JP7582555B1 - フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルム - Google Patents

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Abstract

開示されているのは、ガラス上に積層フィルムを有するフィルム付ガラスであって、前記積層フィルムは少なくとも50層以上からなる近赤外線領域に反射特性を持つポリエステル積層フィルムであり、前記積層フィルムはハードコート層を有し、前記フィルム付ガラスは日射反射率が20%以上且つガラス単体と比べて可視光線透過率の減少が8%未満である、フィルム付ガラス、及びガラスと組み合わせて用いられる、積層フィルム上にハードコート層を有するハードコート層付フィルムであって、前記積層フィルムは少なくとも50層以上からなる近赤外線領域に反射特性を持つポリエステル積層フィルムであり、日射反射率が20%以上である、ハードコート層付フィルムである。

Description

本発明は、フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムに関するものである。
従来から、ビル、住宅等の建築物、電車、自動車等の交通機関の省エネルギー対策の一つとして、熱線遮蔽性能を有した透明材料の開発が進められている。例えば、窓から降り注ぐ太陽光線のうちの可視光線は透過するが、熱線は遮蔽し、かつ室内の熱を外部へ逃がさないための断熱機能を有した窓板用透明材料が開発されている。
窓板用透明材料に熱線を遮蔽する機能を付与する方法としては、アルミニウム等の金属層をフィルム等の上に均一に形成する方法が広く採用されている。
ところが、このような均一な金属層は、一般に電磁波を反射するため、屋内及び車内において携帯電話、携帯テレビ等を使用することが困難になるといった問題が生じることがある。そこで、熱線は遮蔽するが、電磁波は透過させるといった機能を有したガラス板及びフィルムの開発が進められてきている。
そのような窓板用透明材料の例として、ガラス中又は合わせガラスに用いられる中間膜中に熱線吸収材を含有させ、熱線を熱線吸収材にて遮断するもの、屈折率の異なるポリマーが交互に積層されたポリマー多層積層フィルムをガラスの間に挿入して熱線を反射させて遮断するものなどが存在している。熱線吸収材を用いる方法では、外部から入射される太陽光を熱エネルギーに変換するため、その熱が室内へと放射されて熱線カット効率が低下すること、熱線を吸収することでガラス温度が上昇し外気温との差によりガラス本体が破損する場合があるという問題がある。
一方で、ポリマー多層積層フィルムは、その層厚みを制御して、反射する波長を選択できるので、近赤外線領域の光を選択的に反射することができ、可視光線透過率を維持しつつ遮熱性能を向上させることができ、また、優れた電波透過性を保持している。
しかしながら、ポリマー多層積層フィルムとして延伸フィルムを用いる場合は、フィルムの屈折率がフィルムの幅方向、長さ方向、厚み方向の直交する3方向で異なることがあり、リタデーションが大きくなることから、このリタデーションが特定の範囲にある場合、偏光サングラス等の偏光子を介して見ると、干渉色が見えるという問題がある。
そのため、特許文献1では、偏光子を介して見た場合においても、干渉色が抑制されて良好な視認性を備えた積層フィルム、及び該積層フィルムを用いたガラス窓部材が報告されている。
特許第6225495号公報
しかしながら、透明材料について可視光透過性能を維持した上で遮熱性能を更に向上させることが望まれている。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、遮熱性能に優れ且つ可視光透過性能にも優れたフィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、ガラスと、近赤外線領域に反射特性を持つ特定の積層フィルムとを組み合わせることで、遮熱性能を効率的に向上させることができることを見出した。
本発明は、このような検討を踏まえて、完成するに至ったものである。すなわち、本発明は以下のような構成を有するものである。
(1)本発明のフィルム付ガラスは、ガラス上に積層フィルムを有するフィルム付ガラスであって、
前記積層フィルムは少なくとも50層以上からなる近赤外線領域に反射特性を持つポリエステル積層フィルムであり、
前記積層フィルムはハードコート層を有し、
前記フィルム付ガラスは日射反射率が20%以上且つガラス単体と比べて可視光線透過率の減少が8%未満であることを特徴とする。
(2)前記ガラスは、クリアガラス、グリーンガラス、複層ガラス、低放射複層ガラス、合わせガラス、又は低放射合わせガラスであることが好ましい。
(3)前記ガラスは、低放射複層ガラスであり、
前記低放射複層ガラスは、複数のガラス板の間に中空層を有し、少なくとも1方のガラス板の中空層側の面に低放射膜が設けられた複層ガラスであって、特定波長に反射特性を有することが好ましい。
(4)前記ガラスは、前記低放射合わせガラスであり、
