JP7159007B2 - 脳腫瘍の治療のための医薬 - Google Patents

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Description

本発明は、全体として脳腫瘍の治療方法、並びに脳腫瘍の治療のための医薬に関する。
脳腫瘍は頭蓋内に発生する腫瘍であり、原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍がある。原発性脳腫瘍とは、脳組織から発生した腫瘍であり、転移性脳腫瘍とは他の臓器の腫瘍が脳組織に転移したものである。原発性脳腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍がある。
悪性の原発性脳腫瘍は腫瘍の成長速度が速く、また腫瘍が脳組織へ浸潤しているため腫瘍と正常組織との境界を見極め難く、手術で完全に腫瘍細胞を摘出することが困難である。そのため悪性度の高い腫瘍では手術で取りきれなかった腫瘍を治療するため、手術後にさらに放射線療法や化学療法を用いている。
良性の原発性脳腫瘍は急激な腫瘍増殖は稀であるが、頭蓋内は容積が限定されているため、腫瘍が大きくなることにより頭蓋内圧が亢進し、頭痛、吐き気がでたり、腫瘍の発生部位によっては、まひ、歩行障害、言語障害、運動障害、視力障害等の症状が発生する。
良性の原発性脳腫瘍は、一般的に正常組織との境界が明瞭であり、手術で摘出することにより治療可能である。しかし、腫瘍発生部位によっては周辺の重要神経組織と腫瘍の癒着や浸潤があることがあり、完全摘出できず、再発してしまうことがある。完全摘出できない場合は、悪性腫瘍と同様に再発防止のため放射線治療を行う。放射線治療には全脳照射と定位照射があるが、全脳照射では将来認知症を発症する可能性があり、定位照射では全脳照射と比較して新たな転移巣が生じる可能性がある。また、小児の場合は、放射線治療による知育発育不全が生じる問題もある。
また、転移性脳腫瘍は、原発巣の治療方針にもよるが、摘出手術、放射線治療、化学療法を組み合わせて治療されている。
化学療法として、現在用いられている薬剤としては、アルキル化剤であるテモゾロミド、プロカルバジン、カルムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、および血管新生阻害薬であるベバシズマブがある。しかし、これらの薬剤の選択肢では治療効果は不十分であり、さらなる有効な薬剤が求められている。
脳腫瘍治療剤として効果を発揮するには、脳内に薬物を送達する必要があり、そのためには、血液脳関門を薬物が通過しなければならない。脳内に十分に薬剤を送達することができないと、手術で摘出できなかった腫瘍細胞から腫瘍が再発する可能性がある。しかし、血液脳関門を通過させるには分子量が小さい等、薬剤の化学的構造に制限が生じ、脳腫瘍治療剤の開発を困難にしている。
癌細胞や癌の微小環境には癌に対する免疫応答を妨げる種々の免疫チェックポイント分子が存在する。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫チェックポイント分子を阻害し免疫抑制機構を解除することで、癌に対する免疫反応を活性化する働きを有している。そのため、免疫チェックポイント阻害薬は癌の治療薬として用いられている。免疫チェックポイント阻害薬として、すでに、抗PD-1抗体であるニボルマブおよびペンブロリズマブ等が国内外で承認を得て販売されている。
特許文献1には、化合物A(後述参照)がEP受容体に強く結合し、拮抗作用を有することが示されているが、脳腫瘍の治療効果については記載も示唆もない。
国際公開第2016/111347号
本発明の課題は、脳腫瘍の治療方法、並びに脳腫瘍の治療のための医薬を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸(以下、「化合物A」と略記することがある。)またはその薬学的に許容される塩、および抗PD-1抗体の組み合わせ(以下、「本発明の態様の組み合わせ」と略記することがある。)が、脳腫瘍の治療に有効であることを見出した。この知見に基づいてさらに検討を加えることにより、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを組み合わせてなる脳腫瘍の治療のための医薬、
〔2〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを併用して投与することを特徴とする、脳腫瘍の治療のための医薬、
〔3〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、脳腫瘍の治療のための医薬、
〔4〕脳腫瘍が原発性脳腫瘍である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の医薬、
〔5〕原発性脳腫瘍が神経膠腫である、〔4〕に記載の医薬、
〔6〕抗PD-1抗体を静脈内または皮下に投与することを特徴とする、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の医薬、
〔7〕抗PD-1抗体がニボルマブである、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の医薬、
〔8〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを特徴とする、脳腫瘍の治療方法、
