JPH05296914A - 粒子操作方法及び装置、並びにこれを用いた測定装置 - Google Patents

粒子操作方法及び装置、並びにこれを用いた測定装置

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JPH05296914A
JPH05296914A JP4344578A JP34457892A JPH05296914A JP H05296914 A JPH05296914 A JP H05296914A JP 4344578 A JP4344578 A JP 4344578A JP 34457892 A JP34457892 A JP 34457892A JP H05296914 A JPH05296914 A JP H05296914A
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松臣 西村
Toshiichi Onishi
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秀人 高山
Kazusane Tanaka
和實 田中
Takeshi Miyazaki
健 宮崎
Hisashi Okamoto
尚志 岡本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な手法にて媒質中の粒子を操作するこ
と。 【構成】 流通路2に微粒子が浮遊する液体の流れを形
成して微粒子を移動させる。この流れに対してレーザ光
源5から強度勾配を持った光を集光照射すると、照射位
置8に微粒子が光学トラップされて流れに抗して静止す
る。制御回路7によって光照射のオン・オフの時間間隔
を適切に設定することにより、照射位置8の後方での粒
子の流れに所望の移動間隔を与えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は媒質中の粒子の動きを制
御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】液体等の媒質中に分散した微粒子を1つ
1つ整列させて搬送する方法として、シースフロー方式
が従来から良く知られている。これは高速で流れるシー
ス液流のほぼ中心部分に、血球細胞、ウィルス、微生
物、担体粒子(ラテックス粒子やセラミック粒子など)
などの微粒子を懸濁させた液体を極細流として流すこと
によって、該流体中に分散している上記微粒子を1つ1
つ分離して整列搬送させるものである。このシースフロ
ー方式の応用例として、これら1つ1つの微粒子を光学
的あるいは電気的な手法によって測定して数をカウント
したり、得られた多数の測定データを統計的に処理する
ことで微粒子の種類や性質を判別する技術がフローサイ
トメトリと呼ばれて実用化されている。
【0003】一方、微粒子をそのサイズや比重等により
分別する方法として、遠心力を利用子したりメッシュや
ゲルなどのふるい手段を利用した方法が知られている。
この技術は、例えば複写機のトナーや工業用の微粒子の
分級や、微生物・細胞等の分別などに応用されている。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら上記
のいずれの方法も、多量の試料が必要でロスが多いとい
う課題があった。
【0005】本発明は上記従来の技術にかがみ、媒質中
で粒子の新規な操作方法の提供を目的とするものであ
る。より具体的な目的の一つは、粒子を所望の間隔で連
続的に整列移送することができる新規な方法及び装置の
提供である。別の具体的な目的は、サイズや屈折率など
が異なる粒子を分別する新規な方法及び装置の提供であ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の粒子操作方法は、移動する粒子を光学的に制動する
ことによって粒子を操作することを特徴とする。又、本
発明の粒子操作装置は、粒子を移動させる手段と、移動
する粒子に向けて粒子を光学的に制動するための光を照
射する手段と、該光の照射を制御する手段を有すること
を特徴とする。
【0007】
【実施例】
<実施例1>図1は本発明の第1の実施例の装置構成を
示すものである。図中、蓄積容器1の内部には多数の微
粒子(例えば血球細胞、ウイルス、微生物、DNAやR
NA等の生体微粒子、担体粒子、工業用微粒子など)と
