JP7046573B2 - 被加工物の加工方法 - Google Patents

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Description

板状の被加工物を研削してから研磨する被加工物の加工方法に関する。
一般に、半導体デバイスが表面に形成されたシリコンなどからなる半導体ウエーハや、光デバイスが形成されたサファイア、SiC(炭化ケイ素)などからなる光デバイスウエーハなどの各種ウエーハ(被加工物)は、裏面側が研削砥石で研削されて薄化された後、裏面が研磨される。この種のウエーハを加工する研削研磨装置として、ウエーハをそれぞれ保持する複数の保持テーブルと、複数の保持テーブルが配設されるターンテーブルと、ターンテーブルが回転することにより、一の保持テーブルの上方に順次位置づけられる粗研削用の研削手段、仕上げ研削用の研削手段及び研磨手段と、を有し、1枚のウエーハを粗研削、仕上げ研削、研磨、という順序で連続して加工するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の研削研磨装置では、保持テーブルは、それぞれウエーハを回転可能に保持する保持面と、この保持面の中心を通る回転軸の傾きを調整する傾き調整部とを備えている。
特開2006-344878号公報
従来の研削研磨装置は、仕上げ研削加工後のウエーハの形状を測定し、この測定結果に基づいて、一の保持テーブルの保持面の傾きをフィードバック制御している。このフィードバック制御により、次に一の保持テーブルに保持されるウエーハが仕上げ研削加工後に平坦になるように連続的に加工していた。
しかしながら、仕上げ研削加工時に、ウエーハを平坦に加工していたとしても、研磨加工時の研磨レートが加工枚数の増加に伴い不均一となることがあり、研磨加工後のウエーハの被研磨面の形状が平坦にならないという問題が発生した。例えば、研磨加工の加工枚数が増加すると、研磨手段の研磨パットの中心に徐々に熱が籠っていくため、研磨加工時にウエーハの中心の除去量が多くなる傾向にある。このため、研磨加工後のウエーハは、基準値以上の厚みばらつきが生じて被研磨面が平坦にならないという問題が発生した。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、研削加工後に研磨加工を行う際に、研磨加工後の被加工物の厚みばらつきを抑えて被研磨面の形状を平坦にできる被加工物の加工方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被加工物を回転可能に保持する保持面を有し、該保持面の回転軸の傾きを調整可能に構成された保持テーブルと、該保持テーブルの保持面に保持された該被加工物を研削する研削手段と、該研削手段によって研削された該被加工物を研磨する研磨手段と、該保持テーブルを複数配設した回転可能なターンテーブルと、を少なくとも備える研削研磨装置によって該被加工物を加工する被加工物の加工方法であって、一の保持テーブルの該保持面に保持された被加工物を該研削手段で所定の厚さへと薄化する研削ステップと、該研削ステップの実施後、該ターンテーブルを回転させて一の該保持テーブルを該研磨手段の下に位置づけ、該研磨手段によって被加工物を研磨する研磨ステップと、該研磨ステップの実施後、該被加工物の厚みばらつきを測定する厚み測定ステップと、該厚み測定ステップで測定された該厚みばらつきの結果から、一の該保持テーブルに次に保持される被加工物の該研磨ステップ実施後の形状が平坦になるように、該研削ステップにおける該回転軸の傾きを補正する傾き補正ステップと、該厚み測定ステップで測定された該厚みばらつきが所定の基準値よりも大きいか否かを判定する判定ステップと、を備え、該判定ステップで該厚みばらつきが該基準値よりも大きいと判定された場合、該傾き補正ステップを実施し、該判定ステップで該厚みばらつきが該基準値以下と判定された場合、該厚みばらつきの値に応じて、該厚み測定ステップを実施する頻度を変更するものである。
この構成によれば、研磨ステップ後に測定された被加工物の厚みばらつきによって、研削加工時の保持テーブルの回転軸の傾きを補正するため、研磨加工後の被加工物の厚みばらつきを基準値以下に抑えることができる。このため、加工枚数が増えたとしても、研磨加工後の被加工面を平坦な形状に保つことができる。ここで、平坦とは、測定された被加工物の厚みばらつき、すなわち被加工物の厚みの最大測定値と最小想定値との差が所定の基準値以下にあることをいう。
の構成によれば、被加工物の厚みばらつきが基準値以下、すなわち、被加工物が平坦である場合には、厚みばらつきを測定する頻度を変更するため、被加工物の加工精度を保持しつつ加工時間の短縮を図り、加工性の向上を実現できる。
