JP6614035B2 - 乗物用シートのバックフレーム構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、飛行機、船、電車等の乗物に搭載される乗物用シートのバックフレーム構造に関する。
乗物用シートのバックフレーム構造の1つとして、シートバックの骨格となる前面視で略逆U字状の門型のバックフレームが、上下方向に延びる一対のサイドフレームの上端部側をアッパフレームで架け渡し状に連結して形成されているものがある。特許文献1に記載されたこのようなタイプのバックフレームは、3点式シートベルト内蔵型の乗物用シート用のものである。特許文献1のバックフレーム構造においては、シートベルト装置のウェビングからの荷重が直接印加される側の高強度サイドフレーム上端部と他側の通常強度サイドフレーム上端部とがアッパフレームで連結されて、高強度サイドフレーム上端部にベルトガイドが取付けられている。また、高強度サイドフレームの下端部側と通常強度サイドフレームの下端部側とが、ロアパイプで架け渡し状に連結されている。ベルトガイドはシートバック内部に配設されたウェビング巻取り装置から繰り出されたウェビングをバックフレームの背面側から前面側に向けて延びるよう誘導する部材である。
特開2014−156212号公報
上述の構造において、ロアパイプは高強度サイドフレームの下端部側と通常強度サイドフレームの下端部側とを連結して前面視で略逆U字状の門型のバックフレームの左右方向への倒れを抑制する機能を果たす。しかし、高強度サイドフレーム及び/又は通常強度サイドフレームの前後方向への曲げ剛性や左右方向への曲げ剛性を高める機能は有していない。これによって、高強度サイドフレーム及び/又は通常強度サイドフレームの横断面の外形線形状を小さくしたり構成部材の肉厚を減少させたりして重量を軽減することが難しかった。そこで、ロアパイプに相当するロアフレームによって高強度サイドフレーム及び/又は通常強度サイドフレームの前後方向への曲げ剛性や左右方向への曲げ剛性を高めることができる構造が望まれていた。
このような問題に鑑み本発明の課題は、乗物用シートのバックフレーム構造において、左右のサイドフレームの下端部側同士を連結するロアフレームによってサイドフレームの曲げ剛性を高めることができる構造を提供することにある。
本発明の第1発明は、乗物用シートのバックフレーム構造であって、上下方向に延びる
左右一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの上端部側間を架け渡し状に連結するアッパフレームと、前記一対のサイドフレームの下端部側間を架け渡し状に連結するロアフレームと、を有し、前記一対のサイドフレームのうち少なくとも一方のサイドフレームは横断面が一定の閉断面又は後方に向って開口する略U字状の後開断面であり、前記ロアフレームの前記一方のサイドフレームへの連結部である一方の連結部は前方に向って開口する略U字状であるとともに前記一方のサイドフレームの前記閉断面又は前記後開断面に所定の上下長さに渡って嵌り合う前開断面に形成されており、前記閉断面又は前記後開断面に対して前記前開断面が嵌り合った状態の嵌合断面の外形線の前後方向長さは上部から下部にかけて徐々に大きくなるように形成されていることを特徴とする。
第1発明によれば、一方のサイドフレームの下端部側は所定の上下長さに渡ってロアフレームの連結部と連結されている。ここで、一方のサイドフレームの横断面である閉断面又は前開断面に対してロアフレームの前開断面は嵌り合って嵌合断面の外形線の前後方向長さは上部から下部にかけて徐々に大きくなるように形成されている。これによって、一方のサイドフレームのロアフレームの一方の連結部と連結される部分は、上部から下部にかけて左右方向に延びる軸に関する断面二次モーメントが徐々に大きくなる。一方のサイドフレームは、その下端部側においてクッションフレームに対して連結されているので、上部から下部に行くにしたがって断面二次モーメントが徐々に大きくなることで効率的に曲げ剛性が高められる。すなわち、ロアフレームを一方のサイドフレームに連結することにより一方のサイドフレームの前後方向の曲げ剛性を高めることができる。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ロアフレームは左右方向に延びる板状の部材であって、前面視で前記一方の連結部から前記バックフレームの左右方向中央部に向かうにしたがって上端部の高さが徐々に低くなるように形成されていることを特徴とする。
