜12のα- オレフィンとを共
重合させて得られたエチレン・α-オレフィン共重合体
である。
【0075】炭素原子数3〜12のα-オレフィンとし
て、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、
4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどが挙げられる。
このうち、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オク
テンが好ましい。
【0076】本発明で用いられる高密度ポリエチレン
[B]には、エチレンから導かれる構成単位が、通常9
5〜99モル%、好ましくは96〜98モル%の割合で
存在し、炭素原子数3〜12のα-オレフィンから導か
れる構成単位が通常1〜5モル%、好ましくは2〜4モ
ル%の割合で存在している。
【0077】このような高密度ポリエチレン[B]の組
成は、通常10mmφの試料管中で約200mgの高密度ポ
リエチレンを1ミリリットルのヘキサクロロブタジエン
に均一に溶解させた試料の13C−NMRスペクトルを、
測定温度120℃、測定周波数25.05MHz 、スペク
トル幅1500Hz、パルス繰返し時間4.2sec.、パル
ス幅6μsec.の測定条件下で測定して決定される。
【0078】この高密度ポリエチレン[B]は、密度が
0.940〜0.970g/cm3、好ましくは0.945
〜0.965g/cm3の範囲にある。密度が上記範囲にあ
る高密度ポリエチレン[B]を用いると、変形開始温度
(Td)が高く、しかも、透明性が殆ど損なわれること
がないフィルムまたはボトルを成形し得るエチレン・α
-オレフィン共重合体組成物が得られる。このような組
成物を用いると、加熱滅菌処理温度を高くすることがで
き、加熱滅菌処理時間を短縮することができる。
【0079】また、この高密度ポリエチレン[B]は、
GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)が1.
5〜5.0、好ましくは2.0〜4.0の範囲にあるこ
とが望ましい。
【0080】このような高密度ポリエチレン[B]は、
上記のような性質を有していれば、公知の重合方法を用
いて製造することができる。このような高密度ポリエチ
レン[B]としては、従来のチタン系のチーグラー触
媒、前述のメタロセン触媒されたものが挙げられる。
【0081】本発明で用いられるエチレン・α-オレフ
ィン共重合体組成物は、上記エチレン・α-オレフィン
共重合体[A]と上記高密度ポリエチレン[B]から、
公知の方法を利用して製造することができる。具体的に
は、下記のような方法が挙げられる。
【0082】(1)エチレン・α-オレフィン共重合体と、
高密度ポリエチレンと、必要に応じて添加される他成分
とを、押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドす
る方法。
【0083】(2)エチレン・α-オレフィン共重合体と、
高密度ポリエチレンと、必要に応じて添加される他成分
とを適当な良溶媒(たとえば、ヘキサン、ヘプタン、デ
カン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシ
レンなどの炭化水素溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去
する方法。
【0084】(3)エチレン・α-オレフィン共重合体と、
高密度ポリエチレンと、必要に応じて添加される他成分
とを適当な良溶媒にそれぞれ別個に溶解した溶液を調製
したのち、混合し、次いで溶媒を除去する方法。
【0085】(4)上記(1)〜(3)の方法を組み合わせて行
う方法。また、上記方法の他に、以下のような方法でエ
チレン・α-オレフィン共重合体組成物を製造すること
もできる。
【0086】たとえば、1個の重合器を用い重合を反応
条件の異なる2段以上に分けて、エチレン・α-オレフ
ィン共重合体[A]および高密度ポリエチレン[B]を
重合することにより製造することができる。具体的に
は、二段重合プロセスにより、前段でエチレン・α-オ
レフィン共重合体[A]を重合し、後段で高密度ポリエ
チレン[B]を重合するか、または前段で高密度ポリエ
チレン[B]を重合し、後段でエチレン・α-オレフィ
ン共重合体[A]を重合することにより製造することが
できる。
【0087】また、複数の重合器を用い、一方の重合器
でエチレン・α-オレフィン共重合体[A]を重合し、
次に他方の重合器で前記エチレン・α-オレフィン共重
合体[A]の存在下に高密度ポリエチレン[B]を重合
するか、または一方の重合器で高密度ポリエチレン