本発明によれば、研磨加工後に測定された被加工物の厚みばらつきによって、研削加工時の保持テーブルの回転軸の傾きを補正するため、研磨加工後の被加工物の厚みばらつきを基準値以下に抑えることができる。このため、加工枚数が増えたとしても、研磨加工後の被加工面を平坦な形状に保つことができる。
図1は、本実施形態に係る被加工物の加工方法の加工対象であるウエーハの斜視図である。 図2は、本実施形態に係る研削研磨装置の構成例の斜視図である。 図3は、図2に示す研削研磨装置の研磨ユニットの構成例の斜視図である。 図4は、図2に示す研削研磨装置の厚み測定部の構成例の平面図である。 図5は、図2に示す研削研磨装置の保持テーブル及び傾き調整機構を示す側面図である。 図6は、仕上げ研磨ユニットに対して保持テーブルを傾けた状態を示す模式図である。 図7は、図5に示す傾き調整機構を構成する位置調整ユニットの配置例を示す平面図である。 図8は、本実施形態に係る被加工物であるウエーハの加工方法の手順を示すフローチャートである。 図9は、断面形状が中凹形状となったウエーハの断面模式図である。 図10は、仕上げ研削後のウエーハの形状を中凹形状とするように保持テーブルを傾けた状態を示す模式図である。 図11は、断面形状が中凸形状となったウエーハの断面模式図である。 図12は、仕上げ研削後のウエーハの形状を中凸形状とするように保持テーブルを傾けた状態を示す模式図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
本実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る被加工物の加工方法の加工対象であるウエーハの斜視図である。図2は、本実施形態に係る研削研磨装置の構成例の斜視図である。図3は、図2に示す研削研磨装置の研磨ユニットの構成例の斜視図である。図4は、図2に示す研削研磨装置の厚み測定部の構成例の平面図である。図5は、図2に示す研削研磨装置の保持テーブル及び傾き調整機構を示す側面図である。図6は、仕上げ研磨ユニットに対して保持テーブルを傾けた状態を示す模式図である。図7は、図5に示す傾き調整機構を構成する位置調整ユニットの配置例を示す平面図である。
本実施形態に係る被加工物の加工方法は、図1に示すウエーハ(被加工物)200の裏面201を研削及び研磨する加工方法であって、ウエーハ200を所定の仕上げ厚さに薄化する方法である。ウエーハ200は、例えば、シリコンを母材とする円板状の半導体ウエーハやサファイア、SiC(炭化ケイ素)などを母材とする光デバイスウエーハである。ウエーハ200は、図1に示すように、表面202に形成された格子状の分割予定ライン203に区画された複数の領域にデバイス204が形成されている。ウエーハ200は、図2に示すように、表面202に保護部材205が貼着された状態で、研削研磨装置1によって裏面201に研削が施されて、所定の厚さまで薄化された後に、該裏面201に研磨が施される。保護部材205は、ウエーハ200と同じ大きさの円板状に形成され、可撓性を有する合成樹脂により構成されている。
研削研磨装置1は、図2に示すように、装置本体2と、粗研削ユニット(研削手段)3と、仕上げ研削ユニット(研削手段)4と、研磨ユニット(研磨手段)5と、ターンテーブル8上に設置された例えば4つの保持テーブル9(9a~9d)と、厚み測定部10と、カセット11,12と、ポジションテーブル13と、搬送アーム15と、ロボットピック16と、スピンナー洗浄装置17と、制御装置(制御部)100とを主に備えている。研削研磨装置1は、フルオートタイプの加工装置であり、制御装置100の制御の下、ウエーハ200に対して、粗研削加工、仕上げ研削加工、研磨加工、洗浄処理、及び搬入搬出処理からなる一連の作業を全自動で実施するように構成されている。
粗研削ユニット3は、スピンドル3aの下端に装着された円盤状のホイールマウント3bと、このホイールマウント3bの下面に装着された粗研削ホイール3cとを備える。粗研削ホイール3cは、多数の粗研削用の研削砥石(不図示)を有し、これら研削砥石が環状に配置されてホイールマウント3bの下面に固着されている。また、粗研削ユニット3は、保持テーブル9に対して上下に移動可能に配置されている。粗研削ユニット3は、スピンドル3aを介して粗研削ホイール3cを回転させながら、保持テーブル9に保持されたウエーハ200の裏面201に研削砥石を押圧することによって、該ウエーハ200の裏面201を粗研削加工する。
