JP7313499B2 - 走査型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡の2次電子検出方法 - Google Patents

走査型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡の2次電子検出方法 Download PDF

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本発明は、帯電防止に利用する低真空状態において起こる画像SNRの劣化を防止し、より高いSNRの画像取得を可能とする走査型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡の2次電子検出方法に関する。
電子顕微鏡は半導体デバイス等をnmオーダーの分解能で観察し測定するために広く半導体デバイス製造現場で使用されている。半導体デバイス製造現場では、主に、シリコン基板、フォトマスクを構成する石英などの表面に金属パターンを設けたサンプルを観察する。これらのパターンは通常絶縁体上に設けられているため、電子ビームを照射すると容易に帯電し、正しい観察や測定を行うことが困難となる
ここでサンプルの帯電は以下のようにして起こる。
電子ビームは負の荷電粒子である電子の流れであり、サンプル表面に到達すると散乱し、2次電子を発生する。1個の1次電子から発生する2次電子の量はサンプルや1次電子ビームのエネルギーによって変化し、0から10位の範囲で変化する。
そのため、照射に用いた1次電子の量と発生する2次電子の量が釣り合わない場合には、サンプル表面が正負いずれかの状態に帯電する。絶縁体表面で帯電は起こるため、かなりの長い間その状態が保たれる。
帯電すると、その周辺には大きな電位勾配が発生するため、1次電子ビームの軌道や着地エネルギーに変化を与えるため、歪んだ画像が得られる。
帯電は、発生した2次電子の軌道にも影響を与えるため、最悪の場合、画像は真っ白や真っ黒になってしまい、何も見えなくなってしまうことがある。
従来、絶縁体上のパターンを観察するために、観察箇所の電位を測定してその近傍に配置した電極に電位を加えて測定対象の電位を一定に保つ技術や高速で走査して電子が蓄積するのを防止する技術など種々の帯電防止技術が使用されてきた。
その中でも特に、低真空状態で電子ビームとの相互作用によって生じるプラスおよびマイナスのイオンガスを用いた帯電防止技術がフォトマスク等部分的に絶縁されているパターンや島状に孤立して存在するパターンの観察には他の方式と比較して優れていることが判明している。
イオンガスを発生させるためには電子ビームとの相互作用(電子ビームとガスの衝突)が必要で、その分だけ1次電子ビーム量が減少し、ビームスポットサイズが大きくなるため、画像SNRおよび分解能劣化が起こる。
更に、試料表面で発生した2次電子が電子検出器に至る途中でイオンガスと相互作用することで、消失してしまい電子検出装置に到達しないので検出できない等の問題があった。
更に、イオン化するガスを真空チャンバー内に導入すればするほど、帯電防止効果は向上しても取得できる画像のSNRが劣化する問題があるため、むやみに多くのガスを導入できない問題があった。
また、試料の表面で発生した2次電子あるいは反射電子が真空チャンバー中に存在するイオンガスと相互作用することで軌道が変化し、四方に散乱されて電子検出器に届かないため2次電子の検出効率が低下し、例えば30Pa以下の低真空では画像SNRが低くなりすぎ実用的で無いという問題もあった。
SNRが低下すると必要なSNRを持つ画像を取得する時間が長くなるあるいは取得できなくなる等の不具合が生じるという問題があった。
従来、低真空中で試料にバイアス電圧を加えると放電すると考えられており、現在の装置では、低真空状態ではバイアスが掛からないようにインターロックが掛かっていた。
本発明は、従来とは全く逆に、低真空中のサンプル(試料)の表面で生じた2次電子に対して放電しない範囲の加速電圧を印加し、サンプルの表面に対して垂直方向に加速して従来の四方八方に散乱していた2次電子を2次電子検出器の検出範囲内に走行させて検出可能とし、従来の散乱して検出できなかった2次電子も補集して検出し、画像のSNRを向上させるようにした。
また、別途設けたイオン発生装置を用いて、従来のチャンバー真空度では発生できない多量のイオンを発生してサンプルに向けて放出し、真空チャンバーの真空度を高く保ったまま、十分な帯電防止効果を保持した状態で画像SNRを向上させるようにしている。
そのため、本発明は、電子ビームを細く絞ってサンプルに照射しつつ平面走査し、放出された2次電子を検出する2次電子検出器を設けた走査型電子顕微鏡において、電子ビームを細く絞る対物レンズと試料室内に移動可能に保持されたサンプルとの間に電子ビームが通過し、かつ気体がほとんど通過されない小さなアパチャーと、サンプルを収納した試料室の圧力を所定圧力に保持する所定圧力保持手段と、サンプルとアパチャーとの間に所定バイアス電圧を印加するサンプル電圧印加装置とを設け、サンプル電圧印加装置がサンプルから放出された2次電子をアパチャーに向けて加速する電圧をアパチャーに印加して、サンプルから放出された2次電子を該アパチャーの小さな穴を通過させるように偏向し、通過した2次電子を2次電子検出器で検出して2次電子検出割合を増大させるようにしている。