[B]を重合し、次に他方の重合器で前記高密度ポリエ
チレン[B]の存在下でエチレン・α-オレフィン共重
合体[A]を重合することにより製造することもでき
る。
【0088】本発明のエチレン・α-オレフィン共重合
体組成物には、前述のように本発明の目的を損なわない
範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリ
ップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔
料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸
化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよ
い。また、本発明の趣旨を逸脱しない限り他の高分子化
合物を少量ブレンドすることができる。
【0089】耐熱容器の製造 本発明に係るエチレン系樹脂製耐熱容器は、多層もしく
は単層フィルムからなる袋、または単層もしくは多層ボ
トル等であり、多層フィルムの少なくとも1層、単層フ
ィルム、多層ボトルの少なくとも1層、単層ボトルが上
記のエチレン・α-オレフィン共重合体[A]またはエ
チレン・α-オレフィン共重合体組成物から形成されて
いる。
【0090】エチレン・α-オレフィン共重合体[A]
またはエチレン・α-オレフィン共重合体組成物以外の
層については、特に制限はなく、ポリプロピレン、ナイ
ロン、ポリエステル、ポリビニルアルコールなどが使用
されてもよい。
【0091】本発明に係るエチレン系樹脂製耐熱容器
は、水冷式または空冷式のインフレーション法、Tダイ
法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、
中空成形法などにより製造することができる。
【0092】耐熱袋の成形法としては、衛生性、経済性
などの点からインフレーション法および共押出Tダイ法
が好ましく、耐熱ボトルの成形としては中空成形法が好
ましい。このようにして成形された耐熱容器は、厚さが
0.05〜1.00mm、好ましくは0.1〜0.7mm、
さらに好ましくは0.15〜0.3mmの範囲であればよ
い。耐熱容器の厚さが0.05mm以上であれば、耐衝撃
性も良好で実用上問題となることはない。
【0093】本発明に係るポリエチレン製耐熱容器は、
加熱滅菌処理後のヘイズ(ASTM D-1003-61)が30%以
下、好ましくは20〜0%にある。また、本発明に係る
ポリエチレン製耐熱容器の変形開始温度(Td(℃))は
115℃以上、好ましくは116℃以上である。
【0094】なお、この変形開始温度(Td(℃))は、
以下のようにして測定する。すなわち、成形フィルムか
らなる袋またはボトルの試料を、アルプ社製RK−40
16型小型耐熱高圧蒸気滅菌器にて、滅菌温度×30分
間の熱水滅菌を行ない、滅菌器から取り出した試料につ
いて目視観察してその変形を評価する。110℃の滅菌
温度から始めて、1回の滅菌が終わる毎に滅菌温度の設
定を1℃上げる。この操作を繰り返し、滅菌器から取り
出した試料に初めて変形が認められたとき、その滅菌温
度を変形開始温度(Td(℃))とする。
【0095】
【発明の効果】本発明に係るエチレン系樹脂製耐熱容器
は、衛生性および柔軟性が良好で、115℃以上の滅菌
処理を行なっても透明性が失われず、しかも、耐熱性に
優れ、シワや変形が生じたりすることはない。特に上述
したエチレン・α-オレフィン共重合体[A]と高密度
ポリエチレン[B]とからなる組成物で形成される耐熱
容器は、耐熱性に優れているので、滅菌処理温度を高く
することができ、滅菌処理時間を短縮することができ
る。更に、成形性に優れる。
【0096】また、本発明に係るエチレン系樹脂製耐熱
容器は、医療用容器、食品用容器として優れた性能を発
揮する。
【0097】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0098】なお、製造例で得られた共重合体、実施例
および比較例において作成した中空成形品(ボトル)お
よびフィルムの物性評価は、下記のようにして行なっ
た。 (1)密度 190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレー
ト(MFR)測定時に得られるストランドを120℃で
1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、
密度勾配管で測定する。 (2)共重合体の組成13 C−NMRにより決定した。すなわち、10mmφの試
験管中で約200mgの共重合体パウダーを1ミリリット
ルのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の