分散媒から成る微粒子分散液が蓄積されている。ここで
微粒子と分散媒は同程度の比重を有しており、具体的に
は微粒子は一定サイズのラテックス粒子、分散媒は水で
ある。蓄積容器1には流通路2が接続され、流通路2は
途中に石英ガラスから成るフローセル部3が形成され排
出容器9に接続されている。排出容器9には吸引ポンプ
10とバルブ11が接続される。吸引ポンプ10を一定
に作動させることにより排出容器9中を負圧にして、流
通路2に微粒子分散液の一定速度の流れを作ることがで
きる。この流れに乗って分散媒中の微粒子4も移動す
る。流通路2の内径は最大微粒子の径よりは大きくする
必要があるが、あまり大きすぎても微粒子が複数重なっ
て同時に流れる可能性が高まるので、好ましくは最大微
サイズの2倍以下であることが望ましい。
【0008】フローセル部3の上方に配置された光源5
はオプティカルトラッピングのための所定強度勾配を有
する光ビームを生成するもので、微粒子の光吸収域の少
ない波長のものを選択する。本実施例ではTEM00モー
ドで発振させてガウシアンビームを生成するYAGレー
ザ光源としたが、固体レーザ、気体レーザ、半導体レー
ザなど様々な種類のレーザ光源、更にはレーザに限らず
強度勾配を有する光を生成する光源であれば使用でき
る。レンズ系6によって光源5から射出した光ビームを
フローセル部3内の流通路の位置8に集光照射する。制
御回路7は光源5自体の駆動制御あるいは光源5とは別
に設けられた光制御手段(シャッタや光変調素子など)
を制御して照射位置8への光照射のオン・オフの制御や
照射強度の変調を行なう。更には吸引ポンプ10への駆
動指令も行なう。フローセル3の照射位置の下流には、
例えば光学的、電気的、磁気的、音響光学的などの手法
を用いた粒子測定手段13が設けられている。
【0009】照射位置8に光ビームが集光照射された状
態でここに微粒子が通過すると、微粒子には光ビームの
照射方向への光圧力(放射圧)と光軸中に微粒子を閉じ
込める力(勾配力)の2つの力が作用する。これら光圧
力、光勾配力はいずれもレーザ光の強度そして光軸方向
の強度分布つまりレンズ等による集光の度合い、及び光
軸に直角方向の強度分布に依存する。更には粒子の屈折
率や吸収率(反射率)及び粒子サイズ等にも依存する。
この内の勾配力の作用によって照射位置8に微粒子を捕
捉して停止させたり、あるいはその移動速度を停止に近
い速度まで一時的に低下させることができる。又、光が
照射されない状態では微粒子に対する作用力は何ら働か
ず、分散媒の流れに乗って微粒子は移動する。よって制
御回路7の制御によって光ビームの照射のオン・オフを
一定の周期で繰り返すことにより(例えば照射オンを1
秒、照射オフを0.1秒)、移動する微粒子に対して一
定周期のゲート作用が得られ、照射位置8よりも後方の
流通路において所望の一定間隔で微粒子を移動させるこ
とができる。
【0010】より詳細には、分散媒中に浮遊する微粒子
の密度が高い場合あるいは流れ速度が大きい場合には、
図1のように蓄積容器1から照射位置8に微粒子が次々
と移動してくる。よってこの条件の場合は、照射オフの
期間(微粒子が通過可能な期間)を照射オンの期間(ト
ラップ期間)に対して短いものにして、一度に複数の微
粒子が照射位置を通過しないようにする。又、逆の条件
の場合には、一旦、長い時間トラップしてトラップ位置
の後方に複数粒子を溜めてから、上記と同様にオンオフ
を行なって一定の間隔で粒子を移動させる。
【0011】又、分散媒の流れ速度は常に一定であるの
で、必要に応じて光照射の周期を変動させれば微粒子の
移動間隔を自在に変えることもできる。なお照射オフの
状態では必ずしも照射光強度を零にする必要はなく、微
粒子がトラップされない程度に光強度を弱めれば良い。
【0012】又、フローセル3を挟んで光源5と対向す
る位置に受光系を配設して光量モニタすれば、照射位置
8に微粒子がトラップされたかどうかを判別することが
できる。これを基に照射タイミングを決定すれば更に確
実な制御が可能となる。
【0013】<実施例2>図2は本発明の第2の実施例
の装置構成の一部を示す図である。これは図1の実施例
の構成を一部変形したもので図示以外の部材は図1と同
一である。
【0014】図2において、フローセル部12内を通過
する流通路2の形状は図示のようにカギ型に屈曲したも
