JP6766436B2 - 積層体および積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミドフィルムと無機物からなる基板から構成されてなる積層体とその製造方法であり、更に詳しくは、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子など薄膜からなり、微細な加工が必要となるデバイスを、ポリイミドフィルム表面に形成するにあたり、一時的に、ポリイミドフィルムを支持体となる無機物からなる基板に貼り合わせた積層体とし、デバイス形成後に剥離するフレキシブルデバイスの製造に用いられる積層体を得るための製造方法に関する発明である。
特に詳しくは、耐熱性と絶縁性に優れた薄いポリイミドなどのフィルムとそれとほぼ同程度の線膨張係数を有するガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属から選ばれた一種の無機物からなる基板とが積層された精緻な回路がマウント可能な、寸法安定性と耐熱性と絶縁性に優れた積層体および積層体を得るための製造方法に関する発明である。
近年、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子など機能素子の軽量化、フレキシビリティ化を目的として、高分子フィルム上にこれらの素子を形成する技術開発が活発に行われている。
半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子を高分子フィルム表面に形成するに当たっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・トゥ・ロールプロセスにて加工することが理想とされている。しかしながら半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業界では、ウエハベースないしガラス基板ベースのリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が構築されてきた。現実的な選択として、高分子フィルムを、金属板、ウエハ、ガラス基板などの無機物からなるリジッドな支持基板に貼り合わせし、所望の素子を形成した後に支持基板から剥離することで、既存インフラを利用して高分子フィルム上に形成した機能素子を得ることが可能となる。
高分子フィルムと無機物からなる支持基板との貼り合わせにおいては、かかる機能素子の形成を行う上で支障ないレベルの表面平滑性、クリーン性、プロセス温度への耐性、微細加工に用いられる薬液への耐性が求められる。特に機能素子の形成温度が高い場合には、高分子フィルムの耐熱性は勿論、積層体の接合面がその加工温度に耐えなければならない。
半導体薄膜のなかでもSiについては、線膨張係数が3ppm/℃程度であり、この薄膜を基板上に堆積させる場合、基板と薄膜の間の線膨張係数の差が大きいと、薄膜中に応力が溜まり、性能の劣化や、薄膜の反り、剥がれをもたらす原因となる。特に薄膜作成プロセス中に高温が加わる場合、温度変化の間に、基板と薄膜の間の線膨張係数の差に起因する応力が大きくなることになる。
低温ポリシリコン薄膜トランジスターの作成においては、脱水素化工程において、450℃2時間といった処理も必要な場合がある。また、水素化アモルファスシリコン薄膜作成には200℃から300℃程度の温度を基板に加える事がありえる。このときに、高分子フィルムとして熱可塑性樹脂は性能を満足するものではない。
従来粘着剤、接着剤を用いて高分子フィルムを無機基板に貼り合わせて加工することは広く行われてきた(特許文献1)。しかしながら、ポリシリコン、酸化物半導体など、200〜500℃程度の温度域でのプロセスが必要となる場合においては、十分に実用に足るだけの耐性を有する貼り合わせ用接着剤、粘着剤を使った方法は知られていない。
接着剤、粘着剤等を用いずに耐熱性の問題を回避するための手法として固定基板上に、剥離層となる非晶質シリコン膜を介して樹脂基板を形成する工程と、前記樹脂基板上に少なくともTFT素子を形成する工程と、前記非晶質シリコン膜にレーザー光を照射することにより、前記非晶質シリコン膜において前記固定基板から前記樹脂基板を剥離する工程とを行い、前記樹脂基板を用いた柔軟性を有する表示装置を作製することが(特許文献2)に開示されているが、剥離に際して接着剤層をレーザー照射やエッチング手段を用いており、煩雑工程かつ高コストを引き起こすことになる。
かかる状況に鑑み、本発明者らは、シランカップリング剤処理を用いてポリイミドフィルムとガラス基板などの無機基板とを400℃〜500℃の高温プロセスに耐える貼合わせ方法、およびその手法を用いた積層体に関する提案を行ってきた。(特許文献3〜5)
また、かかる手法の応用として、無機基板側に表面処理と選択的な不活性化処理を併用して、ポリイミドフィルムと無機基板との接着強度が比較的強い良好接着部と比較的弱い易剥離部とを形成し、主に良好接着部を無機基板の外周部分に、易剥離部を内側エリアに設け、易剥離部に必要なデバイス形成加工などを行った後に、良好接着部と易剥離部との境目に切り込みを入れて、易剥離部に形成したデバイス部分をポリイミドフィルムごと低応力で剥離することが可能な技術を提案した。(特許文献6)
特開2008−159935号公報 特開2009−260387号公報 特許5152104号公報 特許5126555号公報 特許5152429号公報 特開2015−37841号公報
特許文献6にて開示された技術では、シランカップリング剤処理された無機基板面を部分的にマスクなどで覆い、ブラスト処理、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、活性放射線照射処理、活性ガス処理、及び薬液処理からなる群より選択される少なくとも1種の不活性化処理を行うことにより、マスクで覆われた部分を良好接着部、不活性化処理が行われた部分を易剥離部とする。
本手法で得られた積層体は、真空プロセスや湿式処理プロセス、高温処理プロセスなどを含む半導体デバイス製造工程に十分な耐性を示し、かつ、易剥離部は容易に基板から剥離することができるため、デバイスを破壊すること無く、フレキシブルデバイスを製造することを可能とする産業上極めて有用なものである。
しかしながら、かかる技術では、フレキシブルデバイスの製造工程において高温に暴露される工程がある場合に、易剥離部の接着強度が上がってしまい、剥離が困難となるために良好接着部と易剥離部の境界が曖昧になることがあった。
また、マスクを無機基板に直接接触しないように浮かせた場合には、不活性化処理がマスクと無機基板の隙間に回り込み、やはり良好接着部分と易剥離部との境界が曖昧で不鮮明となる問題が生じた。
良好接着部と易剥離部の境界が曖昧であると、本来強く接着しているべき周囲部分がプロセス中に剥離する、あるいは、易剥離できるはずの部分の剥離操作時にデバイスに応力が加わりデバイス破壊を引き起こすなど、収率低下につながる問題となる。
本発明者らは鋭意検討した結果、耐熱性、フレキシブル性をより高いレベルで具備したポリイミドのフィルムとガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属等の無機基板とが積層された耐熱性と絶縁性に優れた積層体であり、かつ、明瞭な境界のある良好接着部と易剥離部を有し、フレキシブルデバイス形成に有用な積層体およびその製造方法を見出した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
[1] 少なくとも、無機物からなる基板とポリイミドフィルムから構成されてなる積層体であって、基板に対するポリイミドフィルムの接着強度が高い良好接着部と、接着強度が低い易剥離部とを有しており、
良好接着部の平均接着強度をT1とし、
易剥離部の平均接着強度をT2とし、
