JP7109195B2 - 油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明はベーカリー食品の製造に適した油脂組成物に関する。
食パン、菓子パン、デニッシュペストリー、ケーキ、クッキー、ビスケットなどのベーカリー食品は、小麦粉などの穀粉に油脂組成物が、練り込まれた、および/または、折り込まれた、生地が焼成されることにより製造される。ベーカリー食品の製造に使用される油脂組成物は、典型的にはバターである。バターが使用されたベーカリー食品は、良好な風味と口どけを有する。しかしながら、バターは、高価であり、また、経時的に物性が変化するので、使い難い。そこで、安価で作業性がよい、バター(乳脂)以外の動植物性油脂を使用した可塑性油脂組成物が開発されてきた。
特にトランス脂肪酸の問題以降、可塑性油脂組成物には、動植物性油脂、および、エステル交換および/または分別された油脂が使用されている。しかしながら、エステル交換および/または分別により生成するトリアシルグリセロールは、SSS、SSU、SUS、SUU、USU、UUU(S は飽和脂肪酸、Uはシス不飽和脂肪酸)に限られるため、可塑性油脂組成物を改質する選択肢は限られる。
そのような状況下、例えば、特開2002-069484号公報は、SUSとUSUとからなるコンパウンド結晶を含有する油脂組成物を開示する。コンパウンド結晶は、安定な2鎖長のβ型結晶ある。そのため、油脂組成物の経時的な物性の変化は、非常に少ないと考えられている。しかしながら、SUSとUSUとがコンパウンド結晶を形成するためには、SUSとUSUの存在比が1:1に近く、かつ、油脂組成物に含まれる油脂に占めるSUSおよびUSUの含有量が高い、必要がある。SUSおよびUSUの含有量が高い油脂を得るためには、高度な油脂加工技術が必要とされる。したがって、コンパウンド結晶の利用コストは非常に高い。
特開2005-350660号公報は、SUSとUSUとのコンパウンド結晶と、2鎖長のβ型結晶を形成するPPP(Pはパルミチン酸)とを併用した油脂組成物を開示する。PPPを併用することにより、油脂組成物は、SUSとUSUの含有量が低く、その存在比が1:1を多少外れていても、SUSとUSUとのコンパウンド結晶を形成するとされている。しかしながら、PPPを含むSSSの含有量が高くなるため、油脂組成物を使用して製造されたベーカリー食品は、口どけが悪い。
特開2002-069484号公報 特開2005-350660号公報
したがって、トランス脂肪酸含有量が低く、作業性がよく、口どけのよいベーカリー食品が製造できる油脂組成物の開発が求められていた。
本発明の目的は、トランス脂肪酸含有量が低く、作業性のよい、油脂組成物を提供することである。また、本発明の目的は、当該油脂組成物が使用された、口どけのよいベーカリー食品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂が、特定のトリアシルグリセロールを特定量含むと、作業性がよい油脂組成物が得られることを見出した。また、当該油脂組成物を使用すると、口どけのよいベーカリー食品が得られることを見出した。これにより、本発明は完成された。
すなわち、本発明は以下の油脂組成物、ベーカリー生地、およびベーカリー食品を提供する。
[1]トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下の油脂組成物であって、前記油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂が、以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の条件を満たす、前記油脂組成物。
(a)L2Uの含有量が15~45質量%である
(b)L2Uの含有量に対するLLUの含有量の質量比(LLU/L2U)が0.20~0.65である
(c)LU2の含有量が25~45質量%である
(d)LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が0.15~0.30質量%である
(e)LLLの含有量が3~15質量%である
(f)UUUの含有量が5~30質量%である
ただし、L、U、L2U、LLU、LU2、ULU、LLLおよびはUUU、以下を意味する。
L:炭素数16~24の飽和脂肪酸
U:炭素数16~24の不飽和脂肪酸
L2U:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
LLU:グリセロールの1位または3位に1分子のUがエステル結合し、残りに2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
LU2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
ULU:グリセロールの2位にLがエステル結合し、1位および3位にUがエステル結合したトリアシルグリセロール
LLL:グリセロール1分子に3分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
UUU:グリセロール1分子に3分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
[2]前記油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂が、さらに、以下の条件(g)を満たす、[1]の油脂組成物。
(g)ラウリン酸含有トリアシルグリセロールの含有量が1.0~18質量%である
[3]前記油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂が、さらに、以下の条件(h)を満たす、[1]または[2]の油脂組成物。
(h)構成脂肪酸全量に占める、パルミチン酸(P)の含有量に対するステアリン酸(St)の含有量の比(St/P)が、0.15~0.5である。
[4][1]から[3]の何れか1つの油脂組成物が、練り込まれた、および/または、折り込まれた、状態にある、ベーカリー生地。
[5][4]のベーカリー生地が焼成された状態にある、ベーカリー食品。
本発明によると、トランス脂肪酸含有量が低く、作業性のよい、油脂組成物を提供することができる。また、当該油脂組成物が使用された、口どけのよいベーカリー食品を提供することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
