JP6916676B2 - 誘導体官能基脱離セルロース微細繊維含有シート - Google Patents

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Description

この発明は、セルロース誘導体を用いた誘導体官能基脱離セルロース微細繊維含有シート、及びその製造方法に関する。
全熱交換器において空気を遮断しつつ潜熱と顕熱とを交換する全熱交換素子には、透気抵抗度が高く、かつ透湿性の高いシートが求められる。このようなシートとしては、親水性高分子塗工紙、ビスコース加工紙、パルプ繊維の解繊度を高めて更にカレンダープレスした緻密な紙などが実用化されている。また、近年、紙にセルロースの微細繊維を含有させたものが報告されている。
特許文献1には、剪断力でセルロースの結束を破壊して数平均繊維長を0.05〜0.3mmにまでミクロフィブリル化したミクロフィブリル化セルロースを、製紙用繊維とともに抄紙した全熱交換器用紙を用いた全熱交換器用素子が開示されている。
また、ミクロフィブリル化セルロースよりもさらに微細に細分化された、ナノセルロースと呼ばれる材料も検討されている。主として繊維径が数百nm以下で、結晶性を維持し、高いアスペクト比を有するものが検討されている。この材料には様々な名称が提案されているが、本出願ではこの材料をセルロース微細繊維と呼ぶ。
特許文献2には、酢酸菌などの微生物が生成する、繊維長が数μmから数十μm、繊維径は数nm〜数十nmのバイオセルロース(特許文献2[0027])を、ミクロフィブリル化セルロース及び酸化チタンナノワイヤーとともに塗工した調湿用シートが提案されている。
また、特許文献3には繊維径が0.005μm以上0.5μm以下の微細セルロース繊維層を有する全熱交換透湿膜が開示されている。
特許文献2に記載のバイオセルロース以外の手法でこれらのようなセルロースナノファイバーを製造するには、セルロースを細かく解繊する必要がある。セルロース自体が強固な材料であるだけでなく、原料が木材の場合はリグニンその他の強固な物質を含むため、解繊しようとしても適切なサイズのセルロースナノファイバーを得ることは難しい。このため、種々の方法が提案されている。
例えば、パルプスラリーを狭い空隙に押し込み、圧力の開放で解繊を進める高圧ホモジナイザー等で解繊する方法が非特許文献1で報告されている。しかしこのような機械的な方法では、解繊を進めるために幾度も処理を繰り返す必要があり、解繊処理に必要なエネルギーが膨大なものとなった。また、幅が数ナノレベルの繊維は得ることが困難であり、200MPa以上の高圧処理を繰り返すため、実施できる装置が限られるだけでなく、得られるセルロースナノファイバーが損傷を受けやすいという問題もあった。
これに対して、解繊処理前に原料を酸で前処理することでリグニンを除去して、解繊を進めやすくする方法が特許文献4に提案されている。単純な機械的方法によって高圧を加える手法に比べて、加える外力を小さくできるため、得られるセルロースナノファイバーは損傷が少ないものとなる。
また、非特許文献2や特許文献5ではセルロースにカルボキシル基又はカルボキシメチル基を導入して解繊させやすくする手法が報告されている。パルプを触媒量の2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(TEMPO)と、酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムとの共存下で処理すると、セルロースミクロフィブリルの表面にある繊維を構成するセルロースの6位にカルボキシル基を効率良く導入することができる(非特許文献2)。また、パルプをアルカリ存在下でモノクロロ酢酸ナトリウムと反応し、カルボキシメチル基を導入することができる(特許文献5)。そうしてカルボキシル基が導入されたTEMPO酸化セルロースやカルボキシメチル基が導入されたカルボキシメチルセルロースは、変性されていないセルロースに比べて解繊しやすくなる。このため、単純な機械的方法による高圧での処理に比べて、処理回数を削減し、より低い圧力で、ナノファイバーに相当するサイズの生成物を得ることができる。
特開平11−189999号公報 特開2008−12432号公報 WO2014/014099公報 特許第5500842号公報 特開2013−185122号公報
Enzymatic Hydrolysis Combined with Mechanical Shearing and High-Pressure Homogenization for Nanoscale Cellulose Fibrils and Strong Gels: Biomacromolecules, 2007, 8 (6), 1934-1941 Preparation of cellulose single microfibrils from native cellulose by Tempo-mediated oxidation: Cellulose Commun., 2007, 14 (2), 62-66
しかしながら、セルロースナノファイバーを抄紙の際に混合させたり、液中に分散させて塗工しようとすると、ナノファイバー同士の親和性が高いために、抄紙や塗工の前に凝集してしまい、偏りが生じてしまう。多孔性シートの透気抵抗度を高めるために、均一な層が形成できればセルロースナノファイバーの使用量はわずかで済むが、凝集による偏りがあると、多孔性シートの穴を十分に塞いで十分な透気抵抗度を実現するために塗工量を増やさなければならなかった。
凝集を起こさないように分散性を高めるには、リン酸基やカルボキシル基、カルボキシメチル基のような官能基で置換されたセルロース微細繊維を用い、官能基による電気的反発を利用する方法がある。一方で、官能基の存在により繊維間で緻密な膜構造が形成しにくくなるおそれがあった。
そこでこの発明は、微細繊維の凝集を防いで均一性を高めて使用量を最低限に抑制しつつ、膜の緻密性を高めた微細繊維含有シートを得ることを目的とする。
この発明は、セルロース誘導体の微細繊維から官能基を脱離させた、平均繊維径が3nm以上300nm以下である誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を含むシートにより、上記の課題を解決したのである。すなわち、シートにするまでは、凝集しにくいセルロース誘導体とし、シートにした後は微細繊維間の親和性が高まるように、セルロース誘導体から誘導体官能基脱離セルロースにするという二段構えの方式によって、上記の課題を解決した。
ここで、本件記載の誘導体官能基脱離セルロースとはセルロース誘導体から官能基を脱離させ、元の水酸基に戻し、セルロースとしての構造に戻ったものを指し、再生セルロースとして一般的なセルロースII型を意味するのではない。
導入した誘導体官能基脱離セルロース微細繊維は膜の緻密性や強度等を考慮して適宜サイズを選定できるが、さらに強度や透気抵抗度など、物性の点からはさらなる条件での実施形態が望ましい。上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の結晶化度は50%以上であると望ましい。また、上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の平均繊維長は25nm以上200μm以下であると望ましい。
このようなセルロース誘導体のうち、それから官能基が脱離されて戻る誘導体官能基脱離セルロースとしては、上記セルロース誘導体が、セルロースの水酸基のいずれかが下記式(1)で表されるザンテート基で置換されているセルロースザンテートを挙げることができる。
−OCSS ……(1)
(M+は水素イオン、一価金属イオン、アンモニウムイオン、脂肪族又は芳香族アンモニウムイオンから選ばれる少なくとも一種)
この発明にかかるシートの形態としては、親水性繊維を30質量%以上100質量%以下含有する多孔性シートが、上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を0.2g/m以上含有し、上記多孔性シートの表面、内部、又はその両方の穴が上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維によって塞がれている形態や、上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維のみからなるシートが挙げられる。
また、吸湿剤による加工や、難燃剤による防炎加工、抗菌材、防カビ剤による加工を施していてもよい。
この発明に係るシートの製造方法としては、平均ザンテート置換度が0.001以上0.4以下のセルロースザンテートである上記セルロール誘導体の微細繊維を多孔性シートに塗工又は配合する工程と、加熱又は酸によりザンテート基を脱離させることで上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維とする工程とを行う形態や、上記セルロース誘導体の微細繊維のみを加熱または酸によりザンテート基を脱離させた誘導体官能基脱離セルロース微細繊維からなるシートが挙げられる。
