JPH09157306A - セルロースエーテルの可逆熱応答ゲル及びセルロースエーテルの可逆熱ゲル化応答速度の向上方法 - Google Patents

セルロースエーテルの可逆熱応答ゲル及びセルロースエーテルの可逆熱ゲル化応答速度の向上方法

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JPH09157306A
JPH09157306A JP34478295A JP34478295A JPH09157306A JP H09157306 A JPH09157306 A JP H09157306A JP 34478295 A JP34478295 A JP 34478295A JP 34478295 A JP34478295 A JP 34478295A JP H09157306 A JPH09157306 A JP H09157306A
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JP
Japan
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aqueous solution
cellulose
cellulose ether
thermal gelation
gel
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JP34478295A
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English (en)
Inventor
Ikuo Fukui
育生 福井
Yoichi Nakazawa
洋一 中澤
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非イオン性の水溶性セルロースエーテルの有
する熱ゲル化性そのものを利用した用途を開拓するため
に、この熱ゲル化温度を低下させること、かつ熱ゲル化
温度域以下の低い温度域ですばやく水溶液にもどすこ
と、つまりは前述したヒステリシス幅を狭めることを内
容とするセルロースエーテルの可逆熱応答ゲル及びセル
ロースエーテルの可逆熱ゲル化応答速度の向上方法を提
供すること。 【解決手段】 水溶液を熱することでゲル化し、冷却す
ることで水溶液状に戻るアルキルセルロースまたはヒド
ロキシアルキルアルキルセルロースの水溶液において、
その水溶液の調製の際、水溶液に0.1〜5.0重量%
の範囲で硫酸ナトリウムを添加したことを特徴とするセ
ルロースエーテルの可逆熱応答ゲルである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶液を熱するこ
とでゲル化し、冷却することで水溶液状に戻るセルロー
スエーテルの可逆熱応答ゲルに関する。また、本発明
は、水溶液を熱することでゲル化し、冷却することで水
溶液状にもどるといったアルキルセルロースまたはヒド
ロキシアルキルアルキルセルロース水溶液の特性におい
て、その熱ゲル化温度をより低温度とすること、かつ元
の水溶液に復元するまでの温度差を小さくし、可逆的な
熱ゲル化応答速度を向上する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、アルキルセルロースやヒドロ
キシアルキルアルキルセルロースの水溶液が、加熱によ
りゲル化し、冷却により元の水溶液に復元するいった、
いわゆる熱ゲル化性を有すること、また、図1に示すよ
うに、この可逆的な挙動をとる経過で昇温時と冷却時
で、その水溶液の粘性が復元するまでの間に温度差、す
なわちヒステリシスを示すことが知られている。
【0003】この熱ゲル化性を利用した用途としては、
特公平2-107155号公報に示される乾燥チーズが挙げられ
る。これは、乾燥チーズをインスタント食品の添加具材
として使用する際、電子レンジ等による加熱での復元性
と湯戻り時の保形成性を得るために使用されるものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、例示したよう
に、非イオン性の水溶性セルロースエーテルの有する熱
ゲル化性そのものを利用した用途は比較的少ない。これ
は、非イオン性の水溶性セルロースエーテルのタイプに
もよるが、一般的に熱ゲル化温度が高いこと、および加
熱によりゲル化し冷却により元の水溶液に復元する温度
に比較的大きな差があることに起因する。
【0005】本発明の目的は、非イオン性の水溶性セル
ロースエーテルの有する熱ゲル化性そのものを利用した
用途を開拓するために、この熱ゲル化温度を低下させる
こと、かつ熱ゲル化温度域以下の低い温度域ですばやく
水溶液にもどすこと、つまりは前述したヒステリシス幅
を狭めることを内容とするセルロースエーテルの可逆熱
応答ゲル及びセルロースエーテルの可逆熱ゲル化応答速
度の向上方法を提供することにある。
【0006】本発明者等は、前記課題を解決するために
鋭意検討した結果、アルキルセルロースまたはヒドロキ
シアルキルアルキルセルロースの水溶液において、その
水溶液の調製の際、水溶液に0.1〜5.0重量%の範
囲で硫酸ナトリウムを添加することにより、熱ゲル化温
度を低下させかつ熱ゲル化温度域以下の低い温度域です
ばやく水溶液に戻るという新たな知見を見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、水溶液を熱すること
でゲル化し、冷却することで水溶液状に戻るアルキルセ
ルロースまたはヒドロキシアルキルアルキルセルロース
の水溶液において、その水溶液の調製の際、水溶液に
0.1〜5.0重量%の範囲で硫酸ナトリウムを添加し
たことを特徴とするセルロースエーテルの可逆熱応答ゲ
ルを提供するものである。
【0008】また、本発明は、上記アルキルセルロース
がメチルセルロースであり、上記ヒドロキシアルキルア
ルキルセルロースがヒドロキシプロピルメチルセルロー
スである上記記載のセルロースエーテルの可逆熱応答ゲ
ルを提供するものである。
【0009】さらに、本発明は、水溶液を熱することで
ゲル化し、冷却することで水溶液状に戻るアルキルセル
ロースまたはヒドロキシアルキルアルキルセルロースの
水溶液において、その水溶液の調製の際、水溶液に0.