なお、本発明において、A~Bは、A以上B以下を意味する。例えば、A~B質量%は、A質量%以上B質量%以下を意味する。
本発明の油脂組成物は、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下の油脂組成物であって、油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂が、以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の条件を満たす。
(a)L2Uの含有量が15~45質量%である
(b)L2Uの含有量に対するLLUの含有量の質量比(LLU/L2U)が0.20~0.65である
(c)LU2の含有量が25~45質量%である
(d)LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が0.15~0.30質量%である
(e)LLLの含有量が3~15質量%である
(f)UUUの含有量が5~30質量%である
本発明の油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂(以下、非乳脂肪ともいう)は、L2Uを15~45質量%含有する(条件(a))。本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪に占めるL2Uの含有量は、好ましくは18~42質量%であり、より好ましくは20~40質量%である。また、前記L2Uの含有量に対するLLUの含有量の質量比(LLU/L2U)は、0.20~0.65である(条件(b))。(LLU/L2U)は、好ましくは0.25~0.65であり、より好ましくは、0.25~0.55であり、さらに好ましくは、0.25~0.50である。
なお、本発明において、Lは炭素数16~24の飽和脂肪酸であり、Uは炭素数16~24の不飽和脂肪酸である。また、本発明において、L2Uは、グリセロール1分子に2分子のLと1分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロールであり、LLUは、グリセロールの1位または3位に1分子のUがエステル結合し、残りに2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロールである。Lは、好ましくは炭素数16~22の飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数16~18の飽和脂肪酸である。Uは、好ましくは炭素数18~22の不飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数18の不飽和脂肪酸である。L、Uは、好ましくは直鎖である。
以後、トリアシルグリセロールはTAGと表記することがある。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、LU2を25~45質量%含有する(条件(c))。本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪に占めるLU2の含有量は、好ましくは30~45質量%であり、より好ましくは32~43質量%である。また、前記LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)は、0.15~0.30である(条件(d))。(ULU/LU2)は、好ましくは0.20~0.29であり、よりに好ましくは、0.22~0.27である。
なお、本発明において、LU2は、グリセロール1分子に1分子のLと2分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロールであり、ULUは、グリセロールの2位にLがエステル結合し、1位および3位にUがエステル結合したトリアシルグリセロールである。
また、本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪において、上記LU2の含有量に対する上記L2Uの含有量の質量比(L2U/LU2)は、好ましくは0.5~1.8であり、より好ましくは0.6~1.0であり、さらに好ましくは0.60~0.80である。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、LLLを3~15質量%含有する(条件(e))。本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪に占めるLLLの含有量は、好ましくは4.0~12質量%であり、より好ましくは6.0~11質量%である。また、本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、UUUを5~30質量%含有する(条件(f))。本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪に占めるUUUの含有量は、好ましくは6~24質量%であり、より好ましくは7~19質量%であり、さらに好ましくは8~15質量%である。
なお、本発明において、LLLは、グリセロール1分子に3分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロールであり、UUUは、グリセロール1分子に3分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロールである。