仕上げ研削ユニット4は、粗研削ユニット3と同様に、スピンドル4aの下端に装着された円盤状のホイールマウント4bと、このホイールマウント4bの下面に装着された仕上げ研削ホイール4cとを備える。仕上げ研削ホイール4cは、多数の仕上げ研削用の研削砥石4d(図6)を有し、これら研削砥石4dが環状に配置されてホイールマウント4bの下面に固着されている。仕上げ研削用の研削砥石4dは、粗研削用の砥石と比べて、粒径の細かい砥粒を結合剤で固めて成形されている。仕上げ研削ユニット4は、粗研削ユニット3と同様に、保持テーブル9に対して上下に移動可能に配置されている。仕上げ研削ユニット4は、スピンドル4aを介して回転軸43(図6)を中心に仕上げ研削ホイール4cを回転させながら、保持テーブル9に保持されたウエーハ200の裏面201に研削砥石4dを押圧することによって、該ウエーハ200の裏面201を仕上げ研削加工する。
研磨ユニット5は、図3に示すように、スピンドル5aの下端に研磨マウント5bを介して装着された研磨パッド5cを備える。研磨パッド5cは、スピンドル5aと共に回転しながら、保持テーブル9(図2)に保持された仕上げ研削加工後のウエーハ200の裏面201に押圧することによって、該ウエーハ200の裏面201を研磨加工する。研磨パッド5cは、研磨対象となるウエーハ200の形状に追従して変形し、研磨パッド5cの下面は、ウエーハ200の裏面201に接触して該裏面201の研磨面となる。研磨ユニット5は、この研磨ユニット5を移動する移動機構6を備える。移動機構6は、研磨ユニット5を水平方向(研磨パッド5cの径方向、図2、3ではX軸方向)および垂直方向(スピンドル5aの軸方向、図2、3ではZ軸方向)に移動させることができる。また、研磨ユニット5には、図示は省略するが、研磨加工時に、ウエーハ200の裏面201に研磨液または洗浄液を選択的に供給する加工液供給ユニットが接続されている。
ターンテーブル8は、図2に示すように、装置本体2の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平方向(図中矢印R方向)に回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。このターンテーブル8上には、例えば、4つの保持テーブル9(9a~9d)が、例えば90度の位相角で等間隔に配設されている。また、ターンテーブル8上には、例えば、研磨加工後のウエーハ200の厚みを測定する厚み測定部10が設けられている。この厚み測定部10は、ターンテーブル8に立設する支柱10cと、この支柱10cの上端部から水平方向に延びるアーム10bと、このアーム10bの先端に固定される計測ヘッド10aとを備える。この計測ヘッド10aは、例えば、ウエーハ200の裏面201に向けて、超音波を放射してその反射時間からウエーハ200の裏面201の高さ位置を測定する。この場合、計測ヘッド10aから保持テーブル9までの距離は事前に計測して既知となっているため、計測した高さ位置との差分値からウエーハ200の厚みを測定することができる。また、本実施形態では、厚み測定部10は、計測ヘッド10aがウエーハ200の中央を通過するようにしてウエーハ200の中心200Aから外周部200Bまでの片側の半径領域で円弧状(矢印RA)に移動させ、その移動軌跡の複数点(例えば3点)での厚みを測定し、制御装置100に送信する。制御装置100は、受信した測定値に基づき、ウエーハ200の反対側の半径領域は対称形状とみなして全体の断面形状を算出する。
保持テーブル9は、図5に示すように、ウエーハ200の表面202側を、保護部材205を介して保持する保持面91と、保持面91の中心を通る図5中に一点鎖線で示す回転軸92と、この回転軸92を鉛直方向に対して傾斜させる傾き調整機構(傾き調整手段)40とを備える。保持テーブル9は、保持面91に真空チャックを備えた構造であり、保持面91に載置されたウエーハ200を真空吸着して保持する。
保持面91は、図6に詳細に示すように、外周部91Bが中心91Aに比べて僅かに低い円錐状に形成されている。即ち、保持面91は、中心91Aを頂点とした円錐面に形成されて、中心91Aから外周部91Bに向けて下降する傾斜を有する斜面に形成されている。保持テーブル9は、加工対象のウエーハ200を保持面91の円錐面にならって保持する。なお、図6は、保持面91の円錐面の傾斜を誇張して示しているが、保持面91の円錐面の傾斜は、実際には肉眼では認識できないほどの僅かな傾斜である。