〔9〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを併用してそれを必要とする対象に投与することを特徴とする、脳腫瘍の治療方法、
〔10〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを、同時にまたは別々にそれを必要とする対象に投与することを特徴とする、脳腫瘍の治療方法、
〔11〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩が前もって投与されている対象に、抗PD-1抗体を投与することを特徴とする、〔8〕~〔10〕のいずれかに記載の方法、
〔12〕抗PD-1抗体が前もって投与されている対象に、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を投与することを特徴とする、〔8〕~〔10〕のいずれかに記載の方法、
〔13〕抗PD-1抗体の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む脳腫瘍の治療方法であって、該治療方法は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することをさらに含む脳腫瘍の治療方法、
〔14〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む脳腫瘍の治療方法であって、該治療方法は抗PD-1抗体の有効量を投与することをさらに含む脳腫瘍の治療方法、
〔15〕脳腫瘍が原発性脳腫瘍である、〔8〕~〔14〕のいずれかに記載の方法、
〔16〕原発性脳腫瘍が神経膠腫である、〔15〕に記載の方法、
〔17〕抗PD-1抗体を静脈内または皮下に投与することを特徴とする、〔8〕~〔16〕のいずれかに記載の方法、
〔18〕抗PD-1抗体がニボルマブである、〔8〕~〔17〕のいずれかに記載の方法、
〔19〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と併用されることを特徴とする、抗PD-1抗体を含む脳腫瘍の治療剤、
〔20〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と併用できることが記載された抗PD-1抗体を含む脳腫瘍の治療剤の添付文書にもとづいて、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と併用されること特徴とする、抗PD-1抗体を含む〔19〕に記載の脳腫瘍の治療剤、
〔21〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与されることを特徴とする、抗PD-1抗体を含む脳腫瘍の治療剤、
〔22〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と併用されるための(又は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩とともに用いられる)、抗PD-1抗体を含む脳腫瘍の治療剤、
〔23〕抗PD-1抗体を含む脳腫瘍の治療剤であって、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩が前もって投与されているそれを必要とする対象に投与されることを特徴とする、治療剤、
〔24〕脳腫瘍が原発性脳腫瘍である、〔19〕~〔23〕のいずれかに記載の剤、
〔25〕原発性脳腫瘍が神経膠腫である、〔24〕に記載の剤、
〔26〕抗PD-1抗体が静脈内または皮下に投与されることを特徴とする、〔19〕~〔25〕のいずれかに記載の剤、
〔27〕抗PD-1抗体がニボルマブである、〔19〕~〔26〕のいずれかに記載の剤、
〔28〕抗PD-1抗体と併用されることを特徴とする、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む脳腫瘍の治療剤、
〔29〕抗PD-1抗体と併用できることが記載された化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む脳腫瘍の治療剤の添付文書にもとづいて、抗PD-1抗体と併用されること特徴とする、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む〔28〕に記載の脳腫瘍の治療剤、
〔30〕抗PD-1抗体と組み合わせて投与されることを特徴とする、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む脳腫瘍の治療剤、
〔31〕抗PD-1抗体と併用されるための(又は抗PD-1抗体とともに用いられる)、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む脳腫瘍の治療剤、
〔32〕抗PD-1抗体が投与されている患者に投与されることを特徴とする、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む脳腫瘍の治療剤、
〔33〕脳腫瘍が原発性脳腫瘍である、〔28〕~〔32〕のいずれかに記載の剤、
〔34〕原発性脳腫瘍が神経膠腫である、〔33〕に記載の剤、
〔35〕抗PD-1抗体が静脈内に投与されることを特徴とする、〔28〕~〔34〕のいずれかに記載の剤、
〔36〕抗PD-1抗体がニボルマブである、〔28〕~〔35〕のいずれかに記載の剤、
