JPH0580202A - プラスチツク製光学部品用の反射防止膜、その製造方法及び該反射防止膜を備えたプラスチツク製光学部品 - Google Patents
プラスチツク製光学部品用の反射防止膜、その製造方法及び該反射防止膜を備えたプラスチツク製光学部品Info
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- JPH0580202A JPH0580202A JP3243422A JP24342291A JPH0580202A JP H0580202 A JPH0580202 A JP H0580202A JP 3243422 A JP3243422 A JP 3243422A JP 24342291 A JP24342291 A JP 24342291A JP H0580202 A JPH0580202 A JP H0580202A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 プラスチック製光学部品1上に、反応性蒸着
法により、入射角60°〜75°のSiO2 斜め入射膜
2よりなる反射防止膜を形成する。 【効果】 反射率が小さく、反射防止特性及び機械的強
度の優れたプラスチック製光学部品を提供できる。
法により、入射角60°〜75°のSiO2 斜め入射膜
2よりなる反射防止膜を形成する。 【効果】 反射率が小さく、反射防止特性及び機械的強
度の優れたプラスチック製光学部品を提供できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック製光学部
品用の反射防止膜に関するものである。
品用の反射防止膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、レンズ等の光学部品においては、
軽量化、ローコスト等のニーズから、ガラス素材に替わ
り、プラスチック素材の多用化が進んでいる。光学部品
に適したプラスチック素材としては、ポリメタクリルメ
タクリレート(以下、PMMAと記す。)、ポリカーボ
ネート(以下、PCと記す。)、ポリスチレン(以下、
PSと記す。)等が従来よりよく知られている。これら
プラスチック素材の屈折率は1.49〜1.80であ
り、ガラス素材と同様の値を示している。しかしなが
ら、前記屈折率をもつ素材をレンズ等に用いた場合、光
の反射率が大きいため、透過光量の減少、複屈折による
ゴースト等の問題が生じる。
軽量化、ローコスト等のニーズから、ガラス素材に替わ
り、プラスチック素材の多用化が進んでいる。光学部品
に適したプラスチック素材としては、ポリメタクリルメ
タクリレート(以下、PMMAと記す。)、ポリカーボ
ネート(以下、PCと記す。)、ポリスチレン(以下、
PSと記す。)等が従来よりよく知られている。これら
プラスチック素材の屈折率は1.49〜1.80であ
り、ガラス素材と同様の値を示している。しかしなが
ら、前記屈折率をもつ素材をレンズ等に用いた場合、光
の反射率が大きいため、透過光量の減少、複屈折による
ゴースト等の問題が生じる。
【0003】そこで、通常ガラス製レンズに対しては、
真空蒸着法により、200℃〜300℃に加熱されたガ
ラス基板上に、MgF2 等からなる蒸着膜を形成するい
わゆるハードコーティングが一般に施されてきた。
真空蒸着法により、200℃〜300℃に加熱されたガ
ラス基板上に、MgF2 等からなる蒸着膜を形成するい
わゆるハードコーティングが一般に施されてきた。
【0004】しかし、プラスチック製レンズの場合は、
一般的に耐熱性が低いため、基板を加熱した状態におけ
る真空蒸着法は使用することができない。また、MgF
2 は、無加熱の基板に蒸着された場合、膜硬度及び基板
との密着性が低下し、充分な表面強度を得ることができ
ない。
一般的に耐熱性が低いため、基板を加熱した状態におけ
る真空蒸着法は使用することができない。また、MgF
2 は、無加熱の基板に蒸着された場合、膜硬度及び基板
との密着性が低下し、充分な表面強度を得ることができ
ない。