本発明の油脂組成物は、油脂組成物に含まれる非乳脂肪が、上記の条件(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)を満たすことにより、油脂組成物に含まれる油脂に占めるLLLおよびUUUの含有量が比較的少量であっても、作業性がよい。そして、当該油脂組成物を使用して製造されたベーカリー食品は、油脂組成物に含まれる油脂がLLLを含有していても、口どけがよい。また、本発明の油脂組成物を使用して製造されたベーカリー食品の副次的な特徴として、油脂組成物に含まれる油脂に占めるUUUが比較的少量であってもジューシー感を有する。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、さらに、ラウリン酸含有トリアシルグリセロール(以下、ラウリンTAGとも表す)を1.0~18質量%含有してもよい(条件(g))。本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪に占めるラウリン酸含有トリアシルグリセロールの含有量は、好ましくは2.0~15質量%であり、より好ましくは5.0~14.0質量%である。本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪のラウリン酸含有トリアシルグリセロール含有量が上記範囲内にあると、油脂組成物は、ベーカリー食品の口どけを損なうことなく、作業性の向上が図れる。
なお、本発明において、ラウリン酸含有トリアシルグリセロールは、構成脂肪酸として少なくとも1分子のラウリン酸を有するトリアシルグリセロールである。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、構成脂肪酸の全量に占める、パルミチン酸(P)の含有量に対するステアリン酸(St)の含有量の質量比(St/P)が、好ましくは0.15~0.5である(条件(h))。前記St/Pは、より好ましくは0.15~0.40であり、さらに好ましくは0.20~0.40である。St/Pが上記範囲内にあると、油脂組成物は、ベーカリー食品の口どけを損なうことなく、作業性の向上が図れる。
本発明の油脂組成物の調製に使用される非乳脂肪は、上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の条件を満たせば、特に限定されない。食用に適した油脂(食用油脂)が使用できる。食用油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、胡麻油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、乳脂など、および、これらの油脂の混合油、これらの油脂または混合油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油など)などを用いることができる。食用油脂は、1種または2種以上を適宜選択して使用してもよい。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪の調製には、L2UおよびLU2の供給源としてパーム系油脂を使用してもよい。パーム系油脂は、パーム油、パーム油の分別油、および、それらの加工油脂(硬化、エステル交換および分別のうち1以上の処理がなされたもの)であれば何れでもよい。パーム系油脂としては、具体的には、パーム油の1段分別油であるパームオレインおよびパームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)およびパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)およびパームステアリン(ハードステアリン)などが例示できる。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、上記パーム系油脂を、好ましくは20~45質量%含有し、より好ましくは20~40質量%含有し、さらに好ましくは25~35質量%含有する。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪の調製には、LLUおよびULUの供給源として非ラウリン系油脂のエステル交換油脂(非ラウリン系エステル交換油脂)を使用してもよい。非ラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%を超える油脂である。例として、菜種油、高エルシン酸菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、ヒマワリ油、カカオ脂、シア脂、サル脂、パーム油など、並びに、これらの油脂が分別および/または水素添加された油脂が挙げられる。非ラウリン系エステル交換油脂の原料油脂には、これらから選ばれる1種または2種以上の非ラウリン系油脂が用いられてもよい。
上記非ラウリン系エステル交換油脂の原料油脂としては、パーム系油脂が使用されてもよい。パーム系油脂は上述のとおりである。非ラウリン系エステル交換油脂の原料油脂に、パーム系油脂が含まれる場合、原料油脂に占めるパーム系油脂の含有量は、好ましくは20~100質量%であり、より好ましくは40~100質量%であり、さらに好ましくは60~100質量%である。なお、上記パーム系油脂に係る記述に係らず、原料油脂にパーム系油脂を含む非ラウリン系エステル交換油脂は、パーム系油脂には含まれない。
上記非ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換処理の前後で、分別、水素添加等の加工処理が単回、もしくは複数回繰り返されてもよい。非ラウリン系エステル交換油脂は、好ましくは40質量%未満のL2Uを含有する。非ラウリン系エステル交換油脂のヨウ素価は、好ましくは30~80であり、より好ましくは40~75であり、さらに好ましくは50~70であり、最も好ましくは55~70である。非ラウリン系エステル交換油脂は、構成脂肪酸の全量に占める炭素数16~18の脂肪酸の含有量が、好ましくは95質量%以上である。
上記非ラウリン系エステル交換油脂は、特に好ましくは、エステル交換処理後に分別された液状部(オレイン部、以下、IEオレインとも表す)である。IEオレインは、LU2を、好ましくは20~75質量%含み、より好ましくは40~65質量%含み、さらに好ましくは50~65質量%含む。また、IEオレインは、LLLを、好ましくは10質量%以下含み、より好ましくは3質量%以下含み、さらに好ましくは0~1質量%含む。IEオレインは、ULUを含み、かつ、LLLの含有量が低い。したがって、IEオレインを油脂組成物に含まれる非乳脂肪の調製に使用すると、LLLの含有量を必要以上に増やすことなく、ULUの含有量を適正な範囲に調整できる。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、非ラウリン系エステル交換油脂を、好ましくは20~70質量%含有し、より好ましくは30~65質量%含有し、さらに好ましくは35~55質量%含有する。また、本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、IEオレインを、好ましくは15~60質量%含有し、より好ましくは20~55質量%含有し、さらに好ましくは30~55質量%含有する。非ラウリンエステル交換油脂は、1種または2種以上を使用してもよい。
