JPH10101577A - 関節可動域低下症の予防・治療薬 - Google Patents

関節可動域低下症の予防・治療薬

Info

Publication number
JPH10101577A
JPH10101577A JP8255844A JP25584496A JPH10101577A JP H10101577 A JPH10101577 A JP H10101577A JP 8255844 A JP8255844 A JP 8255844A JP 25584496 A JP25584496 A JP 25584496A JP H10101577 A JPH10101577 A JP H10101577A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
joint
medicine
growth factor
motion
therapeutic agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8255844A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Ishii
豊 石井
Yasuhiro Fujinuki
安啓 藤貫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Nikken Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Nikken Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Nikken Chemicals Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP8255844A priority Critical patent/JPH10101577A/ja
Publication of JPH10101577A publication Critical patent/JPH10101577A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 関節固定や関節疾患などに起因する関節可動
域低下症の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供す
る。 【解決手段】 例えば天然型ヒトIGF-I などのインスリ
ン様成長因子-Iを有効成分として含み、例えば変形性膝
関節症、慢性関節リウマチ、ギブス固定などにより惹起
される関節可動域低下症の予防及び/又は治療薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、関節可動域低下症
の予防及び/又は治療に有用な医薬に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】骨折等の治療の際に関節をギブスなどで
長期間固定すると、固定を解除した後に関節可動域が低
下することが知られている。また、変形性関節症を含む
関節疾患では、初期の症状として歩行時に痛みを伴うた
めに、徐々に筋力が低下するとともに関節可動域が低下
する場合がある。このような関節可動域低下症は、関節
を十分に伸長ないしは曲げることができなくなる症状
(関節屈伸における運動性低下)や、関節を回転させた
り捻じったりできなくなる症状(関節回転における柔軟
性低下)などを伴う病態を呈するのが一般的である。
【0003】関節固定や関節疾患などに起因するこのよ
うな関節可動域低下症の発症機序の一つとして、関節液
の潤滑能の低下、又はそれに伴う関節内の栄養不全等を
介する関節拘縮の発現などが考えられている(菊池孝紀
ほか:薬理と治療, 21, 401,1993)。また、膝や肩等の
関節周辺に生じた骨折や靭帯損傷の治療のために関節を
固定すると、靭帯実質部等に経時的な力学的特性の変化
が生じることが報告されている(日整会誌, 69, S1395,
1995)。もっとも、関節可動域低下症の発症機序につい
ては不明な点が多く、また、関節固定が靭帯、腱、及び
筋肉に与える影響についてもほとんど解明されていない
のが現状である。
【0004】関節可動域低下症の予防や治療には、主に
抗炎症剤やヒアルロン酸製剤等が使用されている。しか
しながら、抗炎症剤は関節及びその周辺の炎症に伴う疼
痛の除去を目的として使用されるものであり、また、ヒ
アルロン酸製剤は関節膜内に潤滑剤として導入されるも
のにすぎないので、いずれも対症療法の域を出ず、関節
拘縮や固定による靭帯、腱、及び筋肉などの非健常状態
を軽減ないしは消失させて該疾患の根治を可能にするも
のではない。
【0005】一方、インスリン様成長因子-I(本明細書
において「IGF-I 」と略記する場合がある) は、下垂体
の成長ホルモンに依存して肝臓(及び腎臓)から生産さ
れる単鎖ポリペプチドであり (ヒトIGF-I の単離につい
ては Rinderknecht, et al.,Proc. Natl. Acad. Sci.,
USA, 73, 4379に記載されており、そのアミノ酸配列に
ついては J. Biol. Chem., 253, 2769, 1978及び FEBS
Lett., 89, 283, 1978に報告がある)、細胞への糖の取
り込み、アミノ酸の取り込み促進作用、蛋白合成促進作
用、細胞増殖促進作用、及び分化促進作用等を有し、筋
肉や骨など多くの組織や臓器に対して作用することが知
られている。また、IGF-I は軟骨成長や基質合成を促進
することも知られている。
【0006】IGF-I の医薬としての適用については、小
人症の治療薬、低身長者の成長促進薬 (基礎研究につい
て Endocrinology, 124, 2519, 1989 及び J. Endocrin
ol.,112, 123, 1987 などを参照)、インスリン抵抗性
を呈する Type A 糖尿病に対する治療薬 (N. Engl. J.
