JP7521875B2 - 車両後部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両後部に搭載されたバッテリなどの蓄電装置を好適に保護することが可能とされた車両後部構造に関する。
たとえば、ハイブリッド自動車においては、補機用のバッテリが車両後部に搭載される場合がある。この場合、車両のリヤフロア部に下向きに窪んだ凹部を設けておき、かつこの凹部にバッテリを収容する手段がよく採用される(たとえば、特許文献1,2を参照)。このような手段によれば、バッテリを車両の後部にスペース効率よく、かつ体裁よく搭載することが可能である。
しかしながら、前記従来技術においては、次のように改善すべき余地がある。
すなわち、車両の後突や側突が発生し、車両後部に対して車両後方側や車幅方向外方側から大きな衝突荷重が入力した場合、この衝突荷重がバッテリに強く作用することを適切に回避し、バッテリが損傷することを防止することが要請される。
これに対し、従来においては、そのような要請に対し、十分かつ的確に応え得る手段は提案されていないのが実情である。
バッテリを保護するための手段としては、たとえばリヤフロア部のバッテリの搭載箇所周辺部に、高剛性の補強部材を追加して設ける手段が考えられる。ところが、このような手段によれば、重量の増加や製造コストの上昇を招く。
特開2014-82167号公報 特開2020-19296号公報 特開2019-73212号公報
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、車両後部に搭載されたバッテリなどの蓄電装置が車両の後突時や側突時に損傷する虞を適切に防止または抑制することが可能な車両後部構造を提供することを、その課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明により提供される車両後部構造は、リヤフロア部に設けられた凹部内に配された蓄電装置と、左右の後輪の相互間領域に位置して車幅方向に延びる後輪駆動用のドライブシャフトおよびその回転駆動源としてのモータと、を備えている、車両後部構造であって、前記モータは、前記ドライブシャフトの車両後方側に位置して車両前後方向に幅をもつ態様に設けられ、前記蓄電装置は、車両平面視において、前記ドライブシャフトの車両後方側かつ前記モータの車幅方向片側に位置するとともに、車両側面視において、少なくとも一部が前記モータとオーバラップするように設けられており、前記蓄電装置の後端部は、前記モータの後端部と車両前後方向の位置が略一致し、またはそれよりも車両前方側に位置していることを特徴としている。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、車両の後突が発生し、車両後部に対して車両後方側から衝突荷重が入力する場合、この衝突荷重を前記モータによって受けさせることにより、蓄電装置の後端部に強く作用しないようにすることが可能である。一方、車両の側突が発生し、車両後部に対して車幅方向外方側から衝突荷重が入力する場合、前記ドライブシャフトの存在により、前記衝突荷重が蓄電装置に対して強くまたは直接的に作用しないようにすることが可能である。このようなことから、本発明によれば、車両の後突および側突のいずれの場合においても、蓄電装置を適切に保護することが可能である。
本発明は、蓄電装置を保護するための部分として、後輪駆動用のドライブシャフトおよびその回転駆動源としてのモータを利用しており、蓄電装置を保護するための専用部材を別途用いる構成ではない。したがって、車両の重量増加や製造コストの上昇を抑制することもできる。
また、本発明によれば、蓄電装置をドライブシャフトやモータとの関係においてスペース効率の良い箇所に配置可能であり、レイアウト性も良い。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
本発明に係る車両後部構造の一例を示す要部概略側面断面図である。 図1のII-II概略断面図である。 図1の矢視IIIの車両後面視概略断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1~図3に示す車両後部構造Aは、たとえばハイブリッド自動車に適用されており、バッテリ1、リヤフロア部2、左右の後輪3(3a,3b)の駆動用のドライブシャフト4(4a,4b)、モータM、および駆動力伝達装置5を備えている。
バッテリ1は、本発明でいう蓄電装置の一例であって、たとえば鉛蓄電池などの補機用のバッテリである。リヤフロア部2は、フロアパネルを用いて構成され、かつロアバック60の車両前方側に広がるように設けられており、その上面側にはデッキボード61が適宜配されている。図1中、符号62は、バックドアを示している。
リヤフロア部2には、下方に窪んだ凹部20が形成されている。バッテリ1は、その凹部20内に配され、かつ適当な固定部材(不図示)を利用して固定されている。凹部20は、バッテリ1の周囲を囲む角筒状の側壁部20aおよびバッテリ1が載せられる底壁部20bにより形成されているが、凹部20の具体的な形状などはこれに限定されない。
ドライブシャフト4a,4bは、一端部が後輪3a,3bに連結され、かつ他端部が駆動力伝達装置5に連結され、車幅方向に延びている。このドライブシャフト4a,4bとしては、図示されているような比較的単純な軸状のものに代えて、たとえば等速ジョイントを用いたものなど、他の構成のものであってもよい。
モータMは、ドライブシャフト4の回転駆動用であり、バッテリ1とは別のメインバッテリ(不図示)を駆動電源としている。駆動力伝達装置5は、たとえば差動歯車装置である。モータMおよび駆動力伝達装置(差動歯車装置)5の組み合わせ構造の詳細な説明は省略するが、これらは、たとえば特許文献3に記載された従来既知のものと同様であり、モータMの駆動軸の回転が、適度に減速された上で、ドライブシャフト4a,4bの双方に対して速度差を許容するかたちで伝達される。
モータMは、駆動力伝達装置5との連結が図られた上で、ドライブシャフト4a,4b
よりも車両後方側に位置して車両前後方向に適当な幅Laをもつ態様に設けられている。好ましくは、モータMは、前記の幅Laが、車幅方向の幅Lbよりも大きい形状、いわゆる車両前後方向の縦長状である。これは、車両側面視において、バッテリ1とモータMとのオーバラップ量を大きくする上で好ましい。
