JP6145559B1 - パンツ型おむつ、及び、パンツ型おむつの着用方法 - Google Patents

パンツ型おむつ、及び、パンツ型おむつの着用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】下着の下に重ねて着用する際に、下着の外にはみ出し難いパンツ型おむつを提供する。【解決手段】吸収体11と、前記吸収体よりも肌側に配された肌側不織布12と、前記吸収体よりも非肌側に配された非肌側フィルム14と、前記非肌側フィルムよりも非肌側に配された外装不織布16と、を備える吸収性本体10と、前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体の長手方向の各端部を連結するベルト部と、を有し、前記ベルト部は、縦方向の下側かつ横方向の外側へ傾斜した二対の接合部にて、前記吸収性本体と接合されており、縦方向における前記ベルト部の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値は、50mm以上100mm以下であり、縦方向おいて、前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域10ufは、前記肌側不織布の層及び前記外装不織布の層を含む少なくとも3つの層を有している。【選択図】図4

Description

本発明は、パンツ型おむつ及び、パンツ型おむつの着用方法に関する。
従来、吸収性物品として、液吸収体(おむつ本体)と、該吸収体の両側に配置されたウエストベルトとによってパンツ型に形成された使い捨ておむつが知られている。例えば、特許文献1には、ウエストベルトの両端部がおむつ本体の長手方向の両端部に傾斜状に結合され、ウエストベルトの結合部間の両側部を切り欠くことによって脚回り部(脚回り開口)が形成された使い捨ておむつが開示されている。
特開平9−290003号公報
このようなパンツ型おむつは、日常生活等において下着の下に重ねて着用される場合がある。その場合、下着の下からおむつがはみ出さないように両者を着用できることが望ましい。しかしながら、一般的なおむつは不織布等の柔軟性の高いシート部材によって構成されていることから、おむつを引き上げる動作や位置を調整する動作においてシート部材が引っ張られる際に伸びが生じやすく、当該伸びた部分が下着からはみ出してしまうおそれがある。特に、吸収体をフィットさせるために吸収性本体の腹側及び背側の両側上端部をそれぞれ上方に引っ張ると、当該上端部が伸びてしまい、下着の上端から吸収性本体の一部がはみ出しやすい。また、おむつの各部寸法が下着の寸法よりも大きい場合、おむつが下着の下に収まり難くなる。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、下着の下に重ねて着用する際に、下着の外にはみ出し難いパンツ型おむつを提供することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、互いに交差する縦方向と横方向とを有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成されたパンツ型おむつであって、
排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側不織布と、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側フィルムと、前記非肌側フィルムよりも非肌側に配された外装不織布と、を備える吸収性本体と、
前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体の長手方向の各端部を連結するベルト部と、
を有し、
前記ベルト部は、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記縦方向の下側かつ前記横方向の外側へ傾斜した二対の接合部にて、前記吸収性本体と接合されており、
前記縦方向における前記ベルト部の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値は、50mm以上100mm以下であり、
前記縦方向おいて、前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域は、前記肌側不織布の層及び前記外装不織布の層を含む少なくとも3つの層を有しており、
前記接合部は非肌側に起立するように設けられており、前記非肌側の端縁部には、前記吸収性本体と前記ベルト部とが接合されていないドライエッジを有し、
前記接合部の長手方向の両端部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅よりも短く、
前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の幅よりも短い、ことを特徴とするパンツ型おむつである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、下着の下に重ねて着用する際に、下着の外にはみ出し難いパンツ型おむつを提供することが可能となる。
おむつ1の概略斜視図である。 図2Aは、延板状態のおむつ1をベルト部32側から見た概略平面図であり、図2Bは、図2A中のB−B断面図である。 図3Aは、図2Aの延板状態のおむつ1において前側接合部jf,jf及び後側接合部jb,jbの各接合を解いて各ベルト部32,32を横方向の外側に開いた状態の概略平面図であり、図3Bは、図3A中のB−B断面図である。 図3AのC−C断面の構造について説明する概略断面図である。 着用者がおむつ1を着用し、更にその上から下着を着用した状態を正面(腹側)から見た場合について示す概略図である。 パンツ型形状のおむつ1を自然状態で正面(腹側)から見た場合の概略平面図である。 パンツ型形状のおむつ1を縦方向及び横方向に伸長させた状態の概略平面図である。 おむつの引っ張り強度について試験を行った結果について示す図である。 図9Aは、図7中のD−D断面図である。図9Bは、図7中のE−E断面図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに交差する縦方向と横方向とを有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成されたパンツ型おむつであって、排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側不織布と、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側フィルムと、前記非肌側フィルムよりも非肌側に配された外装不織布と、を備える吸収性本体と、前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体の長手方向の各端部を連結するベルト部と、有し、前記ベルト部は、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記縦方向の下側かつ前記横方向の外側へ傾斜した二対の接合部にて、前記吸収性本体と接合されており、前記縦方向における前記ベルト部の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値は、50mm以上100mm以下であり、前記縦方向おいて、前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域は、前記肌側不織布の層及び前記外装不織布の層を含む少なくとも3つの層を有している、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
このようなパンツ型おむつによれば、下着と重ねて着用する際に、下着と共にベルト部を斜め上方に引っ張り上げやすくフィット性を向上させやすい。また、ベルト部の幅が所定範囲内に制限されていることにより、ベルト部が掴みやすく、着用した後は下着のサイド部分からベルト部がはみ出し難い。また、吸収性本体の上端部が3層構造であることにより当該部分の強度が高くなり、吸収性本体を引き上げる際に当該部分が伸び難い。したがって、下着と重ねて着用する際に、吸収性本体の上端部が下着からはみ出し難く、また、吸収体をしっかりと引き上げることで良好なフィット性を実現することができる。
かかるパンツ型おむつであって、前記肌側不織布よりも肌側に配された、液不透過性の疎水性シートを有する、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、吸収性本体の縦方向端部の肌側面に疎水性シートを設けることで、吸収性本体に吸収された排泄液が肌側に戻って染み出すことを抑制し、着用者に不快感を与え難くすることができる。また、吸収性本体の縦方向端部領域において、肌側不織布や外装不織布と積層されることにより、当該領域の強度を高めることができる。
