JPH08280697A - 手術用マニピュレータシステム - Google Patents

手術用マニピュレータシステム

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JPH08280697A
JPH08280697A JP7095083A JP9508395A JPH08280697A JP H08280697 A JPH08280697 A JP H08280697A JP 7095083 A JP7095083 A JP 7095083A JP 9508395 A JP9508395 A JP 9508395A JP H08280697 A JPH08280697 A JP H08280697A
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JP
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manipulator
master
slave
treatment
manipulators
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Application number
JP7095083A
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English (en)
Inventor
Koichi Tatsumi
康一 巽
Yuichi Ikeda
裕一 池田
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、マスターマニピュレータの必要個所
の滅菌が容易で、かつ緊急の滅菌処理も容易な手術用マ
ニピュレータシステムを提供することを目的とする。 【構成】本発明は、術者が操作できる領域内に設定され
たマスターマニピュレータ9と、術野にアクセスするよ
う設定され前記マスターマニピュレータ9の操作に追従
した動きを行うスレーブマニピュレータ5と、前記スレ
ーブマニピュレータ5に保持され体腔内に挿入する処置
具4とを具備する手術用マニピュレータシステムにおい
て、前記マスターマニピュレータ9は、少なくとも術者
が操作するためのハンドル部16とこれ以外のアーム部
17の2体に分割可能な構成にしたことを特徴とする手
術用マニピュレータシステムである。マスターマニピュ
レータを分割可能にしたので、それのハンドル部を滅菌
器に入れやすくなった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマスターマニピュレータ
とスレーブマニピュレータを備えた手術用マニピュレー
タシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】患者の体壁に孔を開け、この孔を通じて
内視鏡や処置具等の医療器具を経皮的に体腔内へ挿入す
ることにより、その体腔内での様々な処置や診断を行う
内視鏡下手術が行われている(USP第5,217,0
03号明細書を参照)。こうした術式は胆嚢摘出、肺の
部分摘出などで広く行われるようになってきた。この経
皮的内視鏡下手術は低侵襲で患者に負担をかけずに手術
を行うことができるものとして最近、特に注目されてい
る。
【0003】また、術者がマスターマニピュレータを操
作すると、これの動きに追随して動くスレーブマニピュ
レータを設け、このスレーブマニピュレータを使って、
内視鏡下外科手術を行う、いわゆるマスタースレーブ操
作システムが提案されている(特公平6−46935号
公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、マスタース
レーブ操作システムで内視鏡下外科手術を行う場合、何
時でも開腹手術に切り換えることができる万全の態勢に
なければならないため、そのマスターマニピュレータを
操作する術者(医者)は通常、清潔な領域にいなければ
ならない。つまり、マスターマニピュレータは清潔域で
操作されるので、それ自体滅菌されていなければならな
い。
【0005】しかしながら、従来のマスターマニピュレ
ータはその大きさや形が滅菌器に入れにくいものだっ
た。また、マスターマニピュレータを緊急に使いたいと