【0005】そこで、上記問題を解決するものとしてプ
ラスチック製レンズと蒸着膜が接する、第1層目にSi
O2 層を形成し、その上に高屈折率層としてTiO2 又
はZrO2 層を形成し、さらにその上に低屈折率層とし
てSiO2 を形成し3層構成の反射防止膜としたもの
が、特公昭56−15481(ニコン)、特公昭62−
32441(エーオーInc.)等に開示されている。
ラスチック製レンズと蒸着膜が接する、第1層目にSi
O2 層を形成し、その上に高屈折率層としてTiO2 又
はZrO2 層を形成し、さらにその上に低屈折率層とし
てSiO2 を形成し3層構成の反射防止膜としたもの
が、特公昭56−15481(ニコン)、特公昭62−
32441(エーオーInc.)等に開示されている。
【0006】また、前述2件の公知例の高屈折率材をT
a2 O5 層に換えてSiO2 層とTa2 O5 層を交互に
積層し5層の構造の反射防止膜としたものが特開昭60
−225101等に開示されている。
a2 O5 層に換えてSiO2 層とTa2 O5 層を交互に
積層し5層の構造の反射防止膜としたものが特開昭60
−225101等に開示されている。
【0007】上記、プラスチック製レンズの反射防止膜
は、第1層のSiO2 膜がプラスチック製基板に対し
て、無加熱で蒸着しても強固な密着力を有することと、
SiO 2 膜の機械的強度が高いことにより充分な表面強
度をもつものである。
は、第1層のSiO2 膜がプラスチック製基板に対し
て、無加熱で蒸着しても強固な密着力を有することと、
SiO 2 膜の機械的強度が高いことにより充分な表面強
度をもつものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低屈折
率層としてSiO2 膜を用いている上記反射防止膜の屈
折率は1.46〜1.50であり、通常、MgF2 膜を
低屈折率層として用いるガラス製レンズの反射防止膜の
屈折率1.38に比べ、かなり高い。このため、MgF
2 膜を低屈折率層に用いた同一層数の反射防止膜に比
べ、SiO2 膜の反射防止効果は劣ってしまう。
率層としてSiO2 膜を用いている上記反射防止膜の屈
折率は1.46〜1.50であり、通常、MgF2 膜を
低屈折率層として用いるガラス製レンズの反射防止膜の
屈折率1.38に比べ、かなり高い。このため、MgF
2 膜を低屈折率層に用いた同一層数の反射防止膜に比
べ、SiO2 膜の反射防止効果は劣ってしまう。
【0009】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、Mg
F2 膜と同等以上の低屈折率1.3〜1.4を有するS
iO2 膜を形成する手段と、そのSiO2 膜を利用した
プラスチック製光学部品用の反射防止膜、その製造方法
及び該反射防止膜を備えたプラスチック製光学部品を提
供することを目的としている。
F2 膜と同等以上の低屈折率1.3〜1.4を有するS
iO2 膜を形成する手段と、そのSiO2 膜を利用した
プラスチック製光学部品用の反射防止膜、その製造方法
及び該反射防止膜を備えたプラスチック製光学部品を提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、蒸着法によるシリコン系蒸着材料からの蒸
着粒子の入射角をプラスチック製光学部品の基板面に対
して60°〜75°として蒸着することにより屈折率が
1.3〜1.4のSiO2 斜め入射膜を基板上に少なく
とも一層形成するプラスチック製光学部品用の反射防止
膜の製造方法である。
の本発明は、蒸着法によるシリコン系蒸着材料からの蒸
着粒子の入射角をプラスチック製光学部品の基板面に対
して60°〜75°として蒸着することにより屈折率が
1.3〜1.4のSiO2 斜め入射膜を基板上に少なく
とも一層形成するプラスチック製光学部品用の反射防止
膜の製造方法である。
【0011】また本発明は、SiO2 斜め入射膜が60
°乃至75°の所定入射角θで形成した第1層と、第1
層を成膜後、基板の法線を回転軸にして、基板を180