第2発明によれば、ロアフレームは左右方向に延びる板状の部材であって、一方のサイドフレームの下端部側の一方の連結部からバックフレームの左右方向中央部に向かうにしたがって上端部の高さが徐々に低くなるように形成されている。これによって、一方のサイドフレームのロアフレームの一方の連結部と連結される部分の上端部から下方にかけてロアフレームの前後方向に延びる軸に関する断面二次モーメントが徐々に大きくなる。すなわち、ロアフレームの大きさを小さくして重量を軽減しながら一方のサイドフレームの左右方向の曲げ剛性を高めることができる。
本発明の第3発明は、上記第1発明又は第2発明において、前記一対のサイドフレームの他方のサイドフレームは、横断面が一定の閉断面又は後方に向って開口する略U字状の後開断面であり、前記ロアフレームの前記他方のサイドフレームへの連結部である他方の連結部は前方に向って開口する略U字状であるとともに前記他方のサイドフレームの前記閉断面又は前記後開断面に外側から所定の上下長さに渡って嵌り合う前開断面に形成されており、前記閉断面又は前記後開断面に対して前記前開断面が嵌り合った状態の嵌合断面の外形線の前後方向長さは上部から下部にかけて徐々に大きくなるように形成されており、前記ロアフレームは左右方向に延びる板状の部材であって、前面視で前記他方の連結部から前記バックフレームの左右方向中央部に向かうにしたがって上端部の高さが徐々に低くなるように形成されていることを特徴とする。
第3発明によれば、左右一対のサイドフレームのいずれもがロアフレームの連結によって、前後方向及び左右方向の曲げ剛性が高められる。
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記一方のサイドフレーム及び/又は前記他方のサイドフレームは、下端部側に前記一方のサイドフレーム及び/又は前記他方のサイドフレームより高剛性のアッパアームが取付けられており、該アッパアームは上端部側が前記一方のサイドフレーム及び/又は前記他方のサイドフレームの下端部側に下側から嵌め込まれる係合部を有しており、該係合部が前記一方のサイドフレーム及び/又は前記他方のサイドフレームの下端部側に嵌め込まれた状態で前記ロアフレームの前記一方の連結部及び/又は前記他方の連結部が前記一方のサイドフレームと前記アッパアームとの間及び/又は前記他方のサイドフレームと前記アッパアームとの間に跨って配設されていることを特徴とする。
第4発明によれば、一方のサイドフレームとアッパアームとの間に跨って一方の連結部が配設されている、又は、他方のサイドフレームとアッパアームとの間に跨って他方の連結部が配設されている。ここから、高剛性のアッパアームと一方のサイドフレームとの間、又は、高剛性のアッパアームと他方のサイドフレームとの間における断面二次モーメントの不連続な変化を緩和してより連続的な変化にすることができる。これによって、バックフレームに前後方向の力が印加された場合に応力の局部的な集中を回避して曲げ剛性を高めることができる。
本発明の一実施形態にかかる右席の自動車用シートのバックフレームの斜視図である。 上記実施形態のバックフレームの分解斜視図である。 上記実施形態のバックフレームの右側面図である。 図3のIV−IV矢視線端面図である。 図1のV−V矢視線端面図である。 図1のVI−VI矢視線端面図である。 図6のVII−VII矢視線端面図である。 図6のVIII−VIII矢視線端面図である。 図3のIX−IX矢視線端面図である。 図4に対応する左席の自動車用シートのバックフレームの端面図である。 図3のXI−XI矢視線端面図である。 図3のXII−XII矢視線端面図である。 図3のXIII−XIII矢視線端面図である。
図1〜図13は、本発明の一実施形態を示す。本実施形態は、自動車用シートのバックフレーム(以下、単にバックフレームという)に本発明を適用した例である。各図中、矢印によりバックフレームを取付けた自動車用シートを自動車のフロアに取付けた時の自動車及び自動車用シートの各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