かかるパンツ型おむつであって、前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域を50Nの力で前記縦方向の上側に引っ張ったときの伸び量が1.0mm以下である、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、おむつを着用する際に吸収性本体のうち非肌側フィルムの上端よりも上側の領域が上方に引っ張られた場合であっても、当該領域が伸び難く、吸収性本体の上端部が下着からはみ出すことが抑制される。また、当該領域を引っ張ることで、吸収体をしっかりと引き上げることが可能となるため、良好なフィット性を実現することができる。
かかるパンツ型おむつであって、前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域の前記縦方向における長さが20mm以上である、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、吸収性本体のうち非肌側フィルムの上端よりも上側の領域は、おむつ着用時において着用者が吸収性本体を引っ張る際に指で掴まれやすい領域であることから、当該領域の、強度を十分に確保しつつ、掴みやすい大きさの領域とすることで、着用者が吸収性本体を引き上げる動作を行いやすくすることができる。
かかるパンツ型おむつであって、前記ベルト部は、上端部が前記縦方向に折り返された端部仕舞い構造を有しており、前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域の前記縦方向における長さは、前記ベルト部のうち前記端部仕舞い構造を有する部分の前記縦方向における長さよりも短い、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、ベルト部の上側端部領域が、吸収性本体のうち非肌側フィルムの上端よりも上側の領域に引っ張られるようにして共に上方に引き上げられやすくなる。したがって、吸収性本体を引き上げる動作により、ベルト部を含む胴回り開口部の全体の位置(高さ)を調整しやすくなり、フィット性が向上するとともに、おむつが下着からはみ出し難くなる。
かかるパンツ型おむつであって、前記吸収性本体の腹側で、前記縦方向において前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域に形成される皺の高さの最大値は、前記吸収性本体の背側で、前記縦方向において前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域に形成される皺の高さの最大値よりも小さい、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、おむつを下着の下に重ねて着用した際に、腹側において下着が厚さ方向の非肌側に過度に持ち上げられたり、下着の下でおむつがごわついたりすることが抑制され、良好なフィット性が得やすくなる。また、下着の下におむつを着用していることが目立ち難くなる。
かかるパンツ型おむつであって、前記吸収性本体の腹側及び背側において、前記縦方向の上端かつ、前記横方向の中央には、前記縦方向の上側に突出した先端突出部を有する、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、使用者はおむつの横方向における中央位置を一見して認識しやすくなる。これにより、おむつを着用する際に、身体の正しい位置に吸収性本体をフィットさせやすくなり、吸収性本体が横方向にずれた状態で着用されることによる排泄物の横漏れ等を効果的に抑制することができる。
かかるパンツ型おむつであって、前記先端突出部が、前記縦方向において前記接合部の上端よりも上側に突出している長さは、1mm以上、5mm以下である、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、先端突出部の突出長さを1mm以上とすることで先端突出部が視認し難くなることが抑制される。そして、先端突出部の突出長さを5mm以下とすることで、先端突出部が捲れたり折れ曲がったりすることや下着からはみ出してしまうことが抑制される。これにより、先端突出部が横方向における中央位置を示す目印としての機能を発揮しやすくなる。
かかるパンツ型おむつであって、前記ベルト部は、前記ベルト部の長手方向に沿って伸縮する複数の弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記ベルト部の長手方向の一端から他端まで連続して配置されている、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、弾性部材が長手方向について非連続部を有していないことにより、ベルト部を斜め上方向に引っ張る力が途中で分断されることなく弾性部材に作用し、ベルト部の長手方向の全長に亘って伸縮性が発現する。これにより、吸収性本体を引き上げる効果が向上し、おむつのフィット性をより高めることができる。
かかるパンツ型おむつであって、前記接合部は非肌側に起立するように設けられており、前記非肌側の端縁部には、前記吸収性本体と前記ベルト部とが接合されていないドライエッジを有し、前記接合部の長手方向の両端部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅よりも短い、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、胴回り開口部や脚回り開口部付近でドライエッジの幅を小さくすることにより下着と接合部とが干渉することを抑制し、おむつ着用時において、着用者に胴回りや脚回りの違和感を生じ難くすることができる。
かかるパンツ型おむつであって、自然状態において、前記ベルト部の前記横方向の外側端かつ、前記縦方向の上側端の位置は、前記吸収性本体の上側端よりも前記縦方向の上側である、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、自然状態からベルト部が斜め上に向いているため、ベルト部を掴んで引き上げる際に、力が斜めにかかりやすく、吸収性本体の全域に力が伝わりやすい。これにより、ベルト部が斜め上方に引き上げやすくなり、該ベルト部に連動して吸収性本体も引き上げられつつ拡幅しやすくなる。したがって、おむつのフィット性を向上させやすくなる。
かかるパンツ型おむつであって、自然状態において、前記ベルト部の前記横方向の外側端かつ、前記縦方向の下側端の位置は、前記ベルト部の前記横方向の外側端かつ、前記縦方向の上側端の位置よりも前記横方向の外側である、ことが望ましい。
このようなパンツ型おむつによれば、手で掴む部分であるベルト部の横方向両端部が斜めになっているので、ベルト部を掴んで引き上げる動作を行いやすくなる。
また、互いに交差する縦方向と横方向とを有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成され、下着の下に着用されるパンツ型おむつであって、排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側不織布と、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側フィルムと、前記非肌側フィルムよりも非肌側に配された外装不織布と、を備える吸収性本体と、前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体の長手方向の各端部を連結するベルト部と、を有し、前記ベルト部は、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記縦方向の下側かつ前記横方向の外側へ傾斜した二対の接合部にて、前記吸収性本体と接合されており、前記縦方向における前記ベルト部の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値は、50mm以上100mm以下であり、前記ベルト部、及び、前記吸収性本体の股下部は、前記下着を着用した後に前記下着に隠れる位置に調整される大きさである、ことを特徴とするパンツ型おむつが明らかとなる。
このようなパンツ型おむつによれば、おむつに重ねて下着を着用することで、おむつ着用時の違和感が生じ難くなり、着用者は通常の下着を着用している感覚で日常生活を送ることができる。その際、おむつが下着の下に隠れて目立ちにくいため、着用者は、おむつを着用していることを意識しにくく、精神的な不安感を生じにくくなる。