〔37〕脳腫瘍の治療のための医薬を製造するための化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体との組み合わせ、
〔38〕脳腫瘍を治療するための化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体との組み合わせ、
〔39〕抗PD-1抗体と組み合わせて投与されることを特徴とする、脳腫瘍の治療のための化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、
〔40〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与されることを特徴とする、脳腫瘍の治療のための抗PD-1抗体、
〔41〕脳腫瘍の治療のための医薬を製造するための化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体との組み合わせの使用、
〔42〕抗PD-1抗体と組み合わせて投与されることを特徴とする脳腫瘍の治療剤の製造のための、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の使用、
〔43〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与されることを特徴とする脳腫瘍の治療剤の製造のための、抗PD-1抗体の使用、
〔44〕化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを含む脳腫瘍の治療のための医薬組成物、
に関する。
本発明の態様の組み合わせは、脳腫瘍の治療に有用である。
図1は免疫適格性の同系C57BL/6マウスを用いたマウスグリオーマ細胞株GL261同所移植モデルにおける化合物Aおよび抗マウスPD-1抗体との併用効果を示す。
以下、本発明の態様を詳細に説明する。
本発明は、一態様において、4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸(化合物A)またはその塩と、抗PD-1抗体とを組み合わせてなる脳腫瘍を治療するための医薬、並びに脳腫瘍を治療する方法を提供する。
本発明の医薬は、それを必要とする対象、具体的には脳腫瘍の患者に投与される。
化合物Aは、以下に示される化学構造を有する化合物であり、EP受容体拮抗作用を有する。
Figure 0007159007000001
化合物Aは、選択的なEP受容体拮抗剤であるため、毒性が低く、安全性に優れている。
塩としては薬学的に許容される塩が好ましく、水溶性のものがより好ましい。薬学的に許容される塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、またはアミン塩などが挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、カリウムおよびナトリウムなどとの塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウムおよびマグネシウムなどとの塩が挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムなどとの塩が挙げられる。アミン塩としては、例えば、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、およびN-メチル-D-グルカミンなどとの塩が挙げられる。
化合物Aおよびその塩は、溶媒和していない形態で存在してもよいし、水、エタノールなどの薬学的に許容できる溶媒と溶媒和した形態で存在してもよい。溶媒和物として好ましくは水和物である。化合物Aおよびその塩は、公知の方法で溶媒和物に変換することができる。
化合物Aはプロドラッグとして投与されることもできる。
プロドラッグとは、生体内において酵素や胃酸などによる反応により化合物Aに変換される化合物をいう。化合物Aのプロドラッグとしては、化合物Aに含まれるカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物Aのカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、1-{(エトキシカルボニル)オキシ}エチルエステル化、フタリジルエステル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチルエステル化、1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}エチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)などが挙げられる。これらの化合物はそれ自体公知の方法によって製造することができる。また、化合物Aのプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。また、化合物Aのプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163~198頁に記載されているような、生理的条件で化合物Aに変化するものであってもよい。