図1〜図3に示すように、本実施形態のバックフレーム10は、シートベルト内蔵タイプの右席の自動車用シートのバックフレームであってシートベルト装置のウェビング巻取り装置(図示しない)を取付け可能なものである。バックフレーム10は、上下方向に延びる右サイドフレーム11と、上下方向に延びる左サイドフレーム12と、右サイドフレーム11と左サイドフレーム12の上端部側同士を連結するアッパフレーム13と、下端部側同士を連結するロアフレーム14と、を有する。ここで、右サイドフレーム11が、特許請求の範囲の「サイドフレーム」、「一方のサイドフレーム」に相当し、左サイドフレーム12が、特許請求の範囲の「サイドフレーム」、「他方のサイドフレーム」に相当する。
右サイドフレーム11は、図4に示す断面形状を有するアルミニウム合金の押出し材をベースに作られている。図4において、右サイドフレーム11の横断面は変形七角形をしており、右側面部11aと、左側面部11bと、前面部11cと、後面部11dと、前左面取り部11eと、後左面取り部11fと、後右面取り部11gと、を有する。右側面部11aと左側面部11bとは、シート前後方向に対してわずかに左方(シート内側方向)に傾いて互いに平行に延びている。前面部11cと後面部11dとは、シート左右方向に対してわずかに後方に傾いて互いに平行に延びている。前左面取り部11eは、前面部11cの左端部と左側面部11bの前端部とを結んで延びる部分であり、左側面部11bに対して約45度の傾き角度を有している。後左面取り部11fは、後面部11dの左端部と左側面部11bの後端部とを結んで延びる部分であり、左側面部11bに対して約30度の傾き角度を有している。後右面取り部11gは、後面部11dの右端部と右側面部11aの後端部とを結んで延びる部分であり、右側面部11aに対して約5度の傾き角度を有している。
左サイドフレーム12は、図4に示す断面形状を有するアルミニウム合金の押出し材をベースに作られている。図4において、左サイドフレーム12の横断面は変形七角形をしており、左側面部12aと、右側面部12bと、前面部12cと、後面部12dと、前右面取り部12eと、後右面取り部12fと、後左面取り部12gと、を有する。左側面部12aと右側面部12bとは、シート前後方向に対してわずかに右方(シート内側方向)に傾いて互いに平行に延びている。前面部12cと後面部12dとは、シート左右方向に対してわずかに後方に傾いて互いに平行に延びている。前右面取り部12eは、前面部12cの右端部と右側面部12bの前端部とを結んで延びる部分であり、右側面部12bに対して約45度の傾き角度を有している。後右面取り部12fは、後面部12dの右端部と右側面部12bの後端部とを結んで延びる部分であり、右側面部12bに対して約30度の傾き角度を有している。後左面取り部12gは、後面部12dの左端部と左側面部12aの後端部とを結んで延びる部分であり、左側面部12aに対して約5度の傾き角度を有している。
図4に示すように、右サイドフレーム11の横断面形状の外形線と左サイドフレーム12の横断面形状の外形線とは、バックフレーム10の左右方向中心線CLに関して線対称の関係にある。また、右サイドフレーム11の右側面部11a及び左側面部11bの肉厚と、左サイドフレーム12の左側面部12a及び右側面部12bの肉厚と、はほぼ等しい。一方、右サイドフレーム11の前面部11c及び後面部11dの肉厚は、左サイドフレーム12の前面部12c及び後面部12dの肉厚のほぼ2倍程度である。これは、右サイドフレーム11の上部にシートベルト装置のウェビングをガイドするベルトガイド部23bが配設され左サイドフレーム12よりも前後方向に大きな曲げ荷重が印加されるのに対抗するため断面二次モーメントが大きくなるように形成されているためである。図1及び図2に示すように、右サイドフレーム11と左サイドフレーム12は、一定断面の押出し材が上下方向の中央部付近で前方に向って凸形状となるように折り曲げられて形成されている。また、右サイドフレーム11の下端部側には、鉄製のプレス部品であるアッパアーム15が取付けられている。