JPH0848656A - 有機el素子用化合物および有機el素子 - Google Patents

有機el素子用化合物および有機el素子

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JPH0848656A
JPH0848656A JP7043564A JP4356495A JPH0848656A JP H0848656 A JPH0848656 A JP H0848656A JP 7043564 A JP7043564 A JP 7043564A JP 4356495 A JP4356495 A JP 4356495A JP H0848656 A JPH0848656 A JP H0848656A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記化112で表されるテトラアリールジア
ミン誘導体を有機EL素子に用いる。 【化112】 【効果】 本発明の化合物は、融点やガラス転移温度が
高く、その蒸着等により成膜される薄膜は、透明で室温
以上でも安定なアモルファス状態を形成し、平滑で良好
な膜質を示す。従って、バインダー樹脂を用いることな
く、それ自体で薄膜化することができる。また本発明の
有機EL素子は、上記化合物を有機化合物層、特に好ま
しくは正孔注入輸送層に用いるため、ムラのない均一な
面発光が可能であり、高輝度が長時間に渡って安定して
得られ、耐久性・信頼性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テトラアリールジアミ
ン誘導体である有機EL素子用化合物および有機EL
(電界発光)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光を照射することによって導電性
や電荷生成等を生じる、すなわち光・電子機能を有する
低分子量有機化合物は、それ自体では薄膜形成能をもた
ない場合が多く、薄膜を形成するためには、バインダー
樹脂に分散させて、従って希釈した状態で、基板上に塗
布し薄膜化することが必要であった。また、真空蒸着等
の方法によりそれ自体で薄膜形成能を有する場合でも、
薄膜安定性が不十分で、相転移などの物理的変化を起こ
しやすかった。
【0003】一方、特定のテトラアリールジアミン系化
合物については、電子写真感光体の感光層を形成する材
料として特開平2−277071号公報に開示されてい
るが、有機EL素子用化合物としての用途は何ら示唆さ
れていない。
【0004】また一方、有機EL素子は、蛍光性有機化
合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、
前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合
させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、こ
のエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を
利用して発光させる素子である。
【0005】この有機EL素子の特徴は、10V 以下の
低電圧で100〜100000cd/m2 程度の高輝度の面
発光が可能であり、また蛍光性物質の種類を選択するこ
とにより青色から赤色までの発光が可能なことである。
【0006】しかしながら、有機EL素子の問題点は、
発光寿命が短く、耐久性、信頼性が低いことであり、こ
の原因としては、
【0007】 有機化合物の物理的な変化 (結晶粒界の出現や成長などは界面の不均一化を引き起
こし、素子の電荷注入能の劣化、短絡、絶縁破壊の原因
となる。特に分子量500以下の低分子化合物を用いる
と、結晶粒界の出現や成長が起こり、膜性が著しく低下
する。また、ITO等の界面が荒れていても、顕著な結
晶粒界の出現や成長が起こり、発光効率の低下や電流の
リークを起こし、発光しなくなる。また、部分的非発光
部位であるダークスポットの原因にもなる。)
【0008】 陰極の酸化・剥離 (電子の注入を容易にするために陰極には、仕事関数の
小さな金属としてMg、Li、Na、Alなどを用いて
いるが、これらの金属は大気中の水分や酸素と反応した
り、有機層との剥離が起こり、電荷注入ができなくな
る。特にスピンコートなどのウェット方法で成膜した場
合、成膜時の残留溶媒や分解物が電極の酸化反応を促進
するため、電極の剥離が起こり、ダークスポットが発生
しやすい。)
【0009】 発光効率が低く、発熱量が多いこと (有機化合物中に電流を流すので、高い電界強度下に有
機化合物を置かねばならず、発熱からは逃れられない。
その熱のため、有機化合物の溶融、結晶化、熱分解など
により素子の劣化や破壊が起こる。)
【0010】 有機化合物層の光化学的変化・電気化
学的変化 などが挙げられる。
【0011】これらの課題を解決する手段として、正孔
(ホール)注入輸送帯が正孔注入性ポルフィリン化合物
と正孔輸送性芳香族三級アミンから構成された有機EL
素子が、特開昭63−295695号公報(対応米国特
許第4720432号明細書)に開示されている。具体
的には、上記特開昭63−295695号公報の実施例
1、10および11において、インジウム・錫酸化物被
覆ガラスの透明アノード、正孔注入用銅フタロシアニン
(PC−10)(35nm、あるいは37.5nm)、ホー
ル輸送用1,1’−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフ
ェニル)シクロヘキサン(ATA−1)(35nm、ある
いは37.5nm)、発光用および電子注入輸送用アルミ
ニウムトリスオキシン(CO−1)(60nm)、および
Mg−Agカソード(200nm)で形成された有機EL
素子が開示されている。そしてこの素子を一定電流密度
で500時間駆動させた場合、5mA/cm2では、初期出力
が0.08mW/cm2から0.05mW/cm2(低下率37.5
%)に、また20mA/cm2では、0.45mW/cm2から0.
066mW/cm2(低下率86.7%)に、また40mA/cm2
では、1.15mW/cm2から<0.1mW/cm2(低下率>9
1.3%)に低下している。さらに他の正孔輸送性芳香
族三級アミンとして実施例12および13で、N,N,
N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノ
ビフェニル(ATA−7)、およびN,N,N’,N’
−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル(A
TA−8)(37.5nm)が開示されているが、前者は
同電流密度に対する初期出力が小さく、また出力低下も
62.5%あり、後者は60%低下している。
【0012】さらに、トリアリールアミン(ATA−
1)とテトラアリールアミン(ATA−7)の組み合わ
せが実施例14および15に開示されているが、これも
同電流密度に対する初期出力が小さく、出力低下も大き
い。これらの結果からわかるように、発光素子の寿命と
してはまだまだ実用レベルには達しておらず、特に実用
レベルに対応する高出力(高輝度)発光を得ようとして
高電流密度で駆動した場合、初期動作付近での出力低下
は急激である。
【0013】この急激な出力低下を改良する目的で、米
国特許第5061569号明細書、あるいは特開平5−
234681号公報に、特に選択された正孔輸送性芳香
族三級アミンが開示されている。具体的には、少なくと
も2つの第三アミン成分を含み、かつ第三アミンの窒素
原子に結合した芳香族成分が少なくとも2つの縮合芳香
族環を含む化合物である。しかし、これらの特定の正孔
輸送性芳香族三級アミンを用いても、長時間に渡って安
定した発光を得ることは非常に難しく、実用レベルの発
光素子の寿命としてはまだまだ不十分である。
【0014】これは、上記明細書、あるいは上記公報に
具体的に開示されている正孔輸送性芳香族三級アミン
が、その熱特性が低いために、素子のジュール熱に起因
する発熱により、アモルファス状態における薄膜安定性
が不十分になり、それを有機EL素子に用いた場合に
は、発光効率が低く、また発光寿命が短く、耐久性や信
頼性が低下すると考えられる。
【0015】また透明電極は、表面抵抗の小さいこと
(10〜30Ω/□)以下が必要であるためITOガラ
スなどが用いられている。しかし走査型トンネル顕微鏡
(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)の観察による
と、スパッタ成膜基板で20nm、EB蒸着基板で40nm
程度の凹凸があり、さらにITOパターニング時のダメ
ージによる表面荒れがあり、有機薄膜の結晶化が促進さ
れやすい環境にある。
【0016】このことを改善するため、ITO表面に金
属含有フタロシアニンや無金属フタロシアニンを設けた
り(上記米国特許第4720432号明細書、あるいは
上記特開昭63−295695号公報)、ポリアリレン
ビニレンをスピンコートするなどの方策が採られてき
た。しかし、金属含有フタロシアニンや無金属フタロシ
アニンは微結晶であり必ずしも効果が現れず、ポリアリ
レンビニレンはコンバージョン時の酸でITOがダメー
ジを受けたり、残留溶媒などにより電極の酸化が促進し
たり、スピンコートで成膜した不均一な膜であるため、
素子の信頼性が向上はしなかった。
【0017】一方、最近、素子性能の向上を目的とし
て、機能の異なる化合物を2種以上混合した混合層を設
けたEL素子が種々提案されている。例えば、特開平2
−250292号公報には、輝度および耐久性の向上を
目的として、正孔輸送能および発光機能を有する有機化
合物と電子輸送能を有する有機化合物との積層構造の薄
膜あるいは混合体薄膜を発光層に用いる旨が、また特開
平2−291696号公報には、正孔輸送機能を有する
有機化合物と電子輸送能を有する蛍光有機化合物との混
合体薄膜を発光層に用いる旨が提案されている。さら
に、特開平3−114197号公報には、発光効率・発
光輝度の向上を目的として、電荷注入層と発光層との間
に電荷注入材料と有機蛍光体とを混合した混合層を設け
る旨が提案されている。また、特開平3−190088
号公報には、発光層への正孔(ホール)および電子の注
入を容易にすることを目的として、正孔輸送層および/
または電子輸送層と有機発光層との間に、対面する両層
の構成材料を含む混合層を設けることが提案されてい
る。さらに、特開平4−334894号公報には、複数
の有機化合物層を構成する場合、異なる機能を有する化
合物を共存させた層、例えば正孔輸送性発光材料を含む
層と正孔輸送性発光材料と電子輸送性材料とが共存する
層等を設け、発光輝度を高くし、種々の発光色相を呈す
ることを可能にするとともに耐久性を向上させることが
提案されている。また、特開平5−182762号公報
には、発光層と電荷注入層の間に発光物質と電荷注入物
質からなる混合層を形成し、駆動電圧を低下させる旨が
提案されている。さらに、特開平3−289090号公
報には、発光層を正孔伝導性の有機化合物と希土類金属
の有機錯体が混合された薄膜よりなるものとし、発光ス
ペクトル幅が狭く単色性に優れ、しかも変換効率の良化
を図ることが提案されている。また、特開平4−178
487号公報および特開平5−78655公報には、有
機発光体薄膜層の成分が有機電荷材料と有機発光材料の
混合物からなる薄膜層を設け、濃度消光を防止して発光
材料の選択幅を広げ、高輝度なフルカラー素子とする旨
が提案されている。また、特開平4−357694号公
報には、層間に各層を形成する各々の成分で濃度勾配を
設けた傾斜構造層を形成し、駆動電圧の低下と耐久性の
向上を図ることが提案されている。
【0018】さらに、有機化合物層にルブレンを用いた
ものが提案されている。ルブレンを有機化合物層にドー
プしたものとしては、有機化合物層としてヒドラジン誘
導体の混合膜からなる正孔輸送層とトリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウムの発光層とを有する有機EL素子
において、正孔輸送層にルブレンをドープしたもの、あ
るいは正孔輸送層の有機界面側半分と発光層全体にルブ
レンをドープしたものが提案されている。そして、正孔
輸送層にドープしたものでは、トリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウムとルブレンの両方から発光が起こるこ
とが、また正孔輸送層の半分と発光層にドープしたもの
では、発光効率が向上すること、さらには保存時におけ
るダークスポットの増加を抑制できることが報告されて
いる[金井、矢島、佐藤、第39回応用物理学関係連合
講演会講演予稿集、28p−Q−8(1992):佐
藤、金井、有機エレクトロニクス材料研究会(JOE
M)ワークショップ92予稿集、31(1992)]。
また、トリフェニルジアミン誘導体(TPD)の正孔輸
送層にルブレンをドープしたものが提案されており、輝
度半減期が向上することが報告されている[藤井、佐
野、藤田、浜田、柴田、第54回応用物理学学術講演会
講演予稿集、29p−ZC−7(1993)]。
【0019】また、特開平2−207488号公報に
は、p型の無機半導体薄膜層とルブレンを主体とする層
からなる有機化合物薄膜層を設けたものが提案されてお
り、十分な発光輝度と発光輝度の安定性が得られること
が記載されている。
【0020】しかし、これらのいずれのEL素子におい
ても、発光寿命の向上という点で満足できるものではな
い。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、第一
に、高い融点やガラス転移温度を有して熱特性に優れ、
アモルファス状態における薄膜安定性が長期間に渡って
十分に得られ、従って、バインダー樹脂を用いることな
く、それ自体で薄膜化することができ、物理的変化や光
化学的変化・電気化学的変化の少ない光・電子機能を有
する特定のテトラアリールジアミン誘導体である有機E
L素子用化合物を提供することである。
【0022】第二に、この有機EL素子用化合物を用い
ることにより、発光寿命が長く、耐久性・信頼性の高い
高輝度な有機EL素子を実現することである。特に、素
子の駆動時の電圧上昇や電流のリーク、部分的な非発光
部の出現・成長、さらには初期の輝度低下を抑えた高信
頼性の高輝度発光素子を実現することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(41)の本発明により達成される。 (1)下記化16で表されるテトラアリールジアミン誘
導体である有機EL素子用化合物。
【0024】
【化16】
【0025】[化16において、R1 、R2 、R3 およ
びR4 は、それぞれアリール基、アルキル基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子
を表し、R1 、R2 、R3 およびR4 のうちの少なくと
も1個はアリール基である。r1、r2、r3およびr
4は、それぞれ0または1〜5の整数であり、r1、r
2、r3およびr4の和は1以上の整数であり、少なく
とも1個のアリール基がR1 〜R4 として存在する。R
5 およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、
アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも
異なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞ
れ0または1〜4の整数である。] (2)前記R1 〜R4 のうちの2〜4個がアリール基で
あり、これらのアリール基のうちの少なくとも2個がN
の結合位置に対してパラ位またはメタ位に結合している
上記(1)の有機EL素子用化合物。 (3)前記R1 〜R4 のうちの少なくとも1個のアリー
ル基がフェニル基である上記(2)の有機EL素子用化
合物。 (4)下記化17で表される上記(1)〜(3)のいず
れかの有機EL素子用化合物。
【0026】
【化17】
【0027】[化17において、A1 、A2 、A3 およ
びA4 は、それぞれNの結合位置に対してパラ位または
メタ位に結合するフェニル基であり、これらは同一でも
異なるものであってもよい。R7 、R8 、R9 およびR
10は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を
表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r
7、r8、r9およびr10はそれぞれ0または1〜4
の整数である。R5 およびR6 は、それぞれアルキル
基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表
し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r5
およびr6は、それぞれ0または1〜4の整数であ
る。] (5)前記R1 〜R4 のうちの少なくとも1個のアリー
ル基がナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレ
ニル基またはコロネニル基である上記(2)の有機EL
素子用化合物。 (6)下記化18で表される上記(1)、(2)または
(5)の有機EL素子用化合物。
【0028】
【化18】
【0029】[化18において、ArはNの結合位置に
対してパラ位またはメタ位に結合するアリール基を表
す。Z1 、Z2 およびZ3 は、それぞれアルキル基、ア
ルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基
またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるも
のであってもよい。ただし、Z1 、Z2 およびZ3 のう
ちの少なくとも1個はNの結合位置に対してパラ位また
はメタ位に結合するアリール基を表すが、Ar、Z1
2 およびZ3 が同時にNの結合位置に対してパラ位ま
たはメタ位に結合するフェニル基となることはない。s
1、s2およびs3は、それぞれ0または1〜5の整数
であり、s1、s2およびs3の和は1以上の整数であ
る。R0 は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、
アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表
す。r0は、それぞれ0または1〜4の整数である。R
5 およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、
アリール基またはハロゲン原子を表し、これらは同一で
も異なるものであってもよい。r5およびr6は、それ
ぞれ0または1〜4の整数である。] (7)下記化19で表される上記(1)〜(4)のいず
れかの有機EL素子用化合物。
【0030】
【化19】
【0031】[化19において、R7 、R8 、R9 およ
びR10は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子
を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
r7、r8、r9およびr10は、それぞれ0または1