Med., 317, 1987)、筋ジストロフィー治療薬(特開平7-
316071号公報)などのほか、潰瘍、外傷および火傷の治
療薬としての応用が検討されている。しかしながら、関
節拘縮に対するIGF-I の作用や、関節固定により惹起さ
れる関節周囲の靭帯、腱、及び筋肉などの非健常状態に
対するIGF-I の作用については全く報告がない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、関節
固定や関節疾患などに起因するこのような関節可動域低
下症の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供すること
にある。関節可動域低下症に対して予防及び/又は根治
的治療を可能にする医薬は従来提供されておらず、この
ような医薬が提供されれば臨床上極めて有用であること
が期待される。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意努力した結果、関節可動域低下を伴う
膝関節内にIGF-I を投与すると、関節屈曲の運動性低下
などの症状が顕著に改善することを見いだした。本発明
者らは上記の知見を基にしてIGF-I の関節可動域低下症
に対する予防及び治療効果を確認し、本発明を完成する
に至った。
【0009】すなわち本発明は、インスリン様成長因子
-Iを有効成分として含む関節可動域低下症の予防及び/
又は治療薬を提供するものである。本発明の好ましい態
様によれば、インスリン様成長因子-Iが天然型ヒトIGF-
I である上記予防及び/又は治療薬;有効成分であるイ
ンスリン様成長因子-Iと製剤用添加物とを含む医薬組成
物の形態の上記予防及び/又は治療薬;変形性膝関節
症、慢性関節リウマチ、骨関節炎、頸肩腕症候群、肩関
節周囲炎、四十肩、五十肩、及び顎関節症からなる疾
患、及び/又はギブス固定により惹起された関節可動域
低下症の予防及び/又は治療に用いる上記予防及び/又
は治療薬;関節可動域低下を伴う関節内に局所投与する
ための上記予防及び/又は治療薬;並びに注射用アンプ
ル剤又は注射用凍結乾燥粉末剤の形態の上記予防及び/
又は治療薬が提供される。
【0010】本発明の別の態様によれば、上記の関節可
動域低下症の予防及び/又は治療薬、好ましくは上記の
医薬組成物の製造のためのインスリン様成長因子-Iの使
用、並びに、関節可動域低下症の予防及び/又は治療方
法であって、ヒトを含む哺乳類動物にインスリン様成長
因子-Iの有効量を投与する工程を含む方法が提供され
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本明細書において用いられる「イ
ンスリン様成長因子-I」という用語は、ヒト、サル、ウ
マ、又はヒツジなどの哺乳類動物由来の天然型IGF-I 、
及び該天然型IGF-I と実質的に同様の生物活性を有する
非天然型IGF-I を含めて最も広義に用いる。非天然型IG
F-I としては、例えば、天然型IGF-I の部分フラグメン
トのほか、天然型IGF-I のアミノ酸配列に対して1個又
は2個以上のアミノ酸残基による置換、挿入、及び/又
は欠失などの修飾を加えた改変体などを挙げることがで
きる。また、非天然型IGF-I には、ヒト、サル、ウマ、
又はヒツジなどの哺乳類動物から選ばれる異なる2以上
の種に由来する天然型IGF-I の部分フラグメントを結合
させた融合体;鳥類、両性類、は虫類、又は魚類などに
由来する天然型IGF-I の部分フラグメントを含む誘導
体;並びに、及びそれらのアミノ酸配列に対して上記の
修飾を加えた改変体なども包含される。
【0012】例えば、活性の上昇、安定性の上昇、及び
/又はペプチド精製の観点からN-末端から数個のアミノ
酸を欠損させたものやN-末端に1〜10個程度のヒスチジ
ンからなるタグ配列などを付加することも可能である。
また、インスリン様成長因子-Iには、上記天然型IGF-I
又は非天然型IGF-I を構成するポリペプチドに対して任
意の糖類(単糖、二糖、オリゴ糖、若しくは多糖)や脂
質類が結合したものや、該ポリペプチドがリン酸化され
たものも包含される。さらに、インスリン様成長因子-I
には、遊離形態の上記各物質のほか、塩酸塩、酢酸塩、
若しくはパラトルエンスルホン酸塩などの酸付加塩、又
はアンモニウム塩若しくは有機アミン塩などの塩基付加
塩が包含される。インスリン様成長因子-Iの製造方法は
特に限定されず、組換えDNA 技術、ペプチド合成法、又
は細胞培養など当業者に利用可能ないなかる方法で製造
されたものであってもよい。本発明の医薬をヒトに適用
する場合には、ヒト由来の天然型IGF-I を用いることが
好ましい。
