JPH07120889A - 写真フイルムパトローネ及びその製造方法 - Google Patents

写真フイルムパトローネ及びその製造方法

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JPH07120889A
JPH07120889A JP5739494A JP5739494A JPH07120889A JP H07120889 A JPH07120889 A JP H07120889A JP 5739494 A JP5739494 A JP 5739494A JP 5739494 A JP5739494 A JP 5739494A JP H07120889 A JPH07120889 A JP H07120889A
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photographic film
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Tetsuya Takatori
徹也 高取
Tomoyuki Takahashi
知之 高橋
Tetsuya Tanaka
哲哉 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 取り扱いが簡便となるように分割でき、さら
に、分割する際の解除作業によって係止爪が破損並びに
損傷しないようにする。 【構成】 写真フイルムパトローネ5は、上下ケース
7,8とからなるパトローネ本体6と、パトローネ本体
6の内部に回動自在に収納されるスプール9とから構成
されている。上下ケース7,8は、フイルム出入口の反
対側がヒンジ部20によって回動自在に開閉される。ま
たフイルム出入口側は、係止爪16と被係止部17とに
よって係脱自在に係止している。被係止部17は、上ケ
ース7の上面から一段凹んだ面に形成されている。上下
ケース7,8とを組み合わせると係止爪16によって開
口23が形成される。開口23には、係止爪16と被係
止部17との係止を解除するために治具が挿入され、こ
れを形成する内壁が治具の挿入方向を係止爪16を被係
止部17から退避させる方向に向けて規制するように傾
斜して形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、未露光写真フイルム及
び現像済み写真フイルムとを長尺のままロール状に収納
する写真フイルムパトローネ、及びこれの製造方法とに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】最も普及している135タイプの写真フ
イルムパトローネは、金属薄板性のパトローネ胴体と2
つのキャップとから構成されるパトローネ本体の内部に
スプールを回転自在に設け、このスプールに写真フイル
ムの後端部を係止させている。この写真フイルムパトロ
ーネは、撮影終了後現像所に提出され、現像所でパトロ
ーネ本体から写真フイルムが全部引き出され、フイルム
出入口付近の外部で写真フイルムが切断され、切断され
た写真フイルムは現像及びプリント処理される。そし
て、現像済みの写真フイルムは、所定長ずつカットさ
れ、ネガシースに入れた状態で顧客に返却される。
【0003】ところで、返却された現像済み写真フイル
ムは、所定長ずつカットされているから、それ以上折り
畳むことができないため、嵩張りやすく、整理して保存
しにくい面がある。そこで、特開平5−19441号公
報では、現像済み写真フイルムを長尺のままロール状に
収納する収納容器が提案されている。この収納容器は、
上部が開口となったケース本体に現像済み写真フイルム
を巻き付けるためのスプールを回動自在に収納してい
る。ケース本体には、開閉自在な蓋と、スプールの回転
により写真フイルムをこれの先端からケース本体外に送
り出すための送り出し手段とが設けられている。蓋は、
第1及び第2の蓋とで構成されており、第1の蓋はスプ
ールをフイルム送り出し方向に回転させる時に写真フイ
ルムを送り出す分だけ僅かに開かれ、また第2の蓋は現
像済み写真フイルムの後端部をスプールに係止させるた
めにケース本体の内部を全部露呈させるように開かれ
る。
【0004】このような収納容器を用いた場合、現像所
では、写真フイルムパトローネと収納容器との2種類の
容器を扱うようになるため、取り扱いが面倒になる。そ
こで、撮影済み写真フイルム及び現像済み写真フイルム
との両方を共通して収納できる容器(以下、「写真フイ
ルムパトローネ」と称す)が望まれている。
【0005】このような写真フイルムパトローネを考慮
した場合には、写真フイルムの後端部とスプールとの係
止及び係止解除とを容易に行えるようにする必要があ
る。このため、特願平4−212135号では、これら
の係止及び係止解除とを自動的に行うようにした装置が
提案されている。この装置は、フイルム出入口からパト
ローネ本体内部に入り込む円弧状の爪を備えており、こ
の爪によって写真フイルムの後端部とスプールとの係止
及び係止解除とを行う。しかしながら、狭いフイルム出
入口に爪を挿入するためには、爪を高精度で移動させる
ことが必要となり、装置自体のコストが高くつく。ま
た、フイルム出入口に設けられた遮光用のテレンプを損
傷させて現像済み写真フイルムをパトローネの本体外部
に送り出すことができなくなる恐れがある。そこで、写
真フイルムパトローネとしては、内部が容易に露呈でき
るようにパトローネ本体を分割した構造にするのが望ま
しい。
【0006】分割可能な写真フイルムパトローネとして
は、米国特許第3,945,584号明細書に、パトロ
ーネ本体を上下に分割し、それぞれの前後をスナップ止
めしたものが提案されている。また、実公平2−416
19号公報には、上下に分割したパトローネ本体のそれ
ぞれの後側を薄肉部によって開閉自在に一体成形し、前
側をスナップ結合したものが提案されている。さらに、
特開平4−362939号公報には、パトローネ本体を
上下に分割し、それぞれの前後を分解可能にスナップ止
めしたものが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
公報記載のものでは、スナップ結合を解除するのが面倒
である。というのは、一般的にスナップ結合は係止爪と
これに係止される被係止部とで構成されており、この結
合解除は係止爪を被係止部から退避させるように折り曲
げて行う。このとき、例えば小型のマイナスドライバー
等の治具を用いて行うが、この治具の挿入方向が規制さ
れていないため、治具で係止爪を破損並びに損傷させる
恐れがある。
【0008】また、米国特許第3,945,584号明
細書や特開平4−362939号公報に記載された写真
フイルムパトローネの構造では、スナップ結合を解除し
てパトローネ本体を分解することができるとしても、分
解すると完全に別々の2部品に分割されてしまうため、
取り扱いが面倒となり、さらにどちらかの部品を紛失し
てしまう恐れがある。また、実公平2−41619号公
報記載のものでは、後側がヒンジ式に結合されているか
ら、前側のスナップ結合を解除してもこれらが常に対に
なっているから紛失の恐れがないものの、この開閉の頻
度が増すにつれて内部応力が発生し薄肉部が破損してし
まう恐れがある。
【0009】本発明は上記背景を考慮してなされたもの
で、取り扱いが簡便となるように分割でき、さらに、分
割する際の解除作業によって係止爪が破損並びに損傷し
ないように工夫した写真フイルムパトローネを提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明では、フイルム出入口を上下に
分けるようにパトローネ本体を分割する少なくとも2個
の部品と、これらの部品のフイルム出入口の両側に各々
設けられ、係止爪とこれに係止される被係止部とから構
成される係止手段と、これらの部品のフイルム出入口の
反対側に設けられ、前記部品を回動自在に支持するヒン
ジ部と、前記被係止部と係止爪との係止を解除するとき
に挿入される治具の挿入方向を規制する開口とを設けた
ものである。これによれば、パトローネ本体を分割する
部品が破損することなくヒンジ部によって開閉させるこ
とができるとともに、被係止部と係止爪との係止を解除
するときに挿入される治具の挿入方向が開口によって規
制されるから、係止爪を破損並びに損傷させるこがな
く、安全に行える利点がある。
【0011】請求項2記載の発明では、開口に挿入され
る治具の挿入を遮蔽するカバー板を切取り自在に開口に
設けたものである。露光済み写真フイルムを現像する際
には、被係止部と係止爪との係止が解除されるが、この
とき、治具を挿入するために、カバー板を切り取ること
が必要になる。したがって、現像処理済みの写真フイル
ムを、この写真フイルムパトローネに再び収納しても、
カバー板の有無により未撮影あるいはフイルム現像処理
前のものであるか、フイルム現像処理済みのものである
かが簡単に識別することができる。また、請求項9に記
載したように、カバー板の代わりにラベルを用いること
も可能である。
【0012】ところで、現像所では、露光済みの写真フ
イルムをスプールから取外す作業やスプールに現像済み
の写真フイルムを係止させる作業が必要となる。そこ
で、この作業の際に、少なくとも2つの部品のうちいず
れかを開き位置で保持するようにしておくと作業がし易
くなり、また、装置自体の構造が簡単となる。そこで、
請求項3記載の発明では、支持手段を部品のうちいずれ
か一方に設け、請求項10に記載したように、支持手段
で部品を開き位置に保持した状態でスプールと写真フイ
ルムとの係止、又は解除を行うようにしたものである。
【0013】また、2つの部品の各々のフイルム通路に
遮光用のテレンプをそれぞれ貼り付けた写真フイルムパ
トローネの製造方法では、部品を開いてスプールとフイ
ルム後端とを係止し、その後、スプールをフイルム巻き
込み方向に回転させて写真フイルムをスプールの外周に
全部巻き取った後に部品を閉じると、テレンプ同志が互
いに櫛歯状に絡み、フイルム送り出しの際にスプールを
回転させるのに必要なスプール回転トルクが多大となっ
てしまう。そこで、請求項8記載の発明では、部品を閉
じた際に生じるテレンプの絡みを防止する方法として、
フイルム先端部をフイルム通路に残した状態で部品を閉
じ、その後、フイルム先端部を部品内に巻き込むように
したものである。
【0014】
【実施例】図1に示すように、写真フイルムパトローネ
5は、樹脂の一体成形品からなるパトローネ本体6を構
成する上ケース7と下ケース8、及びスプール9とから
構成されている。上下ケース7,8の内壁には一対のリ
ブ10が形成され、写真フイルム32をロール状に巻き
つけたスプール9をこれらの上下ケース7,8の中に収