接着強度差T=T1−T2とした場合に、
接着強度がT1−0.1×Tである位置からT1−0.9×Tである位置との距離Gが4.0mm以下であり、
該易剥離部の外形における角部分丸みのr(半径)が8.0mm以下である事を特徴とする積層体。
[2] 前記易剥離部の接着強度が0.01N/cm以上、0.3N/cm以下である事を特徴とする[1]記載の積層体。
[3] 前記良好接着部の接着強度が易剥離部の接着強度の2倍以上である事を特徴とする[1]または[2]に記載の積層体。
[4] シランカップリング剤処理後に、部分的に不活性化処理を行い、易剥離部となる潜像を形成した無機物からなる基板と、表面処理されたポリイミドフィルムを重ね合わせて密着させ、加熱することにより両者を接着する積層体の製造方法において、ポリイミドフィルムの表面処理が、少なくとも、温度12℃以上、48℃以下、pH8.5以上、10.5以下の水酸化カリウムを含む界面活性剤水溶液に、10秒以上接触した後に水洗する工程含む事を特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[5] 前記ポリイミドフィルムの表面処理の後に、pH3.5から6.5の酸水溶液に接触させる処理を行うことを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[6] 前記不活性化処理が、無機物からなる基板のシランカップリング剤処理面に、プラズマを直接照射する処理であることを特徴とする[4]または[5]に記載の製造方法。
[7] 前記不活性化処理が、無機物からなる基板のシランカップリング剤処理面に、酸素濃度16%以上の雰囲気中にて波長300nm以下励起光を照射する処理であることを特徴とする[4]または[5]に記載の製造方法。
積層体の製造方法。
本発明では、特定の表面処理を行ったポリイミドフィルムとガラスなどの無機基板とを、極薄いシランカップリング剤層を介して接着した積層板であって、接着状態に良好接着部と易剥離部を設け、両者の境界部分に存在する強接着から易剥離に至る遷移領域が狭く、かつ易剥離部外周における角部分のr(半径)が4mm以下であることが特徴である。本発明は無機基板を仮支持体としてポリイミドフィルムを接着保持し、ポリイミドフィルム表面に微細回路、薄膜TFTなどの微細デバイス加工を行った後に無機基板からポリイミドフィルムを剥離してフレキシブル電子デバイスを得るために用いられる。
工業的に求められるフレキシブルデバイスの形状は多様で有る。場合によっては全てが曲線で構成されるデバイスも存在しうるが、多くの場合、外径形状に鋭角、鈍角を問わず、角部分が存在することが多い。
仮支持体を用いてフィルムを保持し、易剥離部の外径に概ね沿って切り込みを入れ、デバイス部分を剥離する製法において、高確率で剥離時の不具合が生じる個所が角部分である。本発明者らは、かかる角部分の処置について検討を重ねた結果、角部のRを4mm以下とする事により、剥離時の不良が減り、高収率を得ることができることを見出し、本発明に到達している。
本発明の好ましく用いられる特定の不活性化処理と、本発明のポリイミドフィルムの表面処理を組み合わせる事により得られる積層体は、剥離強度の強弱の遷移領域が狭く、良好接着部と易剥離部との境界が明瞭であり、400℃を越える高温に暴露された後でも接着強度が大きく変化せず、角部分の小さなRを維持するため、デバイス形成領域の外側のマージンを小さくできるため、有効面積が広がり製品収率が上がり、生産性が改善される。さらに明瞭な境界を設けた結果、微細デバイスを形成した領域を剥離する際に、剥離のきっかけを得ることが容易になり、生産効率が向上する。なぜならば、剥離のきっかけは角部分とすることが合理的であるからである。
また、従来は易剥離部から剥離した部分のフィルム端部、特に角部分に若干のカールが見られることが多かったが、本発明の遷移領域が狭く、角部のrが小さい積層体から剥離した場合にはこの端部のカールが目立たなくなっており、得られる製品の平面性が改善されていることが見出されている。
図1は、本発明で得られる、良好接着部と易剥離部の接着強度の差異を示す測定結果の一例を示す概念図である。 図2は、本発明の角部のrの求め方を示した概念図である。
1.フィルムの外形
2.易剥離部の外形
3.接着強度測定用試験片
4.接着強度がTc=(T1+T2)/2となる点
5.接着強度を測定する場合の方向
本発明で用いられるポリイミドフィルムは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミド酸の溶液を基材に塗布し乾燥して自己支持性となったポリアミド酸フィルムを、さらに熱処理などにより脱水縮合反応させて得られる縮合物である。本発明で用いられるポリイミドは好ましくは芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られる縮合物である。
芳 香族テトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物等を用いることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
本発明では脂環属テトラカルボン酸から成るポリイミドフィルムを用いることができる。脂環族テトラカルボン酸類としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の無水物構造を有する二無水物(例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物等)が好適である。
本発明に好ましく使用されるジアミンはフェニレンジアミン、ジフェニルアミノエーテル、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いることができる。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられ、該ジアミンは、単独であっても二種以上を用いることも可能である。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。例えば、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2'−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2'−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(4,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,3'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,3'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール等が挙げられる。
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムは、線膨張係数(フィルムの長さ方向と幅方向でいずれも)が−5ppm/℃〜+20ppm/℃であることが好ましい。本発明のポリイミドフィルムはガラス転移温度が250℃以上、好ましくは300℃以上更に好ましくは350℃以上あるいは、500℃以下の領域において、ガラス転移点が観測されないことが好ましい。本発明におけるガラス転移点温度は示差熱分析(DSC)により求めるものである。
本発明におけるポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、1μm〜200μmが好ましく、更に好ましくは、3μm〜60μmである。これらのポリイミドフィルムの厚さ斑も20%以下であることが好ましい。1μm以下では、厚さの制御が困難であり、無機物からなる基板と剥がす事が困難となる。200μm以上では、ポリイミドフィルムを剥がすときに、該ポリイミドフィルムの折れ曲がりなどがおきやすい。これらのポリイミドフィルムを使用することで、センサーなどの素子の高性能化や電子部品の軽小短薄化に大きく貢献できる。
