JP6739982B2 - トナー - Google Patents
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Description
本発明が解決しようとする課題は、低温定着性、耐熱保存性及び耐久性をより高いレベルで両立したトナーを提供することである。
該結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂およびビニルポリマー部位で変性されたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル部位および該ビニルポリマー部位を有するブロックポリマーであり、
該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の該結晶性ポリエステル部位が、下記i)またはii)の構造を有し、
i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造;
ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造;
該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の変性率が、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナーに関する。
X1<X2<X3<X4 (1)
(式(1)中、
X1:分子量が1×103.5以上1×10{3.5+(A90−3.5)/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X2:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X3:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X4:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}以上1×10(A90)以下の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
1×10(A90)は、積分分子量分布曲線上の積分値90%における分子量を示す。)
i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造;
ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造。
さらにビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の変性率が、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
X1<X2<X3<X4 (1)
(式(1)中、
X1:分子量が1×103.5以上1×10{3.5+(A90−3.5)/4}未満のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X2:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}未満のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X3:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}未満のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X4:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}以上1×10(A90)以下のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
1×10(A90)は、積分分子量分布曲線上の積分値90%における分子量を示す。)
なお、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率は、X1〜X4の分画におけるビニル変性結晶性ポリエステル樹脂に対するビニルポリマー部位の質量比率を意味する。
それに対して、本発明のトナーにおいては、スチレンアクリル樹脂及び特定のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を含有することで低温定着性の向上効果はそのままに、耐熱保存性と耐久性の悪化を抑えている。
本発明に係るビニル変性結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
本発明に係るビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位が、下記i)またはii)の構造を有する。i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造を有する。ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造を有する。結晶性ポリエステル部位が、上記i)の構造を有することがより好ましい。
本発明において結晶性ポリエステル樹脂の「結晶性」とは、後述する示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することを意味する。一方、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性であることを意味する。
本発明に係るスチレンアクリル樹脂について説明する。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート及び2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート及びジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類が挙げられる。
本発明に係るトナー粒子は、結着樹脂を含有する。また、本発明に係るトナー粒子は、必要に応じて着色剤、ワックス、荷電制御剤等、公知の材料をさらに含んでいてもよい。なお、これらの詳細は後述する。
本発明に係るトナーは、トナー粒子を含有し、必要に応じて外添剤(詳細は後述する)等をさらに含んでいてもよい。
本発明において、トナー粒子の製造方法は、特に限定されない。本発明のトナー粒子は、従来の粉砕トナー製法のみならず、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法、乳化凝集法などの各種ケミカルトナー製法によっても製造可能である。
以下、懸濁重合法を用いたトナー粒子の製造方法を説明する。
極性樹脂としては、ポリエステル系樹脂又はカルボキシル基含有スチレン系樹脂が好ましい。極性樹脂としてポリエステル系樹脂又はカルボキシル基含有スチレン系樹脂を用いることで、当該樹脂がトナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に、当該樹脂自身のもつ潤滑性が期待できる。
酸成分単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びトリメリット酸などが挙げられる。
アルコール成分単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのアルキレングリコール類及びポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
また、カルボキシル基含有スチレン系樹脂は1級又は2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。1級又は2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
本発明に係るトナー粒子には、公知のワックスを用いることができる。具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムに代表される石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスに代表される天然ワックス及びそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸又はその酸アミド、エステル、ケトン;硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、もしくは、石油系ワックスを使用した場合に、現像性や転写性が向上する傾向があり好ましい。
なお、これらのワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
上記のような熱特性を呈する(融点を有する)ワックスを用いることにより、離型効果が効率良く発現され易く、十分な定着領域が確保される。
本発明に係るトナー粒子には、公知の着色剤を用いることができる。該着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料及び無機顔料が挙げられる。
本発明に係るトナー粒子には、荷電制御剤又は荷電制御樹脂を用いてもよい。
該荷電制御剤又は荷電制御樹脂としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤又は荷電制御樹脂が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤又は荷電制御樹脂としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。
上記重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物系開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びtert−ブチル−パーオキシピバレートなどが挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスメチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(イソ酪酸メチル)などが挙げられる。
無機化合物の分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ及びアルミナなどが挙げられる。
一方、有機化合物の分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩並びにデンプンなどが挙げられる。
これら分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
トナー粒子には、トナーへの各種特性を付与するために外添剤を外添してもよい。トナーの流動性を向上させるための外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子及びそれらの複合酸化物微粒子のような無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子および酸化チタン微粒子が好ましい。
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
スチレンアクリル樹脂、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂などの樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