バッテリ1は、図2に示すように、車両平面視において、ドライブシャフト4の車両後方側かつモータMの車幅方向片側に位置している。車幅方向において、ドライブシャフト4の一部は、バッテリ1とオーバラップしているが、ドライブシャフト4の他の一部は、バッテリ1の左右両側に位置して車幅方向に延びた態様となっている。図1に示すように、バッテリ1は、車両側面視において、少なくともその一部がモータMとオーバラップしている。本実施形態においては、バッテリ1は、上下高さ方向および車両前後方向のいずれの方向においても、モータMとオーバラップしている。
バッテリ1の後端部1aは、モータMの後端部7よりも適当な寸法Lcだけ車両前方側に位置している。ただし、後述するように、それら2つの後端部1a,7の車両前後方向の位置を略一致させた構成とすることもできる。
次に、前記した車両後部構造Aの作用について説明する。
車両の後突が発生することにより、図2に示すように、車両後部に対して車両後方側から大きな衝突荷重(後突荷重)F1が入力する場合がある。これに対し、バッテリ1の後端部1aは、モータMの後端部7よりも車両前方側に位置している。このため、衝突荷重F1は、バッテリ1に作用するよりも前にモータMの後端部7に作用することとなり、モータMにより受けられる。したがって、バッテリ1に衝突荷重F1が強くかつ直接的に作用することを回避し、バッテリ1を保護することが可能である。
前記とは異なり、車両の側突が発生し、車両後部の一側部に対して車幅方向外方側から大きな衝突荷重(側突荷重)F2が入力する場合がある。これに対し、一方のドライブシャフト4aは、バッテリ1よりも車幅方向外方側に突出するように延びている。このため、ドライブシャフト4aは、衝突荷重F2に対する突っ張り力を発揮し、衝突荷重F2の多くは、このドライブシャフト4aによって受けられる。したがって、バッテリ1に衝突荷重F2が強くかつ直接的に作用することも回避され、バッテリ1が適切に保護される。
なお、車両の側突が、前記とは反対に、車両後部の他側部において発生し、衝突荷重(側突荷重)F3が入力する場合には、この衝突荷重F3の入力箇所からバッテリ1までの距離が離れていることに加え、ドライブシャフト4bやモータMの存在によってもバッテリ1は保護される。
前記したように、本実施形態によれば、車両の後突および側突のいずれの場合においても、バッテリ1を適切に保護することが可能であるが、バッテリ1を保護するための手段として、既存のドライブシャフト4およびモータMを利用している。したがって、車両の重量増加や製造コストの上昇を抑制することも可能である。
バッテリ1は、車両側面視において、モータMに対して大きな面積割合でオーバラップしており、車両前後方向および上下高さ方向のいずれの方向においても、モータMから大きくはみ出した位置関係にはない。モータMおよびバッテリ1の両者は、互いに接近してスペース効率よく車両に搭載されており、これらのレイアウト性もよい。したがって、本実施形態の車両後部構造Aは、たとえば小型の車両に対しても好適に用いることが可能である。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る車両後部構造の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
上述の実施形態においては、バッテリ1の後端部1aが、モータMの後端部7よりも車両前方側に位置しているが、本発明はこれに限定されない。バッテリ1の後端部1aが、車両前後方向において、モータMの後端部7と略一致した構成とすることもできる。バッテリ1の後端部1aが、モータMの後端部7よりも車両後方側に僅かにはみ出す配置にあったとしても、車両の後突時における車両後方側からの衝突荷重の入力によって、バッテリ1が破損しないようにすること(たとえば、バッテリ1に衝突荷重の入力があると、バッテリ1が車両前方に押されて、モータMよりも車両前方側に移動し、それ以降は、バッテリ1に衝突荷重が直接入力しない構成)は可能であり、本発明においては、そのような構成も技術的範囲に包摂される。
本発明でいう蓄電装置は、補機用のバッテリに限らず、メインバッテリであってもよく、さらにはキャパシタなどの各種の充電装置を含む。
本発明が適用される車両は、ハイブリッド車に限らず、電気自動車や一般のエンジン自動車にも適用することが可能である。モータの種類、ドライブシャフトの具体的な構成などは限定されない。
本発明でいうリヤフロア部の凹部は、蓄電装置を収容し得る凹部であればよく、具体的形状、サイズ、位置などは限定されない。蓄電装置の全体が凹部内に収まらず、凹部の外部に蓄電装置の一部がはみ出す態様であってもよい。
A 車両後部構造
M モータ
1 バッテリ(蓄電装置)
1a 後端部(バッテリの)
2 リヤフロア部
20 凹部
3(3a,3b) 後輪
4(4a,4b) ドライブシャフト
7a 後端部(モータの)

Claims (1)

  1. リヤフロア部に設けられた凹部内に配された蓄電装置と、
    左右の後輪の相互間領域に位置して車幅方向に延びる後輪駆動用のドライブシャフトおよびその回転駆動源としてのモータと、
    を備えている、車両後部構造であって、
    前記モータは、前記ドライブシャフトの車両後方側に位置して車両前後方向に幅をもつ態様に設けられ、
    前記蓄電装置は、車両平面視において、前記ドライブシャフトとはオーバラップしないように前記ドライブシャフトからその車両後方側に離間し、かつ前記モータの車幅方向片側に位置するとともに、車両側面視において、少なくとも一部が前記モータとオーバラップするように設けられており、
    前記蓄電装置の後端部は、前記モータの後端部と車両前後方向の位置が略一致し、またはそれよりも車両前方側に位置していることを特徴とする、車両後部構造。
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WO2012017935A1 (ja) 2010-08-03 2012-02-09 三菱自動車工業株式会社 車両の後部保護構造
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