この発明により、少量のセルロース微細繊維を緻密な構造で分散させて、微細繊維間の親和性が高いシートを得ることができる。多孔性シートに誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を含有させた場合、この発明によって得られる緻密な膜によって、ごく少ない量で多孔性シートの穴を十分に塞いで、透気抵抗度の高いシートを得ることができる。塗工又は含浸量が少ないため、シート全体を薄くすることができ、透湿度に優れたものとすることができる。このようなシートは、全熱交換器用シートとして、透気抵抗度が高く遮断性を十分に発揮しつつ、高い全熱交換性能を発揮できる。
(a)実施例におけるセルロースザンテート微細繊維の40万倍TEM写真、(b)(a)の10万倍TEM写真 実施例における未解繊物を染色した顕微鏡写真 実施例における微細繊維の種類による塗工量に対する透気抵抗度の傾向を示すグラフ 実施例における解繊度の違いによる塗工量に対する透気抵抗度の傾向を示すグラフ 実施例におけるザンテート置換度の違いによる塗工量に対する透気抵抗度の傾向を示すグラフ (a)多孔性シートAの1000倍表面SEM写真、(b)実施例1bの1000倍断面SEM写真 (a)実施例1bの1000倍表面SEM写真、(b)比較例1シリーズ透気抵抗度30000秒サンプルの1000倍表面SEM写真 多孔性シートAと実施例1bと比較例3bにおけるIR測定結果を示すグラフ
以下、この発明について詳細に説明する。この発明は、セルロース誘導体の微細繊維から官能基を脱離させた誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を含むシートである。ここで、含むとは、シート中の成分として塗工、含浸、混合等の形で存在しているだけでなく、上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維のみからなるシートも含む。
上記セルロース誘導体とは、セルロースが有する一部の水酸基が別の官能基で置換されたものをいう。上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の誘導体官能基脱離セルロースとは、その置換された官能基が脱離し、元の水酸基に戻り、セルロースとしての構造に戻ったセルロースをいう。
上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の平均繊維径は、適宜選定できるが、3nm以上が好ましく5nm以上であるとより好ましい。なぜなら3nm未満の微細繊維を得ることは難しく、物性が変わってくるおそれがあるためである。一方で、平均繊維径は300nm以下が好ましく、200nm以下であるとより好ましく、100nm以下であるとさらに好ましい。300nmを超えると微細繊維としては大きすぎて、凹凸が大きく、塗工しても表面に緻密な膜を形成させることが難しくなる。このため、特に全熱交換器用シートに塗工で用いる場合には、塗工量を増やさねばならず、シートが厚く重くなり、透湿性が低下してしまうおそれがある。平均繊維径は、膜の緻密性を高めるために重要である。
上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の平均繊維長は、強度の面から適宜選定できるが、平均繊維長が25nm以上であると好ましく、100nm以上であるとより好ましく、150nm以上であるとさらに好ましい。繊維長が短すぎると繊維ではなく粒子に近い性質となり、微細繊維としての好適な物性を発揮しにくくなってしまうからである。一方で、平均繊維長は100μm以下であると好ましく、70μm以下であるとより好ましく、20μm以下であるとさらに好ましい。上記の平均繊維径で100μmを超える平均繊維長を実現しようとすると、極端に長い繊維が一部に混在することになり、均一性が十分に確保できなくなるおそれがあるからである。なお、ここでの誘導体官能基脱離セルロース微細繊維は、上記セルロース誘導体の微細繊維とほぼ同じ平均繊維径、平均繊維長を有する。なお、この平均繊維径及び平均繊維長は後述の式(4)(5)により算出した。
上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維は、結晶化度が50%以上であると好ましく、65%以上であるとより好ましい。結晶化度とは、セルロースの結晶領域の全体に対する結晶部分の割合をいう。結晶化度が低くなりすぎた材料では、製膜性が悪くなる傾向があり、多孔性シートの穴を塞ぐには塗工量を増やさなければならない。結晶化度が低すぎる誘導体官能基脱離セルロース材料としては、例えばセロファンが挙げられる。一方、結晶化度は高いことが望ましいが、セルロース誘導体作製の工程である程度低下するため、50%以上が現実的であり、65%以上であると好ましい。
ここで、誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を含むシートの結晶化度は、平行ビーム法によるX線回折で測定した。
上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を得ることができる、上記セルロース誘導体としては、セルロースの水酸基のいずれかが下記式(1)で表されるザンテート基で置換されているセルロースザンテートが挙げられる。
―OCSS……(1)
ここで、Mは水素イオン、一価金属イオン、アンモニウムイオン、脂肪族又は芳香族アンモニウムイオンから選ばれる少なくとも一種である。このようなザンテート基で置換されたセルロースザンテートは、酸処理又は加熱処理によってザンテート基を脱離させて、セルロース誘導体をセルロースに戻すことができる。
上記セルロース誘導体であるセルロースザンテート微細繊維の製造方法は特に限定されないが、従来のビスコースの製造方法と同様の手法ではセルロースザンテートの微細繊維を得ることが難しい。例えば次のような手順によると、セルロースザンテートの微細繊維を得ることができる。なお、ここでの微細繊維は、上記誘導体官能基脱離セルロースの微細繊維とほぼ同じ平均繊維径、平均繊維長を有する。
まず、セルロースザンテートの微細繊維を得るための具体的な材料としては、例えば、木材を加工したクラフトパルプやサルファイトパルプ、木粉、稲わらなどのバイオマス由来の材料、古紙、ろ紙、紙粉などの紙由来の材料、粉末セルロースや、マイクロメートルサイズの微結晶セルロースなどの結晶性を保持したセルロース加工物などが挙げられる。ただし、これらの例に限定されるものではない。また、これらのセルロース材料は、純粋なα−セルロースである必要はなく、β−セルロースやヘミセルロース、リグニンなどのその他の有機物や無機物などを、除去可能な範囲で含んでいても良い。なお、以下の説明において単に「セルロース」と呼ぶ場合には「α−セルロース」を指す。これらのセルロース材料の中でも、元のセルロース繊維の長さが維持されやすいため木材パルプを用いるのが好ましい。
セルロースザンテートの微細繊維を得る手順として、まず、上記セルロース材料を塩基性水溶液で処理するアルカリ処理を行って、アルカリセルロースを得る。塩基性水溶液としては、水酸化アルカリ金属水溶液、水酸化アルカリ土類金属水溶液などが挙げられる。上記の中でも好適な例として、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属水溶液で処理するアルカリ処理を行ってアルカリセルロースを得ると好ましい。さらにこの中でも特に、水酸化ナトリウムが好適に用いられる。以下、水酸化アルカリ金属を用いる場合を例にとり説明する。この水酸化アルカリ金属水溶液の濃度は4質量%以上であると好ましく、5質量%以上であるとより好ましい。4質量%未満であると、セルロースのマーセル化が十分に進行せず、その後のザンテート化の際に生じる副生成物の量が無視できなくなり、収率も下がってしまう。また、後述する解繊処理を容易にする効果が不十分なものとなってしまう。一方で、上記の水酸化アルカリ金属水溶液の濃度は、9質量%以下であると好ましい。9質量%を超えると、マーセル化の進行に留まらず、セルロースの結晶領域にまで水酸化アルカリ金属水溶液が浸透してしまってセルロースI型の結晶構造が維持できなくなり、最終的に微細繊維が得られにくくなってしまう。
上記アルカリ処理の時間は、30分間以上であると好ましく、1時間以上であるとより好ましい。30分間未満ではマーセル化が十分に進行せずに、最終的な収率が低下しすぎるおそれがある。一方で6時間以下であると好ましく、5時間以下であるとより好ましい。6時間を超えてマーセル化を行った場合においては、時間の延長によるアルカリセルロースの生成量が増加することはなく、生産性が低下するおそれがある。
