JP7246658B1 - 火葬用の棺 - Google Patents

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【課題】燃焼効率の良い棺を低コストで提供すること【解決手段】天面が開口した箱型の棺本体2と、棺本体2の上に載置される蓋部3と、蓋部3に被せられるカバー部材4を備え、蓋部3は、棺本体2の上に載置される平面視矩形状の枠体31と、枠体31に設けられ棺本体2の上側に遺体収容空間の骨組みを形成する骨部材32を備えており、前記骨組みに支持されたカバー部材4によって遺体収容空間の少なくとも一部が覆われている火葬用の棺1とする。【選択図】図2

Description

本発明は、棺本体と、骨部材を備えた蓋部と、蓋部を被覆するカバー部材とによって遺体収容空間が形成される火葬用の棺に関するものである。
高齢化社会における死亡者数の増加や、新規火葬炉整備の困難さなどによる火葬能力の不足が問題となっている。火葬用の棺として一般的に用いられているのは、木質材料等からなる深型の棺本体に、浅型の蓋部が被せられるものである。このような棺は、全体が板材で覆われているため、火葬する際には一定の燃焼時間を要する。より燃えやすい棺を用いることによって、炉の回転効率の向上や環境負荷の軽減に寄与することが期待される。
また、近年、葬儀様式の多様化が進み、葬儀・告別式を行わず火葬のみを行う、いわゆる直葬を選択する人が増えている。その背景には、前述した高齢者の死亡の増加のほか、少子化や地域社会のつながりの希薄化、葬儀費用を十分に用意できない生活困窮者の増加などの事情があると考えられる。なお、故人の近親者が執り行う直葬のほか、身寄りのない人や遺族によって遺体の引き取りを拒否された人のための、喪主のいない直葬の件数も増加している。このような場合、自治体が遺体搬送費用や必要最低限の葬具費用、火葬料等を負担することが多い。今後、人口の少子高齢化が進行するにつれて、このような直葬の件数はさらに増え、それに伴い自治体の葬儀費用負担も増加せざるを得ないと予想され、火葬に係るコストの抑制が求められる。
ところで、簡素な構造の棺としては、特許文献1に記載されているように、底板と袋状の布体で形成された災害時用の袋状棺が提案されている。特許文献1記載の袋状棺は、簡便に遺体の保管・搬送処理を行うことと、備蓄時の省スペース化を図ることを目的としたものである。この発明により、焼却時のエネルギー消費を抑え、安価で保管に場所をとらない棺を提供することができるとされている。
しかし、引用文献1に記載された袋状棺は、主に災害発生時などの緊急事態において用いられることが想定されており、布体が遺体を直接覆う構造となっているため、収容された遺体の形状が外観に反映されてしまうものであった。このため、棺というよりは災害や事件で用いられる遺体収容袋の印象が強くなり、平常時の葬儀に用いることには心理的抵抗を引き起こすおそれが高い。また、底板体が紙製の段ボールで形成されているので、遺体からの浸出液などの水分によって強度が低下したり変形したりするおそれがある。
特開2004-201805号公報
したがって、本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決し、燃焼効率の良い棺を低コストで提供することである。
上記課題を解決するため、天面が開口し扁平箱状に形成された棺本体と、前記棺本体の上に載置される蓋部と、前記蓋部とは別に作成され、前記蓋部に被せられるカバー部材を備え、前記蓋部は、前記棺本体の上に載置される平面視矩形状の枠体と、前記枠体に設けられ前記棺本体の上側に遺体収容空間の骨組みを形成する骨部材を備えており、前記蓋部の高さ寸法が、棺本体の高さ寸法より大きく、前記骨組みに支持された前記カバー部材によって遺体収容空間の少なくとも一部が覆われている火葬用の棺とする。
本発明では、燃焼効率の良い棺を低コストで提供することが可能となる。
実施形態の棺の斜視図である。 実施形態の棺の分解斜視図である。 実施形態の棺の、カバーを外した状態を示す斜視図である。
(全体構造)
以下に発明を実施するための形態を示す。本明細書では、図2に示したとおり、棺1内に納められる遺体の向きに対応して、棺1の長手方向において「頭側」及び「足側」を定めている。また、棺1の頭側・足側方向及び上下方向に対して直角となる方向を、棺1の左右方向とする。
図1及び図2に示されるように、本実施形態の棺1は、断面形状が略半円形であるドーム状の外観を呈する棺である。棺1は、天面が開口した薄い箱型の棺本体2と、棺本体2の上に載置される蓋部3と、蓋部3に被せられるカバー部材4とを備えている。
(棺本体)
