JP6672060B2 - 積層剥離容器 - Google Patents

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Description

本発明は、ブロー成形された積層剥離容器の底シール部分の構造に関するものである。
自己形状保持能力の高い外層に、可撓性に富んだ袋状の内層を、容易に剥離する状態で積層させて構成した、一般にデラミボトルと称される合成樹脂製のブロー成形壜体である積層剥離容器が知られている。
この積層剥離容器は、相溶性のない外層パリソンと内層パリソンとを積層パリソンに押し出し成形し、この積層パリソンをブロー成形して得られるが、ブロー金型のピンチオフ部で押し潰して食い切り成形される底シール部分は、基本的には相溶性のない外層部分と内層部分との積層構造となるため、圧着強度が弱く容易に底割れが発生する、と云う問題があった。
この問題を解消する従来技術として、特許文献1では、ブロー金型のピンチオフ部により扁平に押し潰されて食い切り成形される底シール部を、一対のリブ片を重合圧着してパーティングラインに沿った突条状に成形すると共に、一対のリブ片の一方から他方に食い込む食い込み部を複数設ける構成としている。
また特許文献2では、底壁の中心部を内方にドーム状に陥没させた中央凹部を形成し、この中央凹部内に、成形時に形成されるパーティングラインに沿って縦リブ状に延びる底シール部(ピンチオフ部)と、この底シール部から両方向に垂直に延びる複数の横リブを互い違いに配置する構成としている。
特開平8−216238号公報 特開2013−209144号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術にあっては、複数の食い込み部を設けることにより、底シール部における外層と内層との圧着面積を大きくし、その分、一対のリブ片間の圧着程度を高めることができるのであるが、食い込み部の深さ寸法を深くし過ぎると、底シール部が部分的に肉薄となり、このような食い込み部が多数形成された底シール部はそれ自体の機械的強度が低下しやすくなる虞がある。
さらに、上記特許文献2に記載の従来技術にあっては、底シール部に対して垂直に配置した複数の横リブが、熱充填時の底壁の膨出変形防止や加熱時の内圧上昇による底壁の膨出変形を防止すると共に、底シール部を構成する一方のリブ片と他方のリブ片との圧着部分が剥離しないように補強することで落下時の大きな撓み力による底シール部からの底割れを防止するものであるところ、相溶性を有する多層パリソン(一体化した積層体)で形成されるブロー容器の場合(特許文献2の場合)には有効であるが、外層とこの外層に対して相溶性のない合成樹脂材料で撓み変形が自在な袋状に成形された内層とが積層されて成る積層剥離容器の場合においては、得られる一対のリブ片間の耐剥離強度が不十分になりやすい。
特に、容器胴部のスクイズ変形を利用して内容液の注出を行うものにあっては、胴部のスクイズ変形時に、底部に大きな撓み力が作用するので、底シール部(ピンチオフ部)の圧着強度を、この撓み力に充分に耐えることのできる程度とする必要があるところ、上記特許文献2に記載の技術にあっては、この胴部側から作用する撓み力に必ずしも耐えるとは限らないことから、底シール部における一対のリブ片間の耐剥離強度のさらなる強化が強く求められている。
したがって、底シール部に垂直に複数の横リブを配置するという上記特許文献2の技術を、上記特許文献1に示す相溶性のない外層と内層とを有して形成された積層剥離容器に採用することには、底シール部を構成する一対のリブ片間の耐剥離強度が不十分になるという阻害要因が存在しており、底シール部に食い込み部と横リブと一緒に配置するという発想は起こり得なかった。
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、底シール部を構成する一対のリブ片間の耐剥離強度を高めて、熱充填時の底壁の膨出変形防止、加熱時の内圧上昇による底壁の膨出変形防止及び落下時の大きな撓み力による底シール部からの底割れ防止を図ると共に、容器の自立性を確保して良好な使用状態を安定的に維持し得る積層剥離容器を創出することを課題とする。
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
下端を底部で塞いだ筒状の胴部の上端に起立連設された口筒部が設けられると共に、外層と外層に対して相溶性のない内袋から成る内層とが積層されて成る積層剥離容器であって、
底部は、容器の脚部を構成する周囲の接地部と、接地部に囲まれて容器内に陥没する底壁と、底壁を縦断する一対のリブ片が突条状に重合圧着されて成る縦リブ状の底シール部と、を有し、
底壁には、底シール部を構成する一対のリブ片から夫々垂直に、互いに逆方向且つ平行に延びる複数の横リブが、底シール部が延びる長手方向に沿って互い違いに配置され
