JP6426931B2 - 発電機 - Google Patents

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Description

本発明は、発電機に係り、特に、固定された磁石間にてコアレスのコイルがリニア駆動されて発電する発電機に関する。
熱音響機関は、蓄熱器の両端に温度差を与えることで音波振動を発生する機関であり、この音波振動エネルギーを電力に変換(発電)することで、工場等からの排熱を電気エネルギーとして再生することができる。この発電の目的としてリニア発電機が位置づけされる。リニア発電機において、往復運動の振幅の規模は様々である。例えば熱音響機関による音波振動は、振幅が±1〜±200mm程度、振動周波数は約10〜約1000Hzである。
これに対して、圧電効果、磁歪効果などを用いた振動発電は振幅が1mm前後と振幅が小さく発電量も少ない微小振動源である。また、波力発電は振幅が大きい一方、周波数はHzオーダーであり、波力によってプロペラを回すのが多い。このように、振動発電や波力発電は、熱音響からの振動エネルギーによる発電とはエネルギー源の諸元が異なる。そのため、例えば熱音響機関に適した効率の良いリニア発電機が見当たらないのが現状である。
リニア発電機では、コイルをよぎる磁界を変化させることで発電することができる。リニア発電機は、磁界を変化させるために運動する部材に応じて、可動鉄心型、可動磁石型、可動コイル型などに分類される。コイルが移動することにより発電する可動コイル型発電機や、コイルに流す電流によりコイルが移動するモータやアクチュエータに関する先行技術としては、例えば特許文献1〜5に記載された技術が知られている。
特許文献1に記載された永久磁石発電機は、コア無しコイル(コアレスのコイル)と永久磁石とを備えた回転型発電機であり、2枚の磁石で挟まれた円盤状のコイルが回転することによって発電するものである。
特許文献2には、永久磁石の内周面が固定子コイル(空心コイル)の外周面にエアギャップを介して対向しており、コイルに電流を供給することで永久磁石が回転するアウタロータ形のコアレスモータが記載されている。特許文献2に記載されたコアレスモータは、コイルを回転させることで可逆的に発電へ応用することも可能な構成になっている。
従来の可動コイル型の発電機は、特許文献1,2のように、回転子と固定子から構成する回転型が一般的であり、往復運動をそのまま電気に変換するリニア発電機は、殆ど見られない。
特許文献3に記載された揺動型アクチュエータは、永久磁石の磁気回路上にコイルを貼り付けたアームを置き、コイルに流す電流の向きに対応し、アームを一定角度回転させるアクチュエータである。
特許文献4に記載されたリニアモータは、複数個の永久磁石を連続配置し、その側面に沿って電磁石をその極性を変化させつつ、電磁石を永久磁石に沿って移動させるものである。ここで、電磁石は、非磁性体のコイル枠にコイルを巻いたものであり一種の可動コイルの形態をなしている。
特許文献3、4とも移動体を線形に移動させることを目的としたものであり、コイルの支持体を移動させることでコイル内に電気を発生させることは原理的には可能であるものの、全振幅が20mm程度である振動を用いた発電の用途には不向きである。
特許文献5に記載されたボイスコイル型リニアモータは、コイルが駆動する方向(コイルの軸方向)の一方の側から見て矩形の断面を持ち、矩形中心軸にコイルを巻き、矩形断面上側を2つの磁石で挟み、また下側断面を2つの磁石で挟む構造としている。そして、軸方向の両端には、それぞれ側ヨークが配されている。このボイスコイル型リニアモータは、内ヨークと平行させて設けた一対の外ヨークと、この外ヨークと内ヨークとを連結する一対の側ヨークとで日の字型の閉鎖磁気回路を構成する。
このボイスコイル型リニアモータは、コイルに電流を流すことでコイルを振動させるものである。ボイスコイル型リニアモータは、外部から振動エネルギーを与えてコイルをリニア駆動させることで可逆的に発電へ応用することも可能な構成になっている。
なお、例えばスピーカーは、一種の可動コイル型リニアモータでもある。スピーカーは、磁石とヨークで磁気回路を構成するものであり、コイルが駆動する方向(コイルの軸方向)の一方の側にバックヨークを備え、他方の側に振動板を備えている。
特許4782303号公報 特許2646319号公報 特開平7−143721号公報 特許3220666号公報 特開平8−214530号公報
発電機として、リニア運動に適していること、重量が軽いこと、発電効率が高いこと、構造が複雑ではないこと、放熱が良好であること等が求められている。
可動コイル型は、可動鉄心型や可動磁石型と異なり、往復運動をさせるのはコイルである。可動子であるコイルが軽いと、可動子が磁石や鉄心である場合に比べ、高い周波数でも動かすことができる。また、可動コイル型は、磁気回路が変化しないことから鉄損やコギングからフリーである。
しかしながら、特許文献5に記載されたボイスコイル型リニアモータは、コイル電流によって磁界がヨークに形成され、電流変化とともに鉄損が生じる問題があると共に、軸方向の両端に側ヨーク(バックヨーク)があって開放されていないことから冷却効果が少ない問題がある。