傾き調整機構40は、各保持テーブル9に取り付けられている。傾き調整機構40は、図5に示すように、回転軸92の鉛直方向(Z方向)に対する傾きθ(図6)を変更(調整)するためのものである。傾き調整機構40は、図5に示すように、支持台22と、支持台22に連結された位置調整ユニット23とを備える。支持台22は、図示しない軸受を介して保持テーブル9を回転自在に支持する円筒状に形成された支持筒部220と、支持筒部220から拡径したフランジ部221とを備える。傾き調整機構40は、フランジ部221の傾きを調整することにより、回転軸92の傾きθを調整する。
位置調整ユニット23は、図7に示すように、フランジ部221の円弧に沿って、等間隔に2つ以上設けられている。本実施形態において、傾き調整機構40は、120度間隔で2つの位置調整ユニット23と、フランジ部221を固定する固定部23aとを配置しているが、本発明では、位置調整ユニット23を3つ以上配置しても良い。
位置調整ユニット23は、図5に示すように、ターンテーブル8に固定された筒部230と、筒部230を貫通するシャフト231と、シャフト231の下端に連結された駆動部232と、シャフト231の上端においてフランジ部221に固定された固定部233とを備える。駆動部232は、シャフト231を回転させるモータ232aと、シャフト231の回転速度を弱めるとともにターンテーブル8に固定された減速機232bとを備える。
固定部233は、シャフト231の上端部に形成された図示しない雄ねじが螺合する図示しない雌ねじが設けられている。位置調整ユニット23は、モータ232aが減速機232bを介してシャフト231を軸心回りに回転することで、回転軸92の傾きθを調整する。また、ターンテーブル8には、保持テーブル9を、回転軸92を中心に回転するモータ24が取り付けられている。
保持テーブル9は、研削時及び研磨時には、回転軸92を中心として、モータ24により回転駆動される。このような保持テーブル9a~9dは、ターンテーブル8の回転によって、図2に示すように、搬入搬出領域A、粗研削領域B、仕上げ研削領域C、研磨領域Dの順番に移動して周回する。
カセット11,12は、図2に示すように、複数のスロットを有するウエーハ200用の収容器である。一方のカセット11は、研削研磨前のウエーハ200を収容し、他方のカセット12は、研磨加工後のウエーハ200を収容する。ポジションテーブル13は、カセット11から取り出されたウエーハ200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
搬送アーム15は、水平方向(Y軸方向)に移動可能に構成されており、ポジションテーブル13に載置された研削研磨前のウエーハ200を搬送して、搬入搬出領域Aに位置する保持テーブル9aに載置する。また、搬送アーム15は、再び搬入搬出領域Aに位置する保持テーブル9aに載置された研磨後のウエーハ200を搬送して、スピンナー洗浄装置17のスピンナーテーブルに載置する。
ロボットピック16は、ウエーハ保持部(例えば,U字型ハンド)16Aを備え、このウエーハ保持部16Aによってウエーハ200を吸着保持して搬送する。具体的には、ロボットピック16は、研削研磨前のウエーハ200をカセット11からポジションテーブル13へ搬送する。また、研磨後のウエーハ200をスピンナー洗浄装置17からカセット12へ搬送する。スピンナー洗浄装置17は、研磨後のウエーハ200を洗浄して、研削および研磨された加工面に付着している研削屑や研磨屑等のコンタミネーションを除去する。
制御装置100は、研削研磨装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。即ち、制御装置100は、ウエーハ200に対する研削研磨動作を研削研磨装置1に実行させるものである。制御装置100は、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。制御装置100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理部101と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶部102と、入出力インタフェース装置とを有する。演算処理部101は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、研削研磨装置1を制御するための制御信号を生成し、生成された制御信号は入出力インタフェース装置を介して研削研磨装置1の各構成要素に出力される。