き、滅菌処理が大変であった。
【0006】本発明は前記課題に着目してなされたもの
で、その目的とするところはマスターマニピュレータの
必要個所の滅菌が容易で、かつ緊急の滅菌処理も迅速か
つ容易に対処できる手術用マニピュレータシステムを提
供することにある。
【0007】
【課題を解決する手段および作用】本発明は、術者が操
作できる領域内に設定されたマスターマニピュレータ
と、術野にアクセスするよう設定され前記マニピュレー
タの操作に追従した動きを行うスレーブマニピュレータ
と、前記スレーブマニピュレータに保持された医療器具
とを具備する手術用マニピュレータシステムにおいて、
前記マスターマニピュレータは、少なくとも術者が操作
するためのハンドル部とこれ以外の部分の2体に分割可
能な構成にしたことを特徴とする手術用マニピュレータ
システムである。マスターマニピュレータを分割可能に
したので、それのハンドル部を滅菌器に入れやすく、ま
た、その作業がきわめて簡単になる。
【0008】
【実施例】
<第1の実施例>図1及び図2を参照して、本発明の第
1の実施例を説明する。 (構成)図1は経皮的内視鏡下手術を行う手術用マニピ
ュレータシステムの全体を概略的に示している。
【0009】図1はその全体構成図である。図1におい
て、1は手術台であり、2は患者である。手術台1の両
側壁にはベッドサイドレール3が設けられている。左側
のベッドサイドレール3には医療器具のうち特に手術器
具、例えば処置具4を保持した第1のスレーブマニピュ
レータ(以下、処置用スレーブマニピュレータ5とい
う。)が取り付けられている。右側のベッドサイドレー
ル3には他の医療器具、例えば立体的に観察できる内視
鏡6を固定した第2のスレーブマニピュレータ(以下、
観察用スレーブマニピュレータ7という。)が取り付け
られている。
【0010】処置用スレーブマニピュレータ5及び観察
用スレーブマニピュレータ7は、支持機構としていずれ
も垂直方向及び旋回動作する第1の動作軸5a,7a
と、この第1の動作軸5a,7aに設けられ水平方向に
移動する第2の動作軸5b,7b、及び第2の動作軸5
b,7bの先端部に設けられた手首様の関節部としての
結合部5c,7cとから構成されている。この結合部5
c,7cには前記医療器具を装着するようになってい
る。処置用スレーブマニピュレータ5は処置用マニピュ
レータ制御装置8によって駆動制御される。また、術者
が操作できる領域内には処置用マスターマニピュレータ
9が設置されている。そして、処置用マニピュレータ制
御装置8は術者が処置用マスターマニピュレータ9を操
作することによって発生する信号を受け、それの動きに
対応した駆動信号を処置用スレーブマニピュレータ5に
送り、処置用マスターマニピュレータ9に追従する動き
を処置用スレーブマニピュレータ5に行わせるようにな
っている。
【0011】観察用スレーブマニピュレータ7は観察用
マニピュレータ制御装置10によって駆動制御される。
観察用マニピュレータ制御装置10は観察用マスターマ
ニピュレータからの信号を受け、それの動きに対応した
駆動信号を観察用スレーブマニピュレータ5に送り、マ
スターマニピュレータに追従する動きを処置用スレーブ
マニピュレータ7に行わせるようになっている。ここで
の観察用マスターマニピュレータは位置検出センサとし
ての3次元ディジタイザ11によって構成されている。
この3次元ディジタイザ11は術者の頭部に固定される
表示装置としてのヘッドマウントディスプレイ12に固
定されている。3次元ディジタイザ11は例えばセンサ
コイルからなり、図示しないソースコイルの発する磁界
の状況を検出して3次元的な位置及び向きを検出する。
なお、この3次元ディジタイザ11は術者の頭部に直接
に固定的に装着するようにしてもよい。また、処置用マ
スターマニピュレータ9や3次元ディジタイザ11に代
ってジョイスティックやキースイッチにしてもよい。
【0012】前記処置用スレーブマニピュレータ5およ
び観察用スレーブマニピュレータ7の第1の動作軸5
a,7aと第2の動作軸5b,7bは、例えば電磁モー
タ等のアクチュエータ(図示しない)によって、上下方
向a、旋回方向b、水平方向cの動作軸からなるいわゆ
る円筒座標系マニピュレータの駆動構造を有している
が、複数の関節部からなるいわゆる多関節マニピュレー