また、特許文献5に記載されたボイスコイル型リニアモータは、矩形断面上側を2つの磁石で挟み、また下側断面を2つの磁石で挟む構造としているため、磁石、インナーヨーク、バックヨークで形成される磁気回路が上下方向のみに形成され、発電機を構成する場合、出力が大きくとれない。また、スピーカーは、コイルの外側の周囲に磁石を置き、磁石、インナーヨーク、バックヨークで磁気回路を一つ形成するだけの構造なので、発電機を構成する場合、出力が大きくとれない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、構造を複雑化することなく、コギングレス、鉄損フリー、軽量、高効率、高放熱性のリニア発電に適した発電機を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る発電機は、コアレスのコイルの可動範囲内に発生させた磁界に前記コイルの少なくとも一部分が鎖交するように前記コイルがリニア駆動されて発電する発電機であって、電気的に接続された複数のコイルと、前記複数のコイルを離間して支持する非磁性体からなるコイル支持体と、前記各コイルの周方向の内側および外側のそれぞれに配置されたヨークと、を備え、前記コイル支持体は前記複数のコイルをコイルの軸方向に支持しており、前記コイル毎に、前記コイルの周方向の外側から内側へ向いて前記コイルの一領域と鎖交する向きの磁界と、前記コイルの周方向の内側から外側へ向いて前記コイルの他領域と鎖交する向きの磁界とを当該コイルの可動範囲内に発生させ、対向した2つの前記コイルにおいて、一方のコイルの所定領域に発生させた磁界の向きと、前記一方のコイルの所定領域に対向した他方のコイルの所定領域に発生させた磁界の向きとは逆向きであり、複数の前記磁界は定常的であって、隣り合う前記磁界の向きが交互になった磁界同士によってループ状の磁気回路が複数形成されるように構成されており、前記ヨークは、前記各コイルの周方向の内側に配置された柱状の軸ヨークと、前記軸ヨークを周方向に取り囲むように筒状に形成されて前記各コイルの周方向の外側に配置された外部ヨークと、を備え、前記コイルの軸方向の両端が開放されており、前記コイル支持体に支持された前記各コイルが前記磁界中を前記コイルの軸方向に駆動することで発電することを特徴とする。
また、本発明に係る発電機は、前記コイルの振動周波数と同等の周波数で発電するようにしてもよい。
また、本発明に係る発電機は、前記コイルの可動範囲内に磁界を発生させる手段として、前記各コイルの外側にそれぞれ配置された外側磁石と、前記各コイルの内側にそれぞれ配置された内側磁石と、を備え、さらに、前記軸ヨークには、前記内側磁石が前記外側磁石と対向する位置になるように固定され、前記外部ヨークには、前記外側磁石が前記内側磁石と対向する位置にて対向するもの同士が異極性となるように固定さ、軸方向に隣り合う2つの前記外側磁石は、隣同士の極性を逆にして配置され、前記外側磁石が、前記コイルを周方向に取り囲むように配設されているようにしてもよい。
かかる構成によれば、発電機は、外側磁石がコイルを周方向に取り囲むように配設されているので、外側磁石に対向した内側磁石が軸ヨークを周方向に取り囲み、また、外側磁石が固定された外部ヨークは軸ヨークを周方向に取り囲むように配設される。
また、発電機では、外側磁石とその対向する内側磁石とによる一対の磁石と、同様の一対の磁石とが、コイルの軸方向に隣り合っているので、これら隣り合う二対の磁石間において、コイルの軸方向にクローズされた定常的な磁気回路を構成できる。したがって、発電機は、コイルの運動に対応して安定した起電力を発生することができる。また、発電機では、コイルの軸方向にループ状に形成される磁気回路がコイルの周方向に複数形成される構造なので、出力を大きくすることができる。また、発電機では、可動子が軽量なコイルなので、可動子が磁石や鉄心である場合に比べ、高い周波数でも動かすことができる。また、発電機では、磁石が固定されたヨークにおいて、コイルの軸方向の両端が開放されており、放熱が良好である。
また、本発明に係る発電機は、前記外部ヨークは前記軸ヨークを周方向に取り囲むように筒状に形成されており、前記外側磁石は、前記外部ヨークの筒内周面を周方向に第1所定間隔をあけて取り囲む所定数の磁石で形成され、前記内側磁石は、前記軸ヨークの外周面を周方向に第2所定間隔をあけて取り囲む前記所定数と同数の磁石で形成されていることが好ましい。
この場合、前記コイル支持体として、例えば、コイルの軸方向に延伸した爪状部材であって前記複数のコイルを径方向における外側と内側から挟持する複数の軸方向支持体と、前記軸ヨークが貫通する開口を有した環状の板部材であって、前記複数の軸方向支持体を軸方向の所定位置でそれぞれ固定する複数の支持板と、を備え、前記複数の軸方向支持体が、前記内側磁石を形成する複数の磁石間の隙間、及び、前記外側磁石を形成する複数の磁石間の隙間に嵌入されているものを用いることができる。
また、本発明に係る発電機は、前記コイルにおいて1ターン分の全体の長さに対する1ターン分の磁界と鎖交する部分の長さの割合である導線使用率が50%以上であることが好ましい。
また、本発明に係る発電機は、前記外部ヨークが前記軸ヨークを周方向に取り囲むように筒状に形成されており、前記外側磁石が、前記外部ヨークの筒内周面の全周を取り囲む磁石で形成され、前記内側磁石が、前記軸ヨークの外周面の全周を取り囲む磁石で形成されていてもよい。このようにすることで、磁束密度が高くなり、発電出力を高くすることができる。
また、本発明に係る発電機は、前記コイルの軸方向において隣り合って磁界の向きが互いに逆向きの2つの前記磁界同士の間の距離を所望の長さL(L>0)とし、かつ、前記各コイルの振動の片振幅をlとして決定している場合、前記コイルの軸方向における前記磁界の幅Wと、前記各コイルの軸方向の幅wとが、下記式(1)の関係を満たすように構成されていることが好ましい。
L≧l+w/2−W/2 … 式(1)
かかる構成によれば、発電機において、可動子が移動し過ぎて逆向きの磁束の中に入る事態を防止し、動作を安定なものにすることができる。