また、本実施形態の記憶部102には、研磨加工後に厚み測定部10によって測定されたウエーハ200の厚みデータと、これら厚みデータに基づく厚みばらつき、及び、ウエーハ200の形状に関するデータとが記憶されている。また、記憶部102には、演算処理部101が上記厚みばらつきの結果に基づいて算出した、保持テーブル9の回転軸92の傾きθの補正値が記憶されている。この厚みばらつきは、ウエーハ200の厚みの最大値と最小値との差であり、ウエーハ200の形状に関するデータは、研磨後のウエーハ200の形状が、(1)中心200Aが最も薄く、外周部200Bに向かってって次第に厚みが厚くなる中凹形状、(2)中心200Aが最も厚く、外周部200Bに向かって次第に厚みが薄くなる中凸形状に関するデータである。例えば、研磨加工の加工枚数が増加すると、研磨ユニット5の研磨パット5cの中心に徐々に熱が籠っていくため、研磨加工時にウエーハ200の中心の除去量が多くなり、中凹形状となる傾向にある。また、例えば、研磨ユニット5のスピンドル5aの回転数が大きいと、研磨パッド5cとウエーハ200外周部200Bとの接触の衝撃が大きくなるため、研磨加工時にウエーハ200の外周部200Bの除去量が多くなり、中凸形状となる傾向にある。
また、補正値は、先の周回において、一の保持テーブル9aに保持されて研磨された後のウエーハ200の形状に基づき、次の周回において、研磨後にウエーハ200が平坦となるように、仕上げ研削ユニット4に対する一の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを設定するための補正値である。例えば、先の周回において、研磨後のウエーハ200の形状が中凹形状であった場合、次の周回において、仕上げ研削ユニット4に対する一の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθは、仕上げ研削後のウエーハ200の形状を、上記した中凹形状を逆形状に反転させた中凸形状とする傾きθに補正される。これにより、中凸形状のウエーハ200をそのまま研磨することで、研磨後のウエーハ200が平坦となる。ここで、平坦とは、測定されたウエーハ200の厚みばらつき、すなわちウエーハ200の厚みの最大値と最小値との差が所定の基準値以下にあることをいう。
また、本実施形態のように、複数(4つ)の保持テーブル9(9a~9d)がターンテーブル8と共に回転する構成では、保持テーブル9a~9dの個体差が発生するため、上記した研磨後のウエーハ200の厚みデータ、厚みばらつきやウエーハ200の形状に関するデータ、及び、回転軸92の傾きθの補正値は、保持テーブル9a~9dごとに記憶されている。
次に、被加工物としてのウエーハ200の加工方法について説明する。図8は、本実施形態に係る被加工物の加工方法の手順を示すフローチャートである。まず、ウエーハ200を保持テーブル9の保持面91に保持する(ステップS1;保持ステップ)。ウエーハ200は、表面202側に保護部材205が貼着され、裏面201側を上方に向けて、ターンテーブル8の搬入搬出領域Aにて、4つの保持テーブル9のうち、保持テーブル9a(一の保持テーブル)の保持面91に保持される。
次に、保持テーブル9aに保持されたウエーハ200に対して粗研削を実行する(ステップS2;粗研削ステップ)。保持テーブル9aに保持されたウエーハ200は、ターンテーブル8を90度回転することによって、粗研削領域Bに移動する。この粗研削領域Bでは、保持テーブル9aを回転させた状態で、粗研削ユニット3の粗研削ホイール3cを回転させつつ下降させ、回転する粗研削ホイール3cの研削砥石をウエーハ200の裏面201に接触させて所定厚みの近くまで薄化する粗研削を行う。この粗研削ステップでは、制御装置100の演算処理部101は、保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを基準設定値に設定する。この基準設定値は、粗研削ステップを実行した後のウエーハ200の被研削面(裏面201)と粗研削ユニット3の粗研削ホイール3cの研削砥石の研削面(下面)とが平行となる角度に設定されている。
粗研削ステップが終了すると、演算処理部101は、保持テーブル9aの回転軸92の傾きθに補正値が設定されているか否かを判別する(ステップS3)。補正値が設定されていない場合(ステップS3;No)には、傾き補正ステップ(ステップS4)を飛ばしてステップS5に移行する。傾き補正ステップについては後述する。