また、互いに交差する縦方向と横方向とを有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成されており、排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側不織布と、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側フィルムと、前記非肌側フィルムよりも非肌側に配された外装不織布と、を備える吸収性本体と、前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体の長手方向の各端部を連結し、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記縦方向の下側かつ前記横方向の外側へ傾斜した二対の接合部にて前記吸収性本体と接合されたベルト部と、を備えたパンツ型おむつの着用方法であって下着の肌側に前記パンツ型おむつを重ねて配置することと、前記パンツ型おむつ及び前記下着の脚回り開口部に着用者の脚を通した後、前記下着のサイド部分と共に前記ベルト部を斜め上方に引き上げることと、腹側及び背側において、前記下着の前記縦方向の上端部と共に、前記吸収性本体の前記縦方向の上端部を上方に引き上げることと、を有するパンツ型おむつの着用方法が明らかとなる。
このようなパンツ型おむつの着用方法によれば、おむつに重ねて下着を着用することで、おむつ着用時の違和感が生じ難くなり、着用者は通常の下着を着用している感覚で日常生活を送ることができる。そして、下着とおむつとを一緒に着用することで、下着に対しておむつの位置がずれにくく、また、下着の下からはみ出さないようにおむつを着用することができる。
===実施形態===
本実施形態に係る吸収性物品の一例としてのパンツ型使い捨ておむつ1(以下、おむつ1とも呼ぶ)について説明する。本実施形態のおむつ1は、下着の下に重ねて着用することが可能であり、その際、下着からはみ出すことなく着用できるように各部が構成されている。図1は、おむつ1の概略斜視図である。このおむつ1は、着用前の時点で既に図1のようなパンツ型状態となっている。そして、このパンツ型状態において、同おむつ1は、互いに直交する縦方向と横方向と前後方向とを有している。なお、同おむつ1の着用時には、上記の縦方向は、上下方向を向いていることが多い。そのため、以下では、縦方向のことを「上下方向」とも言う。また、この上下方向については、上側が、着用者の胴回り側に対応し、下側が、着用者の股下側に対応している。他方、前後方向については、前側が、着用者の腹側に対応し、後側が、着用者の背側に対応している。
また、同パンツ型状態においては、おむつ1は、上下方向に長手方向を沿わせつつ同長手方向の略中央位置CLL10(図2A)で2つ折りされた帯状の吸収性本体10と、横方向の両側にそれぞれ配されて、上記吸収性本体10における長手方向の各端部10eLf,10eLb同士を連結する各ベルト部32,32と、吸収性本体10の横方向の両側にそれぞれ位置して脚回り開口部LHを形成する各レッグギャザー部37,37と、を有している。
すなわち、吸収性本体10の各端部10eLf,10eLbのうちの一方の端部10eLfは、上方且つ前側に位置し、他方の端部10eLbは、上方且つ後側に位置している。また、おむつ1の前側には、縦方向の上側から下側、かつ、横方向の内側から外側へ傾斜した前側接合部jf,jf(接合部に相当)が、横方向に並んで一対設けられており、同様に、おむつ1の後側にも、縦方向の上側から下側、かつ、横方向の内側から外側へ傾斜した後側接合部jb,jb(接合部に相当)が、横方向に並んで一対設けられている。そして、前者の一対の前側接合部jf,jfによって、前側に位置する吸収性本体10の端部10eLfと各ベルト部32,32の横方向の端部32eLf,32eLfとが接合されているとともに、前側に位置する各レッグギャザー部37,37の端部37eLf,37eLfと各ベルト部32,32の横方向の端部32eLf,32eLfとが接合されている。また、同様に、後者の一対の後側接合部jb,jbによって、後側に位置する吸収性本体10の端部10eLbと各ベルト部32,32の横方向の端部32eLb,32eLbとが接合されているとともに、後側に位置する各レッグギャザー部37,37の端部37eLb,37eLbと各ベルト部32の横方向の端部32eLb,32eLbとが接合されている。
そして、これにより、同パンツ型状態においては、吸収性本体10の上記各端部10eLf,10eLbと各ベルト部32,32の上端部とによって、おむつ1の上部に胴回り開口部BHが形成されている。また、各レッグギャザー部37,37における横方向の外側の端部と各ベルト部32,32の下端部とによって、横方向の両側に一対の脚回り開口部LH,LHが形成されている。
また、各ベルト部32には、それぞれ、横方向に沿った糸ゴム33,33…が上下方向に複数並んで配置されていて、これにより、各ベルト部32には、横方向の伸縮性が付与されている。他方、各レッグギャザー部37にも、それぞれ、吸収性本体10の長手方向に沿った糸ゴム38,38が横方向に複数並んで配置されていて、これにより、各レッグギャザー部37には、上下方向の伸縮性が付与されている。そして、これらの伸縮性に基づいて、おむつ1の胴回り開口部BH及び脚回り開口部LHは、それぞれ、着用者の胴回りや脚回りにフィットするようになっている。
また、図3に示されるように、ベルト部32は、胴回り開口部BHを形成する部分(図3においてベルト部32の横方向外側端部)がまっすぐに延びているのに対して、脚回り開口部LHを形成する部分(図3においてベルト部32の横方向内側端部)は、胴回り開口部BH側に凸となるような曲線(R形状)を描いている。これにより、パンツ型に形成した状態で脚回り開口部LHが下着の脚回りのカーブに沿いやすくなり、下着の下に着用した場合であっても、おむつ1が下着からはみ出しにくくなる。また、このような曲線形状により、おむつ1の着用動作で(着用動作の詳細については後述する)、ベルト部32を斜め上方に引き上げる際に、パンツ型形状におけるベルト部32の横方向端部領域に斜め上方の力が作用しやすくなり、ベルト部32を斜め上方にスムーズに引き上げることができる。
このようなおむつ1は、その製造過程の最終段階で、図2A及び図2Bのような延板状態となっている。なお、図2Aは、当該延板状態のおむつ1をベルト部32側から見た概略平面図であり、図2Bは、図2A中のB−B断面図である。図3Aは、図2Aの延板状態のおむつ1において前側接合部jf,jf及び後側接合部jb,jbの各接合をそれぞれ解いて吸収性本体10の肌側面が見えるように各ベルト部32,32を横方向の外側に開いた状態の概略平面図であり、図3Bは、図3A中のB−B断面図である。図4は、図3AのC−C断面の構造について説明する概略断面図である。また、図2B,図3B及び図4中に示す波形線は、接着剤を模式的に示したものであり、更に、左斜め下線のハッチング模様で示す部分は、溶着部を模式的に示したものである。
図2Aの延板状態のおむつ1は、図1のパンツ型状態のおむつ1において吸収性本体10の2つ折りが解除されるように同吸収性本体10をその長手方向と平行な前後方向の両側に引っ張って伸ばした状態に相当している。そして、この延板状態においては、図2Bに示すように、吸収性本体10及びレッグギャザー部37,37の各肌側面には、各ベルト部32,32が重なった状態になっている。
ちなみに、逆に言えば、この延板状態のおむつ1における一対のベルト部32,32の横方向の内側の各端部32eW1,32eW1をそれぞれ横方向の外側に引っ張りながら、吸収性本体10を長手方向の略中央位置CLL10で二つ折りすれば、おむつ1は、図1のようなパンツ型状態になる。
また、この延板状態においては、おむつ1は、互いに直交する長手方向と横方向と厚さ方向とを有している。そして、この長手方向は、パンツ型状態の縦方向と平行である。また、同長手方向の一方側及び他方側は、それぞれ、着用者の腹側たる前側及び背側たる後側に対応することから、以下では、一方側及び他方側のことを、それぞれ「前側」及び「後側」とも言う。更に、当該延板状態においては、同おむつ1の長手方向は、吸収性本体10、ベルト部32、及びレッグギャザー部37の各長手方向とも揃っている。そのため、以下では、これらを区別せずに単に「長手方向」と言う。一方、横方向については、パンツ型状態の横方向と同じであり、以下では、単に「横方向」と言う。また、厚さ方向については、着用者の身体に接触する側のことを「肌側」ともいい、その逆側のことを「非肌側」とも言う。
更に、この延板状態では、おむつ1を長手方向に伸長した状態にしているが、この「伸長した状態」と言うのは、おむつ1に配置された各弾性部材(例えばベルト部32の糸ゴム33やレッグギャザー部37の糸ゴム38等)による収縮力に抗しておむつ1を長手方向に伸長した場合に、各弾性部材が配置されている部分において実質的に皺やギャザーが視認できなくなる程度まで伸長させた状態のことを言う。したがって、長手方向に伸長した状態におけるおむつ1の形状は、各弾性部材による収縮力が発現していない状態において平坦に延びているおむつ1の形状と同じである。
以下、この延板状態のおむつ1を適宜参照しながら、同おむつ1の構成について説明する。
図2A及び図2Bの延板状態においては、吸収性本体10の横方向の両側にそれぞれレッグギャザー部37,37が位置しており、また、吸収性本体10の肌側面及び各レッグギャザー部37,37の肌側面に重なるように一対のベルト部32,32が横方向に並んで位置している。