本発明におけるポリイミドのフィルムにおいては、ハンドリング性、生産性を確保する為、そのポリイミド中に滑剤を添加・含有せしめて、層(ポリイミドフィルム)表面に微細な突起を付与した層(ポリイミドフィルム)で滑り性を確保することが好ましい。かかる滑剤粒子による突起はフィルムの両面にあってもよいし、片面だけに存在しても良い。滑剤を含むポリアミド酸と、滑剤を含まないポリアミド酸が積層された多層ポリアミド酸を経ることにより、片面にのみ滑剤突起が存在するフィルムを得ることができる。
本発明では、前記ポリイミドフィルムに表面処理を行う。本発明におけるポリイミドフィルムの表面処理は、少なくとも、温度12℃以上、48℃以下、pH8.5以上、10.5以下の水酸化カリウムを含む界面活性剤水溶液(以下、表面処理液と略記する)に、10秒以上接触させる工程を含む。表面処理を行う際のpHは9.5以上10.9以下である事がさらに好ましい。表面処理液とポリイミドフィルムの接触時間は10秒間以上で十分であるが、ポリイミドフィルムの大きさ、フィルム表面へのぬれ広がり、工程管理面から30秒間以上、好ましくは60秒間以上接触させることが好ましい。また接触時間の上限は、これも工程管理上ないしはスループットの観点から好ましくは30分以内、さらに好ましくは10分以内、なお好ましくは5分以内である。
ポリイミドフィルムと表面処理液を接触させる方法としては、実験室的には浸漬(ディップ)法、工業生産的にはスプレー法を用いることができる。
本発明の表面処理液に用いられる界面活性剤は、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、の界面活性剤を使用することができる。特に好ましく使用できるのはアニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤の併用である。
アニオン系界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルベンゼンカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルベンゼンリン酸塩等を例示でき、アルキルベンゼンスルホン酸塩の使用が好ましい。本発明ではこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、モノアルカノールアミン塩、ジアルカノールアミンエン、トリアルカノールアミン塩を用いることができる。本発明ではカリウム塩の使用が好ましい。
本発明で用いられるノニオン系界面活性剤は、分子内にポリアルキレングリコール鎖を有する水溶性化合物と解して良い。
本発明における表面処理液中に占める界面活性剤の総量は、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。総量の下限は0.003質量%である。
本発明の表面処理液には、水酸化カリウム、界面活性剤の他に、表面処理液中の多価金属イオンを補足する目的でキレート剤を添加しても良い。また表面処理液の泡立ちを抑制するための消泡剤を添加しても良い。消泡剤としては水溶性のアルコール化合物の添加が好ましい。
本発明では、ポリイミドフィルムと表面処理液を所定の時間接触させた後、水洗を行うことが好ましい。
本発明ではさらに水洗の後、pH3.5〜6.5の範囲の酸処理を行い、その後に再度水洗することが好ましい。ここに酸処理には塩酸、硫酸、などの無機酸の希薄溶液、または酢酸、クエン酸などの水溶性有機酸の溶液を用いることができる。
本発明では、少なくともポリイミドフィルムと表面処理液を接触させる工程の後に、ポリイミドフィルムを80℃以上の温度で乾燥することにより、ポリイミドフィルムの吸湿率を0.5%以下に減じる工程を含む事が好ましい。
ポリイミドフィルムの吸湿率が高いと、無機基板との接着工程において接着不良ないしは接着強度のバラツキの原因になる場合があり、さらには無機基板との接着後のデバイス加工工程などにおいてフィルムの部分剥離を生じる恐れがある。
本発明における無機物からなる基板としては、ガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有しているもの、これらの材料からなる薄膜が表面に形成された基板、などを用いることができる。
本発明における該無機物からなる基板としてのガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラスが含まれる。中でも線膨張係数が5ppm/℃以下のものが望ましく、液晶用ガラスのコーニング7059、1737、EAGLE、旭硝子AN100、日本電気硝子OA10、SCHOTT社 AF32、などが望ましい。
本発明における該無機物からなる基板としてのセラミック板としては、アルミナ、ムライト、AlN、SiC、Si3N4、BN,結晶化ガラス、Cordierite、Spodumene、Pb-BSG+CaZrO3+Al2O3、 Crystallized glass+AL2O3、 Crystallized Ca-BSG, BSG+Quartz、 BSG+ Quartz, BSG+AL2O3、 Pb+BSG+AL2O3、 Glass−ceramic、ゼロデュア材などの 基板用セラミックス、TiO2、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム。アルミナ、MgO、ステアタイト、BaTi4O9、BaTiO3、BaTi4+CaZrO3、BaSrCaZrTio3、Ba(TiZr)O3、PMN-PT PFN-PFWなどのキャパシター材料、PbNb2O6、Pb0.5Be0.5Nb2O6, PbTiO3, BaTiO3, PZT, 0.855PZT-.95PT-0.5BT, 0.873PZT-0.97PT-0.3BT, PLZTなどの圧電材料が含まれる。
本発明における該無機物からなる基板としてのシリコンウエハとしては、n型或はp型にドーピングされたシリコンウエハ、イントリンシックシリコンウェハー全てが含まれ、また、シリコンウエハの表面に酸化シリコン層や、各種薄膜が堆積されたシリコンウエハも含まれるシリコンウエハのほか、ゲルマニウム、シリコンーゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモンがよく用いられている。InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛) などの汎用の半導体ウエハが含まれる。
本発明における該無機物からなる基板としての金属としては、タングステン、モリブデン、白金、金、銀、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタニウム、といった単一元素金属、ステンレススチール、インコネル、モネル、ニモニック、炭素鋼、珪素鋼、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、黄銅、白銅、青銅、ジュラルミン等の合金が含まれる。また、上記の金属に、他の金属層、セラミック層を付加している、多層金属板も含まれる。
本発明の無機基板の少なくともポリイミドフィルムとの接着面側にはシランカップリング剤処理が必要である。
本発明において好ましく使用されるカップリング剤は、アミノ基またはエポキシ基を持ったものが、好ましい。カップリング剤の具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3―トリエトキシシリルーN−(1,3−ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(3- トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
