JPH0893918A - 金属ガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】ボルト締結後にカバーと本体との間に生じる隙
間が、縮小するようにし、また締付けボルト孔間をボル
ト締結力によるカバーと本体との間の隙間変化に対応し
たビードの高さと幅に変化させることにより、シール性
能の安定化を図る。 【構成】金属ガスケット１に形成されるシール用ビード
２が、締付けボルト孔３、３間の中間部４においてフル
ビード５とされ、中間部４から締付けボルト孔３に近づ
くに従って、金属ガスケット１の外周側においては中間
部４のフルビード５の外側形状が形成され、且つ金属ガ
スケット１の内周側においては中間部４のフルビード５
の内側形状が徐々に変化されつつハーフビード６に変形
され、締付けボルト孔３の周囲においては該締付けボル
ト孔３を跨ぐ前記ハーフビード６と金属ガスケットの外
周側のフルビード５の片側とが一体的に接続される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関のシリンダヘ
ッド、バルブ室、水孔、オイル孔、エア孔等のカバーを
本体に対してボルト締結するのに、ボルト締結後のカバ
ーと本体との間に生じる隙間が、ボルト締結部の内側に
向かって縮小するようにした金属ガスケットに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、内燃機関のシリンダヘッドとシリ
ンダブロックとの接合面、その他一般部の接合面間に介
装された金属ガスケットは、相互の接合面をシールすべ
く形成されたビードを、シリンダヘッド締結時のボルト
締付け力により弾性変形させ、この変形時の弾性復元力
により接合面にビード荷重を発揮して、接合面間のシー
ルを果たすと共に、接合面の歪に追従させて、そのシー
ル効果を維持するようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のような金属ガス
ケットの従来例を図４と図５に示す。

【０００４】図４に示す金属ガスケット２３は、カバー
２０と本体２１の接合面間に介挿してあり、締付けボル
ト孔２４の内側に、断面半円形のフルビード２５が形成
されたものである。この金属ガスケット２３において
は、締付けボルト孔２４の内側のビード荷重が外側の荷
重よりも増大する。このため、ボルト孔２４の内側の隙
間θ１が外側の隙間θ２よりも増大して、それに伴う歪
みがボルト孔２４の内側に大きく生じ、シール性能が不
安定となる。

【０００５】また、ボルト孔２４の内側の隙間が大きい
ために、ボルト孔２４の内側に設けられたビード２５が
撓みやすく、その結果締付けボルト２６のトルクダウン
が生じ易い。

【０００６】このような現象は、シリンダヘッドとシリ
ンダブロックとの間に介挿した金属ガスケットの場合、
特に著しく、シリンダヘッドが燃焼室孔内の爆発による
たたかれを受けて、ボルト孔２４の内側のビード２５が
撓みやすく、締付けボルト２６のトルクダウンが顕著に
発生する。

【０００７】また、図５に示すように、金属ガスケット
２７にボルト孔２４の内側と外側において同形状に形成
したビード２８を設けた場合、カバー２０のボルト締結
力によって全体変形量θ３が生じる。そして、カバー２
０を四方からボルト締結した場合、中央が持ち上がるよ
うにカバー２０が変形するため、ボルト孔２４の内側に
おけるカバー２０と本体２１との隙間が外側の隙間より
も増大して、それに応じた歪みをカバー２０に生じ、そ
の結果シール性能が不安定になるのである。

【０００８】また、カバー２０と本体２１との隙間は、
締付けボルト孔２４の周辺においては小であるが、ボル
ト孔２４から隣のボルト孔２４への中間に至るに従って
増大するため、上記のボルト孔２４の内側と外側におい
て同形状に形成したビード２８では、その変化に対応す
ることができず、結局シール性能を不安定にするのであ
る。