また、本発明に係る発電機は、コアレスのコイルの可動範囲内に発生させた磁界に前記コイルの少なくとも一部分が鎖交するように前記コイルがリニア駆動されて発電する発電機であって、電気的に接続された複数のコイルと、前記複数のコイルを離間して支持する非磁性体からなるコイル支持体と、を備え、前記コイル支持体は前記複数のコイルをコイルの軸方向に支持しており、前記コイル毎に、前記コイルの周方向の外側から内側へ向いて前記コイルの一領域と鎖交する向きの磁界と、前記コイルの周方向の内側から外側へ向いて前記コイルの他領域と鎖交する向きの磁界とを当該コイルの可動範囲内に発生させ、対向した2つの前記コイルにおいて、一方のコイルの所定領域に発生させた磁界の向きと、前記一方のコイルの所定領域に対向した他方のコイルの所定領域に発生させた磁界の向きとは逆向きであり、複数の前記磁界は定常的であって、隣り合う前記磁界の向きが交互になった磁界同士によってループ状の磁気回路が複数形成されるように構成されており、前記コイル支持体に支持された前記各コイルが前記磁界中を前記コイルの軸方向に駆動することで発電し、前記コイルの可動範囲内に磁界を発生させる手段として、前記各コイルの外側にそれぞれ配置された外側磁石と、前記各コイルの内側にそれぞれ配置された内側磁石と、を備え、さらに、前記内側磁石が前記外側磁石と対向する位置になるように固定された柱状の軸ヨークと、前記外側磁石が前記内側磁石と対向する位置にて対向するもの同士が異極性となるように固定された外部ヨークと、を備え、軸方向に隣り合う2つの前記外側磁石は、隣同士の極性を逆にして配置され、前記外側磁石は、前記コイルを周方向に取り囲むように配設されており、前記外部ヨークは前記軸ヨークを周方向に取り囲むように筒状に形成されており、前記外側磁石は、前記外部ヨークの筒内周面を周方向に第1所定間隔をあけて取り囲む所定数の磁石で形成され、前記内側磁石は、前記軸ヨークの外周面を周方向に第2所定間隔をあけて取り囲む前記所定数と同数の磁石で形成されていてもよい。
また、本発明に係る発電機は、前記コイルと、当該コイルの外側に配置された前記外側磁石と、当該コイルの内側に配置された前記内側磁石と、からなる単位構成が、前記コイルの軸方向に2連以上配列することもできる。このようにすることで、発電出力を高くすることができる。
本発明によれば、構造を複雑化することなく、コギングレス、鉄損フリー、軽量、高効率、高放熱性のリニア発電に適した発電機を提供することができる。
本発明の発電機は、コイル駆動方向の両側にヨークが不要なため、コイルを軸方向に複数個並べたり、ターン数を増やしたり、コイルの巻き幅を増やしたりすることで、発電出力を増大することができる。また、本発明の発電機は、コイルの軸方向の両端が開放されているので、コイルをコイルの軸上で安定に支持することができると共に、コイルや磁気回路を自然冷却することができる。
本発明の実施形態に係る発電機の外観を模式的に示す斜視図である。 図1の発電機を右から見た右側面図である。 一部に図1のA−A線断面を含む斜視図である。 図1のA−A線断面矢視図である。 図1のコイルを支持するコイル支持体の斜視図である。 図1の発電機において可動させるコイルの変位量の説明図であって、(a)はマイナスの最大変位、(b)は変位の中心位置、(c)はプラスの最大変位を示している。 図1の発電機の磁場解析のシミュレーション結果を示す図である。 図1の発電機の過渡応答解析の説明図であって、(a)は各コイルと負荷抵抗との接続を示す回路図、(b)は(a)の発電機を等価回路で示した図である。 図1の発電機の過渡応答解析のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の変形例に係る発電機の模式図である。
本発明の発電機を実施するための形態について、図1〜図6を適宜参照して詳細に説明する。なお、各図面に示される部材等のサイズや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
発電機1は、固定された磁石20,30間にてコアレスのコイル10がリニア駆動されて発電するものである。
発電機1は、電気的に接続された複数のコイル10と、各コイル10の外側にそれぞれ配置された外側磁石20と、各コイル10の内側にそれぞれ配置された内側磁石30と、内側磁石30が外側磁石20と対向する位置になるように固定された軸ヨーク40と、外側磁石20が内側磁石30と対向する位置にて対向するもの同が異極性となるように固定された外部ヨーク50と、コイル支持体60(図5参照)と、を備えている。
図3及び図4に示すように、発電機1では、移動方向である左右方向の軸上に2つのコイル10a,10bが離間させて支持されている。なお、説明の都合上、図5以外の図面ではコイル支持体を省略している。また、図3において寸法を表す記号の説明については後記する。なお、軸ヨーク40は軸内部まで詰まった形状で図示したが、中心部を軸方向に空洞にした円筒形状でも良い。
以下では、複数のコイル10と、コイル支持体60とを合わせて可動子とも呼ぶ。
内側磁石30と、内側磁石30が固定された軸ヨーク40とを合わせて内側固定子とも呼ぶ。また、外側磁石20と、外側磁石20が固定された外部ヨーク50とを合わせて外側固定子とも呼ぶ。なお、内側固定子と外側固定子とを区別しない場合、単に固定子と呼ぶ。
<コイル>
コイルの軸方向(図4では左右方向)に複数(2つ)のコイル10a,10bが配置されている。コイル材料としては、導体であればよく、例えば銅、銀、アルミニウム等を挙げることができる。銅の絶縁被覆(マグネットワイヤと呼ばれているタイプのもの)が好適である。
コイル10の運動方向は、軸方向(図4では左右方向)である。
コイルの振幅範囲は、例えば±1mm〜±200mmの範囲であれば、本発明の原理を用いることが可能である。
<磁石>
外側磁石20は、図3及び図4に示すように、内側磁石30と対向する位置にて対向するもの同が異極性となるように配置されている。つまり、外側磁石20についての内側磁石30と対向する面の側がS極ならば、内側磁石30についての外側磁石20と対向する面の側がN極である。
