JPH09249404A - 炭素材料の製造方法 - Google Patents

炭素材料の製造方法

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JPH09249404A
JPH09249404A JP8054960A JP5496096A JPH09249404A JP H09249404 A JPH09249404 A JP H09249404A JP 8054960 A JP8054960 A JP 8054960A JP 5496096 A JP5496096 A JP 5496096A JP H09249404 A JPH09249404 A JP H09249404A
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carbon material
carbine
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豊広 前田
Ryoichi Nishida
亮一 西田
Yutaka Nakazono
豊 中薗
Ayumi Yasuda
歩 安田
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  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高度に構造が制御された高品質なカルビン系炭
素材料を、高収率で、安全かつ環境汚染を生じることな
く、工業的に製造しうる新しい方法を提供することを主
な目的とする。 【解決手段】炭素材料の製造方法であって、ポリオレフ
ィン誘導体を、Mg、Zn、Alまたはそれらの金属を主成分と
する合金を陽極とし、支持電解質単独或いは支持電解質
と通電助剤の両者を溶解した非水系有機溶媒中において
不活性ガス雰囲気下で行う電極還元反応に供することに
より、一般式 (-C≡C-)n (2) (式中、nは、2〜1000000である)で示されるポリイン
構造または一般式 (=C=C=)n (3) (式中、nは、2〜1000000である)で示されるキュムレ
ン構造を主鎖骨格の一部または全部に有する炭素材料を
形成させることを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主鎖骨格の一部ま
たは全部にポリイン構造またはキュムレン構造を有する
炭素材料(いわゆるカルビン系炭素材料)の製造方法に
関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】主鎖骨格の一部または全部に
カルビン構造を有する炭素材料は、大出力高温エレクト
ロニクス用半導体などの電子材料、航空宇宙用・核融合
用超高温複合材料向けの耐熱性超高強度繊維などの耐熱
材料などへの適用が期待されている。
【0003】カルビン系炭素材料の製造方法は、物理的
な方法と化学的な方法に大別される。
【0004】物理的な方法としては、(a)グラファイ
トのイオンスパッタリング或いはアーク放電によってカ
ルビンを含む炭素材料を製造する方法(Y. P. Kudryavts
ey, etal., Carbon, 30 (1992) 213、Y. P. Kudryavtse
v, et al., Carbon, 30 (1992) 213);(b)ポリ塩化
ビニル膜に真空中でレーザーを照射し、カルビン状炭素
材料を得る方法(M. Shimoyama, et al., Makromol. Che
m., 193 (1992) 569)などが知られている。
【0005】また、化学的な方法としては、以下のよう
な方法が知られている。
【0006】(c)アセチレンの脱水素反応をCuCl2
液中で行う方法(V. I. Kasatochikin,et al., Carbon,
11 (1973) 70); (d)ポリアセチレンを塩素化(CHCl)xし、立体規則性
に優れたハロゲン化ポリアセチレンを作り、その脱ハロ
ゲン化水素を行う方法。(K. Akagi, et al., Synth. Me
tal, 17 (1987) 557); (e)アセチレンを酸素存在下で、第一銅塩と配位子と
しての第三級アミンからなる触媒を用いて合成する方法
(特公平3-44582号); (f)ポリテトラフルオロエチレン膜をLiの水銀アマル
ガム中で脱フッ素化を行う方法(L. Kavan, Synth. Meta
l, 58 (1993) 63); (g)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN,N-dimethylfolm
amide溶液から作ったPVDF単結晶膜をアセトンを混ぜた
エタノールの10%カリウムエチレート溶液で室温40分間
処理し、脱フッ化水素化する方法(Y. P. Kudryavtsev,
et al., Carbon, 30(1992) 213); (h)ジヨードアセチレンのNi触媒存在下での電極還元
による方法(H.Shirakawa,et al.,Chem.Lett.,2011(199
4)。
【0007】しかしながら、物理的な方法は、例えば27
00K以上の高温で反応させるため、多様な反応活性種が
生成し、高度な構造制御が難しいという問題点がある。
また、物理的な方法は、収率や反応規模の面からも、カ
ルビン系炭素材料を工業的に大量生産するには不適切な
方法である。
【0008】一方、化学的な方法については、(c)、
(e)および(f)は、安全性や環境汚染の面で工業的
製法としては採用が困難である。また、(d)(g)お
よび(h)では、ハロゲンが残存するなど、品質や収率
の面で問題があり、工業的にカルビンを製造するには新
しい反応系の開拓が必要である。
