JP6066464B2 - 非水電解質二次電池用の電解液及びこれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用の電解液及びこれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用の電解液及びこれを用いた非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高く軽量であることから、電子機器の電源として注目され、特にボタン型の非水電解質二次電池は、小型であることから携帯電話等の携帯電子機器に広く利用されている。
電子機器に実装された非水電解質二次電池は、電子機器から発せられた熱により、50℃以上に加熱されることがある。非水電解質二次電池は、長期間加熱されると放電容量が低くなる傾向にある。
加えて、電子機器等の小型化に伴い、非水電解質二次電池は、基板上への面実装化が行われており、その実装方法としては、リフローハンダ付けによる実装化(リフロー処理)が主流となっている。リフロー処理では、非水電解質二次電池を250〜260℃程度で加熱することから、非水電解質二次電池には大きな熱量がかかる。このため、非水電解質二次電池は、リフロー処理が施されることで、放電容量が著しく低くなることがある。
従来、このような高温でのリフローはんだ付けに対応するために、有機エーテル化合物を溶媒とするリチウム二次電池用電解液が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2004−327282号公報
しかしながら、特許文献1のように、単に有機エーテル化合物を溶媒として用いたものは、保存特性が十分では無いという問題があった。
そこで、本発明は、保存特性の向上が図られる非水電解質二次電池用の電解液、及びそれを備えた非水電解質二次電池を提供する。
本発明の非水電解質二次電池用の電解液は、非水溶媒と支持塩とを含有し、前記非水溶媒としては、ビニレンカーボネート、及び融点−20℃以下で沸点205℃以上の環状カーボネートからなり、前記ビニレンカーボネートの割合が20〜40体積%であり、前記環状カーボネートの割合が60〜80体積%であることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池用の電解液は、非水溶媒と支持塩とを含有し、前記非水溶媒としては、ビニレンカーボネート、及び融点−20℃以下で沸点205℃以上のグリコールエーテルからなり、前記ビニレンカーボネートの割合が5〜50体積%であり、前記グリコールエーテルの割合が50〜95体積%であることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池用の電解液は、ビニレンカーボネートと、融点−20℃以下で沸点205℃以上の環状カーボネートと、スルホンと、支持塩とを含有し、前記ビニレンカーボネートの割合が20〜40体積%であり、前記環状カーボネートの割合が30〜40体積%であり、前記スルホンの割合が30〜50体積%であることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の前記電解液を備えることを特徴とする。
本発明によれば、保存特性の向上が図られた非水電解質二次電池用の電解液、及びそれを備えた非水電解質二次電池を提供できる。
本発明の一実施形態にかかる非水電解質二次電池の断面図である。
本発明の非水電解質二次電池1について、以下に図1を用いて説明する。
非水電解質二次電池1は、いわゆるコイン型構造のものである。
図1中、符号2は、有底円筒状の本体部(正極缶)12と、正極缶12の開口部を塞ぐ有蓋円筒状の蓋部(負極缶)22と、正極缶12の内周面に沿って設けられたガスケット40とからなり、正極缶12の開口部周縁を内側にかしめて密封された収納容器である。非水電解質二次電池1は、収納容器2内に、正極10と負極20とがセパレータ30を介して対向配置され、電解液50が充填されたものである。そして、正極10、負極20及びセパレータ30には、収納容器2内に充填された電解液50が含浸している。
正極10は、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる正極集電体14により、正極缶12の内部底面に接着され、負極20は、正極集電体14と同様の負極集電体24により、負極缶22の内部天面に接着されている。
電解液50は、非水溶媒に支持塩を溶解してなるものであり、非水溶媒はビニレンカーボネート(以下、溶媒Aということがある。)と、融点−20℃以下で沸点205℃以上の環状カーボネート、及び融点−20℃以下で沸点205℃以上のグリコールエーテル(以下、溶媒Bということがある。)から選択される少なくとも1種と、を含有する。
電解液50は、溶媒Aと溶媒Bとを併用することで、高い保存特性を発揮する。