のとなっている。そして屈曲する手前の流通路に対して
正面からオプティカルトラッピングのための光が照射さ
れる。先の実施例では微粒子の流れの側方方向から光を
照射して、その際に作用する勾配力によって微粒子をト
ラップしたが、本実施例では微粒子の流れ方向正面から
光を照射して、光圧及び勾配力の両方の力の作用で微粒
子をトラップする。
【0015】<実施例3>図3は本発明の第3の実施例
の装置構成を示す図である。蓄積容器20の中には分散
媒中に多数の微粒子が浮遊する微粒子分散液が蓄積され
ている。蓄積容器20にはシリコンチューブ21の端部
が浸漬され、該シリコンチューブ21の他方の端部は石
英ガラスから成るフローセル22に接続される。フロー
セル22はシリコンチューブ23に接続され、シリコン
チューブ23の他方の端部はノズル24に接続される。
ノズル24にはマイクロポンプ25が取り付けられてい
る。ここでマイクロポンプ25について詳述する。
【0016】分散媒の流れを形成するための手段として
はポンプが用いられるが、ポンプの種類としては、分散
媒を排出容器側から吸引する減圧ポンプ、蓄積容器側か
ら分散媒を加圧する加圧ポンプ、送液機構を有する送液
ポンプなどがある。先の実施例では減圧ポンプを用いた
が、本実施例においては送液ポンプであるマイクロポン
プを使用した。マイクロポンプは具体的には流路内に取
付けられた発熱素子を有し、この発熱素子にパルス電圧
を与えると、発熱によって加熱された液体が瞬間的に気
化して気泡が発生し、気泡が膨張収縮する際の衝撃で発
生する圧力によってノズル24から液滴が吐出される。
そして排出された分だけノズル方向に微粒子分散液が引
き込まれる。この吐排出を高い周波数で連続的に行なう
ことで微粒子分散液の送液作用が得られ、フローセル2
2内に流れを形成することができる。この流れに乗って
微粒子も移動する。
【0017】図4は気泡が発生して液滴が吐出する具体
的な様子を説明するものである。同図(A)の初期状態
において、発熱素子に瞬間的にパルス電圧を与えて発熱
素子が加熱されると、発熱素子付近の水分が気化して
(B)のように気泡が発生する。すると気化した分だけ
体積が膨張して(C)の如くノズルの開口付近の液体が
ノズルの開口から外に押し出される。始め膨張を続けて
いた気泡は冷却されて(D)のように収縮を始め、体積
の縮小により開口から吐出した液体は(E)のように液
滴となって空中を飛翔する。液体は吐出した分だけ毛細
管現象によって供給され(A)の初期状態に戻る。な
お、この気泡による液滴吐出の基本原理は米国特許公報
第4723129号や米国特許公報第4740796号
に詳細が記載されている。
【0018】なお、マイクロポンプの別形態として発熱
素子を圧電素子に置き換えて、この圧電素子に電気パル
スを印加し、圧電素子の体積変化の衝撃によって発生す
る圧力で液滴を吐出させるようにしても良い。この場
合、流路内を取り囲むように配置される円筒圧電素子が
好ましい。
【0019】発熱素子や圧電素子に与える電気パルスの
電圧及び周波数によってマイクロポンプの送液能力を設
定することができるが、本実施例ではフローセル22の
流通路に200μm/sec程度の速度の流れが得られ
るようにマイクロポンプ25に印加する電圧及び周波数
を設定する。
【0020】さて、図3において光源26は微粒子に光
圧力及び勾配力を与えるためのYAGレーザ(1064
nm)であり、レンズ系27によってフローセル22内
部の流通部に微粒子トラップ用の光が集光照射される。
又、光源28は微粒子の光学特性を測定するためのAr
+ レーザ(488nm)であり、レンズ系29によって
フローセル22内部の流通部に微粒子測定用の光が集光
照射される。光照射された微粒子から発する光はレンズ
系30によって集光されて光検出器31(光電子増倍管
又はフォトダイオード)で検出される。制御回路32は
光源26及び28の制御、並びに光検出器31の出力を
取り込み粒子の解析、更にはマイクロポンプ25の駆動
を行なう。
【0021】光源26を点灯して流通路に集光させる
と、流通路を移動していた微粒子を流れに抗してトラッ
プすることができ、消灯させるとトラップは解除され再
度微粒子は流れに沿って移動する。よって上記実施例と
同様、制御回路32の制御によって流れ速度及び微粒子
の密度に応じた適切な周期で光源26の照射をオン・オ
フさせることにより、流通路に1つずつ流れる微粒子の