【0013】ヒト由来の天然型IGF-I については、J. B
iol. Chem., 253, 2769, 1978 及びFEBS Lett., 89, 28
3, 1978にアミノ酸配列が記載されており、タンパクと
しての分離・精製は Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 7
3, 4379, 1976に開示されている。また、組換えDNA 技
術によるIGF-I については、例えば、欧州特許公開第12
3228号、同128733号、及び同219814号などに記載されて
おり、ペプチド合成法による製造方法については Proc.
Natl. Acad. Sci, USA, 80, 2216, 1983 に開示があ
る。さらに、改変体については、欧州特許公開第158892
号、同第346429号、特開昭62-169733 号公報、特開平1-
50899 号公報、同1-63597 号公報、同1-66198 号公報、
及び同1-66199 号公報、並びに Proc. Natl. Acad. Sc
i., USA, 83,4904, 1986; Biochem. Biophys. Res. Com
mun., 149, 398, 1987; Biochem. Biophys. Res. Commu
n., 149, 672, 1987; Endocrinology, 123, 373, 1988;
J. Biol. Chem., 263, 6233, 1988; 及び Biochem. Bi
ophys. Res. Commun., 165, 766, 1989 などに記載され
ている。
【0014】従って、天然型IGF-I 又は非天然型IGF-I
は、これらの刊行物に記載された方法に従って、または
それらに適宜の改変や修飾を加えることにより、当業者
が容易に入手可能であることは容易に理解されよう。ま
た、非天然型IGF-I が天然型IGF-I と実質的に同様の生
物活性を有するか否かについても、これらの刊行物に記
載された方法に従って容易に判定することが可能であ
る。なお、本明細書において「非天然型IGF-I が天然型
IGF-I と実質的に同様の生物活性を有する」という場合
には、非天然型IGF-I が、天然型IGF-I の有する生物活
性の一部又は全部を有しており、少なくとも関節可動域
低下に対する天然型IGF-I の予防及び/又は治療作用を
有していることを意味している。もっとも、非天然型IG
F-I の生物活性の強弱については天然型IGF-I の有する
生物活性と実質的に同様である必要はない。
【0015】本発明の医薬としては、上記のインスリン
様成長因子-Iをそのまま用いることができるが、一般的
には、上記インスリン様成長因子-Iの1種又は2種以上
と製剤用添加物とを含む医薬組成物を調製して患者に投
与するのが好適である。本発明の医薬は、静脈内注射、
点滴、直腸内投与などにより非経口的に全身投与しても
よいが、可動域の低下した関節に対して局所注射や経皮
投与などにより局所投与してもよい。治療及び/又は予
防効果の観点からは、局所投与、とりわけ関節内に局所
注射することが好ましい。このような投与形態に適した
医薬組成物として、例えば、上記のインスリン様成長因
子-Iと適宜の製剤用添加物とを、注射用蒸留水、生理食
塩水、ブドウ糖水溶液などの水性媒体、グリセリン等の
非水性媒体、又はそれらの混合物に溶解した形態の注射
剤が好適である。このような注射剤は、注射用アンプル
剤又は注射用凍結乾燥粉末剤(バイアル充填品)として
提供されるのが一般的である。
【0016】製剤用添加物及び医薬組成物の製造方法は
特に限定されず、当業界で利用可能ないかなる製剤用添
加物及び製造方法を用いてもよい。製剤用添加物として
は、例えば、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩などの緩
衝剤;水酸化ナトリウム、塩酸、酢酸などのpH調節剤;
ブドウ糖、塩化ナトリウムなどの等張化剤;ベンジルア
ルコール、塩化ベンザルコニウム、フェノールなどの保
存剤;塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどの無痛化
剤;サリチル酸ナトリウム、マンニトール等の溶解補助
剤;ポリエチレングリコール等の安定化剤などを用いる
ことができる。また、凍結乾燥粉末の調製には、上記の
製剤用添加物に加えて、カルボキシメチルセルロース、
アルギン酸ナトリウム等の賦形剤を用いてもよい。もっ
とも、製剤用添加物はこれらに限定されることはなく、
医薬組成物の種類や調製方法に応じて適宜のものを用い
ることができることはいうまでもない。