化合物Aは、適切な共結晶形成剤と共結晶を形成していてもよい。共結晶としては、薬学的に許容される共結晶形成剤と形成される、薬学的に許容されるものが好ましい。共結晶は、典型的に、2種以上の異なる分子がイオン結合とは異なる分子間相互作用で形成される結晶として定義される。また、共結晶は中性分子と塩の複合体であってもよい。共結晶は、公知の方法、例えば、融解結晶化により、溶媒からの再結晶により、又は成分を一緒に物理的に粉砕することにより、調製することができる。適当な共結晶形成剤としては、国際公開第2006/007448号に記載のものを含む。
さらに、化合物Aを構成する各原子は、その同位元素(例えば、H、H、13C、14C、15N、16N、17O、18O、18F、35S、36Cl、77Br、125Iなど)などで置換されていてもよい。
化合物A、その塩、その溶媒和物、またはそれらのプロドラッグは、公知の方法、例えば、特許文献1の実施例2-13に記載の方法に従い製造することができる。
化合物Aは、通常、各種の添加剤および溶媒などの薬学的に許容される担体とともに製剤化したうえで、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。ここで、薬学的に許容される担体とは、一般的に医薬品の製剤の製造に用いられる、有効成分以外の物質を意味する。薬学的に許容される担体は、その製剤の投与量において薬理作用を示さず、無害で、有効成分の治療効果を妨げないものが好ましい。また、薬学的に許容される担体は、有効成分および製剤の有用性を高める、製剤化を容易にする、品質の安定化を図る、または使用性を向上させるなどの目的で用いることもできる。具体的には、薬事日報社2016年刊「医薬品添加物事典2016」(日本医薬品添加剤協会編集)などに記載されているような物質を、所望の効果に応じて選択すればよい。当該担体としては、例えば、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤が挙げられる。
化合物Aの投与に用いられる剤型としては、例えば、経口投与用製剤(例:錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤など)、口腔用製剤(例:口腔用錠剤、口腔用スプレー剤、口腔用半固形剤、含嗽剤など)、注射用製剤(例:注射剤など)、透析用製剤(例:透析用剤など)、吸入用製剤(例:吸入剤など)、眼科用製剤(例:点眼剤、眼軟膏剤など)、耳科用製剤(例:点耳剤など)、鼻科用製剤(例:点鼻剤など)、直腸用製剤(例:坐剤、直腸用半固形剤、腸注剤など)、腟用製剤(例:腟錠、腟用坐剤など)、および皮膚用製剤(例:外用固形剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤など)などが挙げられる。
化合物Aを含む製剤の投与方法としては特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、疾患の状態、その他の条件に応じた方法で投与される。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの場合には経口投与される。注射剤の場合には、単独でまたは生理食塩液、ブドウ糖液、アミノ酸液等の通常の補液と混合して、静脈内、筋肉内、皮下組織内(皮下注射)などに投与することができる。
本発明の態様の組み合わせに用いられる化合物Aの投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1ngから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから100mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
本発明の態様の組み合わせで用いられる抗PD-1抗体として、例えば、ヒト抗ヒトPD-1モノクローナル(中和)抗体(例えば、ニボルマブ(オプジーボ(登録商標))、Cemiplimab(REGN-2810)、Sintilimab(IBI308)、STI-A1110、GLS010(AB122)、AGEN2034)、ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル(中和)抗体(例えば、Pembrolizumab(KEYTRUDA(登録商標)、Spartalizumab (PDR-001)、Tislelizumab (BGB-A317)、AMP-514(MEDI0680)、ANB011(TSR-042)、JS001、Camrelizumab (SHR-1210)、MGA012、CS1003、BAT-1306、LZM009)、その他(例えば、ENUM 244C8、AK105、AK103)などが挙げられる。
上記既知の抗PD-1抗体の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VRs)ならびに抗体の抗原結合断片を含む抗体も抗PD-1抗体の一態様である。例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の更なる一態様としては、例えばニボルマブの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VRs)を含む抗体が挙げられる。
したがって、本明細書で使用される「抗PD-1抗体」という用語は、PD-1に結合することができる抗PD-1抗体および抗体断片(抗原結合断片)を包含することを意味する。抗体断片または抗原結合断片は、単鎖抗体、Fv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片、二重特異性抗体(diabody)、またはPEG化などによって安定化された任意のそのような断片である。