次に、保持テーブル9aに保持されたウエーハ200に対して仕上げ研削を実行する(ステップS5;仕上げ研削ステップ)。この仕上げ研削ステップは、本発明における研削ステップに相当する。なお、仕上げ研削ステップに上記した粗研削ステップを含めて研削ステップとしてもよい。粗研削ステップの終了後、ターンテーブル8をさらに90度回転させることにより、粗研削されたウエーハ200を保持する保持テーブル9aは仕上げ研削領域Cに移動する。この仕上げ研削領域Cでは、保持テーブル9aを回転させた状態で、仕上げ研削ユニット4の仕上げ研削ホイール4cを回転させつつ下降させ、回転する仕上げ研削ホイール4cの研削砥石4dをウエーハ200の裏面201に接触させて所定厚みまで薄化する仕上げ研削を行う。この仕上げ研削ステップでは、演算処理部101は、保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを直近の設定値(第1の傾き)に設定する。すなわち、以前に補正値が設定されていれば、その補正値を記憶部102から読み出して設定し、一度も補正値が設定されていなければ、上記した基準設定値に設定する。仕上げ研削ホイール4cの研削砥石4dは、保持テーブル9aの回転軸92の傾きθをいかなる設定値に設定したとしても、常にウエーハ200の裏面201の中心200A(回転中心)に接触するようになっている。
次に、保持テーブル9aに保持された仕上げ研削されたウエーハ200を研磨する(ステップS6;研磨ステップ)。仕上げ研削されたウエーハ200を保持する保持テーブル9aは、ターンテーブル8をさらに90度回転させることによって、研磨領域Dに移動して研磨ユニット5の下に位置づけられる。この場合、保持テーブル9aの回転軸92の傾きθは、仕上げ研削ステップにおいて設定された傾きとなっている。研磨領域Dでは、保持テーブル9aを回転させた状態で、研磨ユニット5の研磨パッド5cを回転させつつ下降させ、回転する研磨パッド5cをウエーハ200の裏面201に接触させて研磨を行う。研磨の際に、不図示の加工液供給ユニットから加工液が供給されるため、研磨パッド5cと加工液とによって、ウエーハ200の裏面201を化学的機械的研磨(CMP研磨)することができる。また、加工液を使用しないで研磨するドライポリッシュを行うこともできる。
次に、演算処理部101は、研磨後のウエーハ200の厚みばらつきを測定する(ステップS7;厚み測定ステップ)。この厚み測定ステップでは、演算処理部101は、厚み測定部10の動作を制御して被研磨面(裏面201)の高さ位置を複数点で測定し、保持テーブル9aの保持面91の高さ位置との差分値から複数点におけるウエーハ200の厚み、及び厚みばらつきを測定(算出)する。具体的には、図4に示すように、厚み測定部10の計測ヘッド10aをウエーハ200の中央を通過するようにしてウエーハ200の中心200Aから外周部200Bまでの片側の半径領域で円弧状(矢印RA)に移動させ、その移動軌跡の複数点(例えば3点)での厚みを測定し、この厚みから厚みばらつきを測定(算出)する。この際、厚みばらつきとともに、ウエーハ200の断面形状が中凹形状であるか中凸形状であるかを求めておく。これらウエーハ200の厚みデータ、厚みばらつき及び、ウエーハ200の形状に関するデータは、保持テーブル9aに対応づけられて、制御装置100の記憶部102に記憶される。
次に、演算処理部101は、厚みばらつきが所定の基準値よりも大きいか否かを判定する(ステップS8;判定ステップ)。この判定において、厚みばらつきが基準値(例えば、5μm)より大きい場合(ステップS8;Yes)、演算処理部101は、一の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθの補正値を設定する(ステップS9;補正値設定ステップ)。
具体的には、先の周回において、厚みばらつきが基準値より大きく、かつ、研磨後のウエーハ200の形状が図9に示すように、中心200Aが最も薄く、外周部200Bに向かってって次第に厚みが厚くなる中凹形状である場合、演算処理部101は、次の周回において、仕上げ研削後のウエーハ200の形状が上記した中凹形状を逆形状に反転させた中凸形状となるように、仕上げ研削ユニット4に対する一の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを補正する補正値を設定する。例えば、厚みばらつきが基準値以下に収まるように、傾き調整機構40の2つの位置調整ユニット23を固定部23aに対して均等に数μmだけ下降させる傾きの補正値を設定する。上記したステップS3において、補正値が設定されている場合(ステップS3;Yes)には、次の周回で仕上げ研削されるウエーハ200の傾き補正ステップ(ステップS4)が実行される。この傾き補正ステップでは、一の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを上記した補正値に補正することにより、図10に示すように、仕上げ研削後のウエーハ200の形状を中凸形状とすることができる。仕上げ研削後の形状を中凸形状とする傾きθに補正することにより、中凸形状のウエーハ200をそのまま研磨することで、研磨後のウエーハ200が平坦となる。