本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪の調製には、ラウリン酸含有トリアシルグリセロールの供給源として、ラウリン系油脂および/またはラウリン系エステル交換油脂を使用してもよい。ラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が30質量%以上の油脂である。ラウリン系油脂としては、例として、ヤシ油、パーム核油、これらを分別して得られるパーム核オレイン、パーム核ステアリン等の分別油、これらをエステル交換した油脂、およびこれらの硬化油が挙げられる。
上記ラウリン系エステル交換油脂は、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とを含む混合油のエステル交換油脂であってもよい。当該混合油は、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とを、好ましくは30:70~70:30の質量比で含み、より好ましくは、35:65~65:35の質量比で含む。なお、非ラウリン系油脂は上述のとおりである。ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が、好ましくは10~40質量%であり、より好ましくは15~30質量%である。ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換処理がなされていれば、エステル交換処理の前後で、分別、水素添加等の、加工処理が単回、もしくは複数回繰り返されてもよい。
上記ラウリン系油脂および/またはラウリン系エステル交換油脂は、ラウリン酸含有トリアシルグリセロールを、好ましくは40~90質量%含有し、より好ましくは50~85質量%含有する。また、本発明の油脂組成物に含まれる非乳脂肪は、ラウリン系油脂および/またはラウリン系エステル交換油脂を、好ましくは5~30質量%含有し、より好ましくは10~25質量%含有し、さらに好ましくは15~25質量%含有する。ラウリン系油脂および/またはラウリン系エステル交換油脂は、1種または2種以上を使用してもよい。
エステル交換油脂を調製するエステル交換反応の方法は、特に限定されない。位置選択性の低いエステル交換反応である非選択的エステル交換(ランダムエステル交換)、位置選択性の高いエステル交換反応である選択的エステル交換(位置特異的エステル交換)のどちらの方法を適用してもよい。しかし、非選択的エステル交換が好ましい。また、エステル交換の方法は、化学的エステル交換または酵素的エステル交換のどちらの方法を適用してもよい。
なお、油脂に含まれる各トリアシルグリセロール含有量は、ガスクロマトグラフィー法(例えば、AOCS Ce5-86準拠)により測定できる。トリアシルグリセロールの対称性は、例えば、J.High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995)に準じて測定できる。油脂を構成する各脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフィー法(例えば、AOCS Ce1f-96準拠)により測定できる。また、油脂のヨウ素価は、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定できる。
本発明の油脂組成物に含まれる油脂は、非乳脂肪の他に、任意成分として乳脂肪を含有してもよい。本発明の油脂組成物に含まれる油脂に占める乳脂肪の含有量は、好ましくは0~50質量%であり、より好ましくは0~30質量%であり、さらに好ましくは0~20質量%である。なお、ここで乳脂肪は、乳脂肪の加工品を含むものであり、より具体的には、バター、バターオイルもしくはそれらの分別油、分別油の発酵物、発酵バター、発酵バターオイルもしくはそれらの分別油、等の油脂相当部分が挙げられ、それらの1種もしくは2種以上を任意に用いることができる。
本発明の油脂組成物は実質的にトランス脂肪酸を含まない。すなわち、本発明の油脂組成物に含まれるトランス脂肪酸の含有量は、5質量%以下である。本発明の油脂組成物に含まれるトランス脂肪酸の含有量は、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは0~2質量%であり、さらに好ましくは0~1質量%である。
本発明の油脂組成物は、油脂組成物に含まれる油脂以外のその他の成分として、ベーカリー食品に用いる油脂組成物に一般的に使用される成分を含有してもよい。その他の成分としては、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩、塩化カリウムなどの塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸などの酸味料、糖類、糖アルコール類、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、β-カロテン、カラメル、紅麹色素などの着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン)、ルチンなどの酸化防止剤、小麦蛋白、大豆蛋白などの植物蛋白、卵、卵加工品、香料、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清蛋白などの乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料などの食品添加物、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類などの食品素材、が挙げられる。