上記アルカリ処理の温度は、常温前後か、常温からの発熱により加熱される程度の温度であるとよい。ただし、処理温度が冷蔵条件下のような極端な低温であると、アルカリ溶液のセルロースへの浸透性が増加しやすくなり、上記範囲のアルカリ濃度であってもセルロースの結晶領域にまで水酸化アルカリ金属水溶液が浸透してしまってセルロースI型の結晶構造が維持しにくくなるおそれがある。このため、上記アルカリ処理を行う温度が凍結温度以上10℃未満の場合は、水酸化アルカリ金属水溶液濃度が4質量%以上7質量%以下の範囲であると特に好ましくなる。10℃以上では特にこのような傾向は見られず、上記の通り4質量%以上9質量%以下の水酸化アルカリ金属水溶液が好ましい濃度となる。一方、加熱しすぎるとセルロースの重合度が低下するおそれがある。
上記アルカリ処理で得られたアルカリセルロースは、その後に固液分離して水溶液分をできるだけ除去しておくと好ましい。次のザンテート化処理にあたって、水分が少ない方が反応を進行させ易くなるからである。固液分離の方法としては、例えば遠心分離や濾別などの一般的な脱水方法を用いることができる。固液分離後のアルカリセルロースに含まれる水酸化アルカリ金属の濃度が3質量%以上8質量%程度となるとよい。薄すぎても濃すぎても作業効率が悪くなる。
上記アルカリ処理の次に、上記のアルカリセルロースに二硫化炭素(CS)を反応させて、(−ONa)基を(−OCSSNa)基にしてセルロースザンテートを得るザンテート化処理を行う。なお、ここでは代表してNaで記述するが、他のアルカリ金属イオンでも同様である。
このザンテート化処理におけるグルコース単位当たりの平均ザンテート置換度は、0.1以上であると好ましい。すなわち、全グルコース単位のうち、平均して1/10以上が、(−OCSSNa)基を有するように置換されていることが好ましい。ザンテート化が十分でなく含有する(−OCSSNa)基が少なすぎると、この後に行う解繊処理における促進効果が十分に得られないからである。一方、平均ザンテート置換度は0.33、すなわち元のセルロースのグルコース単位100個のうち、平均すると少なくとも33個に(−OCSSNa)基が導入されていると、収率及び効率の点から好ましい。ザンテート置換度が0.4を超えると、ザンテート基により個々のセルロースザンテート高分子の親水性が大きくなりすぎて解繊処理の際にセルロースザンテート高分子が溶解する方向へ進むと考えられるので、ザンテート置換度は0.4以下であるとよい。すなわち、ザンテート置換度0.1以上であると好ましく、0.4以下であると好ましく、0.33以下であるとより好ましいということになる。
上記の平均ザンテート置換度を上げるには、十分な量の二硫化炭素を供給することが望ましい。具体的には、アルカリセルロース中に含有するセルロースの質量に対して、10質量%以上に対応する二硫化炭素を供給しておくことが望ましい。少なすぎるとザンテート置換度が下がりすぎて、解繊処理後のセルロースザンテート微細繊維の分散性が十分に得られなくなってしまう。一方、平均ザンテート置換度が0.4以下となる量の二硫化炭素を添加するのが好ましいが、過剰量の二硫化炭素を供給しても、アルカリセルロースと反応できずに無駄となってしまい、二硫化炭素の供給に余分なコストがかかりすぎてしまう。
また、上記の平均ザンテート置換度を上げるには、二硫化炭素とアルカリセルロースとが接触する時間を30分間以上とすると好ましく、1時間以上だとより好ましい。二硫化炭素の接触によるザンテート化は速やかに進行するが、アルカリセルロースの内部にまで二硫化炭素が浸透するには時間がかかるためである。一方で、6時間もあれば脱水後のアルカリセルロースの塊に対しても十分に浸透が進んで、反応可能なザンテート化がほぼ完了するため、6時間以下であるとよい。
このザンテート化処理にあたっては、脱水したアルカリセルロースに二硫化炭素を供給し、温度46℃以下にて気体の二硫化炭素とアルカリセルロースとを反応させるのが好ましい。46℃を超えるとアルカリセルロースの分解による重合度の低下が起きるおそれがあり、また、均一に反応しにくくなることで、副生成物の量が増加したり、生成したザンテート基の脱離が起きるなどの問題が生じるおそれがある。
このザンテート化処理によって、結晶性を残したセルロース繊維(セルロースザンテート分子)の極性が大きくなり、親水性が増大するとともに、ザンテート基の静電的な反発によって分散性が向上すると考えられる。このため、上記のザンテート化したセルロースザンテートは、従来の方法よりも軽微な負荷での機械的な解繊処理で、元のセルロース材料が含んでいた結晶性であるセルロースI型の結晶構造を保持しながら、上記の微細繊維に相当するサイズ及びアスペクト比を有するセルロースザンテート微細繊維を得ることができる。
上記のザンテート化処理したセルロースザンテートは、そのままでもザンテート基による反発作用によって解繊処理がしやすくなっている。ここで、ザンテート化処理を行った後で、一旦洗浄して不純物、アルカリ、二硫化炭素等を除去しておくと、解繊処理に必要な負荷や回数を軽減させることができる。洗浄にあたって用いる液体は水を用いると、アルカリによるpHを低減させつつ、セルロースザンテートの繊維そのものを傷めるおそれがほとんどないので好ましい。洗浄にあたっては、流水による洗浄でも、加水と脱水の繰り返しによる洗浄でもよいが、繊維長への影響が少ないものである必要がある。洗浄の程度としては、水酸化アルカリ金属として水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどを用いる場合、洗浄後に解繊に用いるスラリーのpHが10.5以下であると好ましく、9.5以下であるとより好ましい。また、水酸化ナトリウムを用いる場合、前記スラリーにおけるNaOHの濃度が40ppm以下であると好ましく、8ppm以下であるとより好ましい。
ただし、後述するように、アンモニアや、脂肪族または芳香族アミン等の水溶液を使用して洗浄し、溶液置換したものについては、pHが10.5を超えた場合でも、解繊することができる。アンモニアやアミンにより洗浄すると、ザンテート基に対応するカチオンであるNaやKなどのアルカリ金属イオンをアンモニウムイオンに置換することができる。アルカリ金属イオンを十分に除去すると、ある程度pHが高くても解繊が容易に進行する。
ザンテート化したセルロースザンテートを解繊処理するにあたっては、水中へ分散させた上で行うことが好ましい。なお、水中には他の成分、例えば無機物、界面活性剤、水溶性高分子、高分子ラテックス、樹脂モノマー等を共存させても良い。解繊処理の手法としては、繊維長の著しい低下を起こすものでないかぎり、一般的な手法を用いることができる。例えば、水中に分散させて回転式ホモジナイザーやビーズミル、超音波分散機や高圧ホモジナイザー、ディスクリファイナーなどにより解繊させる方法が挙げられる。ただし、いずれの方法でも必要とするエネルギーは、従来の手法で必要とするエネルギーに比べて著しく小さくなる。このため、圧力や回転数などの負荷を従来の手法よりも短縮したり、処理に掛ける時間を従来の手法よりも短縮したりすることができる。また、繊維長をできるだけ維持するためにも、低負荷で行うことが望ましい。
また解繊処理の前に、一旦セルロースザンテートのザンテート基が有するNaなどのアルカリ金属イオンを、他の陽イオンに一部または全てイオン交換してもよい。陽イオンとしては、水素イオン、K、Liなどの他のアルカリ金属イオン、Ag等の1価金属イオン、アンモニウムイオン、脂肪族または芳香族アンモニウムなどが挙げられ、1種または2種以上組み合わせても良い。
さらに別の解繊処理の手法として、一旦セルロースザンテートのザンテート基が有するアルカリ金属イオンを4級アンモニウムカチオンに置換する塩交換を行い、アンモニウム塩としてから、水中で解繊処理を行ってもよい。4級アンモニウムカチオンによってイオン解離がしやすくなっており、解繊が進行しやすくなる効果を発揮させるとともに、解繊後に水系での処理を行いたい場合に有効となる。
なお、解繊したセルロースザンテートに含まれるアルカリ金属イオン又はそれを一旦置換した陽イオンを、解繊の後であってザンテート基を脱離させる前にイオン交換した上で、このイオン交換済みのセルロースザンテート微細繊維を用いてもよい。ここでイオン交換するカチオンMとしては、水素イオン、Li、Na、Kなどの元のアルカリ金属イオンとは別のアルカリ金属イオン、Agなどのその他の一価金属イオン、アンモニウムイオン、脂肪族又は芳香族アンモニウムイオンなどが挙げられる。さらに、ザンテート化されたセルロースには、水酸基以外の他の官能基を含んでいても良い。
上記のセルロースザンテートの解繊処理により得られたセルロースザンテート微細繊維(アルカリ金属イオンを他のカチオンで置換したカチオン置換体を含む)を、官能基脱離処理することで、セルロース微細繊維を得ることができる。