13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測定周
波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、パ
ルス繰り返し時間4.2sec、パルス幅6μsecの測定条
件下で測定することにより決定される。 (3)メルトフローレート(MFR) 共重合体の造粒ペレットを使用して、ASTM D1238-65Tに
従い190℃、2.16kg荷重の条件下に測定される。 (4)分子量分布(Mw/Mn) ウォーターズ社GPCモデルALC-GPC-150Cにより測定し
た。測定条件は、カラムとして東洋曹達(株)製PSK-GMH-
HTを用い、オルソジクロルベンゼン(ODCB)溶媒、140
℃である。 (5)DSCによる最大ピーク温度(Tm) パーキンエルマー社製DSC−7型装置を用いて行っ
た。吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm)は、
試料約5mgをアルミパンに詰め10℃/分で200℃
まで昇温し、200℃で5分間保持したのち、10℃/
分で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の
吸熱曲線より求める。 (6)n-デカン可溶成分量率(W) 共重合体のn-デカン可溶成分量の測定は、共重合体約3
gをn-デカン450ミリリットルに加え、145℃で溶
解後23℃まで冷却し、濾過によりn-デカン不溶部を除
き、濾液からn-デカン可溶部を回収することにより行
う。
【0099】W=n-デカン可溶部の重量/(n-デカン不
溶部および可溶部の重量)×100% で定義される。 (7)溶融張力(MT) 溶融させたポリマーを一定速度で延伸したときの応力を
測定することにより決定される。すなわち、共重合体の
造粒ペレットを測定試料とし、東洋精機製作所製、MT
測定器を用い、樹脂温度190℃、押出温度15mm/
分、巻取り速度10〜20m/分、ノズル径2.09mm
φ、ノズル長さ8mmの条件で行われる。 (8)流動性インデックス(FI) 流動インデックス(FI)は、190℃におけるずり応
力が2.4×106dyne/cm2の到達する時のずり速度で
定義される。流動インデックス(FI)は、ずり速度を
変えながら樹脂をキャピラリーから押出し、その時の応
力を測定することにより決定した。すなわち、MT測定
と同様の試料を用い、東洋精機製作所製、毛細式特性試
験機を用い、樹脂温度190℃、ずり応力の範囲が5×
104〜3×106dyne/cm2程度で測定される。
【0100】なお、測定する樹脂のMFR(g/10分)に
よって、ノズル(キャピラリー)の直径を次のように変
更して測定する。 MFR>20 のとき0.5mm 20≧MFR>3 のとき1.0mm 3≧MFR>0.8 のとき2.0mm 0.8≧MFR のとき3.0mm (9)ヘイズ(透明性) 115℃で30分耐熱処理した中空成形品およびフィル
ムの透明性の指標となるヘイズは、ASTM D-1003-61に従
って測定した。 (10)外観 115℃で30分耐熱処理した中空成形品およびフィル
ムの外観を肉眼で観察し、変形が認められた場合の外観
評価を×で表示し、変形が認められなかった場合の外観
評価を○で表示し、変形が認められるものの斑状の曇り
が発生した場合の外観評価を△で表示した。 (11)ヤング率(柔軟性) ヤング率は、JIS K6781に準拠して測定した。 (12)変形開始温度(Td) エチレン・α-オレフィン共重合体から成形されたフィ
ルムからなる袋またはボトルの試料を、アルプ社製RK
−4016型小型耐熱高圧蒸気滅菌器にて、滅菌温度×
30分間の熱水滅菌を行ない、滅菌器から取り出した試
料について目視観察してその変形を評価する。110℃
の滅菌温度から始めて、1回の滅菌が終わる毎に滅菌温
度の設定を1℃上げる。この操作を繰り返し、滅菌器か
ら取り出した試料に初めて変形が認められたとき、その
滅菌温度を変形開始温度(Td(℃))とする。
【0101】
【製造例1】エチレン・α−オレフィン共重合体(A−1) [触媒の調製]250℃で10時間乾燥したシリカ10
kgを154リットルのトルエンで懸濁状にした後、0℃
まで冷却した。その後、メチルアミノオキサンのトルエ
ン溶液(Al=1.33mol/リットル)57.5リッ
トルを1時間で滴下した。この際、系内の温度を0℃に
保った。引続き0℃で30分間反応させ、次いで1.5
時間かけて95℃まで昇温し、その温度で20時間反応
させた。その後60℃まで降温し上澄液をデカンテーシ
ョン法により除去した。このようにして得られた固体成
