JPH09124686A - プロピオフェノン誘導体およびその製法 - Google Patents

プロピオフェノン誘導体およびその製法

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JPH09124686A
JPH09124686A JP7288487A JP28848795A JPH09124686A JP H09124686 A JPH09124686 A JP H09124686A JP 7288487 A JP7288487 A JP 7288487A JP 28848795 A JP28848795 A JP 28848795A JP H09124686 A JPH09124686 A JP H09124686A
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光弥 本宮
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守 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糖尿病治療・予防剤として有用な新規プロピ
オフェノン誘導体を提供する。 【解決手段】 一般式[I] 【化1】 (式中、R'は低級アルカノイル基、R"は水素原子であ
るか、またはR'は水素原子、R"は低級アルコキシカル
ボニル基である)で示されるプロピオフェノン誘導体ま
たはその薬理的に許容しうる塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血糖降下作用を有
する新規プロピオフェノン誘導体およびその製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】糖尿病の治療においては食事療法が必須
であるが、これだけで充分なコントロールが得られない
ときは、必要に応じてインスリンまたは経口糖尿病薬が
使用される。糖尿病薬としては、従来より、ビグアナイ
ド系化合物およびスルホニルウレア系化合物が用いられ
ている。しかしながら、ビグアナイド系化合物には乳酸
アシドーシス、スルホニルウレア系化合物には重篤な低
血糖という副作用があり、このような欠点のない新しい
糖尿病治療剤の開発が望まれている。
【0003】近年、糖尿病の発症、並びに進展に高血糖
自身が関与するというグルコース・トキシティー・セオ
リー(Glucose toxicity theory)が提唱されている。す
なわち、慢性的な高血糖がインスリン分泌を低下させる
と共に、インスリン感受性をも低下させ、これがさらな
る血糖の上昇を引き起こし、糖尿病が進展するという悪
循環をうむというものである[ジアベトロジア(Diabeto
logia)第28巻、第119頁(1985年)、ジアビーテ
ィーツ ケア(Diabetes Care)、第13巻、第610
頁(1990年)等]。従って、高血糖を是正することに
より、前述の悪循環を断ち切り、糖尿病の予防・治療が
可能であるとされている。
【0004】高血糖を是正するための一つの方法として
は、余分な糖を直接尿中に排泄させ、血糖値を正常化す
ることが考えられる。フロリジンは、リンゴ、ナシ等の
バラ科植物の樹皮や根皮に含まれる配糖体であり、腸管
および腎臓の絨毛膜のみに存在するNa+−グルコース共
輸送体を阻害することにより、腎臓での糖の再吸収を阻
害し、糖の排泄を促進して血糖を降下させることができ
る。この作用に基づき、フロリジンを糖尿病動物に毎日
皮下投与して高血糖を是正し、血糖値を長期間正常に保
つことにより、糖尿病動物の病態を改善し、正常化する
ことが確認されている[ジャーナル・オブ・クリニカル
・インベスチゲーション(J.Clin.Invest.)第79
巻、第1510頁(1987年)、同第80巻、第103
7頁(1987年)、同第87巻、第561頁(1991
年)等]。
【0005】しかしながら、フロリジンを経口投与する
と、大部分はアグリコンであるフロレチンとグルコース
に加水分解され、フロリジンとして吸収される割合は小
さく、尿糖排泄作用は非常に弱い。また、アグリコンで
あるフロレチンは促通拡散型の糖輸送担体を強力に阻害
することが知られており、例えば、フロレチンをラット
に静脈内投与すると脳内グルコース濃度が減少すること
が報告されている[ストローク(Stroke)、第14巻、第
388頁(1983年)]ので、長期にわたりこれを使用
すると、いろいろな組織に悪い影響が及ぶことが考えら
れる。そのため、これまでフロリジンを糖尿病治療薬と
して用いようという試みはなされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、腎臓でのグ