ニボルマブの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VRs)を含む抗体またはその抗原結合断片としては、たとえば(1)(a)配列番号3のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域CDR1、(b)配列番号4のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域CDR2、(c)配列番号5のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域CDR3、(d)配列番号6のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域CDR1、(e)配列番号7のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域CDR2および(f)配列番号8のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域CDR3を含む抗PD-1抗体または(2)配列番号1のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域および配列番号2のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗PD-1抗体(好ましくは(1)または(2)の単離ヒトモノクローナルIgG4抗体)が挙げられる。
本発明の態様の組み合わせで用いられる抗PD-1抗体として好ましくは、ニボルマブの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VRs)を含む抗体(ニボルマブを含む)であり、さらに好ましくは、ニボルマブである。
抗PD-1抗体は、通常、各種の添加剤および溶媒などの薬学的に許容される担体とともに製剤化したうえで、全身的または局所的に投与される。
抗PD-1抗体の投与に用いられる剤型としては、例えば、注射用製剤(例:注射剤など)などが挙げられ、通常、単独でまたは生理食塩液、ブドウ糖液、アミノ酸液等の通常の補液と混合して、静脈内、筋肉内、皮下組織内(皮下注射)に投与することができる。
本発明では、抗PD-1抗体のうちのいずれか1種または任意の複数種を、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩と組み合わせて用いることができる。
本発明の態様の組み合わせに用いられる抗PD-1抗体の投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なり、最適な所望の効果をもたらすように調整される。抗PD-1抗体の投与量の一態様は、0.1~20mg/kg体重である。例えば、ニボルマブを使用する場合、投与量の一態様は、0.3~10mg/kg体重であり、好ましくは、一回につき、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kgまたは6mg/kg体重である。また、投与量の別の態様としては、一回につき、80mg、240mg、または480mgが投与される。通常、上記投与量は、2週間、3週間、または4週間間隔で投与される。
化合物Aとニボルマブとを組み合わせて投与する好ましい態様としては、ニボルマブとして1回240mgを2週間間隔で、あるいは1回480mgを4週間間隔で点滴静注し、化合物Aの1~100mg、好ましくは5~20mgを一日1回経口投与する。
化合物Aとニボルマブとを組み合わせて投与する好ましい別の態様としては、ニボルマブとして、1回1mg/kg体重を3週間間隔、1回2mg/kg体重を3週間間隔、1回3mg/kg体重を2週間間隔で点滴静注し、化合物Aの1~100mg、好ましくは5~20mgを一日1回経口投与する。
また、化合物Aとニボルマブとを組み合わせて投与する際の、ニボルマブの別の投与態様としては、ニボルマブとして、1回1mg/kg体重を3週間間隔で4回点滴静注され、その後、ニボルマブとして、1回3mg/kg体重を2週間間隔で点滴静注されるか、あるいはニボルマブとして、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注され、その後、ニボルマブとして、1回240mgを2週間間隔で点滴静注される場合がある。ニボルマブとして、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注され、その後、ニボルマブとして、1回240mgを2週間間隔で点滴静注される場合もある。
本発明の態様の組み合わせは、脳腫瘍の治療に有用である。脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する腫瘍であり、原発性脳腫瘍および転移性脳腫瘍を含む。原発性脳腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、神経膠腫(グリオーマ)、神経鞘腫、聴神経腫瘍、髄芽腫、中枢神経系悪性リンパ腫、頭蓋内胚細胞腫瘍、異型性髄膜腫(atypical meningioma)、松果体芽腫、中枢神経系原発悪性リンパ腫、下垂体線腫、髄膜腫、毛様細胞性星細胞腫、頭蓋咽頭腫、脈絡叢腫瘍、上衣腫、下垂体癌等を含むがこれに限定されない。神経膠腫には、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、乏突起膠腫、乏突起星細胞腫、退形成性星細胞腫、退形成性乏突起膠腫、退形成性乏突起星細胞腫、膠芽腫がある。転移性脳腫瘍とは、原発巣として、肺癌、乳癌、直腸癌、腎癌、膀胱癌、胃癌、頭頸部癌、肝癌、大腸癌、子宮癌等が脳内へ転移して発生した腫瘍をいう。