【0009】また、ポリテトラフルオロエチレンフィル
ムを化学的に或いは電気化学的に還元して、その表面を
カーボン状材料とし、フィルムの接着性を改善する試み
が以前よりなされてきているが(US Patent 3,967,018,
1976; US Patent 3,296,011, 1967; British Patent 7
65,284, 1957)、この方法は、フィルム表面だけをカー
ボン状材料にするもので、カルビン系炭素材料を得る方
法としては、収率が低いという大きな問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、高
度に構造が制御された高品質なカルビン系炭素材料を、
高収率で、安全かつ環境汚染を生じることなく、工業的
に製造しうる新しい方法を提供することを主な目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
従来技術の現状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、アニオ
ンとして脱離する官能基を有するポリオレフィン誘導体
を、特定の金属を陽極として用い、特定の支持電解質或
いは支持電解質と通電助剤の両者と特定の溶媒を用いる
電極反応に供することにより、従来技術の問題点が実質
的に解消されるか乃至は大幅に軽減されることを見い出
した。
【0012】すなわち、本発明は、下記のカルビン系炭
素材料の製造方法を提供するものである。
【0013】1.炭素材料の製造方法であって、一般式 -(CX2-CX2)n- (1) (式中、Xは、F、Cl、Br、IまたはHを表す;Xは、同一でも
或いは2つ以上が相異なっていてもよい;nは、2〜100
0000である)で表されるポリオレフィン誘導体を、Mg、Z
n、Alまたはそれらの金属を主成分とする合金を陽極と
し、支持電解質単独或いは支持電解質と通電助剤の両者
を溶解した非水系有機溶媒中において不活性ガス雰囲気
下で行う電極還元反応に供することにより、一般式 (-C≡C-)n (2) (式中、nは、2〜1000000である)で示されるポリイン
構造または一般式 (=C=C=)n (3) (式中、nは、2〜1000000である)で示されるキュムレ
ン構造を主鎖骨格の一部または全部に有する炭素材料を
形成させることを特徴とする方法。
【0014】2.支持電解質としてLiCl、Li2SO4、LiBF
4、LiClO4, LiPF6、(C4H9)4NF、(C4H9)4NCl、(C4H9)4NB
r、(C4H9)4NI、(C4H9)4NSO4、(C4H9)4NBF4、(C4H9)4NCl
O4および(C4H9)4NPF6からなる群から選ばれた少なくと
も1種を用いる上記項1に記載の方法。
【0015】3.通電助剤として、AlCl3、Al(OEt)3、F
eCl2、FeCl3、MgCl2、ZnCl2、SnCl2、CoCl2、PdCl2、VC
l3、CuCl2およびCaCl2から選ばれた少なくとも1種を用
いる上記項1または2に記載の方法。
【0016】4.非水系有機溶媒として、プロピレンカ
ーボネート、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミ
ド、N-メチルホルムアミド、ホルムアミド、エチレンジ
アミン、ジメチレンスルホキシド、1,2−ジメトキシ
エタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジ
オキサン、テトラヒドロフランおよび塩化メチレンから
選ばれた少なくとも1種或いはこれらの少なくとも1種
を10%以上含む混合溶媒を用いる上記項1〜3のいずれ
かに記載の方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において、出発原料として
用いるアニオンとして脱離する官能基を有するポリオレ
フィン誘導体は、一般式、 -(CX2-CX2)n- (1) (式中、Xは、F, Cl, Br, IまたはHを表す(ただし、X
がすべてHである場合を除く)。Xは、同一でもあるいは
2つ以上が相異なっていてもよい。;nは2〜1000000で
ある)で示されるものである。Xとしては、Fがより好ま
しい。
【0018】また、本発明における反応生成物は、一般
式 (-C≡C-)n (2) (式中、nは2〜1000000である)で示されるポリイン構
造、または一般式 (=C=C=)n (3) (式中、nは2〜1000000である)で示されるキュムレン
構造を主鎖骨格の一部または全部に有する炭素材料であ
る。この様な炭素材料は、原料として用いるポリオレフ
ィン誘導体の構造を残しつつ、高度に多重結合が発達し
たポリマーとそのクロスリンクした3次元の高度に多重
結合が発達している。
【0019】一般式(1)の原料は、1種を単独で使用
しても良く、或いは2種以上を併用使用しても良い。
【0020】電極反応に際しては、一般式(1)で示さ
れるポリオレフィン誘導体を反応容器内に収容して反応
に供する。ポリオレフィン誘導体は、溶媒に溶解するも
のについては、溶媒に溶解して使用する。溶媒に溶解し
ないものについては、反応が起こる形態であれば特に限
定されないが、例えば、シート状のものを反応器内に設
置したり、粒子状のものを溶媒に分散させて反応容器に
収容したり、或いは多孔質シート或いはメッシュ状のも
のを陰極上に設置するなどの実施態様が挙げられる。
【0021】溶媒としては、非プロトン性の溶媒が広く
使用でき、具体的にはプロピレンカーボネート、アセト
ニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルム
アミド、ホルムアミド、エチレンジアミン、ジメチレン
スルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−
メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン、塩化メチレンなどが例示される。これらの
溶媒は、単独でも或いは2種以上の混合物としても使用
できる。更に、これらの非プロトン性溶媒の少なくとも
1種を10%以上含む混合溶媒を用いてもよい。これらの
溶媒中では、1,2−ジメトキシエタンおよびテトラヒ
ドロフランがより好ましい。
【0022】電極反応に使用する支持電解質としては、
LiCl、 Li2SO4、 LiBF4、 LiClO4、LiPF6などのリチウ
ム塩、(C4H9)4NF、(C4H9)4NCl、(C4H9)4NBr、(C4H9)4N
I、(C4H9)4NSO4、(C4H9)4NBF4、(C4H9)4NClO4、(C4H9)4
NPF6などの4級アンモニウム塩などが例示される。これ
らの支持電解質は、単独で使用してもよく、あるいは2
種以上を併用しても良い。これらの支持電解質の中で
も、塩化リチウムおよび過塩素酸リチウムが最も好まし
い。支持電解質の濃度は、低すぎる場合には、通電が困
難乃至は不可能となって反応が進行しないのに対し、高
すぎる場合には、電流が流れすぎて反応に必要な電位が
確保できなかったり、支持電解質の金属イオンが陰極で
還元されて多量に生成して反応を阻害するなどの問題が
生じる。したがって、溶媒中の支持電解質の濃度は、通
常0.05〜5mol/l程度であり、より好ましくは、0.1〜3mo
l/l程度であり、特に好ましくは、0.15〜2.0mol/l程度
である。
【0023】本願発明の電極反応においては、電極反応
をより効率的に行うために、支持電解質に加えて通電助
剤を併用することにより、通電性の向上を図っても良
い。通電助剤としては、AlCl3、Al(OEt)3などのAl塩;F
eCl2、FeCl3などのFe塩;MgCl2などのMg塩;ZnCl2など
のZn塩;SnCl2などのSn塩;CoCl2などのCo塩;PdCl2
どのPd塩;VCl3などのV塩;CuCl2などのCu塩;CaCl2
どのCa塩などが好ましいものとして例示される。これら
の通電助剤は、単独で使用しても良く、あるいは2種以
上を併用しても良い。これら通電助剤の中でも、AlC
l3、FeCl2、FeCl3、CoCl2、CuCl2などがより好ましい。
溶媒中の通電助剤の濃度は、低すぎる場合には、通電性
の向上が充分に達成されず、一方、高すぎる場合には、
通電助剤が還元されて、反応に関与しなくなる。従っ
て、溶媒中の通電助剤の濃度は、通常、0.01〜6mol/l程
度であり、より好ましくは0.03〜4mol/l程度であり、特
に好ましくは0.05〜3mol/l程度である。
【0024】本願発明の電極反応においては、陽極とし
て、Mg、Zn、Alまたはそれらを主成分とする合金を使用
する。Mgを主成分とする合金としては、例えば、Alを3
〜10%程度含有するものが挙げられる。また、JIS H 61
25-1961に規定されている1種(MGA1)、2種(MGA2、
通称AZ63)、3種(MGA3)などが挙げられる。陰極とし
ては、電流を通じ得る物質であれば特に限定されない
が、SUS304、316などのステンレス鋼;Mg、Cu、Zn、S
n、Al、Ni、Co、白金などの各種金属;炭素材料などが
例示される。
【0025】陰陽極ともに同種の金属を用いる場合に
は、陰陽極の極性を一定時間間隔毎に切り換えても良
い。これによって、陰極上に付着した金属塩などを除去
できる。切替の間隔は、1秒乃至10分程度の範囲で行
うことが好ましい。
【0026】電極の形状は、通電を安定して行いうる限
り特に限定されないが、棒状、板状、筒状、円錐状、円
盤状、球状、あるいはそれらをバスケットに収容したも
の、板状体をコイル状に巻いたものなどが好ましい。電
極表面の酸化皮膜は、必要ならば、予め除去しておく。
電極からの酸化皮膜の除去は任意の方法で行えば良く、
例えば、電極を酸により洗浄した後、エタノールおよび
エーテルなどにより洗浄し、減圧下に乾燥する方法、窒
素雰囲気下に電極を研磨する方法、或いはこれらの方法
を組み合わせた方法などにより行うことができる。
【0027】本発明の電極反応は、例えば、(a)陽極
および陰極を設置した密閉可能な反応容器に一般式
(1)で表されるポリオレフィン誘導体および支持電解
質と、必要に応じて通電助剤とを、溶媒とともに収容
し、好ましくは機械的もしくは磁気的に攪拌しつつ、所
定量の電流を通電することにより電極反応を行わせる方
法、(b)陽極および陰極を設置した電解槽、反応液貯
槽、ポンプ、配管などから構成される流動式電極反応装
置を用いて、反応液貯槽にポリオレフィン誘導体、支持
電解質、溶媒、必要に応じて通電助剤を投入し、それら
から構成される反応溶液をポンプにより電極反応装置内
を循環させつつ、所定量の電流を通電することにより、
電解槽内で電極反応を行わせる方法などにより行うこと
ができる。
【0028】電極反応時の反応容器或いは反応装置内
は、乾燥雰囲気であればよいが、乾燥した窒素または不
活性ガス雰囲気であることがより好ましく、さらに脱酸
素し、乾燥した窒素雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気で
あることが特に好ましい。通電量は、ポリオレフィン誘
導体中の脱離基を基準として、1F/mol程度以上あれば良
く、通電量を調整することにより、目的生成物の構造の
制御(生成物中のカルビン構造の量比、三次元構造の多
寡など)が可能となる。また、0.1F/mol程度以上の通電
量で生成した炭素材料を系外に取り出し、残存する原料