納したとき、リブ10は写真フイルム32の最外周に接
してスプール9からの巻き緩みを防ぐ。したがって、ス
プール9をフイルム送り出し方向(図中で反時計方向)
に回転したときには、写真フイルムロールもスプール9
と一体に同方向に回転するようになる。なお、符号11
は先端分離爪を示し、スプール9とともにフイルムロー
ルを回転させたときに、この先端分離爪11が写真フイ
ルム32の先端部32aを掬い上げる作用を行う。
【0015】図2に示すように、上下ケース7,8には
ポート部7a,8aが設けられ、上下ケース7,8を組
み合わせて一体に連結したときに各ポート部7a,8a
の合わせ目にフイルム通路となるフイルム出入口13が
形成される。ポート部7a,8aの内壁には、遮光用の
テレンプ14,15がそれぞれ貼り付けられている。こ
れらのテレンプ14,15は、フイルム出入口13から
パトローネ本体6の内部に進入する光を遮断する。な
お、ポート部7a,8aを除く上下ケース7,8の合わ
せ目は、凹凸による段差嵌合となっており、この段差に
よって外光の進入を遮断している。なお、上下ケース
7,8の外周面には、ラベル33等を貼り付けるための
一段凹んだ面7c,8bがそれぞれ形成されている。
【0016】上下ケース7,8とのフイルム出入口13
の両端には、図3に示すように、係止爪16とこれに係
止される被係止部17とが各々一体に設けられている。
また、フイルム出入口13の反対側には、両端に上下ケ
ース7,8を回動自在に支持するヒンジ部20がそれぞ
れ一体に形成されている。ヒンジ部20は、軸21と軸
受け部22とから構成されている。軸受け部22は、一
部が切り欠かれており、ここから軸21を挿入すること
ができる。また、軸受け部22の表裏両面には、断面が
三角形をした圧入リブ22a,22bがそれぞれ一体に
形成されており、それぞれ軸21及び軸受け規制部12
に対し先端がつぶれた状態で接している。これによって
ヒンジ部20に多少の寸法誤差があっても圧入リブ22
a,22bのつぶれにより寸法誤差が吸収されるので、
上下ケース7,8にガタが生じることが防止されてい
る。
【0017】被係止部17は、上ケース7の一段凹んだ
面7bに形成されている。そして、上下ケース7,8を
組み合わせると、被係止部17と係止爪16との係止に
より、上方から面7bを露呈する開口23が形成され
る。これらの開口23には、被係止部17と係止爪16
との係止を解除するときに治具が挿入され、これらの開
口23を形成する壁面が形成されている。開口23の壁
面は、係止爪16を被係止部17から退避させる方向に
治具の挿入を規制するように傾斜している。また、被係
止部17と係止爪16との係止解除は、治具を上下ケー
ス7,8の両側面側から挿入しても行うことができる。
この挿入は、通常は上ケース7に設けたカバー板24に
よってそれぞれ阻止されている。カバー板24は、上ケ
ース7と薄肉部25を介して一体成形されており、ここ
から折り曲げることにより簡単に切り取ることができ
る。この切取り作業は、写真フイルム32を現像する際
に行われる。
【0018】スプール9には一対のフランジ9aが一体
に設けられ、写真フイルム32は、フランジ9a間の軸
部9bに巻きつけられる。スプール9の両端は上下ケー
ス7,8の側面に露呈し、この露呈した部分にはキー2
6が設けられている。周知のように、キー26はスプー
ル9を回転させるときにスプール駆動用の部材を係合さ
せるのに用いられる。図示したように、スプール9の両
端部には切欠26aが設けられている。
【0019】スプール9の軸部9bにはスリット27が
形成されている。スリット27の内部には、図4及び図
5にも示したように一対の爪28と押さえリブ29とが
設けられ、押さえリブ29は爪28の間に下向きに突出
している。このスリット27は図4で右側が挿入口側と
なっており、この挿入口から写真フイルム32の後端部
32bが挿入される。
【0020】写真フイルム32の後端部32bには図6
に示したように一対の係止穴30が形成されており、前
記爪28がこの係止穴30に係合する。そして押さえリ
ブ29は写真フイルム32の後端部32bが浮き上がら
ないように押さえるから、爪28と係止穴30との係止
は維持され、スリット27から写真フイルム32を引き
抜く方向に力が加わっても抜けることはない。なお、写
真フイルム32の後端部32bには、前記係止穴30の
外側に位置してさらに一対の穴31が形成され、これら
の穴31は写真フイルム32の後端部32bをスリット
27に挿入するときに用い治具の引っ掛け用の穴であ
る。
【0021】上記実施例の作用を説明する。未露光の写
真フイルム32を収納した写真フイルムパトローネ5
は、図7に示すような状態となっている。すなわち、一
対のカバー板24が上ケース7の両側に設けられ、また
写真フイルム32の全てがパトローネ本体6の内部に収
納された状態となっている。この状態のままユーザーは
カメラに装填し、撮影を行う。
【0022】撮影終了後、露光済みの写真フイルム32
は、パトローネ本体6の内部に全部収納された状態でカ
メラから取り出される。取り出した写真フイルムパトロ
ーネ5は、そのまま現像所に提出される。現像所では、
先ずカバー板24を薄肉部25に沿って切り取り、図8
に示す状態にする。
【0023】カバー板24を切り取った写真フイルムパ
トローネ5は、フイルムプロセサの装填室にセットされ
る。この装填室は、蓋の開閉によって写真フイルムパト
ローネ5の装填が可能となっており、蓋を閉めた状態で
は暗室となる。
【0024】フイルムプロセサの装填室には、図9に示
すように、パトローネ開閉機構、フイルム分離機構、及
びスプール駆動機構とが設けられている。パトローネ開
閉機構は、係止爪16と被係止部17との係合を解除す
る押し棒40,41、上ケース7に当接した押圧位置と
これから退避した位置との間で回動する開閉アーム4
2、開閉アーム42が押圧位置のときに上ケース7のポ
ート部7aをクランプするクランパ49、クランパ49
を駆動させるシリンダ48、及び開閉アーム42を駆動
させる駆動手段とから構成されている。
【0025】スプール駆動機構は、スプール9のキー2
6に係合するフォーク43、このフォーク43を駆動さ
せるモータ45、及びモータ45及びフォーク43とを
スライド移動させるスライドフレーム46とから構成さ
れている。フイルム分離機構は、フイルム分離板51、
このフイルム分離板51をスプール9のスリット27内
に入り込ませた位置とこれから退避した位置との間で軸
44aを中心に回動するアーム44、及びアーム44を
駆動させるステッピングモータ50とから構成されてい
る。
【0026】装填室の初期状態は、開閉アーム42が退
避位置にあり、またフォーク43を駆動させるモータ4
5を載置したスライドフレーム46も退避位置にある。
そして写真フイルムパトローネ5がセットして蓋を閉め
ると、これに連動して駆動手段が駆動して開閉アーム4
2が押圧位置に回転する。
【0027】開閉アーム42が押圧位置に移動した後に
は、押し棒40,41が開口23に入り込み、係止爪1
6と被係止部17との係止を解除するとともに、シリン
ダ48が作動してクランパ49が上ケース7をクランプ
する。このとき、押し棒40,41は開口23に沿って
押し込まれるため、係止爪16を破損並びに損傷させる
ことはない。またクランプは、写真フイルム32の給送
に支障をきたさない位置で行われる。その後、スライド
フレーム46が駆動位置に移動し、フォーク43がキー
26に係合する。
【0028】フォーク43とキー26との係合が確認さ
れると、モータ45が作動してスプール9をフイルム送
り出し方向(時計方向)に駆動する。こうしてスプール
9が駆動されると、スプール9とともに写真フイルム3
2が回転し、先端部32aが先端分離爪11で掬い上げ
られてフイルム出入口13に送り出される。引続きスプ
ール9が駆動されると、露光済みの写真フイルム32が
フイルム出入口13から送り出され、フイルムプロセサ
内部に送られる。
【0029】フイルムプロセサにある程度の長さだけ写
真フイルム32が送り込まれると、フイルムプロセサの
フイルム給送機構が作動して写真フイルム32をパトロ
ーネ本体6から引き出すようになる。したがって、以後
はスプール駆動機構で駆動しなくても写真フイルム32
はフイルムプロセサの現像処理部へと給送される。
【0030】露光済み写真フイルム32が一杯にパトロ
ーネ本体6から引き出されると、写真フイルム32の後
端部32aがスプール9の軸部9bに係止されているた
め、それ以上の引き出しができなくなる。このときの負
荷をフイルム給送機構が検知すると、フイルムプロセサ
はフイルム給送機構の駆動を停止する。
【0031】このとき、フォトセンサ47はスプール9
のキー26に設けた切欠26aの位置を監視しており、
切欠26aの位置がずれていたら、モータ45を調節回
転させて合わせる。この結果、図10に示したように、
スリット27の入口側がフイルム通路13の方向を向い
た回転位置でスプール9が停止した状態となる。
【0032】その後、開閉アーム42を所定角度回転さ
せ、上ケース7を軸21を中心に回転させる。このと
き、ラベル33は、これの貼り付け面7c,8bが回転
中心となる軸21の軸線を通っているので、上ケース7
を開けてもシワが寄ったりしない。なお、上ケース7
は、フイルム出入口13が約1〜4mm位開く角度だけ
回転されることが望ましい。
【0033】その後、ステッピングモータ50の駆動に
よりアーム44が所定角度回転する。このアーム44に
は、フイルム分離板51が設けられている。フイルム分
離板51は、アーム44の回転によって先端部がフイル
ム出入口13を通ってスプール9のスリット27内に入
り込む円弧断面形状となっている。
【0034】フイルム分離板51は、アーム44の所定
角度回転により写真フイルム32の下面に沿って移動さ
れ、先端部がスプール9のスリット27内に入り込ん
で、スプール9と写真フイルム32との係止を解除す
る。
【0035】フイルム分離板51の先端部には、中央部
に一段凹んだ段差面51aが形成されており、また段差
部51aの両側には爪28から写真フイルム32を押し
上げるための押し上げ部51bとがそれぞれ設けられて
いる。したがって、スリット27に入り込んだ際には、
図11に示すように、段差部51aが押さえリブ29に
押さえられた写真フイルム32の下面に入り込み、また
両側の押し上げ部51bが爪28から写真フイルム32
を押し上げ、軸部9bを撓ませる。これにより写真フイ
ルム32の係止穴30がスプール9の爪28から外れ
る。
【0036】このように、スプール9から写真フイルム
32を分離する作業の際には、パトローネ本体6の内部