実施形態の棺本体2は、合板材を用いて扁平箱状に形成されている。棺本体2は、遺体の重量を支持できる強度を備えた材料で構成されることが好ましい。実施形態の棺本体2には、底板及び側板として板厚15mmのベニヤ合板が用いられている。合板を用いることにより、薄い板厚でも十分な強度を持たせるとともに、棺1を軽量化させ、原材料費を低く抑えることができる。また、棺本体2が木製の板材によって形成されていると、棺本体2の内外に水分が接触した際に強度が低下したり変形したりしにくい。さらに、棺本体2の内側にビニールシートを設けたり、遺体の下に敷く布団を防水性能の高いものとしたりすれば、棺1の内部における遺体からの水分の漏出を抑制することができる。なお、棺本体2は、防水加工が施された強化段ボールなどの材料で形成することも可能である。
図2に示す棺本体2の高さ寸法(外寸法)h2は、従来の箱型の棺とは異なり、遺体の厚み全体を収めることができる大きさでなくてもよい。なお、従来の箱型の棺における棺本体の高さ寸法は平均40~50cm程度であるが、実施形態の棺本体2の高さ寸法h2は10cmである。実施形態の棺1は、図2に示されるように、棺本体2の高さ寸法h2より蓋部3の高さ寸法h3のほうが大きい。各部材の高さ寸法の比率については後段で詳述する。
(蓋部)
図2に示されるように、蓋部3は、棺本体2の上に載置される平面視矩形状の枠体31と、枠体31に設けられ棺本体2の上側に遺体収容空間の骨組みを形成する骨部材32を備えている。実施形態の枠体31は、長手方向に延びる左右一対の第1側板部311、311と、頭側に配置された第2側板部312と、足側に配置された第3側板部313とを備えている。枠体31は、四隅にL型金具などの補強部材が配設されていてもよい。
なお、実施形態における足側の第3側板部313の高さ寸法h313は、頭側の第2側板部312の高さ寸法h312よりも大きい。図2に示す実施形態では、足側の第3側板部313の高さ寸法h313が20cm、頭側の第2側板部312の高さ寸法h312が10cmである。図3に示されるように、この蓋部3を棺本体2に被せると、棺1の底面から枠体31の上端までの高さは、頭側が20cm、足側が30cmとなる。
実施形態において足側の第3側板部313の高さ寸法h313を大きくしているのは、霊柩車内での棺1の固定をしやすくするためである。棺を運搬する霊柩車等には、車内の棺の前後移動を抑制するために、棺の足側側面を押圧固定する固定具が設けられていることがある。前記固定具の一般的な高さは、積載した棺の底面から約25~30cm程度である。足側の第3側板部313は、前記固定具をしっかりと受けることが可能な大きさで形成されていることが好ましい。この場合、足側の第3側板部313の高さに合わせて、枠体31全体を同じ高さとしてもよい。なお、棺1を霊柩車に載せる必要がない場合には、足側の第3側板部313の高さ寸法h313を大きくしなくてもよい。
骨部材32について説明する。図2及び図3に示されるように、実施形態の骨部材32は、枠体31の上側に遺体収容空間の骨組みを形成することが可能な薄板状の部材である。実施形態の骨部材32はメラミン樹脂製で、可撓性を有する細長い薄板である。骨部材32はメラミン樹脂のほか、合板や木材など燃焼性の良い種々の材料を用いて形成することができる。
また、実施形態の骨部材32は、長手方向の寸法が棺本体2の幅寸法より長い。よって、骨部材32の長手方向の両端が枠体31の内面に取り付けられることにより、骨部材32が半円状に撓んだ状態で固定され、枠体31の上側にアーチ型の骨組みを保持することができる。実施形態では複数の骨部材32が、枠体31の左右の第1側板部同士を架け渡すように固定されている。これにより、全体が半円筒形状となる遺体収容空間の骨組みが形成される。
実施形態の骨部材32は枠体31に対してタッカーで固定されているが、固定手段はこれに限らず、粘着剤やビスなどの種々の固定手段を用いることができる。また、骨部材32は枠体31に対して着脱自在に取り付けられていてもよい。
なお、実施形態では5本の骨部材32が設けられているが、骨部材32の本数はこれに限定されず、棺1の大きさなどに合わせて変更することができる。骨部材32の本数は、骨組みの上側を被覆するカバー部材4のたるみを防いで棺1の外観の形状を維持できるように設定されることが好ましい。また、図2及び図3に示されるように、収容された遺体の顔の真上となる位置を避けて骨部材32を配置してもよい。
また、骨部材32は、アーチ状に架け渡される形状に限定されず、コ字状に組み合わされて直方体状の遺体収容空間の骨組みを形成するものであってもよい。また、骨部材32は収容された遺体の上側に架け渡される構造に限定されず、遺体の左右にベッド柵のような形状で設けられるものであってもよい。さらに、骨部材3同士を連結して補強する部材が設けられていてもよい。