〜4の整数である。R11、R12、R13およびR14は、そ
れぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r11、r1
2、r13およびr14は、それぞれ0または1〜5の
整数である。R5およびR6 は、それぞれアルキル基、
アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、こ
れらは同一でも異なるものであってもよい。r5および
r6は、それぞれ0または1〜4の整数である。] (8)前記r5、r6、r7、r8、r9、r10、r
11、r12、r13およびr14がそれぞれ0である
上記(7)の有機EL素子用化合物。 (9)下記化20で表される上記(1)〜(4)のいず
れかの有機EL素子用化合物。
【0032】
【化20】
【0033】[化20において、R7 、R8 、R9 およ
びR10は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子
を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
r7、r8、r9およびr10は、それぞれ0または1
〜4の整数である。R11、R12、R13およびR14は、そ
れぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r11、r1
2、r13およびr14はそれぞれ0または1〜5の整
数である。R5 およびR6 は、それぞれアルキル基、ア
ルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r5およびr
6は、それぞれ0または1〜4の整数である。] (10)前記r5、r6、r7、r8、r9、r10、
r11、r12、r13およびr14がそれぞれ0であ
る上記(9)の有機EL素子用化合物。 (11)下記化21で表される上記(1)〜(4)のい
ずれかの有機EL素子用化合物。
【0034】
【化21】
【0035】[化21において、R7 、R8 、R9 およ
びR10は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子
を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
r7、r8、r9およびr10は、それぞれ0または1
〜4の整数である。R11、R12、R13およびR14は、そ
れぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r11、r1
2、r13およびr14はそれぞれ0または1〜5の整
数である。R5 およびR6 は、それぞれアルキル基、ア
ルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r5およびr
6は、それぞれ0または1〜4の整数である。] (12)前記r5、r6、r7、r8、r9、r10、
r11、r12、r13およびr14がそれぞれ0であ
る上記(11)の有機EL素子用化合物。 (13)下記化22で表される上記(1)〜(4)のい
ずれかの有機EL素子用化合物。
【0036】
【化22】
【0037】[化22において、R7 、R8 、R9 およ
びR10は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子
を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
r7、r8、r9およびr10は、それぞれ0または1
〜4の整数である。R11、R12、R13およびR14は、そ
れぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r11、r1
2、r13およびr14はそれぞれ0または1〜5の整
数である。R5 およびR6 は、それぞれアルキル基、ア
ルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r5およびr
6は、それぞれ0または1〜4の整数である。] (14)前記r5、r6、r7、r8、r9、r10、
r11、r12、r13およびr14がそれぞれ0であ
る上記(13)の有機EL素子用化合物。 (15)下記化23で表される上記(1)〜(4)のい
ずれかの有機EL素子用化合物。
【0038】
【化23】
【0039】[化23において、R7 、R8 、R9 およ
びR10は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子
を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
r7、r8、r9およびr10は、それぞれ0または1
〜4の整数である。R11、R12、R13およびR14は、そ
れぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r11、r1
2、r13およびr14はそれぞれ0または1〜5の整
数である。R5 およびR6 は、それぞれアルキル基、ア
ルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r5およびr
6は、それぞれ0または1〜4の整数である。] (16)前記r5、r6、r7、r8、r9、r10、
r11、r12、r13およびr14がそれぞれ0であ
る上記(15)の有機EL素子用化合物。 (17)下記化24で表される上記(1)〜(4)のい
ずれかの有機EL素子用化合物。
【0040】
【化24】
【0041】[化24において、R7 、R8 、R9 およ
びR10は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子
を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
r7、r8、r9およびr10は、それぞれ0または1
〜4の整数である。R11、R12、R13およびR14は、そ
れぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r11、r1
2、r13およびr14はそれぞれ0または1〜5の整
数である。R5 およびR6 は、それぞれアルキル基、ア
ルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。r5およびr
6は、それぞれ0または1〜4の整数である。] (18)前記r5、r6、r7、r8、r9、r10、
r11、r12、r13およびr14がそれぞれ0であ
る上記(17)の有機EL素子用化合物。 (19)下記化25で表される上記(1)、(2)、
(5)または(6)の有機EL素子用化合物。
【0042】
【化25】
【0043】[化25において、Ar1 およびAr2
は、それぞれアリール基を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。R15およびR16は、それぞれア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一
でも異なるものであってもよい。r15およびr16
は、それぞれ0または1〜4の整数である。R17および
18は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
は同一でも異なるものであってもよい。r17およびr
18は、それぞれ0または1〜5の整数である。R5
よびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アミ
ノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ0
または1〜4の整数である。] (20)前記r5、r6、r15、r16、r17およ
びr18が、それぞれ0である上記(19)の有機EL素
子用化合物。 (21)下記化26で表される上記(1)、(2)、
(5)または(6)の有機EL素子用化合物。
【0044】
【化26】
【0045】[化26において、Ar1 およびAr3
は、それぞれアリール基を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。R15およびR20は、それぞれア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一
でも異なるものであってもよい。r15およびr20
は、それぞれ0または1〜4の整数である。R15および
20は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
は同一でも異なるものであってもよい。r18およびr
19は、それぞれ0または1〜5の整数である。R5
よびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アミ
ノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ0
または1〜4の整数である。] (22)前記r5、r6、r15、r18、r19およ
びr20が、それぞれ0である上記(21)の有機EL素
子用化合物。 (23)下記化27で表される上記(1)、(2)、
(5)または(6)の有機EL素子用化合物。
【0046】
【化27】
【0047】[化27において、Ar1 、Ar2 および
Ar3 は、それぞれアリール基を表し、これらは同一で
も異なるものであってもよい。R15、R16およびR
20は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を
表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r
15、r16およびr20は、それぞれ0または1〜4
の整数である。R18は、アルキル基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表す。
r18は、0または1〜5の整数である。R5 およびR
6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アミノ基ま
たはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもの
であってもよい。r5およびr6は、それぞれ0または
1〜4の整数である。] (24)前記r5、r6、r15、r16、r18およ
びr20が、それぞれ0である上記(23)の有機EL素
子用化合物。 (25)下記化28で表される上記(1)、(2)、
(5)または(6)の有機EL素子用化合物。
【0048】
【化28】
【0049】[化28において、Ar4 およびAr5
は、それぞれアリール基を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。R15およびR16は、それぞれア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一
でも異なるものであってもよい。r15およびr16
は、それぞれ0または1〜4の整数である。R17および
18は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
は同一でも異なるものであってもよい。r17およびr
18は、それぞれ0または1〜5の整数である。R5
よびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アミ
ノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ0
または1〜4の整数である。] (26)前記r5、r6、r15、r16、r17およ
びr18が、それぞれ0である上記(25)の有機EL素
子用化合物。 (27)下記化29で表される上記(1)、(2)、
(5)または(6)の有機EL素子用化合物。
【0050】
【化29】
【0051】[化29において、Ar4 およびAr6
は、それぞれアリール基を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。R15およびR20は、それぞれア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一
でも異なるものであってもよい。r15およびr20
は、それぞれ0または1〜4の整数である。R18および
19は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
は同一でも異なるものであってもよい。r18およびr
19は、それぞれ0または1〜5の整数である。R5
よびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アミ
ノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ0
または1〜4の整数である。] (28)前記r5、r6、r15、r18、r19およ
びr20が、それぞれ0である上記(27)の有機EL素
子用化合物。 (29)下記化30で表される上記(1)、(2)、
(5)または(6)の有機EL素子用化合物。
【0052】
【化30】
【0053】[化30において、Ar4 、Ar5 および
Ar6 は、それぞれアリール基を表し、これらは同一で
も異なるものであってもよい。R15、R16およびR
20は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を
表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r
15、r16およびr20は、それぞれ0または1〜4
の整数である。R18は、アルキル基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表す。
r18は、0または1〜5の整数である。R5 およびR
6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アミノ基ま
たはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもの
であってもよい。r5およびr6は、それぞれ0または
1〜4の整数である。] (30)前記r5、r6、r15、r16、r18およ
びr20が、それぞれ0である上記(29)の有機EL素
子用化合物。 (31)上記(1)〜(30)のいずれかの有機EL素子
用化合物の少なくとも1種以上を含有する層を少なくと
も1層有する有機EL素子。 (32)前記有機EL素子用化合物の少なくとも1種以
上と電子注入輸送機能を有する化合物の少なくとも1種
以上の混合物とを含有する層を少なくとも1層有する上
記(31)の有機EL素子。 (33)前記電子輸送機能を有する化合物が、トリス
(8−キノリノラト)アルミニウムである上記(32)の
有機EL素子。 (34)前記混合物を含有する層が発光層である上記
(32)または(33)の有機EL素子。 (35)前記有機EL素子用化合物の少なくとも1種以
上を含有する層の少なくとも1層に蛍光性物質をドープ
する上記(31)〜(34)のいずれかの有機EL素子。 (36)前記蛍光性物質がルブレンである上記(35)の
有機EL素子。 (37)前記有機EL素子用化合物の少なくとも1種以
上を含有する層が正孔注入輸送層であり、この正孔注入
輸送層と発光層とを有する上記(31)〜(36)のいずれ
かの有機EL素子。 (38)前記正孔注入輸送層が組成の異なる2層以上で
構成される上記(37)の有機EL素子。 (39)前記正孔注入輸送層の少なくとも1層がポリチ
オフェンを含有する上記(38)の有機EL素子。 (40)電子注入輸送層を有する上記(37)〜(39)の
いずれかの有機EL素子。 (41)前記有機EL素子用化合物の少なくとも1種以
上を含有する層が正孔注入輸送機能を有する層であり、
この層に接して発光機能を有する層または電子注入輸送
機能を有する層が設けられており、前記正孔注入輸送機
能を有する層と前記発光機能を有する層または電子注入
輸送機能を有する層とのイオン化ポテンシャルIpの差
が0.25eV以上である上記(31)、(35)または(3
6)の有機EL素子。
【0054】
【作用】本発明の有機EL素子用化合物である化16で
表されるテトラアリールジアミン誘導体は、融点やガラ
ス転移温度が高く、その蒸着等により成膜される薄膜
は、透明で室温以上でも安定なアモルファス状態を形成
し、長期間に渡って平滑で良好な膜質を示す。
【0055】従ってバインダー樹脂を用いることなく、
それ自体で薄膜化することができる。
【0056】この効果は、以下のことに起因していると
考えられる。
【0057】 分子量を増して高融点にしたこと。 立体障害のあるフェニル基のようなバルキーな置換
基を導入して分子間の重なりを最適化していること。 分子の取り得るコンフォーメーション数が多く、分
子の再配列が妨げられていること。
【0058】また、分子中にN−フェニル基等の正孔注
入輸送単位を多く含み、R1 〜R4にフェニル基を導入
してビフェニル基にすることでπ共役系が広がり、キャ
リア移動に有利になり、正孔注入輸送能にも非常に優れ
る。
【0059】従って、本発明の有機EL素子は、化16
で表されるテトラアリールジアミン誘導体を有機EL素
子用化合物として有機化合物層に、特に好ましくは、正
孔注入輸送層に用いるため、ムラのない均一な面発光が
可能であり、高輝度が長時間に渡って安定して得られ
る。波長によっても異なるが100〜100000cd/m
2 程度、あるいはそれ以上の高輝度が安定して得られ
る。なお、本発明の有機EL素子の発光極大波長は、3
50〜700nm程度である。
【0060】また、耐熱性・耐久性が高く、素子電流密
度が1A/cm2 程度以上でも安定した駆動が可能である。
【0061】さらには、本発明の有機EL素子用化合物
を有機化合物層に用いることによりエネルギーレベルが
最適になり、界面においてキャリアが効果的にブロッキ
ングされるため、安定したキャリアの再結合および発光
が起こる。特に本発明の有機EL素子用化合物を正孔注
入輸送層に用いることにより、この正孔注入輸送層と接
する発光機能を有する層(発光層が電子注入輸送層を兼
ねる発光・電子注入輸送層を含む。)、あるいは正孔注
入輸送層が発光層を兼ねる正孔注入輸送機能を有する層
であるときにこの層と接する電子注入輸送層とのイオン
化ポテンシャルIpの差が最適化されて、界面における
キャリアブロッキング効果が高まり、極性的に劣勢ある
いは不安定なキャリアの注入はより起こりにくくなるの
で、各層の有機化合物がダメージを受けにくくなり、キ
ャリア再結合領域や発光領域で、キャリアや励起子の失
活ポイントを生じにくくなる。その結果、安定した発光
が得られ、寿命が大幅に向上する。
【0062】また、本発明の有機EL素子用化合物と電
子注入輸送機能を有する化合物とを混合した有機化合物
層を特に発光層として設けることにより、混合層にはキ
ャリアのホッピング伝導パスができることになるので、
混合層に注入された各キャリアは極性的により優勢な物
質中を移動する。すなわち正孔は正孔注入輸送性物質中
を、また電子は電子注入輸送性物質中を移動することに