かかるベルト部32及びレッグギャザー部37は、同一のシート部材30で形成されている。すなわち、図3A及び図3Bに示すように、吸収性本体10の横方向の両側には、それぞれ、シート部材30,30が1つずつ配置されていて、各シート部材30,30の横方向の内側の端部30eW,30eWは、それぞれ、吸収性本体10の横方向の各端部10eW,10eWに接合されている。詳しくは、当該内側の端部30eWが、吸収性本体10を構成する後述のトップシート12とバックシート14又は外装シート16との間に介挿されつつ、これらのシート12,14,16に接着剤又は溶着で接合されている。また、図3Bに示すように、シート部材30のうちでベルト部32となる部分とレッグギャザー部37となる部分との間には、長手方向に沿った折り返し線FLが設定されている。そして、各シート部材30には、それぞれ、当該折り返し線FLを横方向に跨ぐように脚回り開口部LHが厚さ方向に貫通形成されている。よって、当該折り返し線FLでシート部材30を横方向の内側に折り返すことにより、上記のベルト部32とレッグギャザー部37とが形成される。そして、図2Aに示す前述の前側接合部jf,jf及び後側接合部jb,jbで、吸収性本体10及びレッグギャザー部37,37と各ベルト部32,32とを接合して上記の折り返し状態に固定することにより、上記の延板状態のおむつ1が形成される。
なお、前側接合部jf及び後側接合部jbの形成は、例えばヒートシールや超音波シール等による溶着処理や接着剤による接着処理でなされ、ここでは、溶着処理でなされている。
また、図3Bに示すように、かかるシート部材30の形成は、例えば不織布等の柔軟なシート30a,30aを厚さ方向に二枚重ねにしてなされ、そして、これら二枚重ねのシート30a,30a同士の間には前述の糸ゴム33,38、すなわち、ベルト部32の糸ゴム33,33…及びレッグギャザー部37の糸ゴム38,38が長手方向に伸長された状態で固定されている。
更に、この例では、図2Bに示すように、ベルト部32において胴回り開口部BHとなる部分には、肌ストレス軽減用に端部仕舞い構造が付与されている。すなわち、この延板状態のおむつ1においては、ベルト部32における横方向の内側の端部32eW1,32eW1が、胴回り開口部BHとなる部分であるが、当該端部32eW1,32eW1は、横方向に複数回折り返されて接着剤等で当該折り返し状態に固定されていて、これにより、着用者の肌への負荷軽減が図られている。また、このような端部仕舞い構造を有することにより、ベルト部32の横方向中央部よりも横方向の端部(胴回り開口部BH側の端部)における厚みが厚くなっている。これにより、胴回り開口部BHにおけるクッション性が高くなると共に、おむつ1の着用時にベルト部32の上端部(端部仕舞い構造)が着用者の骨盤(腸骨)の頂点位置よりも上側に配置され、厚みを有する部分が骨盤の出っ張りに引っかかることでベルト部32が下方にずれ落ちにくくなる。したがって、おむつ1のフィット性を向上させることができる。但し、何等これに限らない。すなわち、端部32eW1を折り返さず当該端部仕舞い構造を省略しても良い。
図3Aに示すように、吸収性本体10は、長手方向の各端部10eLf,10eLbがそれぞれ平面視略V字形に先細った形状のシート状部材である。すなわち、吸収性本体10は、長手方向の各端部10eLf,10eLbに、前述の一対の前側接合部jf,jf及び一対の後側接合部jb,jbに対応した形状を有している。また、図3Bに示すように、同吸収性本体10は、尿等の排泄液を吸収する吸収体11と、同吸収体11よりも肌側に配された液透過性のトップシート12と、同吸収体11よりも非肌側に配された液不透過性のバックシート14と、バックシート14よりも非肌側に配された外装シート16と、を有する。
そして、これら各部材11,12,14,16は、それぞれ、厚さ方向に隣接する部材と、ホットメルト接着剤又は溶着等で接合されている。すなわち、吸収性本体10の長手方向の各端部10eLf,10eLbにおいて、各部材11,12,14,16がそれぞれ積層された状態で接合され、長手方向について固定されている。これにより、各端部10eLf,10eLbが長手方向(パンツ型形状における縦方向)に伸びにくくなり、吸収性本体10が下着の中に収まりやすくなる。各端部10eLf,10eLbの伸びの影響については後で説明する。なお、各部材を接合する接着剤の塗布パターンとしては、Ωパターンやスパイラルパターン、ストライプパターン等を例示できて、このことは、この後に出てくる他の接着剤についてだけでなく、既述の接着剤についても同様である。
また、おむつ1を下着の下に着用する際に、おむつ1が下着に隠れるようにするため、吸収性本体10の長手方向の寸法たる製品長は、なるべく短くすることが望ましい。具体的には、450〜750mmであることが好ましい。すなわち、450mm未満であると、お尻を覆うことができずに不安感を助長し、750mmを超えると、腰周りを超えてしまうため、装着時に違和感を引き起こすが、上記範囲にしていれば、これらを防ぐことができると共に、おむつ1が下着からはみ出しにくくなる。
また、本実施形態の吸収性本体10は、横方向の中央、かつ、長手方向腹側の端部において、長手方向の外側(パンツ型形状における縦方向の上側)に円弧状に突出した先端突出部10sを有している。おむつ1をパンツ型形状にした際に、横方向の中央においてこの先端突出部10sがベルト部32の上端(端部32eW1)よりも上側に突出していることにより(図1等参照)、使用者はおむつ1(吸収性本体10)の横方向における中央位置を一見して認識しやすくなる。これにより、おむつ1を着用する際に、身体の正しい位置に吸収性本体10をフィットさせやすくなり、吸収性本体10が横方向にずれた状態で着用されることによる排泄物の横漏れ等が生じるのを抑制することができる。
なお、おむつ1を着用する動作を開始する際に、腹側及び背側においておむつ1が下着の中に収まっているか否かを確認可能とするため、先端突出部10sは吸収性本体10の背側及び腹側の両端部に設けられていることが望ましい(図2、図3等参照)。これにより、おむつ1の着用時に、背側及び腹側においておむつ1の中央部が下着からはみ出していないことを視認しやすくなり、おむつ1の全体が下着からはみ出さないように調整する作業を容易に行うことができる。
吸収体11は、液体吸収性の吸収性コア(不図示)と、同コアの外周面を被覆する不図示のコアラップシートと、を有する。吸収性コアは、所定の液体吸収性素材を所定形状に成形したものであり、図3Aの例では、前端と後端とに円弧状部分を有した平面視略矩形状の成形体である。但し、何等これに限らない。また、液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を例示できるが、何等これに限らない。また、コアラップシートには、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを使用可能であるが、場合によっては、コアラップシートを省略しても良い。なお、吸収体11の長手方向の寸法は、上記の製品長の35〜85%にあることが好ましい。この理由は、35%以上でないと、吸収体11で股間部を覆うことができずに漏れてしまう一方、85%を超えると、装着時に違和感を引き起こすためである。
吸収体11を横方向に伸長させた状態における幅W11(すなわち、横方向における吸収体11の一方側の端と他方側の端との間の距離)は、50mm以上、120mm以下であることが望ましい(120mm≧W11≧50mm)。吸収体11の幅W11を120mm以下とすることにより、下着の下に重ねておむつ1を着用する際に、股間部において吸収体11をもたつきなく下着の中に収めやすくなる。また、幅W11を50mm以上とすることにより、排泄物等を吸収するための面積(吸収容量)を十分に確保しやすくなる。
また、吸収体11の表面には複数の溝部17が形成されている。本実施形態において、溝部17は、第1溝部171と、第2溝部172と、第3溝部173とを有している(図2参照)。溝部17は、吸収体11の横方向の中央において長手方向に沿って直線状に形成されている。第2溝部172は、第1溝部171の横方向の中央を通り長手方向に沿った直線(すなわち、第1溝部171の延長線に相当する直線)と交差しつつ長手方向の後側(背側)に向けて横方向の外側に広がった放物線状に形成されている。第3溝部173は、第2溝部172よりも長手方向の前側において第1溝部171と交差しつつ長手方向の前側(腹側)に向けて横方向の外側に広がった放物線状に形成されている。
これらの溝部17は、いずれも所定の圧搾手段によって吸収体11の表面を圧搾することによって形成された圧搾部である。なお、溝部17は、吸収体11が圧搾された圧搾部として形成されるのではなく、スリットとして形成されていても良い。また、図2のように連なった線状に形成されるのではなく、点状やその他の形状の圧搾部が複数並ぶことによって形成されていても良い。