実施形態の棺1における各部材の高さ比率について述べる。前述したように、実施形態では蓋部3の高さ寸法h3が棺本体2の高さ寸法h1より大きい。蓋部3の高さ寸法h3は、棺本体の高さ寸法h2の2倍以上とすることが好ましい。図3に示す実施形態では、棺本体2の高さ寸法h2が10cm、蓋部3の高さ寸法h3が36cmである。全体が板材で覆われた従来の棺の蓋とは異なり、本発明の蓋部3は骨組み構造であるため、棺1全体に占める蓋3の割合を大きくすれば、使用する板材を大幅に減らすことが可能である。
(カバー部材)
蓋部3にはカバー部材4が被せられる。実施形態のカバー部材4は高強度の和紙製で、骨部材32が形成する骨組みの外側全体を覆うことができる大きさを有し、蓋部材3の外形形状に沿うように立体的に形成されている。カバー部材4は、立体縫製や接着剤等によって立体に形成されていると、蓋部3への装着が容易となり好ましい。
図2に示す実施形態では、カバー部材4を複数のパーツからなる構造としている。この実施形態のカバー部材4は、頭側を覆う頭側カバー4aと、足側を覆う足側カバー4bと、頭側カバー4aと足側カバー4bとの境目を覆い隠すことができる帯状カバー4cの計3つのパーツで構成されている。このように分割可能なカバー部材4とすれば、遺体の顔を外部から見る際にカバー部材4全体を取り外さなくてよい。
なお、カバー部材4は複数のパーツからなるものではなく、全体が一体に形成されたものであってもよい。この場合、カバー部材4には、外部から遺体の顔を見ることができる窓部が設けられていることが好ましい。前記窓部は、例えばカバー部材4の一部を切り抜き、手でめくることができる蓋を設けたものとすることができる。また、立体形状ではなく平面状のカバー部材4とすることも可能であり、カバー部材4の形状は特に限定されない。
また、カバー部材4の素材も特に限定されず、燃えやすい素材であって骨部材32が形成する骨組みの外側を被覆可能なものであればよい。例えば、カバー部材4は布や不織布等を用いて作られていてもよい。また、クレープ紙や障子紙、壁紙等の強度の高い紙を用いれば、棺1の上面のたるみを抑制し外観を美しく保つことができる。このほか、模造紙や装飾用の折り紙などのさまざまな紙類を用いて多様なデザインのカバー部材4とすることが可能である。カバー部材4の機能性を重視する場合には、防水性や防臭性、非透過性などに特化した素材を用いることもできる。
上記したように、本発明の棺1においては、棺本体2の上に形成される遺体収容空間が骨組み構造に支持されたカバー部材4によって覆われている。よって、本発明によれば、燃焼効率の良い棺1を安価に提供することができる。また、棺1は骨組みによって遺体収容空間が画定されていることから、遺体や副葬品の形状が外観に直接反映されにくく、棺としての形状を保ちやすい。また、棺1は骨部材32を取り付ける前の状態にて保管することが可能であり、従来の棺に比べて収納の省スペース化を図ることができる。
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、蓋部3の下端面及び棺本体2の上端面において、一方に引っ掛け部が形成され、他方に前記引っ掛け部を受ける受け部が形成されている印籠型の構成とすることが好ましい。蓋部3と棺本体2とを印籠型に嵌合する構成とすれば、蓋部3のずれを抑制することができる。
また、カバー部材4を、故人にゆかりのある着物や、故人が生前に選択した素材などを用いて作成することが可能である。さらに、生前に自らの手でカバー部材4を作成することもできる。カバー部材4の選択肢を多様化することにより、従来の画一的な棺とは異なり、故人や遺族の思い出や好みが外観に反映された棺1とすることが可能となる。
1 棺
2 棺本体
3 蓋部
31 枠体
311 (左右の)第1側板部
312 (頭側の)第2側板部
313 (足側の)第3側板部
32 骨部材
4 カバー部材
4a 頭側カバー
4b 足側カバー
4c 帯状カバー

Claims (1)

  1. 天面が開口し扁平箱状に形成された棺本体と、
    前記棺本体の上に載置される蓋部と、
    前記蓋部とは別に作成され、前記蓋部に被せられるカバー部材を備え、
    前記蓋部は、
    前記棺本体の上に載置される平面視矩形状の枠体と、
    前記枠体に設けられ前記棺本体の上側に遺体収容空間の骨組みを形成する骨部材を備えており、
    前記蓋部の高さ寸法が、棺本体の高さ寸法より大きく、
    前記骨組みに支持された前記カバー部材によって遺体収容空間の少なくとも一部が覆われている火葬用の棺。
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