融点は、JIS K0064に準拠して測定される値であり、室温以下の場合にはJIS K3331に準拠して測定される値である。
また、電解液50の粘度(20℃)は、5mPa・s以下が好ましく、3mPa・s以下がより好ましい。このような粘度とすることで、常温環境での放電容量の低下を防止できる。溶媒の粘度は、溶媒A及び溶媒Bの種類と、配合割合により調節できる。
なお、粘度は、B型粘度計を用いJIS K7117−1に準拠して測定される値である。
溶媒Aは、下記一般式(1)式で表される常温で液体であるビニレンカーボネート(沸点162℃、融点17℃)である。
Figure 0006066464
溶媒Aは、保存、充放電、リフローの際に電極表面に適した被膜を形成し、電池特性の低下を抑制する効果を有する。
非水溶媒中における溶媒Aの割合は、特に限定されないが、5〜40体積%が好ましく、10〜30体積%がより好ましく、10〜20体積%が特に好ましい。
上記下限値以上であれば、電極表面に良好な膜を形成し、電池特性の低下を良好に防止できる。上記上限値以下であれば、リフロー耐性の向上が図れる。
溶媒Bは、融点−20℃以下で沸点205℃以上の環状カーボネート、及び融点−20℃以下で沸点205℃以上のグリコールエーテルから選択される少なくとも1種である。
溶媒Bを含有することで、溶媒Aによる電極への被膜形成をより良好なものとできる。
環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(融点;−49℃、沸点242℃)、ブチレンカーボネート(融点;−53℃、沸点240℃)が挙げられ、グリコールエーテルとしては、例えば、メチルテトラグライム(融点;−30℃、沸点275℃)等が挙げられ、中でもメチルテトラグライム、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましく、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネートがより好ましく、プロピレンカーボネートが特に好ましい。溶媒Bは、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
溶媒中における溶媒Bの割合は、特に限定されないが、10〜90体積%が好ましく、15〜85体積%がより好ましく、20〜80体積%が特に好ましい。
上記範囲内であれば、保存特性がより高まり、リフロー耐性の向上が図れる。
溶媒A/溶媒Bで表される体積比は、例えば4/3〜1/10が好ましく、1/2〜1/10がより好ましく、1/4〜1/10が更に好ましい。
上記範囲内であれば、保存特性がより高まり、リフロー耐性の向上が図れる。
非水溶媒中の溶媒Aと溶媒Bの合計は、20体積%以上が好ましく、50体積%以上がより好ましく、60体積%以上がさらに好ましく、100体積%であってもよい。
電解液50は、溶媒A及び溶媒B以外にスルホン(溶媒C)を含有してもよい。電解液50が溶媒Cを含有することで、リフロー耐性の更なる向上が図れる。
ここでいうスルホンは、スルホニル基(−SO−)の硫黄原子に結合している2つのアルキル基等が互いに結合して、これらアルキル基と前記S原子とで、環構造を形成していてもよい。
溶媒Cは、例えば、下記一般式(2)で示されるスルホラン(沸点:285℃、融点:28℃)や、下記一般式(3)で示される3−メチルスルホラン(沸点:274℃、融点6℃)等の環状スルホン、下記一般式(4)で示されるジメチルスルホン(沸点:238℃、融点107℃)や、下記一般式(5)で示されるエチルメチルスルホン(沸点:239℃、融点:34℃)や、下記一般式(6)で示されるイソプロピルメチルスルホン(沸点:225℃、融点:−8℃)等の鎖状スルホンが挙げられ、中でも、沸点が240℃以上であるスルホラン、3−メチルスルホランが好ましく、保存特性を向上するスルホランが特に好ましい。
Figure 0006066464
Figure 0006066464
Figure 0006066464
Figure 0006066464
Figure 0006066464
非水溶媒中における溶媒Cの割合は、特に限定されないが、10〜80体積%が好ましく、15〜70体積%がより好ましく、20〜60体積%が更に好ましく、25〜50%が特に好ましい。
上記下限値未満であれば、リフロー耐性が十分に高まらないおそれがあり、上記上限値超では、保存特性が低下するおそれがある。
(溶媒A+溶媒B)/ 溶媒Cで表される比は、1/4〜4/1が好ましく、1/3〜3/1がより好ましく、1/2〜2/1が特に好ましい。上記下限値未満では、保存特性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、リフロー耐性が十分に高まらないおそれがある。