また、図3及び図4に示すように、軸方向に隣り合う2つの外側磁石20は、隣同の極性を逆にして配置されている。
さらに、外側磁石20は、図1及び図2に示すように、コイル10a,10bを周方向に取り囲むように配設されている。
外側磁石20についてのコイルの軸方向の長さは予め定められており、以下、これを磁石の幅W(図3及び図6参照)ともいう。
コイルの軸方向に隣り合う2つの外側磁石20の間の距離は予め定められている。以下、この距離を軸方向磁石間距離L(図3及び図6参照)とも呼ぶ。
内側磁石30は、図3及び図4に示すように、外側磁石20と対向する位置にそれぞれ配置されている。
内側磁石30についてのコイルの軸方向の長さ(磁石の幅)は予め定められており、外側磁石20の磁石の幅Wと同一であることが好ましい。
内側磁石30の厚さT5、外側磁石20の厚さT2は、それぞれ磁気飽和が起こり難い寸法・形状であれば良く、必ずしも同じ厚さである必要はない。
コイルの軸方向に隣り合う2つの内側磁石30の間の距離は予め定められており、外側磁石20の軸方向磁石間距離Lと同一であることが好ましい。
内側磁石30と外側磁石20との距離は、コイル10が振動可能な空間を確保できるように予め定められている。以下、この距離を径方向磁石間距離T3(図3参照)とも呼ぶ。
磁石材料としては、一般的なもの、例えば、永久磁石、電磁石、超電導磁石等を用いることができる。永久磁石の場合、例えば、ネオジム、サマリウムコバルト、フェライト等を用いることが好ましく、特にネオジムが好適である。
<ヨーク>
図1〜図4に示すように、軸ヨーク40は、柱体の形状を有している。図1に示す発電機1では、一例として断面が円形の円柱形とした。
図1〜図4に示すように、外部ヨーク50は、軸ヨーク40を周方向に取り囲むように筒状に形成されている。図1に示す発電機1では、一例として断面が円環状の円筒形の外部ヨーク50とした。
ヨーク材料としては、磁束回路を構成できる材料であればよく、例えば、鉄(純鉄)、永久磁石、電磁鋼板等を用いることができる。飽和磁束密度が高いことが求められるので、特に純鉄が好適である。
発電機1は、軸ヨーク40と外部ヨーク50とを上記形状としたことで、コイル駆動方向(図1の左右方向)の両側にヨークを設ける必要がなくなる。発電機1は、磁石を設けたヨークにおいて、軸方向の両端が開放されており、バックヨークを備えていない。
<磁石とコイルの配置>
本実施形態では、外側磁石20は、図2に示すように、外部ヨーク50の筒内周面を周方向に第1所定間隔をあけて取り囲む複数の所定数の磁石20で形成されている。
同様に、内側磁石30は、軸ヨーク40の外周面を周方向に第2所定間隔をあけて取り囲む前記所定数と同数の磁石で形成されている。
ここでは、外側磁石20についての内側磁石30と対向する面(内周面)の周方向の角度が、内側磁石30についての外側磁石20と対向する面(外周面)の周方向の角度と同じになるように、第1所定間隔と第2所定間隔とが決定されている。別の観点では、磁石20の間隔(第1所定間隔)及び磁石30の間隔(第2所定間隔)は、図2において磁石が配置された角度範囲θに対応付けられる。
具体的には、図2に示すように、外側磁石20は、コイル10毎に、コイル10を囲むようにそれぞれ90°ずらして配置した4個の磁石20で形成されており、同様に、内側磁石30は、コイル10毎に4個の磁石30で形成されている。図2において、磁石が配置された角度範囲θは60°であり、周方向の磁石間の隙間に対応する角度は30°である。図2に示すように外側固定子と内側固定子との間にコイル10を配置する前の状態において固定子の周方向に配置された磁石間の隙間が4か所空いているのは、図5に一例を示す構成のコイル支持体60がこの部分に組み込まれるからである。なお、図2では、外側固定子と内側固定子との間にコイル10を配置した後の状態を図示しているため、隙間が8箇所に空いている。
所定のターン数の導線を巻回したコイル10において1ターン分のうち、全体の長さをC[m]、磁界と鎖交する部分の長さをx[m]とすると、導線使用率η[%]は、式(2)で表される。図2に示す例では、ηは67%となる。
η=x/C×100 … 式(2)
なお、特許文献5に記載されたような日の字状に形成されたヨークを備える構造では、コイルの1ターン分のうち磁界と鎖交する部分は、軸方向から見たコイルの4辺のうち上下方向だけである。つまり、発電に寄与する部分は上下2箇所のコイル辺であって、左右2箇所のコイル辺は発電に寄与せず、導線の使用率を約50%に低下させていた。
発電機1は、図4に示すように、左側のコイル10aを挟む2つの磁石30,20の極性を軸ヨーク40の側からSN,SNと配置し、かつ、右側のコイル10bを挟む2つの磁石30,20の極性を外部ヨーク50の側からSN,SNと配置している。つまり、2つのコイル10a,10bを通過する太い矢印で示す向きの磁束線による磁気回路が形成されるように磁石を配置した。
磁石20と磁石30との間には、コイル10が往復運動をするためのエアギャップがある。加振されることによって左側のコイル10aと右側のコイル10bとは同じ方向に動く。一方で、左側のコイル10aが配置されている部位において固定子が作る磁束の向きは、右側のコイル10bが配置されている部位において固定子が作る磁束の向きとは逆向きである。したがって、同じ方向に動いたときに各コイル10a,10bに流れる電流の向きに合わせて、左側のコイル10aの導線の巻き回す向きは、右側のコイル10bの導線の巻き回す向きとは逆向きとしている。
図4は、図2の発電機を鉛直面(例えばΨ=0°)で切断したときの断面矢視図であるが、例えば−30°≦Ψ≦30°となる範囲の所定角度の平面で切断した場合も同様の図面となり、同様に磁気回路が形成される。また、図2の発電機を水平面(例えばΨ=90°)で切断したり、例えば60°≦Ψ≦120°となる範囲の所定角度の平面で切断した場合も同様の図面となり、同様に磁気回路が形成される。つまり、発電機1では、図2において上下前後の放射状の多数の方向に磁気回路が形成される。なお、特許文献5に記載されたような日の字状に形成されたヨークを備える構造では、1つの方向にしか磁気回路が形成されない。