を露呈するように上ケース7が開いているため、アーム
44、フイルム分離板51等の移動精度を厳密にしなく
ても、確実な作動が得られ、機構自体のコストダウンが
図れるとともに、上下ケース7,8の遮光用のテレンプ
14,15を損傷させるとこなく行える利点がある。
【0037】スプール9から写真フイルム32を分離し
た後には、フイルムプロセサの搬送系が駆動され、未露
光の写真フイルム32の全てがフイルムプロセサ内に送
り込まれ、その後写真フイルム32は各処理槽内に搬送
され、自動的に現像処理される。
【0038】現像処理された現像済み写真フイルム32
は、プリンタプロセサに送られ、ここで、プリント処理
が行われ、プリント写真が作製される。この間に、空の
パトローネ本体6は、オペレータによってフイルムプロ
セサの装填室から取り出される。このとき、勿論開閉ア
ーム42が退避しているので、上下ケース7,8が閉ま
った状態で取り出すことができる。
【0039】取り出された空のパトローネ本体6は、プ
リンタプロセサの装填室にセットされる。この装填室に
は、図9で説明したパトローネ開閉機構、及びスプール
駆動機構との他に、図12に示すように、カバー板24
を検出するセンサと、スプール9に現像済みの写真フイ
ルム32を係止するためのフイルム係止機構とが設けら
れている。センサは、セット完了後、カバー板24の有
無を検出し、カバー板24が有ると検出した場合に異常
表示部に異常信号を送る。フイルム係止機構は、アーム
44に先端両側に挿入爪57を設けたフイルム挿入板5
8が固定されている。なお、図12では、図9で説明し
たものと実質的に同じ部材には同じ符号を付してある。
【0040】フイルム挿入機構の初期状態は、開閉アー
ム42が退避位置にあり、またフォーク43を駆動させ
るモータ45を載置したスライドフレーム46も退避位
置にある。そして、センサによって、カバー板24の有
無が検出される。これにより、現像済みの写真フイルム
を収納するパトローネ本体6かどうかを識別することが
できる。カバー板24が無いことが確認された後には、
駆動手段が駆動して開閉アーム42が押圧位置に回転す
る。開閉アーム42が押圧位置に移動した後には、シリ
ンダ48が作動してクランパ49が上ケース7をクラン
プする。このとき、押し棒40,41は開口23に沿っ
て押し込まれる。その後、スライドフレーム46が駆動
位置に移動し、フォーク43がキー26に係合する。
【0041】開閉アーム42を所定角度回転させ、上ケ
ース7を回転させてフイルム出入口13が開かれる。こ
の状態となった後に、プリント作業が終了した現像済み
の写真フイルム32が、後端部32bを先頭にして装填
室に搬送される。現像済みの写真フイルム32は、後端
部32bがフイルム挿入板58の上面に乗っかるように
搬送され、図13に示すように、穴31に挿入爪57が
係合する。係合したのには、プリンタプロセサの搬送系
が停止され、その後はフリーとなる。
【0042】その後、アーム44が所定角度回転する
と、爪57が写真フイルム32の後端部32bを捕捉し
たまま移動し、現像済み写真フイルム32は、プリンタ
プロセサのフイルムガイド59から引き出されるように
なる。
【0043】アーム44の回動により、爪57が写真フ
イルム32の後端部32bを捕捉したまま、スプール9
のスリット27中に入り込んでゆくと、図14に示すよ
うに、写真フイルム32の後端部32bが係止爪28と
押さえリブ29との間に通され、係止爪28が係止穴3
0に嵌まり込む。このとき、フイルムガイド板58がス
リット27の内壁に摺接することがあっても、フイルム
ガイド板58自体が可撓性をもっているので途中で引っ
掛かることなく、爪57がスリット27内をほぼ通過す
る位置まで移動する。なお、図14では軸部9bの上半
分は破断して省略してある。
【0044】こうして現像済み写真フイルム32の後端
部32bがスプール9の軸部9bに係止されると、アー
ム44は、図13に示した待機位置に回転され、これに
より爪57がパトローネ本体6の外に引き抜かれる。爪
28は、写真フイルム32が引き抜き方向に移動するこ
とを阻止する形状をしているから、係止穴30が爪28
に一旦係合した後は、フイルム挿入板58がスリット2
7から引き抜かれるときに係止爪28から外れることは
ない。
【0045】アーム44が待機位置まで戻された後、モ
ータ45によりフォーク43が駆動され、スプール9が
フイルム巻き取り方向(図13に示す時計方向)に駆動
される。この結果、スプール9の軸部9bには、現像済
みの写真フイルム32が巻き付けられてゆく。そして、
フイルムガイド59内に通過する写真フイルム32が検
出されなくなった時点でモータ45の駆動を停止する。
これにより、全部の現像済みの写真フイルム32がパト
ローネ本体6の内部に収納された状態となる。
【0046】モータ45の駆動を停止した後には、開閉
アーム42が押圧位置に向けて回転され、上ケース7を
下ケース8に係合させる。このとき、係止爪16と被係
止部17とは、自動的に係止される。開閉アーム42を
回転した後、シリンダ48を作動させ、開閉アーム42
と上ケース7との係止を解除する。その後、開閉アーム
42を退避位置に向けて回転させ、また、スライドフレ
ーム46を移動させてフォーク43をキー26から退避
させて、現像済みの写真フイルム32の収納作業が完了
する。
【0047】現像済み写真フイルム32の収納作業が終
了すると、オペレーターは装填室の蓋を開け、写真フイ
ルムパトローネ5をフイルムプロセサから取り出す。そ
の後、現像済みの写真フイルム32を収納した写真フイ
ルムパトローネ5は、プリント写真とともにユーザーに
返却される。
【0048】なお、上記実施例では、フイルムプロセサ
に、パトローネ開閉機構、フイルム係脱機構、及びスプ
ール駆動機構等を設けたが、これらを省略して現像済み
写真フイルムだけをセットするようにしてもよい。この
場合には、暗室状態の中で写真フイルムパトローネ5か
ら現像済み写真フイルム32を取り出す作業が必要とな
る。この作業は、オペレーターが小型のマイナスドライ
バー等の治具を用いて、係止爪16と被係止部17との
係止を解除させる。このときの治具の挿入方向は、カバ
ー板24が切り取られているから、上方からではなく両
側の方向から開口23に向けて挿入することもできる。
また、フイルムプロセサの押し棒40,41は、パトロ
ーネ本体6の両側から開口23に押し込むようにしても
よい。この場合には、予めカバー板24を切り取ってお
かなくても、押し棒40,41によってカバー板24が
薄肉部25の部分で折れ曲がるから、カバー板24を切
り取ったのと同じ効果が得られる。
【0049】図15は、上ケース60と下ケース61と
の係止をさらに補強するために、補強用のクリップ62
を用いた写真フイルムパトローネ63を示す。下ケース
61には被係止部64が、また上ケース60には下ケー
ス61に設けられた開口65を介して被係止部64に係
合する係止爪66がフイルム出入口13の両側にそれぞ
れ設けられている。クリップ62は、開口65の一部を
形成する下ケース61のリブ67と、上ケース60の突
起部68とをクリップしている。
【0050】この写真フイルムパトローネ63は、フイ
ルムプロセサにセットする前にクリップ62が取り外さ
れる。この取外し作業は、同図に示す矢印A方向に向け
て治具等を挿入するもので、これによってクリップ62
を簡単に取り外すことができる。
【0051】クリップ62を取り外した後には、図16
に示すように、下ケース61の両側面に形成したカバー
板24を折り曲げて切り取る。カバー板24を切り取っ
た後には、前述したようにフイルムプロセサにセットさ
れる。このフイルムプロセサのパトローネ開閉装置は、
押し棒を図15に示す矢印B方向に向けて挿入するよう
になっている。これにより係止爪66が被係止部64か
ら退避する方向に撓んで、係止爪66と被係止部64と
の係止が解除される。
【0052】図17は、上ケース71と下ケース72と
をクリップ73で係止させた写真フイルムパトローネ7
4を示す。クリップ73は、図18に示すように、フイ
ルム出入口13の両側にそれぞれ設けられており、これ
らの下方側が下ケース72に回動自在に軸着されてい
る。これにより、クリップ73は、係止解除されても、
下ケース72から分離されないので、紛失することが防
止される。なお、図19に示すように、これらのクリッ
プ73を連結部75で連結した一体形成品としてもよ
い。なお、クリップ62,73の材質としては、ポリス
チレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ナイロン樹脂等が好ましい。また、未露光写真フ
イルムを収納したパトローネと現像済み写真フイルムを
収納したパトローネとでグリップ62,73の色を異な
ったものにすると、両者の識別が容易となるので好まし
い。
【0053】図20及び図21に示した写真フイルムパ
トローネ80は、カバー板24を棒状の治具で押し破る
と、自然に上ケース81と下ケース82との係止が解除
されるようにした実施例である。写真フイルムパトロー
ネ80は、上ケース81と下ケース82とで矩形な形状
をしている。上ケース81と下ケース82とは、フイル
ム出入口13の反対側で軸着ピン83を中心に回動自在
となっている。上ケース81のフイルム出入口の両側に
は、下方に向けて突出した係止爪84が一体に形成され
ている。また下ケース82には、係止爪84が入り込む
開口85が形成されている。これらの開口85には、係
止爪84に係止する被係止部86が突出して形成されて
いる。開口には、下ケース82の両側面に向けて横穴8
7が形成されている。横穴87には、係止爪84を被係
止部86から退避する方向に向けて押す治具が外部から
挿入される。
【0054】横穴87には、治具の挿入を阻止するよう
に、カバー板24が3つの薄肉リブ89に連結されて下
ケース82に一体成形されている。これらのカバー板2
4は、フイルムプロセサの装填室に内蔵された解除ピン
によって薄肉リブ89から切り取られる。この解除ピン
は、カバー板24を切り取った後に、横穴87を通って
係止爪84を押す。これにより、係止爪84と被係止部
86との係止が解除される。
【0055】図21で説明した実施例では、カバー板2
4を人手によって切り取る他に、カバー板24の切り取
り作業を自動的に行うこともできる。すなわち、フイル
ムプロセサの装填室に、スプール軸方向に移動自在な解
除ピンをパトローネ本体6の両側に設け、撮影済みの写
真フイルムパトローネがセットされた後に、これらの解
除ピンを移動させて両側のカバー板24を押し破る。解
除ピンでカバー板24を押し破ると、自然に係止爪84
にも当接し、解除ピンの移動を継続することにより、係