アッパアーム15は、2部品が最中状に組み合わされて1部品として形成された部品で、その上側部は水平方向の断面の内形線が右サイドフレーム11の横断面形状の外形線に対応するようにサイドフレーム連結部15aとして形成されている。また、その下側部は平板状のリクライナ連結部15bとして形成されリクライナ連結孔15b1が設けられている。右サイドフレーム11の下端部側をアッパアーム15のサイドフレーム連結部15aに挿入した状態で、4本のリベットRで締結されて連結されている。左サイドフレーム12の下端部側には前面部12cが前方に向って押し広げられるとともに左側面部12aにリクライナを取付けるリクライナ連結孔12a1が設けられたリクライナ連結部12hが形成されている。ここで、サイドフレーム連結部15aが、特許請求の範囲の「係合部」に相当する。
図10には図4に対応する左席の自動車用シートの右サイドフレーム120と左サイドフレーム110の断面形状を示す。図10の断面形状は、図4の断面形状を左右方向中心線CLに関して左右を入れ替えた関係にある。すなわち、右席の自動車用シートの右サイドフレーム11の各面部11a〜11fが、左席の自動車用シートの左サイドフレーム110の各面部110a〜110fにそれぞれ対応する。また、右席の自動車用シートの左サイドフレーム12の各面部12a〜12fが、左席の自動車用シートの右サイドフレーム120の各面部120a〜120fにそれぞれ対応する。これによって、右サイドフレーム11と左サイドフレーム110とは、同一断面のアルミニウム合金の押出し材を上下逆にすることによって使用することができる。また、左サイドフレーム12と右サイドフレーム120とは、同一断面のアルミニウム合金の押出し材を上下逆にすることによって使用することができる。すなわち、2種類のアルミニウム合金の押出し材で左右の自動車用シートのサイドフレームを形成することができる。なお、左席の自動車用シートにおいては、右サイドフレーム120が特許請求の範囲の「サイドフレーム」、「他方のサイドフレーム」に相当し、左サイドフレーム110が、特許請求の範囲の「サイドフレーム」、「一方のサイドフレーム」に相当する。
図1、図2、図5〜図8に示すように、アッパフレーム13は下方に向って開口した横断面が略逆U字状の本体部20と、本体部20の下方開口側の中央部に開口を覆うように取付けられる蓋部材30と、を有する。本体部20は、積層した複数枚のカーボン繊維織物をエポキシ樹脂のマトリクス樹脂で固めた繊維強化複合樹脂成形品であり、前壁部21、後壁部22、上壁部23、右壁部24、左壁部25を有する。
上壁部23は、左右方向中央に位置する中央部23aと、右端部側に位置するベルトガイド部23bと、左端部側に位置する台座部23cと、を有する。中央部23aは、バックフレーム10がクッションフレームの後部に対して起立した標準状態において略水平方向であって、後述するホルダ部32に対して略垂直な方向に延びている面部である。中央部23aには、左右方向中心面に関して左右対称な位置に一対のホルダ挿入孔23dが上下方向に貫通して設けられている。ホルダ挿入孔23dの周縁部の中央部23aには、主としてホルダ部32の前面部側を支持する前立ち壁部23d1が下方に向けて立設され、主としてホルダ部32の後面部側を支持する後立ち壁部23d2が上方に向けて立設されている。詳しくは、前立ち壁部23d1は、ホルダ挿入孔23dの周縁部の前辺部から両側辺部にかけて上面視で略U字状に配設され、後立ち壁部23d2は、ホルダ挿入孔23dの周縁部の後辺部から両側辺部にかけて上面視で略U字状に配設されている。ベルトガイド部23bは、上方に向かって隆起した左右方向に右下方に向かって傾斜する稜線を有する山形の部分である。ベルトガイド部23bは、シートバック内部に配設されたウェビング巻取り装置(図示せず)から繰り出されたシートベルト装置のウェビング(図示せず)をバックフレーム10の背面から着座乗員の上体前面に向けてガイドする機能を果たす。台座部23cは、中央部23aに対しわずかに上方に向かって隆起した台状の部分でシートバックの肩部の形状を形成するためのものである。ベルトガイド部23bと台座部23cとは、アッパフレーム13の成形型において入れ子部分(図示せず)を脱着することによって左右選択的に形成することができる。すなわち、アッパフレーム13の成形型に入れ子部分(図示せず)を取付けて成形した部分が台座部23cとなり、取付けないで成形した部分がベルトガイド部23bとなる。左席の自動車用シートの本体部20は、ベルトガイド部23bが左端部側に、台座部23cが右端部側に配置される。すなわち、ベルトガイド部23bは右席左席とも車両外側に配置される。