°回転させて、前記第1層と同じ入射角θで第1層上に
形成した第2層とからなるプラスチック製光学部品用の
反射防止膜の製造方法である。
°乃至75°の所定入射角θで形成した第1層と、第1
層を成膜後、基板の法線を回転軸にして、基板を180
°回転させて、前記第1層と同じ入射角θで第1層上に
形成した第2層とからなるプラスチック製光学部品用の
反射防止膜の製造方法である。
【0012】また、本発明は、SiO2 斜め入射膜が、
入射角60°乃至75°の範囲内で入射角を徐々に増加
させながら成膜されることにより、プラスチック基板側
から入射膜表面に向かって、屈折率が徐々に減少させた
連続的傾斜をもつプラスチック製光学部品用の反射防止
膜の製造方法である。
入射角60°乃至75°の範囲内で入射角を徐々に増加
させながら成膜されることにより、プラスチック基板側
から入射膜表面に向かって、屈折率が徐々に減少させた
連続的傾斜をもつプラスチック製光学部品用の反射防止
膜の製造方法である。
【0013】また、本発明は、プラスチック製光学部品
の基板面に中間反射防止膜を形成し、該中間反射防止膜
上にSiO2 斜め入射膜を積層するプラスチック製光学
部品用の反射防止膜の製造方法であり、中間反射防止膜
がTiO2 又はZrO2 からなる高屈折率層もしくは前
記高屈折率層とAl2 O3 からなる中間屈折率層とを含
む多層反射防止膜で形成するものである。
の基板面に中間反射防止膜を形成し、該中間反射防止膜
上にSiO2 斜め入射膜を積層するプラスチック製光学
部品用の反射防止膜の製造方法であり、中間反射防止膜
がTiO2 又はZrO2 からなる高屈折率層もしくは前
記高屈折率層とAl2 O3 からなる中間屈折率層とを含
む多層反射防止膜で形成するものである。
【0014】また、本発明は、上記製造方法で製造した
プラスチック製光学部品用の反射防止膜であり、該反射
防止膜を備えたプラスチック製光学部品である。
プラスチック製光学部品用の反射防止膜であり、該反射
防止膜を備えたプラスチック製光学部品である。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明の反射防止膜を形成するプラスチッ
ク製の光学部品としては、レンズ等がある。
ク製の光学部品としては、レンズ等がある。
【0017】プラスチック素材としては、PMMA,P
C,PS等がある。
C,PS等がある。
【0018】また、反射防止膜の蒸着方法としては、真
空蒸着、化学蒸着、スパッタ法等がある。
空蒸着、化学蒸着、スパッタ法等がある。
【0019】蒸着材料としては、Si,SiO,SiO
2 等が挙げられる。蒸着条件は、基板温度20〜80
℃、真空度1×10-6〜5×10-5Torr、必要によ
りO2ガス5×10-5〜2×10-4Torrが好まし
い。
2 等が挙げられる。蒸着条件は、基板温度20〜80
℃、真空度1×10-6〜5×10-5Torr、必要によ
りO2ガス5×10-5〜2×10-4Torrが好まし
い。
【0020】入射角は60°〜75°である。60°よ
り小さい場合は屈折率が大きくなってしまうので不都合
である。75°より大きい場合はパッキング密度が低下
し、膜強度が低下するので不都合である。入射角は連続
的又は段階的に変化させてもよい。またSiO2 斜め入
射膜は複数層積層してもよく、そのように構成すること
により、斜め入射により発生する表面の微小な凹凸を解
消し、さらに、膜厚の分布を均一にできる利点がある。
り小さい場合は屈折率が大きくなってしまうので不都合
である。75°より大きい場合はパッキング密度が低下
し、膜強度が低下するので不都合である。入射角は連続
的又は段階的に変化させてもよい。またSiO2 斜め入
射膜は複数層積層してもよく、そのように構成すること
により、斜め入射により発生する表面の微小な凹凸を解
消し、さらに、膜厚の分布を均一にできる利点がある。
【0021】膜厚は800〜1500Å程度が一般的で
目的に応じて適宜設計して定める。
目的に応じて適宜設計して定める。
【0022】また、本発明は基板とSiO2 斜め入射膜