電解液50は溶媒A,B,Cの他に本発明の効果を損なわない範囲で、融点が−20℃以下の任意溶媒である鎖状カーボネートを20〜30体積%含有していてもよい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(HOCOOC、融点:−43℃、沸点:127℃)、エチルメチルカーボネート(HOCOOCH、融点:−55℃、沸点:108℃)等が挙げられる。
支持塩は、非水電解質二次電池の電解液に支持塩として用いられる公知の物質を用いることができる。例えば、LiCHSO、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(FSO等の有機酸リチウム塩、LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、LiBr等の無機酸リチウム塩等のリチウム塩等が挙げられる。中でも、リチウムイオン導電性を有する化合物であるリチウム塩が好ましく、LiN(CFSO2、LiN(FSO2、LiBFがより好ましく、耐熱性及び水分との反応性が低く、保存特性を十分に発揮できるという観点から、LiN(CFSOが特に好ましい。これらの支持塩は1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
電解液50中の支持塩の含有量は、支持塩の種類等を勘案して決定でき、例えば、リチウム塩を用いる場合、0.1〜3.5mol/Lが好ましく、0.5〜3.0mol/Lがより好ましく、1〜2.5mol/Lが特に好ましい。リチウム塩濃度が高すぎても低すぎても電導度の低下が起き、電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
正極缶12の材質としては、従来公知のものが用いられ、例えば、ステンレス鋼等が挙げられる。
負極缶22の材質は、正極缶12の材質と同様である。
正極10としては、従来公知の正極活物質を含有するものが挙げられる。
正極活物質としては、例えば、モリブデン酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、バナジウム酸化物が挙げられ、モリブデン酸化物、リチウムマンガン酸化物が好ましい。正極10がこれら例示の正極活物質を含有することで、非水電解質二次電池1の耐熱性が高まり、リフロー処理又は使用中の加熱による放電容量の低下が抑制される。
モリブデン酸化物としては、例えば、MoO、MoO等が挙げられ、中でも、MoOが好ましい。
リチウムマンガン酸化物としては、例えば、LiMn5−w 12(0≦w<1、MはNi、Co、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)、LiMn2−y (0≦y<1、MはMと同じである)、LiMn4−z (0≦z<1、MはMと同じである)等が挙げられ、中でも、w=0であるLiMn12が好ましい。
リチウム鉄リン酸化合物としては、例えば、LiFe1−p PO(0≦p≦1、MはMn、Ni、Co、Ti、Al、Cr、V、Nbのうちの少なくとも1種類)、LiFe2―q (PO(0≦q≦1、MはMと同じである)等が挙げられ、中でも、LiFePOが好ましい。
リチウムコバルト酸化物としては、例えば、LiCo1−r (0≦r<1、MはMn、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)等が挙げられ、中でも、LiCoOが好ましい。
リチウムニッケル酸化物としては、例えば、LiNi1−s (0≦s<1、MはMn、Co、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)等が挙げられ、中でも、LiNiOが好ましい。
バナジウム酸化物としては、例えば、V、V、V13等が挙げられ、中でも、Vが好ましい。
正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粒状の正極活物質を用いる場合、その平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。上記下限値未満では、リフロー処理における反応性が高くなりすぎて扱いにくくなり、上記上限値超では放電レートが低下するおそれがある。なお、平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定される質量平均粒子径である。
正極10中の正極活物質の含有量は、非水電解質二次電池1に求める放電容量等を勘案して決定され、例えば、50〜95質量%が好ましく、70〜88質量%がより好ましい。上記下限値未満では、十分な放電容量を得にくく、上記上限値超では、正極10を成形しにくい傾向となる。