前記低放射合わせガラスは、複数のガラス板によって低放射膜が挟まれた構成を有する合わせガラスであって、特定波長に反射特性を有することが好ましい。
(5)前記ガラスは、グリーンガラスであり、
前記グリーンガラスは、赤外線領域に吸収特性を有することが好ましい。
(6)本発明のフィルム付ガラスは、前記積層フィルムが室内側に配置されることが好ましい。
(7)本発明のフィルム付ガラスの日射反射率が、28%以上であることが好ましい。
(8)本発明のハードコート層付フィルムは、ガラスと組み合わせて用いられる、積層フィルム上にハードコート層を有するハードコート層付フィルムであって、
前記積層フィルムは少なくとも50層以上からなる近赤外線領域に反射特性を持つポリエステル積層フィルムであり、
前記積層フィルムは日射反射率が20%以上であることを特徴とする。
(9)本発明のハードコート層付フィルムは、前記積層フィルムの少なくとも片面にハードコート層を有し、ハードコート層上又はハードコート層が配置される面とは反対側に粘着層を有することが好ましい。
(10)本発明のハードコート層付フィルムは、前記ハードコート層と前記粘着層とをそれぞれ異なる面に有することが好ましい。
(11)本発明のハードコート層付フィルムにおける前記ガラスは、クリアガラス、グリーンガラス、複層ガラス、低放射複層ガラス、合わせガラス、又は低放射合わせガラスであることが好ましい。
(12)本発明のハードコート層付フィルにおける積層フィルムは、波長900~1200nmの帯域における平均反射率が70%以上であることが好ましい。
(13)本発明のハードコート層付フィルムにおける積層フィルムは、厚みが30μm~500μmであることが好ましい。
本発明のフィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムは、遮熱性能に優れ且つ可視光透過性能にも優れている。
以下、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態のフィルム付ガラスは、ガラス上に積層フィルムを有するフィルム付ガラスであって、
前記積層フィルムは少なくとも50層以上からなる近赤外線領域に反射特性を持つポリエステル積層フィルムであり、
前記積層フィルムはハードコート層を有し、
前記フィルム付ガラスは日射反射率が20%以上且つガラス単体と比べて可視光線透過率の減少が8%未満であることを特徴とする。
また、本実施形態のハードコート層付フィルムは、ガラスと組み合わせて用いられる、積層フィルム上にハードコート層を有するハードコート層付フィルムであって、
前記積層フィルムは少なくとも50層以上からなる近赤外線領域に反射特性を持つポリエステル積層フィルムであり、
日射反射率が20%以上であることを特徴とする。
本実施形態のハードコート層付フィルムは、前記積層フィルムの少なくとも片面にハードコート層を有し、ハードコート層上又はハードコート層が配置される面とは反対側に粘着層を有していてもよい。本実施形態のハードコート層付フィルムは、前記ハードコート層と前記粘着層とをそれぞれ異なる面に有していてもよい。
本実施形態のフィルム付ガラスは、前記積層フィルムの少なくとも片面にハードコート層を有し、ハードコート層上又はハードコート層が配置される面とは反対側に粘着層を有していてもよい。本実施形態のフィルム付ガラスは、前記ハードコート層と前記粘着層とをそれぞれ前記積層フィルムの異なる面に有していてもよい。この場合、本実施形態のフィルム付ガラスは、前記積層フィルムのガラスが配置される面とは反対側にハードコート層を有し、ガラスと積層フィルムとの間に粘着層を有していてもよい。
本明細書において、遮熱とは、熱線遮蔽性のことを意味する。
(可視光線、近赤外線、遠赤外線、紫外線)
本明細書において、可視光線とは、電磁波のうち肉眼で認識することができる光のことであり、一般に波長380~780nmの電磁波のことを指している。近赤外線とは、およそ波長800~2500nmの電磁波であり、赤色の可視光線に近い波長を有する。近赤外線は、太陽光の中に含まれており、物体を加熱する作用がある。これに対して、遠赤外線は、およそ波長5~20μm(5000~20000nm)の電磁波であり、太陽光の中には含まれず、室温付近の物体から放射される波長に近いものである。また、紫外線とは、およそ波長10~380nmの電磁波である。
本明細書において、熱線とは、紫外線~近赤外線の領域のことを意味する。
以下、フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムを構成する各部材について説明する。両者で共通する部材については、まとめて説明する。
(ガラス)
フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムにおけるガラスは、建築物、交通車輌、船舶等の内部に外界から太陽光を取り込むための透明な板である。一般的には、いわゆる無機のガラス板が用いられる。無機のガラスとしては、ソーダ石灰ガラスが代表的なものである。窓ガラスの形状としては、曲面、板状などが挙げられる。ガラスとしては、例えば、クリアガラス、グリーンガラス、複層ガラス、低放射複層ガラス、合わせガラス、低放射合わせガラス等を使用することができる。中でも、低放射複層ガラス、低放射合わせガラス及びグリーンガラスを使用することが、可視光線透過率を高く保ったまま高い遮熱性能が得られるため好ましく、低放射複層ガラスを使用することが特に好ましい。
低放射複層ガラスは、複数(例えば、2枚)のガラス板の間に中空層を有し、少なくとも1方のガラス板の中空層側の面に低放射膜が設けられた複層ガラスであり、特定波長(好ましくは赤外線領域)に反射特性を有することが好ましい。低放射複層ガラスは、断熱タイプ及び遮熱タイプのいずれでもよい。また、低放射合わせガラスは、複数(例えば、2枚)のガラス板によって低放射膜が挟まれた構成を有する合わせガラスであり、特定波長(好ましくは赤外線領域)に反射特性を有することが好ましい。グリーンガラスは、ガラス原料に金属を加えて製造されたものであり、赤外線領域に吸収特性を有することが好ましい。
低放射膜は、(赤外線などの)熱エネルギーの放射率を低くする機能を有するものであり、金属、金属酸化物及び金属窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1つ含む膜であることが好ましい。このような低放射膜としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、粉体法、スプレー法、蒸着法等によって形成される単一膜、複数種類の積層膜が挙げられる。膜の構成成分としては、Ag、Al等の金属、Zn、Ga、Ti、Sn、Si、Ta、Al、In、Ni、Cr及びZr等を含む金属酸化物、金属窒化物、上記金属の合金、合金酸化物、合金窒化物等が挙げられる。
(積層フィルム)
積層フィルムは、異なる光学的性質を有する2種以上のポリエステルフィルムが交互にそれぞれ50層以上積層したものである。ここでの異なる光学的性質とは、面内で任意に選択される直交する2方向及び該面に垂直な方向から選ばれる方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なることをいう。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる樹脂からなるポリエステルフィルムが厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいう。このように光学的性質の異なるポリエステルフィルムが交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係よって特定される特定の波長の光を反射させることが可能となる。また、積層する層数は、好ましくは、400層以上であり、より好ましくは800層以上である。また、層数の上限は、例えば1000層程度である。層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになるため、高い遮熱性能を備えた積層フィルムが得られるようになる。
積層フィルムは、波長900~1200nmでの平均反射率が70%以上であることが望ましい。高い透明性が求められる用途で使用するためには、可視光領域よりもやや大きな波長900~1200nmの光を効率的に反射することにより、透明性を維持したまま高い遮熱性能が得られる。好ましくは、波長900~1200nmでの平均反射率が80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
同様に、フィルム付ガラスは、少なくとも一方の面において、波長900~1200nmの帯域における平均反射率が60%以上であることが望ましい。より望ましくは、フィルム付ガラスの両面において波長900~1200nmの帯域における平均反射率が60%以上である。また、フィルム付ガラスの少なくとも一方の面において、波長900~1200nmの帯域における平均反射率が70%以上であることが好ましい。反射率上昇により遮熱性を向上させることで、ガラスが熱を吸収することで生じる熱割れが起きにくくなるため好ましい。一般的に遮熱性能として用いられる遮蔽係数は、吸収率の増加及び反射率の増加の双方の効果を示すが、上記理由から、特に建物用の窓ガラスにおいては吸収率上昇よりも反射率上昇が好ましい。
積層フィルムに使用されるポリエステル樹脂は、共重合体であっても、混合物であってもよい。このポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸とジオールあるいはそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも好ましくは、テレフタル酸と2,6ナフタレンジカルボン酸である。これらの成分は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、イソソルベート、スピログリコールなどが挙げられる。中でも好ましくは、エチレングリコールである。これらのジオール成分は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