なり、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるため
有機化合物がダメージを受けにくくなり、EL素子の寿
命が大幅に向上する。
【0063】また、本発明の有機EL素子用化合物を含
有する有機化合物層に蛍光性物質をドープする構成で
は、本発明の有機EL素子用化合物を正孔注入輸送層に
用いることにより、この正孔注入輸送層と接する発光機
能を有する層(発光層が電子注入輸送層を兼ねる発光・
電子注入輸送層を含む。)あるいは正孔注入輸送層が発
光層を兼ねる正孔注入輸送機能を有する層であるときに
この層と接する電子注入輸送層とのイオン化ポテンシャ
ルIpの差が最適化されて、界面におけるキャリアブロ
ッキング効果が高まり、極性的に劣勢あるいは不安定な
キャリアの注入は起こりにくくなるので、各層の有機化
合物がダメージを受けにくくなり、キャリア再結合領域
や発光領域で、キャリアや励起子の失活ポイントを生じ
にくくなる。また、特に蛍光性物質としてルブレンをド
ープする場合、ルブレンはバイボーラーな輸送性を有し
ており、ルブレンでもキャリア再結合が起こるので、そ
の分さらに有機化合物が受けるダメージは少なくなる。
また、さらにルブレンがキャリア再結合領域近傍に存在
するため、励起子からルブレンへのエネルギー移動が起
こり、非放射的失活が少なくなり、その結果、安定した
発光が得られ、寿命が大幅に向上する。
【0064】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0065】本発明の有機EL素子用化合物(「本発明
の化合物」ともいう。)は、化16で表されるテトラア
リールジアミン誘導体(「化16の化合物」ともい
う。)である。
【0066】化16について説明すると、化16におい
て、R1 〜R4 は、それぞれアリール基、アルキル基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロ
ゲン原子を表し、R1 〜R4 のうちの少なくとも1個は
アリール基である。r1〜r4は、それぞれ0または1
〜5の整数であり、r1〜r4は同時に0になることは
ない。従って、r1+r2+r3+r4は1以上の整数
であり、少なくとも1つのアリール基が存在する条件を
満たす数である。R5 およびR6 は、それぞれアルキル
基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表
し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r5
およびr6は、それぞれ0または1〜4の整数である。
【0067】R1 〜R4 で表されるアリール基として
は、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環や環
集合も含まれる。総炭素数は6〜20のものが好まし
く、置換基を有していてもよい。この場合の置換基とし
ては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0068】R1 〜R4 で表されるアリール基の具体例
としては、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル
基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、ナフチ
ル基、アントリル基、ビフェニリル基、フェニルアント
リル基、トリルアントリル基等が挙げられ、特にフェニ
ル基が好ましく、アリール基、特にフェニル基の結合位
置は3位(Nの結合位置に対してメタ位)または4位
(Nの結合位置に対してパラ位)であることが好まし
い。
【0069】R1 〜R4 で表されるアルキル基として
は、直鎖状でも分岐を有するものであってもよく、炭素
数1〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよ
い。この場合の置換基としてはアリール基と同様のもの
が挙げられる。
【0070】R1 〜R4 で表されるアルキル基として
は、メチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、
(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0071】R1 〜R4 で表されるアルコキシ基として
は、アルキル部分の炭素数1〜6のものが好ましく、具
体的にはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が
挙げられる。アルコキシ基はさらに置換されていてもよ
い。
【0072】R1 〜R4 で表されるアリールオキシ基と
しては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−
(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
【0073】R1 〜R4 で表されるアミノ基としては、
無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換
基を有するものが好ましく、具体的にはジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリル
アミノ基、ジビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N
−トリルアミノ基、N−フェニル−N−ナフチルアミノ
基、N−フェニル−N−ビフェニリルアミノ基、N−フ
ェニル−N−アントリルアミノ基、N−フェニル−N−
ピレニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジアントリル
アミノ基、ジピレニルアミノ基等が挙げられる。
【0074】R1 〜R4 で表されるハロゲン原子として
は、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0075】R1 〜R4 のうちの少なくとも1個はアリ
ール基であるが、特にR1 〜R4 として1分子中にアリ
ール基が2〜4個存在することが好ましく、r1〜r4
のなかの2〜4個が1以上の整数であることが好まし
い。特に、アリール基は分子中に総計で2〜4個存在
し、より好ましくはr1〜r4のなかの2〜4個が1で
あり、さらにはr1〜r4が1であり、含まれるR1
4 のすべてがアリール基であることが好ましい。すな
わち、分子中のR1 〜R4 が置換していてもよい4個の
ベンゼン環には総計で2〜4個のアリール基が存在し、
2〜4個のアリール基の結合するベンゼン環は4個のベ
ンゼン環のなかで同一でも異なるものであってもよい
が、特に2〜4個のアリール基がそれぞれ異なるベンゼ
ン環に結合することが好ましい。そして、さらに少なく
とも2個がNの結合位置に対してパラ位またはメタ位に
結合していることがより好ましい。また、この際アリー
ル基としては少なくとも1個がフェニル基であることが
好ましく、すなわちアリール基とベンゼン環が一緒にな
ってN原子に対し4−または3−ビフェニリル基を形成
することが好ましい。特に2〜4個が4−または3−ビ
フェニリル基であることが好ましい。4−または3−ビ
フェニリル基は一方のみでも両者が混在していてもよ
い。また、フェニル基以外のアリール基としては、特に
(1−,2−)ナフチル基、(1−,2−,9−)アン
トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基な
どが好ましく、フェニル基以外のアリール基も特にNの
結合位置に対しパラ位またはメタ位に結合することが好
ましい。これらのアリール基もフェニル基と混在してい
てもよい。
【0076】化16において、R5 、R6 で表されるア
ルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子とし
てはR1 〜R4 のところで挙げたものと同様のものが挙
げられる。
【0077】r5、r6は、ともに0であることが好ま
しく、2つのアリールアミノ基を連結するビフェニレン
基は無置換のものが好ましい。
【0078】なお、r1〜r4が2以上の整数のとき、
各R1 〜R4 同士は各々同一でも異なるものであっても
よい。また、r5、r6が2以上の整数のとき、R5
士、R6 同士は同一でも異なるものであってもよい。
【0079】化16の化合物のなかでも、化17または
化18で表される化合物が好ましい。まず化17につい
て説明すると、化17において、A1 〜A4 は、それぞ
れNの結合位置に対してパラ位(4位)またはメタ位
(3位)に結合するフェニル基を表し、これらは同一で
も異なるものであってもよい。これらのフェニル基はさ
らに置換基を有していてもよく、この場合の置換基とし
てはR1 〜R4 で表されるアリール基のところで挙げた
置換基と同様のものを挙げることができる。R7〜R10
はそれぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ア
リールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、
これらは同一でも異なるものであってもよい。これらの
具体例としては化16のR1 〜R4 のところで挙げたも
のと同様のものを挙げることができる。
【0080】r7〜r10はそれぞれ0または1〜4の
整数であり、r7〜r10は0であることが好ましい。
【0081】また、化17において、R5 、R6 、r5
およびr6は化16のものと同義であり、r5=r6=
0であることが好ましい。
【0082】なお、化17において、r7〜r10が各
々2以上の整数であるとき、各R7〜R10同士は同一で
も異なるものであってもよい。
【0083】次に、化18について説明すると、化18
において、ArはNの結合位置のパラ位またはメタ位に
結合するアリール基を表す。アリール基としては、化1
6のR1 〜R4 で表されるアリール基のところで例示し
たものと同様のものを挙げることができ、特にフェニル
基が好ましい。この場合、アリール基はさらに置換され
ていてもよく、このような置換基としてはR1 〜R4
ところで例示したものを挙げることができる。置換基と
してはアミノ基が好ましい。ただし、アミノ基は、場合
によっては環化して複素環基となっていてもよい。具体
的にはR1 〜R 4 で表されるアミノ基のなかから選択す
ることができる。Z1 、Z2 およびZ3は、それぞれア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一
でも異なるものであってもよい。これらの具体例として
は化16のR1 〜R4 のところで挙げたものと同様のも
のを挙げることができる。ただし、Z1 、Z2 およびZ
3 のうちの少なくとも1個はNの結合位置のパラ位また
はメタ位に結合するアリール基を表すが、Ar、Z1
3 のすべてが同時にNの結合位置に対してパラ位また
はメタ位に結合するフェニル基となることはなく、4個
のベンゼン環の2〜3個がパラ位またはメタ位にそれぞ
れ1個のアリール基を有することが好ましい。従って、
1 〜Z2 のうちの1個または2個がこのようなアリー
ル基であることが好ましい。アリール基としては、(1
−,2−)ナフチル基、(1−,2−,9−)アントリ
ル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基等も好
ましいが、フェニル基が最も好ましい。
【0084】また、Z1 〜Z3 で表される上記アリール
基は置換基を有していてもよく、置換基としてはR1
4 のところで例示したものを挙げることができる。特
に、置換基としてはアミノ基が好ましい。具体的には、
1 〜R4 で表されるアミノ基から選択することができ
る。s1〜s3は、それぞれ0または1〜5の整数であ
るが、これらは同時に0になることはなく、その和は1
以上の整数である。s1〜s3は、それぞれ0または1
であることが好ましく、さらにはs1〜s3の1個また
は2個が1であり、残りが0であるような組合せが好ま
しく、この場合s1〜s3が1であるときに含まれるZ
1 〜Z3 は、Nの結合位置に対してパラ位またはメタ位
に結合するアリール基、特にフェニル基であることが好
ましい。
【0085】なお、化18において、s1〜s3が2以
上の整数のとき、各Z1 〜Z3 同士は各々同一でも異な
るものであってもよい。また、化18のR0 およびr0
は化17のR7 およびr7と各々同義であり、化18の
5 、R6 、r5およびr6は化17のものと各々同義
であり、好ましいものも同様である。
【0086】化17の化合物のなかでも、化19〜化2
4で表される化合物が好ましい。化19〜化24の各々
において、R11〜R14は、それぞれアルキル基、アルコ
キシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基また
はハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもので
あってもよい。これらの具体例としてはR1 〜R4 のと
ころで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0087】r11〜r14はそれぞれ0または1〜5
の整数であり、r11〜r14は、化19〜化24のい
ずれにおいても0であることが好ましい。
【0088】なお、r11〜r14が各々2以上の整数
であるとき、各R11〜R14同士は同一でも異なるもので
あってもよい。
【0089】化19〜化24の各々において、R5 〜R
10およびr5〜r10は、それぞれ化17のものと同義
であり、好ましいものも同様である。
【0090】一方、化18の化合物のなかでも化25〜
化30で表される化合物が好ましい。化25〜化30の
各々に示されるAr1 〜Ar6 はそれぞれアリール基を
表し、化25のAr1 とAr2 、化26のAr1 とAr
3 、化27のAr1 とAr2とAr3 、化28のAr4
とAr5 、化29のAr4 とAr6 、化30のAr4
Ar5 とAr6 とは、それぞれ同一でも異なるものであ
ってもよい。アリール基の具体例としては化16のR1
〜R4 のところのものと同様のものを挙げることがで
き、フェニル基が特に好ましい。
【0091】化25〜化30のR15、化25、化27、
化28、化30のR16、化26、化27、化29、化3
0のR20は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリ
ール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原
子を表し、化25、化28のR15とR16、化26、化2
9のR15とR20、化27、化30のR15とR16とR20
はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。これら
の具体例としては化16のR1 〜R4 のところで挙げた
ものと同様のものを挙げることができる。
【0092】化25〜化30のr15、化25、化2
7、化28、化30のr16、化26、化27、化2
9、化30のr20は、0または1〜4の整数である
が、r15、r16、r20は0であることが好まし
い。
【0093】化25、化28のR17、化25〜化30の
18、化26、化29のR19は、それぞれアルキル基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロ
ゲン原子を表し、化25、化28のR17とR18、化2
6、化29のR18とR19とはそれぞれ同一でも異なるも
のであってもよい。これらの具体例としては化16のR
1 〜R4 のところで挙げたものと同様のものを挙げるこ
とができる。
【0094】化25、化28のr17、化25〜化30
のr18、化26、化29のr19は、0または1〜5
の整数であるが、r17、r18、r19は0であるこ
とが好ましい。
【0095】なお、化25〜化30において、r15、
r16、r20が2以上の整数であるとき、R15同士、
16同士、R20同士は各々同一でも異なるものであって
もよく、r17、r18、r19が2以上の整数である
とき、R17同士、R18同士、R19同士は各々同一でも異
なるものであってもよい。
【0096】化25〜化30の各々において、R5 、R
6 、r5およびr6は化16のものと同義であり、r5
=r6=0であることが好ましい。
【0097】以下に、化16の化合物の具体例を示す
が、本発明はこれに限定されるものではない。なお、化
31、化37、化42、化47、化53、化58、化6
4、化70、化78、化84、化90、化95は一般式
であり、化32〜36、化38〜41、化43〜46、
化48〜52、化54〜57、化59〜63、化65〜
69、化71〜77、化79〜83、化85〜89、化
91〜94、化96〜100にR1 等の組合せで具体例
を示している。この表示において、Ar1 〜Ar 6 を除
いて、すべてHのときはHで示しており、置換基が存在
するときは置換基のみを示すものとし、他のものはHで
あることを意味している。
【0098】
【化31】
【0099】
【化32】
【0100】
【化33】
【0101】
【化34】
【0102】
【化35】
【0103】
【化36】
【0104】
【化37】
【0105】
【化38】
【0106】
【化39】
【0107】
【化40】
【0108】
【化41】
【0109】
【化42】
【0110】
【化43】
【0111】
【化44】
【0112】
【化45】
【0113】
【化46】
【0114】
【化47】
【0115】
【化48】
【0116】
【化49】
【0117】
【化50】
【0118】
【化51】
【0119】
【化52】
【0120】
【化53】
【0121】
【化54】
【0122】
【化55】
【0123】
【化56】
【0124】
【化57】
【0125】
【化58】
【0126】
【化59】
【0127】
【化60】
【0128】
【化61】
【0129】
【化62】
【0130】
【化63】
【0131】
【化64】
【0132】
【化65】
【0133】
【化66】
【0134】
【化67】
【0135】
【化68】
【0136】
【化69】
【0137】
【化70】
【0138】
【化71】
【0139】
【化72】
【0140】
【化73】
【0141】
【化74】
【0142】
【化75】
【0143】
【化76】
【0144】
【化77】
【0145】
【化78】
【0146】
【化79】
【0147】
【化80】
【0148】
【化81】
【0149】
【化82】
【0150】
【化83】
【0151】
【化84】
【0152】
【化85】
【0153】
【化86】
【0154】
【化87】
【0155】
【化88】
【0156】
【化89】
【0157】
【化90】
【0158】
【化91】
【0159】
【化92】
【0160】
【化93】
【0161】
【化94】
【0162】
【化95】
【0163】
【化96】
【0164】
【化97】
【0165】
【化98】
【0166】
【化99】
【0167】
【化100】
【0168】
【化101】
【0169】
【化102】
【0170】本発明の化合物は、Jean Piccard, Herr.