本発明の態様の組み合わせにおける併用投与では、それぞれを単独で投与した場合に比べて、脳腫瘍の治療効果が飛躍的に向上する。
これより、抗PD-1抗体または化合物Aの単独での脳腫瘍の治療効果が十分ではない脳腫瘍の患者に対して、本発明の態様の組み合わせは治療効果を最大限に発揮することができる。また、本発明の組み合わせにより、ぞれぞれの薬剤の用量を下げて投与することも可能となり、副作用の軽減が期待できる。それぞれの薬剤の投与量が単独投与した場合の有効量未満であっても、それらを組み合わせて投与することにより治療効果を発揮することができる。
本発明の組み合わせにおける抗PD-1抗体および化合物Aのそれぞれの投与量は、組み合わせて投与された場合に脳腫瘍の治療効果が発揮できる量(有効量)であることが好ましい。
本発明の組み合わせは、一態様として、脳腫瘍の再発を抑制(防止または遅延)する。
本発明の態様において、脳腫瘍の治療とは、脳腫瘍サイズの低下、脳腫瘍の成長の抑制(遅延または停止)、脳腫瘍の転移の抑制(遅延または停止)、脳腫瘍の再発の抑制(防止または遅延)、脳腫瘍と関連する一つ又は複数の症状の緩和、および脳腫瘍の治療を必要とする哺乳動物(好ましくはヒト患者)の生存率の向上のうち少なくとも1つを生じさせることを意味する。
本発明の態様の組み合わせにおける併用投与は、同じまたは異なる剤形における抗PD-1抗体および化合物Aの同時投与、あるいは別々の投与(例えば、逐次的投与)を含む。
本発明の組み合わせにおける同時投与とは、投与の少なくとも一部が時間的に重なる二以上の治療薬の投与を意味する。
本発明の組み合わせにおける別々の投与とは、二以上の治療薬の投与が時間的に重ならない投与を意味する。
本発明の態様の組み合わせにおける併用投与は、抗PD-1抗体および化合物Aのそれぞれの有効量を哺乳動物(好ましくはヒト患者)に投与することを含む。
本発明の態様の組み合わせにおける併用投与は、抗PD-1抗体と組み合わせて(併用して)投与することを特徴とする化合物Aを含む脳腫瘍治療剤、化合物Aと組み合わせて(併用して)投与することを特徴とする抗PD-1抗体を含む脳腫瘍治療剤を含む。
本発明の態様の組み合わせによる併用投与は、化合物Aを投与する前に抗PD-1抗体が投与されている患者に化合物Aを投与する方法、および抗PD-1抗体を投与する前に化合物Aが投与されている患者に抗PD-1抗体を投与する方法を含む。
本発明の態様の組み合わせにおける併用投与は、抗PD-1抗体と併用できることが記載された化合物Aを含む脳腫瘍の治療剤の添付文書の記載にもとづいて併用投与する場合、または化合物Aと併用できることが記載された抗PD-1抗体を含む脳腫瘍の治療剤の添付文書の記載にもとづいて併用投与する場合を含む。ここで、添付文書の記載としては、例えば、効能および効果の記載、用法および用量の記載などが挙げられる。
本発明の態様の組み合わせは、(1)治療効果の補完および/または増強、(2)動態・吸収改善、投与量の低減、および/または(3)副作用の軽減のために、さらに他の薬物と組み合わせて使用されてもよい。他の薬物としては、例えば、アルキル化剤(例えば、テモゾロミド、プロカルバジン、カルムスチン、ニムスチン、ラニムスチン)、血管新生阻害薬(例えば、ベバシズマブ)などの悪性神経膠腫治療剤が挙げられる。
本発明の態様の組み合わせの毒性は低いものであるため、医薬品として安全に使用することができる。
本明細書において、用語「含む」及び「有する」の意味には、「からなる」及び「から本質的になる」の概念を包含するものとする。
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的、科学的用語、および略語は、本発明の分野に属する当業者によって普通に理解されるものと同様の意味を有する。また、本明細書において、明示的に引用される全ての特許文献、非特許文献および参考文献の内容は、全て本明細書の一部としてここに引用し得る。
以下、本発明の態様を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例
特許文献1の実施例2-13の記載に従い、4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸(化合物A)を製造した。
薬理実施例
免疫適格性の同系C57BL/6マウスを用いたマウスグリオーマ細胞株GL261同所移植モデルにおける化合物Aおよび抗マウスPD-1抗体との併用効果
免疫適格性の同系C57BL/6マウスを用いたマウスグリオーマ細胞株であるGL261の同所移植モデルにて、化合物Aと抗マウスPD-1抗体(4H2、国際公開第2006/121168号参照)の併用効果を評価した。GL261は、10vol%のFBS、100units/mLのPenicillinおよび100μg/mLのStreptomycinを含むRPMI培地(Mediatech, Inc.)でCOインキュベーター内にて培養した。移植当日、培養上清を取り除いた後、GL261をPBSで洗浄し、回収した。回収したGL261をPBSに懸濁し、移植用細胞とした。麻酔下で雌性C57BL/6Jマウス(The Jackson Laboratory)に、5万個の移植用細胞を脳内移植した。