との間に、中間反射防止膜を設けてもよい。
との間に、中間反射防止膜を設けてもよい。
【0023】中間反射防止膜としては、低屈折率層、中
間屈折率層、高屈折率層が挙げられる。
間屈折率層、高屈折率層が挙げられる。
【0024】低屈折率層を構成する材料としては、Si
O2 ,MgF2 等がある。
O2 ,MgF2 等がある。
【0025】中間屈折率層を構成する材料としては、A
l2 O3 ,Y2 O3 等がある。
l2 O3 ,Y2 O3 等がある。
【0026】高屈折率率層を構成する材料としては、T
iO2 ,ZrO2 等がある。
iO2 ,ZrO2 等がある。
【0027】
以下、実施例を用いて、本発明を具体的に説明する。 実施例1 図1は本発明の反射防止膜の特徴を最もよく表す模式的
断面図であり、1は屈折率が1.49〜1.80のプラ
スチック製光学部品で、2は屈折率が1.4〜1.3の
範囲にあるSiO2 からなる斜め蒸着膜である。該蒸着
膜は分光反射特性の中心波長をλ0 としたとき、光学膜
厚(屈折率×機械的厚さ)をλ0 /4とした単層反射防
止膜である。
断面図であり、1は屈折率が1.49〜1.80のプラ
スチック製光学部品で、2は屈折率が1.4〜1.3の
範囲にあるSiO2 からなる斜め蒸着膜である。該蒸着
膜は分光反射特性の中心波長をλ0 としたとき、光学膜
厚(屈折率×機械的厚さ)をλ0 /4とした単層反射防
止膜である。
【0028】かかる反射防止膜は、基板の法線方向と、
蒸発源の中心と基板とを結ぶ直線とのなす角度がほぼ蒸
発粒子の入射角度となり、その入射角度を調整すること
によって、基板上に図1に示すようなSiO2 からなる
斜め蒸着膜を形成することができる。
蒸発源の中心と基板とを結ぶ直線とのなす角度がほぼ蒸
発粒子の入射角度となり、その入射角度を調整すること
によって、基板上に図1に示すようなSiO2 からなる
斜め蒸着膜を形成することができる。
【0029】本発明で用いた蒸着方法は、SiO2 又は
SiOを蒸発材料とし、エレクトロンビーム法又は抵抗
加熱法によって加熱蒸発させ、それと同時に真空槽内に
酸素ガスを5×10-5Torr〜2×10-4Torrの
範囲で一定にあるように導入し蒸着する一般によく知ら
れる反応性蒸着法を用いた。この蒸着条件の範囲内よ
り、酸素ガス導入量を1×10-4Torrに設定し、蒸
着速度を10Å/秒で蒸着したSiO2 斜め入射膜の入
射角度θと屈折率の関係は図2に示すようになる。な
お、ここでの屈折率は屈折率が既知の基板上にSiO2
斜め入射膜を形成しその分光反射率より算出した値であ
り、波長が500nm〜600nmの範囲のものであ
る。また、基板の温度は室温20℃〜30℃で蒸発源の
輻射熱により蒸着室の温度は40℃〜80℃になる場合
がある。
SiOを蒸発材料とし、エレクトロンビーム法又は抵抗
加熱法によって加熱蒸発させ、それと同時に真空槽内に
酸素ガスを5×10-5Torr〜2×10-4Torrの
範囲で一定にあるように導入し蒸着する一般によく知ら
れる反応性蒸着法を用いた。この蒸着条件の範囲内よ
り、酸素ガス導入量を1×10-4Torrに設定し、蒸
着速度を10Å/秒で蒸着したSiO2 斜め入射膜の入
射角度θと屈折率の関係は図2に示すようになる。な
お、ここでの屈折率は屈折率が既知の基板上にSiO2
斜め入射膜を形成しその分光反射率より算出した値であ
り、波長が500nm〜600nmの範囲のものであ
る。また、基板の温度は室温20℃〜30℃で蒸発源の
輻射熱により蒸着室の温度は40℃〜80℃になる場合
がある。
【0030】次に本発明のSiO2 斜め入射膜を入射角
度70°で膜厚λ/4(λ=550)で屈折率が1.3
5の単層反射防止膜となるようにPMMA(ポリメチル
メタクリレート)成形基板上に形成し、同一膜厚のMg
F2 単層反射防止膜とその機械特性を比較した。評価項
目は、70℃−85%湿度での耐環境加速試験を100
時間及び500時間行った後の外観、セロハン粘着テー
プでの剥離試験である。その結果を表1に示す。