ポリオレフィン誘導体を回収して、再使用することも可
能である。
【0029】反応時間は、原料ポリオレフィン誘導体の
量、支持電解質や通電助剤の量などに関係する反応溶液
の抵抗などに異なりうるので、適宜定めればよい。反応
時の温度は、通常−20℃から使用する溶媒の沸点までの
温度範囲にあり、より好ましくは−5〜30℃程度の範囲
内にあり、もっとも好ましくは、0〜25℃程度の範囲内
にある。本発明の電極反応においては、通常の電極還元
反応においては必須とされている隔膜は、使用しても良
いが、必須ではないので、操作が簡便となり、実用上有
利である。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、下記のような顕著な効
果が達成される。
【0031】(a)高度に構造が制御された高品質なカ
ルビン系炭素材料を高収率で製造できる。
【0032】(b)方法自体は、工業生産に実績のある
電極反応を用いた化学的手法なので、カルビン系炭素材
料の大量生産に適している。
【0033】(c)危険な材料や金属を用いず、また室
温以下の温和な条件下で反応が行えるので、安全にかつ
環境を汚染する危険性なしにカルビン系炭素材料を製造
することができる。
【0034】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。
【0035】実施例1 三方コックおよびMg製陽極(直径1cm×5cm)およびステ
ンレス鋼(SUS304)製陰極(1cm×1mm×5cm)を装着し
た内容積30mlの3つ口フラスコ(以下反応器という)に
LiCl 0.4gおよびFeCl2 0.24gを収容し、50℃で1mmH
gに加熱減圧して、塩化リチウムおよび塩化第一鉄を乾
燥した後、ここに、7mm x 7mm のポリテトラフルオロエ
チレン (PTFE) フィルム 10 枚を、スターラーチップと
ともに仕込んだ。脱酸素した乾燥窒素を反応器内に導入
し、さらに予めナトリウム−ベンゾフェノンケチルで乾
燥したテトラヒドロフラン15mlを加えた。マグネティッ
クスターラーにより反応溶液を攪拌しながら、ウォータ
ーバスにより反応器を室温に保持しつつ、定電流電源に
より通電した(初期電圧約30V)。
【0036】8時間後にはPTFEフィルムは、黒色に変色
し、カーボン状のフィルムが得られた。FT-IR で分析す
ると、PTFEフィルムには見られなかったC=Cの吸収バン
ド (1630 cm-1) とC≡C の吸収バンド (2100 cm-1)が、
観測された。
【0037】また、PTFEフィルムにみられる C-F の吸
収バンド(1400 cm-1)の吸収が観察されなくなった。
【0038】これらのことから、本実施例により、高収
率でカルビン系炭素材料が得られたことがわかる。
【0039】実施例2 陽極としてAlを用いる以外は、実施例1と同様にして電
極反応を行った。
【0040】その結果、生成物のIR分析において、C=C
の吸収バンドとC≡C の吸収バンドとが観測され、一
方、C-Fの吸収バンドの吸収が著しく減少した。これら
の結果は、カルビン系炭素材料が合成されたことを示し
ている。
【0041】実施例3 陽極としてZnを用いる以外は、実施例1と同様にして電
極反応を行った。生成物のIR分析において、C=Cの吸収
バンドとC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バ
ンドの吸収が著しく減少した。これにより、カルビン系
炭素材料が合成されたことが明らかとなった。
【0042】比較例1 陽極としてステンレス鋼(SUS304)を用いる以外は、実施
例1と同様にしてPTFEフィルムの電極反応を行った。
【0043】PTFEフィルムは黒色に変化せず、IR 分析
においても、C=Cの吸収バンドおよびC≡Cの吸収バンド
が観測されず、またC-Fの吸収バンドの吸収が減少しな
かった。
【0044】これらのことから、本比較例では、カルビ
ン系炭素材料が合成されていないことが明らかである。
【0045】実施例4 陽極としてMg合金(Mg中にAlを5%含有)を用いる以外
は、実施例1と同様にして電極反応を行った。
【0046】生成物のIR分析においては、C=Cの吸収バ
ンドとC≡Cの吸収バンドが観測され、一方、C-Fの吸収
バンドの吸収が著しく減少した。これらのことは、カル
ビン系炭素材料が合成されたことを示している。
【0047】実施例5 陽極としてジュラルミン板(Al合金板)を用いる以外は
実施例1と同様にして電極反応を行った。生成物のIR分
析においては、C=C の吸収バンドとC≡Cの吸収バンドと
が観測され、一方、C-Fの吸収バンドの吸収が著しく減
少したことから、カルビン系炭素材料が合成されたこと
が明らかである。
【0048】実施例6 陽極としてZn合金板(Alを3%含有)を用いる以外は実施
例1と同様にして電極反応を行った。生成物のIR分析に
おいては、C=Cの吸収バンドとC≡Cの吸収バンドとが、
観測され、C-Fの吸収バンドの吸収が著しく減少した。
この様な結果は、カルビン系炭素材料が合成されたこと
を示している。
【0049】実施例7 陰極として白金板を用いる以外は、実施例1と同様にし
て電極反応を行った。生成物のIR分析において、C=Cの
吸収バンドとC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸
収バンドの吸収が全く観察されなくなった。これらのこ
とから、カルビン系炭素材料が高収率で得られたことが
わかる。
【0050】実施例8 陰極としてNiを用いる以外は実施例1と同様にして電極
反応を行った。生成物のIR分析において、C=Cの吸収バ
