JP6314094B2 - 複合紙の製造方法及び複合紙 - Google Patents

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Description

本発明は、複合紙の製造方法及び複合紙に関する。
現在、包装紙は食物等の被包装物を包装するための食品包装材として多く用いられるようになっている。このような包装紙は、被包装物に由来する臭気が外部に漂わないように、また外部から酸素等が侵入して被包装物の劣化を招かないように、高い酸素バリア性が求められている。
このように高い酸素バリア性の要求に応じるべく、天然の植物などを原料とするセルロースナノファイバーを含有する層を酸素バリア層として用いる複合紙が開発されている(特開2011−073174号公報及び特開2011−202101号公報参照)。
これらの複合紙は、セルロースナノファイバーを含有する分散液を基紙の表面に塗布した後、乾燥することにより酸素バリア層を形成している。このような方法を用いることで、糊剤を使用せずに基紙上に酸素バリア層を積層することができる。このような方法では、貼合設備が不要であり、また酸素バリア層を形成した後に貼合部分から剥がれが生じるようなおそれがない。
しかし、上記従来の製造方法では、上記分散液を基紙の表面に塗布した際に分散液中のセルロースナノファイバーが基紙中に含浸し易い。そのために複合紙に必要とされる酸素透過度を確保するために使用するセルロースナノファイバーの量が増加するおそれがある。セルロースナノファイバーは高価であるため、セルロースナノファイバーの使用量が増加すると複合紙のコストに影響する。
特開2011−073174号公報 特開2011−202101号公報
本発明は、上述のような不都合に鑑みてなされたものであり、セルロースナノファイバーの使用量を低減しつつ酸素バリア性に優れる複合紙を製造できる複合紙の製造方法、及び酸素バリア性に優れる複合紙の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、基紙と、この基紙の少なくとも片面側に貼合される酸素バリア層とを備える複合紙の製造方法であって、水分が70質量%以上の湿紙の表面に、セルロースナノファイバーを主成分とするフィルムを貼合し、乾燥する工程を備えることを特徴とする。
セルロースナノファイバーは、結晶状態のセルロース分子の集合体であり、平均繊維径4nm以上100nm以下、平均繊維長が直径の100倍以上の繊維状のセルロースである。当該複合紙の製造方法は、表面が湿潤した湿紙にセルロースナノファイバーを主成分とするフィルムを貼合するので、湿紙表面のパルプとセルロースナノファイバーとの間に水素結合が生じると考えられ、セルロースナノファイバーを主成分とするフィルムが湿紙に強固に貼合される。一方、セルロースナノファイバーを主成分とする上記フィルムは乾燥しているので、上記フィルムを湿紙に積層する際におけるセルロースナノファイバーの湿紙中への含浸が抑制され、複合紙に求められる酸素透過度を確保するために使用するセルロースナノファイバーの量を低減できる。
上記セルロースナノファイバーとして、木材由来のパルプを機械的処理により解繊したものを用いるとよい。セルロースナノファイバーは各種化学的処理を施す製造方法も提案されているが、このような化学的処理を施す製造方法は、煩雑な処理が必要で環境対策や製造コストが嵩む等の産業化に問題があると共に、得られたセルロースナノファイバーは化学的に変質してしまうので好ましくない。上述のように木材由来のパルプを機械的処理により解繊したセルロースナノファイバーは、化学的処理を施したものよりも繊維幅が大きいが、機械的処理により解繊したセルロースナノファイバーを用いても酸素バリア性に優れる複合紙を製造できる。
上記フィルムを貼合する湿紙の水分が90質量%以下であるとよい。このように、セルロースナノファイバーフィルムを貼合する湿紙の水分が上記上限以下であることで、上記フィルムを貼合した湿紙の乾燥時にフィルム内の酸素透過経路が形成され難くなり、より優れた酸素バリア性を有する複合紙を製造できる。
上記貼合乾燥工程で、上記フィルムの湿紙への重ね合せ後1分以内に加圧を開始するとよい。このように、上記フィルムを湿紙に重ね合せた後、上記時間以内に加圧を開始することで、湿紙からフィルムへの水分の浸透が抑制されるので、複合紙の酸素透過度の上昇を抑制できる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、基紙と、この基紙の少なくとも片面側に貼合される酸素バリア層とを備える複合紙であって、当該製造方法によって製造され、上記酸素バリア層の積層量が、10g/m以上50g/m以下であり、JIS−K7126−1(2006)で規定される酸素透過度が、1000mL/(m・day・atm)以下であることを特徴とする。