度70°で膜厚λ/4(λ=550)で屈折率が1.3
5の単層反射防止膜となるようにPMMA(ポリメチル
メタクリレート)成形基板上に形成し、同一膜厚のMg
F2 単層反射防止膜とその機械特性を比較した。評価項
目は、70℃−85%湿度での耐環境加速試験を100
時間及び500時間行った後の外観、セロハン粘着テー
プでの剥離試験である。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】 この結果からわかるように本発明のSiO2 斜め入射膜
は、プラスチック素材用反射防止膜として、従来のMg
F2 膜の最大の欠点であった機械特性を大巾に改善して
いる。しかも屈折率は入射角度を60°〜75°の範囲
で1.4〜1.3と調節可能で、MgF2 の1.38に
比べて同等、もしくはそれ以上の低屈折率範囲を有して
おり光学的のも優れている。 実施例2 本発明の他の実施例の構成を図3に示す。
は、プラスチック素材用反射防止膜として、従来のMg
F2 膜の最大の欠点であった機械特性を大巾に改善して
いる。しかも屈折率は入射角度を60°〜75°の範囲
で1.4〜1.3と調節可能で、MgF2 の1.38に
比べて同等、もしくはそれ以上の低屈折率範囲を有して
おり光学的のも優れている。 実施例2 本発明の他の実施例の構成を図3に示す。
【0032】1は、屈折率が1.49〜1.80のプラ
スチック製光学部品で、4〜9はSiO2 の斜め入射膜
である。反射防止膜として必要な膜厚をdとした場合、
図3(A)は、平均膜厚d/2まで入射角θでa1 の方
向からSiO2 斜め入射膜4を形成し、その後残りの平
均膜厚d/2を入射方向a1 を基板の法線方向を軸対称
にして180°回転したa2 の方向から斜め入射膜5を
形成したものである。また図3(B)は、d/4を入射
角θでb1 方向より斜め入射膜6を形成し、その後基板
の法線を軸対称に180°回転したb2 より入射角θで
d/4の厚さの7を形成し、次にそのb2 方向を基板の
法線を軸対称に90°回転したc1 方向から斜めに入射
膜8をd/4形成し、それからさらに180°回転した
c2 方向から残りのd/4の厚さの斜め入射膜9を形成
したものである。以上のように入射角θをほぼ一定に保
ち、入射方向を基板の法線に対して軸対称に180°回
転して、ほぼ同じ膜厚の膜を連続して形成することによ
り、斜め入射により発生する表面の微小な凹凸を解消
し、さらに膜厚の分布を均一にすることができる。 実施例3 その他実施した例を図4に示す。
スチック製光学部品で、4〜9はSiO2 の斜め入射膜
である。反射防止膜として必要な膜厚をdとした場合、
図3(A)は、平均膜厚d/2まで入射角θでa1 の方
向からSiO2 斜め入射膜4を形成し、その後残りの平
均膜厚d/2を入射方向a1 を基板の法線方向を軸対称
にして180°回転したa2 の方向から斜め入射膜5を
形成したものである。また図3(B)は、d/4を入射
角θでb1 方向より斜め入射膜6を形成し、その後基板
の法線を軸対称に180°回転したb2 より入射角θで
d/4の厚さの7を形成し、次にそのb2 方向を基板の
法線を軸対称に90°回転したc1 方向から斜めに入射
膜8をd/4形成し、それからさらに180°回転した
c2 方向から残りのd/4の厚さの斜め入射膜9を形成
したものである。以上のように入射角θをほぼ一定に保
ち、入射方向を基板の法線に対して軸対称に180°回
転して、ほぼ同じ膜厚の膜を連続して形成することによ
り、斜め入射により発生する表面の微小な凹凸を解消
し、さらに膜厚の分布を均一にすることができる。 実施例3 その他実施した例を図4に示す。
【0033】1は屈折率が1.49〜1.80のプラス
チック製光学部品で10はSiO2の斜め入射膜で、入
射角度を基板側から徐々に増加させて60°から75°
の範囲で連続的に変化させて形成した膜である。これに
よって屈折率は図4に示すように厚さ方向で減少するよ
うに傾斜がつくこととなり、図5に示すように反射防止
効果は、屈折率一定の膜に比べさらに改善することがで