第1溝部171は、吸収体11が厚さ方向に折れ曲がるように誘導する折り曲げ誘導部としての機能を有する。具体的に、おむつ1の着用時において、着用者の股下部では第1溝部171に沿って吸収体11が着用者の肌側に突出した山型に折れ曲がることで、着用者の身体形状にあわせて吸収体11を適切に変形させることができる。なお、本実施形態のおむつ1は、下着の下に着用することを想定しており、吸収体11は下着よりも着用者の身体に近い位置に配置される。一般的な下着の股間幅(クロッチ幅)は50〜80mmの範囲であることから、第1溝部171を設けることによって吸収体11を変形させることにより、股間部において下着のクロッチ幅内に吸収体11をより確実に納めやすくすることができる。すなわち、上述の寸法範囲(120mm≧W11≧50mm)としたうえで、さらに身体の凹凸形状に沿って吸収体11を立体的に変形させることで、吸収体11の横方向における実質的な幅を狭くすることができる。これにより、股間部において吸収体11が下着からよりはみ出しにくくなる。
また、第1溝部171が配置されている領域よりも背側の領域では、吸収体11を山型形状に変形させる力が第2溝部172によって横方向の外側へ伝達され、吸収体11は該背側領域において平面状に保たれやすくなるため、着用者の身体背部の平坦な部分にフィットしやすくなる。また、吸収体11は、第3溝部173の放物線に沿って曲面状に変形しやすくなるため、着用者の臀部の丸みに対して良好なフィット性を実現することができる。
トップシート12は、不織布等の液透過性シートで形成され、ここでは、エアスルー不織布が使用されている。すなわち、トップシート12は「肌側不織布」に相当する。トップシート12の平面サイズは、図3Aに示すように、吸収体11の長手方向の両側及び横方向の両側から突出するようなサイズである。そして、横方向に突出する部分12eW,12eWは、図3Bに示すように、非肌側且つ横方向の内側に曲げられていて、これにより、当該突出する部分12eW,12eWは、吸収体11の横方向の端部11eWを非肌側からも覆っている。よって、トップシート12の横方向の端部12eW,12eWが肌と擦れないため、装着時の違和感が低減する。
バックシート14は、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルム等の液不透過性シートで形成されている。すなわち、バックシート14は「非肌側フィルム」に相当する。バックシート14も、吸収体11の長手方向の両側及び横方向の両側から突出するような平面サイズのシート部材である。
外装シート16は、不織布等の柔軟なシートで形成される。すなわち、外装シート16は「外装不織布」に相当する。外装シート16は、バックシート14の長手方向の両側及び横方向の両側から突出するようなサイズのシート部材である。
ちなみに、以下の説明では、「吸収性本体10の肌側面」といった表現が使用される場合があるが、この吸収性本体10の肌側面を形成するシートは、同本体10の平面位置に応じて変化する。すなわち、トップシート12が存在している位置では、トップシート12の肌側面が吸収性本体10の肌側面を形成する。しかし、トップシート12が存在しておらずバックシート14が存在している位置では、バックシート14の肌側面が吸収性本体10の肌側面を形成し、また、トップシート12及びバックシート14の両者が存在していない位置では、外装シート16の肌側面が吸収性本体10の肌側面を形成する。
吸収性本体10における長手方向の各端部10eLf,10eLbには、それぞれ、同吸収性本体10の肌側面を覆うように疎水性シート50,50(図3中では、ドット模様の部分を参照)が設けられている。すなわち、トップシート12(肌側不織布)の肌側には、疎水性シート50が積層されている。吸収性本体10の長手方向の各端部10eLf,10eLbは、おむつ1着用時において着用者の腹部又は臀部に対向し得る部位であり、これら各端部10eLf,10eLbの肌側が排泄液で濡れていると、着用者に不快感を生じさせるおそれがある。これに対して、各端部10eLf,10eLbの肌側面に疎水性シート50を設けることで、吸収性本体10に吸収された排泄液が肌側に戻って染み出すことを抑制し、着用者に不快感を与え難くすることができる。
なお、トップシート12、バックシート14、外装シート16、及び疎水性シート50は、いずれも図4に示されるように、縦方向(長手方向)において吸収体11の上端11eLfよりも上方(胴回り側)に突出した部分を有している。更に、トップシート12、外装シート16及び疎水性シート50は、バックシート14の上端14eLfよりも上方(胴回り側)に突出した部分を有している。すなわち、本実施形態のおむつ1では、吸収性本体10のうち、バックシート14(非肌側フィルム)の腹側の上端14eLfよりも上側の領域10ufにおいて、トップシート12、外装シート16及び疎水性シート50を含む少なくとも3つの層を有している。なお、図4では長手方向の腹側についてのみ吸収性本体10の断面構造が示されているが、吸収性本体10は、背側についても略同様の断面構造を有している。すなわち、吸収性本体10は、バックシート14(非肌側フィルム)の背側の上端14eLbよりも上側の領域10ub(いずれも不図示)において、少なくとも3つの層を有している。
そして、吸収性本体の長手方向の端部10eLf,10eLbでは、これらの各層(シート部材)が積層された状態で互いに接合されている。通常のパンツ型おむつであれば、積層されたシート部材同士は、その間に挟まれた弾性部材(糸ゴム)を介して接合されている。すなわち、積層されたシート部材同士は弾性部材が存在する部分では互いに接合されているが、弾性部材が存在していない部分では互いに接合されておらず、シート部材が引っ張られた場合には接合されていない部分が伸びやすい構造を有している。これに対して、本実施形態では、積層されたシート部材同士が面で接合されているため、全体として伸びにくい構成を有している。
===おむつ1の着用態様について===
上述したように、本実施形態のおむつ1は、下着の下に重ねて着用することが可能である。特に、大人がおむつ1の上から下着を重ねて着用する際には、おむつ着用時の違和感が生じ難くなり、着用者は通常の下着を着用している感覚で日常生活を送ることができる。おむつ1を下着と共に着用する場合、予め下着の内側(肌側)におむつ1を重ねて配置しておき、脚回り開口部に着用者の脚を通した後、おむつ1と下着とを一緒に引き上げることで、手間をかけることなくおむつ1及び下着を着用することができる。もちろん、おむつ1を着用した後でその上から下着を着用するようにしても良い。
図5は、着用者がおむつ1を着用し、更にその上から下着を着用した状態を正面(腹側)から見た場合について示す概略図である。同図5では、下着を実線で表し、おむつ1を破線で表している。図6は、パンツ型形状のおむつ1を自然状態で正面(腹側)から見た場合の概略平面図である。「自然状態」とは、おむつ1を所定時間放置した時の状態である。例えば、おむつ1のベルト部32を横方向の両外側に引っ張り、ベルト部32及び吸収性本体10を「伸長した状態」として、この伸長状態を15秒間継続させた後、おむつ1の引っ張りを解除して机等の平面に置く。そして、このような平面平置きで5分間経過させた状態が自然状態である。図7は、パンツ型形状のおむつ1を縦方向及び横方向に伸長させた状態の概略平面図である。なお、図7における「伸長させた状態」は、上述した「伸長した状態」と同義である。また、ベルト部32は、自然状態においては図6のように横方向に対して斜めに傾いているが、伸長した状態では図7のように横方向に真っ直ぐに延びた形状となる。
おむつ1と下着とを重ねて着用する際には、図5の太破線矢印で示されるようにおむつ1のベルト部32の横方向両側部分及び下着のサイド部を掴んで斜め上方向に引っ張る動作が行われる。おむつ1では、横方向両側に配置された一対のベルト部32,32がそれぞれ前側接合部jf,jf(後側接合部jb,jb)によって吸収性本体10に対して斜めに接合されていることから、自然状態においてベルト部32の長手方向が斜め上方向を向いている。具体的には、図6に示されるように、ベルト部32の横方向外側端かつ縦方向上側端をベルト上端32eouとすると、自然状態において上端32eouの位置は吸収性本体10の上端(先端突出部10sの上端)の位置よりも縦方向の上側となる。さらに、ベルト部32の横方向外側端かつ縦方向下側端をベルト下端32eodとすると、自然状態において下端32eodの位置は上端32eouの位置よりも横方向の外側となる。この構成により、自然状態におけるベルト部32は吸収性本体10に対して、横方向の外側かつ縦方向の上側に向かって斜めになる。
そして、ベルト部32には、長手方向に沿って糸ゴム33が設けられていることから、ベルト部32を斜め上方向に引っ張る力によって該糸ゴム33が長手方向に伸長し、ベルト部32に伸縮性が発現する。この伸縮性により、ベルト部32及び前側接合部jfを介して吸収性本体10が横方向の両側から斜め上方向に効率よく引っ張り上げられ、吸収性本体10が幅方向に拡幅されながら着用者の股間部にフィットしやすくなる。