当該複合紙は、上記酸素バリア層の積層量が上記範囲内であるため、酸素バリア層を形成するためのセルロースナノファイバーの使用量を低減できる。また、当該複合紙は、上記酸素透過度が上記上限以下であるため、好適な可撓性及び酸素バリア性を発揮することができる。
上述のように、当該複合紙の製造方法は、セルロースナノファイバーの使用量を低減しながら酸素バリア性に優れる複合紙を製造できる。また、当該複合紙は、酸素バリア性に優れる。
以下、本発明の複合紙の製造方法及び複合紙の実施形態について説明する。
[複合紙の製造方法]
当該複合紙の製造方法は、基紙と、この基紙の少なくとも片面側に貼合される酸素バリア層とを備える複合紙の製造方法である。当該複合紙の製造方法は、水分が70質量%以上の湿紙の表面に、セルロースナノファイバーを主成分とするフィルムを貼合し、乾燥する工程(貼合乾燥工程)を主に備える。また、当該複合紙の製造方法は、例えばセルロースナノファイバーを主成分とするスラリーを調製する工程(スラリー調製工程)及び上記スラリーを乾燥しフィルム化する工程(フィルム化工程)により上記フィルムを作成する。以下、各工程について詳説する。
<スラリー調製工程>
上記スラリー調製工程において、セルロースナノファイバーを含有するスラリーを調製する。
上記スラリー調製工程で用いるセルロースナノファイバーは、特に限定されるものではないが、木材由来のパルプを機械的処理により解繊(微細化)して得たセルロースナノファイバーを用いることが好ましい。特に、摩砕機によって処理したセルロースナノファイバーを用いることが好ましい。一方、酵素処理、酸処理などの化学的処理により解繊した場合には、得られるセルロースナノファイバーの強度や耐熱性又は吸湿性といった特性の低下を招くおそれがある。この点、セルロース系原料を機械的処理により解繊して得たセルロースナノファイバーは、簡単な製造工程で得ることができると共に、製造コストを低減できる。
上記セルロースナノファイバーの原料は、特に限定されるものではなく、各種木材由来のクラフトパルプ又はサルファイトパルプ、これらを高圧ホモジナイザーやミル、摩砕機等で粉砕した粉末状セルロースなどを使用できる。また、ケナフ、麻、イネ、バガス、竹等の植物を使用することもできる。なお、このセルロース原料を湿式微細化処理して解繊することにより、上述のようにセルロースナノファイバーを得ることができる。湿式微細化処理としては、例えば高速せん断ミキサーや高圧ホモジナイザー、摩砕機などの混合、攪拌、乳化又は分散する装置を必要に応じて単独若しくは2種類以上組合せて用いることができる。
上記解繊処理後のセルロースナノファイバーの保水度の下限としては、350%が好ましく、390%がより好ましい。また、上記解繊処理後のセルロースナノファイバーの保水度の上限としては、800%が好ましく、600%がより好ましい。ここで保水度はJAPAN TAPPI No.26:2000に準拠して評価した値である。保水度が上記下限未満では、繊維径を細くできず、所望の繊維径のセルロースナノファイバーを得ることが難しく、セルロースナノファイバー特有の物性を発現しにくくなる。保水度は高い方が、緻密な酸素バリア層を形成させることができ好ましいが、セルロースナノファイバーの微細化にかかるコスト面、酸素バリア層形成時にかかる乾燥のコスト面で不利となるので、保水度は上記上限以下が好ましい。
上記セルロースナノファイバーの平均繊維径の下限としては、4nmが好ましく、10nmがより好ましい。また、セルロースナノファイバーの平均繊維径の上限としては、100nmが好ましく、50nmがより好ましい。セルロースナノファイバーの平均繊維径が上記上限を超えると、セルロースナノファイバー間の空隙を小さくすることができず、酸素バリア層の緻密性が劣り、当該複合紙が十分な酸素バリア性を得られなくなるおそれがある。また、セルロースナノファイバーの平均繊維径を上記下限未満にするためには、微細化に膨大なエネルギーとコストを要することになり、好ましくない。
<フィルム化工程>
上記フィルム化工程では、例えば上記スラリー調製工程で調製したスラリーをポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルム上にキャスティング又は塗工した後、風乾して上記プラスチックフィルムから剥離することによりフィルム状のセルロースナノファイバーを得る。
<貼合乾燥工程>
上記貼合乾燥工程では、例えばJIS−P8222(1998)に準拠した基紙を形成する過程において、基紙形成時の湿紙の表面に上記フィルム化工程で得たセルロースナノファイバーフィルムを貼合する。具体的には、上記基紙を形成する過程は、(1)原料投入及びパルプの分散、(2)金網を通した水抜き(湿紙形成過程)、(3)コーチング、(4)プレス、及び(5)乾燥であるが、上記過程(2)又は過程(3)後の湿紙に上記フィルムを貼合する。水分が所定範囲の湿紙に上記フィルムを貼合することにより、優れた酸素バリア性を有する複合紙が得られる。上記過程(4)後の基紙の表面にも上記フィルムを貼合できるが、この場合に得られる複合紙は十分な層間強度が得られない。