底シール部には、重合圧着された一対のリブ片の一方から他方に食い込む横穴状の食い込み部が形成されると共に、一方のリブ片に形成された横リブと他方のリブ片に形成された食い込み部とが底シール部を挟んで対向配置されていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、底シール部を構成する一方のリブ片に横リブを、他方のリブ片に食い込み部を形成し、且つ横リブと食い込み部とが底シール部を挟んで対向するように配置する構成としたことにより、一対のリブ片間の剥離を防止し、且つ食い込み部の深さ寸法を深くしても底シール部の機械的強度の低下を防止し得る。
本発明の他の手段は、上記主たる手段に、食い込み部の深さ寸法は底シール部の厚みより深い寸法で形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、食い込み部と横リブとは対向する位置にあるので、食い込み部の深さを深くすることを達成し得る
本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、横リブが断面台形状に形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、横リブの強度を高めることにより、底シール部の機械的強度の補強を達成し得る。
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、食い込み部の奥部に膨出部が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、一方のリブと他方のリブ片との重合面にアンダーカット構造に湾曲する噛み合い部が形成されることで、一対のリブ片間の耐剥離強度の向上を達成し得る。
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、横リブが底シール部の両側に3本ずつ配置されると共に、食い込み部も底シール部の両側に3ヶずつ配置されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、複数の横リブと同数の食い込み部を設けることにより、底シール部の機械的強度と一対のリブ片間の耐剥離強度とをさらに向上し得る。
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、容器軸に近い2つの食い込み部が底シール部の上端側に配置され、残り4つの食い込み部が底シール部の下端側に配置されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、容器軸に近い側では底シール部の上端側における耐剥離強度の向上を達成し、容器軸から離れた位置では底シール部の下端側における耐剥離強度の向上を達成し得る。
また本発明の他の手段は、上記手段に、底シール部の上端側に配置された2つの食い込み部が第1仮想円上に配置され、残り4つの食い込み部が第1仮想円よりも曲率半径の小さな第2仮想円上に配置されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、底シール部を第1仮想円上に配置された2つの食い込み部と、第2仮想円上に配置された4つの食い込み部によって耐剥離強度の向上を達成し得る。
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
一対のリブ片間の剥離を防止する食い込み部の深さ寸法を深くしても、横リブの存在により底シール部の機械的強度の低下を防止することができる。これにより耐剥離強度が高まり、熱充填時の底壁の膨出変形、加熱時の内圧上昇による底壁の膨出変形及び落下時の大きな撓み力による底割れ発生を強力に阻止することができる。
さらには底割れし難くなることにより、容器の自立性が高まり、良好な使用状態を安定的に維持することができる。
本発明の一実施例を示す積層剥離容器の正面図である。 積層剥離容器の側面図である。 積層剥離容器の底部を示す斜視図である。 積層剥離容器の底部を示す平面図である。 図4の矢印V方向から示す底シール部の拡大正面図である。 積層剥離容器の底部を部分的に拡大して示す平面図である。 図5のVII−VII線における拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施例を示す積層剥離容器の正面図、図2は積層剥離容器の側面図、図3は積層剥離容器の底部を示す斜視図、図4は積層剥離容器の底部を示す平面図、図5は図4の矢印V方向から示す底シール部の拡大正面図、図6は積層剥離容器の底部を拡大して示す平面図、図7は図5のVII−VII線における拡大断面図である。
図1乃至図7に示す容器1は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂材料で、必要とする自己形状保持能力を持たせて成形された外層2と、例えばナイロン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート等の、外層2に対して相溶性のない合成樹脂材料で、袋状に成形されて内容物の減少に伴い萎み変形する内層3とが積層(図2参照)され、外層2に対して内層3が剥離可能に形成された積層剥離容器である。