他にもカップリング剤として使いうるものとして、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプトプロピオン酸ブチル、3−(ジメトキシメチルシリル)−1−プロパンチオール、4−(6−メルカプトヘキサロイル)ベンジルアルコール、11−アミノ−1−ウンデセンチオール、11−メルカプトウンデシルホスホン酸、11−メルカプトウンデシルトリフルオロ酢酸、2,2'―(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、11−メルカプトウンデシルトリ(エチレングリコール)、(1−メルカプトウンデイックー11−イル)テトラ(エチレングリコール)、1−(メチルカルボキシ)ウンデック−11−イル)ヘキサ(エチレングリコール)、ヒドロキシウンデシルジスルフィド、カルボキシウンデシルジスルフィド、ヒドロキシヘキサドデシルジスルフィド、カルボキシヘキサデシルジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
これらの中で好ましいものとしては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3―トリエトキシシリルーN−(1,3−ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで耐熱性を要求する場合、Siとアミノ基の間を芳香族でつないだものも好ましく用いことができる。本発明ではこれらのシランカップリング剤を単独で、または複数組み合わせて用いることができる。
本発明に於けるシランカップリング剤処理とは、シランカップリング剤からなる薄い層を基板表面に形成することを意味し、塗布と言い換えても良い。本発明におけるカップリング剤の処理方法としては、カップリング剤の溶液を無機物からなる基板に塗布乾燥し熱処理する方法、カップリング剤の溶液中に基板を浸漬した後に乾燥し熱処理する方法などを例示できる。
本発明を効果的に実現するにはシランカップリング剤層の厚さに上限がある。本発明に於けるシランカップリング剤層の厚さは100nm以下である事が必須であり、好ましくは60nm以下であり、さらに好ましくは25nm以下であり、さらに好ましくは12nm以下である。このような薄い領域のシランカップリング剤層を均一に形成する方法としてシランカップリング剤の気相塗布法を例示することができる。なお、シランカップリング剤層の膜厚は、エリプソメトリー法にて求めることができる。
本発明ではシランカップリング剤処理方法として、気相を介して基板表面にシランカップリング剤を塗布する方法を好ましく用いることができる。すなわち、無機物からなる基板をシランカップリング剤の蒸気、つまり実質的に気体状態のシランカップリング剤に暴露することによる手法である。シランカップリング剤の蒸気はバブリング方式、ベーキング方式などにより得ることができるが、200℃以上の加熱を伴う場合は、シランカップリング剤の副反応を招く恐れがあるため、200℃未満での使用が好ましい。より好ましくは100℃以下、更に好ましくは40℃以下においてシランカップリング剤蒸気を得ることが好ましい。
またシランカップリング剤蒸気を得る際に用いるキャリアガスは、露点−5℃以下の乾燥気体を使用することが好ましい。より好ましくは露点−30℃以下、更に好ましくは露点−50℃以下の乾燥気体の使用が好ましい。キャリアガスへの水分混入はシランカップリング剤の副反応を招き、安定したシランカップリング剤蒸気の供給の妨げとなると共に、装置内でのシランカップリング剤由来異物の発生原因ともなる。
更に多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、特に熱源を使用する場合などはキャリアガスに不活性気体を用いる事が好ましい。シランカップリング剤蒸気を無機物からなる基板が設置された装置内に導入することにより基板上にシランカップリング剤層を形成させる際、本発明が要求する100nm以下の厚さとするためには、暴露させる時間は好ましくは18分以内、さらに好ましくは6分以内、さらに好ましくは2分以内、なおさらに好ましくは40秒以内である。
無機物からなる基板上にシランカップリング剤層を形成させる間の基板温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。但し作業効率の点からはシランカップリング剤蒸気を発生させた温度より低い温度に設定することが好ましい。好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上低い温度に設定することが好ましい。
シランカップリング剤層を形成させた無機物からなる基板は、好ましくは、暴露後に、70℃〜200℃、さらに好ましくは75℃〜150℃に加熱される。かかる加熱によって、基板表面の水酸基などと、シランカップリング剤のアルコキシ基やシラザン基が反応し、シランカップリング剤処理が完了する。加熱に要する時間は0.1秒以上10分程度以内である。温度が高すぎる、あるいは時間が長すぎる場合にはカップリング剤の劣化が生じる場合がある。また温度が低すぎる、あるいは時間が短すぎると処理効果が得られない。なお、シランカップリング剤に暴露中の基板温度が既に80℃以上である場合には、事後の加熱を省略することも出来る。
シランカップリング剤処理前の無機基板表面を短波長UV/オゾン照射などの手段により清浄化すること、ないしは液体洗浄剤で清浄化すること等は、好ましい操作である。
本発明では、無機基板に対するポリイミドフィルムの接着強度が比較的高い部分を良好接着部と、比較的接着強度が低い部分を易剥離部と云う。
図1は、本発明の積層体においてポリイミドフィルムの接着強度を測定した場合の典型的な測定結果の一例である。接着強度が高い領域Sが良好接着部、接着強度が低い領域Wが易剥離部、Gが両者の遷移領域である。
本発明では良好接着部の平均接着強度を T1とし、易剥離部の平均接着強度をT2とし、接着強度差T=T1−T2とした場合に、接着強度がT1−0.1×Tである位置からT1−0.9×Tである位置の距離G、すなわち遷移領域Gの幅が4.0mm以下であることが好ましい。遷移領域の幅Gは3.0mm以下であることがさらに好ましく、さらに2.4mm以下であることが好ましく、さらに1.5mm以下であることが好ましい。
本発明は易剥離部の外形における角部分丸みのr(半径)が8.0mm以下である事を特徴とする。
本発明における易剥離部の外径は、接着強度がT1とT2の中間のTcとなる点を結んだ外形線として定義する。角部分の丸みr(半径は)、図2に示すように、角近傍の接着強度分布を、概略丸みの中心点と見なされる方向に向け、幅1mmにスリットした試験片にて測定し、Tcとなる点を結んで得た外形線を求め、角部分の丸みに沿った内接円の半径を、外形線上の角近傍の適切な任意の三点から算術的に求めることによって得る。
本発明における角部分の丸みのr(半径)は6.0mm以下である事が好ましく、4.5mm以下である事がさらに好ましく、3.0mm以下である事が、なお好ましい。丸みのr(半径)の下限値は、理想的には0mmであるが、接着強度を尺度とするかぎり、現実的な分解能でこれ以上小さなr(半径)を定義することは大変に困難である。
本発明では、無機基板に不活性化処理を行った部分が易接着部となり、マスキングないし直接描画により不活性化処理を行っていない部分が良好接着部となる。本発明において、不活性化処理に大気圧プラズマ処理を用いた場合には、処理部と未処理部との境界が非常に明瞭であるため、マスクを使用せずとも良好接着部と易剥離部との境界を明確にすることが可能である。