ンドとC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バン
ドの吸収が全く観察されなくなった。これらの結果か
ら、カルビン系炭素材料が高収率で得られたことがわか
る。
【0051】実施例9 溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用いる以外は実
施例1と同様にして電極反応を行った。その結果、実施
例1とほぼ同様のカルビン系炭素材料が得られた。
【0052】実施例10 溶媒としてN-メチルホルムアミドを用いる以外は実施例
1と同様にして電極反応を行った。その結果、実施例1
とほぼ同様のカルビン系炭素材料が得られた。
【0053】実施例11 溶媒としてホルムアミドを用いる以外は実施例1と同様
にして電極反応を行った。その結果、実施例1とほぼ同
様のカルビン系炭素材料が得られた。
【0054】実施例12 溶媒としてエチレンジアミンを用いる以外は実施例1と
同様にして電極反応を行った。その結果、実施例1とほ
ぼ同様のカルビン系炭素材料が得られた。
【0055】実施例13 溶媒として1,2-ジメトキシエタンを用いる以外は実施例
1と同様にして電極反応を行った。その結果、実施例1
とほぼ同様のカルビン系炭素材料が高収率で得られた。
【0056】実施例14 溶媒としてジオキサンを用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、実施例1とほぼ同様
のカルビン系炭素材料が得られた。
【0057】実施例15 溶媒としてテトラヒドロフラン(50vol%)とエチレングリ
コールジエチルエーテル(50vol%)との混合溶媒を用いる
以外は実施例1と同様にして電極反応を行った。その結
果、実施例1とほぼ同様のカルビン系炭素材料が得られ
た。
【0058】実施例16 溶媒としてテトラヒドロフラン(10 vol%)とエチレング
リコールジエチルエーエル(90vol%)との混合溶媒を用い
る以外は実施例1と同様にして電極反応を行った。その
結果、カルビン系炭素材料が得られた。
【0059】比較例2 溶媒としてエチルアルコールを用いる以外は実施例1と
同様にして電極反応を行った。
【0060】その結果、PTFE フィルムは黒色になら
ず、IR分析においても、C=Cの吸収バンドおよびC≡Cの
吸収バンドが観測されず、一方、C-F の吸収バンドの吸
収は減少しなかった。
【0061】このことから、エチルアルコール溶媒を使
用する場合には、PTFEの還元によるカルビン系炭素材料
の合成はできないことが明らかである。
【0062】比較例3 溶媒として酢酸エチルを用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、PTFE フィルムは黒
色にならず、IR分析においても、C=Cの吸収バンドおよ
びC≡Cの吸収バンドが観測されず、一方、C-Fの吸収バ
ンドの吸収は減少しなかった。
【0063】このことから、酢酸エチル溶媒を用いる場
合には、PTFEの還元によるカルビン系炭素材料の合成は
できないことが明らかである。
【0064】比較例4 溶媒としてクロロホルムを用いる以外は実施例1と同様
にして電極反応を行った。
【0065】その結果、被処理物のIR分析においても、
C=Cの吸収バンドおよびC≡Cの吸収バンドが観測され
ず、また、C-F の吸収バンドの吸収が減少しなかった。
【0066】クロロホルム溶媒を使用する場合には、PT
FEの還元によるカルビン系炭素材料の合成はできないこ
とが明らかである。
【0067】実施例17 支持電解質としてLi2SO4を用いる以外は実施例1と同様
にして電極反応を行った。
【0068】その結果、実施例1とほぼ同様のカルビン
系炭素材料が得られた。
【0069】実施例18 支持電解質としてLiBF4を用いる以外は実施例1と同様
にして電極反応を行った。8時間後にはPTFEフィルムは
黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られた。
【0070】生成物のIR分析においては、C=Cの吸収バ
ンドとC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バン
ドの吸収が著しく減少した。これらのことから、カルビ
ン系炭素材料が合成されたことが明らかである。
【0071】実施例19 支持電解質としてLiClO4を用いる以外は実施例1と同様
にして電極反応を行った。8時間後にはPTFEフィルムは
黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られた。生成
物のIR分析において、C=C吸収バンドとC≡Cの吸収バン
ドとが観測され、C-Fの吸収バンドの吸収は全く観察さ
れなかった。これにより、カルビン系炭素材料が高収率
で得られたことが確認された。
【0072】実施例20 支持電解質としてLiPF6を用いる以外は実施例1と同様
にして電極反応を行った。
【0073】その結果、カルビン系炭素材料が得られ
た。
【0074】実施例21 支持電解質として(C4H9)4NFを用いる以外は実施例1と
同様にして電極反応を行った。その結果、カルビン系炭
素材料が得られた。
【0075】実施例22 支持電解質として(C4H9)4NClを用いる以外は実施例1と
同様にして電極反応を行った。その結果、カルビン系炭
素材料が得られた。
【0076】実施例23 支持電解質として(C4H9)4NBrを用いる以外は実施例1と
同様にして電極反応を行った。その結果、カルビン系炭
素材料が得られた。
【0077】実施例24 支持電解質として(C4H9)4NIを用いる以外は実施例1と
同様にして電極反応を行った。その結果、カルビン系炭