ルコースの再吸収阻害に基づく優れた尿糖増加作用を有
し、それにより優れた血糖降下作用を示し、かつ、その
アグリコンは促通拡散型の糖輸送担体の阻害作用が著し
く弱いプロピオフェノン誘導体を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式[I]
【化6】 (式中、R'は低級アルカノイル基、R"は水素原子であ
るか、またはR'は水素原子、R"は低級アルコキシカル
ボニル基である)で示されるプロピオフェノン誘導体ま
たはその薬理的に許容しうる塩に関する。
【0008】本発明のプロピオフェノン誘導体[I]は、
遊離の形でもまたその薬理的に許容しうる塩の形でも本
発明の目的に用いることができる。薬理的に許容しうる
塩としては、アルカリ金属塩等があげられる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の化合物[I]およびその薬
理的に許容しうる塩は、経口的にも非経口的にも投与す
ることができ、経口もしくは非経口投与に通常用いられ
る医薬担体を用いて、適当な製剤とすることができる。
かかる医薬担体としては、例えば、結合剤(シロップ、
アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポ
リビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、砂糖、コーンス
ターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン等)、
潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチ
レングリコール、シリカ等)、崩壊剤(バレイショデンプ
ン等)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)等をあ
げることができる。また、これら医薬製剤は、経口投与
する場合には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤の如き
固形製剤であってもよく、溶液、懸濁液、乳液の如き液
体製剤であってもよい。一方、非経口投与する場合に
は、例えば、注射用蒸留水、生理的食塩水、ブドウ糖水
溶液等を用いて、注射剤や点滴剤とすることができる。
【0010】投与量は、患者の年齢・体重・状態あるい
は疾患の程度により異なるが、通常1日当たりの投与量
は、経口投与の場合には、0.1〜500mg/kg、とり
わけ1〜50mg/kg、非経口投与の場合には、0.01
〜50mg/kg、とりわけ0.1〜10mg/kgであるのが
好ましい。
【0011】本発明の目的物[I]のうち、R'が低級ア
ルカノイル基で、R"が水素原子である下記式[I−a]
【化7】 (式中、R'は低級アルカノイル基を表す)で示される化
合物またはその薬理的に許容しうる塩は、一般式[II]
【化8】 (式中、R'は低級アルカノイル基を表す)で示されるプ
ロピオフェノン誘導体にアルカンスルホン酸またはアリ
ールスルホン酸を作用させ、所望により薬理的に許容し
うる塩とすることにより製造することができる。
【0012】上記の反応は、適当な有機溶媒中、室温〜
加熱下、好ましくは室温〜50℃にて行われる。用いら
れる有機溶媒としては反応に不活性であればいずれの溶
媒も用いられ、例えば、メタノール、エタノールなどが
用いられる。また、アルカンスルホン酸、アリールスル
ホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が
挙げられ、これらは原料化合物[II]1モルに対し、
通常0.05モル〜0.2モルの量で用いられる。
【0013】本発明の目的物[I]のうち、R'が水素原
子でR"が低級アルコキシカルボニル基である下記式[I
−b]
【化9】 (式中、R"は低級アルコキシカルボニル基を表す)で示
される化合物またはその薬理的に許容しうる塩は、式
[III]
【化10】 で示されるプロピオフェノン誘導体に低級アルカノール
およびアルカンスルホン酸またはアリールスルホン酸を
作用させ、所望により薬理的に許容しうる塩とすること
により製造することができる。
【0014】上記の方法に用いられる低級アルカノール
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロピルアルコール、n−ブタノール、tert−ブタノ
ールなどの炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖アルカノー
ルが挙げられ、出発原料の化合物[III]1モルに対し