積層フィルムに使用されるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート及びその共重合体、ポリブチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリブチレンナフタレート及びその共重合体、ポリヘキサメチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレート及びその共重合体などが好ましい。
積層フィルムは、隣接する異なる光学的性質を有するポリエステル樹脂によって構成される層の面内平均屈折率の差が0.03以上であることが好ましく、より好ましくは0.05以上であり、更に好ましくは0.1以上0.15以下である。
積層フィルムの具体例としては、少なくとも一つのポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを含んでなり、少なくとも一つのポリエステル樹脂がスピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるものが挙げられる。より好ましくは、少なくとも一つのポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを含んでなり、少なくとも一つのポリエステル樹脂がスピログリコール及びシクロヘキサンジカルボン酸を用いて得られるポリエステルである。
また、積層フィルムの他の具体例としては、少なくとも一つのポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを含んでなり、単一の組成であっても少量の他の繰り返し単位が共重合され、あるいは少量の他のポリエステル樹脂がブレンドされたものであってもよく、少なくとも一つのポリエステル樹脂がシクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるものが挙げられる。
積層フィルムは、二軸延伸したものを使用することができる。延伸は、逐次に二方向に延伸されたものであってもよいし、同時に二方向に延伸されたものであってもよい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なり、通常、2~15倍が好ましく、2~7倍がより好ましい。積層フィルムは、必要に応じてコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与されたものであってもよい。
積層フィルムとしては、例えば、特許第6225495号公報に記載のものを使用することができる。
積層フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば30~500μmであり、35~400μmであることが好ましく、40~300μmであることがより好ましい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、積層フィルムの少なくとも一方の表面に設けられた層である。ハードコート層は、積層フィルムのガラスが配置される面とは反対側、及びガラスと積層フィルムとの間のいずれかに設置することができるが、積層フィルムのガラスが配置される面とは反対側に設置する方が好ましい。
ハードコート層の膜厚は、0.1~20μmであり、0.5~10μmであることが好ましく、0.9~6μmであることがより好ましい。
ハードコート層には、高硬度の被膜を比較的容易に形成できることから、紫外線硬化性樹脂が使用される。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂等が挙げられるが、取扱い及び加工のし易さから、アクリル系樹脂が好ましい。
紫外線硬化性のアクリル系樹脂は、アクリル系の重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーからなる硬化性組成物の重合体である。アクリル系の重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーとしては、単官能のものと多官能のものがある。
アクリル系の重合性不飽和基を有する単官能のモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、アクリル系の重合性不飽和基を有する単官能のオリゴマーの具体例としては、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