素材料が得られた。
【0078】実施例25 支持電解質として(C4H9)4NSO4を用いる以外は実施例1
と同様にして電極反応を行った。その結果、カルビン系
炭素材料が得られた。
【0079】実施例26 支持電解質として(C4H9)4NBF4を用いる以外は実施例1
と同様にして電極反応を行った。その結果、カルビン系
炭素材料が得られた。
【0080】実施例27 支持電解質として(C4H9)4NClO4を用いる以外は実施例1
と同様にして電極反応を行った。その結果、カルビン系
炭素材料が得られた。
【0081】実施例28 支持電解質として(C4H9)4NPF6を用いる以外は実施例1
と同様にして電極反応を行った。その結果、カルビン系
炭素材料が得られた。
【0082】実施例29 支持電解質としてLiClと(C4H9)4NClの1:2混合物を用い
る以外は実施例1と同様にして電極反応を行った。その
結果、カルビン系炭素材料が得られた。
【0083】実施例30 支持電解質としてLiBF4と(C4H9)4NBF4の2:1混合物を用
いる以外は、実施例1と同様にして電極反応を行った。
その結果、カルビン系炭素材料が得られた。
【0084】比較例5 支持電解質を用いない以外は実施例1と同様にして、電
極反応を行った。8時間後においても、PTFEフィルムに
は変化がなかった。また、IR分析において、C=Cの吸収
バンドおよびC≡Cの吸収バンドは、いずれも観測され
ず、C-Fの強い吸収バンドが観測された。
【0085】このことは、指示電解質を用いない合成条
件では、カルビン系炭素材料は合成されないことを示し
ている。
【0086】実施例31 通電助剤としてAlCl3を用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、8時間後にPTFEフィ
ルムは黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られ
た。
【0087】フィルムのIR分析においては、C=C吸収バ
ンドとC≡Cの吸収バンドとが、観測され、C-Fの吸収バ
ンドの吸収は全く観察されなかった。
【0088】これらの結果から、カルビン系炭素材料が
高収率で得られたことがわかった。
【0089】実施例32 通電助剤としてFeCl3を用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、8時間後にはPTFEフ
ィルムは黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られ
た。
【0090】フィルムのIR分析において、C=C吸収バン
ドとC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バンド
の吸収は全く観察されなかった。これにより、カルビン
系炭素材料が高収率で得られていることがわかった。
【0091】実施例33 通電助剤としてCoCl2を用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、8時間後にはPTFEフ
ィルムは黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られ
た。
【0092】生成物のIR分析において、C=C吸収バンド
とC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バンドの
吸収は全く観察されなかった。これにより、カルビン系
炭素材料が高収率で得られたことがわかった。
【0093】実施例34 通電助剤としてCuCl2を用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、8時間後にはPTFEフ
ィルムは黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られ
た。
【0094】生成フィルムのIR分析において、C=C吸収
バンドとC≡C の吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バ
ンドの吸収は全く観察されなかった。これにより、カル
ビン系炭素材料が高収率で得られたことがわかった。
【0095】実施例35 通電助剤としてSnCl2を用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、8時間後にはPTFEフ
ィルムは黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られ
た。
【0096】生成物のIR分析において、C=C吸収バンド
とC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バンドの
吸収は全く観察されなかった。これにより、カルビン系
炭素材料が高収率で得られたことがわかった。
【0097】実施例36 通電助剤としてPdCl2を用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、8時間後にはPTFEフ
ィルムは黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られ
た。
【0098】生成物のIR分析において、C=C吸収バンド
とC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バンドの
吸収は全く観察されなかった。これにより、カルビン系
炭素材料が高収率で得られたことがわかった。
【0099】実施例37 通電助剤としてVCl3を用いる以外は実施例1と同様にし
て電極反応を行った。その結果、8時間後にはPTFEフィ