前壁部21は、上壁部23の中央部23aに対して鈍角をなして前下方に向って延びている。また、前壁部21は、アッパフレーム13を右サイドフレーム11及び左サイドフレーム12に連結したとき、右サイドフレーム11及び左サイドフレーム12の上部において前面部11c及び前面部12cとほぼ平行になるように延びている。前壁部21の下端部には、端末部の剛性を高めるための厚肉部21aが設けられている。後壁部22は、アッパフレーム13を右サイドフレーム11及び左サイドフレーム12に連結したとき、右サイドフレーム11及び左サイドフレーム12の上部において後面部11d及び後面部12dとほぼ平行になるように延びている。すなわち、前壁部21と後壁部22とは、互いに略平行に前下方に向って延びている。後壁部22において、上壁部23の中央部23aに対応する部分においては、その下側部が上壁部23に対して略垂直に下方に向って延びて後述する蓋部材30の後壁面部31cを連結する連結面部22bが形成されている。後壁部22の下端部には、端末部の剛性を高めるための厚肉部22aが設けられている。
上壁部23、前壁部21、後壁部22の右側端部は右壁部24で連結され、上壁部23、前壁部21、後壁部22の左側端部は左壁部25で連結されて、下方に開口した略箱状の本体部20として形成されている。
図9に示すように、右サイドフレーム11と左サイドフレーム12の上端部側に、上方からアッパフレーム13が被せつけられたとき、右壁部24の左側面は、右サイドフレーム11の右側面部11a及び後右面取り部11gの右側面に当接するように形成されている。また、右サイドフレーム11と左サイドフレーム12の上端部側に、上方からアッパフレーム13が被せつけられたとき、左壁部25の右側面は、左サイドフレーム12の左側面部12a及び後左面取り部12gの左側面に当接するように形成されている。なお、図10を参照して、右壁部24の左側面は、左席の自動車用シートの右サイドフレーム120の右側面部120a及び後右面取り部120gの右側面にも当接可能である。また、左壁部25の右側面は、左席の自動車用シートの左サイドフレーム110の左側面部110a及び後左面取り部110gの左側面にも当接可能である。
図2、図5〜図8に示すように、蓋部材30はアルミニウムのダイキャスト成形品である。蓋部材30は、上面視で略矩形状のベース部31と、ベース部31の左右端部後側に立設された一対の角筒状のホルダ部32と、を有する。ベース部31は、上壁面部31aと、前壁面部31bと、後壁面部31cと、を有する。上壁面部31aには、左右方向中央部に凹面部31a1が設けられ、凹面部31a1の左右両側にはそれぞれ台状に隆起した凸面部31a2が設けられている。凸面部31a2の後側にはホルダ部32が立設されホルダ部32の内筒部分は上下に貫通してヘッドレストサポート40を差込可能とされている。ホルダ部32の前面部と凸面部31a2との間にはホルダ部32を凸面部31a2に対して安定して保持するための筋交い壁32aが設けられている。
図2、図5〜図8に示すように、蓋部材30は一対のホルダ部32の上端部側を本体部20の一対のホルダ挿入孔23dに、それぞれ下方から挿入した状態で本体部20に対し組み付けられる。具体的には、ホルダ部32の上端部から上下方向長さの1/3程度が中央部23aの上面から露出した状態で本体部20の前壁部21の下端部側と蓋部材30の前壁面部31bとを当接させて2本のリベットRで締結固定する。また、同一の状態で、本体部20の後壁部22の連結面部22bと蓋部材30の後壁面部31cとを当接させて2本のリベットRで締結固定する。これによって、本体部20の上壁部23の中央部23aに対応する前壁部21及び後壁面部31cに対して蓋部材30が固定され、その部分が閉じ断面構造となる。このとき、蓋部材30の一対のホルダ部32は、それぞれ本体部20の前立ち壁部23d1と後立ち壁部23d2によって、主として前後から支持される。