正極10は、導電助剤(正極10に用いられる導電助剤を正極導電助剤ということがある)を含有してもよい。正極導電助剤としては、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイト等の炭素材料等が挙げられる。これらの正極導電助剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
正極10中の正極導電助剤の含有量は、例えば、4〜40質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。上記下限値未満では、十分な導電性を得にくく、正極10をペレット状に成形する場合に成形しにくく、上記上限値超では正極10の放電容量が不十分になるおそれがある。
正極10はバインダ(正極10に用いられるバインダを正極バインダということがある)を含有してもよい。正極バインダとしては、従来公知の物質を用いることができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)等のポリマー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、中でも、ポリアクリル酸が好ましく、架橋型のポリアクリル酸がより好ましい。これらの正極バインダは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なお、ポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸を予めpH3〜10に調整しておくことが好ましい。pHの調整には、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
正極10中の正極バインダの含有量は、例えば、1〜20質量%とされる。
正極10の大きさは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定される。
正極10の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定され、非水電解質二次電池1が、バックアップ用のボタン型の非水電解質二次電池であれば、300〜1000μmとされる。
正極10は、従来公知の製造方法により得られる。正極10の製造方法は、例えば、(A)成分、(B)成分、ならびに必要に応じて正極導電助剤及び/又は正極バインダを混合して正極合剤とし、この正極合剤を任意の形状に加圧成形する方法が挙げられる。
加圧成形時の圧力は、正極導電助剤の種類等を勘案して決定され、例えば、0.2〜5ton/cmとされる。
正極集電体14としては、従来公知のものが用いられ、例えば、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤等が挙げられる。
負極20としては、非水電解質二次電池1の電圧値等に応じて適宜決定される。非水電解質二次電池1の電圧値が2〜3Vである場合、負極20としては、例えば、SiO、Si(以下、総じてSiO(0≦x<2)という場合がある)、SnO(0≦v<1)、C(グラファイト、ハードカーボン等)、LiTi12、LiAl等を活物質(負極に用いられる活物質を負極活物質ということがある)として含有するものが挙げられ、中でも、SiO(0≦x<2)、Cを含有するものが好ましく、SiO(x=1)を含有するものがより好ましい。なお、SiO(0≦x<2)は、X線回折パターンでブロードを示すアモルファス状で用いられてもよいが、予めSiO(0≦x<2)に熱処理を施して不均化した状態で用いられてもよい。
負極20中の負極活物質の含有量は、特に限定されないが、例えば、40〜85質量%とされる。含有量は、主に負極活物質の導電性により決まり、導電性の低い負極活物質であっても表面を炭素で被覆する等して導電性を高めたものであれば、含有量を高められる。
負極20は、導電助剤(負極20に用いられる導電助剤を負極導電助剤ということがある)を含有できる。負極導電助剤は、正極導電助剤と同様である。
負極20は、バインダ(負極20に用いられるバインダを負極バインダということがある)を含有できる。負極バインダは、従来公知の物質を用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられ、中でも、ポリアクリル酸が好ましく、架橋型のポリアクリル酸がより好ましい。これらの負極バインダは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なお、ポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸を予めpH3〜10に調整しておくことが好ましい。pHの調整には、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