Chim. Acta., 7, 789(1924) 、JeanPiccard, J. Am. Ch
em. Soc., 48, 2878(1926) 等に記載の方法に従って、
あるいは準じて合成することができる。具体的には、目
的とする化合物に応じ、ジ(ビフェニル)アミン化合物
とジヨードビフェニル化合物、あるいはN,N’−ジフ
ェニルベンジン化合物とヨードビフェニル化合物、など
の組合せで、銅の存在下で加熱すること(ウルマン反
応)によって得られる。
【0171】本発明の化合物は、質量分析、赤外吸収ス
ペクトル(IR)、 1H核磁気共鳴スペクトル(NM
R)等によって同定することができる。
【0172】これらの本発明の化合物は、640〜20
00程度の分子量をもち、190〜300℃の高融点を
有し、80〜200℃の高ガラス転移温度を示し、通常
の真空蒸着等により透明で室温以上でも安定なアモルフ
ァス状態を形成し、平滑で良好な膜として得られ、しか
もそれが長期間に渡って維持される。なお、本発明の化
合物のなかには融点を示さず、高温においてもアモルフ
ァス状態を呈するものもある。従ってバインダー樹脂を
用いることなく、それ自体で薄膜化することができる。
【0173】本発明の化合物は1種のみを用いても2種
以上を併用してもよい。
【0174】本発明の有機EL素子は、少なくとも1層
の有機化合物層を有し、少なくとも1層の有機化合物層
が本発明の有機EL素子用化合物を含有する。本発明の
有機EL素子の構成例を図1に示す。同図に示される有
機EL素子1は、基板2上に、陽極3、正孔注入輸送層
4、発光層5、電子注入輸送層6、陰極7を順次有す
る。
【0175】発光層は、正孔(ホール)および電子の注
入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により
励起子を生成させる機能を有する。発光層には比較的電
子的にニュートラルな化合物を用いることが好ましい。
正孔注入輸送層は、陽極からの正孔の注入を容易にする
機能、正孔を輸送する機能および電子を妨げる機能を有
し、電子注入輸送層は、陰極からの電子の注入を容易に
する機能、電子を輸送する機能および正孔を妨げる機能
を有するものであり、これらの層は、発光層へ注入され
る正孔や電子を増大・閉じ込めさせ、再結合領域を最適
化させ、発光効率を改善する。正孔注入輸送層および電
子注入輸送層は、発光層に用いる化合物の正孔注入、正
孔輸送、電子注入、電子輸送の各機能の高さを考慮し、
必要に応じて設けられる。例えば、発光層に用いる化合
物の正孔注入輸送機能または電子注入輸送機能が高い場
合には、正孔注入輸送層または電子注入輸送層を設けず
に、発光層が正孔注入輸送層または電子注入輸送層を兼
ねる構成とすることができる。また、場合によっては正
孔注入輸送層および電子注入輸送層のいずれも設けなく
てよい。また、正孔注入輸送層および電子注入輸送層
は、それぞれにおいて、注入機能を持つ層と輸送機能を
持つ層とに別個に設けてもよい。
【0176】発光層の厚さ、正孔注入輸送層の厚さおよ
び電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法に
よっても異なるが、通常、5〜1000nm程度、特に1
0〜200nmとすることが好ましい。
【0177】正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送
層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光層
の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすれば
よい。電子もしくは正孔の、各々の注入層と輸送層を分
ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は20nm以上と
するのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの
上限は、通常、注入層で100nm程度、輸送層で100
0nm程度である。このような膜厚については注入輸送層
を2層設けるときも同じである。
【0178】また、組み合わせる発光層や電子注入輸送
層や正孔注入輸送層のキャリア移動度やキャリア密度
(イオン化ポテンシャル・電子親和力により決まる)を
考慮しながら、膜厚をコントロールすることで、再結合
領域・発光領域を自由に設計することが可能であり、発
光色の設計や、両電極の干渉効果による発光輝度・発光
スペクトルの制御や、発光の空間分布の制御を可能にで
きる。
【0179】本発明の化合物は、発光層、正孔注入輸送
層のいずれにも適用可能であるが、正孔注入輸送性が良
好であるので、正孔注入輸送層に用いることが好まし
い。
【0180】本発明の化合物を正孔注入輸送層に用いる
場合について説明する。正孔注入輸送層は、本発明の化
合物を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散さ
せてコーティングして形成すればよい。特に蒸着を行え
ば良好なアモルファス膜が得られる。
【0181】また、通常の有機EL素子に用いられてい
る各種有機化合物、例えば、特開昭63−295695
号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−7
92号公報等に記載されている各種有機化合物を正孔注
入輸送層に併用することができる。例えば、本発明の化
合物以外の他の芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、
カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾー
ル誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、
ポリチオフェン等を本発明の化合物と積層したり、混合
したりしてもよい。
【0182】正孔注入輸送層を正孔注入層と正孔輸送層
とに分けて設層する場合は、正孔注入輸送層用の化合物
のなかから好ましい組合せを選択して用いることができ
る。このとき、陽極(ITO等)側からイオン化ポテン
シャルの小さい化合物の層の順に積層することが好まし
い。また陽極表面には薄膜性の良好な化合物を用いるこ
とが好ましい。このような積層順については、正孔注入
輸送層を2層以上設けるときも同様である。このような
積層順とすることによって、駆動電圧が低下し、電流リ
ークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐことが
できる。また、素子化する場合、蒸着を用いているので
1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフリー
とすることができるため、正孔注入層にイオン化ポテン
シャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物を用
いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低下を
防ぐことができる。
【0183】本発明の化合物を主成分とする正孔注入輸
送層に併用する有機化合物としては、ポリチオフェンが
好ましく、薄膜性の良好な正孔注入層もしくは第一正孔
注入輸送層としてポリチオフェンを陽極上に蒸着した後
に、本発明の化合物を正孔輸送層もしくは第二正孔注入
輸送層として積層することはイオン化ポテンシャルの点
からさらに好ましい。
【0184】本発明に用いることが好ましいポリチオフ
ェンとしては、化103で示される構造単位を有する重
合体(以下、「重合体A」ともいう。)、化103で示
される構造単位と化104で示される構造単位とを有す
る共重合体(以下、「共重合体B」ともいう。)および
化105で示される重合体(以下、「重合体C」)から
選択されるものが挙げられる。
【0185】
【化103】
【0186】
【化104】
【0187】
【化105】
【0188】まず、重合体Aについて説明する。重合体
Aは化103の構造単位を有し、例えば化106で示さ
れるものである。
【0189】
【化106】
【0190】化103、化106について記すと、R31
およびR32はそれぞれ水素原子、芳香族炭化水素基また
は脂肪族炭化水素基を表し、これらは同一でも異なるも
のであってもよい。
【0191】R31およびR32で表される芳香族炭化水素
基としては、無置換であっても置換基を有するものであ
ってよく、炭素数6〜15のものが好ましい。置換基を
有するときの置換基としてはアルキル基、アルコキシ
基、アミノ基、シアノ基等が挙げられる。芳香族炭化水
素基の具体例としては、フェニル基、トリル基、メトキ
シフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げら
れる。
【0192】R31およびR32で表される脂肪族炭化水素
基としては、アルキル基、シクロアルキル基等が挙げら
れ、これらのものは無置換でも、置換基を有するもので
あってもよい。なかでも、炭素数1〜6のものが好まし
く、具体的には、メチル基、エチル基、i−プロピル
基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0193】R31、R32としては、水素原子、芳香族炭
化水素基が好ましく、特には水素原子が好ましい。
【0194】層中における重合体Aの平均重合度(化1
06のm)は4〜100、好ましくは5〜40、さらに
好ましくは5〜20である。この場合、化103で示さ
れる繰り返し単位が全く同一の重合体(ホモポリマー)
であっても、化103においてR31とR32の組合せが異
なる構造単位から構成される共重合体(コポリマー)で
あってもよい。共重合体としては、ランダム共重合体、
交互共重合体、ブロック共重合体等のいずれであっても
よい。
【0195】また、層中における重合体Aの重量平均分
子量は300〜10000程度である。
【0196】重合体Aの末端基(化106のX1 および
2 )は、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン
原子である。この末端基は、一般に、重合体Aの合成の
際の出発原料に依存して導入される。さらには重合反応
の最終段階で他の置換基を導入することもできる。
【0197】なお、重合体Aは化103の構造単位のみ
で構成されることが好ましいが、10モル%以下であれ
ば他のモノマー成分を含有していてもよい。
【0198】重合体Aの具体例を化107に示す。化1
07には化103ないし化106のR31、R32の組合せ
で示している。
【0199】
【化107】
【0200】次に、共重合体Bについて説明する。共重
合体Bは化103の構造単位と化104の構造単位とを
有し、例えば化108で示されるものである。
【0201】
【化108】
【0202】化103については重合体Aのものと同様
である。従って、化108中のR31、R32は化103の
ものと同様である。
【0203】また化104について記すと、R33および
34は、それぞれ水素原子、芳香族炭化水素基または脂
肪族炭化水素基を表し、これらは同一でも異なるもので
あってもよい。
【0204】R33、R34で表される芳香族炭化水素基、
脂肪族炭化水素基の具体例は、化103のR31、R32
ところで挙げたものと同様のものを挙げることができ
る。また、R33、R34の好ましいものもR31、R32と同
様である。さらに、R33とR34とは互いに結合して環を
形成し、チオフェン環に縮合してもよい。この場合の縮
合環としては、ベンゼン環等が挙げられる。このR33
34については、化108においても同様である。
【0205】層中における共重合体Bの平均重合度(化
108におけるv+w)は、重合体Aと同様に、4〜1
00、好ましくは5〜40、さらに好ましくは5〜20
である。また、化103の構造単位と化104の構造単
位との比率は、化103の構造単位/化104の構造単
位が、モル比で10/1〜1/10程度である。
【0206】層中における共重合体Bの重量平均分子量
は300〜10000程度である。
【0207】また、共重合体Bの末端基(化108にお
けるX1 およびX2 )は重合体Aと同様のものであり、
一般に、共重合体Bの合成の際の出発原料ないしその比
率に依存する。
【0208】なお、共重合体Bは、重合体Aと同様に、
化103の構造単位と化104の構造単位とで構成され
ることが好ましいが、10モル%以下であれば他のモノ
マー成分を含有していてもよい。また、共重合体Bは、
ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等
のいずれであってもよく、化108の構造式はこのよう
な構造を包含するものである。さらに、化103、化1
04の構造単位同士は、それぞれ同一であっても異なる
ものであってもよい。
【0209】共重合体Bの具体例を化109に示す。化
109には化103のR31、R32の組合せ、化104の
33、R34の組合せ、すなわち化108のR31、R32
33、R34の組合せで示している。
【0210】
【化109】
【0211】さらに、化105の重合体Cについて説明
する。化105について記すと、R33およびR34は化1
04のものと同義であり、好ましいものも同様である。
【0212】X1 およびX2 は、それぞれ同一でも異な
るものであってもよく、重合体A、共重合体Bの末端基
と同様に、水素原子または塩素、臭素、ヨウ素等のハロ
ゲン原子である。X1 およびX2 は重合体Cの合成の際
の出発原料に依存する。
【0213】nは平均重合度を表し、層中では重合体
A、共重合体Bと同様に4〜100、好ましくは5〜4
0、さらに好ましくは5〜20である。この場合、R33
とR34の組合せが同一の重合体(ホモポリマー)であっ
ても、R33とR34の組合せが異なる共重合体(コポリマ
ー)であってもよい。共重合体としては、ランダム共重
合体、交互共重合体、ブロック共重合体等のいずれであ
ってもよい。
【0214】また、層中における重合体Cの重量平均分
子量は300〜10000程度である。
【0215】なお、重合体Cは化105に示すような構
造であることが好ましいが、重合体A、共重合体Bと同
様に、10モル%以下であれば他のモノマー成分を含有
していてもよい。
【0216】重合体Cの具体例を化110、化111に
示す。化110は化105と同じであり、化111には
化110のR33、R34の組合せで示している。
【0217】
【化110】
【0218】
【化111】
【0219】本発明では、ポリチオフェンとして、上記
重合体のうち重合体Cを用いることが特に好ましい。
【0220】ポリチオフェンは1種のみを用いても2種
以上を併用してもよい。
【0221】本発明に用いるポリチオフェンの融点は3
00℃以上、または融点を持たないものであり、真空蒸
着によりアモルファス状態あるいは微結晶状態の良質な
膜が得られる。
【0222】上記のように、本発明の化合物を正孔注入
輸送層に用いる場合、発光層中には発光機能を有する化
合物である蛍光性物質が含まれる。この蛍光性物質とし
ては、例えば、特開昭63−264692号公報に開示
されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレ
ン、スチリル系色素等の化合物から選択される少なくと
も1種が挙げられる。その他トリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等の金属錯体色素、テトラフェニルブ
タジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−
フタロペリノン誘導体等が挙げられる。これらの有機蛍
光体を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散さ
せてコーティングすることにより、発光層を所定の厚さ
に形成する。
【0223】電子注入輸送層には、トリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウム等の有機金属錯体、オキサジアゾ