この際、試料室の圧力を所定圧力に保持する該所定圧力を、細く絞った電子ビームが試料室内の気体に衝突してイオン化し、サンプルの表面に電子ビームの照射によって生じた負電荷を中和するに十分なイオン量が得られる圧力とするようにしている。
また、試料室の圧力を所定圧力に保持する該所定圧力を、試料室に接続したイオン発生装置からのイオンを導入し、サンプルの表面に電子ビームの照射によって生じた負電荷を中和するに十分なイオン量が得られる圧力とするようにしている。
また、イオン発生装置から測定点へのイオンの導入を制御するために、パルス状の制御電圧を印加して平均イオン流を調整するようにしている。
また、所定のバイアス電圧は、放電が起こらない400V以下とするようにしている。
本発明は、低真空中のサンプルの表面で生じた2次電子に対して放電しない範囲の加速電圧を印加し、サンプルの表面に対して垂直方向に加速して従来の四方八方に散乱していた2次電子を2次電子検出器の検出範囲内に走行させて検出可能とし、従来の散乱して検出できなかった2次電子も補集して検出し、画像のSNRを向上させることが可能となる。
また、イオン発生装置を用いて、従来のチャンバー真空度では発生できない多量のイオンを発生してサンプルに向けて放出し、真空チャンバーの真空度を高く保ったまま、十分な帯電防止効果を保持した状態で画像SNRを向上させることが可能となる。SNRの向上を通じて、測定精度および検査速度のスループット向上ができる。同じSNRの画像を得るために照射電流値を下げることができるので、サンプルへのダメージを減らせる。アパチャーに2次電子が衝突するのを防止できるため、アパチャーの帯電を防止可能で、電子ビーム照射軸の安定化が得られる。
図1は、本発明の1実施例構成図を示す。この図1は、本発明の低真空を利用した電子顕微鏡の基本構成を示す。装置全体はPC(パソコン)23のディスプレイ24を見ながらキーボード等の入力デバイスからの指令で動作するように自動化されている。デバイス間通信はTCPIPやUSBあるいはその他のシリアル通信手段等を用いて行われる。測定条件および結果等は図示外のデータベースに収められており、最適な測定条件を瞬時に読み出して設定し、その測定結果をディスプレイ24上に表示して見ることが出来る。
図1において、電子銃1は、電子ビームを発生するためのものであって、タングステン結晶の先端部にZrO等を盛ったショトキーエミッターおよびエミッターに強力な電界を加えるためのエクストラクター等の電極あるいは不要な電子を押し込めるためのサプレッサー電極などからなるものである。電子銃1の近傍はショトキー型電子エミッターを安定に動作させるため10のマイナス7乗よりも高い真空度に保たれている。
差動構成された2つのイオンポンプにて、電子銃1の部分とそれ以外の部分とを分け、電子銃1の部分を高い真空度を維持している。
コンデンサレンズ2は、電子銃1から放出された電子を集め適切な電子密度にするものである。
ブランキング電極3は、必要な時だけ電子ビームがサンプル11に照射されるようにするための高電圧を印加する電極である。
ブランキングアパチャー4は、ブランキング電極3で電子ビームが偏向されたときに遮断するためのものである。
対物アパチャー5は、対物レンズ8が電子ビームを細く絞ってサンプル11に照射するときの開き角度(実質的には電子ビームのビーム径を決めるのに用いる)を調整するアパチャーである。
電子検出器6は、電子ビームを細く絞ってサンプル11に照射しつつ平面走査し時に放出される2次電子、反射電子を検出するものであって、MCPやシンチレータ、APDなどの半導体デバイスなどである。
偏向電極7は、細く絞られた電子ビームを、サンプル11上で平面走査するものであって、通常2段偏向系(X軸、Y軸)である。
対物レンズ8は、電子ビームを細く絞ってサンプル11に照射するものである。ここでは、対物レンズ8の下部に図示の差動排気アパチャーA1、その直ぐ上に差動排気アパチャーA2の2段を設けている。
差動排気アパチャー9は、鏡筒と真空チャンバー10との間に設けて0小さな穴を開けたアパチャーであって、2段の差動排気を行うためのものである。ここでは、最下段の差動排気アパチャーA1と、サンプル11との間に加速電圧を印加し、サンプル11に細く絞った電子ビームを照射したときに放出された2次電子を上方向に加速し、該差動排気アパチャーA1の小さな穴内を通過するように偏向するものである(図2を用いて後述する)。
ここでは、真空チャンバー10の低真空を遮り、電子ビームを発生させる電子銃1の超高真空に影響しないようにするための複数段(図1では2段)の差動排気アパチャー9として、数百ミクロンの穴が開いた非磁性金属箔あるいは削り出し部材からなり、複数段あるアパチャーの間をターボポンプ等の真空ポンプで真空引きし、真空チャンバー10の低真空が高真空を必要とする電子銃1に伝わらないようにしている。通常、1つのアパチャーで3ケタ程度の圧力差を作ることが出来る。
