JPH0431135Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、内燃機関の支持装置に係わり、更
に詳しくはクランクケースを補強すると共にエン
ジン本体から車体への振動を有効に低減させる内
燃機関の支持装置に関するものである。

〔従来技術〕

近年の自動車用内燃機関においては、自動車の
生産性の向上と、軽量化のためにシリンダブロツ
ク及びクランクケースをアルミ合金等の軽量材に
より製作されてきている。しかし、上記のような
軽量材の使用は、その特性上剛性が不足となつ
て、クランクケース外壁の振動が発生し、騒音対
策上の問題となつている。

即ち、アルミ合金製のシリンダ・クランクケー
ス一体ブロツクにおいて、その生産性を向上させ
るための量産手段として、ダイキヤスト鋳造によ
る場合が一般的な方法であるが、特にこの場合の
クランクケースの形状に型抜きの制約上複雑な構
造が得にくく、クランクケースの剛性が低くな
り、振動騒音の発生原因となつている。またクラ
ンクケースの外壁、エンジンマウントを取付ける
ためのマウンテイングブラケツトを設けたもの
（特開昭58−119951号公報、特開昭59−183030号
公報）が提案されている。

しかし、このような従来のものはマウントラバ
ーを取付けるためのボス位置の振動振幅が大き
く、しかもマウントラバーに振動が伝達され、更
にマウントラバーを介して車体等へ振動が伝達さ
れると言う不具合があつた。

また一般にクランクケースの外壁の振動特性上
好ましくない場所、例えば４気筒直列型機関の第
２番、第４番のクランク軸受まわりのクランクケ
ース外壁に、エンジンマウントラバーまたはトル
クロツド等を車載性能上取付けなくてはならない
場合が多く、その為にマウントラバーを介して振
動が車体へ伝達され、更に車室等へ伝達され、車
内騒音等への問題が大きく、中々アルミシリンダ
ブロツクの採用が進展しない原因となつている。

〔考案の目的〕

この考案は、係る従来の問題点に着目して案出
されたもので、その目的とするところはアルミ等
の軽量材を使用して製作したクランクケースを有
効に補強するとともに、エンジンからの振動等が
車体等へ伝達されるのを低減させ、騒音対策上有
効な内燃機関の支持装置を提供するものである。

〔考案の構成〕 この考案は、上記目的を達成するためアルミ合
金製のクランクケースの側壁に沿つて装着される
板状の補強支持部材であつて、該支持部材はクラ
ンクケースの側壁の全長と略等しい長さを有し、
更に片面にはマウントラバーのマウント支持部と
補機装置の支持用ブラケツトとを一体的に形成し
たことを要旨とするものである。

〔考案の実施例〕

以下添付図面に基づき、この考案の実施例を説
明する。

第１図は、この考案を実施したエンジン本体１
の斜視図、第２図はエンジン本体１の側面図を示
し、２はシリンダブロツク、３はクランクケース
であつて、剛性の低いアルミ合金等の軽量材によ
り形成されている。

前記クランクケース３の両側壁には、第３図に
示すような補強支持部材４がボルト５を介して装
着されている。

支持部材４は材料（鋳鋼、鋳鉄等）的にもしく
は構造的に高い剛性を有し、必要な断面形状と補
強リブ等を設けて構成されている。また表面側に
は、マウントラバー７の取付けボスであるマウン
ト支持部８と、補機装置６を取付けるブラケツト
９とが一体に設けられ、マウント支持部８には、
ボルト１０を介してマウントラバー７が取付けら
れ、ブラケツト９にはボルト９ａを介して補機装
置６が取付けられている。

また、上記補強支持部材４のビーム４ａは板状
であつて、その長さはクランクケースの側壁全長
と略等しい長さとし、クランクケース全体の剛性
を高めるように構成されている。

なお、前記ボルト５の取付け穴１１は、出来る
限りクランクケース３の振幅の少ない場所に設け
ることにより、有効にこの考案に係る補強支持部
材４の振動騒音を低減することが可能である。ま
たマウントラバー７のマウント支持部８は、車載
上都合の良い場所に設ければ良く、従つて車載設
計上の自由度を高めることが可能となり、より車
体側への振動騒音の伝達を低減化することが可能
である。

また第３図において、補強支持部材４のビーム
４ａに補機装置６を取付けるブラケツト９を一体
に形成するが出来、この場合補機装置６の重量を
マスダンパーとして利用することも可能である。

また第４図及び第５図は、この考案の第２実施
例を示し、補強支持部材４をクランクケース３に
取付ける場合、ラバー１２を介して取付けること
により、更に振動低減を図ることが可能である。

〔考案の効果〕

この考案は、本考案に係る内燃機関の支持装置
は、アルミ合金製のクランクケースの側壁に沿つ
て装着される板状の補強支持部材であつて、該補
強支持部材はクランクケースの側壁の全長と略等
しい長さを有し、更に片面にはマウントラバーの
マウント支持部と補機装置の支持用ブラケツトと
を一体的に形成して構成されているので、以下の
ように優れた効果を奏することができる。

(1) クランクケースを有効に補強することが出来
るとともに、エンジンからの振動等が車体等へ
伝達されるのを低減させ、騒音対策上有効に利
用することが出来る。

(2) 特に振動の大きいクランクケースの外壁にマ
ウントラバーを取付けなくてはならない場合に
も、補強支持部材をなるべくクランクケースの
振動のすくない部位や、振動特性の楽な部位に
固定することが出来、また車載上必要な位置に
マウント取付け端を配置することが可能とな
り、車載設計上の自由度が向上し、また車体側
の重量を低減することが出来るのでコストダウ
ンを図ることが出来る効果がある。

(3) 同一機関の異なる車載位置関係の車両、例え
ばFF車とFR車等に搭載するとき、補強支持部
材を交換するだけで良く、従つて生産性の向上
と単純化を図ることが出来る。

(4) 補強支持部材は、マウントラバーのマウント
支持部および補機装置の支持用ブラケツトを一
体に形成するので、上記補強支持部材の剛性が
より増大するとともに、マウントラバーや補機
装置のための独立した取付け装置、部品が不要
となり、部品数が少なくなるとともに、エンジ
ン回りの装置、部品取付けのための自由度が大
となる利点がある。

(5) 補強支持部材はクランクケースの側壁の全長
と略等しい長さを有するので、各気筒毎の爆発
行程時に発生する振動も十分に抑止できる効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を実施したエンジン本体の斜
視図、第２図は第１図の側面図、第３図は補強支
持部材の分解斜視図、第４図は補強支持部材の取
付け状態を示す他の実施例の側面図、第５図は第
４図の平面図である。 ３……クランクケース、４……補強支持部材、
７……マウントラバー、８……マウント支持部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アルミ合金製のクランクケースの側壁に沿つて
   装着される板状の補強支持部材であつて、該補強
   支持部材はクランクケースの側壁の全長と略等し
   い長さを有し、更に片面にはマウントラバーのマ
   ウント支持部と補機装置の支持用ブラケツトとを
   一体的に形成してなる内燃機関の支持装置。