きる。本実施例では、基板として屈折率が1.49のP
MMA成形基板を用い、その上に、本発明のSiO2 斜
め入射膜を屈折率が1.35となるように入射角一定で
光学膜厚132nmに形成したもの及び同PMMA基板
上に入射角を60°から75°に徐々に変化させて屈折
率が1.40から1.30に傾斜するように光学膜厚1
52nm(平均屈折率を1.35として)に形成したも
のを比較した。 実施例4 他の実施した例を模式的に図6に示す。
チック製光学部品で10はSiO2の斜め入射膜で、入
射角度を基板側から徐々に増加させて60°から75°
の範囲で連続的に変化させて形成した膜である。これに
よって屈折率は図4に示すように厚さ方向で減少するよ
うに傾斜がつくこととなり、図5に示すように反射防止
効果は、屈折率一定の膜に比べさらに改善することがで
きる。本実施例では、基板として屈折率が1.49のP
MMA成形基板を用い、その上に、本発明のSiO2 斜
め入射膜を屈折率が1.35となるように入射角一定で
光学膜厚132nmに形成したもの及び同PMMA基板
上に入射角を60°から75°に徐々に変化させて屈折
率が1.40から1.30に傾斜するように光学膜厚1
52nm(平均屈折率を1.35として)に形成したも
のを比較した。 実施例4 他の実施した例を模式的に図6に示す。
【0034】1は、プラスチック製光学部品で屈折率が
1.49〜1.80のものである。11はSiO2 膜で
膜厚200〜1000nmのベースコート層である。1
2は屈折率が1.6〜1.8のAl2 O3 又は、SiO
2 膜等の低屈折率膜及びTiO2 又はZrO2 等の高屈
折率膜で構成された光学膜厚λ/4の等価屈折率膜層で
ある。13は屈折率が2.0〜2.1のTiO2 又はZ
rO2によって形成された光学膜厚λ/2の高屈折率膜
層である。11,12,13,により中間反射防止膜1
5を形成している。14は屈折率が1.3〜1.4、光
学膜厚λ/4のSiO2 斜め入射膜層である。
1.49〜1.80のものである。11はSiO2 膜で
膜厚200〜1000nmのベースコート層である。1
2は屈折率が1.6〜1.8のAl2 O3 又は、SiO
2 膜等の低屈折率膜及びTiO2 又はZrO2 等の高屈
折率膜で構成された光学膜厚λ/4の等価屈折率膜層で
ある。13は屈折率が2.0〜2.1のTiO2 又はZ
rO2によって形成された光学膜厚λ/2の高屈折率膜
層である。11,12,13,により中間反射防止膜1
5を形成している。14は屈折率が1.3〜1.4、光
学膜厚λ/4のSiO2 斜め入射膜層である。
【0035】この本発明の多層反射防止膜は最終層に屈
折率1.46のSiO2 膜を用いていた場合に比べ反射
防止効果が図7に示されるように大幅に向上しているこ
とがわかる。
折率1.46のSiO2 膜を用いていた場合に比べ反射
防止効果が図7に示されるように大幅に向上しているこ
とがわかる。
【0036】
【発明の効果】本発明の反射防止膜を利用することによ
り、屈折率が小さく、機械的強度の大きいプラスチック
製光学部品を提供することができる。
り、屈折率が小さく、機械的強度の大きいプラスチック
製光学部品を提供することができる。
【図1】本発明の反射防止膜の層構造の一例を模式的に
示す断面図である。
示す断面図である。
【図2】SiO2 反射防止膜の成膜時の蒸着粒子の入射
角と、成膜後の屈折率との関係を示すグラフである。
角と、成膜後の屈折率との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の反射防止膜の層構造の他の例を模式的
に示す説明図である。 (A)SiO2 膜が2層の場合 (B)SiO2 膜が4層の場合
に示す説明図である。 (A)SiO2 膜が2層の場合 (B)SiO2 膜が4層の場合
【図4】(A)本発明の反射防止膜の層構造の他の例を
模式的に示す断面図である。 (B)(A)図で示される反射防止膜の膜厚と屈折率と
の関係を示すグラフである。
模式的に示す断面図である。 (B)(A)図で示される反射防止膜の膜厚と屈折率と