タの構造でも構わない。
【0013】前記内視鏡6の挿入部6aの先端部には観
察手段としてCCDカメラ13が設けられている。この
CCDカメラ13によって得られた画像はヘッドマウン
トディスプレイ12によって観察できるようになってい
るが、TVモニターでも構わない。さらに、CCDカメ
ラ13に代って挿入部6aにリレーレンズ等の光学系画
像伝達手段を有し、挿入部6aの基端部にカメラを装着
したもの、さらには前記光学系画像伝達手段を2系統有
し、挿入部6aの基端部に2台のカメラを装着して立体
観察を可能とするものでもよい。もちろん、CCDカメ
ラ13によって2画像を撮像して立体観察を行うように
してもよい。
【0014】また、前記処置具4の挿入部4aの先端部
には処置手段としての把持鉗子14が設けられている
が、メス、縫合器等であってもよい。また、挿入部4a
の基端部には把持鉗子14の主として開閉動作を行うア
クチュエータ(図示しない)が設けられている。前記各
スレーブマニピュレータ5,7の結合部5c,7cは同
一構造であり、各々処置具4と内視鏡6を、その挿入部
中心軸及びこれに交差する、互いに直交する2軸の各軸
回りに回動自在に支持している。
【0015】一方、処置用マスターマニピュレータ9に
おける先端部15は図2に示すように、術者が手に持っ
て動かす部分のハンドル部16と、アーム部17の2体
を備えてなり、ハンドル部16とアーム部17は着脱機
構18により着脱自在に接続されている。この着脱機構
18は図2に示すように雄ねじ18aと雌ねじ18bに
よるものの他にスナップロック等の着脱に好適な手段で
あってもよい。ここでは処置用マスターマニピュレータ
9の位置検出のため、3次元ディジタイザ19が、着脱
機構18より後ろ側のアーム部17内に設置されてお
り、信号ケーブル20は前記アーム部17を保持する関
節21を通って最終的に処置用スレーブマニピュレータ
制御装置8に通じている。ところで、アーム部17の3
次元ディジタイザ19より先端側部分とハンドル部16
は電気部品を含まない。ハンドル部16はアーム部17
から分離して滅菌処理できるよう、材質的に問題なく作
ってある。
【0016】さらに、ハンドル部16以外の部分は柔軟
で透明な材料のものから形成した滅菌カバー22を被せ
て使うようになっている。滅菌カバー22は先端開口縁
にリング23を設け、このリング23をアーム部17の
先端のくびれ部24に嵌めてからハンドル部16を接続
すると、ハンドル部16のフランジ25を挟み込み、そ
のリング23の抜け止めとなる。したがって、使用中、
滅菌カバー22が動くことはない。
【0017】なお、前記処置用マスターマニピュレータ
9の位置検出手段は前記3次元ディジタイザ19の他
に、関節21を含む各関節に屈曲角度検出用センサを設
置する等の好適な手段でもよく、以下の作用はこれの場
合について述べる。 (作用)この手術用マニピュレータシステムの全体の動
作は次の通りである。まず、処置用スレーブマニピュレ
ータ5の結合部5cと観察用スレーブマニピュレータ7
の結合部7cの例えば下端位置は各動作軸5a,7a、
5b,7bの幾何学的な寸法関係と、上下方向a、旋回
方向b、水平方向cの動作位置とからマニピュレータ制
御装置8,10で既知になっている。そこで、処置具4
や内視鏡6を装着しない状態で、そのスレーブマニピュ
レータ5,7の結合部5c,7cの下端位置を患者2の
腹壁の対応する各挿入孔2aに当てる。この位置合わせ
により結合部5c,7cの下端位置を挿入孔2aの位置
として認識し、これを前記マニピュレータ制御装置8,
10のメモリに記憶する。
【0018】ついで、結合部5c,7cを患者2から離
すように各スレーブマニピュレータ5,7を動作させ
る。この退避後、各スレーブマニピュレータ5,7の結
合部5c,7cに対して、処置具4や内視鏡6を装着す
る。処置具4や内視鏡6の挿入部先端の作用点の位置は
その処置具4や内視鏡6の幾何学的な寸法から求めるこ
とができる。これを例えば前記マニピュレータ制御装置
8,10で演算可能であり、この情報をマニピュレータ
制御装置8,10に入力する。
【0019】一方、処置用マスターマニピュレータ9の
先端部15の作用点、つまり、ハンドル部16の先端位
置は処置用マニピュレータ制御装置8によって求められ