ルムは黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られ
た。生成物のIR分析において、C=C 吸収バンドとC≡Cの
吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バンドの吸収は全
く観察されなかった。これにより、カルビン系炭素材料
が高収率で得られたことがわかった。
【0100】実施例38 通電助剤としてZnCl2を用いる以外は実施例1と同様に
して電極反応を行った。その結果、8時間後にはPTFEフ
ィルムは黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られ
た。生成物のIR分析において、C=C吸収バンドとC≡Cの
吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バンドの吸収は全
く観察されなかった。これにより、カルビン系炭素材料
が高収率で得られたことがわかった。
【0101】実施例39 通電助剤としてAlCl3とFeCl2との1:1混合物を用いる以
外は実施例1と同様にして電極反応を行った。その結
果、8時間後にはPTFEフィルムは黒色に変色し、カーボ
ン状のフィルムが得られた。生成物のIR分析において、
C=Cの吸収バンドとC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-F
の吸収バンドの吸収は全く観察されなかった。これによ
り、カルビン系炭素材料が高収率で得られたことがわか
った。
【0102】実施例40 通電助剤としてCuCl2とFeCl3との1:1混合物を用いる以
外は実施例1と同様にして電極反応を行った。その結
果、8時間後にはPTFEフィルムは黒色に変色して、カー
ボン状のフィルムが得られた。生成物のIR分析におい
て、C=C吸収バンドとC≡Cとの吸収バンド が観測され、
C-Fの吸収バンドの吸収は全く観察されなかった。これ
により、カルビン系炭素材料が高収率で得られたことが
わかった。
【0103】実施例41 通電助剤を用いない以外は実施例1と同様にして合成を
行った。8時間後にはPTFEフィルムは黒色に変色して、
カーボン状のフィルムが得られた。生成物のIR分析にお
いて、C=Cの吸収バンドとC≡Cの吸収バンドとが観測さ
れ、C-Fの吸収バンドの吸収が著しく減少した。これに
より、カルビン系炭素材料が合成されたことが示され
た。
【0104】ただし、C-Fの吸収バンドが明らかに見ら
れ、C≡Cの吸収バンドは観測されるが、吸収は大きくな
い。このことから、通電助剤を使用しない本実施例の生
成物では、カルビン系炭素材料は得られているが、未反
応分が残っていることが明らかである。
【0105】比較例6 支持電解質および通電助剤を用いない以外は実施例1と
同様にして合成を行ったところ、8時間後においても、P
TFEフィルムは黒色に変色しなかった。
【0106】被処理物のIR分析において、C=C の吸収バ
ンドとC≡Cの吸収バンドは観測されず、C-Fの吸収バン
ドの強い吸収が見られた。これにより、本方法では、カ
ルビン系炭素材料が得られないことが示された。
【0107】実施例42 出発原料としてPTFEの多孔質フィルムを用い、これを陰
極近傍に設置する以外は実施例1と同様にして電極反応
を行った。
【0108】その結果、8時間後にPTFE多孔質フィルム
は黒色に変色し、カーボン状のフィルムが得られた。
【0109】生成物のIR分析において、C=C吸収バンド
とC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バンドの
吸収は全く観察されなかった。これにより、カルビン系
炭素材料が高収率で得られたことがわかった。
【0110】実施例43 出発原料としてPTFEの粉体を反応液中に分散させて用い
る以外は実施例1と同様にして電極反応を行った。
【0111】その結果、8時間後にはPTFE粉末は黒色に
変色し、カーボン状となった。得られたカーボン状粉末
のIR分析において、C=C吸収バンドとC≡Cの吸収バンド
とが観測され、一方、C-Fの吸収バンドの吸収が全く観
察されなかった。これにより、カルビン系炭素材料が高
収率で得られたことがわかった。
【0112】実施例44 出発原料としてPTFEをテトラヒドロフランに溶解し、そ
の10%溶液として用いる以外は実施例1と同様にして電
極反応を行った。
【0113】生成物のIR分析において、C=C吸収バンド
とC≡Cの吸収バンドとが観測され、C-Fの吸収バンドの
吸収は全く観察されなかった。これにより、カルビン系
炭素材料が高収率で得られたことがわかった。
【0114】実施例45 出発原料として-(CH2-CF2)n-フィルムを用いる以外は実
施例1と同様にして電極反応を行った。その結果、8時
間後にはフィルムは黒色に変色し、カーボン状となっ
た。得られたカーボン状物のIR分析において、C=Cの吸
収バンドが観測されたが、C≡C の吸収バンドは観測さ
れなかった。このことから、ポリアセチレン様物が合成
されたと考えられる。
【0115】実施例46 出発原料として-(CF2-CFCl)n-フィルムを用いる以外は
実施例1と同様にして電極反応を行った。その結果、8
時間後にはフィルムは黒色に変色し、カーボン状となっ
た。生成物のIR分析において、C=Cの吸収バンドとC≡C
の吸収バンドとが観測された。これにより、カルビン系
炭素材料が合成されたことが確認された。
【0116】実施例47 出発原料として-(CCl2-CCl2)n-フィルムを用いる以外は
実施例1と同様にして電極反応を行った。その結果、8
時間後にはフィルムは黒色に変色し、カーボン状となっ