<コイル支持体>
コイル支持体60(図5参照)は、複数のコイル10a,10bを同一軸上に離間させて支持するものである。コイル支持体60は、コイルと共に振動する。コイル支持体60は非磁性体からなる。
非磁性体の材料としては、例えばプラスティック、セラミックス、非磁性体の金属等を挙げることができる。
図5に一例を示すコイル支持体60は、複数(例えば4個)の軸方向支持体61,62,63,64と、複数(例えば2枚)の支持板65,66と、を備えている。
軸方向支持体61,62,63,64は、コイルの軸方向に延伸した爪状部材であって複数のコイル10a,10bを径方向における外側と内側から挟持するものである。軸方向支持体61,62,63,64は、内側磁石30を形成する複数の磁石間の隙間、及び、外側磁石20を形成する複数の磁石間の隙間に嵌入される。
支持板65,66は、軸ヨーク40が貫通する開口65a,66aを有した環状の板部材であって、複数の軸方向支持体61,62,63,64を軸方向の所定位置でそれぞれ固定するものである。図示した例では、支持板65が、コイル支持体60の左端で軸方向支持体61,62,63,64を固定し、支持板66が、コイル支持体60の右端で軸方向支持体61,62,63,64を固定する。
支持板65,66には、軸方向支持体61,62,63,64の各爪状部材が嵌合する複数(例えば8個)の穴部が形成されている。
この場合、可動子(コイル10及びコイル支持体60)は例えば次のようにして固定子に組み込まれる。コイル支持体60は、各コイル10の左右方向からスペーサ67,67を密着させて配設した上で軸方向支持体61,62,63,64によって各コイル10の内側と外側から挟持して各コイル10と一体に組み立てられる。ここで、スペーサ67,67は、例えば軸方向支持体61からコイル10がずれないようにするために2つの爪状部材の隙間を埋める非磁性体である。そして、各コイル10と一体に組み立てられた4つの軸方向支持体61,62,63,64を、図2に示す固定子において90°ずらして配置された4つの隙間にそれぞれはめ込む。そして、固定子のヨークが配置されていない軸方向(左右方向)の両側から軸方向支持体61,62,63,64の左端及び右端を2つの支持板65,66の穴部に嵌合して固定する。
図5に示す例では、振動による導線の破断を防ぐため、コイル10と図示しない外部回路との接触部には編み線を用いている。すなわち、コイル10aの導線の左端部は、図示しない編み線を介して外部回路に接続され、コイル10aの導線の右端部は、コイル10bの導線の左端部に連結されている。また、コイル10bの導線の右端部は、図示しない編み線を介して外部回路に接続されている。ここで、2つのコイル10a,10bを直列に接続するために1本の導線で2つのコイル10a,10bを形成してもよい。
<動作>
発電機1のコイル支持体60は、コイル10の軸方向の両側から、図示しない支持機構によって支持される。このうち、一方(例えば左)の支持機構にはコイル支持体60を往復運動させるための駆動軸が設けられ、他方(例えば右)の支持機構にはコイル支持体60の往復運動を円滑にするための軸受が設けられる。例えば熱音響機関と接続される場合には、前記した一方の支持機構の駆動軸は、熱音響機関の音波振動出力端、すなわち共鳴管の先端部近傍に設けられたピストンなどで構成した振動部に直結される。ここで、振動部は、音波振動エネルギーが与えられると共鳴管内にて往復運動する部材である。
そして、発電機1は、振動エネルギーによって可動子が往復運動して図4および図6に示すように、コイル10a,10bが磁界方向に対して垂直に動くことで、フレミングの右手の法則にしたがって、鎖交箇所に起電力が発生し、コイル10a,10bから電力を取り出すことができる。可動子の運動方向は図4において左右方向である。図4には、コイル10a,10bが左向きに動くときの電流の向きを図示した。
[発電機の構成要素の設計例]
図3に示すように、コイル10の内径は、軸ヨーク40の直径φ1と、磁石30の厚さT5の2倍の長さと、エアギャップとの和で表される。ここでは、エアギャップを、径方向磁石間距離T3からコイルの厚さを差し引いた長さで定義した。すなわち、コイルの厚さをT4とすると、エアギャップGは次の式(3)で表される。
G=T3−T4 … 式(3)
コイル10の内径は、1ターンの導線長さに比例する。コイル10の内径を大きくすれば、コイル10を横切る磁束が増え、発電量が増える。径方向磁石間距離T3を所定値に保つ場合、コイル10の内径を大きくしたときに同様に外側固定子の外径も大きくする。
コイル10に使用する導線として平角線を用いると、丸線に比べて占積率が向上する。巻線(導線)に丸線を用いたコイルでは導線間に隙間が発生し、体積当たりの巻き数は悪くなる。一方、平角線は密着整列が可能で導線間の隙間がなくなり、巻き数の低下を抑えることができる。また、巻き終えたときのコイル表面の凹凸がなくなるため、エアギャップを縮小して設置することができる。
コイル10に使用する導線としてアルミ電線を用いると、銅線に比べて軽量化が向上する。アルミ電線は抵抗率が銅線より1.6倍程度大きくなるが、比重が3割と小さいため、コイルの重量を半分程度にすることができる。
径方向磁石間距離T3は、径方向の磁石20,30間において所望の磁束密度(例えば0.8T程度以上)が得られる距離に調整した。径方向磁石間距離T3を満足するように、コイル10の厚さT4とエアギャップGとを決定した。