真空チャンバー10は、サンプル11などを収納する真空の容器であって、ここではTMP(ターボ分子ポンプ)14、図示外の荒引きするためのドライポンプなどで真空排気するものである。
サンプル11は、ウェハー、フォトマスクなどの試料である。
XYステージ12は、サンプル11を搭載してX,Y方向に移動させるものである。移動は、図示外のレーザー干渉計と連動し、精密に移動させている。
ホルダー121は、サンプル11をXYステージ12に固定するものであって、ここでは、サンプル11とXYステージ12との間を電気的に絶縁し、サンプル11に加速電圧を印加できるようにしたものである。ホルダー121はXYステージ12を移動した際に,常にサンプル11の表面に均一に電場を形成するような形状とすることが望ましい。特に周辺部では電界の歪が起こりやすいのでそれを回避した構造が望ましい。
高圧電源21は、電子銃1に供給する高電圧を発生するものである。
電子ビーム制御回路22は、電子銃1から電子ビームを放出させ、コンデンサレンズ2で集束し、対物レンズ8で細く絞ってサンプル11に照射し、この照射した状態で偏向電極7で平面走査するなどの各種電圧を供給および制御を行うものである。
PC23は、パソコンであって、プログラムにより各種制御を行うものである。
ディスプレイ24は、各種指示画面、画像などを表示するものである。
ガス25は、イオン化するガス(例えばN2,O2など)である。
真空制御装置26は、真空チャンバー10、電子銃1などの真空排気制御するものである。
マスフロー27は、ガス25を所定圧力に減圧して所定流量に制御し、真空チャンバー10に流入させるものである。
圧力センサ28は、真空チャンバー10の圧力を計測するものである。
ステージ制御装置29は、XYステージ12を指定された位置に精密に移動制御するものである。移動は、図示外のレーザー干渉計をもとに精密制御している。
次に、図1の構成の動作を詳細に説明する。
(1)従来は、低真空中でバイアス電圧をサンプル11に加えると放電が起こると考えられていたため、バイアス電圧を印加することは避けられてきた。しかしながら、本発明者が実験を行ったところ、従来常識とは全く異なり、400Vよりも低い電圧では放電しないことが判明した(後述する図5参照)。
(2)この判明に基づきサンプル11の表面で発生した2次電子あるいは反射電子にサンプル11に対して垂直方向に加速が生じるようにバイアス電圧あるいはポテンシャル差を与えるための、サンプル電圧印加装置13などを新たに設けた。
また、真空チャンバー10の真空度は0.1から100Pa程度の範囲が好適であり、マスフローコントローラ27で酸素あるいは窒素ガスを真空チャンバー10に導入して実現する。用いる1次電子ビームのエネルギーは測定対象や目的により変更し、0から15KV程度の範囲である。電流は数pAから数100nA程度の範囲である。
サンプル11に対する電圧印加はサンプル11を保持しているホルダー121と差動排気アパチャー9との間に必要な電圧を加えることで行われる。サンプルホルダー121は金属製でサンプル11の裏面を大凡覆っているため、導体平板として機能する。ウエハーなど全体として導電性を持つサンプル11に対しては、針などで直接にサンプル11の導電性を示す部分へ電圧を供給しても良い。大きな電気容量を形成する電極を絶縁体を挟んでサンプル11の裏面に配置することも有効である。
(3)サンプル11の表面から放出された2次電子は電子検出器6に向かうようなポテンシャル差が生じれば良いので、必ずしもサンプル11に電流を流す必要は無い。
サンプル11に印加する電圧は0Vから400V程度の放電を起こさない範囲の一定電圧を印加する。特定の場所で異常集中電界が生じないように真空チャンバー10内の構造物表面を出来るだけ滑らかにすると、より高い電圧印加時に放電しないように出来る。
(4)実際に使用する際には、予め400V以上の放電する電圧を掛けて、わざと放電を起こして異常集中電界の元となる突起を飛ばし、エージングを掛けて置くことが望ましい。装置運用時に放電が起こらないように、放電するような400V以上の電圧が掛からないようにインターロック等安全装置を付けておくことが望ましい。
必要に応じて、測定時だけバイアス電圧を印加しても良いし、測定のある一定のタイミングあるいは電子ビーム走査に同期して電圧印加を制御しても良い。あるいはある周波数の交流を印加しても良い。
図2は、本発明の基板バイアスの効果説明図(その1)を示す。
図2の(a)は従来のバイアス無の効果説明図を示し、図2の(b)は本発明のバイアス有の効果説明図を示す。
図2の(a)はサンプルにバイアスが印加されていない場合の2次電子の放出の様子を示し、図2の(b)はサンプルにバイアスが印加されている場合の2次電子の放出の様子を示す。
図2の(a)および図2の(b)において、サンプル11は、図1の対物レンズ8によって細く絞られた1次電子ビームを照射する対象のサンプル(試料であって、ウェハやマスクなど)である。