負極20中の負極バインダの含有量は、例えば、1〜20質量%とされる。
負極20の大きさは、正極10の大きさに応じて適宜決定される。
セパレータ30は、従来、非水電解質二次電池のセパレータに用いられるものを適用でき、例えば、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、鉛ガラス等のガラス、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の樹脂からなる不織布等が挙げられる。中でも、ガラス製不織布が好ましく、ホウ珪酸ガラス製不織布がより好ましい。ガラス製不織布は、機械強度に優れると共に、大きなイオン透過度を有するため、内部抵抗を低減して放電容量の向上を図れる。
セパレータ30の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさやセパレータ30の材質等を勘案して決定され、例えば、5〜300μmとされる。
ガスケット40の材質は、熱変形温度が230℃以上の樹脂が好ましい。熱変形温度が230℃以上であれば、例えばリフロー処理で、ガスケット40が著しく変形して電解液50が漏出するのを防止できる。ガスケット40の材質としては、例えば、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、液晶ポリマー(LCP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、これらの材料にガラス繊維、マイカウイスカー、セラミック微粉末等を30質量%以下の添加量で添加したものを好適に用いることができる。このような材質を用いることで、リフローハンダ付けにおいて、ガスケット40の変形を防止し、電解液50の揮発や漏出を防止できる。
上述の通り、本発明によれば、非水電解質二次電池用の電解液は、ビニレンカーボネートと、融点−20℃以下で沸点205℃以上の、環状カーボネート、及びグリコールエーテルから選択される少なくとも1種を含有することで保存特性の向上ができる。
これは、溶媒Aにより電極表面に電解液との過剰反応を抑制する被膜を電極に形成することができ、上記、溶媒(B)により、電解液が電池反応に適した粘度に調整されると共に、溶媒Aによる被膜形成をより良好なものとし、保存による劣化を抑制することができると考えられる。
上述の実施形態では、ステンレス鋼製の正極缶とステンレス鋼製の負極缶とをかしめた収納容器を備えるコイン型構造の非水電解質二次電池を例にして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、非水電解質二次電池は、セラミックス製の容器本体の開口部が、金属製の封口部材を用いたシーム溶接等の加熱処理によってセラミックス製の蓋体で封止された構造であってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、表中の溶媒は、以下の略号にて示す。
VC:ビニレンカーボネート、EC:エチレンカーボネート、PC:プロピレンカーボネート、BC:ブチレンカーボネート、MTG:メチルテトラグライム、SL:スルホラン、MSL:3−メチルスルホラン、GBL:γ―ブチロラクトン
(評価方法)
<保存特性>
得られた非水電解質二次電池6個について、予備加熱温度180℃で10分間加熱し、加熱温度240℃で20秒間の加熱によるリフローテストを3回行った。この処理を施した後、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で電圧2.0Vになるまで放電した。そして、24℃の環境下、電圧3.3Vで48時間印加した。その後24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で電圧2.0Vになるまで放電した際の容量を測定し、この値をV1´とし、V1´が50%に減少する期間を測定した。比較例1のV1´が50%に減少する期間を100とし、表1〜4の実施例1〜22、比較例1〜19のV1´が同様に50%に減少する相対期間を求め、それを保存特性の指標とした。
<容量維持率>
得られた非水電解質二次電池6個について、24℃の環境下、電圧3.6Vで48時間印加した。その後、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で電圧2.0Vになるまで放電した際の容量を測定し、この値をV1とした。次いで、前記の処理を施した非水電解質二次電池6個について、260℃の環境下、リフローはんだ付け処理を2回行い、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で電圧2.0Vになるまで放電した際の容量を測定し、この値をV2とし、下記(a)式により容量維持率(%)を算出した。算出した値を容量維持率とした。容量維持率の値が大きいほど、リフロー耐性に優れる。