ており、処置用スレーブマニピュレータ5に装着された
処置具4の先端にある作用点の位置に対応している。ま
た、3次元ディジタイザ11の中心位置が、観察用スレ
ーブマニピュレータ7に装着された内視鏡6の先端にあ
る作用点の位置に対応するように観察用マニピュレータ
制御装置10は処理してある。
【0020】しかして、ヘッドマウントディスプレイ1
2で腹腔内を観察することができ、そのヘッドマウント
ディスプレイ12で3次元ディジタイザ11の位置を変
えれば、これに応じて観察用スレーブマニピュレータ7
により内視鏡6の位置を変え、観察位置を変更すること
ができる。また、マスターマニピュレータ9のハンドル
部16の位置を変えることにより、処置用スレーブマニ
ピュレータ5がそれに応じて処置具4の位置を変える。
そして、ヘッドマウントディスプレイ12で腹腔内を観
察しながら処置具4の位置を決め、操作することにより
腹腔内の部位の処置を行う。
【0021】ところで、前記処置用マスターマニピュレ
ータ9は手術台1のベッドサイドレール3に取り付けら
れるが、この取付けの際、ハンドル部16以外(不潔部
分)をまず不潔域のナース等が取り付けた後、術者が滅
菌カバー22、ハンドル部16(いずれも清潔部分)の
順に接続して使う。 (効果)したがって、処置用マスターマニピュレータ9
のハンドル部16だけを滅菌すればよいので、このハン
ドル部16は小さくシンプルな形状であるため滅菌器に
入れやすく、その扱いがきわめて簡単になった。
【0022】なお、図3で示すように滅菌カバー22に
対して、ハンドル部16と略一形状でそれにすっぽり被
せられるハンドルカバー26を取り付けてもよい。この
場合、ハンドルカバー26の後部はフランジ25及びく
びれ部24への取付け機構27を成している。また、同
機構はくびれ部24に嵌めてフランジ25に引っ掛ける
ためのつめ28と機構部全体をカバー本体29に対し曲
げてつめ28を掛け易くするためのヒンジ30を持つ。
カバー本体29はプラスチック等の軽量で成形し易い材
質であり、取付け機構27は樹脂等の取付け易い材質で
ある。その他の構成は前述した第1の実施例と同じであ
る。
【0023】この例ではハンドル部16にも滅菌カバー
を被せられるようにしたので、そのハンドル部16を滅
菌しなくても使えるようになった。したがって、時間的
な制約でハンドル部16の滅菌が間に合わない時、ハン
ドルカバー26付きの滅菌カバー22を使えば、システ
ム使用が可能となる。 <第2の実施例>図4を参照して、本発明の第2の実施
例を説明する。 (構成)この実施例は前述した処置用マスターマニピュ
レータ9における先端部15の変形した例である。すな
わち、関節21の後部でアーム部17側とアーム部31
側に分割可能な構成とする点を加えたものである。
【0024】アーム部17の後端にはフランジ33が設
けられ、このフランジ33には着脱用リング34がカラ
ー35を介して同心的に回転可能に取り付けられてい
る。この着脱用リング34はアーム部31の先端外周に
設けたねじ付きの着脱部36に対してねじ込むようにな
っている。3次元ディジタイザ19からの信号はコネク
タピン37とソケット38の接続により処置用スレーブ
マニピュレータ制御装置8へ伝えるようになっている。
滅菌カバー22等については第1の実施例と同じであ
る。また、これ以外の他のアーム部についても同様の方
法で分割可能なものとしてもよい。
【0025】そして、分割した部分、部分を順次接続し
組み立ててから使うが、より細かく持ち運び易い形状に
分割できるようにしたもので、かさばらずに保管できて
持ち運び易い。その他は前述した第1の実施例と同じで
ある。 <第3の実施例>図5ないし図8を参照して、本発明の
第3の実施例を説明する。 (構成)図5は手術用マニピュレータシステムの配置状
況を示している。手術室41は大きく分けて処置室42
と操作室43の2つの部屋に分かれており、処置室42
には手術台44があり、手術台44の上には患者45が
上向きに寝ている。手術台44の左側には第1のスレー
ブマニピュレータ46が設置され、手術台44の右側に
は第2のスレーブマニピュレータ47が設置されてい
る。図6で示すように、各スレーブマニピュレータ4
6,47はいずれも複数のアーム48を連結した関節構