容器1は、相溶性のない外層パリソンと内層パリソンとを共押出し成形した筒状のパリソンの一端を金型で挟持し、圧縮空気の吹き込みによる押出ブロー成形(EBM)を施すことによってボトル状に成形される。
この容器1の胴部4は円筒形状をしており、胴部4の上端には外周面に螺条を刻設した口筒部5が起立連設されている。口筒部5の前後の外層2部分には、外気を外層2と内層3との間に導入するための吸気孔6が開設されており、胴部4の下端は円形の底壁10を有する底部7で閉塞されている。
なお、内層3は単層である必要はなく、外層2と接する層が相溶性のない層で構成されていれば多層でも良い。例えばナイロン/ポリエチレン、エチレンビニルアルコール共重合体/ポリエチレンなど、内層3が撓み変形が自在な袋状であれば良い。
底部7は、容器1の脚部を構成する周囲の接地部8と、この接地部8に囲まれて容器1内に例えばドーム状に陥没する底壁10と、この底壁10と一体に連結し、パーティングラインPL上に位置して底壁10を縦断する縦リブ状の底シール部13とを有して構成されている。
接地部8は、略直立した円筒状の胴部4の下端とドーム状から成る底壁10の下端との間に断面円弧状を有して環状に配置された構造であり、パーティングラインPLが位置する部分には凹部9が形成されている。
図3及び図4に示すように、底シール部13は底壁10の中央を縦断し、その両端は接地部8の内側に位置する仮想境界円11まで延びており、パリソンを容器1にブロー成形する際に、このパリソンを左右から扁平に押し潰して縦リブ状にしてから食い切ることにより得られる一対のリブ片14を、そのまま重合圧着して突条状に成形されている。底シール部13の下端面には、底シール部13の略全長に亘ってパリソンの食い切り跡である食い切り片20が残存形成されている。
また底壁10には、底シール部13を構成する一対のリブ片14から夫々垂直に、互いに逆方向(左右両方向)に平行に延びる複数の横リブ15(実施例では左右3本ずつ)が、底シール部13が延びる長手方向に沿って互い違いに配置されている。各横リブ15は下端側よりも底壁10側が幅広い断面台形状を有して一対のリブ片14に夫々連設されており、左右両方向に延びる各横リブ15はドーム状の底壁10に沿いながらその先端は底壁10上に設けられた仮想境界円11に夫々達している。なお、図5に示すように断面台形状に形成された各横リブ15の頂角θは、機械的強度が高める上で25〜35°の範囲が好ましく、より好ましくはしθ=30°である。
底シール部13を構成する一対のリブ片14には、一方のリブ片14から他方のリブ片14に食い込む横穴状の食い込み部16が、その陥没方向を交互に反転させる状態で、底シール部13の長手方向に沿って互い違いに配置されている。
つまり、底シール部13を構成する一方のリブ片14側には仮想境界円11に向かって延びる複数の横リブ15が形成されており、この横リブ15と対向する他方のリブ片14側の位置には横穴状の食い込み部16が複数配置されている。
換言すると、一方のリブ片14には横リブ15と食い込み部16とが長手方向に沿って互い違いに配置され、同じく他方のリブ片14にも横リブ15と食い込み部16とが長手方向に沿って互い違いに配置されており、これら左右の横リブ15どうし及び左右の食い込み部16どうしは夫々互い違いとなるように位置ずれする状態で配置されている。
図5に示すように、各食い込み部16は横に長い長円穴状である。また図4に示すように、6ヶの食い込み部16のうち、中央の容器軸Oに最も近い位置に配置された2つの食い込み部16c,16dは所定の曲率半径R1から成る第1仮想円C1上に沿って食い切り片20寄りの下部側に位置するように形成され、残りの4つの食い込み部16a,16b,16e及び16fは第1仮想円C1よりも小さな所定の曲率半径R2(R1>R2)から成る第2仮想円C2上に沿って底壁10寄りの上部側に位置するように形成されている。
また図7に示すように、各食い込み部16の奥部には、図示上方(底壁10側)に突出すると共に、成形金型のピンの無理抜きが可能な高さ範囲内の膨出高さで形成された膨出部18が設けられている。このように、各食い込み部16が、上側に突出する膨出部18を有する構造となっているので、図7に示すように、この膨出部18の真上に位置する樹脂材料は上方に押し上げられることになり、これにより食い込み部16dの真上の部分では、一方のリブ片14と他方のリブ片14との重合面がアンダーカット構造に湾曲する噛み合い部19が形成される。そして、このような複数の噛み合い部19が、第1仮想円C1上及び第2仮想円C2上に沿って多数配置されることにより、一対のリブ片14間の耐剥離強度を強力に高めることが可能となっている。