【０００９】本発明は、上記の従来の問題点を解消する
ために成されたもので、内燃機関のシリンダヘッドとシ
リンダブロック間に介挿するヘッドガスケットのみなら
ず、一般部のカバーと本体間に介装する金属ガスケット
において、ボルト締結後のカバーと本体との間に生じる
隙間が、ボルト締結部の内側に向かって縮小するように
したビード形状とすることにより、シール性の安定、及
び締付けボルトのトルクダウンを防止し、また締付けボ
ルト孔間をボルト締結力によるカバーと本体との間の隙
間変化に対応したビードの高さと幅に変化させることに
より、カバーと本体との接合面全体に均等なシール面圧
を発揮させて、シール性能の安定化を実現するようにし
た金属ガスケットを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の金属ガスケットは、金属ガスケットに形
成されるシール用ビードが、締付けボルト孔間の中間部
においてフルビードとされ、前記中間部から前記締付け
ボルト孔に近づくに従って、前記金属ガスケットの外周
側においては前記中間部のフルビードの外側形状が形成
され、且つ前記金属ガスケットの内周側においては前記
中間部のフルビードの内側形状が徐々に変化されつつハ
ーフビードに変形され、前記締付けボルト孔の周囲にお
いては該締付けボルト孔を跨ぐ前記ハーフビードと前記
金属ガスケットの外周側のフルビードの片側とが一体的
に接続されたビード形状とされたことを特徴としてい
る。また、前記締付けボルト孔間の中間部及び前記金属
ガスケットの外周側のフルビードの幅及び高さが、締付
けボルト締結時のカバーと本体との間に生じる隙間に応
じて変化されたものとしてもよい。

【００１１】

【作用】一般に、カバーを本体に対して周囲からボルト
締結した場合、カバーの中央が持ち上がるように変形す
るため、締付けボルト孔の内側の隙間が外側の隙間より
も増大するような歪みをカバーに与える。

【００１２】上記の構成においては、締付けボルト孔の
外側にフルビードが設けられ、内側にハーフビードが設
けられることにより、この締付けボルト孔をボルト締結
すると、締付けボルト孔の外側のフルビードがストッパ
ーの役割を成して、カバーの中央を凹ませる面圧がカバ
ーに生じ、締付けボルト孔の内側の隙間が外側の隙間よ
りも縮小する。

【００１３】このような本発明の金属ガスケットによる
カバーの歪みは、上記の一般的な（本発明の金属ガスケ
ットを設けない) 場合のカバーの締付け歪みと反対方向
の歪みとして作用するため、両者は相殺し合って、カバ
ーと本体との接合面を一定幅の隙間としてボルト締結す
ることが可能となる。

【００１４】また、締付けボルト孔間にはフルビードが
形成されているため、ボルト締結力によるカバーと本体
との隙間変化に対応したビードの幅及び高さとして変化
させることが容易となる。

【００１５】

【実施例】図１は本発明による金属ガスケットの平面図
である。図２(a) は図１のＡ−Ａ線に沿う断面図、図２
(b) は図１のＢ−Ｂ線に沿う断面図、図２(c) は図１の
Ｃ−Ｃ線に沿う断面図である。図３は本発明による金属
ガスケットを装着した状況を示す締付けボルト孔周辺の
断面図である。

【００１６】図１に示す金属ガスケットは、水孔、オイ
ル孔等のカバー７と本体８との接合面間に介装する金属
ガスケットを示すものであるが、本発明は、シリンダヘ
ッドとシリンダブロックとの接合面間に介装する金属ガ
スケット等、本体に対してカバーに相当するものを、周
囲数ケ所にてボルト締結する際に介装する金属ガスケッ
トすべてに適用することができる。

【００１７】図１及び図２(a) 乃至(c) において、水孔
或はオイル孔等の開孔１０を囲繞する金属ガスケット１
が形成され、その四方の角部には締付けボルト孔３が夫
々設けられている。

【００１８】この金属ガスケット１の周囲にはシール用
ビード２が形成され、このシール用ビード２は締付けボ
ルト孔３、３間の中間部４においては、図２(a) に示す
ように、ビート高さｈ１、ビードの分割幅Ｌ１の断面半
円形のフルビード５が形成されている。

【００１９】そして、この中間部４から締付けボルト孔
３に近づくに従って、図２(b) に示すように、金属ガス
ケット１の外周側に向けて、上記の中間部４に形成して
ある、ビート高さｈ２＜ｈ１のフルビード５の外側形状
５ａ（ビードの分割した外側幅Ｌ２＞Ｌ１）が形成さ
れ、且つ金属ガスケット１の内周側においては中間部４
のフルビード５の内側形状５ｂ（分割した内側幅Ｌ３＞
Ｌ２）が徐々に変化されつつハーフビード６に変形され
ている。

【００２０】締付けボルト孔３の周囲においては、図２
(c) に示すように、この締付けボルト孔３が上記ハーフ
ビード６（分割した内側幅Ｌ５＞Ｌ３）を跨ぎ、且つこ
のハーフビード６と金属ガスケット１の外周側のフルビ
ード５の外側形状５ａ（ビードの分割した外側幅Ｌ４＞
Ｌ２）とがビード高さｈ３＜ｈ２で一体的に接続されて
いる。