移植5日目に、当該マウスを媒体群、化合物A単独群、抗マウスPD-1抗体単独群、並びに併用群(化合物Aおよび抗マウスPD-1抗体)の4群に10例ずつ割り当てた。化合物Aは3mg/kgにて、移植5日目は1回、移植6日目から移植70日目までは1日2回、化合物A単独群および併用群のマウスに反復経口投与した。抗マウスPD-1抗体は20mg/kgの用量にて移植5日目に、10mg/kgの用量にて移植11、17、23、29、35、41、47、53、59および65日目に、抗マウスPD-1抗体単独群および併用群のマウスに腹腔内投与した。なお、媒体群および抗マウスPD-1抗体単独群のマウスには蒸留水を化合物Aと同じ期間反復経口投与した。また、媒体群および化合物A単独群のマウスにはマウスIgG抗体を抗マウスPD-1抗体と同じ時期に腹腔内投与した。GL261移植翌日から1日1回マウスの一般状態を観察し、下表に従って状態をスコア化することで、マウスの生存率を評価した。
Figure 0007159007000002
スコア≧5を示したマウスは安楽死させた。なお、以下のいずれか1つの条件を満たした場合は、いかなるスコアでもマウスを安楽死させた。
- 上表に示す症状に加えて、体重が20%以上低下した場合
- 呼吸困難な症状を示した場合
- 不安定歩行を示した場合
- 麻痺状態を示した場合
マウスの生存率の評価結果を図1に示す。図1の結果より、媒体投与群では31日目に全例が死亡した。化合物A単独投与群では、媒体投与群よりも生存期間を延長したものの、42日目には全例死亡した。抗PD-1抗体単独投与では、生存率は改善し、その生存期間中央値は50日であった。さらに、抗PD-1抗体と化合物Aとを併用することにより、抗PD-1抗体単独投与群の生存期間中央値である50日目における生存率は80%であり、その生存期間中央値は70日以上であった。70日目に生存しているマウスの一般状態のスコアは0であり、健康状態は良好であった。
これより、抗PD-1抗体と化合物Aとの併用投与は、脳内に腫瘍を移植した脳腫瘍モデルにおいて、それぞれを単独投与したときに比べて相乗効果が発揮され、生存率が顕著に改善したことから、抗PD-1抗体と化合物Aとの組み合わせは、脳腫瘍治療のための医薬として有用であると考えられる。
本発明の組み合わせは、優れた脳腫瘍の治療効果を発揮するため、脳腫瘍の治療のための医薬として有用である。

Claims (15)

  1. 4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを併用して投与することを特徴とする、4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを含む医薬であって、脳腫瘍の治療のための医薬。
  2. 4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを含む医薬であって、脳腫瘍の治療のための医薬。
  3. 脳腫瘍が原発性脳腫瘍である、請求項1または2に記載の医薬。
  4. 原発性脳腫瘍が神経膠腫である、請求項3に記載の医薬。
  5. 抗PD-1抗体を静脈内または皮下に投与することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の医薬。
  6. 抗PD-1抗体がニボルマブである、請求項1~5のいずれかに記載の医薬。
  7. 4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与されるように用いられることを特徴とする、抗PD-1抗体を有効成分として含む脳腫瘍の治療剤。
  8. 抗PD-1抗体を含む脳腫瘍の治療剤であって、4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩が前もって投与されているそれを必要とする対象に投与されることを特徴とする、治療剤。
  9. 抗PD-1抗体と組み合わせて投与されるように用いられることを特徴とする、4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む脳腫瘍の治療剤。
  10. 4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩を含む脳腫瘍の治療剤であって、抗PD-1抗体が前もって投与されているそれを必要とする対象に投与されることを特徴とする、治療剤。
  11. 脳腫瘍が原発性脳腫瘍である、請求項7~10のいずれかに記載の剤。
  12. 原発性脳腫瘍が神経膠腫である、請求項11に記載の剤。
  13. 抗PD-1抗体が静脈内または皮下に投与されることを特徴とする、請求項7~12のいずれかに記載の剤。
  14. 抗PD-1抗体がニボルマブである、請求項7~13のいずれかに記載の剤。
  15. 4-[4-シアノ-2-({[(2’R,4S)-6-(イソプロピルカルバモイル)-2,3-ジヒドロスピロ[クロメン-4,1’-シクロプロパン]-2’-イル]カルボニル}アミノ)フェニル]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩と抗PD-1抗体とを含む脳腫瘍の治療のための医薬組成物。
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