JP6486689B2 - ボタン穴形成装置 - Google Patents
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Description
ボタン穴かがりミシンは、例えば、生地にかがり縫いを施した後、かがり部分の内側をメスで裁断してボタン穴を形成するようになっている。
また、アイロンを使用して生地を接着する場合、アイロンの高熱がボタン穴を形成する箇所の周囲にも作用するため、熱に弱い生地であると前立て部分が広く損傷してしまうことがあった。またアイロンを使用して接着した場合には、アイロンプリント用の接着剤が硬化収縮する際に生地にしわが生じてしまうことがあった。
熱可塑性樹脂を含む被縫製物を重ね合わせて挟み込む一対の高周波電極と、
前記一対の高周波電極に挟まれた前記被縫製物を切断する裁断部と、
を備え、
前記裁断部は、一方の高周波電極に出没可能に設けられており、
他方の高周波電極側には、一方の高周波電極から突出した前記裁断部の先端側が進入可能な逃げ穴と、その逃げ穴下方への吸気を行う吸塵器が設けられており、
前記一対の高周波電極に高周波電流を通電することで前記被縫製物を誘電加熱によって溶着してなる穴枠を形成した後、その穴枠の内側を前記裁断部で切断してボタン穴を形成するように構成されていることを特徴とする。
誘電加熱によって融解するシート材を介在させて重ね合わせた被縫製物を挟み込む一対の高周波電極と、
前記一対の高周波電極に挟まれた前記被縫製物を切断する裁断部と、
を備え、
前記裁断部は、一方の高周波電極に出没可能に設けられており、
他方の高周波電極側には、一方の高周波電極から突出した前記裁断部の先端側が進入可能な逃げ穴と、その逃げ穴下方への吸気を行う吸塵器が設けられており、
前記一対の高周波電極に高周波電流を通電することで誘電加熱によって融解した前記シート材で前記被縫製物同士を接着するとともに、前記シート材が前記被縫製物に溶着してなる穴枠を形成した後、その穴枠の内側を前記裁断部で切断してボタン穴を形成するように構成されていることを特徴とする。
前記被縫製物を挟んで対向する前記一対の高周波電極のプレス面の少なくとも一方は、前記穴枠に対応する形状を有することを特徴とする。
前記一対の高周波電極の少なくとも一方には、冷却用エアを通す通気孔が設けられていることを特徴とする。
ボタン穴形成装置100は、被縫製物にボタン穴を形成するための装置である。ボタン穴を形成する対象の被縫製物は、例えば、織物や編物といった布材(生地)や、本皮・合成皮革などのシート状基材などである。
これらベッド部1の各部は図示しない装置本体のテーブル上に配設されている。
第1の高周波電極11の上面には、後述する動メス23が進入可能なサイズを有する逃げ穴11aが形成されている。
また、第1の高周波電極11の内部には、図2(a)に示すように、冷却用エアを通す通気孔11bが設けられている。
保持枠12には、被縫製物を保持するためのクランプ12aが設けられている。
ここで、鉛直上下方向をZ軸方向とし、これと直交する水平方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する水平方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
この枠駆動部13が保持枠12を移動させて、保持枠12に保持されている被縫製物の位置を調整するようになっている。
このプレス部2は、第2の高周波電極21が第1の高周波電極11と対向するように図示しない装置本体のフレームに配設されている。
第2の高周波電極21には、図2(b)(c)に示すように、第2の高周波電極21の下面から動メス23を出没させるための貫通孔21aが形成されている。
また、第2の高周波電極21の内部には、図2(a)に示すように、冷却用エアを通す通気孔21bが設けられている。