またマスクを使用しないことで、フィルム表面にキズや汚染、異物の付着が生じる危険性を低くすることができる。必要とされる接着強度は、それぞれのプロセスによって要求値が異なる。しかし、一般論としては、積層体のポリイミドフィルムと無機物からなる基板との良好接着部の90度接着強度が0.5N/cm以上5N/cm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.8N/cm以上2N/cm以下である。易剥離部の90度接着強度が良好接着部の1/2以下であることが好ましく、さらに良好接着部の接着強度が1N/cmである場合には易剥離部は0.01N/cm以上0.4N/cm以下であることが好ましく、易剥離部の接着強度は、さらに好ましくは良好接着部の1/2以下かつ0.01N/cm以上0.2N/cm以下である。ただし易剥離部の接着強度の下限はポリイミドフィルムの曲げエネルギーなども加味された値である。
本発明における大気圧プラズマ処理とは、0.3気圧〜3気圧の範囲の圧力下において交番電界によって発生するプラズマに被処理物を暴露する処理を云う。
本発明における大気圧プラズマ処理としては、ダイレクト式大気圧プラズマ処理、リモート式大気圧プラズマ処理、スポット式大気圧プラズマ処理などが挙げられる。
本発明で好ましい大気圧プラズマ処理の一例としてダイレクト式大気圧プラズマ処理を示すことができる。ダイレクト式の大気圧プラズマ処理とは、プラズマを発生している2つの電極の間にプラズマを照射したいサンプルを通過させることによって、プラズマ処理を行う方式である。より具体的には、対向する二つの平行電極間の放電によってプラズマを生成させ、一方の電極がプラズマを照射したいサンプルの裏側になるように配置し、発生したプラズマを平行電極間より引き出してサンプルに照射する方法である。ダイレクト式大気圧プラズマ処理はリモート式やスポット式の大気圧プラズマ処理に比べ、プラズマ密度が高くより短時間で効率的に接着強度低下の効果を得ることができ、また一度に大面積の処理が可能な点で好ましい。
本発明におけるダイレクト式大気圧プラズマ処理とは、対向して設置された一組の電極間にプラズマを発生させ、その間に被処理物を置く方法であり、言い換えれば強電界中の大気圧プラズマに被処理物を暴露する方法である。
本発明において好ましい電界強度は45kV/m以上、500kV/m以下の範囲であり、さらに好ましくは80kV/m以上、240kV/m以下の範囲である。電界強度がこの範囲を超えると異常放電が生じる場合が有り、被処理物に放電跡が残るなどの問題が生じる場合がある。また、電界強度がこの範囲より小さい場合には処理効果が小さくなり、処理に時間を要するようになるため、生産性が低下する。なおここでいう電界強度は被処理物が電極間に入っていない場合の電界強度である。
本発明に於ける大気圧プラズマ処理においてプラズマを発生させるための交番電界の周波数は8kHz以上、300kHz以下である事が好ましく、さらに12kHz以上120kHz以下である事が好ましく、さらに20kHz以上、80kHz以下であることが好ましい。周波数がこの範囲を下回ると放電の安定性が低下してプラズマが立ちにくくなる。また周波数がこの範囲を超えると処理装置内の漏れ電流が増えるため、エネルギー効率が低下する。
本発明におけるプラズマを発生する対向する電極間の距離は最小0.4mm、最大5.5mmの範囲が好ましく、さらに最小0.8mm、最大4mmの範囲が好ましい。電極間距離がこの範囲より狭いと異常放電が生じやすくなり、この範囲を超えると、必要な電界強度を得るための印可電圧が高くなりすぎ、電源コストが大きくなってしまう。
本発明における、少なくとも基板のカップリング剤処理面と対向する電極と、シランカップリング剤処理面との間隔は、0.3mm以上、5.0mm以下の距離を設けて処理を行うことが好ましく、さらに1.2mm以上3.7mm以下の範囲で処理を行うことが好ましい。電極と処理面との間隔がこの範囲を下回ると、場合によっては被処理物と電極が接触することで不具合が生じる場合がある。また両者の距離がこの範囲を超えると処理効果が小さくなり、処理に長時間必要となるため生産性が落ち、さらにプラズマの拡散が生じるため接着強度の強弱の遷移領域が広くなりやすくなる。
本発明で用いられるプラズマ処理用のガスには、水素、ヘリウム、窒素、酸素、アルゴン、四フッ化炭素や乾燥空気あるいはこれらの混合気体などが挙げられ、好ましくは窒素あるいは乾燥空気である。乾燥空気の露点は−5℃以下である事が好ましく、さらに−10℃以下である事が好ましく、なおさらに−20℃以下である事が好ましい。
本発明における基板の大気圧プラズマ処理に際しては、電極と基板の双方を動かさずに一定時間処理してもよいし、電極と基板のどちらか一方もしくは両方を一定速度で動かしながら処理してもよい。基板上の大気圧プラズマ照射範囲内の任意の一点にプラズマが照射され始めてから照射が終了するまでの時間を照射時間とすると、好ましい照射時間は0.5秒以上15.0秒以下であり、より好ましくは0.7秒以上12.0秒以下である。ここに、プラズマが照射され始めてから照射が終了するまでの時間とは、被処理物が、プラズマを発生させる対向する電極間を通過する時間を云う。さらに厳密には、被処理物の進行方向において、対向する電極の入り口側の電極エッジを結んだ面と、対向する電極の出口側の電極のエッジを結んだ面との間を通過する時間である。
本発明において、好ましく用いることができる大気圧プラズマ処理としてリモート式プラズマ処理を例示することができる。
本発明におけるリモート式プラズマ処理とは、0.3気圧〜3気圧の範囲の圧力下において交番電界によって発生するプラズマに被処理物を暴露する処理であって、周波数が8kHz以上300kHz以下の交番電界によって生じたプラズマを、電界強度が45kV/m未満の状態にて基板に照射する処理である。本発明では電界強度が20kV/m未満である事が好ましく、さらに5kV/m未満である事がさらに好ましい。本発明では積極的にプラズマを電界加速せず、プラズマ照射による帯電にて生じる電界以上の外部電界を加えないことが好ましい。
本発明におけるリモート式大気圧プラズマ処理においてプラズマを発生させるための交番電界の周波数は8kHz以上、300kHz以下である事が好ましく、さらに12kHz以上120kHz以下である事が好ましく、さらに20kHz以上、80kHz以下であることが好ましい。周波数がこの範囲を下回ると放電の安定性が低下してプラズマが立ちにくくなる。また周波数がこの範囲を超えると処理装置内の漏れ電流が増えるため、エネルギー効率が低下する。
本発明におけるリモート式大気圧プラズマ処理において、被処理基板に対してプラズマが供給される出口の形状は、スリット状もしくはスポット状であることが好ましい。スリット状の場合、プラズマ供給口の幅は好ましくは0.2mm以上10mm以下であり、より好ましくは0.4mm以上5mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上3mm以下である。またスポット状の場合、プラズマ供給口の直径は好ましくは0.2mm以上10mm以下であり、より好ましくは0.4mm以上5mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上3mm以下である。プラズマ供給口の幅もしくは直径は小さすぎると供給されるプラズマの量が制限されるため好ましくなく、大きすぎるとガス中のプラズマ密度が低下し接着強度低下の効果が薄れるため好ましくない。
本発明におけるプラズマ流量は、交番電界によって発生するプラズマに供給するガスの流量によって規定され、好ましくは10L/min以上300L/min以下であり、より好ましくは30L/min以上250L/min以下であり、さらに好ましくは50L/min以上200L/min以下である。プラズマ流量は小さすぎると供給されるプラズマの量が制限されるとともにプラズマが処理部周辺に滞留し接着強度の遷移領域が不明確になるため好ましくなく、大きすぎるとガス中のプラズマ密度が低下し接着強度低下の効果が薄れるため好ましくない。