アクリル系の重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーからなる組成物が硬化性となるためには、アクリル系の重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーとして、多官能(メタ)アクリル酸エステルを含有していることが好ましい。多官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの多官能アクリレートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、ハードコート層としての硬度を確保するためには、4官能以上の(メタ)アクリル酸エステルを使用することが好ましい。
また、アクリル系の重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーとして、水素の一部をフッ素で置換したフッ素含有アクリル系樹脂を用いると、耐擦傷性及び防汚性がさらに向上するため好ましい。
紫外線硬化性のウレタン系硬化性樹脂とは、ウレタンアクリレートモノマー又はオリゴマーの重合体である。ウレタンアクリレートオリゴマーは、ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基を有するものである。
紫外線硬化性樹脂とするためには、上記の重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーに、必要に応じて重合開始剤を加えて、紫外線硬化性の組成物とすることが必要である。
紫外線重合開始剤としては、公知の各種重合開始剤を使用することができる。具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、α-ヒドロキシアセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2(ヒドロキシ-2-プロプル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、プロピオフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリーブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミン安息香酸エステルなどを挙げることができる。これら紫外線重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。紫外線重合開始剤の添加量は、重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーに対して、1~10質量%であることが好ましい。
また、ハードコート層は、必要に応じて、本実施形態の効果を損なわない範囲で、上記以外の成分を含有してもよい。ハードコート層に添加可能な成分としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤(ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)など)、フッ素系防汚剤等が挙げられる。
(粘着層)
粘着層は、積層フィルムとガラスとを貼着する層である。粘着層に用いられる材料としては、一般にガラス貼着用等に使用されている接着剤及び粘着剤を使用することができる。粘着層に用いられる材料としては、例えば、アクリル系、ゴム系(天然ゴム系、ポリブタジエン系等)、シリコーン系、ウレタン系、ポリビニルブチラール系、ポリビニルアセタール系、エチレン-酢酸ビニル系等の各種樹脂が挙げられる。これらの中では、耐久性の観点から、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂及びシリコーン系樹脂の少なくとも1種を含有することが好ましい。
(ハードコート層付フィルムの製造方法)
次に、本実施形態のハードコート層付フィルムの製造方法について説明する。
本実施形態のハードコート層付フィルムは、積層フィルム上にハードコート層を形成することによって、製造することができる。
ハードコート層を形成する方法について説明する。紫外線硬化性樹脂を溶剤に適当量混合し、適切な粘度の溶液を調製する。その溶液を積層フィルム上にコーティングする。乾燥させた後、紫外線を用いて硬化反応をさせることによって、ハードコート層を形成することができる。
粘着層を形成する方法について説明する。まず、接着剤又は粘着剤に溶剤を適当量混合して、適切な粘度の塗料組成物の溶液を調製する。次に得られた溶液を積層フィルム上にコーティングする。その後、溶液を乾燥させると、粘着層を形成することができる。また、別のシートに得られた溶液にコーティングして粘着層を形成した後に、当該粘着層を積層フィルム上に貼り付けてもよい。
また、本実施形態のフィルム付ガラスは、粘着層を有するハードコート層付フィルムを使用し、当該ハードコート層付フィルムを粘着層を介してガラスに貼り付けることによって製造することができる。
本実施形態のフィルム付ガラスは、前記積層フィルムが室内側又は室外側のいずれに貼り付けられていてもよく、積層フィルムが室内側に配置されることが好ましい。
[フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムの性能]