通常のおむつでは弾性部材が横方向に伸縮するように配置されているため、斜め方向に力をかけようとすると、横方向に伸ばしてから縦方向に引き上げるという動作が必要になり、ベルト部材のいずれかの個所に歪が生じやすい。一方、おむつ1の構成では、自然状態でベルト部32が斜め上方を向いているため、ベルト部32を掴んで引き上げる際に、力が斜めにかかりやすく、斜めに引き上げる際にも力が局所的に集中することなく、ベルト部32の延長線上にある吸収性本体10の全域に力が伝わりやすい。つまり、糸ゴム33による伸縮力が伸びにくい吸収性本体10に伝わるため、伸びにくい部分を引き上げやすい。さらに、おむつ1の着用時に手で掴まれる部分であるベルト部32の横方向両端部も斜めになっているため(上端32eou及び下端32eodの位置関係より)、ベルト部32をより引き上げやすい。
なお、一般的な下着は縦方向及び横方向に伸縮しやすい素材(例えば、ポリウレタン弾性繊維等)で形成されているため、おむつのベルト部が十分な伸縮性を有していない場合、おむつと下着とを重ねて着用する際に、下着の伸縮にベルト部の伸縮が追従できず両者を一緒に着用することは難しい。さらに、一般的な使い捨ておむつは自然状態でベルト部が斜め方向を向いておらず、吸収性本体とベルト部とを接合する接合部も斜め方向を向いていない。したがって、ベルト部を伸ばす力は横方向には伝わりやすいが、縦方向には伝わりにくく、下着の力と連動しにくい。
これに対して、本実施形態のおむつ1では、接合部jf,jbが斜めに形成され、ベルト部32が自然状態で斜め方向を向いており、さらにベルト部32の横方向端部も斜めを向いているため、力が斜め方向にかかりやすい。これにより、縦方向にも横方向にも伸縮可能な下着を伸ばした時に発生する斜め上に引き上げる力がベルト部32と連動しやすく、結果として下着からずれることなく、おむつ1を着用することができる。
また、ベルト部32の縦方向における幅の最小値をh32とする(図7参照)。すなわち、h32は、縦方向におけるベルト部32の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値である。おむつ1では、この距離h32が50mm以上100mm以下となるように規定されている(100mm≧h32≧50mm)。h32を100mm以下とすることにより、おむつ1を下着と重ねて着用する際に、ベルト部32が下着のサイド部分からはみ出し難くなる。一方、h32を50mm以上とすることにより、着用者の肌とベルト部32との接触面積を十分に確保することが可能となり、ベルト部32と着用者の肌との摩擦の作用により、ベルト部32が滑ったり丸まって細くなったりすることを抑制しやすくなる。また、成人がものを掴むときに人差し指と親指を広げた時の長さが100mm程度であることから、このような寸法であれば、成人が片手でベルト部32を掴みやすく、ベルト部32を斜め上方向に引っ張る動作を安定して行うことができる。これらにより、ベルト部32のフィット性を高めると共に、下着の下からはみ出し難くすることができる。
ベルト部32を斜め上方へ引っ張り上げた後、図5の太実線矢印で示されるように吸収性本体10の腹側の端部10eLf及び背側の端部10eLb(図5では不図示)を上方へ引き上げ、吸収体11を股間部にフィットさせる動作が行われる。この引き上げ動作では、吸収性本体10の端部10eLf(10eLb)のうち上端(エッジ)部が掴まれて引っ張られる場合が多いが、おむつが不織布等の柔軟な素材で形成されていると、引っ張られた部分が伸びてしまう場合がある。特に、本実施形態のおむつ1は、下着の下に重ねて着用することを想定しているため、端部10eLf(10eLb)が伸びると、その伸びた部分が下着からはみ出してしまうとおそれがある。また、不織布が伸びることにより、吸収体11をしっかりと引き上げることができず、フィット性が悪化するおそれがある。
これに対して、おむつ1では、吸収性本体10の長手方向の端部10eLf(10eLb)において、所定数のシート部材を積層させて強度を高めることにより、当該領域を伸び難くしている。具体的には、図4に示されるように端部10eLfにおいて、少なくとも3層以上の積層構造を有するように吸収性本体10が構成されている。例えば、縦方向においてバックシート14(非肌側フィルム)の上端14eLfよりも上側の領域10ufでは、トップシート12(肌側不織布)と外装シート16(外装不織布)と、疎水性シート50とからなる3つの層を有している。また、縦方向においてバックシート14の上端14eLfと吸収体11の上端11eLfとの間の領域10mfでは、上述の3層に加えて、バックシート14(非肌側フィルム)を含む4つの層を有しているためより強度が高くなっている。更に、これ以外に他の不織布等が積層されていても良い。
図8は、おむつの引っ張り強度について試験を行った結果について示す図である。同図8では、本実施形態のおむつ1及び、不織布によって形成された2種類の既製品のおむつ(従来品)をサンプル1、サンプル2として、吸収性本体10の長手方向の端部領域(領域10ufに相当する領域)を縦方向の上側に引っ張った際の荷重と伸びとの関係を表している。
サンプル1及びサンプル2は、いずれも横方向に連続するベルト部材を有し、端部10eLf(おむつ1では領域10uf)に相当する領域におけるシート部材の積層数が2層以下の使い捨ておむつである。より具体的に、サンプル1は、横方に伸縮性を発現する弾性部材(糸ゴム)が横方向に沿って配置されており、該弾性部材は横方向の中央部(領域10ufに相当する部分)において非連続部分を有している。そして、当該非連続部分においては、弾性部材を挟んで積層されている2枚の不織布間が非接合となっている。一方、サンプル2は、横方に伸縮性を発現する弾性部材(糸ゴム)が横方向に沿って連続して配置されており、当該弾性部材を挟んで配置された2枚の不織布が弾性部材を介して横方向の中央部(領域10ufに相当する部分)において接合されている。
このようなサンプル1、サンプル2、及びおむつ1について、それぞれ領域10ufに相当する領域を引っ張り試験機で掴んで引っ張り、荷重を増加させていったときの伸び量を測定した。つまり、サンプル1では2枚のシート部材が接合されていない部分について引っ張り試験を行い、サンプル2では2枚のシート部材が間欠接合された部分について引っ張り試験を行い、おむつ1では、縦方向(長手方向)において3枚のシート部材が接合された部分について引っ張り試験を行った。その結果、いずれも荷重増加とともに伸び量が増加し、サンプル1では荷重50Nでの伸び量が約7mm、また、伸び限界時の荷重は約70Nであり、それ以降の正確な測定は困難であった。次に、サンプル2では、荷重50Nでの伸び量が約16mm、また伸び限界時の荷重が約100Nであり、それ以降の正確な測定は困難であった。一方、本実施形態のおむつ1では、荷重50Nでの伸び量が1mm以下、荷重100Nでの伸び量が約2mm、そして、伸び限界時の荷重が約300Nであった。
このようにおむつ1では、吸収性本体10の端部10eLf(10eLb)において少なくとも3層以上のシート部材がそれぞれ接合された積層構造を有することにより、端部10eLf(10eLb)の強度が従来品と比較して極めて高く、引っ張りに対して伸び難い構造を有していることが明らかとなった。したがって、おむつ1を着用する際に領域10ufが上側に引っ張られた場合であっても、当該領域が伸びてしまうことが抑制され、吸収性本体10が下着からはみ出し難く、また、吸収体11をしっかりと引き上げることで良好なフィット性を実現することができる。
また、おむつ1では縦方向における領域10ufの長さL10ufが20mm以上となるようにしている。すなわち、縦方向において前記吸収性本体10のうちバックシート14(非肌側フィルム)の上端14eLfよりも上側で、シート部材が3層以上積層されている領域の長さが20mm以上となるようにしている(L10uf≧20mm)。図7の斜線部で示されるように、領域10ufは吸収性本体10の上端かつ一対の前側接合部jf,jfの間に挟まれた領域であり、おむつ1の着用時に着用者が吸収性本体10を引っ張る際に指で掴まれやすい領域である。そこで、当該領域を3層構造とすることで十分な強度を確保しつつ、掴みやすい大きさの領域とすることで、着用者が吸収性本体10を引き上げる動作を行いやすくすることができる。なお、吸収性本体10の縦方向の上端には上述した先端突出部10sが設けられているが、本実施形態では、領域10ufのうち先端突出部10sを除いた部分の長さが20mm以上となるようにしている(図7参照)。