またプラズマを含むガスが大量に発生するため、本プラズマ処理を行う設備には強制排気機能を設け、絶えず雰囲気が入れ替わるようにすることが好ましい。
本発明で用いられるプラズマ処理用のガスには、水素、ヘリウム、窒素、酸素、アルゴン、四フッ化炭素や乾燥空気あるいはこれらの混合気体などが挙げられ、好ましくは窒素あるいは乾燥空気である。乾燥空気の露点は−5℃以下である事が好ましく、さらに−10℃以下である事が好ましく、なおさらに−20℃以下である事が好ましい。
本発明における基板の大気圧プラズマ処理に際しては、電極と基板の双方を動かさずに一定時間処理してもよいし、電極と基板のどちらか一方もしくは両方を一定速度で動かしながら処理してもよい。基板上の大気圧プラズマ照射範囲内の任意の一点にプラズマが照射され始めてから照射が終了するまでの時間を照射時間とすると、好ましい照射時間は0.1秒以上10.0秒以下であり、より好ましくは0.3秒以上8.0秒以下である。ここに、プラズマが照射され始めてから照射が終了するまでの時間とは、被処理物が、プラズマを発生させる対向する電極間を通過する時間を云う。さらに厳密には、被処理物の進行方向において、対向する電極の入り口側の電極エッジを結んだ面と、対向する電極の出口側の電極のエッジを結んだ面との間を通過する時間である。
本発明では、不活性化処理として、酸素濃度16%以上の雰囲気中にて波長300nm以下の励起光を照射する処理を例示することができる。かかる不活性化処理の場合にはマスクを併用することが必要になる。先に述べたとおり、マスクを用いることにより、フィルム面に傷、異物などを生じるリスクがあるが、十分にケアされたマスクを用いる事により、かかる欠点を低減することが出来る。かかる方法は、角部のRが60度以下の鋭角である場合に効果を発揮する。
本発明で用いられる励起光の波長は好ましくは270nm以下、さらに好ましくは230nm以下、なお好ましくは190nm以下である。かかる励起光は比較的近距離で照射することが望まれる。短波長の励起光は、雰囲気中の酸素をオゾン化し、励起光自身は減衰するため、励起光源と被処理物との距離を離すと効果が小さくなる。本発明では励起光源と被処理物との間隔を30mm以下、好ましくは16mm以下、なお好ましくは8mm以下にすることが好ましい。
本発明において、表面処理されたポリイミドフィルムを無機物からなる基板に積層する際に好ましく使用される加圧加熱処理とはプレス、ラミネート、ロールラミネートを指し、それぞれ温度を加えながら行なうもので、望ましくは真空中でこれらの操作を行なうものである。真空中でのプレスには、例えば井元製作所製11FDでのプレスや、真空にしてロール式のフィルムラミネーターあるいは真空にした後に薄いゴム膜によりガラス全面に一度に圧力を加えることに出来るフィルムラミネーター例えば名機製作所MVLPによる真空ラミネートといった方式が使える。また本発明では加圧行程と加熱工程を逐次に行ってもよい。たとえばロールラミネーターで貼り合わせてからドライオーブンで加熱する等の方法を例示できる。
好ましい加圧方法としては、大気中での通常のプレスあるいは真空中でのプレスが挙げられるが、全面の安定した接着強度を得る為には、真空中でのプレスがより好ましい。真空度は通常の油回転ポンプによる真空で充分であり、10Torr以下程度あれば充分である。サンプルを押す好ましい圧力としては、1MPaから20MPa更に好ましくは3MPaから10MPaである。圧力が高いと、基板を破損する恐れがあり、圧力が低いと、密着しない部分が出る場合がある。本発明の好ましい加熱温度は150℃から400℃、更に好ましくは250℃から350℃である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は下の通りである。
<ポリアミド酸溶液の還元粘度>
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液についてウベローデ型の粘度管を用いて30℃で測定した。
<ポリイミドフィルムの厚さ>
ポリイミドフィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定した。
<ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張強度および引張破断伸度>
測定対象とするフィルムから、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)がそれぞれ100mm×10mmである短冊状の試験片を切り出し、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ(登録商標);機種名AG−5000A」)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度および引張破断伸度を測定した。
<ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)>
測定対象とする高分子フィルムの流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃〜45℃、45℃〜60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行って、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
<ポリイミドフィルムの評価:滑り性>
ポリイミドフィルム2枚を、異なる面同士で重ね合わせ(すなわち、同じ面同士ではなく、フィルムロールとして巻いた場合の巻き外面と巻き内面とを重ね合わせ)、重ねたポリイミドフィルムを親指と人差し指で挟み、軽く摺り合わせたときに、高分子フィルムと高分子フィルムが滑る場合を「○」又は「良好」、滑らない場合を「×」又は「不良」と評価した。なお、巻き外面同士あるいは巻き内面同士では滑らない場合もあるが、これは評価項目とはしない。
<積層体外観>
視力1.0以上の成人検査員による積層体の目視検査を行い、基板表面の汚染、特に付着異物量に相関のあるブリスター(フィルム浮き:基板とフィルムとの間に異物が入ることによりフィルムがテント状に持ち上がり、基板とフィルムとの間に空間が生じた個所。「バブル」、「浮き」とも呼ばれる)の多少について判定した。100平方cmあたりの個数に換算し、直径が0.2mm以上のブリスターが0〜3個の場合を極少、4〜10個を少、10〜20を多、21以上が多々とした。
<易剥離部、剥離後のフィルム外観、エッジのカール>
視力1.0以上の成人検査員による剥離後のフィルム外観の目視検査を行った。着目点はフィルムエッジのカールの有無である。剥離したフィルムを除電ブラシで中性化し、基板へお貼り付け面を下にして平らな金属製の定盤の上に置きり、フィルムエッジの浮きの有無を目視観察し、カールが認められなかった場合を「◎」、エッジの浮き上がりが0.5mm未満である場合を「○」、0.5mm以上1.0mm未満を「△」、1.0mm以上を「×」とした。
<接着強度、遷移領域幅、角r>
JIS K6854 の90度剥離法に従って、積層体の基板とフィルムとを引き剥がし、剥離に要する力(チカラ)をチャートに記録した。実際に作製した資料の大きさは、基板によって異なるが、測定個所を良好接着部と易剥離部の境界が測定部分のほぼ中央になるように位置取りを行い、少なくとも境界を跨いで長さ40mmの距離の引きはがし測定を行った。
使用した測定装置は島津製作所社製のオートグラフAG−ISであり、測定環境は大気中の室温標準環境、剥離速度は100mm/min、測定サンプル幅は1.0mmである。
得られたチャートは典型的には図1の様式を有しており、良好接着領域Sにおける接着強度をT1、易剥離領域であるWにおける接着強度をT2とし、T=T1―T2と置き、接着強度が「T1−0.1×T」となる個所から、接着強度が「T1−0.9×T」となる個所までの距離を遷移領域Gとした。