また、先の周回において、厚みばらつきが基準値より大きく、かつ、研磨後のウエーハ200の形状が図11に示すように、中心200Aが最も厚く、外周部200Bに向かってって次第に厚みが薄くなる中凸形状である場合、演算処理部101は、次の周回において、仕上げ研削後のウエーハ200の形状が上記した中凸形状を逆形状に反転させた中凹形状となるように、仕上げ研削ユニット4に対する一の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを補正する補正値を設定する。例えば、厚みばらつきが基準値以下に収まるように、傾き調整機構40の2つの位置調整ユニット23を固定部23aに対して均等に数μmだけ上昇させる傾きの補正値を設定する。上記したステップS3において、補正値が設定されている場合(ステップS3;Yes)には、次の周回で仕上げ研削されるウエーハ200の傾き補正ステップ(ステップS4)が実行される。この傾き補正ステップでは、一の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを上記した補正値に補正することにより、図12に示すように、仕上げ研削後のウエーハ200の形状を中凹形状とすることができる。仕上げ研削後の形状を中凹形状とする傾きθに補正することにより、中凹形状のウエーハ200をそのまま研磨することで、研磨後のウエーハ200が平坦となる。
一方、厚みばらつきが基準値以下の場合(ステップS8;No)、演算処理部101は、上記した厚み測定ステップを実施する頻度を変更する(ステップS10;測定頻度変更ステップ)。保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを補正した場合、上記のように、研磨後のウエーハ200の形状が変化するため、補正した直後に厚み測定ステップを実施する必要がある。これに対して、加工条件を変更しなければ、ウエーハ200の形状が突然大きく変動することはない。このため、研磨後のウエーハ200の厚みばらつきが基準値以下、すなわち平坦に加工されていれば、厚み測定ステップを実施する頻度を低く(測定間隔を長く)する。具体的には、上記した厚みばらつきの基準値よりも小さな頻度変更基準値を予め設定しておく。演算処理部101は、測定した厚みばらつきが頻度変更基準値よりも大きい場合には、厚み測定ステップを実施する頻度を、例えば10周ごと(一の保持テーブル9aに保持されて研削研磨されるウエーハ200が10枚ごと)とし、測定した厚みばらつきが頻度変更基準値よりも大きい場合には、厚み測定ステップを実施する頻度を、例えば30周ごととする。この構成によれば、ウエーハ200の加工精度を保持しつつ、研削研磨の加工時間の短縮を図り、加工性の向上を実現できる。
上記した加工手順は、研磨後のウエーハ200の形状に基づいて、一の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを補正する構成について説明したが、複数(4つ)の保持テーブル9a~9dをターンテーブル8で周回する構成では、保持テーブル9a~9dのそれぞれについて、独立して回転軸92の傾きが補正される。
以上、本実施形態は、ウエーハ200を回転可能に保持する保持面91を有し、該保持面91の回転軸92の傾きを調整可能に構成された保持テーブル9と、保持テーブル9の保持面91に保持されたウエーハ200を研削する仕上げ研削ユニット4と、仕上げ研削手段によって研削されたウエーハ200を研磨する研磨ユニット5と、保持テーブル9を複数配設した回転可能なターンテーブル8と、を少なくとも備える研削研磨装置1によってウエーハ200を加工するウエーハ200の加工方法であって、一の保持テーブル9aの保持面91に保持されたウエーハ200を仕上げ研削ユニット4で所定の厚さへと薄化する仕上げ研削ステップS5と、仕上げ研削ステップS5の実施後、ターンテーブル8を回転させて一の保持テーブル9aを研磨ユニット5の下に位置づけ、研磨ユニット5によってウエーハ200を研磨する研磨ステップS6と、研磨ステップS6の実施後、ウエーハ200の厚みばらつきを測定する厚み測定ステップS7と、厚み測定ステップS7で測定された厚みばらつきの結果から、一の保持テーブル9aに次の周回で保持されるウエーハ200の研磨ステップS6を実施後の形状が平坦になるように、仕上げ研削ステップS5における回転軸92の傾きを補正する傾き補正ステップS4と、を備える。