ール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミ
ジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジ
フェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等
を用いることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ね
たものであってもよく、このような場合はトリス(8−
キノリノラト)アルミニウム等を使用することも好まし
い。電子注入輸送層の形成も正孔注入輸送層や発光層と
同様に蒸着等によればよい。
【0224】電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層
とに分けて設層する場合は、電子注入輸送層用の化合物
のなかから好ましい組合せを選択して用いることができ
る。このとき、陰極側から電子親和力の値の大きい化合
物の層の順に積層することが好ましい。このような積層
順については電子注入輸送層を2層以上設けるときも同
様である。
【0225】また、有機化合物層には、一重項酸素クエ
ンチャーが含有されていてもよい。
【0226】このようなクエンチャーとしては、ルブレ
ンやニッケル錯体、ジフェニルイソベンゾフラン、三級
アミン等が挙げられる。中でもルブレンは特に好まし
い。このようなクエンチャーの含有量は、本発明の化合
物と併用する場合、本発明の化合物の10モル%以下と
することが好ましい。
【0227】本発明では、ルブレンを有機化合物層にド
ープすることが好ましい。
【0228】ドープは有機化合物層全域に行ってよく、
好ましくは、正孔注入輸送層全域とするのがよい。特に
キャリア再結合領域、発光領域およびその近傍、例えば
正孔注入輸送層の有機化合物層との接触界面にルブレン
が存在することが好ましいと考えられるので必ずしも正
孔注入輸送層全域とする必要はなく、正孔注入輸送層
の、これに接する発光層(電子注入輸送層を兼ねる場合
も含む。)、もしくは電子注入輸送層(正孔注入輸送層
が発光層を兼ねる場合)側の半分の領域としてもよい
が、通常は正孔注入輸送層全域とする。また、場合によ
っては、正孔注入輸送層全域または正孔注入輸送層の、
これに接する発光層もしくは電子注入輸送層側の半分の
領域と、発光層もしくは電子注入輸送層の正孔注入輸送
層側半分の領域とすることもできる。特に、正孔注入輸
送層において、本発明の化合物とルブレンとの併用は好
ましい。
【0229】ルブレンのドーピング濃度は、ルブレンが
濃度消光を起こすことから高濃度の使用は好ましくな
く、ドープ層全体に対し0.1〜50wt% とすることが
好ましく、さらには0.1〜30wt% 、特には0.1〜
20wt% とすることが好ましい。
【0230】本発明では、ルブレンのほか、他の蛍光性
物質をドープしてもよい。
【0231】また、本発明では、本発明の化合物を含有
する層と他の機能を有する化合物を含有する層との間に
両方の化合物の混合物を含有する混合層を特に発光層と
して設けることが好ましい。さらには、発光強度を高め
るために、その混合層に発光機能を有する化合物(蛍光
性物質)をドープしてもよい。
【0232】特に、本発明の化合物が正孔注入輸送機能
を有する化合物であることから、電子注入輸送機能を有
する化合物(発光機能を併せもつ化合物も含む。)との
混合物を含有する層を発光層として設けることが好まし
い。この混合に供する電子注入輸送機能を有する化合物
は、前記の電子注入輸送用の化合物の中から選択して用
いることができる。具体的には、トリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム等を用いることが好ましい。
【0233】さらに、混合層において、正孔および電子
注入輸送機能を有する化合物は各々1種のみを用いても
2種以上併用してもよく、正孔注入輸送機能を有する化
合物としては、本発明の化合物の他に前記の正孔注入輸
送用の化合物から選択して用いることができる。
【0234】なかでも、特に、ポリチオフェンを用いた
正孔注入輸送層上に本発明の化合物を用いた正孔注入輸
送層を積層し、この正孔注入輸送層と電子注入輸送層と
の間に両者の混合層を発光層として介在させることが好
ましい。
【0235】この場合の混合比は、キャリア移動度によ
るが、本発明の化合物が混合層全体に対し30〜70wt
% 、さらには40〜60wt% 、特には50wt% 程度(従
って、通常本発明の化合物/電子注入輸送機能を有する
化合物の重量比が、30/70〜70/30、さらには
40/60〜60/40、特には50/50程度)とな
るようにすることが好ましい。
【0236】また、混合層の厚さは、分子層一層に相当
する厚みから、有機化合物層の膜厚未満とすることが好
ましく、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、
さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすることが好
ましい。
【0237】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。
【0238】なお、混合層は、発光層以外の有機化合物
層にも用いることができる。ただし、素子中に存在する
有機化合物層の一部とすることが好ましく、有機化合物
層をすべて混合層とすると高輝度な均一発光が得られに
くくなることもある。
【0239】本発明の化合物は好ましくは正孔注入輸送
層に用いられるが、この正孔注入輸送層に接して設けら
れる発光層(電子注入輸送層を兼ねる場合も含む。)と
のイオン化ポテンシャルIpの差が0.25eV以上であ
ることが好ましく、特に0.25〜0.40eVであるこ
とが好ましい。
【0240】上記のイオン化ポテンシャルIpの差は、
本発明の化合物を含む層が正孔注入輸送機能を有する層
であって、かつ発光層としても機能する層であるとき、
この層に接する層は電子注入輸送層であるので、この層
との差とする。
【0241】なお、本発明の化合物のイオン化ポテンシ
ャルIpの絶対値は5.0〜5.4eV程度である。
【0242】上記のイオン化ポテンシャルIpは、白
橋、磯部、宇田、電子材料、123(1985)の記載
に従う低エネルギー電子分光装置「Model AC−
1」(理研計器製)を用い、10〜200nm厚の単層の
蒸着膜をITO透明電極を有する基板やスライドガラス
などの上に成膜したサンプルを使用して測定した値であ
る。
【0243】上記の低エネルギー電子分光装置は、図2
に示す構成のものである。
【0244】図2に示すように、分光装置10は、紫外
線ランプ11、モノクロメータ12、検出器13、低エ
ネルギー電子計数装置14、制御装置15、演算表示装
置16およびX−Yステージ17により構成され、X−
Yステージ上にサンプルSを載置して測定を行うもので
ある。
【0245】紫外線ランプ11には重水素ランプを用
い、このランプから出た光をモノクロメータ12により
200〜360nmの任意の波長に分光し、サンプルS表
面に照射する。200〜360nmの光は、E=hν=h
(c/λ)(E:エネルギー,h:プランク定数,ν:
振動数,λ:波長)の式を用いてエネルギーに換算する
と、各々6.2〜3.4eVとなる。この光を励起エネル
ギーの低い方から高い方に向かってスイープしていく
と、あるエネルギーで光電効果による電子放出が始ま
る。このエネルギーが一般に光電的仕事関数といわれる
値である。このようにして放出された光電子を検出器1
3および低エネルギー電子計数装置14を用いて計数
し、バッグランド補正やデッドタイム中の数え落としの
補正などの演算をした後、図3に示すような励起エネル
ギー・放出電子量特性(基本特性)を演算表示装置16
のディスプレイ上に表示する。
【0246】基本特性に示すように、この光電子放出率
(Count Per Second : CPS)と励起エネルギー(eV)の関係
は、縦軸を光電子放出率のn乗(CPS)n とし、横軸
を励起エネルギーとすると、直線関係で表すことができ
る。ここで、nの値は通常1/2を採用している。
【0247】なお制御装置15は、モノクロメータ12
の波長駆動、X−Yステージ17によるサンプル位置の
制御および低エネルギー電子係数装置14の計数制御を
行っている。
【0248】従って、本発明では、図3から得られる光
電的仕事関数をイオン化ポテンシャルIpとする。
【0249】なお、本発明の化合物を含む層に、さらに
他の化合物が含有されているときであって、本発明の化
合物を主成分(通常50wt% 以上の含有量)とするとき
は、本発明の化合物の単層膜から得られたイオン化ポテ
ンシャルIpの値をこの層のイオン化ポテンシャルIp
とみなすものとする。また、本発明の化合物を含む層と
比較される層に2種以上の化合物が含有されるときも、
主成分(通常50wt%以上の含有量)となる化合物の単
層膜から得られたイオン化ポテンシャルIpの値をこの
層のイオン化ポテンシャルIpとみなすものとする。
【0250】イオン化ポテンシャルIpの絶対値は、本
発明の化合物の単層膜の方が、比較対照される化合物の
単層膜より小さいものとなる。
【0251】なお、混合層を介在させた構成では、この
ようなイオン化ポテンシャルの概念は適用しないものと
する。
【0252】陰極には、仕事関数の小さい材料、例え
ば、Li、Na、Mg、Al、Ag、Inあるいはこれ
らの1種以上を含む合金を用いることが好ましい。ま
た、陰極は結晶粒が細かいことが好ましく、特に、アモ
ルファス状態であることが好ましい。陰極の厚さは10
〜1000nm程度とすることが好ましい。
【0253】有機EL素子を面発光させるためには、少
なくとも一方の電極が透明ないし半透明である必要があ
り、上記したように陰極の材料には制限があるので、好
ましくは発光光の透過率が80%以上となるように陽極
の材料および厚さを決定することが好ましい。具体的に
は、例えば、ITO、SnO2 、Ni、Au、Pt、P
d、ドーパントをドープしたポリピロールなどを陽極に
用いることが好ましい。また、陽極の厚さは10〜50
0nm程度とすることが好ましい。また、素子の信頼性を
向上させるために駆動電圧が低いことが必要であるが、
好ましいものとして10〜30Ω/□のITOが挙げら
れる。
【0254】基板材料に特に制限はないが、図示例では
基板側から発光光を取り出すため、ガラスや樹脂等の透
明ないし半透明材料を用いる。また、基板に色フィルタ
ー膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射
膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
【0255】なお、基板に不透明な材料を用いる場合に
は、図1に示される積層順序を逆にしてもよい。
【0256】次に、本発明の有機EL素子の製造方法を
説明する。
【0257】陰極および陽極は、蒸着法やスパッタ法等
の気相成長法により形成することが好ましい。
【0258】正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸
送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空
蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場
合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm 以下
(通常、下限値は0.001μm 程度である。)の均質
な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μm を超えている
と、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなけ
ればならなくなり、電荷の注入効率も著しく低下する。
【0259】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-3Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.1〜1nm/se
c 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続して
各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形成
すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げるた
め、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低くす
ることができる。
【0260】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましいが、予め混合してから蒸着してもよい。
またこの他、溶液塗布法(スピンコート、ディップ、キ
ャスト等)ラングミュア・ブロジェット(LB)法など
を用いることもできる。溶液塗布法では、ポリマー等の
マトリクス物質中に本発明の化合物を分散させる構成と
してもよい。
【0261】本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動
型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパル
ス駆動することもできる。印加電圧は、通常、2〜20
V 程度とされる。
【0262】なお、本発明の化合物は、ドナー性を有す
る有機半導体材料として有機EL素子以外の光電変換素
子、例えば、光電池や光センサへの応用が可能である。
さらには、アモルファス状態と結晶間の転移を利用した
サーモクロミック材料としても有用である。
【0263】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を比較例ととも
に示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0264】<実施例1> N,N,N’,N’−テトラ(3−ビフェニリル)ベン
ジジン(化合物No. I−1)の合成 2000mlの常圧水添装置にm−ニトロビフェニル25
0g の(1.26mol)、5%Pd−C12.5g 、エ
タノール1250mlを仕込み、室温にて理論量の水素ガ
スを吸収させた。濾過して触媒を除去し、濾液を溶媒留
去して、212g のm−アミノビフェニルを得た(収率
99.9%)。さらに、m−ニトロビフェニルを254
g (1.28mol )とした以外は同スケールにてもう1
バッチ反応させて、215g のm−アミノビフェニルを
得た(収率99.7%)。
【0265】10000mlの反応容器に、濃塩酸775
ml、水775ml、氷775g を仕込み、m−アミノビフ
ェニル125g (0.740mol )を加えて懸濁させ
た。これに0℃以下で亜硝酸ナトリウム56.3g
(0.816mol )の750ml水溶液を30分間滴下
し、その後50分間同温にて攪拌した。得られたジアゾ
ニウム塩水溶液に、0℃以下でヨウ化カリウム185g
(1.12mol )の1250ml水溶液を1時間滴下し
た。滴下後1時間同温で攪拌し、室温に戻して2時間攪
拌した。
【0266】反応溶液を酢酸エチル抽出し、有機層を水
洗、乾燥(硫酸マグネシウム)、溶媒留去し、粗結晶を
得た。同スケールにてさらに1バッチ反応させ、得られ
た粗結晶を合わせてn−ヘキサンにてシリカゲルカラム
精製し、297g のm−ヨードビフェニルを得た(2バ
ッチ合わせての収率71.7%)。
【0267】2000mlの反応容器にm−アミノビフェ
ニル140g (0.828mol )、m−ヨードビフェニ
ル232g (0.829mol )、炭酸カリウム63.1
g (0.457mol )、銅粉13.9g 、ニトロベンゼ
ン800mlを仕込み、Ar気流下で32時間加熱還流さ
せた。反応終了後、濾過して不溶物を除き、濾液を溶媒
留去した。得られた残渣をn−ヘキサン/トルエン=4
/1にてシリカゲルカラム精製し、44.5g のジ(3
−ビフェニル)アミン(高純度品)を得た(収率16.