この発明に用いる上記セルロース誘導体の微細繊維としては、上記のような手順で得られるセルロースザンテート微細繊維を利用できる。この微細繊維の平均繊維径、平均繊維長、結晶化度の好ましい数値は、上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の好ましい数値と同様である。
上記セルロース誘導体の微細繊維のみ、もしくは、上記セルロース誘導体の微細繊維を多孔性シートに含めた上で、上記セルロース誘導体から官能基を脱離させ、誘導体官能基脱離セルロースにする。ここで用いる多孔性シートとしては、用途にもよるが、種類としては、紙、織布、不織布などを用いることができる。その素材としては、親水性繊維を30質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有するとより好ましい。官能基脱離後の上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維との間で親和性が高いほど、緻密に表面を覆いやすくなる。なお、全て親水性繊維であってもよい。
上記親水性繊維の材料としては、木材パルプ、レーヨン、綿、麻などのセルロース、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体、ビニロンなどを用いることができる。
上記の多孔性シートの形状は特に限定されない。この発明にかかるシートを全熱交換器用シートに用いる場合、多孔性シートの穴を上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維によって塞ぐことで、透気抵抗度と透湿性とを両立させた、全熱交換性能の高いシートを得ることができる。
上記多孔性シートに上記セルロース誘導体の微細繊維を導入する手法としては、既に形成された多孔性シートに対して、上記セルロース誘導体の微細繊維を液中に分散させた分散液を塗工するとよい。分散させる分散媒としては、水、又は水とメタノールやエタノールなどの低級アルコールの混合溶液などの親水性溶媒を用いるとよい。塗工する手法としては、塗布、浸漬、噴霧、含浸などが挙げられ、これらを併用してもよい。シートの用途にもよるが、多孔性シートの穴を十分に塞いで全熱交換器用紙として用いる場合には、塗布又は浸漬によって、均一性が高くかつ漏れがないよう十分に穴を塞ぐように塗工することが望ましい。
また別の手法としては、多孔性シートが紙である場合に、抄紙の際に上記セルロース誘導体の微細繊維を含む分散液と共に抄紙する手法が挙げられる。これにより、シートの内部に微細繊維を含み、多孔性シートそのものだけでは多孔性となる穴が微細繊維によって塞がったものを得ることができる。
塗布する場合、上記多孔性シートの少なくとも一方の面に塗布することが必要であり、両面に塗工して透気抵抗度を高めてもよい。塗布と同時、又は塗布後に両面からローラで圧力を掛けて絞ることで含浸させてもよい。また、多孔性シート全体を分散液に浸漬させて全体を塗布してもよい。
いずれの方法であっても、上記の多孔性シートに上記分散液を塗工した後、一旦乾燥させて分散媒を除去させてから次の官能基脱離処理へ移行してもよいし、上記分散液の塗工後に分散媒を含んだまま次の官能基脱離処理へ移行してもよい。
官能基脱離処理では、上記セルロース誘導体の微細繊維が有する置換された基から官能基を脱離させて、セルロースへ戻すことで誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を得る。上記セルロース誘導体がセルロースザンテートである場合、ザンテート基(−OCSS)を、(−OH)基へ変化させ、セルロースザンテートをセルロースに戻す。
官能基脱離処理としては、酸溶液、塩溶液、又は酸と当該酸と同種の陰イオンを持つ塩との混合溶液を用いて処理する手法が挙げられる。酸によって、繊維長の低下を起こすことなくザンテート基又はそのカチオン置換基を水酸基に変化させる反応を進行させることができる。ここで用いる酸としては、鉱酸もしくは有機酸が挙げられ、鉱酸が好ましく、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。処理する酸のpHは3以下であると好ましい。混合する塩としては硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムなど、基本的には溶解性の塩を用いる。
また他の官能基脱離処理の手法として、加熱によって処理する手法が挙げられる。加熱によって官能基が脱離しうる基に置換された上記セルロース誘導体である場合に有効である。例えば上記セルロース誘導体がセルロースザンテートである場合、セルロースザンテート微細繊維を加熱することで、セルロースザンテート微細繊維の分子(アルカリ金属イオンを他のカチオンMで置換したカチオン置換体を含む)からザンテート基を脱離させてセルロースに戻し、セルロース微細繊維を得ることができる。官能基脱離の程度は加熱時間と温度により調整可能であるが、加熱温度は40℃以上であると好ましい。高温ほど処理時間は短くなるが、セルロース繊維の切断や重合度の低下が起こらないように、過度の加熱とならないよう適宜条件設定する必要はある。なお、加熱されるセルロースザンテート微細繊維は乾燥物であっても、スラリー状であっても構わない。
上記セルロース誘導体がセルロースザンテートである場合、上記の官能基脱離処理により平均ザンテート置換度を検出下限0.001以下とすることが可能であるが、官能基脱離処理を行った後に、用途に応じてさらに脱硫処理を行っても良い。また、脱硫処理と併せて漂白処理も行っても良い。
具体的な脱硫処理の方法は特に限定されるものではなく、他の分野で一般的な脱硫方法が適用できる。ただし、セルロース微細繊維の繊維長を短くしすぎないものである必要がある。例えば硫化ナトリウム水溶液を使用して処理する方法が挙げられる。
具体的な漂白処理の方法は特に限定されるものではなく、他の分野で一般的な漂白方法が適用できる。ただし、セルロース微細繊維の繊維長を短くしすぎないものである必要がある。例えば次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素水を使用して処理する方法が挙げられる。
このようにして得られる誘導体官能基脱離セルロース微細繊維のみからなるシートや誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を含むシートは、多孔性シートを用いたとき、少ない含有量(塗工量)で高い透気抵抗度を達成することができる。塗工量が少ないと、湿気が透過する際に障害になりにくいため、その分透湿度が高くなる。これにより、全熱交換性能が高いシートとして用いることができる。
上記多孔性シートは、透気抵抗度が0.2秒以上100秒未満程度の通気性があると好ましい。穴が多すぎると微細繊維で塞ぎきれない場合がある。一方で穴が少なすぎると透湿性も確保しにくくなってしまう。
この発明にかかるシートにおける誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の含有量(塗工量)は、特に限定されるものではない。ただし、誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を用いることによる、塗工量の節約効果を発揮させることができるのは、1.8g/m以下であると好ましく、1.5g/m以下であるとより好ましいが、目的に応じて含有量を増やしても構わない。
この発明にかかるシートは、誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の解繊度が高いほど、少量で高い透気抵抗度を発揮できる。また、上記セルロース誘導体の置換度が高いほど、少量で高い透気抵抗度を発揮できる。
この発明にかかるシートの透気抵抗度はJIS P 8117に記載の測定方法で、1500秒以上であると好ましい。また、この発明にかかるシートの透湿度はJIS L 1099に記載のA−1法により、20℃の空気を循環させた環境で、湿度65%RHに設定して測定したとき、1200g/m・24h以上であると好ましい。
この発明にかかるシートにおいて形成される誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の塗工された部位は、その平滑度が走査型プローブ顕微鏡(SPM)で測定された算術平均粗さとして40nm以下であると好ましく35nm以下であるとより好ましい。なお、この平滑度の具体的な測定方法は走査型プローブ顕微鏡(SPM−9500J2 (株)島津製作所製)を使用し、誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の塗工された面の3.00μm×3.00μmの範囲をダイナミックモードで測定した。誘導体官能基脱離セルロース微細繊維によって穴を塞ぐ構造は、多孔性シートの表面の凹凸に比べて著しく小さいが、この平滑性が発揮されることで、緻密、かつ均一性が高まり、わずかな塗工量で十分な透気抵抗度を達成できるのである。