【0017】また、局所投与可能なその他の医薬組成物
として、有効量のIGF-I を含有させた針状ペレット剤、
マイクロカプセル剤、ナノカプセル剤、ナノスフェア
剤、リポソーム剤、リピットマイクロスフェア剤、及び
ゲル化製剤等を挙げることができる。これらの医薬組成
物ついてはそれぞれ種々のものが知られており、それら
のいかなるものを用いてもよい。また、これらの製剤技
術を適宜組み合わせて製造した医薬組成物を用いてもよ
い。これらの医薬組成物は、長期の薬効持続及び投薬回
数の減少などの観点から好ましいが、製剤用添加物とし
て用いられる基剤は、生体内適合性、生体内分解性、及
び生体内溶解性であることが望ましい。さらに、本発明
の医薬には、ステロイド系又は非ステロイド系の抗炎症
剤、ヒアルロン酸製剤、合成抗菌剤、抗生物質などの薬
剤の1種又は2種以上を配合することができる。
【0018】本発明の医薬は、関節可動域低下症の予防
又は治療に用いることができる。本明細書において用い
られる「関節可動域低下症」という用語は、少なくと
も、関節の伸長ないしは屈曲の運動性が健常人のものに
比べて実質的に低下しており(関節屈伸における運動性
低下)、及び/又は関節の回転ないしは捻じりの柔軟性
が健常人のものに比べて実質的に低下している(関節捻
転における柔軟性低下)疾患を意味している。本発明の
医薬は、上記の病態により特徴付けられる疾患に対して
適用可能であるが、その疾患の適否の判断にあたっては
「関節可動域低下」という表現にのみ拘泥すべきではな
い。患者の呈する症状が上記の病態に合致しているか否
か、又はその疾患が本発明の医薬の適用対象となりうる
か否かは、熟練した医師により容易に判定可能であるこ
とはいうまでもない。
【0019】関節可動域低下症が惹起される疾患の例と
しては、例えば、変形性膝関節症、慢性関節リウマチ、
骨関節炎、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、四十肩、五十
肩、顎関節症を挙げることができる。また、関節可動域
低下症は、骨折や手術治療に伴うギブス固定などの一時
的又は長期間の関節固定により惹起される場合もある。
【0020】本発明の医薬の投与は、関節可動域低下を
伴う関節に対して、一般的には関節内注射によりその所
定量を単回、もしくは複数回に分けて投与するか、又は
ドレナージなどを通じて連続的に投与ないし灌流するこ
とにより行われる。本発明の医薬を単回もしくは複数回
投与する場合には、通常、有効成分量として成人一日当
り約 1μg 〜10 mg/kg程度、好ましくは約 1〜100 μg/
kgの範囲で投与すればよい。投与回数は特に限定されな
いが、好ましくは通常 1〜2 回/週である。もっとも、
投与量及び投与回数は上記のものに限定されることはな
く、治療又は予防の目的、患者の呈する症状、患者の年
齢、体重、併用薬剤等に応じて投与量を適宜増減するこ
とができることはいうまでもない。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
ることはない。 例1(製剤例) 注射用水約 70 mlに塩化ナトリウム 0.6 g、酢酸ナトリ
ウム 0.6 g及びベンジルアルコール 0.9 gを加えて溶解
し、組換えヒトIGF-I (rhIGF-I, ジェネンテック社製)
1.0 g を添加して溶解した。この溶液を0.1 N 酢酸でpH
5〜6 に調整し、つぎに注射用蒸留水を加えて全量を10
0 mlとした。この溶液をメンブランフィルターにより無
菌的に1 ml容アンプルに分注し、rhIGF-I (10 mg/ml)を
含有する注射剤を作製した。
【0022】例2 (1) 関節可動域低下症の動物モデルの作製 個別ケージで飼育12週齢の Kbl:NZW (SPF) 雄性ウサギ
(北山ラベルス)28羽を用いた。ウサギを塩酸ケタミン
および塩酸キシラジンで麻酔し、右後肢を毛刈した後、
大腿上部より足尖までストッキネットおよびキャストパ
ットで包んだ。その後、キャスティングテープを用いて
膝関節を伸展位で3週間固定した。その間、ギブスを週
1回巻き直し、巻き直し日以外の投薬のために投薬部位
の確認ができる程度にギブスを切り抜き、投薬後はギブ
スを外科用テープで接着、補強して固定を継続した。関
節可動域の測定は、固定期間中は週1回、固定解除後は
週2回の割合で行い、右膝関節の可動域を以下のように
測定した。麻酔下に動物の膝の位置を固定し、脛骨遠位
部を垂直方向に約400 g の加重で牽引して膝関節の伸展
および屈曲時の角度を測定し、その差を可動域として算
出した。
【0023】(2) IGF-I の投与 IGF-I(0.1 mg/kg)投与群、IGF-I(0.02 mg/kg) 投与群、