トナーからの、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂とそれ以外の結着樹脂成分とを分離する方法は、下記方法を用いるとよい。以下の方法で分離を行い、さらに構造の特定、融点など各物性の特定を行う。
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。
得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、分子量2000以上を樹脂成分として分取する。
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
上記操作で得られた樹脂成分100mgにアセトン500mlを加え、70℃に加熱し完全に溶解させた後、徐々に25℃まで冷却してビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を再結晶化させる。再結晶化したビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を吸引ろ過して、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂とろ液とに分離する。
次いで、分離したろ液をメタノール500mlへ徐々に加えて、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂以外の結着樹脂成分を再沈殿させる。その後、吸引ろ過器でビニル変性結晶性ポリエステル樹脂以外の結着樹脂成分を取り出す。
得られたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂及びそれ以外の結着樹脂成分を40℃で24時間減圧乾燥する。
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂及びそれ以外の結着樹脂成分の構造は核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて特定する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の分子量分画分取は分取GPCを用いて下記条件で行った。
分取用カラム:JAIGEL 2.5H、JAIGEL 3H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
サンプル濃度:200mg/3ml
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂及びそれ以外の結着樹脂成分の各々の核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)スペクトルの積分値から算出する。
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(製造工程1)
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン50.0部を窒素置換しながら加熱し、液温140℃で還流させた。そこへスチレン100.0部、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビス−(イソ酪酸メチル)8.0部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。その後、160℃、1hPaにて、キシレンおよび残存スチレンを留去し中間体ビニルポリマー(反応性の官能基を導入したビニルポリマー)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られた中間体ビニルポリマー100.0部、有機溶媒としてキシレン128.0部、1,12−ドデカンジオール88.8部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.6部を加えて、窒素雰囲気下、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸78.9部を加えて150℃で3時間、さらに180℃で4時間反応させた。その際、上記セバシン酸添加後10分以内に系が透明化した。その後、さらに180℃、1hPaで所望の重量平均分子量(Mw)となるまで反応させてビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが確認された。
表1に示す原料及び添加量に変更すること以外はビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1の製造と同様にしてビニル変性結晶性ポリエステル樹脂2〜24を得た。得られたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂2〜24の物性を表2に示す。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂2〜24は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが確認された。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン40.0部を窒素置換しながら加熱し、液温140℃で還流させた。そこへスチレン36.3部、ジクミルパーオキサイド2.9部、及びアクリル酸2.3部を撹拌混合して得られた混合液を3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。引き続いて、1,12−ドデカンジオール91.5部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.6部を加えて、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸85.0部を加えて150℃で3時間、さらに180℃で4時間反応させた。その際、上記セバシン酸添加後10分以内に系が透明化した。その後、さらに180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させてビニル変性結晶性ポリエステル樹脂25を得た。得られたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂25の物性を表2に示す。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂25は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが確認された。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール81.0部、セバシン酸126.0部、p−トルエンスルホン酸0.1部を加えて、窒素雰囲気下、180℃で水の留出が停止するまで反応させた。その後、さらに180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させて中間体樹脂Aを得た。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた別の反応容器に、キシレン400.0部、スチレン100.0部及び4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸13.0部を加え、80℃にて6時間反応させた。その後、反応液をメタノール中に沈澱させて精製し、ろ過、乾燥させて中間体樹脂Bを得た。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた別の反応容器に、中間体樹脂A 70.0部、中間体樹脂B 30.0部、反応液を均一溶液とする量のキシレン及びジブチル錫オキサイド0.1部を加え、180℃にて3時間反応させた。その後、180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させて比較樹脂1を得た。得られた比較樹脂1の物性を表2に示す。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、1,9−ノナンジオール82.2部を入れ、170℃に加熱し、スチレン35.4部、ジクミルパーオキサイド2.1部、及びアクリル酸2.3部を撹拌混合して得られた混合液を1時間かけて滴下した。170℃に保持したままさらに1時間反応させた。このとき、系は白濁していた。その後、140℃に温度を下げ、セバシン酸97.5部及びターシャリーブチルカテコール0.1部を加え、180℃で所望のMwとなるまで反応させて比較樹脂2を得た。その際、セバシン酸を添加後8時間経ったところで系が透明化した。得られた比較樹脂2の物性を表2に示す。
温度60℃に加熱したイオン交換水630.0部に、リン酸三カルシウム6.0部を添加し、T.K.ホモミクサー(プライミクス株式会社(旧:特殊機化工業株式会社)製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
・スチレン 69.3部
・n−ブチルアクリレート 20.7部
・ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1 10.0部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学工業社製) 0.5部
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 9.0部
・負荷電性制御樹脂1 0.7部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、酸価14.5mgKOH/g、Tg=83℃、Mw=33,000)
・極性樹脂 5.0部
(スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
を加えた。その後、混合液を温度65℃に加熱した後にT.K.ホモミクサーにて、撹拌速度10,000rpmで攪拌し、溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
・パーブチルPV 5.4部
(10時間半減期温度54.6℃、日油(旧:日本油脂)製)
を加え、温度70℃にてT.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間攪拌し、造粒した。
表3に示す原材料及び添加部数に変更すること以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2〜27を得た。トナー2〜27中のトナー粒子の構成材料の成分比率が、トナー1と同様に原材料の添加比率と同等であることを確認した。トナー2〜27の物性を表3に示す。
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、ホソカワミクロン社製ACM10を用いて、重量平均粒径100μmに中粉砕した。得られた中粉砕物を機械式粉砕機(ターボ工業社製;ターボミルT250−RS型)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂 90.0部
(Mw=30,000、Tg=55℃)
・ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1 10.0部
・C.I.Pigment Blue15:3 5.5部
・負荷電制御剤 3.0部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE−88〕
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 6.0部
(樹脂粒子分散液1の調製)
・スチレン 80.0部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業(株)製:ノニポール400)1.5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2部をイオン交換水120.0部に溶解したものに、分散、乳化した。次いで、分散、乳化したものを10分間ゆっくりと混合しながら、これに重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.5部を溶解したイオン交換水10.0部を投入し、窒素置換を行った後、撹拌しながら内容物が温度70℃になるまで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続した。このようにして平均粒径が0.29μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
・ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1 100.0部
・メチルエチルケトン 300.0部
を溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業(株)製:ノニポール400)1.5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2部をイオン交換水1200.0部に溶解したものに、分散、乳化した。このようにして平均粒径が0.30μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 20.0部
・アニオン性界面活性剤 3.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散して着色剤粒子分散液を調製した。この着色剤粒子分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.20μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 50.0部
・アニオン性界面活性剤 7.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.50μmであるワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5.0部
(負荷電性制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散して荷電制御粒子分散液を調製した。
・樹脂粒子分散液1 210.0部
・樹脂粒子分散液2 163.0部
・着色剤粒子分散液 28.0部
・ワックス粒子分散液 47.0部
以上を、撹拌装置、冷却管、温度計を装着した反応容器に投入し撹拌した。この混合液を1モル/L−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
・スチレンアクリル系結着樹脂 90.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=80:20(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1 10.0部
・メチルエチルケトン 100.0部
・酢酸エチル 100.0部
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 9.0部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・負荷電性制御樹脂1 1.0部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、酸価14.5mgKOH/g、Tg=83℃、Mw=33,000)
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1をそれぞれ比較樹脂1及び比較樹脂2に変更すること以外はトナー30と同様の製造方法で比較トナー1及び2を得た。比較トナー1及び2中のトナー粒子の構成材料の成分比率が、トナー1と同様に原材料の添加比率と同等であることを確認した。比較トナー1は、D1=3.7μm、D4=6.4μmであった。比較トナー2は、D1=3.6μm、D4=6.3μmであった。
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタ〔HP Color LaserJet 3525dn]を一部改造して評価を行った。改造は一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のプロセスカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、プロセスカートリッジに作製した各トナー(300g)を導入した。トナーを詰め替えたプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。具体的な画像評価項目は下記の通りである。
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、定着温度を変えて定着し評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m2)を用いた。本発明では、下記の評価基準におけるC以上が本発明の効果が得られているレベルである。
A:120℃でオフセットせず
B:120℃でオフセット発生
C:130℃でオフセット発生
D:140℃でオフセット発生
各トナー5gを50cc樹脂製のカップに取り、温度55℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べて評価した。本発明では、下記の評価基準におけるC以上が本発明の効果が得られているレベルである。
A:凝集塊発生せず
B:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる
C:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない
D:完全に凝集
常温常湿環境下(温度23℃/湿度60%RH)において、横線で1%の印字率の画像を35000枚プリントアウト試験をした。その後、LETTERサイズのXEROX 4200用紙(XEROX社製、75g/m2)にハーフトーン(トナーの載り量:0.6mg/cm2)の画像をプリントアウトし、現像スジ発生の度合いで耐久性の評価をした。本発明では、下記の評価基準におけるC以上が本発明の効果が得られているレベルである。
A:未発生
B:現像スジが1カ所以上3カ所以下発生
C:現像スジが4カ所以上6カ所以下発生
D:現像スジが7カ所以上発生、あるいは、幅0.5mm以上発生
実施例1〜30では、トナーとして、トナー1〜30をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表4に示す。なお、表4に記載の実施例1〜30において、耐久性の項目に記載されている数値は現像スジの発生個所の数である。
比較例1及び2では、トナーとして比較トナー1及び2をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表4に示す。なお、表4の比較例1における耐久性の項目に記載されている数値は現像スジの発生個所の数であり(幅0.5mm以上の現像スジは未発生)、表4の比較例2における耐久性の項目に記載されている数値は発生した現像スジの幅である。
Claims (7)
- 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂およびビニルポリマー部位で変性されたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル部位および該ビニルポリマー部位を有するブロックポリマーであり、
該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の該結晶性ポリエステル部位が、下記i)またはii)の構造を有し、
i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造;
ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造;
該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の変性率が、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
X1<X2<X3<X4 (1)
(式(1)中、
X1:分子量が1×103.5以上1×10{3.5+(A90−3.5)/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X2:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X3:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
X4:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}以上1×10(A90)以下の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
1×10(A90)は、積分分子量分布曲線上の積分値90%における分子量を示す。) - 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中のビニルポリマー部位の質量比率(変性率)が、10質量%以上60質量%以下である請求項1に記載のトナー。
- 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂におけるビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)が、3000以上20000以下である請求項1または2に記載のトナー。
- 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10000以上100000以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の融点が、55℃以上85℃以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、前記結着樹脂に対して1質量%以上35質量%以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位が、前記i)の構造を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトナー。
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