て等モルないしやや過剰量用いられる。またアルカンス
ルホン酸およびアリールスルホン酸としては前記と同様
のものが用いられる。この反応は、通常反応剤である低
級アルカノールを溶媒として兼用することができるが、
反応に不活性の他の有機溶媒を用いてもさしつかえな
い。この反応は通常室温〜加熱下で行われる。
【0015】本発明の製法で用いられる出発原料の化合
物[II]は、つぎの工程からなる方法で製造される。 (イ)まず、式[IV]
【化11】 (式中、R"'は水素原子または水酸基保護基を表す)で
示されるアセトフェノン化合物と、式[V]
【化12】 で示されるアルデヒド化合物と縮合させ、保護基を除去
して、式[VI]
【化13】 で示されるアクリロフェノン誘導体を得る。
【0016】(ロ)上記アクリロフェノン誘導体[VI]を
還元して式[VII]
【化14】 で示される化合物を得る。
【0017】(ハ)つぎに、上記の化合物[VII]のβ
−D−グルコピラノシル基の4位および6位の水酸基を
保護し、一般式[VIII]
【化15】 (式中、R""は水酸基保護基を表す)で示される化合物を
得、ついでそのβ−D−グルコピラノシル基の2位およ
び3位水酸基を低級アルカノイル化したのち、保護基を
除去することにより製造される。
【0018】上記の方法の工程(イ)における、アセトフ
ェノン誘導体[IV]とアルデヒド化合物[V]との縮合反
応は、常法により実施することができ、例えば溶媒中
(メタノール、エタノール等の有機溶媒またはこれら有
機溶媒と水との混合溶媒)、塩基(水酸化アルカリ金属
等)の存在下に冷却下〜加熱下(とりわけ10℃〜30
℃)で実施することができる。なお、アセトフェノン誘
導体[IV]における水酸基の保護基としては、慣用の保
護基が用いられ、例えば、アセチル基などのアルカノイ
ル基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられ
る。
【0019】上記の工程(ロ)におけるアクリロフェノン
誘導体[VI]の還元反応は常法に従い、金属水素化物に
よる還元、接触水素還元等により実施することができ
る。例えば、金属水素化物による還元では、溶媒中、金
属水素化物を用いて、また、接触水素還元では、溶媒
中、常圧水素気流下で触媒を用いて接触還元して実施す
ることができる。具体的には、接触水素還元において
は、触媒としては、常用の触媒を用いることができ、例
えば、パラジウム−炭素、白金−炭素、酸化白金等の触
媒を好適に用いることができる。また、金属水素化物に
よる還元は、二重結合を還元することができる金属水素
化物であればいずれも使用することができるが、とりわ
けケトンを還元しないものが好ましく、このようなもの
としては、例えば、水素化テルルナトリウム(NaTeH)
をあげることができる。水素化テルルナトリウムはシン
セシス(Synthesis)、第545頁(1978年)記載の方
法に従って調製することができ、通常、化合物[VI]に
対し、1〜3モル当量、とりわけ1〜1.5モル当量使
用するのが好ましい。
【0020】また、上記還元反応において用いられる溶
媒は、反応に不活性であればいずれの溶媒も使用するこ
とができ、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒ
ドロフラン、酢酸エチル、酢酸等の有機溶媒またはこれ
ら有機溶媒と水との混合溶媒を用いることができる。該
還元反応は冷却下〜加熱下で実施することができ、とり
わけ、10℃〜30℃で実施するのが好ましい。
【0021】工程(ハ)における化合物[VIII]のβ−
D−グルコピラノシル基の4位および6位水酸基保護基
としては、慣用の保護基を使用することができるが、と
りわけ4位および6位水酸基の保護基が、互いに結合し
てベンジリデン基またはイソプロピリデン基等のアルキ
リデン基を形成しているものを好適に用いることができ
る。
【0022】該工程(ハ)における化合物[VIII]の低
級アルカノイル化は、所望のアルカノイル基に対応する
アルキルカルボン酸、その塩またはその反応性誘導体
(以後、アルカノイル化剤と称する)と化合物[VIII]
を反応させることにより、実施することができる。アル
キルカルボン酸またはその塩と化合物[VIII]の反応
は、適当な溶媒中、縮合剤の存在または非存在下に、ま
た、アルキルカルボン酸の反応性誘導体と化合物[VI
II]の反応は、適当な溶媒中もしくは無溶媒で脱酸剤
の存在または非存在下で実施することができる。アルキ
ルカルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム
塩、カルシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩を挙げることができる。これらアルキルカルボン酸
の塩を縮合反応に用いる場合は、反応に際して遊離の酸
としておくことが好ましい。また、反応性誘導体として
は、対応するアルキルカルボン酸の酸ハライド、酸無水
物、活性エステル等が挙げられる。
【0023】縮合剤としては、慣用の縮合剤を用いるこ
とができ、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、
ジエチルシアノホスフェート、カルボニルジイミダゾー
ル、N,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)
ホスフィン酸クロリド等を挙げることができる。
【0024】脱酸剤としては常用の脱酸剤を用いること
ができる。たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等の水酸化アルカリ金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;水素化ナトリ
ウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属等の無機
塩基またはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルア
ミン等のトリ低級アルキルアミン;ピリジン;ジメチル
アミノピリジン;アニリン;ジメチルアニリン等の有機
塩基を挙げることができる。溶媒としては、反応に悪影
響を及ぼさないものであればいずれも用いることがで
き、たとえば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミ
ド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ピリジン等
の慣用の溶媒を挙げることができる。本反応は冷却下〜
加熱下に実施することができ、好ましくは−10℃〜1
00℃、とりわけ0℃〜50℃で好適に実施することが
できる。
【0025】低級アルカノイル化されたフェノール性水
酸基から低級アルカノイル基の除去は、適当な溶媒中、
塩基処理により、実施することができる。塩基として
は、慣用の塩基を用いることができ、たとえば、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ
金属を挙げることができる。また、溶媒としては、反応
に悪影響を及ぼさないものであればいずいも用いること
ができ、たとえば、テトラヒドロフラン、メタノール、
水等の慣用の溶媒を挙げることができる。本反応は加温
下に実施することができ、好ましくは25℃〜60℃、
とりわけ、25℃〜40℃で好適に実施することができ
る。また、β−D−グルコピラノシル基4位および6位
の保護基の除去は、酢酸中、アルカンスルホン酸および
アリールスルホン酸の存在下で実施することができる。
アルカンスルホン酸およびアリールスルホン酸としては
前記のものを使用することができ、反応は室温で実施す
るのが好ましい。
【0026】他の出発原料である化合物[III]は、上
記中間体[VII]にp−ニトロフェニルクロロホルメー
トなどのアリールハロゲノホルメート、またはカルボニ
ルジイミダゾールなどを反応させることにより製造され
る。上記の反応は、2,4,6−コリジン、2,6−ルチ
ジン、ピリジン、テトラヒドロフランなどの適当な有機
溶媒中、冷却下〜室温にて行われる。
【0027】前記出発原料化合物[II]の製造に用いら
れるアセトフェノン誘導体[IV]は、(i) ジャーナル
・オブ・メディシナル・アンド・ファーマシューティカ
ル・ケミストリー(J.Med.Pharm.Chem.)、第5巻、
1054頁(1962年)に記載の方法に準じて、例え
ば、2',6'−ジヒドロキシアセトフェノンと2,3,4,
6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル
ブロミドを、水酸化カリウムの存在下に含水アセトン中
で反応させるか、あるいは、(ii)例えば、2',6'−ジ
ヒドロキシアセトフェノンと2,3,4,6−テトラ−O
−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロミドをトル
エン中、炭酸カドミウムの存在下に加熱、還流すること
により製することができる。
【0028】本発明において、低級アルカノイル基とし
ては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、2−
メチルプロピオニル基、バレリル基等の炭素数2〜7の