分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100リット
ルで再懸濁化した。この系内へビス(1,3-ジメチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン
溶液(Zr=27.0mmol/リットル)16.8リ
ットルを80℃で30分間かけて適下し、更に80℃で
2時間反応させた。その後、上澄液を除去し、ヘキサン
で2回洗浄することにより、1g当り3.5mgのジル
コニウムを含有する固体触媒を得た。
【0102】[予備重合触媒の調製]2.5molのト
リイソブチルアルミニウムを含有する87リットルのヘ
キサンに、上記で得られた固体触媒870gおよび1-ヘ
キセン260gを加え、35℃で5時間エチレンの予備
重合を行うことにより、固体触媒1g当り10gのポリ
エチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。
【0103】[重 合]連続式流動床気相重合装置を用
い、全圧20kg/cm2-G 、重合温度80℃でエチレン
と1-ヘキセンとの共重合を行った。上記で調製した予備
重合触媒をジルコニウム原子換算で0.33mmol/hr、
トリイソブチルアルミニウムを10mmol/hrの割合で連
続的に供給し、重合の間一定のガス組成を維持するため
にエチレン、1-ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給し
た(ガス組成;1-ヘキセン/エチレン=0.023、水
素/エチレン=12.4×10-4、エチレン濃度=70
%)。
【0104】得られたエチレン・α−オレフィン共重合
体(A−1)の収量は、60kg/hrであり、密度が0.
923g/cm3であり、MFRが1.5g/10分であり、D
SCにより測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度が
115.8℃であり、室温におけるデカン可溶部が0.
41重量%であった。
【0105】
【実施例1】 [中空成形品の製造および評価]製造例1で得られたエ
チレン・α-オレフィン共重合体を、押出機にてペレッ
ト化し、下記の成形条件で中空成形品を成形した。
【0106】このエチレン・α-オレフィン共重合体か
ら、プラコー社製ブロー成形機を用いて、シリンダー温
度160〜180℃、ダイス温度180℃、金型温度2
0℃、ブロー圧力3kg/cm2 Gの条件で中空成形品(ボ
トル)を成形した。
【0107】得られた中空成形品について、115℃、
30分で耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率
を上述した方法で測定、評価した。結果を表2に示す。
【0108】
【製造例2】エチレン・α-オレフィン共重合体(A−2) [触媒の調製]製造例1において、ビス(1,3-ジメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトル
エン溶液の代わりに、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Z
r;28.1ミリモル/リットル)3.2リットルおよびビ
ス(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリドのトルエン溶液(Zr;34.0ミリモル
/リットル)10.7リットルを用いた以外は製造例1と
同様にして重合用触媒を得た。 [重合]密度、MFRを表1に示すように調製し、上記
重合用触媒を用いた以外は製造例1と同様にしてエチレ
ン・α-オレフィン共重合体(A−2)を得た。得られ
たエチレン・α-オレフィン共重合体(A−2)の物性
を表1に示す。
【0109】
【実施例2】 [中空成形品の製造および評価]製造例2で得られたエ
チレン・α-オレフィン共重合体(A−2)を、押出機
にてペレット化し、実施例1と同様にして中空成形品を
成形、評価した。
【0110】結果を表2に示す。
【0111】
【比較例1】エチレン系共重合体(A−3) [触媒の調製]窒素気流中で市販の無水塩化マグネシウ
ム10モルを、脱水精製したヘキサン50リットルに懸
濁させ、攪拌しながらエタノール60モルを1時間かけ
て滴下した後、室温にて1時間反応させた。
【0112】次いで、この反応液に27モルのジエチル
アルミニウムクロリドを室温で滴下し1時間攪拌した。
続いて、四塩化チタン100モルを加えた後、系を70
℃に昇温して3時間攪拌しながら反応を行なった。生成
した固体部はデカンテーションによって分離し、精製ヘ
キサンにより繰り返し洗浄した後、ヘキサンの懸濁液と