貼合乾燥工程で上記フィルムを貼合する際の湿紙の水分の下限としては、70質量%であり、75質量%がより好ましい。一方、上記湿紙の水分の上限としては、90質量%が好ましく、88質量%がより好ましい。上記湿紙の水分が上記下限未満であると、湿紙と上記フィルム化工程で作製したセルロースナノファイバーのフィルムとの接着強度が小さくなり貼合できなくなるおそれがある。逆に、上記湿紙の水分が上記上限を超えると、湿紙と上記フィルムとを貼合した後にフィルムが吸湿し、その結果、乾燥後のフィルム内に酸素透過経路が形成され酸素バリア性が低下するおそれがある。
湿紙の表面への上記フィルムの貼合は、具体的には、例えば上記過程(2)又は過程(3)後の湿紙と乾燥プレートとの間に上記フィルムを挟むよう重ね合せてプレス(第1プレス)を行う。第1プレス後、さらに第2プレスを行うことで、上記フィルムを重ね合せた湿紙が搾水される。
上記フィルムの湿紙への重ね合せを上記過程(3)後に行う場合、重ね合せ後から第1プレスによる加圧を開始するまでの時間の上限としては、1分が好ましく、30秒がより好ましい。また、上記フィルムの湿紙への重ね合せ後、できるだけ速やかに上記加圧を開始することが好ましいが、上記加圧を開始するまでの時間の下限としては例えば1秒である。上記加圧を開始するまでの時間が上記上限を超えると、重ね合せた湿紙からフィルムへ水分が浸透し、複合紙の酸素透過度が上昇するおそれがある。逆に、上記加圧を開始するまでの時間が上記下限未満になると、設備上、加圧の実施が困難となるおそれがある。
貼合乾燥工程では、次にフィルムを貼合した湿紙を乾燥する。具体的には、例えば送風機などの空気循環装置を用いて、室内の環境条件下で乾燥する。空気の循環を迅速にすることにより、乾燥時間が短縮できる。また、回転型乾燥機等を用いて高温で乾燥することも、乾燥時間を短縮できる点で好ましい。フィルムを貼合した湿紙が乾燥することにより、基紙の少なくとも片面側に酸素バリア層が積層された当該複合紙が得られる。
上記乾燥時の周囲の温度の下限としては、15℃が好ましく、18℃がより好ましい。一方、上記乾燥時の周囲の温度の上限としては、90℃が好ましく、80℃がより好ましい。上記周囲の温度が上記下限未満であると、乾燥に長時間を要するおそれがある。逆に、上記周囲の温度が上記上限を超えると、酸素バリア層にクラック等が発生し、酸素バリア性が不十分となるおそれがある。
(基紙)
上記基紙としては、機械的離解作用により水中で分散し易いパルプを主成分とするものであれば特に制限はなく、上質紙、中質紙、包装用途などで使用されている晒又は未晒クラフト紙(酸性紙又は中性紙)、純白ロール紙等が任意に使用できる。また、上記基紙として、セルロースを主たる構成成分とするパルプ繊維が絡み合った集合体である包装用紙、板紙、段ボール原紙、ラミネート紙などを使用してもよい。また、本発明の目的効果を損なわない範囲で、任意の坪量及び厚みの基紙を適宜使用できる。
上記基紙には、上記パルプの他、本発明の目的効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の填料やバインダー、サイズ剤定着剤、金属塩、歩留まり向上剤、紙力増強剤、蛍光増白剤、着色顔料、消泡剤、防腐剤、防バイ剤等の各種添加剤を混合してもよい。
また、上記基紙の表面には、強度や印刷適性等を向上させるため、本発明の目的効果を損なわない範囲で、水溶性物質を主成分とする水溶性組成物を塗布することができる。かかる水溶性物質としては、例えばポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉、加工澱粉、ポリスチレン−ブタジエン系、ポリ酢酸ビニル系、アクリル系などのラテックス、ワックスエマルジョン等が挙げられる。なお、かかる水溶性物質は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記基紙には、上記水溶性物質の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、任意成分を適宜使用することができる。この任意成分としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、タルク、焼成カオリン、ホワイトカーボン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化チタン酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン、フェノール樹脂、微小中空粒子などの填料;アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などのサイズ剤;ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、メラミン/ホルマリン樹脂、尿素/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などの歩留り向上剤;紙粉脱落防止剤;湿潤紙力剤;厚さ向上剤;嵩高剤;着色剤;染料などを、その種類及び含有量を適宜調製して添加することができる。