以下、フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムが有する各種性能について説明する。
(可視光線透過率)
フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムは、波長380~780nmの可視光線を透過させる。フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムの可視光線透過率は、60%以上であることが好ましい。可視光線透過率が60%以上であると、視野的に優れたものとなる。70%以上がより好ましい。また、フィルム付ガラスは、可視光線透過率の減少がガラス単体と比べて8%未満であることが好ましく、5%未満であることがより好ましい。可視光線透過率は、JIS S3107:2013に準拠して分光光度計を用いて測定することができる。
(日射反射率)
フィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムは、日射反射率が20%以上であることが好ましい。日射反射率が20%以上であると、遮熱性に優れたものとなる。日射反射率は、28%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。日射反射率は、JIS S3107:2013に準拠して分光光度計を用いて測定することができる。
本実施形態のハードコート層付フィルムは、可視光線透性能に優れ且つ遮熱性能にも優れていることから、建物の窓、自動車等の交通車輌の窓などにおいて、ガラスに貼り付けて利用することができる。また、本実施形態のフィルム付ガラスを窓ガラスとして利用することもできる。
本実施形態を下記の実施例によって、さらに具体的に説明する。
(実施例1)
(熱可塑性樹脂の準備)
熱可塑性樹脂Aとして、[東レ製F20S](ポリエチレンテレフタレート、固有粘度0.65、融点255℃、この樹脂を延伸・熱処理して得られるフィルムの面内屈折率:1.66)、熱可塑性樹脂Bとして、固有粘度0.72で非晶性であるポリエチレンテレフタレート80mol%とスピログリコール20mol%とを共重合した共重合体(この樹脂を延伸・熱処理して得られるフィルムの面内屈折率:1.55)を準備した。
(積層体の作製)
前記熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを、それぞれ、ベント付き二軸押出機にて280℃の溶融状態とした後、前記熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとが、交互に積層するように、フィードブロックにて合流させ積層体を得た。各層の厚みはすべて同じとなるように調整した。積層体の表裏の最表層はともに熱可塑性樹脂Aとなるようにした。前記積層体をT-ダイから吐出させてシート状に成形した後、キャスティングドラムに当てて冷却し、積層体を得た。
(延伸処理)
前記積層体を、表面温度80℃に設定されたロールで加熱した後、ラジエーションヒーターで更に前記積層フィルム温度が90℃となるように加熱しつつ、縦方向に4倍延伸した後冷却し、一軸延伸フィルムを得た。
(表面処理)
前記一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施した後、シリカ粒子(商品名:シーホスターKE、日本触媒社製)を2質量%、ポリエステル樹脂(商品名:TP294、三菱ケミカル社製)を98質量%含有する組成物分散液を塗布して層厚200nmの易接着層を形成した。
前記一軸延伸フィルムをヒーターで100℃まで昇温し、テンターで横方向に4倍延伸した後、室温まで徐冷後、巻き取った。
得られた積層フィルムの厚みは、75μmであった。また、900~1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400~700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。積層フィルム単体での900~1200nmの平均反射率は90%以上であった。当該積層フィルムは50層以上を有していた。
(ハードコート層の形成)
得られた積層フィルムの片面に、東亜合成社製アロニックス(商標)M-940(6官能アクリレート、固形分100質量%):100質量部、BASF社製Irgacure184(光開始剤、固形分100質量%):4質量部、ダイキン工業社製オプツールDAC-HP(フッ素系防汚材、固形分20質量%):0.5質量部、及びPGM(溶剤、固形分0質量%):1300質量部からなる塗料を、メイヤーバーで乾燥後の厚さが2.0μmになるように塗布し、80℃で1分間乾燥し、次いで、高圧水銀ランプ(照度400mW/cm)で、光量が150mJ/cmになるように紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。
(粘着層の形成)