さらにT1とT2の中間値をTcとし、Tcとなる個所をつなぐことにより、易剥離部の外形の形状を得、角部の内接円半径を、三点法により求めた。
<易剥離部の剥離性評価>
易剥離部の設計時の外形に沿って、フィルムをスリットし、角部分を針で起こして「きっかけ」をつくり、易剥離部を剥離した。N=10で試験を行い、剥離時に裂け等にて不良となった回数をカウントした。、
<カップリング処理層の厚さ>
カップリング処理層(SC層)の厚さ(nm)は、別途、洗浄したSiウエハ上に各実施例、比較例と同様の方法でカップリング剤を塗布乾燥させて得たサンプルを作製し、このSiウエハ上に形成したカップリング処理層の膜厚について、エリプソメトリー法にて、分光エリプソメータ(Photal社製「FE−5000」)を用いて下記の条件で測定した。
反射角度範囲 ; 45°から80°
波長範囲 ; 250nmから800nm
波長分解能 ; 1.25nm
スポット径 ; 1mm
tanΨ ; 測定精度±0.01
cosΔ ; 測定精度±0.01
測定 ; 方式回転検光子法
偏向子角度 ; 45°
入射角度 ; 70°固定
検光子 ; 11.25°刻みで0〜360°
波長 ; 250nm〜800nm
非線形最小2乗法によるフィッティングで膜厚を算出した。このとき、モデルとして
は、Air/薄膜/Siのモデルで、
n=C3/λ4+C2/λ2+C1
k=C6/λ4+C5/λ2+C4
の式で波長依存C1〜C6を求めた。
<無機物の前処理>
無機物からなる基板はシランカップリング剤を塗布する前に、LANテクニカルサービス社製のUV/オゾン洗浄改質装置「SKR1102N−03」を用いて表面にUV光を2分間照射し、汚れを除去してから使用した。
<塗布例1>
シランカップリング剤蒸気を発生させる装置を用い、以下の条件にて基板へシランカップリング剤層を形成させた。
基板には370mm×470mm×0.7mmtの無アルカリガラス(日本電気硝子製OA−10G)を用い、ガラス立てに垂直にセットし、シランカップリング剤蒸気を導入するチャンバー内に入れた。次いでシランカップリング剤の液面にキャリアガスを送り込む事でシランカップリング剤蒸気を発生させる装置にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)100gを入れ、40℃に温調した後に窒素ガスを流量10L/minで送り込んだ。発生したシランカップリング剤蒸気を配管を通じてチャンバー内に導入し、20分間保持した。その後基板をチャンバーから取り出し、110℃のホットプレートで1分間熱処理を行うことで、シランカップリング剤層を形成した基板S1を得た。
<塗布例2>
シランカップリング剤蒸気を導入したチャンバー内に無アルカリガラス基板を保持する時間を10分間に変更した以外は塗布例1と同様の作業を実施し、基板S2を得た。
<塗布例3>
シランカップリング剤蒸気を導入したチャンバー内に無アルカリガラス基板を保持する時間を5分間に変更した以外は塗布例1と同様の作業を実施し、基板S3を得た。
<塗布例4>
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)0.5質量部、イソプロピルアルコール99.5質量部を清浄なガラス容器内にて攪拌混合しシランカップリング剤溶液とした。一方300mm×350mm×0.7mmtのパイレックス(登録商標)ガラス板をジャパンクリエイト社製スピンコーターにセットし、まずイソプロピルアルコール50mlをガラス中央に滴下し、500rpmにて振り切ることにより洗浄を行い、次いで、先に準備したシランカップリング剤溶液約30mlをガラス板中央に滴下し、500mlにて10秒、次いで回転数を1500rpmまで上げて20秒間回転させ、シランカップリング剤溶液を振り切った。次いで停止させたスピンコーターからガラス板を取り出し、クリーン環境下にて100℃のホットプレートに、シランカップリング剤塗布面を上にして乗せ、約3分間熱処理を行い、シランカップリング剤層を形成した無機基板S4を得た。
以上のように得られたシランカップリング剤層を形成した布無機基板に対して、部分的不活性化処理を行い、良接着部と易剥離部になる潜像を形成した。
<不活性化処理1>
不活性化処理1はダイレクト型大気圧プラズマ処理である。
得られた基板S1のシランカップリング剤層側を、積水化学工業株式会社製の常圧プラズマ表面処理装置「AP−T05−S320型」を用い、以下の手順で大気圧プラズマ処理した。すなわち一方の電極となるステージ上に基板1を載せ、その上に対となる電極の付属したヘッドを、基板のシランカップリング剤層側とヘッド付属の電極間のギャップ距離が1.3mmとなるように配置した。露点が−20℃の窒素ガスを18L/minの流量で流しつつ周波数30kHzで240Vの電圧を電極間にかけプラズマを発生させ、シランカップリング剤処理した基板上を1000mm/minの速度でヘッドが通過することによって、大気圧プラズマ処理を施した。なおプラズマの照射幅は70mmに設定し、照射範囲内の任意の一点にプラズマが照射され始めてから照射が終了するまでの時間(照射時間)は1.8秒であった。
<不活性化処理2>
不活性化処理2はリモート型大気圧プラズマ処理である。
得られた基板S1のシランカップリング剤層側を、プラズマ吹き出しノズルと電源を改造した積水化学工業株式会社製の常圧プラズマ表面処理装置「AP−T05−S320型」を用い、以下の手順で大気圧プラズマ処理した。
換気機能を有する内容量3立方mのボックスチャンバーの中に設置したXYステージに基板1を載せ、その上に、ノズル径1mmφのプラズマ吹き出しノズルを、基板表面から1.5mm離して設置した。
プラズマ源の電極間距離を2mmとした一対の電極間に露点が−20℃の窒素ガスを130L/minの流量で流しつつ周波数30kHzで240Vの電圧を電極間にかけプラズマを発生させ、発生したプラズマをプラズマ吹き出しノズルに誘導し、シランカップリング剤処理した基板上を100mm/minの相対速度でノズルが動くようにX−Yステージを操作して、所定の易剥離部パターンを描画した。照射範囲内の任意の一点にプラズマが照射され始めてから照射が終了するまでの時間(照射時間)は0.6秒であった。
<不活性化処理3>
易剥離部となる部分に、非接触のインクジェット印刷により水溶性インクを印刷被覆することによりマスキングを行い、ランテクニカルサービス株式会社製のUV/O3洗浄改質装置を用い、大気雰囲気内にて、該UVランプから20mm程度離れた距離からUV照射を5分間行った。その後、超純粋にて洗浄することにより水溶性インクを除去した。
なお、UVランプは185nm(不活性化処理を促進するオゾンを発生させうる短波長)と254nmの波長の輝線を出しており、このとき照度は、照度計「ORC社製UV−M03AUV(254nmの波長で測定)」にて20mW/cm2であった。