7%)。
【0268】500mlの反応容器にジ(3−ビフェニ
ル)アミン44.5g (0.139mol )、4,4’−
ジヨードビフェニル27.6g (0.0680mol )、
炭酸カリウム34.3g (0.249mol )、銅粉2.
3g 、ニトロベンゼン180mlを仕込み、Ar気流下で
24時間加熱還流させた。反応終了後、濾過して不溶物
を除き、濾液を溶媒留去した。得られた残渣をn−ヘキ
サン/トルエン=3/1にてシリカゲルカラム精製し、
30g の一次精製N,N,N’,N’−テトラ(3−ビ
フェニリル)ベンジジンを得た(収率55.7%)。こ
れをトルエンにて再結晶精製し、純度99.58%品
6.0g と純度99.23%品5.0g を得た(収率2
0.4%)。さらに、昇華精製を行い、純度99.99
%品8.0gを得た。
【0269】質量分析:m/e 792(M+ ) 赤外吸収スペクトル(IR):図4 NMRスペクトル:図5 示差走査熱量測定(DSC):融点 207.4℃,ガ
ラス転移温度 95.8℃
【0270】<実施例2> N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)ベン
ジジン(化合物No. II−1)の合成 4−アミノビフェニル72.5g の(0.429mol
)、4−ヨードビフェニル120g (0.429mol
)、炭酸カリウム32.6g (0.236mol )、銅
6.8g (0.107mol )、ニトロベンゼン430ml
を仕込み、210℃で一晩反応させた。反応後放冷し、
減圧濾過にて銅塩類を除き、クロロホルムで洗浄後、濾
液の溶媒を減圧留去した。残渣にメタノールを500ml
加え冷却し、析出結晶を濾取した。得られた結晶49g
をジメチルホルムアミド(DMF)250mlに加熱溶解
し、水冷すると副生成物のトリビフェニルアミンが析出
してくるため、濾取して除き、濾液を水1000mlに投
入して析出した結晶を濾取、水洗、メタノール洗浄し
た。
【0271】得られた水分を含んだ結晶35g をトルエ
ン750mlで再結晶して、黄緑色リン片状晶のジ(4−
ビフェニル)アミンを得た。母液は濃縮して二次晶を採
取した。収量は19g であった(収率13.8%)。
【0272】ジ(4−ビフェニル)アミン15g (0.
0467mol )、4,4’−ジヨードビフェニル9.5
g (0.0234mol )、炭酸カリウム9.7g (0.
0702mol )、銅0.74g (0.0117mol )、
ニトロベンゼン76mlを仕込み、220℃で2昼夜反応
させた。反応後DMFを750ml加え、熱時濾過して銅
塩類を除き、濾液を冷却し、析出結晶を濾取した。得ら
れた水を含んだ結晶25g を100倍量のトルエンで3
回再結晶を繰り返して、目的物である淡黄色晶のN,
N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)ベンジジ
ンを得た(収量9g 、収率48.6%)。さらに、昇華
精製を行い、純度99.99%品を得た。
【0273】質量分析:m/e 792(M+ ) 赤外吸収スペクトル(IR):図6 NMRスペクトル:図7 示差走査熱量測定(DSC):融点 267.7℃,ガ
ラス転移温度 131.8℃
【0274】<実施例3> N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−ビフェニリ
ル)ベンジジン(化合物No. VII −1)の合成 10000mlの反応容器に、濃塩酸155ml、水155
g 、氷155g を仕込み、m−アミノビフェニル25g
(0.148mol )を加えて懸濁させた。これに0℃以
下で亜硝酸ナトリウム11.3g (0.164mol )の
150ml水溶液を30分間滴下し、その後50分間同温
にて攪拌した。得られたジアゾニウム塩水溶液に、0℃
以下でヨウ化カリウム37g (0.223mol )の25
0ml水溶液を1時間滴下した。滴下後1時間同温で攪拌
し、室温に戻して2時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチ
ル抽出し、有機層を水洗、乾燥(硫酸マグネシウム)、
溶媒留去し、粗結晶を得た。
【0275】これをn−ヘキサンにてシリカゲルカラム
精製し、28g のm−ヨードビフェニルを得た。
【0276】300mlの反応容器にN,N’−ジフェニ
ルベンジジン10g (0.0298mol )、m−ヨード
ビフェニル25g (0.0893mol )、炭酸カリウム
12.3g (0.0891mol )、銅粉2.6g 、ニト
ロベンゼン150mlを仕込み、Ar気流下で24時間加
熱還流させた。反応終了後、濾過して不溶物を除き、濾
液を溶媒留去した。得られた残渣をn−ヘキサン/酢酸
エチル=5/1にてシリカゲルカラム精製し、15g の
一次精製N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−ビ
フェニリル)ベンジジンを得た(収率78.8%)。こ
れをトルエンにて再結晶精製し、10.6g の純度9
9.9%品を得た(収率55.6%)。さらに昇華精製
を行い、純度99.99%品を得た。
【0277】質量分析:m/e 640(M+ ) 赤外吸収スペクトル(IR):図8 NMRスペクトル:図9 示差走査熱量測定(DSC):融点 189.8℃,ガ
ラス転移温度 83.6℃
【0278】<実施例4> N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[−4’−(N
−フェニル−N−3−メチルフェニルアミノ)ビフェニ
ル−4−イル]ベンジジン(化合物No. X−10)の合
成 500mlの反応容器にN,N’−ジフェニルベンジジン
33.6g (0.10mol )、m−ヨードトルエン2
5.0g (0.11mol )、炭酸カリウム27.6g
(0.2mol )、銅粉2.6g 、ニトロベンゼン200
mlを仕込み、Ar気流下で24時間加熱還流させた。反
応終了後、濾過して不溶物を除き、濾液を溶媒留去し
た。得られた残渣をn−ヘキサン/トルエン=1/2に
てシリカゲルカラム精製を2回行い、28.10g の
N,N’−ジフェニル−N[−4−(N−フェニル−N
−3−メチルフェニルアミノ)ビフェニル−4−イル]
ベンジジンを得た(収率42%)。
【0279】500mlの反応容器に4,4’−ジヨード
ビフェニル8.1g (0.02mol)、N,N’−ジフ
ェニル−N[−4−(N−フェニル−N−3−メチルフ
ェニルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン2
8.1g(0.02mol )、炭酸カリウム11.04g
(0.08mol )、銅粉1.0g 、ニトロベンゼン10
0mlを仕込み、Ar気流下で24時間加熱還流させた。
反応終了後、濾過して不溶物を除き、濾液を溶媒留去し
た。得られた残渣をn−ヘキサン/トルエン=2/1に
てシリカゲルカラム精製を2回行い、11.62g の高
純度のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[−4’
−(N−フェニル−N−3−メチルフェニルアミノ)ビ
フェニル−4−イル]ベンジジンを得た(収率58
%)。これをヘキサンとトルエンとの混合溶媒にて再結
晶精製し、7.3gの純度99.9%の淡黄色の透明の
アモルファス状態の固体を得た。
【0280】質量分析:m/e 1002(M+ ) 赤外吸収スペクトル(IR):図10 NMRスペクトル:図11 示差走査熱量測定(DSC):融点は観測されなかった
(初期の状態からアモルファスであった)。 ガラス転移温度 132℃
【0281】<実施例5> N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[−4’−
(N,N−ジ−3−ビフェニリルアミノ)ビフェニル−
4−イル]ベンジジン(化合物No. X−3)の合成 300mlの反応容器にジ(3−ビフェニリル)アミン1
6.1g (0.050mol )、4,4’−ジヨードビフ
ェニル20.3g (0.050mol )、炭酸カリウム1
3.8g (0.10mol )、銅粉1.0g 、ニトロベン
ゼン100mlを仕込み、Ar気流下で24時間加熱還流
させた。反応終了後、濾過して不溶物を除き、濾液を溶
媒留去した。得られた残渣をn−ヘキサン/トルエン=
5/1にてシリカゲルカラム精製し、12.0gの4’
−[N,N’−ジ(3−ビフェニリルアミノ)]−4−
ヨード−1,1’−ビフェニルを得た(収率40%)。
【0282】300mlの反応容器に4’−[N,N’−
ジ(3−ビフェニリル)アミノ]−4−ヨード−1,
1’−ビフェニル12.0g (0.020mol )、N,
N’−ジフェニルベンジジン3.03g(0.009mo
l )、炭酸カリウム5.52g(0.04mol )、銅粉
0.5g 、ニトロベンゼン100mlを仕込み、Ar気流
下で24時間加熱還流させた。反応終了後、濾過して不
溶物を除き、濾液を溶媒留去した。得られた残渣をトル
エン/n−ヘキサン=2/1にてシリカゲルカラム精製
を2回行い、6.90g のN,N’−ジフェニル−N,
N’−ビス[−4’−(N,N−ジ−3−ビフェニリル
アミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジンを得た(収
率60%)。これをトルエンにて再結晶精製し、5.2
gの純度99.9%の淡黄色の透明のアモルファス状態
の固体を得た。この化合物についても、実施例4と同様
に、質量分析、IR、NMRによって同定した。
【0283】なお、化31〜化102に示される他の化
合物も上記の方法に準じて合成し、質量分析、IR、N
MRによって同定した。
【0284】<実施例6>厚さ200nmのITO透明電
極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮
沸エタノール中から引き上げて乾燥してUV/O3 洗浄
した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10
-4Pa以下まで減圧した。
【0285】次いで、実施例1の化合物を蒸着速度0.
2nm/secで55nmの厚さに蒸着し、透明なアモルファス
状態の薄膜を得た。これを大気中より過酷な条件である
30℃−100%RHおよび60℃−90%RHの恒温
槽に10カ月間以上放置しても結晶化は起こらず、安定
なアモルファス状態を維持しており、高い薄膜形成能お
よび放置安定性を示した。また、同様にして作製した膜
について、低エネルギー電子分光装置AC−1(理研計
器製)でイオン化ポテンシャルIpを測定したところ、
5.35eVであった。
【0286】<実施例7>実施例2および実施例3の化
合物についても、実施例6と同様に実験したところ実施
例6と同様、10カ月間以上放置しても結晶化は起こら
なかった。また蒸着膜のIpは、それぞれ5.36eVお
よび5.38eVであった。
【0287】<実施例8>実施例4および実施例5の化
合物について実施例6と同様に実験したところ実施例6
と同様、10カ月間以上放置しても結晶化は起こらなか
った。また蒸着膜のIpは、それぞれ5.32eVおよ
び5.28eVであった。
【0288】<比較例1>実施例1の化合物の代わり
に、化合物N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3
−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノ−1,1’−
ビフェニル(融点:171.2℃、ガラス転移温度:6
1.3℃)、あるいは、化合物1,1’−ビス(4−
ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン(融
点:187.8℃、ガラス転移温度:79.9℃)を用
いた以外は、実施例6と同様な方法にて薄膜を作製し、
30℃−100%RHの恒温槽に放置した。実施例6〜
8よりも、温度的に緩やかな環境条件に放置したにもか
かわらず、化合物は3日目に、化合物は30日目に
は結晶化が始まった。
【0289】また、実施例6と同様に化合物と化合物
についてIpを測定したところ化合物、ともに
5.40eVであった。
【0290】<実施例9>厚さ200nmのITO透明電
極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮
沸エタノール中から引き上げて乾燥してUV/O3 洗浄
した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10
-4Pa以下まで減圧した。
【0291】まず、実施例1の化合物を蒸着速度0.2
nm/secで75nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とし
た。
【0292】次いで、減圧状態を保ったまま、トリス
(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm
/secで50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送・発光層
とした。
【0293】さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg
(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nm
の厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
【0294】このEL素子に直流電圧を印加し、乾燥雰
囲気下10mA/cm2の一定電流密度で連続駆動させた。初
期には、6.5V 、400cd/m2 の黄緑色(発光極大波
長λmax =500nm)の発光が確認された。輝度の半減
時間は600時間で、その間の駆動電圧の上昇は4.0
V であった、また、発光層としたトリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウムの蒸着膜のIpは5.64eVであ
り、正孔注入輸送層とした実施例1の化合物との差は、
0.29eVであった。
【0295】<実施例10、11>実施例9において、
実施例1の化合物の代わりに実施例2の化合物または実
施例3の化合物を用いて同様にEL素子を得、同様に特
性を調べた。
【0296】<比較例2、3>実施例9において、実施
例1の化合物の代わりに比較例1の化合物またはを
用いて同様にEL素子を得、同様に特性を調べた。
【0297】実施例9〜11、比較例2〜3について特
性をまとめて表1に示す。
【0298】
【表1】
【0299】<実施例12、13>実施例9において、
実施例1の化合物の代わりに実施例4または実施例5の
化合物を用いて同様にEL素子を得、同様に特性を調べ
たところ、いずれにおいても実施例9と同等以上の良好
な結果を示した。なお、トリス(8−キノリノラト)ア
ルミニウムとのIpの差は、実施例4の化合物で0.3
2eV、実施例5の化合物で0.36eVであった。
【0300】<実施例14>厚さ200nmのITO透明
電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮
沸エタノール中から引き上げて乾燥してUV/O3 洗浄
した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10
-4Pa以下まで減圧した。
【0301】まず、ポリ(チオフェン−2,5−ジイ
ル)を蒸着速度0.1nm/secで20nmの厚さに蒸着し、
第一正孔注入輸送層とした。
【0302】次いで、減圧状態を保ったまま、実施例1
の化合物を蒸着速度0.2nm/secで55nmの厚さに蒸着
し、第二正孔注入輸送層とした。
【0303】さらに、減圧状態を保ったまま、トリス
(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm
/secで50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送・発光層
とした。
【0304】さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg
(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nm
の厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
【0305】このEL素子に直流電圧を印加し、乾燥雰
囲気下10mA/cm2の一定電流密度で連続駆動させた。初
期には、6.0V 、350cd/m2 の黄緑色(発光極大波
長λmax =500nm)の発光が確認された。輝度の半減
時間は1600時間で、その間の駆動電圧の上昇は2.