造によって構成されており、それぞれの基台49,50
によって手術台44の側面部に固定されている。なお、
これらのスレーブマニピュレータ46,47は手術台4
4に取り付けるのではなく、手術室41の天井から吊り
下げて設置するようにしてもよい。
【0026】各スレーブマニピュレータ46,47の先
端部には電子式の内視鏡51や処置具52がそれぞれ搭
載される。内視鏡51の撮像信号は、CCU53にて信
号処理された後にモニター54に映像信号として伝送さ
れる。なお、このような内視鏡51や処置具52の代わ
りに超音波プローブや、顕微鏡などの観察手段であって
もよい。
【0027】術者55は操作室43に居て、操作室43
と処置室42を仕切る透明な窓56越しに処置室42内
のモニター54の画面を観察しながら、操作台57に設
置された2つの第1のマスターマニピュレータ58と第
2のマスターマニピュレータ59を操作する。なお、こ
のマスターマニピュレータ58,59は手術室41の天
井から吊り下げられていても良い。そして、処置室42
のスレーブマニピュレータ46,47の先端部を患者4
5の体内に経皮的に挿入して観察下に処置を行う経皮的
内視鏡下手術を行うようになっている。手術室41は処
置室42、操作室43に分かれておらず、術者55は患
者45と同じ部屋に離れた位置に居てマスターマニピュ
レータ58,59を操作するように配置するようにして
もよい。
【0028】図6において、スレーブマニピュレータ4
6,47と、マスターマニピュレータ58,59の詳細
について説明する。各スレーブマニピュレータ46,4
7における各関節部には、アクチュエータ61とエンコ
ーダ62が設けられており、後述する制御装置によりそ
のアクチュエータ61を駆動してスレーブマニピュレー
タ46,47の関節を屈曲動作させる。また、エンコー
ダ62はその関節の回転角度を検出する。スレーブマニ
ピュレータ46,47はそれぞれの基台部49,50に
固定されたベース座標系63,64を有する。
【0029】一方、マスターマニピュレータ58,59
はいずれも複数のアーム69を連結した関節構造によっ
て構成されており、各々の関節部にはアクチュエータ7
1とエンコーダ72が設けられており、後述する制御装
置によって、アクチュエータ61を駆動して、マスター
マニピュレータ58,59の関節を屈曲動作させる。ま
た、エンコーダ62はその関節の回転角度を検出する。
マスターマニピュレータ58,59はそれぞれの基部6
5,66に固定されたベース座標系67,68を有して
いる。
【0030】図7(a)は前記マスターマニピュレータ
58,59の形態の一例を示す。図7(a)に示すよう
に、術者70はそのマスターマニピュレータ58,59
の先端部73を直接に手74に持って操作する。
【0031】しかし、使用(始動)開始前には図7
(b)のような原点出し治具75によって特定の形状に
拘束されている。原点出し治具75は図7(b)のよう
に折り畳んだコンパクトな状態にマスターマニピュレー
タ58,59を拘束するものである。しかし、マスター
マニピュレータ58,59を使用状態に近い形態に展開
した状態の特定形状に拘束するものでもよい。原点出し
治具75はその拘束する特定形状に応じて構成される。
【0032】図8は前記スレーブマニピュレータ46,
47とマスターマニピュレータ58,59の動作を制御
するシステムの構造を示す。すなわち、スレーブマニピ
ュレータ46,47を制御する第1の制御装置81と、
マスターマニピュレータ58,59を制御する第2の制
御装置82が設けられており、各制御装置81,82は
それぞれMPU(Micro Processor Unit)83,84、ア
クチュエータ駆動回路85,86、及びインターフェイ
ス回路87,88を有して構成される。 (作用)手術の開始前には2つのマスターマニピュレー
タ58,59は原点出し治具75によって特定の形状に
拘束されている。マスターマニピュレータ58,59を
制御する第2の制御装置81にあるMPU84は、この
特定の形状に拘束された状態での各関節のエンコーダ7
2の情報をあらかじめ有しており、初動におけるマスタ
ーマニピュレータ58,59の姿勢を把握できる。手術
が開示されるとマスターマニピュレータ58,59から
原点出し治具75を取り外し、マスターマニピュレータ