シリコーンで処理されたセパレータシート(三菱ケミカル社製、MRQ#38、38μm厚さ)のシリコーン処理面上に、綜研化学社製SK1429DT(アクリル系粘着剤、固形分30質量%):100質量部、綜研化学社製AD-5A(アルミ錯体系硬化剤、固形分5質量%):3質量部、及びBASF社製 Tinuvin(商標)928(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、固形分100質量%):3質量部からなる塗料を塗布し、100℃の熱風オーブン中で2分間乾燥させて、約12μm厚さの接着層を形成した。
フィルムのPET面と、セパレータシートの接着層面とを積層して、7日間エージングして粘着層付フィルムを作製した。
(フィルム付ガラスの作製)
粘着層付フィルムのセパレータシートを剥離し、YKK AP社製Low-E複層ガラス(断熱タイプ)ニュートラルに粘着剤面をラミネートして実施例1のフィルム付ガラスを作製した。
(実施例2)
ラミネートするガラスとして、呼び厚さ3mmのフロートガラスを使用したこと以外は実施例1と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(実施例3)
ラミネートするガラスとして、グリーンガラス(AGC社製、商品名:サングリーン、呼び厚さ5mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(実施例4)
熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを、積層フィルム単体での900~1200nmの平均反射率が80%以上になるように積層し、108μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(実施例5)
ラミネートするガラスとして、呼び厚さ3mmのフロートガラスを使用したこと以外は実施例4と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(実施例6)
ラミネートするガラスとして、グリーンガラス(AGC社製、商品名:サングリーン、呼び厚さ5mm)を使用したこと以外は実施例4と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(比較例1)
積層フィルムに代えてポリエチレンテレフタレートフィルム(易接着性2軸延伸PETフィルム、東洋紡社製コスモシャイン(商標)A4360、厚み38μm)を用い、ハードコート層を、東亜合成社製アロニックスM-940(6官能アクリレート、固形分100質量%):100質量部、BASF社製Irgacure184(光開始剤、固形分100質量%):4質量部、ダイキン工業社製オプツールDAC-HP(フッ素系防汚材、固形分20質量%):0.5質量部、PGM(溶剤、固形分0質量%):1300質量部、及び住友金属鉱山製YMF-02A(近赤外線吸収材料、固形分18.5質量%):90質量部からなる塗料にしたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(比較例2)
ラミネートするガラスとして、呼び厚さ3mmのフロートガラスを使用したこと以外は比較例1と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(比較例3)
ラミネートするガラスとして、グリーンガラス(AGC社製、商品名:サングリーン、呼び厚さ5mm)を使用したこと以外は比較例1と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(比較例4)
積層フィルムに代えてポリエチレンテレフタレートフィルム(易接着性2軸延伸PETフィルム、東洋紡社製コスモシャイン(商標)A4360、厚み38μm)の一方の面全体に、以下の第1金属酸化物層1、第1銀合金層2、第2金属酸化物層3、第2銀合金層4、第3金属酸化物層5を、スパッタリング法を用いて順次積層して、3層からなる金属酸化物層を形成したフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。スパッタリング法は、0.4Paの真空下で行った。各層の組成と厚さは、下記のとおりである。なお、得られたフィルムの金属酸化物層の面に粘着層を形成し、PET面にハードコート層を形成した。
第1金属酸化物層1:ITO、27nm
第1銀合金層2:AgPd(パラジウムを1原子%含有する銀合金)、10nm
第2金属酸化物層3:ITO、55nm
第2銀合金層4:AgPd(パラジウムを1原子%含有する銀合金)、10nm
第3金属酸化物層5:ITO、27nm
(比較例5)
ラミネートするガラスとして、呼び厚さ3mmのフロートガラスを使用したこと以外は比較例4と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
(比較例6)
ラミネートするガラスとして、グリーンガラス(AGC社製、商品名:サングリーン、呼び厚さ5mm)を使用したこと以外は比較例4と同様にして、フィルム付ガラスを作製した。
<評価項目>
(可視光線透過率、可視光線反射率、日射透過率、日射反射率、日射吸収率)