した。 [重合]200リットルの連続重合反応器に、脱水精製
した溶媒ヘキサンを80リットル/hr 、前記担体付き触
媒をチタンに換算して1.2ミリモル/hr連続的に供給
し、重合器内において同時にエチレン13kg/hr、1-ブ
テン13.0kg/hr 、水素100リットル/hr の割合で
連続供給し、重合温度145℃、全圧30kg/cm2G 、滞
留時間1時間、溶媒ヘキサンに対する共重合体の濃度が
120g/lとなる条件で共重合体の重合を行なった。
【0113】得られたエチレン系共重合体(A−3)の
物性を表1に示す。 [中空成形品の製造および評価]上記エチレン系共重合
体(A−3)を実施例1と同じ条件で成形して中空成形
品を得た。得られた中空成形品について、115℃、3
0分の耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率を
上述した方法で測定ないし評価した。
【0114】結果を表2および表5に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
【実施例3】 [フィルムの製造および評価]実施例1のエチレン・α
-オレフィン(A−1)を、モダン社製キャストフィル
ム成形機により、シリンダー温度180〜220℃、ダ
イス温度220℃、ロール温度30℃の条件で、フィル
ム成形して厚さ200μmのフィルムを得た。
【0118】得られたフィルムについて、115℃、3
0分の耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率を
上述した方法で測定ないし評価した。結果を表3に示
す。
【0119】
【実施例4】 [フィルムの製造および評価]実施例3において、実施
例1のエチレン・α-オレフィン(A−1)の代わりに
実施例2のエチレン・α-オレフィン共重合体(A−
2)を用いた以外は、実施例3と同様にして、厚さ20
0μmのフィルムを得た。
【0120】得られたフィルムについて、115℃、3
0分の耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率を
上述した方法で測定ないし評価した。結果を表3に示
す。
【0121】
【比較例2】 [フィルムの製造および評価]実施例3において、実施
例1のエチレン・α-オレフィン共重合体(A−1)の
代わりに比較例1のエチレン系共重合体(A−3)を用
いた以外は、実施例3と同様にして、厚さ200μmの
フィルムを得た。
【0122】得られたフィルムについて、115℃、3
0分の耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率を
上述した方法で測定ないし評価した。結果を表3に示
す。
【0123】
【表3】
【0124】
【実施例5】 [フィルムの製造および評価]実施例1のエチレン・α
-オレフィン共重合体(A−1)を、以下のような条件
でモダン社製キャストフィルム成形機により、シリンダ
ー温度180〜220℃、ダイス温度220℃、ロール
温度30℃の条件で、フィルム成形して厚さ100μm
のフィルムを得た。
【0125】得られたフィルムについて、115℃、3
0分の耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率を
上述した方法で測定ないし評価した。結果を表4に示
す。
【0126】
【実施例6】 [フィルムの製造および評価]実施例5において、実施
例1のエチレン・α-オレフィン共重合体(A−1)の
代わりに実施例2のエチレン・α-オレフィン共重合体
(A−2)を用いた以外は、実施例5と同様にして、厚
さ100μmのフィルムを得た。
【0127】得られたフィルムについて、115℃、3
0分の耐熱処理したのち、ヘイズ、外観およびヤング率
を上述した方法で測定ないし評価した。結果を表4に示
す。
【0128】
【比較例3】 [フィルムの製造および評価]実施例5において、実施
例1のエチレン・α-オレフィン共重合体(A−1)の
代わりに比較例1のエチレン系共重合体(A−3)を用
いた以外は、実施例5と同様にして、厚さ100μmの
フィルムを得た。
【0129】得られたフィルムについて、115℃、3
0分の耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率を
上述した方法で測定ないし評価した。結果を表4に示
す。
【0130】
【表4】
【0131】
【実施例7】 [中空成形品の製造および評価]実施例1のエチレン・
α-オレフィン共重合体(A−1)95重量部と、高密
度ポリエチレン[HDPE(a)と略す;密度=0.9
41g/cm3、MFR=2.0g/10分、Mw/Mn=2.