直鎖または分枝鎖アルカノイル基を挙げることができ、
とりわけ炭素数2〜5のものが好ましい。また、低級ア
ルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボ
ニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル
基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル
基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボ
ニル基等の炭素数1〜6、とりわけ炭素数1〜4の直鎖
または分枝鎖のアルコキシ基置換カルボニル基を挙げる
ことができる。
【0029】
【発明の効果】本発明の化合物[I]またはその薬理的に
許容しうる塩は、優れた血糖降下作用を示し、例えば、
後記実施例で具体的に例示した化合物をラットに経口投
与した場合、いずれの化合物もフロリジンの50倍以上
の尿糖量を示した。また、化合物[I]は毒性が低く、更
に、体内での加水分解で生じるアグリコン部分の促通拡
散型糖輸送担体の阻害作用が弱いという特長も有する。
このため、本発明の化合物[I]は高血糖を是正し、グル
コース・トキシティーの悪循環を断ち切ることができ、
糖尿病〔例えば、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿
病)、インスリン非依存型糖尿病(II型糖尿病)等の真
性糖尿病等〕の予防・治療に効果的に使用することがで
きる。
【0030】
【実施例】つぎに、実施例および参考例を挙げて本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れない。
【0031】実施例1 2'−(2,3−ジ−O−アセチル−β−D−グルコピラ
ノシルオキシ)−6'−ヒドロキシ−3−(5−ベンゾ[b]
フラニル)プロピオフェノン1000mgをメタノール1
0mlに溶解し、該溶液にp−トルエンスルホン酸36mg
を加え、40℃で22.5時間撹拌する。冷却後、反応
液に酢酸エチルと飽和重曹水を加え、有機層を分取す
る。乾燥した後、溶媒を留去して得られる残渣をシリカ
ゲルクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム/メタノ
ール)で精製することにより、2'−(2−O−アセチル
−β−D−グルコピラノシルオキシ)−6'−ヒドロキシ
−3−(5−ベンゾ[b]フラニル)プロピオフェノン37
3mgを得る。
【0032】m.p.152−156℃ ESI−MS(m/z):509[(M+Na)+] IR(nujol)cm-1:3450,3350,1750,163
0 NMR(DMSO−d6)δ:1.98(3H,s),2.8−3.
1(4H,m),3.26(1H,m),3.4−3.6(3H,m),
3.72(1H,dd,J=5.3,10.2Hz),4.67(1
H,t,J=5.6Hz),4.76(1H,dd,J=8.2,9.5
Hz),5.12(1H,d,J=8.1Hz),5.27(1H,d,
J=5.4Hz),5.36(1H,d,J=5.5Hz),6.55
(1H,d,J=8.1Hz),6.66(1H,d,J=8.4H
z),6.88(1H,dd,J=0.9,2.2Hz),7.17(1
H,t,J=8.5Hz),7.19(1H,dd,J=2.0,8.5
Hz),7.48(1H,d,J=8.5Hz),7.51(1H,d,
J=1.6Hz),7.93(1H,d,J=2.2Hz),10.2
4(1H,s)
【0033】実施例2 2'−(4,6−O−オキソメチレン−β−D−グルコピ
ラノシルオキシ)−6'-ヒト゛ロキシ-3-(5−ベンゾ[b]フラニ
ル)プロピオフェノン794mgをメタノール20mlに溶
解し、該溶液にp−トルエンスルホン酸32mgを加え、
室温で2時間撹拌する。反応液に酢酸エチルと飽和重曹
水を加え、有機層を分取する。乾燥した後、溶媒を留去
して得られる残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶
媒:クロロホルム/メタノール)で精製することによ
り、2'−(4−O−メトキシカルボニル−β−D−グル
コピラノシルオキシ)−6'−ヒドロキシ−3−(5−ベ
ンゾ[b]フラニル)プロピオフェノン391mgを淡黄色泡
状物として得る。
【0034】ESI−MS(m/z):525[(M+Na)+] IR(nujol)cm-1:3420,1750,1625 NMR(DMSO−d6)δ:3.00(2H,t,J=7.5H
z),3.2〜3.6(6H,m),3.66(1H,m),3.72