の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の反射防止膜の分光反射特性を示すグラ
フである。
フである。
【図6】本発明の反射防止膜の層構造の他の例を模式的
に示す断面図である。
に示す断面図である。
【図7】図6で示される構成の多層反射防止膜と、従来
の多層反射防止膜との分光反射特性を比較したグラフで
ある。
の多層反射防止膜との分光反射特性を比較したグラフで
ある。
1 プラスチック製光学部品 2〜10 SiO2 斜め入射膜 11 SiO2 ベースコート層 12 等価屈折率膜層 13 高屈折率膜層 14 SiO2 斜め入射膜層 15 中間反射防止膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早川 菜 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内
Claims (11)
- 【請求項1】 蒸着法によるシリコン系蒸着材料からの
蒸着粒子の入射角をプラスチック製光学部品の基板面に
対して60°〜75°として蒸着することにより基板面
に少なくとも一層形成された屈折率が1.3〜1.4の
SiO2 斜め入射膜からなるプラスチック製光学部品用
の反射防止膜。 - 【請求項2】 SiO2 斜め入射膜が、60°乃至75
°の所定入射角θで形成された第1層と、第1層を成膜
後、基板の法線を回転軸にして、基板を180°回転さ
せて、前記第1層と同じ入射角θで第1層上に形成され
た第2層とからなる請求項1記載のプラスチック製光学
部品用の反射防止膜。 - 【請求項3】 SiO2 斜め入射膜が、入射角60°乃
至75°の範囲内で入射角を徐々に増加させながら成膜
されることにより、プラスチック基板側から入射膜表面
に向かって、屈折率が徐々に減少する連続的傾斜をもつ
請求項1記載のプラスチック製光学部品用の反射防止
膜。 - 【請求項4】 プラスチック製光学部品の基板面に形成
してなる中間反射防止膜上に請求項1記載のSiO2 斜
め入射膜を積層してなるプラスチック製光学部品用の反
射防止膜。 - 【請求項5】 中間反射防止膜がTiO2 又はZrO2
からなる高屈折率層もしくは前記高屈折率層とAl2 O
3 からなる中間屈折率層とを含む多層反射防止膜からな
る請求項4記載のプラスチック製光学部品用の反射防止
膜。 - 【請求項6】 蒸着法によるシリコン系蒸着材料からの
蒸着粒子の入射角をプラスチック製光学部品の基板に対
して60°〜75°として蒸着することにより、屈折率
が1.3〜1.4のSiO2 斜め入射膜を基板上に少な
くとも一層形成するプラスチック製光学部品用の反射防
止膜の製造方法。 - 【請求項7】 SiO2 斜め入射膜が60°乃至75°
の所定入射角θで形成した第1層と、第1層を成膜後、
基板の法線を回転軸にして、基板を180°回転させ
て、前記第1層と同じ入射角θで第1層上に形成した第
2層とからなる請求項6記載のプラスチック製光学部品
用の反射防止膜の製造方法。 - 【請求項8】 SiO2 斜め入射膜が、入射角60°乃
至75°の範囲内で入射角を徐々に増加させながら成膜
されることにより、プラスチック基板側から入射膜表面
に向かって、屈折率が徐々に減少させた連続的傾斜をも
つ請求項6記載のプラスチック製光学部品用の反射防止
膜の製造方法。 - 【請求項9】 プラスチック製光学部品の基板面に中間
反射防止膜上を形成し、該中間反射防止膜上にSiO2
斜め入射膜を積層するプラスチック製光学部品用の反射
防止膜の製造方法。 - 【請求項10】 中間反射防止膜がTiO2 又はZrO
2 からなる高屈折率層もしくは前記高屈折率層とAl2
O3 からなる中間屈折率層とを含む多層反射防止膜で形
成した請求項9記載のプラスチック製光学部品用の反射
防止膜の製造方法。 - 【請求項11】 請求項1乃至5いずれか記載の反射防