〔製造例1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)398質量部と、パラフェニレンジアミン(PDA)147質量部とを、4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解させて加え、滑剤としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)をシリカ(滑剤)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.15質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V1を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V1を、スリットダイを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑剤面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が25μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで、得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムをピンテンターによって、150℃〜420℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目180℃×5分、2段目270℃×10分、3段目420℃×5分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF1(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF1の特性を表1に示す。
〔製造例2〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、滑剤としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)とをシリカ(滑剤)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.12質量%)になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V2を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
ポリアミド酸溶液V1に代えて、上記で得られたポリアミド酸溶液V2を用い、同様の手法でポリアミド酸フィルムを得た後、ピンテンターによって、1段目150℃×5分、2段目220℃×5分、3段目485℃×10分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF2(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF2の特性を表1に示す。
〔製造例3〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
製造例2において、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)を添加しなかった以外は同様に操作し、ポリアミド酸溶液V3を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V2をコンマコーターを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑剤面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が5μm相当となるように塗布し、次いでポリアミド酸溶液V3をスリットダイを用いて最終膜厚がV2を含めて38μmとなるように塗布し、105℃にて25分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで、得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムをピンテンターによって、1段目180℃×5分、2段目220℃×5分、3段目495℃×10分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF3(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF3の特性を表1に示す。
<ポリイミドフィルムの表面処理>
得られたポリイミドフィルムF1〜F3について、表2に示す表面処理液、および処理条件にてポリイミドフィルムの表面処理を行った。
<ポリイミドフィルムの水洗>
アルカリ性の表面処理を行った後、超純水にて十分に水洗を行った。
<ポリイミドフィルムの酸処理>
さらに、pH5.5に調整した希塩酸水溶液に10秒浸漬後、再び超純粋にて洗浄して酸処理とした。
<実施例1>
こうして得られた大気圧プラズマ処理基板に、製造例1で得られたポリイミドフィルム1の表面処理面を、精密枚葉貼合機(クライムプロダクツ社製SE650nH)を用い、ロール圧力8kgf/cm2、ロール速度5mm/秒にてガラスの外周から10mm内側にフィルムをラミネートすることによって、仮ラミネート基板を得た。その後、得られた仮ラミネート基板をクリーンオーブンに入れ、窒素雰囲気下で200℃にて1時間加熱した後、室温まで放冷することによって、本発明の積層体L1を得た。得られた積層体を評価した結果を表2に示す。
以下同様に条件を変えて積層体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
本発明の積層板はガラス基板、シリコンウエハなどの硬質基板に対応した加工装置を用いてフレキシブルな電子デバイスの製造を行う場合に極めて有用であり、特に本発明によれば、良好接着部と易剥離部の境界が明瞭であり、剥離後のフィルムのカールが小さいことか、一枚の基板の中に多数のフレキシブル電子デバイスを割り付けて製造する場合に、極めて有用である。

Claims (5)

  1. 少なくとも、無機物からなる基板とポリイミドフィルムから構成されてなる積層体であって、基板に対するポリイミドフィルムの接着強度が高い良好接着部と、接着強度が低い易剥離部とを有しており、
    前記易剥離部の外縁部に前記良好接着部を額縁状に設け、
    前記易剥離部の接着強度が0.17〜0.25N/cmであり、
    前記良好接着部の接着強度が0.47〜0.64N/cmであり、
    良好接着部の平均接着強度をT1とし、
    易剥離部の平均接着強度をT2とし、
    接着強度差T=T1−T2とした場合に、
    接着強度がT1−0.1×Tである位置からT1−0.9×Tである位置との距離Gが4.0mm以下であり、
    該易剥離部の外形における角部分丸みのr(半径)が8.0mm以下である事を特徴とする積層体の製造方法であって、
    シランカップリング剤処理後に、部分的に不活性化処理を行い、易剥離部となる潜像を形成した無機物からなる基板と、表面処理されたポリイミドフィルムを重ね合わせて密着させ、加熱することにより両者を接着する積層体の製造方法において、ポリイミドフィルムの表面処理が、少なくとも、温度12℃以上、48℃以下、pH8.5以上、10.5以下の水酸化カリウムを含む界面活性剤水溶液に、10秒以上接触した後に水洗する工程含む事を特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記良好接着部の接着強度が易剥離部の接着強度の2倍以上である事を特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法
  3. 前記ポリイミドフィルムの表面処理の後に、pH3.5から6.5の酸水溶液に接触させる処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記不活性化処理が、無機物からなる基板のシランカップリング剤処理面に、プラズマを直接照射する処理であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記不活性化処理が、無機物からなる基板のシランカップリング剤処理面に、酸素濃度16%以上の雰囲気中にて波長300nm以下励起光を照射する処理であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
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