及び生理食塩液(大塚製薬)投与群の3群を実験群と
し、各々の投与検体を固定開始日から固定解除後3週間
まで右膝関節内に投与した。投与量及び投与間隔は、0.
1 ml/kg を3又は4日間隔で週2回投与し、投与期間は
6週間(計12回投与)とした。
【0024】(3) 試験結果 関節可動域の測定結果を図1に示す。図1の結果から明
らかなように、いずれのIGF-I 投与群でも、固定期間中
および固定解除後の関節可動域値は生理食塩液投与群に
対して用量依存的に有意な高値を示しており、関節可動
域低下に対するIGF-I の予防及び治療効果が確認され
た。また、固定解除日からの関節可動域の差を算出し治
療効果として比較すると、表1の結果から明らかなよう
に、いずれのIGF-I 投与群でも固定解除日からの関節可
動域の差は生理食塩液投与群に対して用量依存的に有意
な高値を示しており、関節可動域低下に対するIGF-I 投
与の明かな治療的効果が確認された(表中の数値は関節
可動域の角度を示す)。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明の医薬は、従来、根治治療を可能
にする医薬が提供されていなかった関節固定や関節疾患
などに起因する関節可動域低下症の予防及び/又は治療
に有効であり、医薬として高い有用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 関節可動域低下症に対する本発明の医薬の予
防及び治療作用を示す図である。図中、* は 5% 危険
率、**は 1% 危険率での統計学的な生理食塩液投与群に
対する有意性を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インスリン様成長因子-Iを有効成分とし
    て含む関節可動域低下症の予防及び/又は治療薬。
  2. 【請求項2】 インスリン様成長因子-Iが天然型ヒトIG
    F-I である請求項1に記載の予防及び/又は治療薬。
  3. 【請求項3】 インスリン様成長因子-Iと製剤用添加物
    とを含む医薬組成物の形態の請求項1又は2に記載の予
    防及び/又は治療薬。
  4. 【請求項4】 変形性膝関節症、慢性関節リウマチ、骨
    関節炎、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、四十肩、五十
    肩、及び顎関節症からなる疾患、及び/又はギブス固定
    により惹起された関節可動域低下症の予防及び/又は治
    療に用いる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の予
    防及び/又は治療薬。
  5. 【請求項5】 関節可動域低下を伴う関節内に局所投与
    するための請求項1ないし4のいずれか1項に記載の予
    防及び/又は治療薬。
  6. 【請求項6】 注射用アンプル剤又は注射用凍結乾燥粉
    末剤の形態の請求項5に記載の予防及び/又は治療薬。
JP8255844A 1996-09-27 1996-09-27 関節可動域低下症の予防・治療薬 Pending JPH10101577A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8255844A JPH10101577A (ja) 1996-09-27 1996-09-27 関節可動域低下症の予防・治療薬

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8255844A JPH10101577A (ja) 1996-09-27 1996-09-27 関節可動域低下症の予防・治療薬

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10101577A true JPH10101577A (ja) 1998-04-21

Family

ID=17284384

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8255844A Pending JPH10101577A (ja) 1996-09-27 1996-09-27 関節可動域低下症の予防・治療薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10101577A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008102855A1 (ja) * 2007-02-21 2008-08-28 Mochida Pharmaceutical Co., Ltd. 軟骨疾患治療用組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008102855A1 (ja) * 2007-02-21 2008-08-28 Mochida Pharmaceutical Co., Ltd. 軟骨疾患治療用組成物