本発明の油脂組成物は、好ましくは可塑性が付与された可塑性油脂組成物である。本発明の可塑性油脂組成物としては、例えば、水相を有するマーガリンもしくはファットスプレッドであってもよいし、水相を有さないショートニングであってもよい。水相を有する乳化物の場合、乳化は、油中水型、水中油型および複合乳化型のいずれであってもよい。しかし、油中水型が好ましい。油中水型乳化物に含まれる水の含有量は、好ましくは1~40質量%であり、より好ましくは3~30質量%であり、さらに好ましくは、5~20質量%である。
本発明の油脂組成物の製造方法は、特に限定されない、公知のベーカリー食品に使用される油脂組成物の製造方法および製造条件を適用できる。具体的には、油脂組成物は、油溶成分を混合溶解することで製造できる。また、可塑性油脂組成物とする場合は、油溶成分を混合融解して油相を調製する。必要により水溶成分を混合溶解して水相を調製する。可塑性油脂組成物は、融解した油相を単独で、または、油相に水相を混合乳化した後、冷却し、結晶化させることで製造できる。冷却および結晶化は、好ましくは冷却可塑化を含む。冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、より好ましくは-5℃/分以上である。この際、徐冷却より急冷却の方が好ましい。また、油相の調製後または混合乳化後は、殺菌処理することが望ましい。殺菌方法としては、タンクでのバッチ式や、プレート型熱交換機、掻き取り式熱交換機を用いた連続式が挙げられる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどのマーガリン製造機やプレート型熱交換機などが挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
本発明の油脂組成物は、ベーカリー食品用、特にベーカリー食品の練り込み用または折り込み用として使用できる。また、本発明の油脂組成物は、チョコレートなどと組み合わせたベーカリー食品(複合食品)に用いるベーカリー食品の練り込み用または折り込み用としても好適に使用できる。
本発明のベーカリー食品には、本発明の油脂組成物が使用される。例えば、本発明のベーカリー食品は、本発明の油脂組成物を含有するベーカリー生地を加熱焼成することで得られる。ここでベーカリー生地は、穀粉を主成分とし、本発明の油脂組成物を練り込んだ生地や、折り込んだ生地である。加熱焼成は、オーブン加熱、直焼きの他、電子レンジ調理、煮る、蒸す、揚げるなどの加熱調理を含む。また、本発明のベーカリー食品は、ベーカリー焼成品に対して本発明の油脂組成物をコーティングすることでも得られる。
本発明において、穀粉とは、穀物を挽くなどして粉状にしたものである。穀粉は、通常、ベーカリー生地に配合されるものであれば、特に限定されない。穀粉の具体例としては、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉などが挙げられる。穀粉は、澱粉やグルテンなどの化工粉末であってもよい。
本発明のベーカリー食品において、本発明の油脂組成物の使用量は、特に限定されない。油脂組成物使用量は、ベーカリー食品の種類によって適宜設定されればよい。例えば、ベーカリー生地への練り込み用である場合、ベーカリー生地に配合される穀粉100質量部に対して、油脂組成物の使用量は、好ましくは0.5~150質量部であり、より好ましくは2~120質量部であり、最も好ましくは5~100質量部である。また、ベーカリー生地への折り込み用である場合、穀粉生地100質量部に対して、油脂組成物は、好ましくは20~60質量部、より好ましくは25~50質量部、さらに好ましくは30~45質量部折り込まれる。
本発明のベーカリー食品には、本発明の油脂組成物、穀粉以外に、通常、ベーカリー食品に配合される食品素材であれば、特に制限なく配合できる。また、これらの配合量も、通常、ベーカリー食品に配合される範囲で特に制限なく配合できる。食品素材は、具体的には、水、糖、糖アルコール、卵、卵加工品、澱粉、食塩、可塑性油脂、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、チーズ、生クリーム、合成クリーム、ヨーグルト、全脂粉乳、脱脂粉乳、牛乳、濃縮乳、合成乳、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆粉、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、香料などが挙げられる。
本発明のベーカリー食品は、本発明の油脂組成物を用いること以外は、公知の製造方法および製造方法を適用して製造できる。
本発明のベーカリー食品の具体例としては、ビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、カットパン、ウェハース、サブレ、ラングドシャ、マカロンなどの焼き菓子、バターケーキ類(パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラなど)、スポンジケーキ類(ショートケーキ、ロールケーキ、トルテ、デコレーションケーキ、シフォンケーキなど)、シュー菓子、発酵菓子、パイ、ワッフルなどの洋生菓子、食パン、菓子パン、フランスパン、シュトーレン、パネトーネ、ブリオッシュ、ドーナツ、デニッシュ、クロワッサンなどのパンが挙げられる。
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に何ら限定されない。
<測定方法>
以下に示す油脂組成物に含まれる油脂の、各構成脂肪酸の含有量、各トリアシルグリセロールの含有量およびヨウ素価は、以下の方法により測定した。
各脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce1f-96準拠)で測定した。
各トリアシルグリセロール含有量は、ガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5-86準拠)で測定した。トリアシルグリセロールの対称性は、銀イオンカラムクロマトグラフィー法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995)準拠)で測定した。
ヨウ素価は、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準拠して測定した。
<原料油脂の調製>
油脂組成物に含まれる油脂を調製する原料油脂として、以下の油脂を準備した。