さらに、本実施形態では、可動子が移動し過ぎることによって逆向きの磁束の中に入ってしまうことを避けるため、磁石の幅W及びコイルの軸方向の幅(コイル幅w)とが選択されている。すなわち、軸方向磁石間距離Lと、コイルの振動の片振幅lとが決定している場合、発電機1は、磁石の幅W及びコイル幅wが下記式(1)の関係を満たすように構成されている。
L≧l+w/2−W/2 … 式(1)
このことは、磁石の幅Wがコイル幅w以下であっても成り立つ。ただし、磁石の幅Wがコイル幅wより小さい場合、可動子が運動を始める前からコイルの一部分が磁界を抜けていることになる。また、磁石の幅Wがコイル幅wと同じである場合、可動子が運動を始めるとコイルの一部分が磁界を抜け始め、可動子の移動距離が(W+w)/2に達したときにコイルは磁界と鎖交しなくなってしまう。運動する領域に対し、コイルと鎖交する磁界が小さいと、発電が可能な速度が出ていても、そこに磁界がないため、起電力は発生しない。コイルが磁界領域に達したときのみ出力が発生するので、平均電力は低くなる。
そこで、出力を大きくするために、ここでは、図示するように、磁石の幅Wはコイル幅wよりも大きいものとする。出力を正弦波状の波形にするためには、可動範囲内に広く磁界を発生させればよい。可動範囲内に広く磁界を発生させるために、磁石の幅Wをコイルの振動の片振幅lよりも広くした。可動範囲は、コイル幅wと、コイルの振動の片振幅lの2倍の長さ(全振幅)との和で表される。
表1に、発電機の構成要素の各パラメータとその値の一例を示す。表1に示すパラメータ値は、後記するシミュレーションにおいて設定値として用いた。対応するパラメータを表す記号は、図2、図3及び図6に示したものである。
図6は、図4と同様の図面であるが、コイルの変位量を説明するために断面を示すハッチングを省略している。図6(b)は、コイル10a,10bの位置が変位の中心位置の場合を示す図である。図6(a)は、図6(b)に示すコイル位置から変位量l(片振幅l)だけ左(マイナス方向)に変位した左端位置を示す図であり、図6(c)は、図6(b)に示すコイル位置から変位量l(片振幅l)だけ右(プラス方向)に変位した右端位置を示す図である。
表1に示す設定では、磁石の幅Wが、コイル幅wと、片振幅lの2倍の長さ(全振幅)との和となるように設定されている。これにより、可動子の往復運動中にコイル10が磁界を抜けることなく、コイル10が磁界と鎖交しなくなるような事態を防止して、出力を大きくすることができる。
表1に示す設定では、軸ヨーク40及び外部ヨーク50の材料を鉄とした。
一般のモータや発電機ではコイルが鉄芯(コア)に巻きつけられているときに、コイルの電流の向き又は磁束の向きが交播する。この場合に鉄損(渦電流損、ヒステリシス損)が出る。そのため、モータや発電機では珪素鋼板(電磁鋼板)が使われることが多い。
一方、本実施形態の発電機1では、コイル10の外部の固定子(磁石及びヨーク)の磁束の向きや強さが変わらずに常に一定の状態である。つまり、磁気回路が変化しにくく、磁気回路の磁場は直流であるといえる。このように発電機1では交播磁界が発生しないので、表1に示す設定のように、高価な珪素鋼板を使わずに通常の鉄を用いてコストを抑えることができる。
[シミュレーション]
本実施形態の発電機1の性能を確認するため、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を用いて、磁場解析と、過渡応答解析のシミュレーションを行った。
<1.磁場解析>
磁場解析結果から磁束のベクトル図を図7に示す。図7は、図4に示す発電機1の断面図の上半分の領域に対応しており、図7の左右方向は、図4に示す左右方向に一致している。コイル10a,10bの位置は、図6(b)と同様に変位の中心位置である。
図7において、磁束密度のベクトルプロット(小さな多数の矢印)は、矢印の大きさ及び色により磁束密度の強度を示し、矢印の向きで磁束の向きを示している。このベクトルプロットにおいて、矢印の大きさは、例えば赤(1.5T)、橙(1.3T)、黄(1.2T)、緑(0.9T)、水色(0.5T)、青(0.3T)、濃紺(0.1T)の順に小さくなっている。
ベクトルプロットにおいて、矢印の向きから、運動方向(左右方向)に対し、コイルに鎖交させる磁界の向きは垂直(上下方向)であり、2つのコイル10を通過して、ループ状に1つの磁気回路を形成していることが確認できる。
ベクトルプロットにおいて、磁束密度の最大値は2.1T、最小値は0.0076Tであることが分かった。
このうち、内側固定子の左右方向の中間部における磁束密度は、平均1.5T(赤)となり、磁気飽和が発生しないよう調整できたことが確認できた。同じく、外側固定子でも磁束密度は高いといころで1.5T程度であり飽和現象は発生していない。
また、対向する外側磁石20と内側磁石30との間の中心点での磁束密度は、0.9T(緑)程度となった。
図示を省略するが、コイル10a,10bの位置が、図6(a)と同様に変位の左端位置の場合、磁束密度の最大値は2.0T、最小値は0.014Tであった。
また、図示を省略するが、コイル10a,10bの位置が、図6(c)と同様に変位の右端位置の場合、磁束密度の最大値は2.1T、最小値は0.0087Tであった。なお、コイル10の位置によらず、どの場合でも同様の磁気回路を形成していることが確認できた。
<2.過渡応答解析>
シミュレーション上にて、可動子を正弦波状に往復運動させた。このときの条件としては、動作周波数を60Hzとし、コイルの振動の片振幅lを12mmとした。
そして、図8(a)の回路図に示すように、発電機1において直列に接続された2つのコイル10a,10bからなるコイル全体の両端に外部負荷を接続すると共に、電流計及び電圧計を接続し、このときに流れる電流から出力を算出した。なお、2つのコイル10a,10bは巻線方向が互いに異なる。図8(a)に破線で示す発電機1は、図8(b)に示す等価回路では、起電力Eと内部抵抗(抵抗値r)で表すことができる。抵抗値rとしては表1に示すように、0.585Ωであるものとした。