止膜を備えたプラスチック製光学部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3243422A JPH0580202A (ja) | 1991-09-24 | 1991-09-24 | プラスチツク製光学部品用の反射防止膜、その製造方法及び該反射防止膜を備えたプラスチツク製光学部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3243422A JPH0580202A (ja) | 1991-09-24 | 1991-09-24 | プラスチツク製光学部品用の反射防止膜、その製造方法及び該反射防止膜を備えたプラスチツク製光学部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0580202A true JPH0580202A (ja) | 1993-04-02 |
Family
ID=17103639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3243422A Pending JPH0580202A (ja) | 1991-09-24 | 1991-09-24 | プラスチツク製光学部品用の反射防止膜、その製造方法及び該反射防止膜を備えたプラスチツク製光学部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0580202A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008009069A (ja) * | 2006-06-28 | 2008-01-17 | Cheil Industries Inc | 偏光分離素子およびその製造方法 |
JP2011221272A (ja) * | 2010-04-09 | 2011-11-04 | Seiko Epson Corp | 反射型スクリーン、投影システム、フロントプロジェクションテレビ、および、反射型スクリーンの製造方法 |
JP2016045497A (ja) * | 2014-08-20 | 2016-04-04 | コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー | 無反射ナノコーティング構造及びその製造方法 |
JP2020520040A (ja) * | 2017-05-11 | 2020-07-02 | 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司Boe Technology Group Co.,Ltd. | 表示パネル、その製造方法、および表示装置 |
-
1991
- 1991-09-24 JP JP3243422A patent/JPH0580202A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008009069A (ja) * | 2006-06-28 | 2008-01-17 | Cheil Industries Inc | 偏光分離素子およびその製造方法 |
JP2011221272A (ja) * | 2010-04-09 | 2011-11-04 | Seiko Epson Corp | 反射型スクリーン、投影システム、フロントプロジェクションテレビ、および、反射型スクリーンの製造方法 |
JP2016045497A (ja) * | 2014-08-20 | 2016-04-04 | コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー | 無反射ナノコーティング構造及びその製造方法 |
JP2020520040A (ja) * | 2017-05-11 | 2020-07-02 | 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司Boe Technology Group Co.,Ltd. | 表示パネル、その製造方法、および表示装置 |
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