(パーム系油脂)
・パーム油(サンプル名:PMO、ヨウ素価52、日清オイリオグループ株式会社製)
・パームオレイン(サンプル名:PL60、ヨウ素価60、日清オイリオグループ株式会社製)
・パーム中融点部(サンプル名:SPMF、ヨウ素価45、日清オイリオグループ株式会社製)
(非ラウリン系エステル交換油脂)
・ランダムエステル交換パームオレイン(サンプル名:IEPL56、ヨウ素価56、L2U含有量36.5質量%、LU2含有量37.8質量%、LLL含有量10.7質量%、日清オイリオグループ株式会社製)
・ランダムエステル交換分別オレイン1(サンプル名:IEOL1、ヨウ素価45、35質量部のパームステアリンおよび65質量部のパーム中融点部を原料油脂とするランダムエステル交換油脂の分別したオレイン部、L2U含有量59.4質量%、LU2含有量26.0質量%、LLL含有量8.6質量%、日清オイリオグループ株式会社製)
・ランダムエステル交換分別オレイン2(サンプル名:IEOL2、ヨウ素価63、8質量部のハイオレイックヒマワリ油、16.8質量部の極度硬化ハイオレイックヒマワリ油、51.2質量部のパームステアリンおよび24質量部のパーム油を原料油脂とするランダムエステル交換油脂を2段分別したオレイン部、L2U含有量28.1質量%、LU2含有量57.5質量%、LLL含有量0質量%、日清オイリオグループ株式会社製)
(ラウリン系エステル交換油脂)
・ラウリン系ランダムエステル交換油脂(サンプル名:IEPKPS、ヨウ素価1、50質量部の極度硬化パーム核オレインおよび50質量部の極度硬化パームステアリンを原料油脂とするランダムエステル交換油脂、ラウリンTAG含有量55.5質量%、日清オイリオグループ株式会社製)
(液状油脂)
・大豆油(サンプル名:SBO、ヨウ素価131、日清オイリオグループ株式会社製)
(乳脂肪)
・発酵バター(サンプル名:FBF、株式会社明治製)
<油脂組成物の製造1>
表1および表2に示した配合にしたがって、油脂1から油脂12を調製した。表3に示した配合にしたがって、油脂として油脂1から油脂12をそれぞれ使用した、例1から例12の油脂組成物(マーガリン)を、常法にしたがって製造した。すなわち、水に水相成分を溶解して水相としたものを、油脂に油相成分を溶かした油相と混合して予備乳化を行った。その後、コンビネーターを用いて急冷混捏を行い、例1から例12の油脂組成物を得た。
Figure 0007109195000001

Figure 0007109195000002

Figure 0007109195000003

(ロールパンの製造1、評価1)
強力粉700g、生イースト30g、全卵150g、水270gをミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で2分間、混捏して。捏上げ温度25℃の中種を得た。得られた中種を28℃で2時間発酵させた。発酵させた中種をミキサーボウルに投入し、さらに強力粉300g、上白糖120g、食塩17g、脱脂粉乳40g、水180gを投入し、低速で2分間、中速で5分間、混捏した。ここで、練り込み用油脂として、例1から例12において得られた油脂組成物150gを投入し、さらに低速で2分間、中速で5分間、混捏して、捏上げ温度28℃の生地を得た。フロアタイムを30分取った後、45gに分割し、次いでベンチタイムを30分取った後、テーブルロール成型を行った。さらに、38℃で相対湿度85%のホイロに60分間入れて最終発酵を行った。最終発酵後、全卵を上面に塗布し、上火210℃、下火200℃のオーブンに入れた。オーブンで、9分30秒焼成し、例1から例12の油脂組成物をそれぞれ生地に練り込んだロールパンを得た。
上記ロールパン生地への油脂組成物の練り込み易さ(作業性)が、パン職人歴5年以上の職人3人により、以下の基準に従って、総合的に判断された。結果を表1および表2に示した。

評価基準
練り込み易く、非常に良好 ◎ (合格)
練り込み易く、良好 〇 (合格)
ふつう △ (不合格)
練り込み難く、不適 ▲ (不合格)
練り込み難く、非常に不適 × (不合格)
上記の例1から例12の油脂組成物をそれぞれ生地に練り込んだロールパンについて、例11の油脂組成物を練り込んだロールパンを対照として、以下の評価基準に従って、専門パネラー5名が口どけの評価を行った。結果を表1および表2に示した。

評価基準
対照と比較して口どけが非常に良い 4点
対照と比較して口どけが良い 3点
対照と比較して同程度の口どけである 2点
対照と比較して口どけが良くない 1点
対照と比較して口どけが非常に良くない 0点

各パネラーの評点を合計して以下の基準により総合評価した。
15点以上 ◎ (合格)
11点以上15点未満 ○ (合格)
8点以上11点未満 △ (不合格)
5点以上 8点未満 ▲ (不合格)
5点未満 × (不合格)
(油脂組成物の製造2、ロールパンの製造2、評価2)
上記の油脂2と発酵バター(FBF)とを、油脂の質量比が8:2となるように混合した。当該混合物を使用して、表3に示した配合で、常法にしたがって、コンビネーターを用いて急冷混捏を行い、例13の油脂組成物を得た。
同様に、上記の油脂11と発酵バター(FBF)とを、油脂の質量比が8:2となるように混合した。当該混合物使用して、表3に示した配合で、常法にしたがって、コンビネーターを用いて急冷混捏を行い、例14(比較)の油脂組成物を得た。
上記の例13および14の油脂組成物をそれぞれ使用して、ロールパンの製造1と同様にロールパンを製造した。評価1と同様に、例13と例14の油脂組成物のロールパン生地への練り込み易さ(作業性)を評価した。また、評価1と同様に、例14の油脂組成物を練り込んだロールパンを対照として、例13の油脂組成物を練り込んだロールパンの口どけを評価した。結果を表4に示した。
Figure 0007109195000004
(油脂組成物の製造3)
上記の油脂3、4、8および9を用いて、表5に示した配合で、常法にしたがって、コンビネーターを用いて急冷混捏を行い、シート状に成型して、例15から例18のロールイン用油脂組成物(マーガリン)を得た。
また、上記の油脂5と発酵バター(FBF)を質量比が8:2となるように混合した。当該混合物を使用して、表5に示した配合で、常法にしたがって、コンビネーターを用いて急冷混捏を行い、シート状に成型して、例19のロールイン用油脂組成物(マーガリン)を得た。