外部負荷として、抵抗値RL=0.585Ω,2.34Ω,5.265Ωの負荷抵抗をそれぞれ接続した場合の特性を過渡応答解析からそれぞれ算出した。その結果を図9に示す。
抵抗値RL=0.585Ωの負荷抵抗を接続した場合、その抵抗値が内部抵抗の抵抗値rと同じなので最大出力が得られ、コイル10の位置が変位の中心位置(図6(b)参照)であるとき、出力波形の振幅が最大となり、この最大値のときに1730Wとなった。この例では動作周波数が60Hzなので、周期は約0.017秒である。よって、例えば、出力0Wで約0.013秒のときに、コイル10の位置が変位の左端位置である場合(図6(a)参照)、次に出力0Wとなる約0.022秒のときに、コイル10の位置が変位の右端位置(図6(c)参照)となり、さらに次に出力0Wとなる約0.03秒のときに、コイル10の位置が変位の左端位置に戻っていることになる。
抵抗値RL=2.34Ωの負荷抵抗を接続した場合、振幅最大値のときに1230Wとなった。
抵抗値RL=5.265Ωの負荷抵抗を接続した場合、振幅最大値のときに700Wとなった。
表1に示すようにコイルの2個の重さは170gであり、コイル支持体60を含めた可動子であっても軽量であるため、熱音響機関においても60Hz以上の動作周波数で振動させることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る発電機1では、コイル10の軸方向の両端は、ヨークなどを設けずに開放したので、自然冷却でコイルや磁気回路の発熱を放熱できる。また、発電機1は、コイル10の軸方向の両端にヨークが不要であることから、装置全体としても従来よりも軽量になる。また、発電機1は、磁気回路における鉄損からフリーであり、コギングからフリーである。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コイル10毎に、コイル10を周方向に囲むようにそれぞれ90°ずらして配置した4個ずつの磁石20,30を用いることとしたが、コイル10を取り囲んで配置する磁石の個数は、2個以上であればよい。図5に示すようなコイル支持体を用いる場合、バランスを考慮すると3個以上であることが好ましい。また、磁石が配置された角度範囲θは導線使用率ηが少なくとも50%以上となるように決定すればよい。
また、磁石が配置された角度範囲θは360°であってもよい。つまり、コイル10毎に、コイル10の全周を囲むように円環状の1個ずつの磁石20,30を用いてもよい。このように円環状にすると、角度範囲θ<360°の場合に比べて費用が高くなるが、磁石の体積が増加するので磁束が多くなり、発電出力を高くすることができる。
また、角度範囲θ=360°の場合、コイル支持体としては、図5に示した構造ではなく、代わりに、例えば非磁性体の円筒状で複数のコイル10を所定幅だけ離間させて外周面に固定させることのできるボビンを用いることができる。
また、コイル支持体は、図5に示したものに限定されるものではない。コイル支持体は、非磁性体の材料を用いて形成され、軸方向の可動度を有して、コイル10を空間に固定できる構造であればよく、例えばコイル10の全体を耐熱性の樹脂で筒状に固めることで形成してもよい。
また、コイル支持体において、コイル駆動方向の少なくとも一端に空冷用はねを設けて冷却機能を高めた構成としてもよい。
また、コイル10aとコイル10bとは接合できれば、直列接続に限らず並列接続でもよい。
また、発電機1は、複数のコイル10として、2連のコイル10a,10bを用いたが、3連のコイルや4連以上のコイルを用いてもよい。このようにコイル10を3連以上の多連の接続とする場合、コイルの個数に応じて磁石20,30を軸方向で増やせばよい。図10には、一例として4連のコイル10a,10b,10c,10dを用いた発電機1Bを示した。図10は、図3に対応した図面である。この発電機1Bには、コイル10と、そのコイル10の外側にそれぞれ配置された磁石20と、当該コイル10の内側にそれぞれ配置された磁石30と、からなる単位構成が、コイルの軸方向に4連配列されている。コイルの軸方向に隣り合う2つの単位構成により、図4に示した磁気回路と同様の磁気回路が形成される。例えばコイル10cを含む単位構成とコイル10dを含む単位構成では、図4に示した磁気回路と同じ方向のループが形成され、コイル10bを含む単位構成とコイル10cを含む単位構成では、図4に示した磁気回路とは逆方向のループが形成される。このようにコイル10を3連以上の多連の接続とする場合、2連のコイル10を用いた場合に比べて、可動子の重量は増えるが、コイルを増加させた分だけ出力を増加させることができる。
また、軸ヨーク40の断面形状は、図示した円形に限らず、楕円形や多角形であっても構わない。同様に、外部ヨーク50の断面形状は、図示した円環に限らず、楕円形や多角形をもとにした環形状であっても構わない。外部ヨーク50の断面形状がこのような形状の場合、コイル10の形状は、図2に示した円環の形状の代わりに、外部ヨーク50の断面形状と同様に楕円形や多角形をもとにした環形状となっても構わない。
また、発電機の加振源(振動源)は、熱音響機関に限定されるものではない。発電機を例えば車量のサスペンションの中に組み込んで、その振動で発電させるようにしてもよい。発電機を例えば海の上に浮かべて波力等によって発電させるようにしてもよい。発電機を例えば橋桁に設置して、橋桁の振動で発電させるようにしてもよい。
1 発電機
10,10a,10b コイル
20 外側磁石
30 内側磁石
40 軸ヨーク
50 外部ヨーク
60 コイル支持体
61,62,63,64 軸方向支持体
65,66 支持円板
65a,66a 開口部