以下、この発明を具体的に実施した実施例を示す。まず、セルロース材料として以下のものを用いた。
・クラフトパルプ(日本製紙(株)製:NBKP、α−セルロース含有率:90質量%、α−セルロースの平均重合度1000)以下、「NBKP」と表記する。
(実施例1a)
<アルカリ処理>
NBKPをパルプ固形分(α−セルロースに加えて不純物であるリグニンなどを含む固形分、及びそれらの変性物を指す。以下同じ。)100gとなるように秤量した。これを3Lのビーカーに導入し、8.5質量%水酸化ナトリウム水溶液 2500gを入れ、室温にて3時間撹拌してアルカリ処理を行った。このアルカリ処理後のパルプを遠心分離(ろ布400メッシュ、3000rpmで5分間)により固液分離してアルカリセルロースの脱水物を得た。このアルカリセルロースの脱水物における水酸化ナトリウム含有率は約7.5質量%、パルプ固形分は27.4質量%であった。
<ザンテート化処理>
上記で作製したアルカリセルロースの脱水物をパルプ固形分10gとなるように秤量し、ナス型フラスコに導入した。このナス型フラスコ内へ二硫化炭素を3.5g(対パルプ固形分35質量%分)導入し、室温で約4.5時間硫化反応を進行させてザンテート化処理を行った。
<ザンテート置換度測定>
また、セルロースザンテートについて、平均ザンテート置換度はBredee法により測定したところ、0.28であった。なお、このザンテート置換度はセルロースのグルコース単位当たりにザンテート基が導入されている度合に対する値である。Bredee法の手順は次のように行った。100mLビーカーにセルロースザンテートを約1.5g精秤し、飽和塩化アンモニウム溶液(5℃)を40mL添加した。ガラス棒でサンプルを潰しながらよく混合し、約15分間放置後、GFPろ紙(ADVANTEC社製GS−25)でろ過して、飽和塩化アンモニウム溶液で十分に洗浄した。サンプルをGFPろ紙ごと500mLのトールビーカーに入れ、0.5M水酸化ナトリウム溶液(5℃)を50mL添加して撹拌した。15分間放置後、1.5M酢酸で中和した。(フェノールフタレイン指示薬)中和後蒸留水を250mL添加してよく撹拌し、1.5M酢酸 10mL、0.05mol/Lヨウ素溶液10mLをホールピペットを使用して添加した。この溶液を0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。(1%澱粉溶液指示薬)チオ硫酸ナトリウムの滴定量、サンプルのセルロース含有量より次式(2)からザンテート置換度を算出した。このザンテート置換度は、セルロース繊維におけるグルコース単位当たりに、導入されているザンテート基の比率である。
ザンテート置換度=(0.05×10×2−0.05×チオ硫酸ナトリウム滴定量(mL))÷1000÷(サンプル中セルロース量(g)/162.1)……(2)
<解繊処理>
上記のザンテート化処理で作製したセルロースザンテートをセルロース固形分で0.25g秤量し、蒸留水50mLを添加して攪拌し、セルロース固形分0.5質量%のスラリーとした。このスラリーを、ホモジナイザー((株)日本精機製作所製:AM−7)を用いて17000rpmにて30分間かけて解繊処理してセルロースザンテートの微細繊維を得た。これを、上記のセルロース誘導体の微細繊維として用いる。
<微細繊維の解繊の度合い(ナノファイバー生成率)とザンテート置換度>
上記で解繊処理を行ったセルロースザンテート微細繊維のスラリー(セルロース固形分0.5質量%)に蒸留水を添加してスラリー濃度を0.1質量%に調整した。このスラリーを遠心分離(9000rpm、20分間)して未解繊物を沈降させた。上清は微細繊維スラリーとして分離して三角フラスコに移し、沈降した未解繊物に蒸留水を添加して再度遠心分離を行い、未解繊物を洗浄した。未解繊物をるつぼに移して絶乾し、未解繊物の質量を測定した。未解繊物の質量と解繊処理したセルロースザンテート中のセルロース含有量より次式(3)から生成したセルロースザンテート微細繊維の生成率を求めた。以下、上記遠心分離操作にて沈降しなかったセルロースザンテート微細繊維をセルロースザンテートナノファイバーと定義する。
セルロースザンテートナノファイバーの生成率(質量%)=(セルロースザンテート中のセルロース含有量−未解繊物の質量)÷(セルロースザンテート中のセルロース含有量)×100……(3)
上記で三角フラスコに移したセルロースザンテート微細繊維の上清を一部サンプリングして500mLのトールビーカーに入れた。そこに0.5M水酸化ナトリウム溶液(5℃)を50mL添加して撹拌し、Bredee法により平均ザンテート置換度を測定したところ、0.28であった。この値は解繊処理前と同じであり、Bredee法ではヨウ素はザンテート基としか反応しないことから、解繊処理後もザンテート基が脱離していないことが確認された。
<遠心上清の繊維径、繊維長測定方法>
水で約0.1質量%に希釈した微細繊維スラリーを、遠沈管に入れ、9000rpmにて10分間かけて遠心分離を行った。遠心上清を回収し、濃度調整後染色を施し、支持膜上で乾燥し乾燥検体とした。透過型電子顕微鏡(TEM 日立ハイテク製)を使用し、加速電圧100kVで観察を行った。観察を行った400,000倍の画像よりナノファイバー100本を選択し、繊維径を測定した。同様に、100,000倍の画像よりナノファイバー100本を選択し、繊維長を測定した。遠心上清の繊維径、繊維長はそれぞれ測定した100点の平均とした。それぞれの写真を図1(a)、(b)に示す。
<未解繊物の繊維径測定方法>
水で約0.1質量%に希釈した微細繊維スラリーを、遠沈管に入れ、9000rpmにて10分間かけて遠心分離を行った。遠心上清を除去後、遠沈管底部に残留した未解繊物を回収し、スラリー濃度約0.03質量%になるように調整し、ホモジナイザーで再分散させた上で、tert−ブチルアルコールと体積比8:2(tert−ブチルアルコール20%含有)で混合した。混合液を凍結乾燥させ、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真を撮影した。FE−SEM観察を行った1000倍、10,000倍の画像から繊維100本を選択し、繊維径を測定した。繊維径の値は測定した100点の平均とした。
<未解繊物の繊維長測定方法>
水で約0.1質量%に希釈した微細繊維スラリーを、遠沈管に入れ、9000rpmにて10分間かけて遠心分離を行った。遠心上清を除去後、遠沈管底部に残留した未解繊物を回収し、スラリー濃度約0.05質量%になるように調整、ホモジナイザーで再分散させた上で、エタノールと体積比1:1で混合した。混合液をスライドガラス上に20μL滴下して自然乾燥させた。乾燥後、染色液であるサフラニンを滴下して約一分間静置し、流水で洗浄後に再度自然乾燥させ、顕微鏡観察を行った。この写真を図2に示す。顕微鏡観察を行った1000倍の画像を100分割し、1分割分(35μm×26μm)の中に含まれる繊維を一本選択して合計100本分の繊維長を測定した。繊維長の値は測定した100点の平均とした。
上記、遠心上清の平均繊維径、平均繊維長と、未解繊物の平均繊維径、平均繊維長、および、ナノファイバー生成率より、次式(4)(5)から算出される数値をセルロースザンテート微細繊維スラリー全体の平均繊維径、平均繊維長とした。
セルロースザンテート微細繊維スラリー全体の平均繊維径(nm)=(遠心上清平均繊維径×ナノファイバー生成率)+{未解繊物平均繊維径×(100%−ナノファイバー生成率)}・・・(4)
セルロースザンテート微細繊維スラリー全体の平均繊維長(μm)=(遠心上清平均繊維長×ナノファイバー生成率)+{未解繊物平均繊維長×(100%−ナノファイバー生成率)}・・・(5)
<透気抵抗度>
JIP P 8117に記載した王研式試験機法により測定した。
<透湿度>
JIP L 1099に記載のA−1法により、20℃の空気を循環させた環境で、湿度65%RHに設定して測定した24時間当たりの透湿度(g/m・24h)とした。
<塗工>
親水性繊維として木材パルプを100%含有する、片面をカレンダー処理された片艶クラフト紙(天間特殊製紙(株)製、坪量45g/m、以下、多孔性シートA)に、上記セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維塗工液(平均繊維径41nm、平均繊維長16μm、ナノファイバー生成率92%)をワイヤーバーにより95g/m塗布した。それを、10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートへの誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の塗工量を、使用した多孔性シートAとの質量比較により求めたところ固形分換算で0.5g/mであった。このシートについて上記の試験を行ったところ、透気抵抗度3000秒、透湿度1700g/m・24hであった。以上の結果を表1に示す。以下、表中、セルロースザンテート微細繊維塗工液はXCNFと略記する。