(酸素バリア層)
上記酸素バリア層は、上述のように上記フィルムが基紙に貼合されて形成されたものであり、セルロースナノファイバーを主成分として含有している。
なお、酸素バリア層は、上述の酸素バリア性等の機能を阻害しない範囲で、不可避的不純物等を含んでも良い。ただし、上記酸素バリア層におけるセルロースナノファイバーの含有量の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記下限未満であると、十分な酸素バリア性が発揮できなくなるおそれがある。なお、上記含有量の上限は特に限定されるものではないが、含有量が100質量%以内であればよい。
また、上記酸素バリア層の固形分での積層量の下限としては、10g/mであり、30g/mがより好ましい。一方、上記酸素バリア層の固形分での積層量の上限としては、50g/mである。上記酸素バリア層の積層量を上記範囲とすることで、酸素バリア層によって基紙表面を十分に被覆することができる。上記酸素バリア層の積層量が上記下限未満であると、酸素バリア層内の酸素拡散を十分に抑制できず酸素バリア層を酸素が透過してしまい、酸素バリア性を十分に発揮できなくなるおそれがある。また、上記酸素バリア層の積層量が上記上限を超えると、酸素バリア層が可撓性に欠けることで酸素バリア層にクラックが入り易くなり、酸素バリア性を損なうおそれがある。
〔利点〕
当該複合紙の製造方法は、水分が所定以上の湿紙の表面に、セルロースナノファイバーを主成分とするフィルムを貼合し、乾燥して複合紙を製造する。これにより、湿紙表面のパルプとセルロースナノファイバーとの間に水素結合が生じるため、フィルムが強固に湿紙に貼合すると考えられる。また、上記フィルムを湿紙に積層する際におけるセルロースナノファイバーの湿紙中への含浸が抑制されるので、セルロースナノファイバーの使用量を低減しつつ酸素バリア性に優れる複合紙を製造できる。
[複合紙]
当該複合紙は、基紙と、この基紙の少なくとも片面に積層された酸素バリア層とを備える複合紙であって、当該複合紙の製造方法によって製造される。当該複合紙の酸素バリア層の積層量が、10g/m以上50g/m以下であり、JIS−K7126−1(2006)で規定される酸素透過度が、1000mL/(m・day・atm)以下である。
当該複合紙の酸素透過度の上限としては、1000mL/(m・day・atm)が好ましく、700mL/(m・day・atm)がより好ましい。当該複合紙の酸素透過度が上記上限を超えると、十分な酸素バリア性が得られなくなり、食物を包装するための包装紙等として利用できないおそれがある。
〔利点〕
当該複合紙は、上記酸素バリア層の積層量で上記上限以下の酸素透過度を有するので、可撓性及び酸素バリア性に優れる。これにより、当該複合紙は、これらの特性が求められる用途、特に食物を包装するための包装紙として好適に用いることができる。
<その他の実施の形態>
なお、本発明の複合紙は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、当該複合紙が基紙の両面に酸素バリア層を備える構成を採用することもできる。具体的には、例えば上記製造方法の貼合工程で、湿紙の両面に上記フィルムを重ね合せることにより、基紙の両面に酸素バリア層を備える複合紙を作製できる。
また、上記貼合乾燥工程では、例としてJIS−P8222(1998)に準拠して基紙を形成する過程で上記フィルムを貼合することを説明したが、JIS−P8222(1998)に準拠しない基紙形成過程であっても、その基紙形成過程において水分が上記所定割合の湿紙の表面に上記フィルムを貼合することで優れた酸素バリア性を有する複合紙が得られる。
また、上記実施形態では、スラリー調製工程及びフィルム化工程により湿紙に貼合するセルロースナノファイバーフィルムを得ることとしたが、スラリー調製工程及びフィルム化工程は本発明の必須の工程ではない。湿紙に貼合するためのフィルム状のセルロースナノファイバーフィルムが得られればよく、フィルム化工程において購入したスラリーの塗布によりセルロースナノファイバーフィルムを作成してもよく、購入したフィルム状のセルロースナノファイバーフィルムをそのまま用いてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、測定は下記の方法により行った。