67 スペーサ

Claims (6)

  1. コアレスのコイルの可動範囲内に発生させた磁界に前記コイルの少なくとも一部分が鎖交するように前記コイルがリニア駆動されて発電する発電機であって、
    電気的に接続された複数のコイルと、
    前記複数のコイルを離間して支持する非磁性体からなるコイル支持体と、
    前記各コイルの周方向の内側および外側のそれぞれに配置されたヨークと、を備え、
    前記コイル支持体は前記複数のコイルをコイルの軸方向に支持しており、
    前記コイル毎に、前記コイルの周方向の外側から内側へ向いて前記コイルの一領域と鎖交する向きの磁界と、前記コイルの周方向の内側から外側へ向いて前記コイルの他領域と鎖交する向きの磁界とを当該コイルの可動範囲内に発生させ、
    対向した2つの前記コイルにおいて、一方のコイルの所定領域に発生させた磁界の向きと、前記一方のコイルの所定領域に対向した他方のコイルの所定領域に発生させた磁界の向きとは逆向きであり、
    複数の前記磁界は定常的であって、隣り合う前記磁界の向きが交互になった磁界同士によってループ状の磁気回路が複数形成されるように構成されており、
    前記ヨークは、
    前記各コイルの周方向の内側に配置された柱状の軸ヨークと、
    前記軸ヨークを周方向に取り囲むように筒状に形成されて前記各コイルの周方向の外側に配置された外部ヨークと、を備え、前記コイルの軸方向の両端が開放されており、
    前記コイル支持体に支持された前記各コイルが前記磁界中を前記コイルの軸方向に駆動することで発電することを特徴とする発電機。
  2. 前記コイルの振動周波数と同等の周波数で発電することを特徴とする請求項1に記載の発電機。
  3. 前記コイルの可動範囲内に磁界を発生させる手段として、
    前記各コイルの外側にそれぞれ配置された外側磁石と、
    前記各コイルの内側にそれぞれ配置された内側磁石と、を備え、さらに、
    前記軸ヨークには、前記内側磁石が前記外側磁石と対向する位置になるように固定され、
    前記外部ヨークには、前記外側磁石が前記内側磁石と対向する位置にて対向するもの同士が異極性となるように固定さ
    軸方向に隣り合う2つの前記外側磁石は、隣同士の極性を逆にして配置され、
    前記外側磁石は、前記コイルを周方向に取り囲むように配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発電機。
  4. 前記外部ヨークは前記軸ヨークを周方向に取り囲むように筒状に形成されており、
    前記外側磁石は、前記外部ヨークの筒内周面を周方向に第1所定間隔をあけて取り囲む所定数の磁石で形成され、
    前記内側磁石は、前記軸ヨークの外周面を周方向に第2所定間隔をあけて取り囲む前記所定数と同数の磁石で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の発電機。
  5. 前記コイルの軸方向において隣り合って磁界の向きが互いに逆向きの2つの前記磁界同士の間の距離を所望の長さL(L>0)とし、かつ、前記各コイルの振動の片振幅をlとして決定している場合、前記コイルの軸方向における前記磁界の幅Wと、前記各コイルの軸方向の幅wとが、下記式(1)の関係を満たすように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の発電機。
    L≧l+w/2−W/2 … 式(1)
  6. コアレスのコイルの可動範囲内に発生させた磁界に前記コイルの少なくとも一部分が鎖交するように前記コイルがリニア駆動されて発電する発電機であって、
    電気的に接続された複数のコイルと、
    前記複数のコイルを離間して支持する非磁性体からなるコイル支持体と、を備え、
    前記コイル支持体は前記複数のコイルをコイルの軸方向に支持しており、
    前記コイル毎に、前記コイルの周方向の外側から内側へ向いて前記コイルの一領域と鎖交する向きの磁界と、前記コイルの周方向の内側から外側へ向いて前記コイルの他領域と鎖交する向きの磁界とを当該コイルの可動範囲内に発生させ、
    対向した2つの前記コイルにおいて、一方のコイルの所定領域に発生させた磁界の向きと、前記一方のコイルの所定領域に対向した他方のコイルの所定領域に発生させた磁界の向きとは逆向きであり、
    複数の前記磁界は定常的であって、隣り合う前記磁界の向きが交互になった磁界同士によってループ状の磁気回路が複数形成されるように構成されており、
    前記コイル支持体に支持された前記各コイルが前記磁界中を前記コイルの軸方向に駆動することで発電し、
    前記コイルの可動範囲内に磁界を発生させる手段として、
    前記各コイルの外側にそれぞれ配置された外側磁石と、
    前記各コイルの内側にそれぞれ配置された内側磁石と、を備え、さらに、
    前記内側磁石が前記外側磁石と対向する位置になるように固定された柱状の軸ヨークと、
    前記外側磁石が前記内側磁石と対向する位置にて対向するもの同士が異極性となるように固定された外部ヨークと、を備え、
    軸方向に隣り合う2つの前記外側磁石は、隣同士の極性を逆にして配置され、
    前記外側磁石は、前記コイルを周方向に取り囲むように配設されており、
    前記外部ヨークは前記軸ヨークを周方向に取り囲むように筒状に形成されており、
    前記外側磁石は、前記外部ヨークの筒内周面を周方向に第1所定間隔をあけて取り囲む所定数の磁石で形成され、
    前記内側磁石は、前記軸ヨークの外周面を周方向に第2所定間隔をあけて取り囲む前記所定数と同数の磁石で形成されていることを特徴とする発電機。
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