差動排気アパチャー9は、ここでは、図1の差動排気アパチャー9の下側の差動排気アパチャーA1と上側の差動排気アパチャーA2とからなる2段構成となっているものである。各差動排気アパチャーA1,A2には、それぞれV1,V2の正バイアス電圧(2次電子を加速する正電圧)が印加されている。
・分布(1)は、図2の(a)において、サンプル11から放出された2次電子が図示のような放射方向に広がり(ガウス分布)を持って放出される。この状態では、図2の(b)の本発明のバイアス有と同じ分布を持って放射される。
・分布(2)は、図2の(a)において、差動排気アパチャーA1にバイアス電圧(正の加速電圧)が印加されていなく、0電位であるため、真空チャンバー10内の低真空中にある気体にサンプル11からあらゆる方向に放出された2次電子が衝突することを繰り返すことで散乱して図示のように広い開き角度分布を有する2次電子分布となる。このため、差動排気アパチャーA1の中心の小さな穴を通過する2次電子の割合は少なくなり(場合によっては2/3が遮断され)、一部のみが通過する(図5参照)。
一方、図2の(b)の本発明のバイアス有の場合には、差動排気アパチャーA1に正のバイアス電圧(+400V以下)が印加されており上方向に加速されるために2次電子分布はほとんど広がることがなく図示のような小さい角度分布を有するものとなる。このため、差動排気アパチャーA1の中心の小さな穴をほとんどの2次電子が通過できる。
・分布(3)、(4)は、図2の(a)において、差動排気アパチャーA2にバイアス電圧が印加されていないので、更に徐々に2次電子分布が広がるので、外側の部分の2次電子が遮断され、一部の2次電子しか通過できない。
一方、図2の(b)では、差動排気アパチャーA2に正のバイアス電圧が印加されており上方向に加速されるために2次電子分布はほとんど広がることがなく図示のような小さい角度分布を有するものとなる。このため、差動排気アパチャーA2の中心の小さな穴をほとんどの2次電子が通過できる。
以上のように、バイアスが印加されていない場合、サンプル11の表面で発生した2次電子はエネルギーが非常に低く、低速度であらゆる方向に飛び出す。サンプル11からあらゆる方向に飛び出した低い速度の電子のうち放出角度が軸から離れた部分の2次電子は対物レンズの磁場の影響をほとんど受けることも無く軸から外方向に走行し、該走行中に真空チャンバー10内の低真空の気体と衝突して更にあらゆる方向に散乱することを繰り返し、真空チャンバー10の内壁や差動排気アパチャー9の外側の保持部に衝突して吸収され、該差動排気アパチャーA1の小さな穴、更にA2の小さな穴を通過して電子検出器6には届かない部分が非常に多くある(図5を用いて詳述する)。
一方、差動排気アパチャーA1,A2とサンプル11との間にバイアスを加えた場合は、2次電子はサンプル11に垂直方向に加速されるため、その軌道にそって進行する。電子ビーム走査は高々数十ミクロンの範囲で行われるので、その範囲から垂直に電子が上昇する。更に、加速された2次電子は対物レンズ8の磁場中に入ると該磁場と強く相互作用し、サイクロトロン周波数で渦巻き状に細く絞られて、竜巻の様にサンプル11の表面から上昇する。その結果、真空チャンバー10の内壁や差動排気アパチャーA1,A2の穴の外周部分に衝突することなく、電子検出器6に向かい、検出される。この効果でアパチャーは汚染されずに常にきれいに保たれる。アパチャーが汚染されると帯電し電子ビームが曲がるなどの影響がでるが、本発明では起こらない。
ここで、サンプル11にバイアス電圧を印加すると副次効果として、イオンはサンプル11の表面に強く吸い付き、1次電子ビームが通過する空間あるいは1次電子ビーム照射が行われる箇所の直上の空間に漂うイオンが減少する。この効果により、サンプル11の表面における帯電防止効果はより強くなり、イオンによる1次電子散乱も減少して1次電子ビームのスポット径を細く保つことができる。
図3は、本発明の基板バイアスの効果説明図(その2)を示す。
図3の(a)は従来のバイアス無の効果説明図を示し、図3の(b)は本発明のバイアス有の効果説明図を示す。
図3の(a)はサンプルにバイアスが印加されていない場合の2次電子の放出の様子を示し、図3の(b)はサンプルにバイアスが印加されている場合の2次電子の放出の様子を示す。
図3の(a)および図3の(b)において、サンプル11は、図1の対物レンズ8によって細く絞られた1次電子ビームを照射する対象のサンプル(試料であって、ウェハやマスクなど)である。
差動排気アパチャー9は、ここでは、図1の差動排気アパチャー9の下側の差動排気アパチャーA1と上側の差動排気アパチャーA2とからなる2段構成となっているものである。各差動排気アパチャーA1,A2には、それぞれV1,V2の正バイアス電圧(100-200V)が印加されている。
図3の(a)において、サンプル11から放出された2次電子は、図2の(a)で既述したように真空チャンバー10の低真空中の気体に衝突を繰り返してあらゆる方向に散乱し、図示のように広い開き角度分布を有する2次電子分布となり、差動排気アパチャー9の下側のA1の中心の小さな穴を上方向に通過する2次電子は非常に少なくなってしまう。