Figure 0006916676
(実施例1b)
実施例1aにおいて、セルロースザンテート微細繊維塗工液をワイヤーバーにより178g/m塗布した以外は同様の手順により処理を行った。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で1.0g/mであり、このシートは透気抵抗度30,000秒、透湿度1600g/m・24hであった。
(実施例1シリーズ他)
実施例1aにおいて、実施例1bと同様に、塗工量を変化させた例を作成し透気抵抗度を測定した。これらをまとめて後述の図に示す。
(実施例2a)
実施例1aにおいて、多孔性シートAに、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維塗工液をワイヤーバーにより101g/m塗布した。それを、105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で0.5g/mであり、このシートは透気抵抗度10,000秒であった。
(実施例2b)
実施例2aにおいて、セルロースザンテート微細繊維塗工液をワイヤーバーにより176g/m塗布した以外は同様の手順により処理を行った。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で0.9g/mであり、このシートは透気抵抗度30,000秒、透湿度1200g/m・24hであった。
(実施例2シリーズ他)
実施例2aにおいて、実施例2bと同様に、塗工量を変化させた例を作成し透気抵抗度を測定した。これらをまとめて後述の図に示す。
(実施例3)
実施例1aにおいて、解繊する際のホモジナイザーを10000rpmにて10分間かけて解繊処理した以外は同様の手順により処理を行ったところ、セルロースザンテートナノファイバーの生成率は66%であり、平均繊維径159nm、平均繊維長66μmであった。このセルロースザンテート微細繊維塗工液をワイヤーバーにより238g/m塗布したシートのセルロース塗工量は固形分換算で1.2g/mであり、このシートは透気抵抗度2800秒、透湿度1700g/m・24hであった。
(実施例3シリーズ他)
実施例3において、塗工量を変化させた例を作成し透気抵抗度を測定した。これらをまとめて後述の図に示す。
(実施例4)
実施例1aにおいて、ザンテート化処理において導入する二硫化炭素の量を2.35g(対パルプ固形分23.5質量%分)に減少させた以外は同様の手順により処理を行ったところ、セルロースザンテート微細繊維のナノファイバー生成率は94%であり、ザンテート置換度は0.25であり、平均繊維径32nm、平均繊維長12μmであった。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で1.1g/mであり、このシートは透気抵抗度1800秒、透湿度1600g/m・24hであった。
(実施例4シリーズ他)
実施例4において、塗工量を変化させた例を作成し透気抵抗度を測定した。これらをまとめて後述の図に示す。
(比較例1a)
実施例2aにおいて、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維の代わりに、セルロース濃度が2%のセルロースナノファイバー((株)スギノマシン製、BiNFi−s WMa−10002)を用い、多孔性シートAにワイヤーバーにより50g/m塗布した。それを105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてセルロースナノファイバー含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で1.0g/mであった。このシートは透湿度1700g/m・24hであったが、透気抵抗度40秒と低かった。これは、セルロース誘導体を経由しないナノファイバーでは凝集を起こしてしまい、十分に多孔性シートの穴を塞ぐことができていないためと考えられる。表中、セルロースナノファイバー塗工液はCNFと略記する。
(比較例1b)
実施例2aにおいて、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維の代わりに、セルロース濃度が2%のセルロースナノファイバー塗工液(比較例1aと同一)をワイヤーバーにより89g/m塗布した。それを105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてセルロースナノファイバー含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で1.8g/mであったが、このシートは透気抵抗度200秒と低かった。比較例1aと同様に、セルロースナノファイバーが凝集を起こしてしまい、セルロースの穴を十分に塞ぐことができなかったと考えられる。
(比較例1シリーズ他)
比較例1aにおいて、比較例1bと同様に、塗工量を変化させた例を作成し透気抵抗度を測定した。これらをまとめて後述の図に示す。
(比較例2a)
実施例2aにおいて、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維の代わりに、カルボキシメチルセルロース(CMC)濃度が2%のバイオマスナノファイバー((株)スギノマシン製、BiNFi−s TMa−10002)を用い、多孔性シートAにワイヤーバーにより52g/m塗布した。それを105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてカルボキシメチルセルロースナノファイバー含有シートを得た。このシートのカルボキシメチルセルロース塗工量は固形分換算で1.0g/mであった。このシートは透気抵抗度400秒であったが、透湿度1000g/m・24hと低かった。カルボキシメチルセルロースは上記の加熱温度ではカルボキシル基が脱離することなく、乾燥後も誘導体官能基脱離セルロースにはならずカルボキシメチルセルロースのままであり、官能基の影響が考えられる。以下、表中、カルボキシメチルセルロースナノファイバー塗工液はCMCと略記する。
(比較例2b)
実施例2aにおいて、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維の代わりに、カルボキシメチルセルロース濃度が2%のバイオマスナノファイバー塗工液(比較例2aと同一)をワイヤーバーにより66g/m塗布した。それを105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてカルボキシメチルセルロースナノファイバー含有シートを得た。このシートのカルボキシメチルセルロース塗工量は固形分換算で1.3g/mであった。このシートは透気抵抗度1500秒であったが、透湿度900g/m・24hと低かった。比較例2aと同様に、カルボキシメチルセルロースのままでは官能基の影響と考えられる。
(比較例2シリーズ他)
比較例2aにおいて、比較例2bと同様に、塗工量を変化させた例を作成し透気抵抗度を測定した。これらをまとめて後述の図に示す。
(比較例3a)
実施例1aにおいて、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維の代わりに、セルロース濃度9.6%のビスコース(レンゴー(株)製)を水で希釈してセルロース濃度を2.4%としたビスコースを用い、多孔性シートAにワイヤーバーにより35g/m塗布した。それを10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で0.8g/mであった。このシートは透気抵抗度40秒と低かった。ビスコースから酸処理により再生されたセルロースは微細繊維ではなくセロファンであり、官能基脱離後の状態が異なり、この手順では十分に多孔性シートを閉塞できないと考えられる。
(比較例3b)
実施例1aにおいて、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維の代わりに、セルロース濃度を2.4%としたビスコースを用い、多孔性シートAにワイヤーバーにより72g/m塗布した。それを10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で1.7g/mであり、このシートは透気抵抗度1800秒であった。
(比較例3シリーズ他)
比較例3aにおいて、塗工量を変化させた例を作成し透気抵抗度を測定した。これらをまとめて後述の図に示す。
<微細繊維の種類による対比>