止爪84と被係止部86との係止が解除される。これに
より、カバー板24を自動的に切り取るため、人手によ
って生ずる切取り忘れを防止することができ、カバー板
24での識別を確実なものとすることができる。
【0056】図22ないし図40に示す写真フイルムパ
トローネ99は、2つのクリップ100だけで上・下ケ
ース101,102を係止するタイプであり、しかも、
上ケース100に支持棒103を設け、この支持棒10
3によって下ケース102に対して上ケース101を僅
かに開いた開き位置に保持できるようにしたものであ
る。なお、この実施例では、図3で説明したものと実質
的に同じ部材には同じ符号を付してある。
【0057】写真フイルムパトローネ99は、図22に
示すように、ヒンジ部20を構成する軸21と軸受け部
22とによって上・下ケース101,102とが回動自
在となっており、写真フイルム32を収納した際にはク
リップ100によって閉じ位置に係止されている。
【0058】クリップ100は、図23に示すように、
フイルム出入口13の両側にそれぞれ取り付けられるよ
うになっている。これらのクリップ100は、写真フイ
ルム32を現像する際に写真フイルムパトローネ99の
両側面からスプール9の軸方向に沿って挿入される治
具、例えば押し棒104によって取り外すことができ
る。押し棒104は先端に、クリップ100を解除する
方向に向けて傾斜したテーパ104aが設けられてい
る。
【0059】クリップ100は、図24に示すように、
C形状の両先端に係止爪100a,100bが形成され
ており、これらの間の部分が弾性自在となっている。ま
た、係止爪100a,100bには、テーパ100cが
それぞれ形成されており、押し棒104の挿入によって
容易に取り外せるようにされている。上・下ケース10
1,102には、係止爪100a,100bに係合する
被係止突起101a,102aがそれぞれ形成されてい
る。
【0060】図25に示すように、写真フイルムパトロ
ーネ99の左側面には、前記押し棒104が挿入される
開口105が形成されている。開口105は、右側面に
も形成されており、これらの開口105は写真フイルム
パトローネ99の外周に貼着されたラベル33の耳部3
3aによって塞がれている。開口105を塞いだ部分の
ラベル33aは、図26に示すように、押し棒104が
挿入された際に破かれる。したがって、ラベル33の耳
部33aが破かれているかどうかで未露光の写真フイル
ム32を収納したものと現像済みの写真フイルム32を
収納したものとの識別が容易に行うことができる。開口
105は、クリップ100の係止方向(図22の上下方
向)に対し押し棒104の挿入方向(図22の紙面に対
し垂直方向)を略直交方向に規制する形状となってい
る。すなわち、クリップ100は、輸送中の振動や何か
の衝撃によって外れないようにされているとともに、ユ
ーザーの故意操作によって容易に取り外せないようにさ
れている。
【0061】支持棒103は、図27ないし図30に示
すように、上ケース101の内壁に薄肉状で一体成形さ
れており、弾性自在となっている。この支持棒103
は、ケース101の右側面に形成された開口107を通
して、上ケース101を開く際に、治具、例えばピンに
よって押圧される。
【0062】支持棒103の先端部には、下ケース10
2の内壁に形成した凸部109にクリック係合する凹部
110が形成されている。凹部110は2つあり、先端
側の凹部110aは、図29に示すように上ケース10
1を僅かに開いた開き位置に保持するためのものであ
り、また内側の凹部110bは図27に示すように上ケ
ース101を閉じた閉じ位置に保持するためのものであ
る。
【0063】支持棒103は、図31に示すように、上
ケース101を水平面に置いた際に、支持棒103が水
平面に当接しない長さとなっているので、上ケース10
1の取扱によって支持棒103が破損並びに損傷するこ
はない。
【0064】組立は、図32に示すように、上・下ケー
ス101,102とが互いに45°〜180°、好まし
くは55°〜120°、特に好ましくは70°〜100
°の角度をなすようにして軸21に軸受け部22を係合
させる。このとき、45°の角度以下ではスムーズに係
合させることが困難であり、また180°を越えると係
合しにくくなる。
【0065】その後、上ケース101を軸21に対して
図27に示すように閉じ位置に回転させる。このとき、
支持棒103が凸部109に引っ掛かるが、上ケース1
01を回転させることによって支持棒103が弾性変形
して凸部109を乗り越えるので支障はない。上ケース
101の回転は、閉じ位置の状態となるまで行われる。
この状態とすることで、支持棒103の凹部110bと
凸部109とが係合しているから、その後の搬送過程で
の振動や落下等によって簡単に開くことが防止される。
【0066】写真フイルムを装填する工程では、閉じ位
置状態となった写真フイルムパトローネ99を所定の姿
勢に位置決めした後に、開口107にピンを挿入し、そ
の後、挿入したピンを回転させて上ケース101を図2
7において時計方向に回転させ、ピンを開口107の縁
に引っかけて上ケース101を回転させる。この回転
は、クリック感が得られるまで行われる。このとき、支
持棒103の凹部110aと凸部109とが係合してお
り、これにより、図29に示すように、上ケース101
が開き位置で保持された状態となる。この開き作業の際
には、例えば図12で説明したように上ケースを開き、
そのまま保持しておく複雑で高価な機構を用いることな
く、単にピンを挿入し、そのままピンを回転させて上ケ
ース101を開く機構とすることで機構がローコストと
なる効果がある。
【0067】上ケース101を開いた後には、写真フイ
ルム32のフイルム後端部32bをスプール9に係止さ
せる。その後はスプール9をフイルム巻き込み方向に回
転させて写真フイルム32を収納し、再度ピンで上ケー
ス101を閉じ位置に回転させる。このとき、上・下ケ
ース101,102の内部に写真フイルム32をフイル
ム先端部32aまで全部収納した後に、上ケース101
を閉じると、図33に示すように、遮光用のテレンプ1
4,15のパイル先端同志が櫛歯状に絡み、写真フイル
ム32を送り出す際のスプール回転トルクが多大となる
ことが判明した。
【0068】そこで、スプール9の送り出しトルクが極
力最小となるように、上ケース101を閉じる際の写真
フイルム32の収納方法を実験した。実験は3つの方法
で行った。実験1は、フイルム先端部32aをフイルム
出入口13に残した状態で上ケース101を閉じ、その
後スプール9をフイルム巻き込み方向に回転させてフイ
ルム先端部32aを巻き込む。実験2は、写真フイルム
32全部を収納して上ケース101を閉じる。実験3
は、フイルム後端部32bをスプール9に係止した状態
のまま上ケース101を閉じ、その後、スプール9をフ
イルム巻き込み方向に回転させて写真フイルム32の全
部を巻き込む。このような3つの方法で実験を行った結
果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】なお、実験に用いた装置は、モータとトル
クセンサーとが一体化されている信明電機(株)製の回
転型トルクセンサーである。この装置によってスプール
9をフイルム送り出し方向に回転させた。回転数は180r
pmとした。また、フイルム先端部32aがフイルム出入
口13から露呈したのを検出するセンサーとして、キー
エンス(株)製のファイバー式光電スイッチを用いた。
失敗率は、スプール9を回転させてから10秒経過後に
光電スイッチの信号が得られた場合に成功とし、得られ
ない場合に失敗と判定した。スプール送り出しトルク
は、スプール9を回転させてから停止するまでの間で測
定されるトルクのうち最大トルクを記載した。
【0071】表1の結果からもわかるように、上ケース
101を閉じる前の写真フイルム32の収納方法として
は、フイルム先端部32aをフイルム出入口13に残し
て上ケース101を閉じるのが最も好適であることが分
かった。これによれば図34及び図35に示すように、
フイルム出入口13にフイルム先端部32aを残して上
ケース101を閉じると、フイルム先端部32aでテレ
ンプ14,15との絡みが防止れ、その後、スプール9
をフイルム巻き込み方向に回転させてフイルム先端部3
2aを上・下ケース101,102の内部に収納すれ
ば、テレンプ14,15とのパイルが櫛歯状に絡むのが
防止され、その後に写真フイルム32を送り出す際のス
プール回転トルクが少なくて済むと解析できる。
【0072】なお、実験3でスプール送り出しトルクが
増大した理由としては、上ケース101を閉じた後にス
プール9をフイルム巻き込み方向に回転させて写真フイ
ルム32の全部を巻き込む際の過程で、写真フイルム3
2のパーフォレーションによってテレンプ14,15の
パイルが逆立ってしまっているため、その後の写真フイ
ルム32の送り出しの際に負荷がかかると推測される。
【0073】その後は、2つのクリップ100をフイル
ム出入口13の両端に前方から挿入して取り付ける。こ
のとき用いるクリップ100は、上・下ケース101,
102と同じ色が好ましく、特に目立たない色、例えば
黒等が好適である。その後、ラベル33を上・下ケース
101,102の外周に貼着する。このとき、勿論耳部
33aで開口105を塞ぐようにする。その後は、完成
した写真フイルムパトローネ99を収納容器等に収納し
て出荷する。
【0074】写真フイルムパトローネ99は、撮影済み
の写真フイルム32を収納した状態で現像所に提出され
る。現像所では、写真フイルムパトローネ99をフイル
ムプロセサに装填室にセットされる。この装填室には、
図36に示すように、写真フイルムパトローネ99の両
側に押し棒104が、また右側にピン120がそれぞれ
配置されている。勿論スプール9に係合してスプール9
を回転さる機構も配置されており、この機構によって、
スプール9がフイルム送り出し方向に回転され、写真フ
イルム32がフイルム先端部32aから引き出される。
写真フイルム32の引き出しは、フイルム後端部32b
がスプール9に係止されているため、引き出せるところ
まで引き出した後に終了する。
【0075】次に、クリップ100を取り外す。この取
外し作業は、上ケース101の開口105を通じて押し
棒104を挿入して取り外す。押し棒104には、先端
にテーパ104aが形成されているため、スムーズに取
り外すことができる。このとき、押し棒104の挿入に
よって開口105を塞いだラベル33の耳部33aが破
かれ、以後現像済みの写真フイルム32を収納した写真
フイルムパトローネ99であることが容易に識別でき
る。なお、例えば、内部にトラブルが生じてラベル33