一方、図3の(b)の本発明のバイアス有の場合には、差動排気アパチャー9の下側のA1に正の100~200Vのバイアス電圧が印加されているので2次電子は上方向に加速され差動排気アパチャーA1の中心の小さな穴をほとんど通過する。更に、差動排気アパチャーA2に100~200Vのバイアス電圧が印加されているので更に加速されて差動排気アパチャーA2の中心の小さな穴をほとんど通過し、電子検出器6で検出されることとなる。
以上説明したように、図3の(b)において、サンプル11と差動排気アパチャー9との間にバイアス電圧(正の加速電圧)を印加することにより、サンプル11から放出された2次電子を上方向に加速して差動排気アパチャーA1の中心の小さな穴を通過させ、更に対物レンズ8の磁界による軸上を渦巻きながら上方向に走行し、次に差動排気アパチャーA2のバイアス電圧により上方向に加速され該A2の中心の小さな穴を通過し、電子検出器6によってサンプル11から放出されたほとんど全ての2次電子を検出・増幅することが可能となる。
図4は、本発明の基板バイアス電圧と画像SNRの説明図を示す。ここで図4は、サンプル11と差動排気アパチャー9との間にバイアス電圧を印加した場合の画像SNRの変化を示し、横軸は基板バイアス電圧(V)を表し、縦軸は画像SNRを表す。ここで使用している画像SNRは画像を構成する全てのピクセルの平均輝度を輝度分散で除したものを用いた。実験は1次電子ビームのエネルギー1.5KV, 10pA、真空チャンバーの真空度30Paで行った。
図4において、バイアス電圧を0から徐々に印加していくと、画像がどんどん明るくなり、輝度分散も小さくなる。これは、2次電子の方向が揃ってかつ、大量に差動排気アパチャー9を通過して電子検出装置6に到達していることを示している。その結果、バイアス200Vでは画像SNRが2倍近く高くなる。このようにバイアス印加は画像SNRの向上に大きな効果がある。200Vを超えると飽和が見られ、400V以上では放電するので、それ以下の電圧が望ましい(図5参照)。
図5は、本発明の真空チャンバー圧力と放電電圧の説明図を示す。横軸は真空チャンバー圧力(Pa)を表し、右端は大気圧を表し、左端は高真空を表し、縦軸は最低放電電圧(V)を表す。
図5において、図1、図3のサンプル11と差動排気アパチャー9との間に印加する電圧(バイアス電圧)について、真空チャンバー10内の圧力を変化させたときの最低放電電圧を測定したところ、図示のように下に凸の曲線であり、その最低放電電圧は約400Vであることが判明した。
従って、図4で既述したように、基板バイアス電圧(V)を約200V以下に保持すれば、真空チャンバー10内を低真空にしても放電が発生しないようにし、サンプル11から放出された2次電子を差動排気アパチャー9に向けて加速して該差動排気アパチャーA1の中心の小さな穴を通過させ、電子検出器6でほとんど全部の2次電子を検出・増幅し、画像SNRを、図4で既述した2倍に増大させることが可能となった。SNRが2倍になると、スループットもそれに比例して向上でき2倍以上の検査速度を実現できる。
図6は、本発明の他の実施例構成図を示す。この図6は、イオン発生源を別途設けた例を示す。
ここで、イオン発生源を別に設ける理由は、既述した図1の走査型電子顕微鏡は観察するために用いる1次電子が真空チャンバー10の中のガスと衝突することでイオンを発生している。つまり、観察用の電子ビームとイオン発生用の電子ビームは共用である。そのため、1次電子ビーム量と発生イオン量は比例関係にあり、お互いに拘束されている。1次電子ビーム量は観察に最適化するのが通常であり、イオン発生は従属的である。単位1次電子ビーム量(電流量)に対して発生できるイオン量は真空中に存在するガス量に比例するため、イオン量を増やすためにはガスを導入して真空度をさらに下げるしかない。真空度を下げれば画像SNRが低下して必要な測定が実施できなくなる。
そこで、図6では、上述した図1の拘束を無くすために、観察用の1次電子ビームとは別にイオン発生用の電子ビーム発生装置を有する、電子ビーム式のイオン発生装置を有している点に特徴がある。
図6において、1から13は図1の1から13と同一であるので説明を省略する。
電子銃31は、イオン化用の専用の電子ビームを発生する簡易な装置である。
電子ビーム32は、電子銃31から放出された電子ビームであって、真空チャンバー10内の低真空中のガス(気体)に照射してイオン化するためのものである。
イオン加速電圧33は、電子ビーム32によって発生されたイオンをサンプル11に向けて加速させる電圧であって、ここでは、図示のようにサンプル11の1次電子ビームの照射領域にイオンが到達するような電極(中心に穴のある円盤電極、あるいは平板のメッシュ電極など)に印加する電圧である。
ファラデーカップ34は、電子ビーム32が真空チャンバー10内のガスと衝突してイオン化に使われない残余の電子ビームを補集する(一度内部に入ると外にでないようにし、ノイズ源とならないようにする)ものである。
イオン流35は、電子ビーム32によって発生されたイオンをイオン加速電圧33で加速してサンプル11の1次電子ビーム照射領域に向けて流れるイオン流である。