上記の例のうち、セルロース誘導体の微細繊維としてセルロースザンテート微細繊維を経由した誘導体官能基脱離セルロースの微細繊維を用いた実施例2シリーズと、セルロース誘導体ではないセルロースナノファイバーを用いた比較例1シリーズと、セルロース誘導体であって官能基脱離ができないカルボキシメチルセルロースを用いた比較例2シリーズと、官能基脱離可能なセルロース誘導体ではあるが微細繊維ではないビスコースを用いた比較例3シリーズのデータを、横軸に塗工量(g/m)、縦軸に透気抵抗度(秒)となるようにプロットしたグラフを図3に示す。実施例2シリーズが最も少量で十分な透気抵抗度を達成できることが確認された。これに対してセルロースナノファイバー(比較例1シリーズ)は塗工量を著しく増やさなければ同じ透気抵抗度を達成できず、セルロースナノファイバーが凝集することで多孔性シートの穴を塞ぐことが難しくなっていることがわかった。これに対して、官能基脱離不可能なカルボキシメチルセルロース(比較例2シリーズ)では分散性が高まるためセルロースナノファイバーに比べれば比較的良好な値を示したが、官能基脱離可能なセルロースザンテート微細繊維を用いた実施例2シリーズに比べると必要な塗工量には顕著な差が見られた。なお、微細繊維ではなくセロファンとなる比較例3シリーズも、セルロースザンテート微細繊維に比べると閉塞のためにはより多くの塗工量が必要であった。
<解繊度違いによる対比>
上記の例のうち、解繊度(ナノファイバー生成率)が高い実施例1シリーズと、比較的解繊度が低い実施例3シリーズと、セルロース誘導体を用いないセルロースナノファイバーである比較例1シリーズを、横軸に塗工量(g/m)、縦軸に透気抵抗度(秒)となるようにプロットしたグラフを図4に示す。実施例はどちらもセルロースナノファイバーの比較例より少量で高い透気抵抗度を達成したが、解繊度が高い実施例1シリーズの方が、解繊度が低い実施例3シリーズよりも少量で高い透気抵抗度を達成できた。
<ザンテート置換度の違いによる対比>
上記の例のうち、セルロース誘導体としての置換であるザンテート置換度が高い実施例1シリーズと、比較的ザンテート置換度が低い実施例4シリーズと、誘導体を用いないセルロースナノファイバーである比較例1シリーズを、横軸に塗工量(g/m)、縦軸に透気抵抗度(秒)となるようにプロットしたグラフを図5に示す。実施例はどちらもセルロースナノファイバーの比較例より少量で高い透気抵抗度を達成したが、ザンテート置換度が高い実施例1シリーズの方が、ザンテート置換度が低い実施例4シリーズよりも少量で高い透気抵抗度を達成できた。
<顕微鏡写真による形状の確認>
実施例1に用いた多孔性シートAの表面のSEMによる写真を図6(a)に示す。また、多孔性シートAにセルロースザンテート微細繊維塗工液を塗布した実施例1bのサンプルの断面写真を図6(b)に示す。なお、図6(b)は上部が塗布面である。木材パルプ由来の凹凸がはっきりと見える多孔性シートAの表面に対して、実施例1bでは薄く緻密な膜がセルロースザンテート微細繊維によって形成されていることが確認できる。
また、実施例1bの透気抵抗度30000秒となるようにセルロースザンテート微細繊維塗工液を塗布したシートと、比較例1シリーズの誘導体ではないセルロースナノファイバーを透気抵抗度30000秒となるように塗布したシート(上記図3グラフにおける塗工量4.6g/mのサンプルにあたる)とのそれぞれの塗工面のSEM写真を撮影した。それぞれ図7(a)(b)に示す。実施例1bでは表面の凹凸がほとんど見られず、薄く均一かつ緻密な塗工面で高い透気抵抗度を達成しているのに対して、比較例1シリーズでは同等の透気抵抗度を達成するために大量のナノファイバーを塗布しなければならず、表面の凹凸が激しくなることが確認できた。
(実施例5)
実施例1aにおいて、作製したセルロースザンテートを5L手つきビーカーに秤量し、スラリー濃度約5%となるように蒸留水を添加して分散させた。遠心脱水機((株)コクサン社製H−110A、ろ布400メッシュ)を使用して遠心脱水し、蒸留水を添加しながら十分に洗浄して、不純物、アルカリ、二硫化炭素等を除去した。洗浄後のセルロースザンテートをすべて回収し、蒸留水を添加してセルロース固形分0.5質量%のスラリー10kgとした。このスラリーを、高圧ホモジナイザー(三和エンジニアリング(株)H20型)を用いて、流速2.5L/分、圧力38〜52MPaで計5回パスさせて解繊処理した。セルロースザンテートナノファイバーの生成率は100%であり、平均繊維径5nm、平均繊維長0.16μmであった。このセルロースザンテート微細繊維塗工液を多孔性シートAにワイヤーバーにより90g/m塗布した。それを、10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で0.5g/mであり、このシートの透気抵抗度は4800秒、透湿度1700g/m・24hであった。
<異なる多孔性シートによる実施例比較例1>
(実施例6a)
実施例1aにおいて、片艶クラフト紙多孔性シートAの代わりに、親水性繊維100%で、木材パルプとマニラ麻からなる混抄紙(日本製紙パピリア(株)製、坪量20g/m、以下、多孔性シートB)を用い、セルロース濃度が0.54%のセルロースザンテート微細繊維をワイヤーバーにより160g/m塗布した。それを、10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量を、使用した多孔性シートBとの質量比較により求めたところ固形分換算で0.8g/mであり、このシートは透気抵抗度13,000秒であった。その結果を表2に示す。
(実施例6b)
実施例6aにおいて、多孔性シートBに、セルロース濃度が0.54%のセルロースザンテート微細繊維塗工液をワイヤーバーにより164g/m塗布した。それを、105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で0.8g/mであり、このシートは透気抵抗度30,000秒であった。
(比較例4)
実施例6bにおいて、多孔性シートBに、セルロース濃度が2%のセルロースナノファイバー((株)スギノマシン製、BiNFi−s WMa−10002)をワイヤーバーにより129g/m塗布した。それを105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてセルロースナノファイバー含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で2.6g/mであったが、このシートは透気抵抗度500秒であった。その結果を表2に示す。
Figure 0006916676
(比較例5)
実施例6aにおいて、多孔性シートBに、セルロース濃度9.6%のビスコース(レンゴー(株)製)をワイヤーバーにより74g/m塗布した。それを10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で7.1g/mであった。このシートは透気抵抗度2秒と低かった。
<異なる多孔性シートによる実施例比較例2>
(実施例7a)
実施例1aにおいて、多孔性シートAの代わりに、親水性繊維であるパルプ100%からなる紙(日本製紙パピリア(株)製、坪量25g/m、以下、多孔性シートC)を用い、セルロース濃度が0.54%のセルロースザンテート微細繊維をワイヤーバーにより158g/m塗布した。それを、10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量を、使用した多孔性シートCとの質量比較により求めたところ固形分換算で0.8g/mであり、このシートは透気抵抗度5,000秒であった。
(実施例7b)
実施例7aにおいて、多孔性シートCに、セルロース濃度が0.54%のセルロースザンテート微細繊維塗工液をワイヤーバーにより175g/m塗布した。それを、105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で0.9g/mであり、このシートは透気抵抗度30,000秒であった。
(比較例6)
実施例7bにおいて、多孔性シートCに、セルロース濃度が2%のセルロースナノファイバー((株)スギノマシン製、BiNFi−s WMa−10002)を、ワイヤーバーにより129g/m塗布した。それを105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてセルロースナノファイバー含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で2.6g/mであったが、このシートは透気抵抗度900秒であった。
(比較例7)
実施例7aにおいて、多孔性シートCに、セルロース濃度9.6%のビスコース(レンゴー(株)製)をワイヤーバーにより70g/m塗布した。それを10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で6.8g/mであった。このシートは透気抵抗度4秒と低かった。
<異なる多孔性シートによる実施例3>
(実施例8a)