3V であった、また、ダークスポットの出現および成長
は全くなかった。
【0306】さらにその後も電流リークは起こらず、安
定な発光を示した。
【0307】これらの結果は、ディスプレイとして応用
するための必要条件を十分に満たしているが、寿命試験
を加速する意味から、さらに高電流密度(40mA/cm2
で連続駆動させた。初期には1400cd/m2 の高輝度を
示し、その半減時間は400時間で、その間の駆動電圧
の上昇は5.0V であった。
【0308】<実施例15、16>実施例14におい
て、実施例1の化合物の代わりに、実施例2の化合物ま
たは実施例3の化合物を用いて同様にEL素子を得、電
流密度10mA/cm2の条件で同様に特性を調べた。
【0309】実施例14〜16について電流密度10mA
/cm2の条件での特性をまとめて表2に示す。
【0310】
【表2】
【0311】<実施例17、18>実施例14におい
て、実施例1の化合物の代わりに、実施例4の化合物ま
たは実施例5の化合物を用いて同様にEL素子を得、電
流密度10mA/cm2の条件で同様に特性を調べたところ、
いずれにおいても実施例14と同等以上の良好な結果を
示した。
【0312】<実施例19>厚さ200nmのITO透明
電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮
沸エタノール中から引き上げて乾燥してUV/O3 洗浄
した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10
-4Pa以下まで減圧した。
【0313】まず、実施例1の化合物とルブレンをそれ
ぞれ0.2nm/sec、0.02nm/secの蒸着速度でトータ
ル75nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
【0314】次いで、減圧状態を保ったまま、トリス
(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm
/secで50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送・発光層
とした。
【0315】さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg
(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nm
の厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
【0316】このEL素子に直流電圧を印加し、乾燥雰
囲気下10mA/cm2の一定電流密度で連続駆動させた。初
期には、6.2V 、550cd/m2 の黄色(発光極大波長
λmax =550nm)の発光が確認された。輝度の半減時
間は1500時間で、その間の駆動電圧の上昇は2.8
V であった。
【0317】<実施例20、21>実施例19におい
て、実施例1の化合物の代わりに、実施例2の化合物ま
たは実施例3の化合物を用いて同様にEL素子を得、同
様に特性を調べた。
【0318】実施例19〜21について特性をまとめて
表3に示す。
【0319】
【表3】
【0320】<実施例22、23>実施例19におい
て、実施例1の化合物の代わりに、実施例4の化合物ま
たは実施例5の化合物を用いて同様にEL素子を得、同
様に特性を調べたところ、実施例19と同等以上の良好
な結果を示した。
【0321】<実施例24>厚さ200nmのITO透明
電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮
沸エタノール中から引き上げて乾燥してUV/O3 洗浄
した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空
槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0322】まず、ポリ(チオフェン−2,5−ジイ
ル)を蒸着速度約0.1nm/secで約20nmの厚さに蒸着
し、第一正孔注入輸送層とした。
【0323】次いで真空槽を大気下に戻し、再び真空槽
を1×10-4Pa以下まで減圧した後、実施例1の化合物
とルブレンをそれぞれ蒸着速度0.1〜0.2nm/sec、
0.01〜0.02nm/secでトータル約55nmの厚さに
共蒸着し、第二正孔注入輸送層とした。
【0324】さらに、減圧状態を保ったまま、トリス
(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.1〜
0.2nm/secで約50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送
・発光層とした。
【0325】さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg
(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで約200
nmの厚さに蒸着して陰極とし、EL素子を得た。
【0326】このEL素子に直流電圧を印加し、乾燥雰
囲気下10mA/cm2の一定電流密度で連続駆動させた。初
期には、6.2V 、420cd/m2 の黄色(発光極大波長
λmax =550nm)の発光が確認された。輝度の半減時
間は2000時間で、その間の駆動電圧の上昇は4.9
V であった。
【0327】これらの結果は、ディスプレイとして応用
するための必要条件を十分に満たしているが、寿命試験
を加速する意味から、さらに高電流密度(40mA/cm2
で連続駆動させた。初期には1490cd/m2 の高輝度を
示し、その半減時間は500時間で、その間の駆動電圧
の上昇は3.5V であった。
【0328】<実施例25>実施例24において、第二
正孔注入輸送層に用いた実施例1の化合物の代わりに実
施例4の化合物を用いるほかは同様にしてEL素子を得
た。このEL素子について実施例24と同様に特性を調
べたところ、実施例24と同等以上の良好な結果を示し
た。
【0329】<実施例26>厚さ200nmのITO透明
電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄し、その基板を煮沸
エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄し
た後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽
を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0330】まず、実施例1の化合物を蒸着速度0.1
〜0.2nm/secで約55nm/secの厚さに蒸着し、正孔注
入輸送層とした。
【0331】さらに、減圧状態を保ったまま、前記正孔
注入輸送材料と電子注入輸送材料としてトリス(8−キ
ノリノラト)アルミニウムをほぼ同じ蒸着速度(0.1
〜0.2nm/sec)で共蒸着して、混合層を発光層として
約40nmの厚さに形成した。
【0332】さらに、減圧状態を保ったまま、前記電子
注入輸送材料を蒸着速度0.1〜0.2nm/secで約30
nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0333】さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg
(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで約200
nmの厚さに蒸着して陰極とし、EL素子を得た。
【0334】このEL素子に直流電圧を印加し、乾燥雰
囲気下10mA/cm2の一定電流密度で連続駆動させた。初
期には、6.7V 、470cd/m2 の黄緑色(発光極大波
長λmax =500nm)の発光が確認された。輝度の半減
時間は2000時間で、その間の駆動電圧の上昇は3.
0V であった。
【0335】<実施例27>実施例26において、正孔
注入輸送層および混合層(発光層)に用いた実施例1の
化合物の代わりに実施例4の化合物を用いるほかは同様
にしてEL素子を得た。このEL素子について実施例2
6と同様に特性を調べたところ、実施例26と同等以上
の良好な結果を示した。
【0336】<実施例28>厚さ200nmのITO透明
電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮
沸エタノール中から引き上げて乾燥してUV/O3 洗浄
した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空
槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0337】まず、ポリ(チオフェン−2,5−ジイ
ル)を蒸着速度約0.1nm/secで20nmの厚さに蒸着
し、第一正孔注入輸送層とした。
【0338】次いで真空槽を大気下に戻し、再び真空槽
を1×10-4Pa以下まで減圧した後、実施例1の化合物
を蒸着速度0.1〜0.2nm/secで約35nmの厚さに蒸
着し、第二正孔注入輸送層とした。
【0339】さらに、減圧状態を保ったまま、前記第二
正孔注入輸送材料と電子注入輸送材料としてトリス(8
−キノリノラト)アルミニウムをほぼ同じ蒸着速度
(0.1〜0.2nm/sec)で共蒸着して、混合層を発光
層として約40nmの厚さに形成した。
【0340】さらに、減圧状態を保ったまま、前記電子
注入輸送材料を蒸着速度0.1〜0.2nm/secで約30
nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0341】さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg
(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで約200
nmの厚さに蒸着して陰極とし、EL素子を得た。
【0342】このEL素子に直流電圧を印加し、乾燥雰
囲気下10mA/cm2の一定電流密度で連続駆動させた。初
期には、6.1V 、350cd/m2 の黄緑色(発光極大波
長λmax =500nm)の発光が確認された。輝度の半減
時間は3000時間で、その間の駆動電圧の上昇は5.