Figure 0007109195000005

(クロワッサンの製造、評価方法)
強力粉500g、薄力粉500g、イースト50g、イーストフード10g、上白糖60g、食塩17g、脱脂粉乳30g、全卵50g、水530gをミキサーボウルに投入し、低速で1分間混合した。さらに上記例1の油脂組成物60gを投入して、低速で2分間、中速で4分間混合し、捏上温度24℃の生地を得た。室温で40分間一次発酵させた後、-2℃で一晩リタードを取った。このクロワッサン用生地1800gに対して、上記の例15から例19のロールイン用油脂組成物を各500g折り込み(3つ折り2回、3つ折り1回)、成型した。32℃で相対湿度75%のホイロに60分間入れて最終発酵を行った。最終発酵生地に、全卵を塗布し、上火215℃、下火215℃のオーブンに入れて、15分間焼成し、例15から例19のロールイン用油脂組成物をそれぞれ折り込んだクロワッサンを得た。

上記クロワッサン用生地へのロールイン用油脂組成物の折り込み易さ(作業性)が、パン職人歴5年以上の職人3人により、以下の基準に従って、総合的に判断された。結果を表6に示した。

評価基準
伸展性良く折り込み易く、非常に良好 ◎ (合格)
伸展性良く折り込み易く、良好 〇 (合格)
ふつう △ (不合格)
伸展性悪く折り込み難く、不適 ▲ (不合格)
伸展性悪く折り込み難く、非常に不適 × (不合格)

上記の例15から例19のロールイン用油脂組成物をそれぞれ折り込んだクロワッサンについて、例17のロールイン用油脂組成物を折り込んだクロワッサンを対照として、以下の評価基準に従って、専門パネラー5名により口どけの評価を行った。結果を表6に示した。

評価基準
対照と比較して口どけが非常に良い 4点
対照と比較して口どけが良い 3点
対照と比較して同程度の口どけである 2点
対照と比較して口どけが良くない 1点
対照と比較して口どけが非常に良くない 0点

各パネラーの評点を合計して以下の基準により総合評価した。
15点以上 ◎ (合格)
11点以上15点未満 ○ (合格)
8点以上11点未満 △ (不合格)
5点以上 8点未満 ▲ (不合格)
5点未満 × (不合格)
Figure 0007109195000006

Claims (5)

  1. トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下の油脂組成物であって、前記油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂が、以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の条件を満たす、前記油脂組成物(ただし、パーム油の固化開始温度に対する変化が1.0℃未満である、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む態様、を除く)。
    (a)L2Uの含有量が15~45質量%である
    (b)L2Uの含有量に対するLLUの含有量の質量比(LLU/L2U)が0.20~0.33である
    (c)LU2の含有量が25~45質量%である
    (d)LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が0.15~0.30質量%である
    (e)LLLの含有量が3~15質量%である
    (f)UUUの含有量が5~24質量%である
    ただし、L、U、L2U、LLU、LU2、ULU、LLLおよびはUUU、以下を意味する。
    L:炭素数16~24の飽和脂肪酸
    U:炭素数16~24の不飽和脂肪酸
    L2U:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LLU:グリセロールの1位または3位に1分子のUがエステル結合し、残りに2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LU2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    ULU:グリセロールの2位にLがエステル結合し、1位および3位にUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LLL:グリセロール1分子に3分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
    UUU:グリセロール1分子に3分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
  2. トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下の油脂組成物であって、前記油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂が、以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)および(g)の条件を満たす、前記油脂組成物
    (ただし、パーム油の固化開始温度に対する変化が1.0℃未満である、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む態様と、
    焼成品の生地を作製する際に練り込んで使用される練り込み用油脂組成物であって、 全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上であるラウリン系油脂(A1)5 質量%以上30質量%未満と、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質 量%以上であるパーム系油脂(A2)70質量%超95質量%以下とのエステル交換油脂 (A)を含有し、
    構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリ グリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計割合が油脂全量に対して30~65質量%、