容量維持率(%)=V2÷V1×100 ・・・・(a)
(実施例1〜22、比較例1〜19)[実施例4(参考例1)
図1に示す非水電解質二次電池1と同様の非水電解質二次電池を次のように作製した。
表1〜4に従い、正極活物質70質量部と、正極導電助剤である炭素28質量部と、バインダである架橋型のポリアクリル酸2質量部とを混合して正極合剤とした。この正極合剤7mgを2ton/cmで加圧成形し、直径2mm、厚さ600μmの円盤型の正極を得た。
表1〜4に記載の負極活物質を粉砕し、この粉砕物45質量部と、炭素40質量部と、架橋型のポリアクリル酸15質量部とを混合して負極合剤とした。この負極合剤1.0mgを2ton/cmで加圧成形し、直径2.0mm、厚さ200μmの円盤型のペレット状の負極を得た。
表1〜4に従い、各溶媒を混合して非水溶媒とし、得られた非水溶媒に支持塩を溶解して電解液を得た。
ステンレス鋼製の正極缶の内面に、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる正極集電体を用いて正極を接着して正極ユニットを得た。正極ユニットを大気中で、200℃、10時間加熱して、乾燥した。
次いで、正極ユニットの正極缶の開口部の内側面にシール剤を塗布した。
ステンレス鋼製の負極缶の内面に、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる負極集電体を用いて負極を接着し、負極上にリチウムフォイル(直径:2mm、厚さ:200μm)を載置した。
次いで、ホウ珪酸ガラス製繊維を原料とする不織布を乾燥後、直径3mm、厚さ200μmの円盤型に打ち抜いてセパレータとした。このセパレータを負極上に載置し、負極缶の開口部にガスケットを設け、負極ユニットを得た。
正極缶及び負極缶に計5μLの電解液を充填した。
リチウムフォイルがセパレータに当接するように、負極ユニットを正極ユニットに嵌めた。次いで、正極缶の開口部をかしめて正極缶と負極缶とを密封した後、25℃で7日間静置して、各例の非水電解質二次電池を得た。
得られた非水電解質二次電池について、前述した保存特性を評価し、その結果を表1〜4に示す。表2の比較例4〜8は、放電しないため、測定ができなかった。
Figure 0006066464
Figure 0006066464
Figure 0006066464
Figure 0006066464
表1〜4に示すように、本発明を適用した実施例1〜22は、保存特性が102以上であったのに対し、溶媒A又は溶媒Bのみを用いた比較例4〜7は、電池特性の発現が認められなかった。
表3,4において、本発明を適用することで、正極活物質の種類に依らず、保存特性が向上していることが確認できた。
(実施例23〜28、比較例20
表5に従い、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
得られた非水電解質二次電池について、前述した容量維持率を評価し、その結果を表中に示した。
Figure 0006066464
表5に示すように、本発明を適用した実施例23〜28は、溶媒Bのみを用いた比較例20に比べて、容量維持率が向上していることを確認できた。
1非水電解質二次電池
2収納容器
10正極
12正極缶
14正極集電体
20負極
22負極缶
24負極集電体
30セパレータ
40ガスケット
50電解液

Claims (4)

  1. 非水溶媒と支持塩とを含有し、
    前記非水溶媒としては、ビニレンカーボネート、及び融点−20℃以下で沸点205℃以上の環状カーボネートからなり、前記ビニレンカーボネートの割合が20〜40体積%であり、前記環状カーボネートの割合が60〜80体積%であることを特徴とする非水電解質二次電池用の電解液。
  2. 非水溶媒と支持塩とを含有し、
    前記非水溶媒としては、ビニレンカーボネート、及び融点−20℃以下で沸点205℃以上のグリコールエーテルからなり、前記ビニレンカーボネートの割合が5〜50体積%であり、前記グリコールエーテルの割合が50〜95体積%であることを特徴とする非水電解質二次電池用の電解液。
  3. ビニレンカーボネートと、融点−20℃以下で沸点205℃以上の環状カーボネートと、スルホンと、支持塩とを含有し、前記ビニレンカーボネートの割合が20〜40体積%であり、前記環状カーボネートの割合が30〜40体積%であり、前記スルホンの割合が30〜50体積%であることを特徴とする非水電解質二次電池用の電解液。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解液を備えることを特徴とする、非水電解質二次電池。
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