の耳部33aを破くことなくクリップ100を取り外し
たいことも予想される。このため、上ケース101に
は、図37に示すように、押し棒104が開口105に
挿入されると、クリップ100は係合が外れ、取り外す
ことができる。その他に、開口105の奥に同図に示す
矢印C方向に沿った斜面112aを有する凹部112が
形成されているが、この斜面112aに沿って治具を挿
入してクリップ100を取り外すこともできる。
【0076】その後、上ケース101の開口105にピ
ンを挿入し、上ケース101を開き位置に回転させる。
これにより、支持棒103の凹部110aと凸部109
とが係合し、上ケース101が開き位置に保持される。
そして、フイルム後端部32bとスプール9との係合を
解除する。この解除作業の際には、例えば図9で説明し
たように上ケースを開き、そのまま保持しておく複雑で
高価な機構を用いることなく、単にピンを挿入し、その
ままピンを回転させて上ケース101を開く機構とする
ことで機構が簡単となり、ローコストとなる効果があ
る。
【0077】フイルム後端部32bとスプール9との係
合を解除した後には、写真フイルム32をフイルムプロ
セサの内部に搬送し、現像処理する。写真フイルム32
が搬送された後には、上ケース101が再び閉じられ
る。
【0078】現像済みの写真フイルム32は、プリンタ
プロセサに搬送され、プリンタ処理される。この間に空
の写真フイルムパトローネ99はプリンタプロセサの装
填室にセットされる。この装填室にもフイルムプロセサ
の装填室に配置したと同じ機構が配置されており、セッ
トされた写真フイルムパトローネ99は、再び上ケース
101がピンによって開き位置に開かれる。
【0079】プリント処理された現像済みの写真フイル
ム32は、フイルム後端部32bを先頭にして搬送さ
れ、スプール9に係止される。その後は、組立時と同じ
作業を行う。すなわち、上ケース101を開いた状態で
スプール9をフイルム巻き込み方向に回転させ、写真フ
イルム32を巻き取る。スプール9の回転は、フイルム
先端部32aをフイルム出入口13に残した状態で終了
する。そして、上ケース101を閉じた後に、再びスプ
ール9をフイルム巻き込み方向に回転させてフイルム先
端部32aを巻き込む。
【0080】最後にクリップ100を取り付ける。この
ときに用いるクリップ100は先に取り外したクリップ
100を用いるのではなく、新品のクリップ100を用
いるのが望ましい。また、このとき用いるクリップ10
0の色としては、先に取り外したクリップ100の色と
は異なった色、例えば白、赤、青、緑、黄、及び、灰色
等の目立つ色が好適である。このようにすると、ラベル
33の耳部33aの破損状況の他に、クリップ100の
色でも識別することができるようになる。
【0081】上・下ケース101,102の被係止突起
101a,102aとクリップ100との形状は表2に
記載した寸法となるように規定するのが好ましい。な
お、表2で用いた記号は、図38ないし図40にそれぞ
れ示した寸法を表している。
【0082】
【表2】
【0083】このような形状に規定する理由を以下に示
す。L/Hが0.55mmを越える場合、T/Hが0.08mm未満
の場合、及び、W/Hが0.2mm 未満の場合には、クリッ
プ100の剛性が低く柔らかすぎて、上・下ケース10
1,102の係止保持力が50gf以下となり不十分である
ためである。
【0084】また、L/Hが0.25mm未満の場合、T/H
が0.25mmを越える場合、及び、W/Hが0.6mm を越える
場合には、クリップ100の剛性が大きすぎて、装着す
る際に必要とされる挿入力が5Kgf以上必要で、上・下ケ
ース101,102への装着が困難である。
【0085】A−Gが0.5mm 未満の場合には、クリップ
100が開いて変形する量が不十分でクリップ100が
外れやすい。また、2.5mm を越える場合には、クリップ
100が開いて変形する量が大きすぎてクリップ100
が破損する恐れがある。また挿入するのに必要な力が5k
gf以上必要となり、クリップ自動装着装置を考慮した場
合に装置自体のコストアップとなる。
【0086】B−Gが0.1mm 未満の場合には、クリップ
100が開いて変形する量が不十分で、十分な係止力
(50gf) が得られない。また、1.0mm を越える場合に
は、クリップ100が開いて変形する量が大きすぎてク
リップ100が破損する恐れがある。
【0087】A−Bが0.5mm 未満の場合には、段差が小
さく、クリップ100が外れやすい。また、1.5mm を越
える場合には、段差が大きくなりすぎてクリップ100
が破損する恐れがある。また、5Kgf以上の挿入力が必要
となる。
【0088】また、上・下ケース101,102とを係
止するクリップ100の保持力を変化させて2mの高さか
らコンクリート床上に3回落下テストを行い、上・下ケ
ース101,102のズレ等を測定した結果、クリップ
100の保持力を50gf未満とした場合では、上・下ケー
ス101,102 に貼着したテレンプ14,15の厚み方向の
反発力に抗して上・下ケース101,102を正しい位
置関係に保持することができなかった。また、クリップ
100の保持力を1500gfを越える値とした場合には、上
・下ケース101,102への装着に非常に大きな力が
必要になりクリップ自動装着装置自体のコストアップに
なる。また、クリップ100を解除する際に必要な力も
非常に大きくなりフイルムプロセサのコストアップとな
る。
【0089】したがって、上・下ケース101,102
とを係止するクリップ100の保持力としては、50〜15
00gfが好ましく、200 〜800gf が最も好ましい。
【0090】上・下ケース101,102にクリップ1
00を装着する際の力としては、5Kgf以上だとクリップ
100又は上・下ケース101,102が破損する恐れ
があり、またクリップ装着装置自体のコストアップにつ
ながるため、5Kgf以下が好ましく、2Kgf以下が最も好ま
しい。
【0091】クリップ100を解除する際に挿入される
押し棒104の挿入力としては、5Kgf以上だと上・下ケ
ース101,102が破損する恐れがあり、またフイル
ムプロセサのコストアップにつながるため、5Kgf以下が
好ましく、2Kgf以下が最も好ましい。
【0092】以上のように最も好ましい実施態様の例を
記載した理由としては、工場から出荷した後に、万が一
クリップ100が脱落し、上・下ケース101,102
が開いた場合には、当然未露光の写真フイルムが露光さ
れてしまうからである。そこで、このような問題を確実
に解決するために、上・下ケース101,102との一
部分を超音波溶着することも考えられる。例えば、クリ
ップ100を装着する前に、上・下ケース101,10
2の係止爪101a,102aを係止した合わせ目に僅
かに超音波溶着機によって溶着し、その後クリップ10
0を装着すれば、万が一クリップ100が輸送中やユー
ザーの故意な操作によって取り外されても、上・下ケー
ス101,102が開くことはない。
【0093】しかしながら、上・下ケース101,10
2を溶着すると、現像所で上・下ケース101,102
を開く際に大きな力が必要になるとともに、溶着した部
分がこじりあけられ、上・下ケース101,102とを
繰り返し使用できなくなる。そこで、前述したように輸
送中やユーザーの故意な操作によってクリップ100が
簡単に取り外れないように寸法等の規定、及び押し棒1
04が挿入される開口105の規制等を行う必要があっ
た。
【0094】なお、図39に示すように、B−Gをプラ
ス目とし、クリップ100を装着した際にこのプラス目
の分で上・下ケース101,102を係止させるように
しているから、2つのクリップ100の係止爪100
a,100bに設けたクリップ100のテーパ100c
の面と平面との境界線は、常態がハの字状に僅かに傾斜
した状態となる。これを上・下ケース101,102に
装着すると図24に示したように前記境界線が鉛直とな
る。これにより、押し棒104を挿入した際に押し棒1
04のテーパ104aと平行に当接するようになる。
【0095】なお、押し棒104を挿入する開口105
を上ケース101に設ける代わりに、図41に示すよう
に、開口130を下ケース102の両側面に形成しても
よい。この場合は、開口130のみを塞ぐラベルを貼り
付けるようにしていおくのが望ましい。これによれば、
クリップ100の外れに対する安全性が高くなる。
【0096】クリップ100の樹脂材料としては、変形
ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリカーボネ
ート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びナイロン等
が好ましい。また、上・下ケース101,102、及び
スプール9の樹脂材料としては、大量生産適性や価格等
の点で可塑性樹脂材料が好ましく、遮光性付与剤として
はカーボンブラックを0.05重量%〜3.00重量%含有する
ものを用いればよい。また、このような樹脂に必要に応
じてシリコーンオイル等の滑剤、帯電防止剤、酸化チタ
ン等の無機あるいは有機顔料、ステアリン酸亜鉛等の加
工助剤、酸化防止剤、核剤、可塑剤等を含有させてもよ
い。
【0097】樹脂としては、ポリスチレン樹脂、耐衝撃
製ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重
合体樹脂、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体樹脂、ポリプロピレン樹脂、高密度ポリエチレン
樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン
テレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化
ビニール樹脂あるいは、それらの変性樹脂等が好適であ
る。特に、上・下ケース101,102、スプール9、
及びラベル33をポリスチレンとし、クリップ100を
変形ポリフェニレンエーテルとした組み合わせが好まし
い。
【0098】また寸法精度確保、物理強度確保、超音波
溶着適性向上等を考慮した場合には、メルトフローレー
トが1.0 〜10.0g/10分、好ましくは2.0 〜8.0g/10 分、
特に好ましくは2.5 〜7g/10 分の合成ゴムが0.1 〜10重
量%含まれている耐衝撃性ポリスチレン樹脂が好まし
い。この樹脂のその他の好ましい必要特性は、変形防止
の点から曲げ弾性率15,000〜30,000kg/cm2、好ましくは
1,8000〜28,000kg/cm2、特に好ましくは20,000〜28,000