US8372394B2 (en) 2007-02-21 2013-02-12 Mochida Pharmaceutical Co., Ltd. Compositions and methods for treating cartilage disease
US9216201B2 (en) 2007-02-21 2015-12-22 Mochida Pharmaceutical Co., Ltd. Method for regenerating hyaline cartilage

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5042312B2 (ja) Hghを含む経口送達用医薬組成物
US7141545B2 (en) Compositions and methods for treating articular cartilage disorders
DE69719360T2 (de) Zusammensetzungen und methoden zur steigerung der darmfunktion
KR102121443B1 (ko) 저혈당증의 치료를 위한 비강 분말 제제
JPH06502863A (ja) 2成分型骨粗鬆症用薬剤
JP2002220342A (ja) インターロイキン−1媒介疾患および腫瘍壊死因子媒介疾患の治療方法
JPH082797B2 (ja) 変性性関節疾患治療剤
JP2016132669A (ja) 関節を治療するための組成物及び方法
CA2142455A1 (en) Method for systemic treatment of catabolic conditions and systemic tissue injury
JP2024521091A (ja) 褐色脂肪生成を誘導する方法及び組成物
US6623732B1 (en) Pharmaceutical formulation for nasal administration
JP2002510653A (ja) 緩衝剤としてコハク酸を含有する注射可能なigf処方物
JPH10101577A (ja) 関節可動域低下症の予防・治療薬
US11439685B2 (en) Formulations for treating a fibrotic disease
EP3402505B1 (en) Pharmaceutical formulations for the treatment of diabetes
TWI448292B (zh) 含血管舒緩激肽拮抗劑及玻尿酸之醫藥組成物及其等之使用
NL8203316A (nl) Farmaceutische preparaten met menselijk pro-insuline.
RU2827073C1 (ru) Средство для лечения артрологических заболеваний в лиофилизированной форме для инъекций
EP4108252A1 (en) Pharmaceutical compositions comprising glp-1r agonists
CA2552404A1 (en) Methods and compositions for the treatment of lipodystrophy
AU2023242770A1 (en) Methods and compositions for potentiation of a ligand
JP2002507193A (ja) Igf−i応答性の状態についての治療のための組成物および方法
CA3223710A1 (en) Pharmaceutical compositions comprising glp-1r agonists
JP2003534237A (ja) 食欲の抑制又は満腹の惹起のための成長ホルモン又は成長ホルモン分泌促進物質の使用
Salvatori Once daily administration of CJC-1295, a long acting growth hormone (GH) releasing hormone (GHRH) analogue, normalizes growth in the GHRH-knock out mouse