1〜5.0重量%の範囲で硫酸ナトリウムを添加するこ
とにより熱ゲル化温度を低下させ、かつ熱ゲル化温度域
以下の低い温度域ですばやく水溶液にもどすセルロース
エーテルの可逆熱ゲル化応答速度の向上方法を提供する
ものである。
【0010】また、本発明は、上記アルキルセルロース
がメチルセルロースであり、上記ヒドロキシアルキルア
ルキルセルロースがヒドロキシプロピルメチルセルロー
スである上記記載のセルロースエーテルの可逆熱ゲル化
応答速度の向上方法を提供するものである。
【0011】以下、本発明を詳述する。本発明に記載さ
れる「熱ゲル温度」とは、図1に示すT1 およびT2
あり、T1 はアルキルセルロースまたはヒドロキシアル
キルアルキルセルロースの水溶液を徐々に加熱した際、
急激な粘度低下を開始する温度、すなわちゲル形成開始
温度であり、T2 は形成されたゲルを徐々に冷却した
際、元の水溶液に復元を開始する温度、すなわち完全に
ゲル化が終了する温度であると定義される。
【0012】また、「ヒステリシス幅」とは、形成され
たゲルを徐々に冷却した元の水溶液粘度に復元した温度
として定義されるT0 とT2 との温度差と定義される。
よって、T1 およびT2 の示す温度が低いほど、かつT
0 とT2 との温度差が小さいほど、本発明に優れた効果
を示したものと言える。
【0013】本発明において使用されるアルキルセルロ
ースまたはヒドロキシアルキルアルキルセルロースは、
リンターもしくはウッドパルプを水酸化ナトリウムで処
理してアルカリセルロースとし、これに塩化メチル,よ
う化メチル等のアルキルエーテル化剤をエーテル化反応
させて得られるメチルセルロース、および前記アルカリ
セルロースに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサ
イド等のアルキレンオキサイドを、前記アルキル基エー
テル置換反応と同時またはその前後に作用させて得られ
る、アルキル基の他にヒドロキシエチル、ヒドロキシプ
ロピル等のヒドロキシアルキル基を有する、ヒドロキシ
エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチ
ルセルロース等が例示され、それぞれ単独または2種以
上を混合して使用してもよい。
【0014】本発明に示す非イオン性の水溶性セルロー
スエーテルは、熱ゲル性を有するアルキルセルロースま
たはヒドロキシアルキルアルキルセルロースであれば良
いが、アルキルセルロースとしてメチルセルロースが、
ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとしてヒドロキ
シプロピルメチルセルロースが、ゲル強度およびゲル化
挙動から好ましく、メチル基およびヒドロキシプロピル
基の置換度としては、水に溶解できる程度の置換度であ
れば概ねその性能が発揮されるので差し支えないが、水
溶性の良いものとしてメトキシル置換度15〜33%、
ヒドロキシプロポキシル置換度0〜15%程度のものの
使用が特に好ましい。セルロースエーテルの水溶液中で
の濃度は任意であるが、0.5〜5.0重量%が好まし
い。
【0015】次に、本発明においてはセルロースエーテ
ルの水溶液に硫酸ナトリウムを添加する。硫酸ナトリウ
ム(Na2SO4)以外の成分、例えばNaCl,FeC
2,MgCl2等によっても、本発明の効果は認められ
るが、その効果が低添加量でかつ顕著に現れること、硫
酸ナトリウムが化粧品原料基準,食品添加物公定書に収
載されている物質であることが、本発明において硫酸ナ
トリウムを使用する理由である。添加量は、非イオン性
の水溶性セルロースエーテルを含有する水溶液に0.1
〜5.0重量%の範囲である。これ未満であると効果が
認められず、これを越えると水溶液中から非イオン性の
水溶性セルロースエーテルが塩析により析出してしま
う。
【0016】水溶液の調製において、水への非イオン性
の水溶性セルロースエーテルおよびの硫酸ナトリウムの
投入順序は特に問わないが、硫酸ナトリウムが存在する
ことで水への該セルロースエーテルの溶解がしにくくな
るため、該セルロースエーテルを含む水溶液を調製した
後に硫酸ナトリウム水溶液を添加、溶解することが好ま
しい。
【0017】
【実施例】以下、本発明の具体的態様を実施例及び比較
例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに
よって限定されるものではない。
【0018】図1に表現されるT0、T1、T2は、次に
示す熱ゲル化挙動測定方法により測定されたものであ
る。 「熱ゲル化挙動測定方法」測定水溶液を調製し、ネジレ
振動型粘度計により昇温速度 1℃/分,冷却速度0.5
℃/分の条件で経時的に粘度を測定し、その測定値を横
軸に温度,縦軸にネシレ振動型粘度による粘度をプロッ