0V であった。
【0343】<実施例29>実施例28において、混合
層の膜厚を10nmとするほかは同様にEL素子を得、同
様に特性を評価した。この結果、初期には6.2V 、3
60cd/m2 の黄緑色(発光極大波長λmax =500nm)
の発光が確認された。輝度の半減時間は2100時間
で、その間の駆動電圧の上昇は3.3V であった。
【0344】<実施例30>実施例28において、第二
正孔注入輸送層および混合層(発光層)に用いた実施例
1の化合物の代わりに実施例4の化合物を用いるほかは
同様にしてEL素子を得た。このEL素子について実施
例28と同様に特性を調べたところ、実施例28と同等
以上の良好な結果を示した。
【0345】なお、上記実施例9〜30において、上記
の本発明の化合物のほか、例示した本発明の化合物の1
種以上を同様に用いて同様に種々のEL素子を得、同様
に特性を評価したところ、素子の構成に応じ同様の結果
を示した。
【0346】
【発明の効果】本発明の化合物は、融点やガラス転移温
度が高く、その蒸着等により成膜される薄膜は、透明で
室温以上でも安定なアモルファス状態を形成し、平滑で
良好な膜質を示す。従ってバインダー樹脂を用いること
なく、それ自体で薄膜化することができる。
【0347】また本発明の有機EL素子は、上記化合物
を含む有機EL素子用化合物を有機化合物層、特に好ま
しくは正孔注入輸送層に用いるため、ムラのない均一な
面発光が可能であり、高輝度が長時間に渡って安定して
得られ、耐久性・信頼性に優れる。
【0348】特に、正孔注入輸送層を2層として、1層
に本発明の化合物を用い、他の1層にポリチオフェンを
用いた本発明の有機EL素子では、駆動電圧やその上昇
を低く抑えることができ、長時間に渡ってダークスポッ
トの発生がなく、かつ安定した発光を保つことができ
る。
【0349】さらには、本発明の有機EL素子はIpの
差が最適化された素子構造を取っているため、初期の輝
度低下が抑制され、発光寿命が延びる。
【0350】また、ルブレンをドープしたものでは初期
の輝度が高くなるとともに発光寿命が延びる。
【0351】さらに、本発明の化合物と電子注入輸送機
能を有する化合物との混合層を発光層としたものでも発
光寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の構成例を示す側面図で
ある。
【図2】低エネルギー電子分光装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【図3】励起エネルギーと電子イールドとの関係を示す
グラフである。
【図4】実施例1の本発明の化合物の赤外吸収スペクト
ルを示す図である。
【図5】実施例1の本発明の化合物のNMRスペクトル
を示す図である。
【図6】実施例2の本発明の化合物の赤外吸収スペクト
ルを示す図である。
【図7】実施例2の本発明の化合物のNMRスペクトル
を示す図である。
【図8】実施例3の本発明の化合物の赤外吸収スペクト
ルを示す図である。
【図9】実施例3の本発明の化合物のNMRスペクトル
を示す図である。
【図10】実施例4の本発明の化合物の赤外吸収スペク
トルを示す図である。
【図11】実施例4の本発明の化合物のNMRスペクト
ルを示す図である。
【符号の説明】
1 EL素子 2 基板 3 陽極 4 正孔注入輸送層 5 発光層 6 電子注入輸送層 7 陰極 10 低エネルギー電子分光装置 11 紫外線ランプ 12 モノクロメータ 13 検出器 14 低エネルギー電子計数装置 15 制御装置 16 演算表示装置 17 X−Yステージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 11/06 Z 9280−4H H01L 51/00 H05B 33/14

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で表されるテトラアリールジア
    ミン誘導体である有機EL素子用化合物。 【化1】 [化1において、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それ
    ぞれアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アリール
    オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、R1
    2 、R3 およびR4 のうちの少なくとも1個はアリー
    ル基である。r1、r2、r3およびr4は、それぞれ
    0または1〜5の整数であり、r1、r2、r3および
    r4の和は1以上の整数であり、少なくとも1個のアリ
    ール基がR1 〜R4 として存在する。R5 およびR6
    は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アミノ基また
    はハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもので
    あってもよい。r5およびr6は、それぞれ0または1
    〜4の整数である。]
  2. 【請求項2】 前記R1 〜R4 のうちの2〜4個がアリ
    ール基であり、これらのアリール基のうちの少なくとも
    2個がNの結合位置に対してパラ位またはメタ位に結合
    している請求項1の有機EL素子用化合物。
  3. 【請求項3】 前記R1 〜R4 のうちの少なくとも1個
    のアリール基がフェニル基である請求項2の有機EL素
    子用化合物。
  4. 【請求項4】 下記化2で表される 請求項1〜3のい
    ずれかの有機EL素子用化合物。 【化2】 [化2において、A1 、A2 、A3 およびA4 は、それ
    ぞれNの結合位置に対してパラ位またはメタ位に結合す
    るフェニル基であり、これらは同一でも異なるものであ
    ってもよい。R7 、R8 、R9 およびR10は、それぞれ
    アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキ
    シ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同
    一でも異なるものであってもよい。r7、r8、r9お
    よびr10はそれぞれ0または1〜4の整数である。R
    5 およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、
    アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも
    異なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞ
    れ0または1〜4の整数である。]
  5. 【請求項5】 前記R1 〜R4 のうちの少なくとも1個
    のアリール基がナフチル基、アントリル基、ピレニル
    基、ペリレニル基またはコロネニル基である請求項2の
    有機EL素子用化合物。
  6. 【請求項6】 下記化3で表される請求項1、2または
    5の有機EL素子用化合物。 【化3】 [化3において、ArはNの結合位置に対してパラ位ま
    たはメタ位に結合するアリール基を表す。Z1 、Z2
    よびZ3 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリ
    ール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原
    子を表し、これらは同一でも異なるものであってもよ
    い。ただし、Z1 、Z2 およびZ3 のうちの少なくとも
    1個はNの結合位置に対してパラ位またはメタ位に結合
    するアリール基を表すが、Ar、Z1 、Z2 およびZ3
    が同時にNの結合位置に対してパラ位またはメタ位に結
    合するフェニル基となることはない。s1、s2および
    s3は、それぞれ0または1〜5の整数であり、s1、
    s2およびs3の和は1以上の整数である。R0 は、ア
    ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
    基、アミノ基またはハロゲン原子を表す。r0は、それ
    ぞれ0または1〜4の整数である。R5 およびR6 は、
    それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基または
    ハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるものであ
    ってもよい。r5およびr6は、それぞれ0または1〜
    4の整数である。]
  7. 【請求項7】 下記化4で表される請求項1〜4のいず
    れかの有機EL素子用化合物。 【化4】 [化4において、R7 、R8 、R9 およびR10は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリール
    オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
    は同一でも異なるものであってもよい。r7、r8、r
    9およびr10は、それぞれ0または1〜4の整数であ
    る。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル
    基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r11、r12、r13およ
    びr14は、それぞれ0または1〜5の整数である。R
    5 およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、
    アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも
    異なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞ
    れ0または1〜4の整数である。]
  8. 【請求項8】 前記r5、r6、r7、r8、r9、r
    10、r11、r12、r13およびr14がそれぞれ
    0である請求項7の有機EL素子用化合物。
  9. 【請求項9】 下記化5で表される請求項1〜4のいず
    れかの有機EL素子用化合物。 【化5】 [化5において、R7 、R8 、R9 およびR10は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリール
    オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
    は同一でも異なるものであってもよい。r7、r8、r
    9およびr10は、それぞれ0または1〜4の整数であ
    る。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル
    基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r11、r12、r13およ
    びr14はそれぞれ0または1〜5の整数である。R5
    およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ
    0または1〜4の整数である。]
  10. 【請求項10】 前記r5、r6、r7、r8、r9、
    r10、r11、r12、r13およびr14がそれぞ
    れ0である請求項9の有機EL素子用化合物。
  11. 【請求項11】 下記化6で表される請求項1〜4のい
    ずれかの有機EL素子用化合物。 【化6】 [化6において、R7 、R8 、R9 およびR10は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリール
    オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
    は同一でも異なるものであってもよい。r7、r8、r
    9およびr10は、それぞれ0または1〜4の整数であ
    る。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル
    基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r11、r12、r13およ
    びr14はそれぞれ0または1〜5の整数である。R5
    およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ
    0または1〜4の整数である。]
  12. 【請求項12】 前記r5、r6、r7、r8、r9、
    r10、r11、r12、r13およびr14がそれぞ
    れ0である請求項11の有機EL素子用化合物。
  13. 【請求項13】 下記化7で表される請求項1〜4のい
    ずれかの有機EL素子用化合物。 【化7】 [化7において、R7 、R8 、R9 およびR10は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリール
    オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
    は同一でも異なるものであってもよい。r7、r8、r
    9およびr10は、それぞれ0または1〜4の整数であ
    る。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル
    基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r11、r12、r13およ
    びr14はそれぞれ0または1〜5の整数である。R5
    およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ
    0または1〜4の整数である。]
  14. 【請求項14】 前記r5、r6、r7、r8、r9、
    r10、r11、r12、r13およびr14がそれぞ
    れ0である請求項13の有機EL素子用化合物。
  15. 【請求項15】 下記化8で表される請求項1〜4のい
    ずれかの有機EL素子用化合物。 【化8】 [化8において、R7 、R8 、R9 およびR10は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリール
    オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
    は同一でも異なるものであってもよい。r7、r8、r
    9およびr10は、それぞれ0または1〜4の整数であ
    る。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル
    基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r11、r12、r13およ
    びr14はそれぞれ0または1〜5の整数である。R5
    およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ
    0または1〜4の整数である。]
  16. 【請求項16】 前記r5、r6、r7、r8、r9、
    r10、r11、r12、r13およびr14がそれぞ
    れ0である請求項15の有機EL素子用化合物。
  17. 【請求項17】 下記化9で表される請求項1〜4のい
    ずれかの有機EL素子用化合物。 【化9】 [化9において、R7 、R8 、R9 およびR10は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリール
    オキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これら
    は同一でも異なるものであってもよい。r7、r8、r
    9およびr10は、それぞれ0または1〜4の整数であ
    る。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル
    基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r11、r12、r13およ
    びr14はそれぞれ0または1〜5の整数である。R5
    およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ
    0または1〜4の整数である。]
  18. 【請求項18】 前記r5、r6、r7、r8、r9、
    r10、r11、r12、r13およびr14がそれぞ
    れ0である請求項17の有機EL素子用化合物。
  19. 【請求項19】 下記化10で表される請求項1、2、
    5または6の有機EL素子用化合物。 【化10】 [化10において、Ar1 およびAr2 は、それぞれア
    リール基を表し、これらは同一でも異なるものであって
    もよい。R15およびR16は、それぞれアルキル基、アル
    コキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基ま
    たはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもの
    であってもよい。r15およびr16は、それぞれ0ま
    たは1〜4の整数である。R17およびR18は、それぞれ
    アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ
    基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なる
    ものであってもよい。r17およびr18は、それぞれ
    0または1〜5の整数である。R5 およびR6 は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲ
    ン原子を表し、これらは同一でも異なるものであっても
    よい。r5およびr6は、それぞれ0または1〜4の整
    数である。]
  20. 【請求項20】 前記r5、r6、r15、r16、r
    17およびr18が、それぞれ0である請求項19の有
    機EL素子用化合物。
  21. 【請求項21】 下記化11で表される請求項1、2、
    5または6の有機EL素子用化合物。 【化11】 [化11において、Ar1 およびAr3 は、それぞれア
    リール基を表し、これらは同一でも異なるものであって
    もよい。R15およびR20は、それぞれアルキル基、アル
    コキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基ま
    たはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもの
    であってもよい。r15およびr20は、それぞれ0ま
    たは1〜4の整数である。R15およびR20は、それぞれ
    アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ
    基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なる
    ものであってもよい。r18およびr19は、それぞれ
    0または1〜5の整数である。R5 およびR6 は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲ
    ン原子を表し、これらは同一でも異なるものであっても
    よい。r5およびr6は、それぞれ0または1〜4の整
    数である。]
  22. 【請求項22】 前記r5、r6、r15、r18、r
    19およびr20が、それぞれ0である請求項21の有
    機EL素子用化合物。
  23. 【請求項23】 下記化12で表される請求項1、2、
    5または6の有機EL素子用化合物。 【化12】 [化12において、Ar1 、Ar2 およびAr3 は、そ
    れぞれアリール基を表し、これらは同一でも異なるもの
    であってもよい。R15、R16およびR20は、それぞれア
    ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
    基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一
    でも異なるものであってもよい。r15、r16および
    r20は、それぞれ0または1〜4の整数である。R18
    は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表す。r18は、0または
    1〜5の整数である。R5 およびR6 は、それぞれアル
    キル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を
    表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r
    5およびr6は、それぞれ0または1〜4の整数であ
    る。]
  24. 【請求項24】 前記r5、r6、r15、r16、r
    18およびr20が、それぞれ0である請求項23の有
    機EL素子用化合物。
  25. 【請求項25】 下記化13で表される請求項1、2、
    5または6の有機EL素子用化合物。 【化13】 [化13において、Ar4 およびAr5 は、それぞれア
    リール基を表し、これらは同一でも異なるものであって
    もよい。R15およびR16は、それぞれアルキル基、アル
    コキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基ま
    たはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもの
    であってもよい。r15およびr16は、それぞれ0ま
    たは1〜4の整数である。R17およびR18は、それぞれ
    アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ
    基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なる
    ものであってもよい。r17およびr18は、それぞれ
    0または1〜5の整数である。R5 およびR6 は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲ
    ン原子を表し、これらは同一でも異なるものであっても
    よい。r5およびr6は、それぞれ0または1〜4の整
    数である。]
  26. 【請求項26】 前記r5、r6、r15、r16、r
    17およびr18が、それぞれ0である請求項25の有
    機EL素子用化合物。
  27. 【請求項27】 下記化14で表される請求項1、2、
    5または6の有機EL素子用化合物。 【化14】 [化14において、Ar4 およびAr6 は、それぞれア
    リール基を表し、これらは同一でも異なるものであって
    もよい。R15およびR20は、それぞれアルキル基、アル
    コキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基ま
    たはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもの
    であってもよい。r15およびr20は、それぞれ0ま
    たは1〜4の整数である。R18およびR19は、それぞれ
    アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ
    基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なる
    ものであってもよい。r18およびr19は、それぞれ
    0または1〜5の整数である。R5 およびR6 は、それ
    ぞれアルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲ
    ン原子を表し、これらは同一でも異なるものであっても
    よい。r5およびr6は、それぞれ0または1〜4の整
    数である。]
  28. 【請求項28】 前記r5、r6、r15、r18、r
    19およびr20が、それぞれ0である請求項27の有
    機EL素子用化合物。
  29. 【請求項29】 下記化15で表される請求項1、2、
    5または6の有機EL素子用化合物。 【化15】 [化15において、Ar4 、Ar5 およびAr6 は、そ
    れぞれアリール基を表し、これらは同一でも異なるもの
    であってもよい。R15、R16およびR20は、それぞれア
    ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
    基、アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一
    でも異なるものであってもよい。r15、r16および
    r20は、それぞれ0または1〜4の整数である。R18
    は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ア
    ミノ基またはハロゲン原子を表す。r18は、0または
    1〜5の整数である。R5 およびR6 は、それぞれアル
    キル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を
    表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r
    5およびr6は、それぞれ0または1〜4の整数であ
    る。]
  30. 【請求項30】 前記r5、r6、r15、r16、r
    18およびr20が、それぞれ0である請求項29の有
    機EL素子用化合物。
  31. 【請求項31】 請求項1〜30のいずれかの有機EL
    素子用化合物の少なくとも1種以上を含有する層を少な
    くとも1層有する有機EL素子。
  32. 【請求項32】 前記有機EL素子用化合物の少なくと
    も1種以上と電子注入輸送機能を有する化合物の少なく
    とも1種以上の混合物とを含有する層を少なくとも1層
    有する請求項31の有機EL素子。
  33. 【請求項33】 前記電子輸送機能を有する化合物が、
    トリス(8−キノリノラト)アルミニウムである請求項
    32の有機EL素子。
  34. 【請求項34】 前記混合物を含有する層が発光層であ
    る請求項32または33の有機EL素子。
  35. 【請求項35】 前記有機EL素子用化合物の少なくと
    も1種以上を含有する層の少なくとも1層に蛍光性物質
    をドープする請求項31〜34のいずれかの有機EL素
    子。
  36. 【請求項36】 前記蛍光性物質がルブレンである請求
    項35の有機EL素子。
  37. 【請求項37】 前記有機EL素子用化合物の少なくと
    も1種以上を含有する層が正孔注入輸送層であり、この
    正孔注入輸送層と発光層とを有する請求項31〜36の
    いずれかの有機EL素子。
  38. 【請求項38】 前記正孔注入輸送層が組成の異なる2
    層以上で構成される請求項37の有機EL素子。
  39. 【請求項39】 前記正孔注入輸送層の少なくとも1層
    がポリチオフェンを含有する請求項38の有機EL素
    子。
  40. 【請求項40】 電子注入輸送層を有する請求項37〜
    39のいずれかの有機EL素子。
  41. 【請求項41】 前記有機EL素子用化合物の少なくと
    も1種以上を含有する層が正孔注入輸送機能を有する層
    であり、この層に接して発光機能を有する層または電子
    注入輸送機能を有する層が設けられており、前記正孔注
    入輸送機能を有する層と前記発光機能を有する層または
    電子注入輸送機能を有する層とのイオン化ポテンシャル
    Ipの差が0.25eV以上である請求項31、35また
    は36の有機EL素子。
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