ガス25は、N2,O2などのイオン化するガス(気体)である。
ガスフロー27は、圧力センサ28で検出した真空チャンバー10内の圧力に従い一定流量(あるいは一定圧力など)のガスを真空チャンバー10に供給制御するものである。
圧力センサ28は、真空チャンバー10内の圧力を検出するものである。
以下図6の構成の動作を詳細に説明する。
(1)図6に示す、イオン化専用の電子銃31はイオン化に必要なエネルギーをもった必要量の電子ビームを放出できればよいので、図1の電子銃1のような大掛かりなレンズや制御装置は要らず、タングステンフィラメント等安価な電子ビームエミッターを用いて、エクストラクター電極に数百から数kVの電圧を印加して加速し、そのまま真空チャンバー10内に設けたファラデーカップ34に向けて電子を放出させるだけで良い。
(2)専用の電子銃31から放出された電子ビームは真空チャンバー10内のガスと衝突してイオン化し、その後、画像形成に影響を与えないように、ファラデーカップ等で100%吸収させる。
(3)電子銃31で発生する電子ビームは100μA以上と非常に大量なので、その電子ビームを低真空状態のガスに照射すればイオン化が大量に起こる。
(4)電子ビーム衝突によるガスのイオン化は確率的なので、電子ビームが通過する空間にイオン化していないガス分子が存在する限り、照射電流量に比例してイオンガスの量は増加する。但し、空間に存在するガスが全てイオン化してしまうと、飽和が起こり、それ以上のイオン量には成らない。余りにも大量に発生すると不具合が起こるため、イオン電流値が適切な値に成るように絞って使用する。あるいは、真空チャンバー10内のガス量を減らして、発生するイオン量を調節する。
以上によって、専用の電子銃31から電子ビームを真空チャンバー10に導入し、該真空チャンバー10内のガスをイオン化し、サンプル11の1次電子ビーム照射領域に照射して流すことにより、サンプル11の1次電子ビーム照射による発生するチャージを中和することが可能となる。
図7は、本発明の他の実施例構成図を示す。この図7は、真空紫外線LEDを用いたイオン発生装置を真空チャンバー10内に配置した点に特徴がある。
以下詳細に説明する。
(1)最近、日本のノーベル賞技術により超小型のDUV-LEDが開発実用化されたため、真空チャンバー10内に配置されたサンプル11の近傍にて容易に波長が200nm台(約5eV)の真空紫外線を発生させることが出来るようになった。しかしながら、ガスのイオン化に必要なエネルギーは10eV以上なので、該LEDの発生する紫外線を直接ガスに当てても窒素や酸素をイオン化することは出来ない。
(2)そこで、図6に示すように、本発明では、2段階でイオンを発生させる。
(2-1)第1段目はUV-LEDの発生する真空紫外線を用いて大量の電子を光電効果により発生させる。仕事関数が5eV以下の金属や化合物(チタンとかアルミ,鉄、NiあるいはGaAs、酸化バリウムやLaB6等)に上記真空紫外線を当てることで大量に電子を発生させる。
(2-2)第2段目は発生した電子を用いてガスをイオン化する。具体的には、真空紫外線を用いて発生した電子を数百ボルトから数キロボルトに加速することで、ガスのイオン化に必要なエネルギーを電子に持たせ、真空チャンバー10内に存在するガスと衝突してイオンを発生することが出来る。
(3)一方、UV-LEDの発生した真空紫外線がサンプル11の表面に当たると、不要な2次電子が光電効果によりサンプル11の表面から放出されてノイズに成ったり、サンプル11の表面の導電率が変化あるいはサンプル11が変質したりしてサンプル11の状態変化を引き起こして測定上不具合を起こすので、イオンを作るために利用する真空紫外線がサンプル11の表面には直接当たらないように遮蔽する(外から光が見えない入れ物の中で電子を発生させるのが望ましい)。
(4)走査型電子顕微鏡等で測定に利用する電子ビーム電流量はpAからnAのオーダーと非常に小さいため、DUV-LEDの光を電子に変換する効率がかなり低くても、帯電防止に必要な量のガスイオンを発生させるための電子を発生できる。例えば、現在開発されて市販されているDUV-LEDの出力は10mW程度である。従って、その光を金属等2次電子発生材料に照射して発生する2次電子への変換効率が1%しか無くても1μA程度の電子放出電流を取り出すことが可能であり、これを加速してガスに照射すれば十分過ぎるイオンが発生する。このことは、例えば、1次電子ビームの10倍量の電子を用いてイオンを作れば、真空チャンバー10の真空度は1ケタ高くても同じだけのイオンを発生できることを意味している。10倍も真空度が高く成ると画像のSNRが高く成ることは容易にわかる。
図8は、本発明イオン発生装置例を示す。
図8の(a)は正イオンを発生するイオン発生装置を示し、図8の(b)は負イオンを発生するイオン発生装置を示す。以下詳細に説明する。
(1)イオン量が多すぎると、十分な帯電防止効果は得られても、1次電子や2次電子と相互作用して、画像SNRが劣化につながる場合がある。つまり、サンプル11の表面において必要十分な適切なイオン量になるよう調節する必要がある。サンプル11の表面の帯電量は照射した電子ビーム量と比例関係にあるので、発生すべきイオン量は走査型電子顕微鏡等が利用する電子ビーム量と比例関係にあることが望ましい。