<坪量及び積層量(g/m)>
基紙の坪量(g/m)及び酸素バリア層の積層量(g/m)は、JIS−P8124(2011)に記載の「紙及び板紙−坪量の測定方法」に準拠して測定した。
<セルロースナノファイバーの保水度>
セルロースナノファイバーの保水度は、JAPAN TAPPI No.26:2000に準じた保水度の測定法で測定した。
<酸素透過度>
酸素透過度は、ガス透過度試験機(GTRテック株式会社の「GTR−11AET」)を用いて、JIS−K7126−1(2006)(差圧法)に準拠して、測定対象ガスを酸素とし温度範囲を25℃として、2時間経過後のシートを透過した酸素量を測定した。
(実施例1)
まず、貼合用のセルロースナノファイバーフィルムを作製した。つまり、広葉樹由来のパルプを摩砕機(増幸産業株式会社のマスコロイダー)により解繊して保水度435%のセルロースナノファイバーを得て、このセルロースナノファイバーを含有するゲル状分散液を作製した。そして、このゲル状分散液を風乾してフィルム化し、坪量44.0g/mの貼合用のセルロースナノファイバーフィルムを得た。
そして、JIS−P8222(1998)に準拠した手順により、実施例1の試験用の複合紙を作製した。具体的には、坪量60g/mとなる量の固形分濃度約0.8%のパルプ懸濁液を採取し、このパルプ懸濁液を原質用容器へ投入し撹拌した後、排水して金網上に湿紙を得た。この湿紙に吸取紙、フェルト及びコーチプレートを重ねてコーチングを行い、試験用の湿紙を得た。次に、この湿紙に上記貼合用のフィルムを重ね合せ、重ね合せた後、50秒後にこのフィルムを重ね合せた湿紙をプレスで加圧し、湿紙とフィルムとを貼合した。次に、この湿紙とフィルムとを貼合したシートを回転型乾燥機を使用して約80℃で加熱乾燥し、実施例1の複合紙を得た。
(実施例2)
貼合用のセルロースナノファイバーフィルムとして坪量23.3g/mのものとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例2の複合紙とした。
(実施例3)
貼合用のセルロースナノファイバーフィルムとして坪量22.0g/mのものとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例3の複合紙とした。
(実施例4)
貼合用のセルロースナノファイバーフィルムとして坪量16.5g/mのものとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例4の複合紙とした。
(実施例5)
貼合用のセルロースナノファイバーフィルムを保水度392%のセルロースナノファイバーを使用して作製し坪量31.0g/mのものとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例5の複合紙とした。
(実施例6)
貼合用のセルロースナノファイバーフィルムとして坪量20.3g/mのものとしたこと以外は、実施例5と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例6の複合紙とした。
(実施例7)
貼合用のセルロースナノファイバーフィルムを保水度392%のセルロースナノファイバーを使用して作製し坪量35.3g/mのものとしたこと、及び貼合用のフィルムを湿紙に重ね合せた後、3分経過してからプレスで加圧したこと以外は、実施例1と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例7の複合紙とした。
(実施例8)
貼合用のセルロースナノファイバーフィルムとして坪量27.0g/mのものとしたこと以外は、実施例7と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例8の複合紙とした。
(実施例9)
実施例1の試験用の複合紙の作製工程において、コーチングを行った後の湿紙に貼合用のセルロースナノファイバーフィルムを重ね合せるのではなく、コーチングを行う前の湿紙に貼合用のフィルムを重ね合せたこと以外は、実施例1と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例9の複合紙とした。
(実施例10)
貼合用のセルロースナノファイバーフィルムとして坪量33.0g/mのものとしたこと以外は、実施例9と同様にして試験用の複合紙を作製し、実施例10の複合紙とした。
(比較例1)