58,59をフリーな状態にする。術者55はマスター
マニピュレータ58,59を自由に操作するが、このと
きのベース座標系67,68における先端位置は原点出
し治具75によって規定された初動形状からの累積とし
て、MPU84で計算される。これは、エンコーダ72
により検出された関節角の幾何学的なベクトル合成によ
って求められる。この空間データは第2の制御回路82
のインターフェース回路88を介し、スレーブマニピュ
レータ46,47の制御装置81のインターフェース回
路87に通信される。さらに第1の制御装置81のMP
U83において、前記マスターマニピュレータ58,5
9の座標データからスレーブマニピュレータ46,47
の動作データが計算される。この動作データを基にアク
チュエータ駆動回路85はスレーブマニピュレータ4
6,47のアクチュエータ71を動作させる。
【0033】一方、スレーブマニピュレータ46,47
側のMPU83で計算された偏差は、スレーブマニピュ
レータ46,47のインターフェース回路87を介して
マスターマニピュレータ58,57側のインターフェー
ス回路88へ通信される。この偏差はさらにマスターマ
ニピュレータ58,59のMPU84に送られ、マスタ
ーマニピュレータ58,59の力指令に計算される。こ
の力指令はアクチュエータ駆動回路86へ送られ、マス
ターマニピュレータ58,59のアクチュエータ21
に、その移動を抑える向きの力を発生させる。これによ
り、マスターマニピュレータ58,57に力感覚を与え
る。以上の作用によって、術者55はモニター54での
術野の画像情報を得ながら、スレーブマニピュレータ4
6,47を、常にスレーブマニピュレータ46,47と
同じ姿勢で、同じ力感覚のあるマスターマニピュレータ
58,59を操作することによってコントロールするこ
とができる。 (効果)前記原点出し治具75によって、マスターマニ
ピュレータ58,59の初動時における姿勢を制御装置
82で確実に認識できるために、実際のマスターマニピ
ュレータ58,59の姿勢と、制御装置82で認識して
いる姿勢の間の位置関係がずれることがないため、操作
者(術者)の意図した動きとスレーブマニピュレータ4
6,47の動作の間にズレがないように容易に調整する
ことができる。操作性の良い手術用マニピュレータとす
る事ができる。また、術者は処置室42から離れた操作
室43に居て患者から離れているため、患者の血液等の
体液、汚物などと接触することがなく、感染の危険性を
減らす対策ができる。
【0034】なお、この実施例において、特に前記マス
ターマニピュレータ58,59を処置室42に設置する
ことも考えられるが、この場合にはそのマスターマニピ
ュレータ58,59の先端部を前記第1の実施例のよう
にハンドル部とアーム部の少なくとも2体に分割可能な
構成とすることが望ましい。そして、これによれば、ハ
ンドル部は小さくシンプルな形状であるため、滅菌器に
入れやすく、その扱いが簡単になる。 <第4の実施例>図9を参照して、本発明の第4の実施
例を説明する。 (構成)図9はその第4の実施例におけるマスターマニ
ピュレータ58,59を示す。このマスターマニピュレ
ータ58,59の各関節部にはそれぞれの関節の動作範
囲を制限するストッパー89が設けられている。第2の
制御装置82のMPU84ではマスターマニピュレータ
58,59の各関節がストッパー89によって制限され
た状態の姿勢を記憶している。 (作用)手術前の初動状態で、別体となった原点出し治
具75を用いる代わりにマスターマニピュレータ58,
59の各関節がストッパー89によって制限された状態
の姿勢にする。 (効果)第3の実施例の効果に加え、特別に別体となっ
た原点出し治具75を用意する必要がないという効果が
ある。 <第5の実施例>図10を参照して、本発明の第5の実
施例を説明する。 (構成)第3の実施例に加えて、この実施例はマスター
マニピュレータ58,59を変形したものである。マス
ターマニピュレータ58,59の各関節部には関節の位
置決めを行う指標90が設けられている。第2の制御装
置82のMPU84ではそのマスターマニピュレータ5
8,59の各関節が指標90によって制限された状態の
姿勢を記憶している。 (作用)手術前の初動状態で、別体となった原点出し治
具75を用いる代わりにマスターマニピュレータ58,