    2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセ リド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.1~1.5、
    構成脂肪酸の総炭素数が40~48であるトリグリセリドの割合が油脂全量に対して5 .0~30質量% である練り込み用油脂組成物と、
    を除く)。
    (a)L2Uの含有量が15~45質量%である
    (b)L2Uの含有量に対するLLUの含有量の質量比(LLU/L2U)が0.20~0.50である
    (c)LU2の含有量が25~45質量%である
    (d)LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が0.15~0.30質量%である
    (e)LLLの含有量が3~15質量%である
    (f)UUUの含有量が5~24質量%である
    (g)ラウリン酸含有トリアシルグリセロールの含有量が5.0~18質量%である
    ただし、L、U、L2U、LLU、LU2、ULU、LLLおよびはUUU、以下を意味する。
    L:炭素数16~24の飽和脂肪酸
    U:炭素数16~24の不飽和脂肪酸
    L2U:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LLU:グリセロールの1位または3位に1分子のUがエステル結合し、残りに2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LU2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    ULU:グリセロールの2位にLがエステル結合し、1位および3位にUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LLL:グリセロール1分子に3分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
    UUU:グリセロール1分子に3分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
  3. トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下の油脂組成物であって、前記油脂組成物に含まれる乳脂肪以外の油脂が、以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)および(h)の条件を満たす、前記油脂組成物
    (ただし、パーム油の固化開始温度に対する変化が1.0℃未満である、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む態様と、
    焼成品の生地を作製する際に練り込んで使用される練り込み用油脂組成物であって、 全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上であるラウリン系油脂(A1)5 質量%以上30質量%未満と、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質 量%以上であるパーム系油脂(A2)70質量%超95質量%以下とのエステル交換油脂 (A)を含有し、
    構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリ グリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計割合が油脂全量に対して30~65質量%、
    2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセ リド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.1~1.5、
    構成脂肪酸の総炭素数が40~48であるトリグリセリドの割合が油脂全量に対して5 .0~30質量% である練り込み用油脂組成物と、
    を除く)。
    (a)L2Uの含有量が15~45質量%である
    (b)L2Uの含有量に対するLLUの含有量の質量比(LLU/L2U)が0.20~0.50である
    (c)LU2の含有量が25~45質量%である
    (d)LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が0.15~0.30質量%である
    (e)LLLの含有量が3~15質量%である
    (f)UUUの含有量が5~24質量%である
    (h)構成脂肪酸全量に占める、パルミチン酸(P)の含有量に対するステアリン酸(St)の含有量の比(St/P)が、0.20~0.5である。
    ただし、L、U、L2U、LLU、LU2、ULU、LLLおよびはUUU、以下を意味する。
    L:炭素数16~24の飽和脂肪酸
    U:炭素数16~24の不飽和脂肪酸
    L2U:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LLU:グリセロールの1位または3位に1分子のUがエステル結合し、残りに2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LU2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    ULU:グリセロールの2位にLがエステル結合し、1位および3位にUがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LLL:グリセロール1分子に3分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
    UUU:グリセロール1分子に3分子のUがエステル結合したトリアシルグリセロール
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載の油脂組成物が、練り込まれた、および/または、折り込まれた、状態にある、ベーカリー生地。
  5. 請求項4に記載のベーカリー生地が焼成された状態にある、ベーカリー食品。
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