特に、第2の高周波電極21の下面であるプレス面21cは、後述する穴枠Bに対応する形状を有している。この穴枠Bは、ボタン穴の周囲に施される従来のかがり縫いに相当するものである。つまり、第2の高周波電極21は被縫製物に形成する穴枠Bの金型としての機能も有している。なお、第2の高周波電極21のプレス面21cは、第1の高周波電極11の上面よりも小さい。
ピストンロッド22aはその内部に、動メス23を収容する中空空間を有している。
この動メス23の幅や厚みは、被縫製物を切断して形成するボタン穴のサイズに応じた寸法となっている。
なお、一対の高周波電極間で誘電加熱を施すことができる被縫製物Cの材料は絶縁体(誘電体)であることが好ましく、例えば、天然繊維や合成繊維、紙、樹脂シートなどである。
なお、熱可塑性樹脂としては、例えばナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、塩化ビニルなどを挙げることができる。
なお、保持枠12にセットされた被縫製物Cは、第1の高周波電極11の上面に接している。
そして、第1の高周波電極11と第2の高周波電極21の間に被縫製物Cを挟み込み、その被縫製物Cをプレスした状態で、一対の高周波電極(第1の高周波電極11、第2の高周波電極21)に高周波電流を通電することで被縫製物Cを誘電加熱し、誘電加熱によって被縫製物Cを溶着した箇所に穴枠Bを形成する。
誘電加熱によって被縫製物Cを溶着した後、第1の高周波電極11と第2の高周波電極21を冷却すれば、高周波電極に接している被縫製物Cを冷却するようにして融解した樹脂を冷ますことができ、誘電加熱によって溶着してなる穴枠Bの硬化を早めることができる。穴枠Bの硬化を早めることで溶着箇所の乱れを防ぎ、所定形状の穴枠Bを仕上がりよく形成することができる。
なお、第1の高周波電極11の逃げ穴11aと、第2の高周波電極21の貫通孔21aの開口は、動メス23の幅と厚みよりも僅かに大きいサイズであることが好ましい。逃げ穴11aと貫通孔21aの開口サイズが大き過ぎると、穴枠Bの内側で被縫製物Cが接着されていない部分の割合が増すため、被縫製物Cがほつれた場合にボタン穴Hの見栄えが悪くなってしまうことがある。
また、第1の高周波電極11の下側に吸塵器を設けて逃げ穴11a下方への吸気を行うようにすれば、被縫製物Cが切断された際に生じる糸くずなどを飛散させずに効率よく集塵することができる。
つまり、このボタン穴形成装置100で形成した穴枠Bやボタン穴Hは損傷し難くなっているので、当初の製品形状を長期間に亘って維持することができる。
つまり、アイロンプリントで被縫製物Cを接着する場合に比べて、被縫製物Cに与える熱によるダメージを大幅に抑えることが可能になるので、熱に弱い被縫製物Cであっても最小限かつプレスした部分のみの加熱によって穴枠Bを形成でき、その穴枠Bの内側に好適にボタン穴Hを形成することが可能になる。
また、一対の高周波電極11,21でプレスした状態の被縫製物Cに動メス23でボタン穴Hを形成するので、例えば伸縮性の高い素材であっても安定してボタン穴Hを形成することができる。
なお、熱可塑性樹脂を含まない被縫製物Cの素材としては、例えば綿、麻、ウール、シルクなどを挙げることができる。
保持枠12にセットされた下側の被縫製物Cは、第1の高周波電極11の上面に接している。
誘電加熱によって融解するシート材Mには、熱可塑性樹脂(例えばナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、塩化ビニルなど)からなる樹脂シートや、ホットメルトシートなどを用いることができる。
そして、第1の高周波電極11と第2の高周波電極21の間に被縫製物Cとシート材Mの積層体を挟み込み、その積層体をプレスした状態で、一対の高周波電極(第1の高周波電極11、第2の高周波電極21)に高周波電流を通電することで積層体(シート材M)を誘電加熱する。この誘電加熱によって融解したシート材Mで被縫製物同士を接着するとともに、シート材Mが被縫製物Cに溶着してなる穴枠Bを形成する。
そして、融解したシート材Mが被縫製物Cに浸み込んで被縫製物Cに溶着してなる穴枠Bは、シート材Mが被縫製物Cの空隙部分に入り込んで硬化してなるので、ボタン穴Hの切断面から被縫製物Cがほつれることはない。