また、縦方向において先端突出部10sが前側接合部jf(後側接合部jb)の上端(すなわちベルト部32の上端位置)よりも上側に突出している長さL10sは、1mm以上、5mm以下である(5mm≧L10s≧1mm)。L10が1mmより短いと、先端突出部10s自体が視認し難くなり、おむつ1の横方向における中央位置を認識することが困難になる。また、L10が5mmより長いと、先端突出部10sが捲れたり折れ曲がったりして、横方向における中央位置を示す目印としての機能を発揮できなくなる。また、L10が長くなると先端突出部10sが下着からはみ出してしまうおそれがある。これに対して、5mm≧L10s≧1mmとすることにより、下着からはみ出すことなく横方向における中央位置を認識しやすくすることができる。
また、吸収性本体10のうち領域10ufの縦方向における長さL10ufは、ベルト部32の上側端部32eW1が折り返されている部分(上述の端部仕舞い構造)の縦方向における長さL32eW1よりも長い。これにより、吸収性本体10の領域10ufが上側に引っ張られる力が、前側接合部jf,jfを介してベルト部32の上側端部32eW1に伝達しやすくなる。つまり、ベルト部32の上側端部32eW1の縦方向における全域が、吸収性本体10の領域10ufと共に上側に引き上げられやすくなる。したがって、吸収性本体10の上側の端部10eLfを引き上げる動作を行うことによって、ベルト部32を含む胴回り開口部BHの全体の位置(高さ)を調整することが可能となる。これにより、おむつ1のフィット性が向上すると共に、おむつ1の胴回り開口部BHが下着からはみ出し難くなる。
また、おむつ1を横方向から見たとき、吸収性本体10の腹側における上端の領域10uf、及び吸収性本体10における上端の領域10ub、には、それぞれ厚さ方向に突出した皺が形成される。これは、胴回り開口部BHのうちベルト部32にはその長手方向に沿って糸ゴム33による伸縮性が作用しているのに対して、吸収性本体10の上端の領域10uf,10ubには伸縮性が作用していないためである。つまり、領域10uf,10ubの横方向両側に伸縮性を有するベルト部32が配置され、接合部jf,jfを介して両側から斜めに引っ張られることによって、端部領域10uf,10ubの平面形状に歪が生じやすくなり、当該歪によって皺が形成されやすくなる。この皺の大きさは、接合部jf、jbの傾斜角度や領域10uf,10ubの縦方向における長さL10uf,L10ubによって変化するが、本実施形態では、吸収性本体10の腹側の端部10eLfに形成される皺の厚さ方向における高さの最大値が、腹側の端部10eLfに形成される皺の厚さ方向における高さの最大値よりも小さくなる。これにより、おむつ1を下着の下に重ねて着用した際に、当該皺の影響により、腹側において下着が厚さ方向の非肌側に過度に持ち上げられたり、下着の下でおむつ1がごわついたりすることが抑制され、良好なフィット性が得やすくなる。また、腹側において皺を小さくすることにより、下着の下におむつ1を着用していることが目立ち難くなる。
==その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、図3Aの展開状態における吸収性本体10の横方向の両側の位置に、横漏れを防ぐための所謂立体ギャザーを設けていなかったが、場合によっては、設けても良い。但し、望ましくは、上述の実施形態のように立体ギャザーを設けない方が良い。詳しくは、次の通りである。
先ず、立体ギャザーを設けるためには、長手方向に沿った糸ゴム等の弾性部材が同方向に伸長された状態で固定された一対の立体ギャザーシートを、吸収性本体10の横方向の両側にそれぞれ固定する。また、同立体ギャザーシートにおいて吸収性本体10に固定された部分よりも横方向の内側の部分については、その長手方向の両端部も吸収性本体10に固定される。そして、これにより、同内側の部分において吸収性本体10に固定されない長手方向の中央部が、上記の弾性部材の収縮力に基づいて起立して、これにより、当該中央部が立体ギャザーとして機能する。しかし、ここで、固定された上記の両端部は、肌側に盛り上がっていることから、着用者の臀部などと擦れやすく、その結果、装着感が失われてしまう。また、見た目にも、おむつらしさが想起されてしまうようになる。そのため、好ましくは、立体ギャザーを設けないようにすると良い。
上述の実施形態では、前側接合部jf及びその近傍部分の断面形状について説明していなかった。そのため、ここで図9A及び図9Bを参照して説明する。図9Aは、図7中のD−D断面図である。図9Bは、図7中のE−E断面図である。すなわち、図9Aは前側接合部jfのうち縦方向における両端部(胴回り開口部BH及び脚回り開口部LH付近)の断面を示し、図9Bは前側接合部jfのうち縦方向における中間部付近の断面を示している。図9A及び図9Bに示すように、前側接合部jfは前後方向の前側(非肌側)に起立するように突出して形成されている。そして、前側接合部jfの吸収性本体10の非肌側には疎水性シート50が存在しているため、同シート50の剛性に基づいて、吸収性本体10と前側接合部jfとの境界部分の角度θ1が鈍角となり、ベルト部32と前側接合部jfとの境界部分の角度θ2が鋭角となるように、前側接合部jfは、横方向の外側に倒れた状態となる。
また、前側接合部jfの外縁部には、ベルト部32と吸収性本体10とが接合されていないドライエッジjdeが設けられている。そして、このドライエッジjdeの幅(すなわちベルト部32と吸収性本体10とが接合されている部分よりも非肌側に突出する部分の長さ)は、縦方向の両端部で最も短く、縦方向の中央部で最も長くなっている。ドライエッジjdeはおむつ1の製造工程において、厚さ方向に重ねられた吸収性本体10及びベルト部32を前側接合部jfに沿って切断する際に、該前側接合部jfの端縁から所定距離だけ離間した位置を切断することによって形成される。その際、前側接合部jf自体を切断してしまうことを防止するために、前側接合部jfの端縁からある程度離れた位置を切断することによってドライエッジjdeをなるべく大きく(長く)形成するのが一般的である。しかし、本実施形態のおむつ1は、下着の下に重ねて着用することを想定しているため、ドライエッジjdeが大きすぎると下着と干渉しやすくなる。特に、胴回り開口部BHや脚回り開口部LH付近においてドライエッジjdeが大きく形成されていると、着用時に下着に締め付けられることによって胴回りや脚回りに違和感を生じさせる要因となる場合がある。そこで、おむつ1では、前側接合部jfの長手方向の両端部におけるドライエッジjdeの幅が、前側接合部jfの長手方向の中央部におけるドライエッジjdeの幅よりも短くなるように、ドライエッジjdeを形成している。これにより、おむつ1の着用時において、着用者に胴回りや脚回りの違和感を生じ難くすることができる。なお、後側接合部jbについても同様である。
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)、
10 吸収性本体、10eLb 端部、10eLf 端部、10eW 端部、
10uf 領域、10ub 領域、10mf領域、
10s 先端突出部、
11 吸収体、11eW 端部、11eLf 上端、
12 トップシート(肌側不織布)、
14 バックシート(非肌側フィルム)、14eLf 上端、14eLb 上端、
16 外装シート(外装不織布)、
17 溝部、
171 第1溝部、172 第2溝部、173 第3溝部、
30 シート部材(シート)、30a シート、30eW 端部、
32 ベルト部、32eLb 端部、32eLf 端部、32eW1 端部、
32eou ベルト上端、32eod ベルト下端、
33 糸ゴム、
37 レッグギャザー部、37eLb 端部、37eLf 端部、
38 糸ゴム、
50 疎水性シート、
BH 胴回り開口部、LH 脚回り開口部、
FL 折り返し線、jb 後側接合部(接合部)、 jf 前側接合部(接合部)、
jde ドライエッジ、
CLL10 略中央位置

Claims (13)

  1. 互いに交差する縦方向と横方向とを有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成されたパンツ型おむつであって、
    排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側不織布と、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側フィルムと、前記非肌側フィルムよりも非肌側に配された外装不織布と、を備える吸収性本体と、
    前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体の長手方向の各端部を連結するベルト部と、
    を有し、
    前記ベルト部は、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記縦方向の下側かつ前記横方向の外側へ傾斜した二対の接合部にて、前記吸収性本体と接合されており、
    前記縦方向における前記ベルト部の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値は、50mm以上100mm以下であり、