実施例5の試験用の複合紙の作製工程において、貼合用のセルロースナノファイバーフィルムを坪量31.2g/mのものとし、コーチングを行った後に貼合用のフィルムを湿紙に重ね合せるのではなく、湿紙をプレスで加圧搾水した後に貼合用のフィルムを湿紙に重ね合せて、この重ね合せたシートを乾燥して比較例1の複合紙とした。
(比較例2)
JIS−P8222(1998)に準拠した手順により基紙を作製し、この乾燥した基紙の表面に、実施例1の貼合用のセルロースナノファイバーフィルムの作製に使用したゲル状分散液を塗工液として塗工した。そしてこのゲル状分散液を基紙に塗工したシートを風乾して比較例2の複合紙とした。風乾後のこの複合紙の酸素バリア層の積層量は21.1g/mであった。なお、比較例2の複合紙の酸素透過度は非常に高いため、比較例2の複合紙の酸素透過度の測定は1分間で測定した。
実施例1〜10、比較例1〜2の上記複合紙の酸素バリア層の積層量及び酸素透過度を測定した。その結果を表1に示す。実施例1の酸素透過度は、上記ガス透過度試験機の測定可能最小値以下であり、測定できなかった。また、比較例1では、基紙と酸素バリア層との層間強度が弱く、酸素バリア層が保持できず貼合できなかったため、酸素バリア層の積層量及び酸素透過度が測定できなかった。
Figure 0006314094
表1の結果より、実施例1〜10の酸素バリア層の酸素透過度は1000mL/(m・day・atm)以下である。これにより実施例1〜10の複合紙は、いずれも優れた酸素バリア性を有している。一方、比較例2の酸素バリア層の酸素透過度は、4.8×10mL/(m・day・atm)と非常に大きかった。これにより、酸素バリア層を塗工により形成する場合に比べて、フィルム化して基紙形成時の所定水分を有する湿紙に貼合して形成することにより酸素バリア性が飛躍的に向上することが確認できた。
また、比較例1の結果より、貼合する際の湿紙表面の水分が70質量%未満であると、セルロースナノファイバーフィルムを湿紙に貼合することができず、複合紙を作製できないことがわかった。
また、同じ保水度(435%)のセルロースナノファイバーフィルムを用いた実施例1〜4と実施例9〜10とを比較すると、実施例1〜4の方が実施例9及び10よりも酸素透過度が小さく、酸素バリア性がより優れていることがわかる。これにより、貼合する際の湿紙として水分が90質量%以下の湿紙を用いることで、酸素バリア性をより向上させることができるといえる。
また、実施例5と実施例7とを比較すると、実施例7の方が実施例5よりも酸素透過度が大きい。また、実施例6と実施例8とを比較すると、実施例8の方が実施例6よりも酸素透過度が大きい。これは、セルロースナノファイバーフィルムを湿紙に重ね合せてプレスにより加圧を開始するまでの時間が、実施例7〜8の場合(3分)の方が実施例5〜6の場合(50秒)よりも長かったためと考えられる。つまり、実施例7〜8の場合は、重ね合せ後、加圧による搾水処理を開始するまでの時間が長かったため、その間に湿紙からフィルムへ水分が浸透し、その結果、乾燥時の水分の蒸発によって酸素バリア層内に酸素透過経路が形成され酸素バリア性が低下したと考えられる。
当該複合紙の製造方法は、セルロースナノファイバーの使用量を低減しながら酸素透過度に優れる複合紙を製造できる。従って、高い酸素バリア性が求められる用途、例えば食物を包装するための包装紙等として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 基紙と、この基紙の少なくとも片面側に貼合される酸素バリア層とを備える複合紙の製造方法であって、
    水分が70質量%以上の湿紙の表面に、セルロースナノファイバーを主成分とするフィルムを貼合し、乾燥する工程を備えることを特徴とする複合紙の製造方法。
  2. 上記セルロースナノファイバーとして、木材由来のパルプを機械的処理により解繊したものを用いる請求項1に記載の複合紙の製造方法。
  3. 上記フィルムを貼合する湿紙の水分が90質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の複合紙の製造方法。
  4. 上記貼合乾燥工程で、上記フィルムの湿紙への重ね合せ後1分以内に加圧を開始する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の複合紙の製造方法。
  5. 基紙と、この基紙の少なくとも片面側に貼合される酸素バリア層とを備える複合紙であって、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造され、
    上記酸素バリア層の積層量が、10g/m以上50g/m以下であり、
    JIS−K7126−1(2006)で規定される酸素透過度が、1000mL/(m・day・atm)以下であることを特徴とする複合紙。
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