移動間隔を制御することができる。このように整列して
流れる個々の微粒子は光源28の照射位置を順次通過
し、通過の際に微粒子から発する光(散乱光、透過光、
蛍光など)が光検出器31によって検出される。検出さ
れたデータは制御回路32に取り込まれ、多数の微粒子
のデータを基に粒子の種類や性質の判別などの解析演算
を行なう。
【0022】<実施例4>図5は本発明の第4の実施例
の装置構成を示す図である。本実施例では粒子を移動さ
せるためにポンプの代わりに光圧力を利用したことを特
徴とする。
【0023】図5においてガラスやプラスチック等の透
明材質のセル40の内部には第1貯留部41と第2貯留
部42が形成され、第1貯留部41と第2貯留部42と
の間は通路43、44によって接続されている。それぞ
れの通路は断面が正方形を有し、そのサイズは多数の微
粒子の最大径よりは大きく最大径の2倍よりは小さく設
定されている。
【0024】独立した3つのレーザ光源45、47、4
9が図のように配置され、それぞれ対応してレンズ系4
6、48、50が設けられている。レーザ光源45、4
7から射出したレーザ光はそれぞれレンズ系46、48
によって平行光束(それぞれ第1レーザ光、第2レーザ
光と称する)に変換され、光束中に存在する微粒子に対
してレーザ入射方向に光圧力として作用して微粒子を光
軸方向に沿って移動させる。この時、第1レーザ光、第
2レーザ光はガウス強度分布を有しているため、一旦光
束中に捕えられた微粒子は勾配力によって光軸中心に引
き寄せられ、光束からは外れない作用も得られる。通路
43内に照射される第1レーザ光は通路44内に照射さ
れる第2レーザ光と交差し、交差点においては第1レー
ザ光の光圧力よりも第2レーザ光の光圧力の方が強くな
るように設定され、光圧力によって移動する微粒子が通
路43から通路44へスムーズに移行するようになって
いる。
【0025】一方、レーザ光源49から射出したレーザ
光はレンズ系50によって通路43内に集光する収束光
(第3レーザ光と称する)に変換され、微粒子に対して
前記レーザ光源45からの第1レーザ光の光圧力に抗し
てトラップするための光勾配力を与える。本実施例では
第3レーザ光は第1、第2レーザ光の交差点の手前位置
に照射されるが、第1レーザ光と第2レーザ光の交差点
に第3レーザ光を照射するようにしても良い。
【0026】又、通路44の途中には図6に示すような
測定系が設けられている。図6は図5の左側方から見た
図であり、通路44を1つずつ移動する微粒子に対して
測定用の光照射を行なうために、光源52(レーザ光
源、ハロゲン光源、キセノン光源など)とレンズ系53
が設けられている。又、光照射された微粒子から発する
光の内、レンズ54と光検出器55によって散乱光が検
出され、レンズ56と光検出器57によって蛍光が検出
される。光検出器55、57で得られた出力は制御回路
51に取り込まれて粒子解析のための演算がなされる。
【0027】第1貯留部41内に分散する微粒子が第1
レーザの光束内に入ると、光束内に捕らえられてA方向
へ搬送される。そして通路43へ導かれて第3レーザ光
の集光位置に到達する。第3レーザ光の照射がオン状態
ではこれによって微粒子はトラップされて静止する。こ
こで第3レーザ光の照射をオフにするとトラップ力が解
除されるため、第1レーザ光による光圧力によって微粒
子はA方向に再び移動を開始する。微粒子が第1レーザ
光と第2レーザ光の交差点に達すると、より光圧力の強
い第2レーザ光によってB方向へ進路を変えて移動す
る。そして第2貯留部42に到達する。
【0028】制御回路51では上記実施例でも説明した
ように条件に応じて第3レーザのオン・オフのタイミン
グ間隔を適切に設定し、通路44内では微粒子が連なっ
たり重なったりすることなく所定の一定間隔を置いて整
列移動させる。
【0029】<実施例5>図7は上記第4の実施例の構
成を簡略化した第5の実施例の装置構成を示す図であ
る。本実施例では上記実施例のごとく独立のレーザ光源
を設ける代わりに、1つのレーザ光源からの光をビーム
スプリッタにより分岐して3本のレーザ光を形成する。
又、移動する粒子をガイドする通路は設けられてはいな
い。
【0030】容器60内にはこれまでの実施例と同様の
微粒子分散液が封入されている。光源61はYAGレー
ザであり、ここから出射したレーザ光の内、ビームスプ