【００２１】このような金属ガスケット１においては、
図３に示すように、カバー７を本体８に対して四方から
ボルト９で締結した場合、締付けボルト孔３の外側がフ
ルビード５の外側形状５ａとされ、内側がハーフビード
６とされることによって、この締付けボルト孔３にボル
ト９を挿通して締結すると、ビード荷重Ｆ１＞Ｆ２＞Ｆ
３となって、締付けボルト孔３の外側のフルビード５ａ
がストッパーの役割を成し、カバー７の中央を凹ませる
面圧がこのカバー７に生じて、締付けボルト孔９の内側
の隙間β１が外側の隙間β２よりも縮小する。

【００２２】このような本発明の金属ガスケットによる
カバー７の歪みは、本発明の金属ガスケット１を設けな
い場合のカバー７の締付け歪みと反対方向の歪みとして
作用するため、両者は相殺し合って、カバー７と本体８
との接合面を一定幅の隙間としてボルト締結することが
可能となる。

【００２３】また、締付けボルト孔３、３間にはフルビ
ード５が形成されているため、ボルト締結力によるカバ
ー７と本体８との隙間変化に対応したフルビード５の幅
及び高さとして、ビード面圧を変化させ、カバー７と本
体８との接合面の周囲の均等なシール性能を確保するこ
とができる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属ガス
ケットによれば、締付けボルト孔の外側にフルビードが
設けられ、内側にハーフビードが設けられることによ
り、この締付けボルト孔をボルト締結すると、締付けボ
ルト孔の外側のフルビードがストッパーの役割を成し
て、ボルト締結部の内側に向かって縮小カバーの中央を
凹ませる面圧がカバーに生じ、締付けボルト孔の内側の
隙間が外側の隙間よりも縮小して一般的なカバーの締付
け歪みに対する反対方向の歪みとして作用するため、両
者は相殺し合って、カバーと本体との接合面を一定幅の
隙間としてボルト締結することが可能となり、シール性
の安定、及び締付けボルトのトルクダウンを防止するこ
とができる。

【００２５】また締付けボルト孔間をボルト締結力によ
るカバーと本体との間の隙間変化に対応したビードの高
さと幅に変化させることにより、バネ定数を変化させ
て、カバーと本体との接合面全体に均等なシール面圧を
発揮させ、シール性能の安定化を達成することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明による金属ガスケットの平面図で
ある。

【図２】図２(a) は図１のＡ−Ａ線に沿う断面図、図２
(b) は図１のＢ−Ｂ線に沿う断面図、図２(c) は図１の
Ｃ−Ｃ線に沿う断面図である。

【図３】図３は本発明による金属ガスケットを装着した
状況を示す締付けボルト孔周辺の断面図である。

【図４】図４は従来の金属ガスケットの締付けボルト孔
周辺の断面図である。

【図５】図５は従来の他の金属ガスケットの締付けボル
ト孔周辺の断面図である。

【符合の説明】

１…金属ガスケット、２…シール用ビード、３…締付け
ボルト孔、４…締付けボルト孔間の中間部、５…フルビ
ード、５ａ…フルビードの外側形状、５ｂ…フルビード
の内側形状、６…ハーフビード、７…カバー、８…本
体。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】金属ガスケット（１）に形成されるシール
   用ビード（２）が、締付けボルト孔（３、３）間の中間
   部（４）においてフルビード（５）とされ、前記中間部
   （４）から前記締付けボルト孔（３）に近づくに従っ
   て、前記金属ガスケット（１）の外周側においては前記
   中間部（４）のフルビード（５）の外側形状が形成さ
   れ、且つ前記金属ガスケット（１）の内周側においては
   前記中間部（４）のフルビード（５）の内側形状が徐々
   に変化されつつハーフビード（６）に変形され、前記締
   付けボルト孔（３）の周囲においては該締付けボルト孔
   （３）を跨ぐ前記ハーフビード（６）と前記金属ガスケ
   ットの外周側のフルビード（５）の片側とが一体的に接
   続されたビード形状とされたことを特徴とする金属ガス
   ケット。
2. 【請求項２】前記締付けボルト孔（３、３）間の中間部
   （４）及び前記金属ガスケット（１）の外周側のフルビ
   ード（５）の幅及び高さが、締付けボルト締結時のカバ
   ー（７）と本体（８）との間に生じる隙間に応じて変化
   されたことを特徴とする請求項１記載の金属ガスケッ
   ト。