kg/cm2であり、ビカット軟化点(15kg 荷重) は80°C 以
上、好ましくは85°C 以上、特に好ましくは、90°C
以上である。
【0099】このような樹脂に含有されるカーボンブラ
ックは、遮光性確保のために添加されるものである。カ
ーボンブラックの製造法による分類としては、ファーネ
ス法カーボンブラック、チャンネル法カーボンブラッ
ク、サーマル法カーボンブラック等があるが、写真的悪
作用(カブリの発生、感度低下または感光度の増加等)
が少ない、あるいは遮光性の点で、平均粒子径が10〜80
mμ、PH5 〜9 のファーネスカーボンブラックが好まし
く、特に15〜50 mμ、PH6 〜8 のファーネスカーボンブ
ラックが好ましい。
【0100】市販品としては、例えば三菱化成製のカー
ボンブラック#20(B),#30(B),#33(B),#40(B),#41(B),#44
(B),#45(B),#50,#55,#100,#600,#2200(B),#2400(B),MA
8,MA11,MA100 等があげられる。海外の製品としては、
例えばキャボット社のBlack Pearls 2 ,46,70,71,74,8
0,81,607 等、Regal 300,330,400,660,991,SRF-S 等、S
terling 10,SO,V,S,FT-FF,MT-FF等があげられる。さら
に、アシュランド・ケミカル社のUniteel R,BB,15,102,
3001,3004,3006,3007,3008,3009,3011,3012,XC-3016,XC
-3017,3020等があげられるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0101】ファーネスカーボンブラックの粒子径が10
mμ未満であると樹脂との混練性が悪く遮光性、物理強
度が悪化する。逆に100mμを越えると分散は良くとも遮
光能力が劣り、遮光性確保のためにカーボン濃度を上げ
ると物理強度の低下、成形性の悪化を起こし実用に耐え
なかった。また、PHが5 〜9 の範囲を越えるカーボンブ
ラックの多くは、写真的悪作用を起こしやすく使用不可
であった。
【0102】ファーネスカーボンブラックの添加量は、
遮光性確保、射出成形性、パトローネ本体の物理強度確
保の点から、0.05重量% 〜3.00重量% が好ましい。カー
ボンブラックの添加量が0.05重量% 未満であると遮光性
が不十分であり、3.00重量%を越えるとパトローネ本体
の物理強度が低下し、かつ吸水率が高まるために射出成
形時ウエルドマーク、銀条等が発生し、外観不良、表面
強度の劣化を引き起こす。
【0103】遮光性物資としては、カーボンブラック以
外に酸化チタン、ベンガラ、炭酸カルシユウム等の無機
顔料、あるいは有機の染料を併用してもよい。
【0104】上・下ケース101,102、あるいはス
プール9に滑性を与える方法としては、それらを成形す
る樹脂に滑剤を添加して成形する方法と、成形品に滑剤
を塗布する方法とがある。滑剤としては、シリコーンオ
イル類、オレイン酸アミドやエルカ酸アミド等の高級脂
肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属
塩、高級アルコールエステル、多価アルコールのエステ
ルの脂肪酸エステル等があるが、特に限定されるもので
はない。添加量は、0.001 〜10重量% 、好ましくは0.
005 〜5 重量% 、特に好ましくは0.01〜3 重量%であ
るが、滑性効果、写真フイルムの写真特性に対する悪影
響の程度を考慮し、滑性の種類や写真フイルムの種類(
カラーネガ、リバーサル、白黒ネガ等) や写真フイルム
の感度等により選択することが大切である。
【0105】上・下ケース101,102、あるいはス
プール9に添加されるシリコーンオイルとしては、特開
昭62−286043号公報、あるいは特開昭62−2
84355号公報に記載されているジメチルポリシロキ
サンとカルボキシル変性シリコーンオイルが好ましい。
シリコーンオイルの添加量は、0.05重量% 〜5.0 重量%
、好ましくは1.0 重量% 〜3.0 重量% の間である。
【0106】0.05重量% 以下では、目的の滑性効果が得
られないし、添加量が5.0 重量% を越えると射出成形機
のスクリュウ内で樹脂がスリップを起こし、成形サイク
ルが長くなるばかりでなく、成形品表面に染みだすシリ
コーン量が多くなり、染みだしたオイルが上・下ケース
101,102内で写真フイルムに転写し、写真フイル
ム現像時に現像処理液の写真フイルムへの拡散を妨げる
等の写真的悪作用が発生する。
【0107】シリコーンオイルは、25°C の粘度が1000
〜60000CS であることが好ましい。25°C の粘度が1000
CS未満では、ブリードアウトが激しく、写真性能に枠影
響を及ぼす。60000CS を越えると、樹脂との混練性が悪
く使用に耐えない。また、シリコーンオイルには、上記
以外にもフッソ変性シリコーンオイル等各種変性シリコ
ーンオイルが市販されているが、その多くは写真フイル
ムの写真性に悪影響を与えるので、厳選して使用するこ
とが重要である。滑性付与が不十分、あるいは射出成形
時熱分解が激しい等の理由で写真フイルムパトローネ用
には使用できなかった。
【0108】実施例で用いたテレンプ14,15として
は、細幅布を使用した。この細幅布は、その基布の経糸
として50デニール/10フィラメントの東レ(株)製
の制電性ナイロンパレル糸、緯糸として70デニール/
24フィラメントの東(株)製の制電性ナイロンパレル
糸を用い、パイル糸は100デニール/48フィラメン
トの東レ(株)製のプロミランT8100ナイロン糸を
用いた。
【0109】これらの経糸、緯糸、パイル糸は、織る前
に、ウインス型染色機でミツイナイロンブラックSGL
6%OWF黒色に染色した。そして、ニールド織機によ
り、経糸の打ち込み密度を220本/インチ、緯糸の打
ち込み密度を85本/インチ、パイル密度を役6800
0本/cm2 、織物幅を4.0mm、パイル部分の織幅
を3.2mmで織った。
【0110】なお、テレンプ14,15の代わりに、図
42及び図43に示すように、蓋部材141を用いた写
真フイルムパトローネ140としてもよい。この蓋部材
141は、上・下ケース142,143のフイルム通路
144の内部に回動自在に組み込まれており、スプール
9の軸方向に沿った両端、又は片端が上・下ケース14
2,143の側面に露呈している。蓋部材141の端面
にはキーが形成されている。このキーに係合する外部操
作部材の回動によって、蓋部材141は、図43に示す
ように、フイルム通路144を塞ぐ閉じ位置とこれから
時計方向に90°回転してフイルム通路144を開く開
き位置との間で回動する。
【0111】現像所では、蓋部材141を開き位置にし
た後に、上ケース142を開く。このとき、蓋部材14
1は下ケース143に保持された状態となる。以後は、
前述したような作業によって写真フイルム32が引き出
され、フイルムプロセサで現像処理された後に、プリン
タプロセサでプリント処理され、その後、プリンタプロ
セサの装填室で現像済みの写真フイルム32が上・下ケ
ース142,43に収納される。収納した後には、蓋部
材141が閉じ位置に回転された状態でユーザーに返却
される。なお、図42及び図43では、図1及び図22
で説明したものと実質的に同じものに同符号を付してあ
る。
【0112】写真フイルムパトローネ5,63,74,
80,99,140の保管状態によれば、写真フイルム
32の送り出し時に座屈が発生したり、フイルム先端部
32aと下層とが密着することがあるが、そのため本発
明では写真フイルム32を構成する支持体として、ポリ
エチレンナフタレート(以下,PENと呼ぶ)を用いる
ことが好ましい。
【0113】PENは、ポリエステルフイルム等の高分
子からなる支持体を製膜後、50°C以上,前記支持体
のガラス転移温度以下の温度で熱処理することにより得
られる素材で、著しく巻き癖の付きにくい支持体にする
ことができる。しかし、この巻き癖を付きにくくする熱
処理の効果もガラス転移温度を越える温度にさらされる
と消失するため、なるべくガラス転移温度が高いポリエ
ステルを用いることが望ましい。一般的な写真フイルム
32の使用条件下で最も高温となる状態、すなわち夏期
の昼光下の車中での温度が80°C程度であることを考
慮して、85°C(望ましくは90°C)以上のガラス
転移温度を有することが必要である。
【0114】なお、上述の汎用ポリエステルフイルム等
の高分子で、ガラス転移温度が200°Cを越え、写真
フイルム等に使用できる程度の透明性を有するものは存
在しない。したがって本発明の写真フイルム32に用い
られる高分子、例えばポリエステルフイルムに求められ
る温度条件は、ガラス転移温度が85°C(望ましくは
90°C)以上200°C以下ということになる。
【0115】上述した、ガラス転移温度以下の温度で熱
処理することによって巻き癖の付きにくい支持体を得ら
れる高分子フイルムの代表としてポリエステルフイルム
が挙げられるが、このポリエステルフイルム群の中で
も、特に巻き癖の付きにくさと力学的強度をバランスよ
く有するという高い性能を持つ素材がナフタレンジカル
ボン酸とエチレングリコールを主原料とするポリエステ
ルフイルムであり、その中でも特に上記性能を有するの
がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
ト(PEN)であった。
【0116】上記PENを写真フイルム32の支持体と
して用いるときは、40μm以上の厚みであることが特
に望ましい。本発明の写真フイルム32の製造は支持体
製膜後にガラス転移温度の温度で熱処理を施し、感光層
塗設を行うことになるが、支持体の厚みが40μm未満
であると感光層塗設後の乾燥時の収縮応力に耐えること
ができない。また極端に薄い支持体は、写真プリンター
等での搬送時に「折れ」等のトラブルが生じることもあ
る。
【0117】なお、本発明で用いられているガラス転移
温度は次のように定義する。 ガラス転移温度(Tg) 示差熱分析計(DSC)を用い、サンプルフイルム10
mgをヘリウム,窒素気流中20°C/分で昇温してい
った時、ベースラインから偏奇しはじめる温度と新たな
ベースラインに戻る温度の算術平均温度、もしくはTg
に吸熱ピークが現れた時は、この吸熱ピークの最大値を
示す温度とする。
【0118】次に本発明で用いられる、ガラス転移温度
が85°C(望ましくは90°C)以上200°C以下
のポリエステルを生成する際に必要な、ジオールとジカ
ルボン酸について列挙する。使用可能なジカルボン酸と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水
フタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、無水コハク酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレ
イン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ
無水フタル酸、ジフェニレンp,p’−ジカルボン酸、
テトラクロロ無水フタル酸、3,−6エンドメチレンテ
トラヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸などを挙げることができる。
【0119】使用可能なジオールとしては、エチレング
リコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプ
タンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−
デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4
シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,1−
シクロヘキサンジメタノール、カテコール、レゾルシ
ン、ハイドロキノン、1,4−ベンゼンジメタノールな
どを挙げることができる。なお、本発明はこれに限定さ
れるものではない。
【0120】次に本発明に用いるポリエステルの好まし
い具体的化合物例を示すが、本発明はこれに限定される
ものではない。 ポリエステル化合物例 ホモポリマーのみ例として挙げるが、共重合体も多数あ
る。 PEN:〔2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)/エチレングリコー ル(EG) (100/100)〕 Tg=119°C PCT:〔テレフタル酸(TPA)/シクロヘキサンジメタノール(CHDM )(100/100)〕 Tg=93°C PAr:〔TPA/ビスフェノールA(BPA) (100/100)〕 Tg=192°C
【0121】以上で説明したような特性を持つPENを
写真フイルム32の支持体として用いるにあたり、座屈
トルクの測定を行なった。この座屈トルクの測定は図4
4に示すように、スプール9に写真フイルム32を反時
計方向にロール状に巻いたものを用いる。そして、スプ
ール9の軸端に形成されたキー孔を測定機に設けられた
駆動軸に係合させ、写真フイルム32が回動しないよう
に固定して測定機にセットする。なお、このとき用いた
スプール9の軸径dは7mmとし、写真フイルム32の
最大巻直径Dを17mmとした。この状態で駆動軸を反
時計方向に回転させると、スプール9は回転しようとす
るが写真フイルム32は固定されているため、写真フイ
ルム32とスプール9との接続部である写真フイルム3
2のフイルム後端部32bに負荷がかかる。このまま負
荷が増大するとフイルム後端部32bは折れ曲がり、巻
き方向が逆向きになる座屈反転を起こす。座屈トルクと
は、このときの駆動軸の回転トルクを計測したものであ
る。
【0122】PENと比較する他の材料としては、PE
T(ポリエチレンテレフタレート)を用い、温度32°
C,湿度85%RHの条件下において、PENは80μ
m,85μm,90μmの三種類の肉厚で、PETは9
0μmの肉厚を用いて上記の測定を行なった。なお、上
・下ケースの内部から写真フイルム32のフイルム先端
部32aをカメラ内の摩擦抵抗に屈せず、カメラの巻取
り軸に安定的に搬送するには900g・cm以上の回転
トルクが必要である。このことから、回転トルク900
g・cm以下で座屈する写真フイルム32は不適格であ
ると判断する。この測定結果を下記表3に示す。
【0123】
【表3】
【0124】上記測定結果から判るように、厚みが85
μm以上のPENは85%RHの高湿下でも必要な送り
出しトルクに耐えうるものである。また、高湿下におけ
るPETは、さらに厚みを増さなければ必要な回転トル
クに耐えられず座屈してしまう。
【0125】また、厚みの違いによる材料の腰の強さを
表すループスティフネス測定も行なった。ループスティ
フネスの試験は、図45に示すような構造の測定機を用
いて行った。このループスティフネス測定機は、所定
幅,例えば35mm幅の試料150をループ状にして試
料保持アーム151に保持させ、試料保持アーム151
の先端151aと試料150の先端との距離Zが、例え
ば50mmになるようにセットする。そして、試料保持
アーム151の右方に設けた押圧アーム152を試料保
持アーム151に向かって移動させ、試料150の先端
を押圧する。そして、試料150の変位Yが例えば25
mmとなるために押圧アーム152に加えるべき荷重X
(g)を測定する。この荷重Xがループスティフネスで
ある。なお、上述した座屈トルクが900g・cm以上
の写真フイルムを得るには、このループスティフネスが
24g以上必要である。
【0126】上記座屈トルクの測定と同様の温湿度及び
肉厚で、PET(ポリエチレンテレフタレート)と比較
して測定を行なった。その測定結果を下記表4に示す。
【0127】
【表4】
【0128】この結果によれば、PENは高温,高湿下
においてもPETに比較して極めて腰が強いことが判
る。上述した特性及び測定結果から明らかなように、P
EN(ポリエチレンナフタレート)は、ガラス転移温度
が120°C付近と十分高いため熱処理も可能であり、
それにより著しく巻癖の付き難い写真フイルムが得られ
る。特に力学的強度は高い曲弾性を有しており、80μ
mの厚みにおいては、現在提供されているパトローネ付
き135写真フイルム用に支持体として使われているT
AC(トリアセチルセルロース)の122μmに相当す
る強度を持ち、85μmの厚みでは85%RHという高
湿条件下においても必要な強度を有するものである。
【0129】また、本発明で用いた写真フイルム32の
支持体はPEN(ポエチレンナフタレート)以外でも、
上述したPCT,PAr等の類似の物理特性を有する素
材を用いることもできる。すなわち、ガラス転移温度が
85°C(望ましくは90°C)以上200°C以下の
ポリエステルフイルムであり、該ポリエステルフイルム
支持体の厚みが40μm以上,100μm以下であり、
かつ50°C以上,ガラス転移温度以下の温度で熱処理
されることによって可能となる。
【0130】さらに、写真フイルム32を構成する支持
体の材質を新素材のPEN(ポリエチレンナフタレー
ト)とし、ガラス転移温度以下の熱処理を加えたことに
より、極度の高温(80°C以上)の元で放置された場
合,極端な乾燥状態(15%RH以下)で使用された場
合でも巻き癖が少なく、常に安定したフイルム先端部3
2aの分離が可能となり、高湿下でも写真フイルム32
の表裏面の摩擦抵抗の増加や密着を防止できるので、座
屈が発生しない写真フイルム32が得られる。また、写
真フイルム32の支持体の強度が格段に向上しているの
で、写真フイルム32自体を薄型化することが可能であ
り、それにより写真フイルムパトローネの小型化,小径
化とともに、写真フイルムパトローネの一定な内径にロ
ール状に収納できる写真フイルム32の長さが多くなる
から撮影コマの数を増やすことも可能である。
【0131】各実施例で説明した写真フイルムパトロー
ネは、スプール9の回転によって写真フイルム32を送
り出すタイプである。このため、図1で説明したよう
に、写真フイルム32の最外周に接してスプール9から
写真フイルム32が巻き緩むのを防ぐリブ10が上・下
ケースの内部に形成されている。写真フイルム32の最
外周に接してスプール9から写真フイルム32が巻き緩
むのを防ぐ手段としてはリブ10の他に、スプール9の
両端に設けた2つのフランジの外周にリップをそれぞれ
設け、これらのリップによって写真フイルム32の最外
周に接してスプール9から写真フイルム32が巻き緩む
ようにするタイプもある。
【0132】このような2つのタイプの写真フイルムパ
トローネに写真フイルム32を収納する場合には、規定
撮影枚数に応じて写真フイルム32の長さが変化するた
め、スプール9に巻かれた状態の巻径が変化する。そこ
で、常に写真フイルム32の最外周に接するように、規
定撮影枚数に応じてリブ10、又はリップの内径を変化
させる必要がある。
【0133】例えば、リブ10を用いる写真フイルムパ
トローネに、前述したように支持体の材料にPENを用
いた写真フイルムを収納する場合には、表5に示しよう
に、規定撮影枚数に対するリブ10の内径を定めるのが
好適である。
【0134】
【表5】
【0135】なお、表5に示した数値は、以下に示す5
つの条件によって定めた。 支持体をPENとした写真フイルム32の厚み・・・・・・・100μm 写真フイルム32の1コマ分の長さ・・・・・・・・・・・・38mm フイルム先端部32aとフイルム後端部32bとの合計長さ・260mm スプール9の軸径・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7mm 写真フイルム32の最外周とリブ内周との隙間・・・・・・・0.5mm
【0136】また、表5ではリブ10の内径を変化させ
るようにしているが、リブ10の内径を一定にしてスプ
ール9の軸径を表5に示したリブ10の内径の変化量と
実質的に同じように変化させてもよい。さらに、リップ
付きフランジを用いた写真フイルムパトローネの場合に
も表5に示したリブ10の内径の変化量と実質的に同じ
ようにリップの内径を変化させればよい。
【0137】現在提供されている135タイプの写真フ
イルムに用いられている金属製のパトローネの内径は2
3.5mmとなっている。支持体の材料をPENとした
写真フイルムをこのパトローネに収納させると、撮影規
定枚数を130コマ分得られる長さまで収納可能とな
る。周知のように、現在提供されている支持体の材料を
TACとした写真フイルムは、パトローネ内に収納でき
る長さが、撮影規定枚数が36コマ分得られる長さとさ
れている。そこで、このパトローネに支持体をPENと
した写真フイルムを収納することを考慮すると、12〜
130コマ分、好ましくは40〜120コマ分、特に好
ましくは48〜130コマ分、最も好ましくは50〜1
00コマ分得られる長さを収納することが可能となる。
これにより、パトローネの材料費の節減、リサイクル経
費の節減の他に、スプールやパトローネ用密封容器、化
粧小箱、段ボール用の使用を大幅に削減できる。
【0138】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1記載の
発明では、パトローネ本体を分割する部品がヒンジ部に
よって簡単に開閉させることができるとともに、被係止