    前記縦方向おいて、前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域は、前記肌側不織布の層及び前記外装不織布の層を含む少なくとも3つの層を有しており、
    前記接合部は非肌側に起立するように設けられており、前記非肌側の端縁部には、前記吸収性本体と前記ベルト部とが接合されていないドライエッジを有し、
    前記接合部の長手方向の両端部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅よりも短く、
    前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の幅よりも短い、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  2. 請求項1に記載のパンツ型おむつであって、
    前記肌側不織布よりも肌側に配された、液不透過性の疎水性シートを有する、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  3. 請求項1または2に記載のパンツ型おむつであって、
    前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域を50Nの力で前記縦方向の上側に引っ張ったときの伸び量が1.0mm以下である、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツ型おむつであって、
    前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域の前記縦方向における長さが20mm以上である、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  5. 請求項4に記載のパンツ型おむつであって、
    前記ベルト部は、上端部が前記縦方向に折り返された端部仕舞い構造を有しており、
    前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域の前記縦方向における長さは、
    前記ベルト部のうち前記端部仕舞い構造を有する部分の前記縦方向における長さよりも長い、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツ型おむつであって、
    前記吸収性本体の腹側で、前記縦方向において前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域に形成される皺の高さの最大値は、
    前記吸収性本体の背側で、前記縦方向において前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域に形成される皺の高さの最大値よりも小さい、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のパンツ型おむつであって、
    前記吸収性本体の腹側及び背側において、前記縦方向の上端かつ、前記横方向の中央には、前記縦方向の上側に突出した先端突出部を有する、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  8. 請求項7に記載のパンツ型おむつであって、
    前記先端突出部が、前記縦方向において前記接合部の上端よりも上側に突出している長さは、1mm以上、5mm以下である、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のパンツ型おむつであって、
    前記ベルト部は、前記ベルト部の長手方向に沿って伸縮する複数の弾性部材を有し、
    前記弾性部材は、前記ベルト部の長手方向の一端から他端まで連続して配置されている、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のパンツ型おむつであって、
    自然状態において、前記ベルト部の前記横方向の外側端かつ、前記縦方向の上側端の位置は、前記吸収性本体の上側端よりも前記縦方向の上側である、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  11. 請求項10に記載のパンツ型おむつであって、
    自然状態において、前記ベルト部の前記横方向の外側端かつ、前記縦方向の下側端の位置は、
    前記ベルト部の前記横方向の外側端かつ、前記縦方向の上側端の位置よりも前記横方向の外側である、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  12. 互いに交差する縦方向と横方向とを有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成され、下着の下に着用されるパンツ型おむつであって、
    排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側不織布と、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側フィルムと、前記非肌側フィルムよりも非肌側に配された外装不織布と、を備える吸収性本体と、
    前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体の長手方向の各端部を連結するベルト部と、
    を有し、
    前記ベルト部は、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記縦方向の下側かつ前記横方向の外側へ傾斜した二対の接合部にて、前記吸収性本体と接合されており、
    前記縦方向における前記ベルト部の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値は、50mm以上100mm以下であり、
    前記接合部は非肌側に起立するように設けられており、前記非肌側の端縁部には、前記吸収性本体と前記ベルト部とが接合されていないドライエッジを有し、
    前記接合部の長手方向の両端部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅よりも短く、
    前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の幅よりも短く
    前記ベルト部、及び、前記吸収性本体の股下部は、前記下着を着用した後に前記下着に隠れる位置に調整される大きさである、ことを特徴とするパンツ型おむつ。
  13. 互いに交差する縦方向と横方向とを有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成されており、
    排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側不織布と、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側フィルムと、前記非肌側フィルムよりも非肌側に配された外装不織布と、を備える吸収性本体と、
    前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体の長手方向の各端部を連結し、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記縦方向の下側かつ前記横方向の外側へ傾斜した二対の接合部にて前記吸収性本体と接合されたベルト部と、を備え、
    前記縦方向における前記ベルト部の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値は、50mm以上100mm以下であり、
    前記縦方向おいて、前記吸収性本体のうち前記非肌側フィルムの上端よりも上側の領域は、前記肌側不織布の層及び前記外装不織布の層を含む少なくとも3つの層を有しており、
    前記接合部は非肌側に起立するように設けられており、前記非肌側の端縁部には、前記吸収性本体と前記ベルト部とが接合されていないドライエッジを有し、
    前記接合部の長手方向の両端部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅よりも短く、
    前記接合部の長手方向の中央部における前記ドライエッジの幅は、前記接合部の幅よりも短いパンツ型おむつの着用方法であって、
    下着の肌側に前記パンツ型おむつを重ねて配置することと、
    前記パンツ型おむつ及び前記下着の脚回り開口部に着用者の脚を通した後、前記下着のサイド部分と共に前記ベルト部を斜め上方に引き上げることと、
    腹側及び背側において、前記下着の前記縦方向の上端部と共に、前記吸収性本体の前記縦方向の上端部を上方に引き上げることと、
    を有するパンツ型おむつの着用方法。
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