図1〜図3及び図11〜図13に示すように、ロアフレーム14は前面視で略U字状をしており、積層した複数枚のカーボン繊維織物をエポキシ樹脂のマトリクス樹脂で固めた繊維強化複合樹脂成形品である。ロアフレーム14は、メイン部14aと、メイン部14aの右側に配設され右サイドフレーム11の下端部側及びアッパアーム15との連結部である右連結部14bと、左サイドフレーム12の下端部側との連結部である左連結部14cと、を有する。メイン部14aには図示しないリブが設けられて剛性が高められている。メイン部14aは、右サイドフレーム11の下端部と左サイドフレーム12の下端部とを結んで左右方向に延びる下端部14a1と、右サイドフレーム11の上下方向中央部やや下と左サイドフレーム12の上下方向中央部やや下とを結んで左右方向に懸垂線状に延びる上端部14a2とを有する。すなわち、メイン部14aは左右方向中央部で下端部14a1からの高さが低く右連結部14b及び左連結部14cに向うにつれて徐々に高さが高くなるように形成されている。右連結部14bは、水平面で切った断面が前方に開口する略U字状に形成され、右サイドフレーム11の後右面取り部11g、後面部11d、後左面取り部11fにそれぞれ対応する右面部14b1、後面部14b2、左面部14b3を有する。左連結部14cは、水平面で切った断面が前方に開口する略U字状に形成され、左サイドフレーム12の後左面取り部12g、後面部12d、後右面取り部12fにそれぞれ対応する左面部14c1、後面部14c2、右面部14c3を有する。また、左席の自動車用シートのバックフレーム10においては、図10を参照して、右サイドフレーム120の後右面取り部120g、後面部120d、後左面取り部120fにそれぞれ右面部14b1、後面部14b2、左面部14b3が対応する。また、左サイドフレーム110の後左面取り部110g、後面部110d、後右面取り部110fにそれぞれ左面部14c1、後面部14c2、右面部14c3が対応する。すなわち、ロアフレーム14も右席の自動車用シートのバックフレーム10と左席の自動車用シートのバックフレーム10とで兼用できる。ここで、右連結部14bと左連結部14cが、それぞれ、特許請求の範囲の「一方の連結部」と「他方の連結部」に相当する。また、右連結部14bを水平面で切った前方に開口する断面と、左連結部14cを水平面で切った前方に開口する断面と、が特許請求の範囲の「前開断面」に相当する。
図1、図2、図4、図8に示すように、右サイドフレーム11と左サイドフレーム12の上端部側には、上方からアッパフレーム13が被せつけられる。この状態で、アッパフレーム13の右壁部24と、左壁部25とが、それぞれ、右サイドフレーム11の右側面部11a及び後右面取り部11gと、左サイドフレーム12の左側面部12a及び後左面取り部12gとに当接されて4本のリベットRで締結固定される。次に、右サイドフレーム11の下端部側にはアッパアーム15が取付けられた状態で、後方からロアフレーム14の右連結部14bが被せつけられ、右サイドフレーム11の後右面取り部11gとロアフレーム14の右面部14b1とが当接されて4本のリベットRで締結固定される。また、同一の状態で、右サイドフレーム11の後左面取り部11fとロアフレーム14の左面部14b3とが当接されて3本のリベットRで締結固定される。ここで、図11は最上部のリベットR1の部分で切った断面であり、図12は上から2番目のリベットR2の部分で切った断面であり、図13は最下部のリベットR3の部分で切った断面である。ロアフレーム14の後面部14b2前面と右サイドフレーム11の後面部11d後面との間の空間S1は下方に行くにしたがって広くなっている。これから右サイドフレーム11とロアフレーム14の右連結部14bで形成される水平面で切った断面は下方に行くにしたがって左右方向に延びる軸に関する断面二次モーメントが大きくなり、右サイドフレーム11は前後方向の曲げ剛性が大きくなる。図11〜図13に示されるように、右サイドフレーム11の下端部側にアッパアーム15が取付けられた状態で、後方からロアフレーム14の右連結部14bが被せつけられた状態の水平面で切った断面が、特許請求の範囲の「嵌合断面」に相当する。