4、Tm=128℃]5重量部とからなるエチレン・α
-オレフィン共重合体組成物を用いた以外は、実施例1
と同様して中空成形品(ボトル)を得た。
【0132】得られた中空成形品について、115℃、
30分の耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率
を上述した方法で測定ないし評価した。結果を表5に示
す。
【0133】
【実施例8】実施例7において、実施例1のエチレン・
α-オレフィン共重合体(A−1)および高密度ポリエ
チエン[HDPE(a)]の配合量をそれぞれ90重量
部、10重量部とした以外は実施例7と同様にして、中
空成形品を得た。
【0134】得られた中空成形品について、115℃、
30分の耐熱処理した後、ヘイズ、外観およびヤング率
を上述した方法で測定ないし評価した。結果を表5に示
す。
【0135】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 23:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンと炭素数3〜12のα-オレフィ
    ンとの共重合体からなる耐熱容器であって、このエチレ
    ン・α-オレフィン共重合体は、 (i)密度が0.918〜0.940g/cm3の範囲にあり、 (ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフロー
    レート(MFR(g/10分))が0.1〜10.0g/10分の範
    囲にあり、 (iii)室温におけるデカン可溶成分量率(W(重量%))
    と、密度(d(g/cm3))とが W<80×exp(-100(d-0.88))+0.1 で示され、 (iv)溶融重合体の190℃におけるずり応力が2.4×1
    06dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動性
    インデックス(FI(1/秒))と、メルトフローレート
    (MFR(g/10分))とが、 FI>75×MFR で示され、 (v)190℃における溶融張力(MT(g))と、メルトフ
    ローレート(MFR(g/10分))とが、 5.5×MFR-0.65>MT>2.2×MFR-0.84 で示される関係を満たし、 かつ、前記耐熱容器は、 (A) 加熱滅菌処理後のヘイズが30%以下であり、 (B) 変形開始温度(Td(℃))が115℃以上であるこ
    とを特徴とするエチレン系樹脂製耐熱容器。
  2. 【請求項2】前記エチレン・α-オレフィン共重合体
    [A]が、 (a)シクロペンタジエニル骨格を含む周期律表第IV族の
    遷移金属化合物と、 (b)有機アルミニウムオキシ化合物とを含むオレフィン
    重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜12のα
    -オレフィンとを共重合させることにより得られるエチ
    レン・α-オレフィン共重合体ことを特徴とする請求項
    1に記載のエチレン系樹脂製耐熱容器。
  3. 【請求項3】前記エチレン・α-オレフィン共重合体
    [A]:70〜95重量部と、 高密度ポリエチレン[B]:5〜30重量部とを含むエ
    チレン・α-オレフィン共重合体組成物からなる耐熱容
    器であって、この耐熱容器は、 (A) 加熱滅菌処理後のヘイズが30%以下であり、 (B) 変形開始温度(Td(℃))が115℃以上であるこ
    とを特徴とするエチレン系樹脂製耐熱容器。
  4. 【請求項4】前記高密度ポリエチレンが、 (i)密度が0.940〜0.970g/cm3の範囲にあり、 (ii)GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)が
    1.5〜4.0の範囲にあることを特徴とする請求項3
    に記載のエチレン系樹脂製耐熱容器。
  5. 【請求項5】耐熱容器が医療用容器であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の容器。
  6. 【請求項6】耐熱容器が食品容器であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の容器。
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