リッタ62、レンズ67を通過してビームスプリッタ6
3で分岐された光はミラー65、66で折返されて第1
レーザ光として容器60内に照射される(A方向)。
又、ビームスプリッタ62、レンズ67、ビームスプリ
ッタ63を通過した光は第2レーザ光として容器60内
に照射される(B方向)。又、光源61から出射してビ
ームスプリッタ62で分岐された光はミラー64で反射
して、シャッタ68を介してレンズ69によって第3レ
ーザ光として第1レーザ光の光軸上に集光照射される。
これら第1、第2、第3レーザ光の位置関係は上記第4
の実施例と同様である。又、B方向に整列移動する微粒
子を光学的に測定するための図6と同様の測定系が設け
られている。
【0031】制御回路70の指令によるシャッタ68
(液晶シャッタやメカニカルシャッタ)のスイッチング
によって、オプティカルトラッピングのための第3レー
ザ光の照射のオン・オフを制御して微粒子の搬送間隔を
決定する。なおシャッタの代わりにAO素子などの光変
調素子に置き換えることもできる。
【0032】<実施例6>一般に、オプティカルトラッ
ピングのための光強度や光波長が一定であるとすると、
粒子のサイズが大きいほど、又、粒子と分散媒との屈折
率差が大きい(粒子が分散媒より屈折率が大きい場合)
ほど粒子に作用するトラップ力が大きくなる。一方、粒
子が同一であれば、オプティカルトラッピングのための
光強度が大きい程、又、光の集光サイズが小さいほど、
又、光波長が短いほど粒子に作用するトラップ力が大き
くなる。よって粒子のサイズや屈折率によってトラップ
されるものとトラップされないものとがある。これを利
用してサイズや屈折率に応じて粒子を分別するようにし
た実施例を以下に説明する。
【0033】図8は本発明の第6の実施例の装置構成を
示すものである。図中、試料容器85の内部には少なく
とも2種類の異なる微粒子と分散媒(例えば水)からな
る液体が蓄積されている。ここで微粒子と分散媒とは同
程度の比重を有している。本実施例において異なる微粒
子とは、(1)サイズが異なる、(2)屈折率が異な
る、(3)サイズ及び屈折率が共に異なる、のいずれか
とする。微粒子の具体例としては、細胞、ウイルス、微
生物、DNAやRNA等の生体微粒子、担体粒子、工業
用微粒子などが挙げられる。
【0034】容器80には分散媒(例えば水)が蓄積さ
れる。試料容器85及び容器80にはそれぞれチューブ
86、87が挿入され、これらのチューブはジョイント
バルブ82を介して、流通路2に接続されている。流通
部2は途中に石英ガラスからなるフローセル部3が形成
され、排気チャンバ81に接続されている。排気チャン
バ81はバルブ11を閉じることにより内部の気密が保
たれる。排気チャンバ81内には分別容器88が設置さ
れ、流通路2を流れた液体は分別容器88に収容され
る。この構成において、吸引ポンプ10を作動させるこ
とにより、排気チャンバ81内を負圧にして、流通路2
に微粒子を含む分散媒の流れを形成することができる。
フローセル3の照射位置8の下流には、例えば光学的、
電気的、磁気的、音響光学的などの手法を用いた粒子測
定手段13が設けられている。
【0035】本実施例の装置では、粒子のサイズや屈折
率に応じて分別するための閾値を設定するために、光源
5から出射して照射位置8に照射されるトラップ光の照
射強度を調整することができる。この調整の具体例とし
ては、(1)光源5からの発光強度を制御する、(2)
変調素子やフィルタを光路中に配して照射光量を調整す
る、(3)レンズ6の調整によって照射位置での集光ス
ポットサイズを変えて実質的な照射光量を調整する、な
どが挙げられる。
【0036】動作について説明する。まず、ジョイント
バルブ82をチューブ86側にして、試料容器85の微
粒子分散液を流通路2に少量流入させる。次にジョイン
トバルブ82をチューブ87側に切り替えて分散媒のみ
を流す。するとフローセル3には分散媒の流れに乗って
微粒子が流れる。照射位置8においてはサイズの小さい
(屈折率が小さい)粒子よりも大きな粒子に、より大き
なトラップ力が作用する。制御回路7では予め、サイズ
が大きい(屈折率が大きい)粒子がトラップされ小さな
粒子はトラップされない程度に、上記説明した方法によ
って照射光強度を設定している。よってサイズが大きい
(屈折率が大きい)粒子のみが照射位置8にトラップさ