分光光度計(島津製作所社製、SolidSpec-3700i DUV)を用い、300~2500nmの波長範囲で測定し、JIS S3107:2013に基づいて測定した。日射吸収率は以下の式により求めた。
(日射吸収率)=100%-(日射透過率)-(日射反射率)
可視光線透過率の評価基準:可視光線透過率の減少が、ガラス単体と比べて5%未満の場合は「A」、5%以上7%未満の場合は「B」、7%以上8%未満の場合は「C」、8%以上の場合は「D」とした。
日射反射率の評価基準:日射反射率が、30%以上の場合は「A」、28%以上30%未満の場合は「B」、20%以上28%未満の場合は「C」、20%未満の場合は「D」とした。
総合評価の評価基準:可視光線透過率及び日射反射率の評価の低い方とした。
(遮蔽係数)
フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所社製、IRTracer-100)を用い、分光反射を5.5μm~25μmの波長範囲で測定した。垂直放射率を、JIS R 3106(板ガラスの透過率・反射率・放射率の試験方法及び建築用板ガラスの日射熱取得率の算定方法)の附属書JBのJB.2 垂直放射率の算定方法に従って求めた。垂直放射率の計算において、波長範囲25.2μm~50.0μmの分光反射率には、波長23.3μmの値を用いた。得られた垂直放射率を用い、JIS S 3107:2013に基づいて遮蔽係数を計算した。
実施例1~6及び比較例1~6のハードコート層及び粘着層付積層フィルム並びにフィルム付ガラスの評価結果を表1に示した。
Figure 0007582555000001
遮蔽係数は、実施例1~3及び比較例1~6に使用したフィルムで0.73~0.76と同等であった。実施例1~6では、ガラス単体と比べ、可視光線透過率の低下が4%以内であった。比較例1~6では、いずれも、ガラス単体と比べて可視光線透過率を8%以上低下させた。
日射反射率は、ガラス単体の日射反射率と比較して実施例1~6、比較例4~6で増加した。各ガラスにおいて、実施例は比較例に比べて高い日射反射率であった。具体的には、実施例1、3、4、比較例4が30%以上、実施例6、比較例1が28%以上、実施例2、5、比較例5、6が20%以上、比較例2、3が20%未満であった。
実施例3、6、比較例6では、サングリーン単体と比べ、日射吸収率を大きく低下させた。
可視光線透過率及び日射反射率の結果から、実施例1~6は、透明性を維持したまま優れた遮熱性能を持っていた。
さらに、ガラス単体と比較した日射反射率の向上率について表2に示す。フィルムdの向上率に対するフィルムa,bの向上率の比は、Low-E複層ガラスを使用したときのみ、1.8及び2.4となり、他の2つのガラスが1.0~1.3であるのに対して高い値となった。
Figure 0007582555000002
以上の結果から、本発明は、遮熱性能に優れ且つ可視光透過性能にも優れるフィルム付ガラス及びハードコート層付フィルムである。

Claims (9)

  1. ガラス上に積層フィルムを有するフィルム付ガラスであって、
    前記積層フィルムは少なくとも50層以上からなる近赤外線領域に反射特性を持つポリエステル積層フィルムであり、
    前記積層フィルムはハードコート層を有し、
    前記フィルム付ガラスは日射反射率が20%以上且つガラス単体と比べて可視光線透過率の減少が8%未満であり、
    前記ガラスは、低放射複層ガラスである、フィルム付ガラス。
  2. 記低放射複層ガラスは、複数のガラス板の間に中空層を有し、少なくとも1方のガラス板の中空層側の面に低放射膜が設けられた複層ガラスであって、特定波長に反射特性を有する、請求項1に記載のフィルム付ガラス。
  3. 前記積層フィルムが室内側に配置される、請求項1又は2に記載のフィルム付ガラス。
  4. 前記フィルム付ガラスの日射反射率が、28%以上である、請求項1又は2に記載のフィルム付ガラス。
  5. ガラスと組み合わせて用いられる、積層フィルム上にハードコート層を有するハードコート層付フィルムであって、
    前記積層フィルムは少なくとも50層以上からなる近赤外線領域に反射特性を持つポリエステル積層フィルムであり、
    日射反射率が20%以上であり、
    前記ガラスは、低放射複層ガラスである、ハードコート層付フィルム。
  6. 前記積層フィルムの少なくとも片面にハードコート層を有し、ハードコート層上又はハードコート層が配置される面とは反対側に粘着層を有する、請求項に記載のハードコート層付フィルム。
  7. 前記ハードコート層と前記粘着層とをそれぞれ異なる面に有する、請求項に記載のハードコート層付フィルム。
  8. 前記積層フィルムは、波長900~1200nmの帯域における平均反射率が70%以上である、請求項のいずれか一項に記載のハードコート層付フィルム。
  9. 前記積層フィルムは、厚みが30μm~500μmである、請求項のいずれか一項に記載のハードコート層付フィルム。
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