次に、左サイドフレーム12の下端部側には後方からロアフレーム14の左連結部14cが被せつけられ、左サイドフレーム12の後左面取り部12gとロアフレーム14の左面部14c1とが当接されて3本のリベットRで締結固定される。また、同一の状態で、左サイドフレーム12の後右面取り部12fとロアフレーム14の右面部14c3とが当接されて3本のリベットRで締結固定される。ここで、図11〜図13に示すように、ロアフレーム14の後面部14c2前面と左サイドフレーム12の後面部12d後面との間の空間S2は下方に行くにしたがって広くなっている。これから左サイドフレーム12とロアフレーム14の左連結部14cで形成される水平面で切った断面は下方に行くにしたがって左右方向に延びる軸に関する断面二次モーメントが大きくなり、左サイドフレーム12は前後方向の曲げ剛性が大きくなる。図1、図11〜図13に示されるように、左サイドフレーム12の下端部側に、後方からロアフレーム14の左連結部14cが被せつけられた状態の水平面で切った断面が、特許請求の範囲の「嵌合断面」に相当する。これによって、左サイドフレーム12、右サイドフレーム11、アッパフレーム13、ロアフレーム14が連結されて前面視で略矩形状のバックフレーム10が形成される。なお、バックフレーム10はアッパアーム15のリクライナ連結部15bと、左サイドフレーム12のリクライナ連結部12hと、がそれぞれリクライナ(図示せず)を介してシートクッションフレーム(図示せず)の後端部側に取付けられる。
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。右サイドフレーム11の下端部側は、ロアフレーム14の右連結部14bと連結され、左サイドフレーム12の下端部側は、ロアフレーム14の左連結部14cと連結されている。ここで、右サイドフレーム11の横断面における後右面取り部11g、後面部11d、後左面取り部11fに対してロアフレーム14の右面部14b1、後面部14b2、左面部14b3が外側から被せつけられて連結されている。このとき、右サイドフレーム11の後面部11d後面とロアフレーム14の後面部14b2前面との間に形成される空間S1の前後方向長さは下方に行くにしたがって大きくなっている。これによって、右サイドフレーム11とロアフレーム14の左連結部14cとが連結される部分は、右サイドフレーム11とロアフレーム14が一体となって上部から下部にかけて左右方向に延びる軸に関する断面二次モーメントが徐々に大きくなる。すなわち、ロアフレーム14を右サイドフレーム11に連結することにより右サイドフレーム11の前後方向の曲げ剛性を高めることができる。左サイドフレーム12とロアフレーム14の左連結部14cとの関係も上記の右サイドフレーム11とロアフレーム14の右連結部14bとの関係と同様である。
また、ロアフレーム14のメイン部14aは、左右方向中央部で下端部14a1からの高さが低く右連結部14b及び左連結部14cに向うにつれて徐々に高さが高くなるように形成されている。これによって、右サイドフレーム11のロアフレーム14の右連結部14bと連結される部分の上端部から下方にかけてロアフレーム14の前後方向に延びる軸に関する断面二次モーメントが徐々に大きくなる。すなわち、ロアフレーム14の大きさを小さくしながら右サイドフレーム11の左右方向の曲げ剛性を高めることができる。左サイドフレーム12とロアフレーム14の左連結部14cとの関係も上記の右サイドフレーム11とロアフレーム14の右連結部14bとの関係と同様である。
さらに、右サイドフレーム11とアッパアーム15との間に跨ってロアフレーム14の右連結部14bが配設されている。ここから、高剛性のアッパアーム15と右サイドフレーム11との間における断面二次モーメントの不連続な変化を緩和してより連続的な変化にすることができる。これによって、バックフレーム10に前後方向の力が印加された場合に応力の局部的な集中を回避して曲げ剛性を高めることができる。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
1.上記実施形態では、右サイドフレーム11、左サイドフレーム12、アッパフレーム13が、それぞれ別部材であるものとした。しかし、これに限らず、左サイドフレーム12とアッパフレーム13が一体に形成されていてもよいし、右サイドフレーム11とアッパフレーム13が一体に形成されていてもよい。さらには、右サイドフレーム11とアッパフレーム13と左サイドフレーム12とが一体に形成されているものであってもよい。