れ、小さな粒子はここを通過することになる。これによ
り小さな微粒子のみが選択的に流され、測定手段13に
よって測定された後、分別容器88に分別される。この
後、分別容器88を回収して、照射位置にトラップされ
ている粒子を照射タイミングを制御することによって1
つずつ流して、測定を行なうようにしても良い。
【0037】なお、本実施例では照射光の強度の調整に
よって粒子分別の閾値を設定しているが、強度の代わり
に光波長を変えて粒子分別の閾値を変えるようにしても
良い。
【0038】<実施例7>先の図8の実施例では、照射
位置に粒子を完全にトラップして粒子の分別を行なった
が、完全にトラップはさせず粒子の種類に応じて適当な
制動力を与えて移動スピードを異ならせることで分別を
行なうこともできる、以下、この実施例を説明する。
【0039】図9は本発明の第7の実施例の装置構成を
示すものである。図中、先の図8と同一の符号は同一の
部材を表わす。図中、光源5から出射された光はミラー
91で反射して、4枚のハーフミラー90a乃至90d
及びミラー92によって5つに分岐され、夫々レンズを
介してフローセル3の流れ方向に沿った5か所に集光し
光照射される。本実施例では各位置での照射強度が等し
くなるように各ハーフミラー90a乃至90dの反射/
透過率が設定されている。この照射強度は粒子は完全に
はトラップされない程度とされる。なお、必要に応じて
は、各位置での照射強度が異なるようにしても良い。
又、照射される光強度を変化させて制動力を変化させる
ようにしても良い。
【0040】この構成において、フローセル3を異なる
サイズや屈折率を有する複数種の微粒子が流れると、よ
り大きなトラップ力が作用する粒子ほど各照射位置で大
きな制動力を受け移動スピードが低下する。よって制動
力が小さい粒子ほど先に流れ、これにより粒子の分別を
行なうことができる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、簡単な手法にて媒質中
の粒子を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の装置構成を示す図である。
【図2】第2の実施例の装置構成の一部を示す図であ
る。
【図3】第3の実施例の装置構成を示す図である。
【図4】マイクロポンプの作動の様子を説明するための
図である。
【図5】第4の実施例の装置構成を示す図である。
【図6】図5の装置の測定系の構成を示す図である。
【図7】第5の実施例の装置構成を示す図である。
【図8】第6実施例を説明するための図である。
【図9】第7実施例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 蓄積容器 2 流通路 3 フローセル 5 光源 6 レンズ系 7 制御回路 8 照射位置 9 排出容器 10 減圧ポンプ 11 バルブ 13 粒子測定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 和實 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 宮崎 健 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 岡本 尚志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動する粒子を光学的に制動することに
    よって粒子を操作することを特徴とする粒子操作方法。
  2. 【請求項2】 粒子を移動させる手段と、移動する粒子
    に向けて粒子を光学的に制動するための光を照射する手
    段を有することを特徴とする粒子操作装置。
  3. 【請求項3】 粒子を移動させる手段と、移動する粒子
    に向けて粒子を光学的に制動するための光を照射する手
    段と、前記移動する粒子を測定する手段を有することを
    特徴とする粒子測定装置。
  4. 【請求項4】 粒子を光学的に制動することによって、
    粒子の移動間隔を制御する請求項1乃至3の方法又は装
    置。
  5. 【請求項5】 粒子を光学的に制動することによって、
    粒子の分別を行なう請求項1乃至3の方法又は装置。
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