(3H,s),4.51(1H,t,J=9.5Hz),4.79(1
H,t,J=5.5Hz),5.06(1H,d,J=8.1Hz),
5.51(1H,d,J=5.9Hz),5.57(1H,d,J=
5.9Hz),6.56(1H,d,J=8.1Hz),6.69(1
H,d,J=8.1Hz),6.89(1H,dd,J=0.7,2.2
Hz),7.21(1H,dd,J=1.8,8.4Hz),7.24
(1H,t,J=8.4Hz),7.47(1H,d,J=8.4H
z),7.53(1H,d,J=1.5Hz),7.93(1H,d,J
=2.2Hz),10.89(1H,s)
【0035】参考例1 (1)2'−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−
D−グルコピラノシルオキシ)−6'−ヒドロキシアセト
フェノン965mg、ベンゾ[b]フラン−5−カルバルデ
ヒド350mg、エタノール10mlの混合物に、50%水
酸化カリウム水溶液2mlを滴下し、室温で一晩撹拌す
る。減圧下溶媒を留去し、残査に水とジイソプロピルエ
ーテルを加え、撹拌し、水層を分取する。氷冷下水層を
10%塩酸で中和した後、酢酸エチルで抽出する。得ら
れた有機層を水洗、乾燥後、溶媒を留去して、粗製の
2'−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−6'−ヒドロ
キシ−3−(5−ベンゾ[b]フラニル)アクリロフェノン
を得る。
【0036】(2)上記生成物を、あらかじめテルル38
3mg、水素化ホウ素ナトリウム270mgより調製した水
素化テルルナトリウムのエタノール溶液15mlに加え、
室温で2.5時間反応させる。不溶物を濾去し、濾液に
水および酢酸エチルを加え、撹拌後有機層を分取する。
有機層を水洗、乾燥後、溶媒を留去し、残査をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーで精製して、2'−(β−D
−グルコピラノシルオキシ)−6'−ヒドロキシ−3−
(5−ベンゾ[b]フラニル)プロピオフェノン480mgを
得る。
【0037】(3)上記(2)の生成物444mgとジクロロ
メタン8mlの混合物に、ベンズアルデヒドジメチルアセ
タール304mgおよびp−トルエンスルホン酸19mgを
加え、室温で2時間撹拌する。溶媒を減圧留去した後、
得られた残渣を酢酸エチルに溶解する。有機層を水洗、
乾燥後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶媒:クロロホルム/メタノール)で精製
して、2'−(4,6−O−ベンジリデン−β−D−グル
コピラノシルオキシ)−6'−ヒドロキシ−3−(5−ベ
ンゾ[b]フラニル)プロピオフェノン584mgを得る。
【0038】(4)上記(3)の生成物578mgをピリジン
5mlに溶解し、無水酢酸665mgを加え、室温で4時間
撹拌する。反応液に酢酸エチルを加え、氷−10%塩酸
に注ぎ、撹拌して有機層を分取する。得られた有機層を
水洗、乾燥後、溶媒を留去して、粗製の2'−(2,3−
ジ−O−アセチル−4,6−O−ベンジリデン−β−D
−グルコピラノシルオキシ)−6'−アセトキシ−3−
(5−ベンゾ[b]フラニル)プロピオフェノン724mgを
得る。
【0039】(5)上記(4)の生成物720mgをテトラヒ
ドロフラン−メタノール混液(10ml−10ml)に溶解
し、炭酸水素ナトリウム428mgおよび水0.1mlを加
え、50℃で6.5時間撹拌する。炭酸水素ナトリウム
を濾去し、濾液を減圧濃縮して、得られた残渣を酢酸エ
チルに溶解する。水洗、乾燥後、溶媒を留去し、得られ
た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:
クロロホルム/酢酸エチル)で精製して、2'−(2,3−
ジ−O−アセチル−4,6−O−ベンジリデン−β−D
−グルコピラノシルオキシ)−6'−ヒドロキシ−3−
(5−ベンゾ[b]フラニル)プロピオフェノン520mgを
得る。
【0040】(6)上記(5)の生成物121mgを酢酸5ml
に溶解し、水0.5mlおよびp−トルエンスルホン酸5mg
を加え、室温で4.5時間撹拌する。反応液に水と酢酸
エチルを加え、撹拌し、有機層を分取する。有機層を水
洗、乾燥後、溶媒を留去する。得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム/メ
タノール)で精製して、2'−(2,3−ジ−O−アセチル
−β−D−グルコピラノシルオキシ)−6'−ヒドロキシ
−3−(5−ベンゾ[b]フラニル)プロピオフェノン91.