実施例1aにおいて、多孔性シートAの代わりに、木材パルプとマニラ麻からなる親水性繊維100%の層と、非親水性繊維であるポリプロピレン繊維50%と木材パルプとマニラ麻50%とを含む層を、二層抄き合わせた混抄紙(親水性繊維75%、日本製紙パピリア(株)製、坪量32g/m、以下、多孔性シートD)を用い、セルロース濃度が0.54%のセルロースザンテート微細繊維をワイヤーバーにより203g/m塗布した。それを、10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量を、使用した多孔性シートDとの質量比較により求めたところ固形分換算で1.0g/mであり、このシートは透気抵抗度2,000秒であった。
(実施例8b)
実施例8aにおいて、多孔性シートDに、セルロース濃度が0.54%のセルロースザンテート微細繊維塗工液をワイヤーバーにより211g/m塗布した。それを、105℃熱風乾燥機で5分乾燥させてセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートのセルロース塗工量は固形分換算で1.1g/mであり、このシートは透気抵抗度30,000秒であった。
<吸湿処理>
(実施例9a:実施例1bの吸湿処理)
実施例1bにおいて、多孔性シートAに、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維をワイヤーバーにより182g/m塗布した。それを10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得たのち、6%濃度の塩化リチウムに浸漬させて、ドラムドライヤーで乾燥させ、吸湿剤含有量3.1g/mの吸湿処理したセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートは透気抵抗度30,000秒、透湿度2400g/m・24hであった。
(実施例9b:実施例2bの吸湿処理)
実施例2bにおいて、多孔性シートAに、セルロース濃度が0.5%のセルロースザンテート微細繊維をワイヤーバーにより183g/m塗布した。それを、105℃熱風乾燥機で5分乾燥させた後、6%濃度の塩化リチウムに浸漬させて、ドラムドライヤーで乾燥させ、吸湿剤含有量2.4g/mの吸湿処理したセルロース微細繊維含有シートを得た。このシートは透気抵抗度5,000秒、透湿度2400g/m・24hであった。
<微細繊維単独のシート(多孔性シートなし)>
(実施例10)
セルロース濃度が0.5%、ザンテート置換度が0.28のセルロースザンテート微細繊維をφ90mmシャーレに20ml入れ、105℃熱風乾燥機に40分放置させた。それを10%濃度の硫酸と8%濃度の硫酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬させてセルロースに戻し、その後、水洗工程を得た後ドラムドライヤーで乾燥させてセルロース微細繊維単独のシートを得た。酸による官能基脱離後のシートについてザンテート置換度を測定したところ、0.001未満であったので、酸処理によりザンテート基が水酸基に置換されていることが確認された。
<セルロースザンテートの結晶構造の確認>
実施例1aで使用した多孔性シートA、実施例1bのセルロースザンテート微細繊維塗工液を多孔性シートAに塗布したセルロース微細繊維含有シート、および、比較例3bのビスコースを多孔性シートAに塗布したセルロース含有シートのIR(Spectrum two FT―IR パーキンエルマー製)を、ATR法により測定した。その結果を図8に示す。
IR測定の内容は次の通りであった。セルロースI型ではC―OHに起因する1110cm−1付近のピーク、C―O―Cに起因する1060cm−1付近のピークが見られ、OH伸縮振動に起因する3300cm−1付近のピークがややシャープとなる。一方、セルロースII型ではC―OHに起因する1110cm−1付近のピークが消失し、C―O―Cに起因する1060cm−1付近のピークが小さくなり、OH伸縮振動に起因するピークが3600〜3100cm−1付近でブロードとなる。これらの特徴を確認すると、多孔性シートAや実施例1bのセルロースザンテートを酸処理したセルロース微細繊維含有シートでは1110cm−1付近のピークと1060cm−1付近のピークが観測されるものの、比較例3bのビスコースを酸処理したセルロース含有シートではほとんど観測されない。また、比較例3bでは3300cm−1付近のピークの鋭さがほぼなくなり、ブロードな曲線となった。したがって、これらのIRスペクトルより、本発明のセルロースザンテート微細繊維はセルロースI型である。
<セルロースザンテートの結晶化度の確認>
実施例1aで使用した多孔性シートA、実施例1bのセルロースザンテート微細繊維塗工液を多孔性シートAに塗布したセルロース微細繊維含有シート、および、比較例3bのビスコースを多孔性シートAに塗布したセルロース含有シートのXRD(RINT2200V/PCKタイプ 株式会社リガク製)を平行ビーム法により測定した。
XRD測定は次のように行った。管電圧40kV、管電流40mA、入射角固定角0.1°、測定範囲5°〜45°で各サンプルの測定(平行ビーム法)を行った。結晶化度は、回折強度値からSegal法により下記式(6)より算出した。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)÷I22.6]×100 ……(6)
※式(6)中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
XRDパターンの確認の結果、多孔性シートAの結晶化度は73%であった。IRスペクトルより、セルロースI型である実施例1bの結晶化度は69%、セルロースII型である比較例3bの結晶化度は49%であった。
<セルロース微細繊維含有シート、セルロース微細繊維単独のシートの平滑性(算術平均粗さ)>
実施例1、実施例5の誘導体官能基脱離セルロース微細繊維含有シート、実施例10の誘導体官能基脱離セルロース微細繊維単独のシート、比較例1シリーズの透気抵抗度を30000秒となるように塗工したシート、および、比較例1のセルロースナノファイバー単独のシートのSPM(SPM−9500J2 株式会社島津製作所製)を3.00×3.00μmの範囲でダイナミックモードにより測定し、算術平均粗さを求めた。その結果を表3に示す。誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の平滑性が発揮されることで、緻密、かつ均一性が高まり、わずかな塗工量で十分な透気抵抗度を発揮できることが示された。
Figure 0006916676

Claims (6)

  1. セルロースの水酸基のいずれかが下記式(1)で表されるザンテート基で置換されており、平均ザンテート置換度が0.001以上0.4以下のセルロースザンテートであるセルロース誘導体の微細繊維を多孔性シートに塗工又は配合した後に、加熱又は酸によりセルロース誘導体の微細繊維から官能基を脱離させた、平均繊維径が3nm以上300nm以下である誘導体官能基脱離セルロース微細繊維含有シート。
    ―OCSS ……(1)
    (M は水素イオン、一価金属イオン、アンモニウムイオン、脂肪族又は芳香族アンモニウムイオンから選ばれる少なくとも一種。)
  2. 上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維の結晶化度が50%以上である請求項1に記載のシート。
  3. 親水性繊維を30質量%以上100質量%以下含有する多孔性シートが、上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維を0.2g/m以上含有し、上記多孔性シートの表面、内部、又はその両方の穴が上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維によって塞がれている請求項1又は2に記載のシート。
  4. 吸湿剤による吸湿加工を施した、請求項1乃至のいずれかに記載のシート。
  5. 平均ザンテート置換度が0.001以上0.4以下のセルロースザンテートである上記セルロース誘導体の微細繊維を多孔性シートに塗工又は配合する工程と、加熱又は酸によりザンテート基を脱離させることで上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維とする工程とを有する
    請求項1乃至のいずれかに記載のシートの、製造方法。
  6. セルロース誘導体の微細繊維から官能基を脱離させた、平均繊維径が3nm以上300nm以下である誘導体官能基脱離セルロース微細繊維含有シートの製造方法であって、
    平均ザンテート置換度が0.001以上0.4以下のセルロースザンテートである上記セルロース誘導体の微細繊維を多孔性シートに塗工又は配合する工程と、加熱又は酸によりザンテート基を脱離させることで上記誘導体官能基脱離セルロース微細繊維とする工程とを有する製造方法。
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