部と係止爪との係止を解除するときに挿入される治具の
挿入方向が開口によって規制されるから、係止爪を破損
並びに損傷させることがなく、安全に行える利点があ
る。また、請求項2並びに9記載の発明では、カバー板
の有無、又はラベルの破損状況によって収納される写真
フイルムの種類が識別できるようになるため、例えば、
撮影済み写真フイルムを明室で引き出したりする失敗を
未然に防ぐことができる。
【0139】請求項3並びに10記載の発明によれば、
支持手段を部品のうちいずれか一方に設けたから、現像
所での作業作業がし易くなり、また、装置自体の構造が
簡単となる。また、請求項8記載の発明によれば、フイ
ルム先端部をフイルム通路に残した状態で部品を閉じ、
その後、フイルム先端部を部品内に巻き込むようにした
から、テレンプ同志が互いに櫛歯状に絡むのが防止で
き、フイルム送り出しの際にスプール回転トルクが少な
くて済み効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】写真フイルムパトローネの分解斜視図である。
【図2】写真フイルムパトローネの中央断面図である。
【図3】写真フイルムパトローネの端の断面図である。
【図4】スプールの断面図である。
【図5】スプールの正面図である。
【図6】写真フイルムの後端部を示す斜視図である。
【図7】写真フイルムパトローネの背面側斜視図であ
る。
【図8】カバー板を切り取った状態の写真フイルムパト
ローネの背面側斜視図である。
【図9】スプールと写真フイルムのフイルム後端部との
係止を解除する装置の概略説明図である。
【図10】スプールと写真フイルムとの係止を解除した
状態の説明図である。
【図11】スプールのスリットに爪板を挿入した状態を
示す説明図である。
【図12】スプールと写真フイルムのフイルム後端部と
の係止を行う装置の概略説明図である。
【図13】スプールと写真フイルムのフイルム後端部と
の係止を行う状態を示す説明図である。
【図14】写真フイルムの後端部をスプールに係止した
状態を示す斜視図で、一部を破断して示している。
【図15】補強用のクリップを用いた実施例の写真フイ
ルムパトローネの断面図である。
【図16】図15に示す写真フイルムパトローネの右側
面で、一部を省略している。
【図17】下ケースに回動自在に設けたクリップを用い
た実施例の断面図である。
【図18】図17に示す写真フイルムパトローネの正面
図であり、一部を省略している。
【図19】図17に示した写真フイルムパトローネの他
の例を示す正面図で、一部を省略している。
【図20】治具を挿入することによりカバー板が自動的
に切り取れ、且つ上ケースと下ケースとの係止を解除す
ることができる実施例を示す写真フイルムパトローネの
左側面図である。
【図21】図20に示した写真フイルムパトローネの正
面図で、一部を破断して示している。
【図22】上ケースを開いた状態で保持できる写真フイ
ルムパトローネの実施例であり、クリップ位置での断面
を示している。
【図23】図22に示した写真フイルムパトローネの正
面図である。
【図24】図22のクリップ部分の要部拡大断面図であ
る。
【図25】図23に示した写真フイルムパトローネの左
側面図である。
【図26】図25の要部拡大図である。
【図27】図23に示した写真フイルムパトローネの右
側面図である。
【図28】図27に示したA−A断面図である。
【図29】上ケースを開いた状態の写真フイルムパトロ
ーネの右側面図である。
【図30】図29に示したB−B断面図である。
【図31】上ケースの右側面図である。
【図32】下ケースに上ケースを組み込んだ状態を示す
右側面図である。
【図33】写真フイルムを全部巻き込んだ後に上ケース
を閉じた際のテレンプの絡み状態を示す要部断面図であ
る。
【図34】フイルム先端部をテレンプ内に残した後に上
ケースを閉じた状態を示す要部断面図である。
【図35】図34の状態からスプールをフイルム巻き込
み方向に回転させてフイルム先端部を巻き込んだ後のテ
レンプの絡み状態を示す要部断面図である。
【図36】写真フイルムパトローネの平面図であり、押
し棒とピンとを概略的に示している。
【図37】押し棒の挿入方向と他のクリップの係合を外
す例を示す要部拡大断面図である。
【図38】上・下ケースの要部拡大断面図である。
【図39】クリップの正面図である。
【図40】クリップの平面図である。
【図41】下ケースに開口を設けた別の例を示す要部拡
大図である。
【図42】テレンプの代わりに蓋部材を用いた写真フイ
ルムパトローネの正面図である。
【図43】図42に示した写真フイルムパトローネの断
面図である。
【図44】写真フイルムの座屈トルクを測定する装置の
概略説明図である。
【図45】ループスティフネス測定装置の概略説明図で
ある。
【符号の説明】
5,63,74,80,99,140 写真フイルムパ
トローネ 7,60,71,81,101,142 上ケース 8,61,72,82,102,143 下ケース 9 スプール 16,66,84 係止爪 17,64,86 被係止部 23,105,130 開口 32 写真フイルム 33 ラベル 62,73,100 クリップ 103 支持棒

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 写真フイルムが巻回されるスプールをパ
    トローネ本体内に回動自在に収納し、スプールをフイル
    ム送り出し方向に回転させることにより写真フイルムを
    フイルム出入口からパトローネ本体外部に送り出すよう
    にした写真フイルムパトローネにおいて、 前記フイルム出入口を上下に分けるようにパトローネ本
    体を分割する少なくとも2個の部品と、これらの部品の
    フイルム出入口の両側に各々設けられ、係止爪とこれに
    係止される被係止部とから構成される係止手段と、これ
    らの部品のフイルム出入口の反対側に設けられ、前記部
    品を回動自在に支持するヒンジ部と、前記被係止部と係
    止爪との係止を解除するときに挿入される治具の挿入方
    向を規制する開口とを設けたことを特徴とする写真フイ
    ルムパトローネ。
  2. 【請求項2】 前記開口には、治具の挿入を阻止するよ
    うに開口の一部を遮蔽するカバー板が切取り自在に設け
    られていることを特徴とする請求項1記載の写真フイル
    ムパトローネ。
  3. 【請求項3】 前記パトローネ本体を分割する少なくと
    も2個の部品のうちいずれかに支持手段を設け、支持手
    段によってヒンジ部を中心して回転させた開き位置で互
    いの部品を支持するようにしたことを特徴とする請求項
    1記載の写真フイルムパトローネ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の写真フイルムパトローネ
    を製造する方法において、 前記ヒンジ部を軸とこれに係合される軸受け部とから構
    成し、部品を開いた開き位置で、軸と軸受け部とを係合
    させ、その後、スプールに写真フイルムを巻き付けた後
    に、軸を中心として回転させて前記部品を閉じ位置に閉
    じてから、これらの部品のフイルム出入口の両側に、前
    記係止手段を係止させるようにしたことを特徴とする写
    真フイルムパトローネの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記パトローネ本体の内径が14.4〜
    30mmであり、写真フイルムの撮影枚数が12〜13
    0枚であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか
    記載の写真フイルムパトローネ。
  6. 【請求項6】 前記写真フイルムには、ガラス転移温度
    が85°〜200°C、厚みが40〜100μmのポリ
    エステルフイルム支持体が用いられていることを特徴と
    する請求項1ないし3及び5いずれか記載の写真フイル
    ムパトローネ。
  7. 【請求項7】 前記係止手段の係止方向は、前記開口に
    挿入される治具の挿入方向に対し略直交することを特徴
    とする請求項1記載の写真フイルムパトローネ。
  8. 【請求項8】 フイルム通路の内壁に遮光用のテレンプ
    を設けた請求項1記載の写真フイルムパトローネの製造
    方法において、 前記ヒンジ部を軸とこれに係合される軸受け部とから構
    成し、部品を開いた開き位置で、軸と軸受け部とを係合
    させ、その後、スプールに写真フイルムをこれの後端部
    から巻き付けるとともに、フイルム先端部をテレンプ上
    に残した状態で、軸を中心として回転させて前記部品を
    閉じ位置に閉じてから、フイルム先端部を内部に収納す
    るようにしたことを特徴とする写真フイルムパトローネ
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記パトローネ本体の外周に貼り付けら
    れるラベルによって、前記開口の一部を塞ぐようにした
    ことを特徴とする請求項1記載の写真フイルムパトロー
    ネ。
  10. 【請求項10】 フイルム出入口を上下に分けるように
    分割された少なくとも2個の部品からなるパトローネ本
    体内に、写真フイルムの後端部を係止したスプールを回
    動自在に収納した写真フイルムパトローネの製造方法に
    おいて、 前記部品を開き位置で互いの部品を支持する支持手段を
    前記部品のいずれか一方に設け、前記支持手段によって
    部品を開き位置に保持した状態で、写真フイルムの後端
    部とスプールとの係止、又は係止解除を行うようにした
    ことを特徴とする写真フイルムパトローネの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6155025A (en) * 1997-05-19 2000-12-05 Fuji Photo Film Co., Ltd. Article packaging system
US6205060B1 (en) 1998-06-09 2001-03-20 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of controlling a production process and recycle of photo film cartridge or lens-fitted photo film unit

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