この構成によれば、研磨ステップS6後に測定されたウエーハ200の厚みばらつきによって、仕上げ研削ステップS5実施時の保持テーブル9aの回転軸92の傾きを補正するため、研磨ステップS6後のウエーハ200の厚みばらつきを基準値以下に抑えることができる。このため、例えば、加工枚数が増えたとしても、研磨加工後のウエーハ200の被加工面を平坦な形状に保つことができる。
また、本実施形態によれば、厚み測定ステップS7で測定された厚みばらつきが所定の基準値よりも大きいか否かを判定する判定ステップS8を備え、判定ステップS8で厚みばらつきが基準値よりも大きいと判定された場合、補正値設定ステップS9及び傾き補正ステップS4を実施し、判定ステップS8で厚みばらつきが基準値以下と判定された場合、厚みばらつきの値に応じて、厚み測定ステップS7を実施する頻度を変更する測定頻度変更ステップS10を備えるため、ウエーハ200の加工精度を保持しつつ加工時間の短縮を図り、加工性の向上を実現できる。
また、本実施形態に係る研削研磨装置1は、ウエーハ200を回転可能に保持する保持面91と保持面91の回転軸92の傾きを調整する傾き調整機構40とを有する保持テーブル9と、保持テーブル9の保持面91に保持されたウエーハ200を仕上げ研削する仕上げ研削ユニット4と、仕上げ研削ユニット4によって研削されたウエーハ200を研磨する研磨ユニット5と、保持テーブル9を複数配設した回転可能なターンテーブル8と、複数の保持テーブル9の一の保持テーブル9aの保持面91に保持された研磨後のウエーハ200の厚みばらつきを測定する厚み測定部10と、厚み測定部10が測定した厚みばらつきの結果から、一の保持テーブル9aに次の周回で保持されるウエーハ200の研磨後の形状が平坦になるように、傾き調整機構40を駆動させて、仕上げ研削ユニット4の下に位置する保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを補正する制御装置100と、を備える。この構成によれば、制御装置100は、研磨加工後に測定されたウエーハ200の厚みばらつきによって、仕上げ研削加工時の保持テーブル9aの回転軸92の傾きθを補正するため、研磨加工後のウエーハ200の厚みばらつきを基準値以下に抑えることができる。従って、加工枚数が増えたとしても、研磨加工後のウエーハ200の被加工面(裏面201)を平坦な形状に保つことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1 研削研磨装置
2 装置本体
3 粗研削ユニット
4 仕上げ研削ユニット(研削手段)
5 研磨ユニット(研磨手段)
8 ターンテーブル
9、9a、9b、9c、9d 保持テーブル
10 厚み測定部
23 位置調整ユニット
23a 固定部
24 モータ
40 傾き調整機構(傾き調整手段)
91 保持面
92 回転軸
100 制御装置(制御部)
101 演算処理部
102 記憶部
200 ウエーハ
201 裏面
202 表面
205 保護部材

Claims (1)

  1. 被加工物を回転可能に保持する保持面を有し、該保持面の回転軸の傾きを調整可能に構成された保持テーブルと、
    該保持テーブルの保持面に保持された該被加工物を研削する研削手段と、
    該研削手段によって研削された該被加工物を研磨する研磨手段と、
    該保持テーブルを複数配設した回転可能なターンテーブルと、を少なくとも備える研削研磨装置によって該被加工物を加工する被加工物の加工方法であって、
    一の保持テーブルの該保持面に保持された被加工物を該研削手段で所定の厚さへと薄化する研削ステップと、
    該研削ステップの実施後、該ターンテーブルを回転させて一の該保持テーブルを該研磨手段の下に位置づけ、該研磨手段によって被加工物を研磨する研磨ステップと、
    該研磨ステップの実施後、該被加工物の厚みばらつきを測定する厚み測定ステップと、
    該厚み測定ステップで測定された該厚みばらつきの結果から、一の該保持テーブルに次に保持される被加工物の該研磨ステップ実施後の形状が平坦になるように、該研削ステップにおける該回転軸の傾きを補正する傾き補正ステップと
    該厚み測定ステップで測定された該厚みばらつきが所定の基準値よりも大きいか否かを判定する判定ステップと、を備え、
    該判定ステップで該厚みばらつきが該基準値よりも大きいと判定された場合、該傾き補正ステップを実施し、
    該判定ステップで該厚みばらつきが該基準値以下と判定された場合、該厚みばらつきの値に応じて、該厚み測定ステップを実施する頻度を変更することを特徴とする被加工物の加工方法。
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