5mgを得る。
【0041】m.p.127−129℃ FABMS(m/z):551[(M+Na)+] NMR(DMSO−d6)δ:1.92(3H,s),2.00(3
H,s),2.85−3.05(4H,m),3.45−3.75(4
H,m),4.75(1H,t,J=5.4Hz),4.87(1H,d
d,J=8.0,9.8Hz),5.09(1H,t,J=9.7H
z),5.36(1H,d,J=7.9Hz),5.55(1H,d,J
=5.6Hz),6.57(1H,d,J=7.8Hz),6.68
(1H,d,J=8.1Hz),6.88(1H,d,J=2.2H
z),7.17(1H,d,J=9.6Hz),7.19(1H,t,J
=8.3Hz),7.48(1H,d,J=9.3Hz),7.49
(1H,d,J=1.0Hz),7.93(1H,d,J=2.2H
z),10.28(1H,s)
【0042】参考例2 2'−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−6'−ヒドロ
キシ−3−(5−ベンゾ[b]フラニル)プロピオフェノン
1333mgを2,4,6−コリジン15mlに溶解し、ドラ
イアイス−アセトンにて−40℃に冷却し、撹拌しなが
らp−ニトロフェニルクロロホルメート786mgの塩化
メチレン3ml溶液を滴下する。−40℃で1時間45
分、ついで室温で1時間、さらに50℃で6.5時間撹
拌する。冷却後、反応液を冷10%塩酸に注ぎ、酢酸エ
チルで抽出する。有機層を水洗、乾燥後、溶媒を留去す
る。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグフィー
(溶媒:クロロホルム/アセトン)で精製して、2'−
(4,6−O−オキソメチレン−β−D−グルコピラノシ
ルオキシ)−6'−ヒドロキシ−3−(5−ベンゾ[b]フラ
ニル)プロピオフェノン994mgを得る。
【0043】m.p.70℃〜(徐々に分解) FAB−MS(m/z):493[(M+Na)+] IR(nujol)cm-1:3400,1750,1620 NMR(DMSO−d6)δ:2.98(2H,t,J=7.5H
z),3.23(2H,m),3.33(1H,m),3.63(1H,
m),4.13(1H,m),4.17(1H,dd,J=8.9,9.5
Hz),4.25(1H,dd,J=9.5,9.6Hz),4.47
(1H,dd,J=5.5,9.2Hz),5.21(1H,d,J=
7.9Hz),5.77(1H,d,J=5.9Hz),5.84(1
H,d,J=5.5Hz),6.58(1H,d,J=8.1Hz),
6.68(1H,d,J=8.1Hz),6.88(1H,dd,J=
0.9,2.2Hz),7.19(1H,dd,J=1.8,8.5H
z),7.24(1H,t,J=8.3Hz),7.48(1H,d,J
=8.5Hz),7.50(1H,d,J=1.8Hz),7.93
(1H,d,J=2.2Hz),10.73(1H,s)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡 幸蔵 埼玉県浦和市鹿手袋3丁目4番16号 シャ トル中浦和303号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[I] 【化1】 (式中、R'は低級アルカノイル基、R"は水素原子であ
    るか、またはR’は水素原子、R"は低級アルコキシカ
    ルボニル基である)で示されるプロピオフェノン誘導体
    またはその薬理的に許容しうる塩。
  2. 【請求項2】 R'が低級アルカノイル基で、R"が水素
    原子である請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 R'が水素原子で、R"が低級アルコキシ
    カルボニル基である請求項1記載の化合物。
  4. 【請求項4】 式[II] 【化2】 (式中、R'は低級アルカノイル基を表す)で示されるプ
    ロピオフェノン化合物に、アルカンスルホン酸またはア
    リールスルホン酸を作用させ、所望により薬理的に許容
    しうる塩とすることを特徴とする一般式[I−a] 【化3】 (式中、R'は前記に同じ)で示されるプロピオフェノン
    誘導体またはその薬理的に許容しうる塩の製法。
  5. 【請求項5】 式[III] 【化4】 で示されるプロピオフェノン誘導体に低級アルカノール
    およびアルカンスルホン酸またはアリールスルホン酸を
    作用させ、所望により薬理的に許容しうる塩とすること
    を特徴とする、一般式[I−b] 【化5】 (式中、R"は低級アルコキシカルボニル基を表す)で示
    されるプロピオフェノン誘導体またはその薬理的に許容
    しうる塩の製法。
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