また、プレスした状態で誘電加熱した後に冷却して穴枠Bを形成しているので、この穴枠Bもフラットな形状になる。
例えば、図8に示すように、複数(ここでは4つ)の第1の高周波電極11が並設されたベッド部1と、複数(ここでは4つ)の第2の高周波電極21が並設されたプレス部2とを備えた構成のボタン穴形成装置100であってもよい。
この装置において、第1の高周波電極11の間隔と、第2の高周波電極21(プレス部2)の間隔は調整可能であって、加工対象の衣料品(被縫製物C)のサイズやデザイン等に応じて、穴枠Bおよびボタン穴Hを形成する位置を変更することができる。
このようなボタン穴形成装置100であれば、複数の穴枠Bを同時に形成した後、複数のボタン穴Hを同時に形成することができるので、従来のようにボタン穴かがりミシンを使用して一ヵ所ずつかがり縫いとボタン穴を形成する作業に比べて、大幅に作業時間の短縮を図ることができる。
例えば、ワイシャツなどボタン穴の多い製品であれば、前立てを一回プレスする作業で前立て部分の全てのボタン穴Hを形成することが可能になるので、作業効率が大幅にアップすることが見込まれる。
例えば、図9(a)に示すように、プレス面21cの形状を花形にすれば、装飾性に富んだ花形の穴枠Bを形成することができる。
また、図9(b)に示すように、プレス面21cの形状をジグザグ形にし、動メス23の断面形状もジグザグ形にすることでも、装飾性に富んだ穴枠Bおよびボタン穴Hを形成することができる。
11 第1の高周波電極
11a 逃げ穴
11b 通気孔
12 保持枠
12a クランプ
13 枠駆動部
13a アーム
2 プレス部
21 第2の高周波電極
21a 貫通孔
21b 通気孔
21c プレス面
22 電極駆動部
22a ピストンロッド
22b 電極支持部
23 動メス(裁断部)
100 ボタン穴形成装置
C 被縫製物
B 穴枠
H ボタン穴
M シート材
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂を含む被縫製物を重ね合わせて挟み込む一対の高周波電極と、
前記一対の高周波電極に挟まれた前記被縫製物を切断する裁断部と、
を備え、
前記裁断部は、一方の高周波電極に出没可能に設けられており、
他方の高周波電極側には、一方の高周波電極から突出した前記裁断部の先端側が進入可能な逃げ穴と、その逃げ穴下方への吸気を行う吸塵器が設けられており、
前記一対の高周波電極に高周波電流を通電することで前記被縫製物を誘電加熱によって溶着してなる穴枠を形成した後、その穴枠の内側を前記裁断部で切断してボタン穴を形成するように構成されていることを特徴とするボタン穴形成装置。 - 誘電加熱によって融解するシート材を介在させて重ね合わせた被縫製物を挟み込む一対の高周波電極と、
前記一対の高周波電極に挟まれた前記被縫製物を切断する裁断部と、
を備え、
前記裁断部は、一方の高周波電極に出没可能に設けられており、
他方の高周波電極側には、一方の高周波電極から突出した前記裁断部の先端側が進入可能な逃げ穴と、その逃げ穴下方への吸気を行う吸塵器が設けられており、
前記一対の高周波電極に高周波電流を通電することで誘電加熱によって融解した前記シート材で前記被縫製物同士を接着するとともに、前記シート材が前記被縫製物に溶着してなる穴枠を形成した後、その穴枠の内側を前記裁断部で切断してボタン穴を形成するように構成されていることを特徴とするボタン穴形成装置。 - 前記被縫製物を挟んで対向する前記一対の高周波電極のプレス面の少なくとも一方は、前記穴枠に対応する形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のボタン穴形成装置。
- 前記一対の高周波電極の少なくとも一方には、冷却用エアを通す通気孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のボタン穴形成装置。
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