(2)そこで、電子ビーム量を測定して1次電子ビーム量とイオン発生量が比例するように制御を行う。イオン発生量は、紫外線発生LED(図8のDUV-LED51)の発光力を変えても良いし、発生した電子に与える加速電圧(図8の電子加速電圧54)を変えても良い。もちろんガス導入量を変えても良い。
(3)発生したイオンはサンプル11の表面の電子ビーム照射領域の近傍に運ばれて初めて帯電防止効果が生じる。電子ビーム照射によって生じたイオンを電子ビーム照射領域に運ぶため、イオン発生器には、イオンを一方向に加速してイオン流を作るための電界をメッシュ状のイオン加速電極(図8のイオン加速電極55)を利用して印加する。
(4)一般に、サンプル11の帯電は正負どちらでも起きるが、サンプル11の場所によって極性が異なる場合もある(1つのサンプル上に正負帯電領域が同時に存在する場合)。
(5)そこで、後述する図9の(a),(b),(c)に示した3つのモード1,2,3を実現する。
モード1:正のイオンがサンプル表面に運ばれるように電界を加える(図8の(a)参照)。
モード2:負のイオンがサンプル表面に運ばれるように電界を加える(図8の(b)参照)。
モード3:部分的に異なる極性の帯電を起こしている場合には、正負どちらのイオンもサンプル表面に運ばれるように交流の電界を加える(図8の(a)と図8の(b)とを交互に切り替える)。具体的にはイオン流制御回路56の極性を正、負に交互に切り替え、正のイオンと負のイオンとが交互に電子ビーム照射領域の近傍に到達するようにする。ここで、正負の比率を変えることで、正負イオンの割合を自由に制御できる。パルス制御を行っても良い。印加電圧を変えることでイオン流量を変えることも出来る。
以上のようにすることで、電子ビームが照射されるサンプル11の表面の帯電状況に応じたイオンを適切な極性で適切な量を与えることが出来る。
(6)イオン源に供給されるガスは真空チャンバー中に普通に存在しているガスでも、真空チャンバーに導入するガスボンベなどのガス源を用いても良い。真空チャンバーの真空中に存在するガスをイオンガス源とする場合は、発生したイオンには特定の方向の流れが存在しないため、適切なイオン流を作り出すためのバイアス電圧を前述したように加えることで、自由にイオン流の大きさおよび方向を制御できる。一方、ガス供給源に直接接続した場合には、イオン流は圧力差により一方向に流れるため、イオン流を作り出すためのバイアス電源や電極は不要であるが、イオン流を自由に制御することは出来ない。目的に合わせて両者を使い分けることが出来る。
(7)さらに、図8のイオン発生装置から放出されたイオンを効率よくサンプル表面に導くために、図7の電界制御装置42を用いてサンプル11とイオン発生装置41の間に電圧を加えても良い。
(8)図6、図7のようにイオンを1次電子ビームとは別に発生できると、イオン発生効率を上げられるので、真空チャンバー10の真空度を落とさないで、大量のイオンを発生できるようになる。その結果、1次電子と真空チャンバー10中にガスとの相互作用は小さくなり、実効的な照射電流量を上げて画像のSNRを向上、ビームスポットサイズを小さく保つことが可能となり、走査型電子顕微鏡の分解能を向上できる。
(9)サンプル11表面の帯電除去に必要なイオン量は1次電子ビームを用いた場合も、本実施例のように別途イオンを発生した場合も同じである。従って、1次電子ビームがサンプル11の表面にて発生する2次電子が電子検出器6に至るまでにイオンと衝突する確率は両者で同じであるため、単にイオンを別の装置で発生させるだけでは画像SNRの向上効果は小さい。しかしながら、本発明のバイアス電圧をサンプル11と差動排気アパチャー9との間に印加して多くの2次電子を電子検出器6の方向に取り込むことで、サンプル11の表面で発生した2次電子がイオンと衝突して散乱しても、そのほとんどが電子検出器6によって検出されるため、画像SNRの向上を図ることができる。
以下簡単に図8および図9の構成を説明する。
図8の(a)は正イオンを発生するイオン発生装置41の例を示し、図8の(b)は負イオンを発生するイオン発生装置41の例を示す。
図8の(a)および(b)において、DUV-LED51は、紫外線(真空紫紫外線、200nm(約5eV))を発生する半導体素子であって、発生した紫外線を電子発生材料52に照射して電子53を発生させるものである。
電子発生材料52は、DUV-LED51から照射された紫外線により電子53を発生するものである。
電子53は、電子発生材料52を紫外線で照射したときに放出された電子である。
電子加速電圧54は、電子発生材料52から放出された電子を加速し、電子発生材料52とDUV-LED51の間の空間中に存在するガス(N2,O2など)に衝突して電離(正のイオン、負のイオンに電離)させるものである。