59の各関節が指標90によって制限された状態の姿勢
にする。 (効果)第3の実施例の効果に加え、特別に別体となっ
た原点出し治具を用意する必要がないという効果があ
る。 <第6の実施例>図11を参照して、本発明の第6の実
施例を説明する。 (構成)第3の実施例に加えて、この実施例はマスター
マニピュレータ58,59を変形したものである。この
実施例において、マスターマニピュレータ58,59の
各関節に設けられた関節の動作を検知するエンコーダ
が、絶対位置検出エンコーダ(アブソリュートエンコー
ダ)91となっている。第2の制御装置82のMPU8
4では、マスターマニピュレータ58,59の各関節位
置の絶対位置を常に認識するようになっている。 (作用)手術前の初動状態で、別体となった原点出し治
具75を用いる代わりにマスターマニピュレータ58,
59の各関節の絶対位置が原点出し治具(手段)75を
兼ねた絶対位置検出エンコーダ91によって把握でき
る。マスターマニピュレータ58,59の姿勢を第2の
制御装置82で常に検知することができる。 (効果)第3の実施例の効果に加え、この実施例では特
別に別体となった原点出し治具を用意する必要がないと
いう効果がある。 [付記] 1-1 .術者が操作できる領域内に設定されたマスターマ
ニピュレータと、術野にアクセスするよう設定され前記
マニピュレータの操作に追従した動きを行うスレーブマ
ニピュレータと、前記スレーブマニピュレータに保持さ
れ、体腔内に挿入する医療器具とを具備する手術用マニ
ピュレータシステムにおいて、前記マスターマニピュレ
ータは、少なくとも術者が操作するためのハンドル部と
これ以外の部分の2体に分割可能な構成にしたことを特
徴とする手術用マニピュレータシステム。 1-2 .術者が操作できる領域内に設定されたマスターマ
ニピュレータと、術野にアクセスするよう設定され前記
マニピュレータの操作に追従した動きを行う第1のスレ
ーブマニピュレータと、前記第1のスレーブマニピュレ
ータに保持され体腔内に挿入する手術器具と、術者の頭
部に固定された表示装置と、術者の頭部または前記表示
装置に固定されたセンサと、前記第2のスレーブマニピ
ュレータに固定され、前記表示装置にその画像を表示す
る内視鏡とを具備する手術用マニピュレータシステムに
おいて、マスターマニピュレータを少なくとも術者が操
作するためのハンドル部とこれ以外の部分の2体に分割
可能にしたことを特徴とする手術用マニピュレータシス
テム。 1-3 .マスターマニピュレータが術者が操作する部分と
それ以外の部分の少なくとも2体に分割可能な構成とし
たことを特徴とする付記1-1 、1-2 項に記載の手術用マ
ニピュレータシステム。 1-4 .前記マスターマニピュレータが、少なくとも術者
が操作する部分が耐滅菌性を有することを特徴とする付
記前各項に記載の手術用マニピュレータシステム。 1-5 .前記マスターマニピュレータの少なくとも術者が
操作する以外の部分が、滅菌済カバーを被せられる構造
であることを特徴とする付記前各項に記載の手術用マニ
ピュレータシステム。 1-6 .前記マスターマニピュレータの少なくとも術者が
操作する部分が、滅菌済カバーを被せられる構造である
ことを特徴とする付記前各項に記載の手術用マニピュレ
ータシステム。
【0035】2-1 .術者が操作できる領域内に設定され
たマスターマニピュレータと、術野にアクセスするよう
設定され前記マスターマニピュレータの操作に追従した
動きを行うスレーブマニピュレータを有する手術用マニ
ピュレータにおいて、マスターマニピュレータに原点出
し手段を設けたことを特徴とする手術用マニピュレータ
システム。 2-2 .前記原点出し手段が、マスターマニピュレータの
動きを機械的に拘束する手段であることを特徴とする付
記前各項に記載の手術用マニピュレータシステム。 2-3 .前記原点出し手段が、マスターマニピュレータの
関節部に取り付けられた絶対位置を検出するエンコーダ
手段であることを特徴とする付記前2-2 に記載の手術用
マニピュレータシステム。 2-4 .前記原点出し手段が、マスターマニピュレータの
関節部に設けられた指標であることを特徴とする付記前
2-2 に記載の手術用マニピュレータシステム。
【0036】2-5 .前記原点出し手段が、マスターマニ