2.上記実施形態では、右サイドフレーム11と左サイドフレーム12をアルミニウム合金の押出し材で形成したが、これに限らず、マグネシウム合金等他の軽金属であってもよいし、鉄製であってもよい。さらには、繊維強化複合樹脂製であってもよい。また、上記実施形態では、ロアフレーム14を繊維強化複合樹脂製としたが、これに限らず、金属板材のプレス成形品としてもよい。
3.上記実施形態では、本発明を自動車のシートに適用したが、飛行機、船、電車等に搭載のシートに適用しても良い。
10 バックフレーム
11 右サイドフレーム(サイドフレーム、一方のサイドフレーム)
12 左サイドフレーム(サイドフレーム、他方のサイドフレーム)
13 アッパフレーム
14 ロアフレーム
14b 右連結部(一方の連結部)
14c 左連結部(他方の連結部)
15 アッパアーム
15a サイドフレーム連結部(係合部)
S1 空間
S2 空間

Claims (4)

  1. 乗物用シートのバックフレーム構造であって、
    上下方向に延びる左右一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの上端部側間を架け渡し状に連結するアッパフレームと、前記一対のサイドフレームの下端部側間を架け渡し状に連結するロアフレームと、を有し、
    前記一対のサイドフレームのうち少なくとも一方のサイドフレームは横断面が一定の閉断面又は後方に向って開口する略U字状の後開断面であり、
    前記ロアフレームの前記一方のサイドフレームへの連結部である一方の連結部は前方に向って開口する略U字状であるとともに前記一方のサイドフレームの前記閉断面又は前記後開断面に所定の上下長さに渡って嵌り合う前開断面に形成されており、
    前記閉断面又は前記後開断面に対して前記前開断面が嵌り合った状態の嵌合断面の外形線の前後方向長さは上部から下部にかけて徐々に大きくなるように形成されている乗物用シートのバックフレーム構造。
  2. 請求項1において、前記ロアフレームは左右方向に延びる板状の部材であって、前面視で前記一方の連結部から前記バックフレームの左右方向中央部に向かうにしたがって上端部の高さが徐々に低くなるように形成されている乗物用シートのバックフレーム構造。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記一対のサイドフレームの他方のサイドフレームは、横断面が一定の閉断面又は後方に向って開口する略U字状の後開断面であり、
    前記ロアフレームの前記他方のサイドフレームへの連結部である他方の連結部は前方に向って開口する略U字状であるとともに前記他方のサイドフレームの前記閉断面又は前記後開断面に外側から所定の上下長さに渡って嵌り合う前開断面に形成されており、
    前記閉断面又は前記後開断面に対して前記前開断面が嵌り合った状態の嵌合断面の外形線の前後方向長さは上部から下部にかけて徐々に大きくなるように形成されており、
    前記ロアフレームは左右方向に延びる板状の部材であって、前面視で前記他方の連結部から前記バックフレームの左右方向中央部に向かうにしたがって上端部の高さが徐々に低くなるように形成されている乗物用シートのバックフレーム構造。
  4. 請求項3において、前記一方のサイドフレーム及び/又は前記他方のサイドフレームは、下端部側に前記一方のサイドフレーム及び/又は前記他方のサイドフレームより高剛性のアッパアームが取付けられており、
    該アッパアームは上端部側が前記一方のサイドフレーム及び/又は前記他方のサイドフレームの下端部側に下側から嵌め込まれる係合部を有しており、
    該係合部が前記一方のサイドフレーム及び/又は前記他方のサイドフレームの下端部側に嵌め込まれた状態で前記ロアフレームの前記一方の連結部及び/又は前記他方の連結部が前記一方のサイドフレームと前記アッパアームとの間及び/又は前記他方のサイドフレームと前記アッパアームとの間に跨って配設されている乗物用シートのバックフレーム構造。





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