トし、本文中に定義したT0、T1、T2を決定した。
【0019】「実施例1〜8」及び「比較例1〜3」 セルロースエーテルには、実施例1〜3及び比較例1、
2においてはメチルセルロース(SM−4000:信越
化学工業(株)社製)を、また、実施例4〜8及び比較
例3においてはヒドロキシプロピルメチルセルロース
(90SH−4000:信越化学工業(株)社製)を使
用し、これらのセルロースエーテル2.5重量%水溶液
を調製し、これに表1に示したセルロースエーテル、硫
酸ナトリウム及び水の量(水溶液組成)になるように硫
酸ナトリウム水溶液を添加して水溶液を調製し、本文中
に定義される熱ゲル化温度T1、T2及びヒステリシス幅
であるT2 −T0の測定結果を「表1」に示した。
【0020】
【表1】
【0021】「表1」から明らかなように、硫酸ナトリ
ウムの添加により、熱ゲル化温度は低温化しヒステリシ
ス幅は減少する。また、添加量によりその効果を任意に
調整できることがわかる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、水溶液を熱することで
ゲル化し、冷却することで水溶液状に戻るといった非イ
オン性のセルロースエーテル水溶液の特性において、そ
の熱ゲル化温度をより低温度とすること、かつ元の水溶
液に復元するまでの温度差を小さくし可逆的な熱ゲル化
応答速度を向上することができること、硫酸ナトリウム
の添加量により任意にその効果を制御できることから、
今後この特性を利用した用途拡大が期待される。例え
ば、熱ゲル化応答速度を敏感にできることから、簡易な
温度計としての利用、熱ゲル化応答速度を敏感にできる
こととその系変化の前後で粘度変化すなわち流動特性変
化を生ずることから感熱タイプのマイクロアクチェータ
等の利用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定水溶液をネジレ振動型粘度計により昇温速
度 1℃/分、冷却速度 0.5℃/分の条件で経時的に粘
度を測定し、その測定値を横軸に温度、縦軸にネシレ振
動型粘度による粘度をプロットしたセルロースエーテル
水溶液の熱ゲル化挙動を表した図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液を熱することでゲル化し、冷却す
    ることで水溶液状に戻るアルキルセルロースまたはヒド
    ロキシアルキルアルキルセルロースの水溶液において、
    その水溶液の調製の際、水溶液に0.1〜5.0重量%
    の範囲で硫酸ナトリウムを添加したことを特徴とするセ
    ルロースエーテルの可逆熱応答ゲル。
  2. 【請求項2】 前記アルキルセルロースがメチルセルロ
    ースであり、前記ヒドロキシアルキルアルキルセルロー
    スがヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項
    1記載のセルロースエーテルの可逆熱応答ゲル。
  3. 【請求項3】 水溶液を熱することでゲル化し、冷却す
    ることで水溶液状に戻るアルキルセルロースまたはヒド
    ロキシアルキルアルキルセルロースの水溶液において、
    その水溶液の調製の際、水溶液に0.1〜5.0重量%
    の範囲で硫酸ナトリウムを添加することにより熱ゲル化
    温度を低下させ、かつ熱ゲル化温度域以下の低い温度域
    ですばやく水溶液にもどすセルロースエーテルの可逆熱
    ゲル化応答速度の向上方法。
  4. 【請求項4】 前記アルキルセルロースがメチルセルロ
    ースであり、前記ヒドロキシアルキルアルキルセルロー
    スがヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項
    3記載のセルロースエーテルの可逆熱ゲル化応答速度の
    向上方法。
JP34478295A 1995-12-06 1995-12-06 セルロースエーテルの可逆熱応答ゲル及びセルロースエーテルの可逆熱ゲル化応答速度の向上方法 Pending JPH09157306A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002531594A (ja) * 1998-12-01 2002-09-24 ザ ダウ ケミカル カンパニー セルロースエーテルの製造方法および製造装置
JP2017218359A (ja) * 2016-06-10 2017-12-14 信越化学工業株式会社 水硬性組成物の製造方法
CN111011830A (zh) * 2019-12-24 2020-04-17 东北农业大学 一种利用亲脂蛋白-多糖制备热敏性乳液凝胶的方法

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