ピュレータの関節部に設けられた動作範囲ストッパーで
あることを特徴とする付記前2-2 に記載の手術用マニピ
ュレータシステム。 (付記2群の課題)マスタースレーブ方式の遠隔操作手
段を用いて手術用マニピュレータを操作する場合、マス
タアーム、スレーブアームがそれぞれ物理的に独立して
いるために、マスタアーム、スレーブアーム両者の動作
方向の対応関係が、両者を設置する際の相対的位置関係
により決定されてしまい、その両者の座標系の向きが一
致しないことが起きる。これは、両者をつなぐ制御装置
において、マスタアーム、スレーブアームの初動の位置
が認識されていないことが一因である。付記2群のもの
は前記事情に着目して成されたものであり、その付記2
群のものの目的とするところは、手術用マニピュレータ
のスレーブアームと、マスタアームとの遠隔操作におい
て、その初動の位置において操作性が損なわれず、操作
者の意図するように操作状態に設定可能な操作性に優れ
た手術用マニピュレータシステムを提供することにあ
る。 (付記2群の作用)手術用マニピュレータによる操作を
開始する前に、マスターマニピュレータを原点出し手段
を用いて原点位置におき、原点位置を制御装置に認識さ
せる。原点出し手段を解除し、マスタアームを自由な操
作によって、姿勢の変化を行っても制御装置は、原点位
置からの相対的な動きを検知することによって、現在の
マスターマニピュレータの姿勢を認識することができ
る。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、マ
スターマニピュレータの必要個所の滅菌が容易で、かつ
緊急の滅菌処理も容易な手術用マニピュレータシステム
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る経皮的内視鏡下手術を行う
手術用マニピュレータシステムの全体を概略的に示す説
明図。
【図2】同じく第1の実施例の処置用マスターマニピュ
レータにおける先端部の断面図。
【図3】同じく第1の実施例の処置用マスターマニピュ
レータの変形例を示すその先端部の断面図。
【図4】第2の実施例の処置用マスターマニピュレータ
の先端部の断面図。
【図5】第3の実施例に係る手術用マニピュレータシス
テムを概略的に示す説明図。
【図6】同じく第3の実施例に係る手術用マニピュレー
タシステムの斜視図。
【図7】(a)は同じく第3の実施例に係る手術用マニ
ピュレータシステムの処置用マスターマニピュレータの
使用状態の説明図、(b)は同じく第3の実施例に係る
手術用マニピュレータシステムの処置用マスターマニピ
ュレータの退避状態の説明図。
【図8】同じく、第3の実施例に係る手術用マニピュレ
ータシステムの回路構成の説明図。
【図9】同じく、第4の実施例に係る処置用マスターマ
ニピュレータの使用状態の説明図。
【図10】同じく、第5の実施例に係る処置用マスター
マニピュレータの使用状態の説明図。
【図11】同じく、第6の実施例に係る処置用マスター
マニピュレータの使用状態の説明図。
【符号の説明】
1…手術台、2…患者、4…処置具、5…処置用スレー
ブマニピュレータ5、6…内視鏡、7…観察用スレーブ
マニピュレータ、8…処置用スレーブマニピュレータ制
御装置、9…処置用マスターマニピュレータ、10…観
察用マニピュレータ制御装置、11…3次元ディジタイ
ザ、12…ヘッドマウントディスプレイ、16…ハンド
ル部、17…アーム部、18…着脱機構、22…滅菌カ
バー。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】術者が操作できる領域内に設定されたマス
    ターマニピュレータと、術野にアクセスするよう設定さ
    れ前記マニピュレータの操作に追従した動きを行うスレ
    ーブマニピュレータと、前記スレーブマニピュレータに
    保持された医療器具とを具備する手術用マニピュレータ
    システムにおいて、 前記マスターマニピュレータは、少なくとも術者が操作
    するためのハンドル部とこれ以外の部分の2体に分割可
    能な構成にしたことを特徴とする手術用マニピュレータ
    システム。
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