た。このカーボン状フィルムのIR分析において、C=Cの
吸収バンドとC≡Cの吸収バンドが観測された。これによ
り、カルビン系炭素材料が合成されたことが確認され
た。
【0117】実施例48 出発原料として-(CH2-CCl2)n-フィルムを用いる以外は
実施例1と同様にして電極反応を行った。その結果、8
時間後にはフィルムは黒色に変色し、カーボン状となっ
た。カーボン状フィルムのIR分析において、C=C吸収バ
ンドが観測されたが、C≡Cの吸収バンドは観測されなか
った。このことから、ポリアセチレン様物が合成された
と考えられる。これにより、カルビン系炭素材料が合成
されたことが確認された。
【0118】実施例49 出発原料として-(CBr2-CBr2)n-フィルムを用いる以外は
実施例1と同様にして電極反応を行った。その結果、8
時間後にはフィルムは黒色に変色し、カーボン状となっ
た。生成物のIR分析において、C=Cの吸収バンドとC≡C
の吸収バンドとが観測された。これにより、カルビン系
炭素材料が合成されたことが示された。
【0119】実施例50 出発原料として-(CI2-CI2)n-フィルムを用いる以外は実
施例1と同様にして電極反応を行った。その結果、8時
間後にはフィルムは黒色に変色し、カーボン状となっ
た。生成物のIR分析において、C=Cの吸収バンドとC≡C
の吸収バンドが観測された。これにより、カルビン系炭
素材料が合成されたことが示された。
【0120】比較例7 出発原料を-(CH2-CH2)n-フィルムに替えて、実施例1と
同様にして合成を行ったところ、8時間後においても、
フィルムは黒色に変色しなかった。
【0121】被処理物のIR分析において、C=Cの吸収バ
ンドおよびC≡Cの吸収バンドは観測されず、カルビン系
炭素材料は合成されなかった。
【0122】比較例8 出発原料を-(CH2-CH(CH3))n-フィルムに替えて、実施例
1と同様にして合成を行ったところ、8時間後において
も、フィルムは黒色に変色しなかった。
【0123】被処理物のIR分析において、C=Cの吸収バ
ンドおよびC≡Cの吸収バンドは観測されず、カルビン系
炭素材料は合成されなかった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素材料の製造方法であって、 一般式 -(CX2-CX2)n- (1) (式中、Xは、F、Cl、Br、IまたはHを表す;Xは、それぞ
    れ、同一でも或いは2つ以上が相異なっていてもよい;
    nは、2〜1000000である。)で表されるポリオレフィン
    誘導体を、Mg、Zn、Alまたはそれらの金属を主成分とする
    合金を陽極とし、支持電解質単独或いは支持電解質と通
    電助剤の両者を溶解した非水系有機溶媒中において不活
    性ガス雰囲気下で行う電極還元反応に供することによ
    り、 一般式 (-C≡C-)n (2) (式中、nは、2〜1000000である)で示されるポリイン
    構造または 一般式 (=C=C=)n (3) (式中、nは、2〜1000000である)で示されるキュムレ
    ン構造を主鎖骨格の一部または全部に有する炭素材料を
    形成させることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】支持電解質としてLiCl、Li2SO4、LiBF4、L
    iClO4, LiPF6、(C4H9)4NF、(C4H9)4NCl、(C4H9)4NBr、
    (C4H9)4NI、(C4H9)4NSO4、(C4H9)4NBF4、(C4H9)4NClO4
    および(C4H9)4NPF6からなる群から選ばれた少なくとも
    1種を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】通電助剤として、AlCl3、Al(OEt)3、FeC
    l2、FeCl3、MgCl2、ZnCl2、SnCl2、CoCl2、PdCl2、VC
    l3、CuCl2およびCaCl2から選ばれた少なくとも1種を用
    いる請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】非水系有機溶媒として、プロピレンカーボ
    ネート、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、
    N-メチルホルムアミド、ホルムアミド、エチレンジアミ
    ン、ジメチレンスルホキシド、1,2−ジメトキシエタ
    ン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキ
    サン、テトラヒドロフランおよび塩化メチレンから選ば
    れた少なくとも1種或いはこれらの少なくとも1種を10
    %以上含む混合溶媒を用いる請求項1〜3のいずれかに
    記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000007936A1 (fr) * 1998-08-03 2000-02-17 Osaka Gas Company Limited Procede de preparation d'une matiere carbonee
JP2006152301A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Samsung Electronics Co Ltd 四面体炭素化合物からなるハードマスク用のポリマー膜及びその製造方法、並びにそれを利用した微細パターンの形成方法

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