また食い込み部16と横リブ15とを底シール部13(一対のリブ片14)を介して対向配置することにより、食い込み部16の膨出部18の一部を横リブ15内に形成することが可能となり、各食い込み部16の深さ寸法を底シール部13(一対のリブ片14)全体の厚みよりも深い寸法で形成することが可能となる。これにより、底シール部13における外層2と内層3との圧着面積が大きくなり、結果として一対のリブ片14間の圧着程度を高めることができる。
なお、各食い込み部16の深さ寸法は一方のリブ片14の肉厚よりも深く、且つ底シール部13全体の厚みよりも浅い寸法で形成される構成としても良い。
また一対のリブ片14に連設される横リブ15が、底シール部13を左右方向から支える構成となるため、一対のリブ片14に多数の食い込み部16を形成しても底シール部13自体の機械的強度が低下することを防止することが可能である。
特に、外層2とこの外層2に対して相溶性のない合成樹脂材料で撓み変形が自在な袋状に成形された内層3とが積層されて成る積層剥離容器であっても、噛み合い部19による一対のリブ片14片間の耐剥離強度を高めながら、横リブ15による底シール部13自体の機械的強度の低下を防止することができる。
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
上記実施例では、横リブ15及び食い込み部16を左右一対のリブ片14に夫々3ヶずつ配置した例を示して説明したが、横リブ15及び食い込み部16の個数はこれに限られるものではなく、容器1の大きさに応じて適宜変更することが可能である。
本発明は、一般にデラミボトルと称される積層剥離容器の分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
1 : 容器(積層剥離容器)
2 : 外層
3 : 内層
4 : 胴部
5 : 口筒部
6 : 吸気孔
7 : 底部
8 : 接地部
9 : 凹部
10 : 底壁
11 : 仮想境界円
13 : 底シール部
14 : リブ片
15 : 横リブ
16 : 食い込み部
16a〜16f: 食い込み部
18 : 膨出部
19 : 噛み合い部
20 : 食い切り片
O : 容器軸
PL : パーティングライン

Claims (7)

  1. 下端を底部(7)で塞いだ筒状の胴部(4)の上端に起立連設された口筒部(5)が設けられると共に、外層(2)と該外層(2)に対して相溶性のない内袋から成る内層(3)とが積層されて成る積層剥離容器であって、
    前記底部(7)は、容器(1)の脚部を構成する周囲の接地部(8)と、該接地部(8)に囲まれて容器(1)内に陥没する底壁(10)と、該底壁(10)を縦断する一対のリブ片(14)が突条状に重合圧着されて成る縦リブ状の底シール部(13)と、を有し、
    前記底壁(10)には、前記底シール部(13)を構成する一対のリブ片(14)から夫々垂直に、互いに逆方向且つ平行に延びる複数の横リブ(15)が、前記底シール部(13)が延びる長手方向に沿って互い違いに配置され
    底シール部(13)には、前記重合圧着された一対のリブ片(14)の一方から他方に食い込む横穴状の食い込み部(16)が形成されると共に、一方のリブ片(14)に形成された前記横リブ(15)と他方のリブ片(14)に形成された前記食い込み部(16)とが前記底シール部(13)を挟んで対向配置されていることを特徴とする積層剥離容器。
  2. 食い込み部(16)の深さ寸法は底シール部(13)の厚みより深い寸法で形成されている請求項1記載の積層剥離容器。
  3. 横リブ(15)が断面台形状に形成されている請求項1又は2記載の積層剥離容器。
  4. 食い込み部(16)の奥部に膨出部(18)が設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層剥離容器。
  5. 横リブ(15)が底シール部(13)の両側に3本ずつ配置されると共に、食い込み部(16)も前記底シール部(13)の両側に3ヶずつ配置されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層剥離容器。
  6. 容器軸(O)に近い2つの食い込み部(16c,16d)が底シール部(13)の上端側に配置され、残り4つの食い込み部(16a,16b,16e,16f)が底シール部(13)の下端側に配置されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層剥離容器。
  7. 底シール部(13)の上端側に配置された2つの食い込み部(16c,16d)が第1仮想円(C1)上に配置され、残り4つの食い込み部(16a,16b,16e,16f)が前記第1仮想円(C1)よりも曲率半径の小さな第2仮想円(C2)上に配置されている請求項6記載の積層剥離容器。
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