イオン加速電極55は、電子加速電圧54を印加して加速された電子がガスに衝突して電離した正のイオンあるいは負のイオンのうちのいずれかのイオンを加速して右側の外側に加速イオン流(正)(図8の(a))、あるいは加速イオン流(負)(図8の(b))を放射するものである。イオン加速電極55に正の電圧を印加したときに図8の(a)の加速イオン流(正)を放射し、イオン加速電極55に負の電圧を印加したときに図8の(b)の加速イオン流(負)を放射する。尚、イオン加速電極55に印加する電圧を正あるいは負に切り替えることにより、正あるいは負のイオンを切り替えて放射することができる。
図9は、本発明のイオンモード説明図を示す。
図9の(a)は、モード1を表す。このモード1では、図8の(a)のようにイオン加速電極55に正電圧のパルスを印加し、パルス状の正イオン流を放射する。
図9の(b)は、モード2を表す。このモード2では、図8の(b)のようにイオン加速電極55に負電圧のパルスを印加し、パルス状の負イオン流を放射する。
図9の(c)は、モード3を表す。このモード3では、モード1とモード2とをパルス状に交互に切り替えるものであって、図8の(a)と図8の(b)のようにイオン流制御回路56の電圧を正と負とを交互に切り替え、パルス状の正イオン流と負イオン流とを交互に切り替えて放射する。
本発明の1実施例構成図である。 本発明の基板バイアスの効果説明図(その1)である。 本発明の基板バイアスの効果説明図(その2)である。 本発明の基板バイアス電圧と画像SNRの説明図である。 本発明の真空チャンバー圧力と放電電圧の説明図である。 本発明の他の実施例構成図である。 本発明の他の実施例構成図である。 本発明のイオン発生装置例である。 本発明のイオンモード説明図である。
1:電子銃
2:コンデンサレンズ
3:ブランキング電極
4:ブランキングアパチャー
5:対物アパチャー
6:電子検出器
7:偏向電極
8:対物レンズ
9:差動排気アパチャー
10:真空チャンバー
11:サンプル
12:XYステージ
121:ホルダー
21:高圧電源
22:電子ビーム制御回路
23:PC(パソコン)
24:ディスプレイ
25:ガス
26:真空制御装置
27:マスフロー
28:圧力センサ
29:ステージ制御装置
31:電子銃
32:電子ビーム
33:イオン加速電圧
34:ファラデーカップ
35:イオン流
41:イオン発生装置
42:電界制御装置
43:イオン流
51:DUV-LED
52:電子発生材料
53:電子
54:電子加速電圧
55:イオン加速電極
56:イオン流制御回路
A1,A2:差動排気アパチャー

Claims (3)

  1. 電子ビームを細く絞ってサンプルに照射しつつ平面走査し、放出された2次電子を検出する2次電子検出器を設けた走査型電子顕微鏡において、
    前記電子ビームを細く絞る対物レンズと試料室内に移動可能に保持された前記サンプルとの間に該電子ビームが通過する小さなアパチャーと、
    前記電子ビームとは別に発生させた第2の電子ビームを試料室内の気体に衝突させて正および負イオンにイオン化すると共に、イオン化に寄与しない該第2の電子ビームを捕捉する捕捉手段を設け、前記イオン化された正および負イオンを、前記試料室内のサンプルの表面に対して、電子ビームの照射によって生じた負および正電荷を中和するに十分なイオン量を照射するイオン発生装置と
    を備えたことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  2. 前記サンプルと前記アパチャーとの間に、放電しない範囲の400V以下の所定バイアス電圧を印加するサンプル電圧印加装置を設け、
    前記サンプル電圧印加装置が前記サンプルから放出された2次電子を前記アパチャーに向けて加速する電圧を該アパチャーに印加して、該サンプルから放出された2次電子を該アパチャーの小さな穴を通過させるように偏向し、該通過した2次電子を前記2次電子検出器で検出して2次電子検出割合を増大させ、併せて放電しない範囲の前記バイアス電圧を印加して放電を抑止し、かつサンプルへの前記電子ビームの照射による負および正電荷を中和してチャージを防止およびバックグラインドノイズを低減してS/Nを向上させたことを特徴とする請求項1に記載の走査型電子顕微鏡。
  3. 電子ビームを細く絞ってサンプルに照射しつつ平面走査し、放出された2次電子を検出する2次電子検出器を設けた走査型電子顕微鏡の2次電子検出方法において、
    前記電子ビームを細く絞る対物レンズと試料室内に移動可能に保持された前記サンプルとの間に該電子ビームが通過する小さなアパチャーと、
    前記電子ビームとは別に発生させた第2の電子ビームを試料室内の気体に衝突させて正および負イオンにイオン化すると共に、イオン化に寄与しない該第2の電子ビームを捕捉する捕捉手段を設け、前記イオン化された正および負イオンを、前記試料室内のサンプルの表面に対して、電子ビームの照射によって生じた負および正電荷を中和するに十分なイオン量を照射するイオン発生装置と
    を設け、
    該イオン発生装置が正および負のイオンを前記サンプルに照射してチャージを防止したことを特徴とする走査型電子顕微鏡の2次電子検出方法。
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