JP6053465B2 - 乗物用シート - Google Patents

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本発明は、シートクッションおよびシートバックを備える乗物用シートに関する。
従来、乗物用シートとして、シートクッションパッドに、着座センサ用のハーネス部材を通すための貫通孔を形成したものが知られている(特許文献1参照)。また、乗物用シートとして、シートクッションパッドを下から支える弾性部材を備えたものも知られている(特許文献2参照)。
特開2012−140064号公報 特開2008−080904号公報
しかしながら、貫通孔が形成されたシートクッションパッドを、弾性部材で下から支持する場合において、貫通孔付近が弾性部材で良好に支持されていないと、貫通孔付近が変形して、ハーネス部材に負荷がかかるおそれがある。
そこで、本発明は、シートクッションパッドに形成した貫通孔を通るハーネス部材に負荷が加わるのを抑えることを目的とする。
また、本発明は、ハーネス部材を貫通孔に通す作業を容易にすることや、ハーネス部材と弾性部材との干渉を抑えることを目的とする。また、本発明は、シートクッションパッドを弾性部材で良好に支持することや、シートクッションパッドの軽量化を図ることや、乗員が貫通孔の存在を感じることによって生じる違和感を抑えることを目的とする。
前記した課題を解決する本発明は、シートクッションおよびシートバックを備える乗物用シートであって、前記シートクッションは、ハーネス部材が挿通される貫通孔を有するシートクッションパッドと、前記シートクッションパッドの一端側から他端側に延びるように配置され、当該シートクッションパッドを下から支える長尺状の弾性部材とを備え、前記弾性部材と前記貫通孔が、前記弾性部材の長手方向に沿った一の鉛直面を横切るように配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、貫通孔付近を弾性部材で支えることができるので、シートクッションパッドの貫通孔の変形を抑えて、ハーネス部材への負荷を低減することができる。
また、前記した構成において、前記貫通孔は、下側から見て前記弾性部材とは重ならない位置に配置することができる。
これによれば、ハーネス部材を貫通孔に通す作業時に弾性部材が邪魔にならないので、当該作業を容易にすることができる。また、貫通孔と弾性部材が重ならないので、ハーネス部材と弾性部材との干渉を抑えることができる。
また、前記した構成において、前記弾性部材は、前記貫通孔の周縁に沿うように形成することができる。
これによれば、弾性部材によって貫通孔付近をより良好に支持することができる。
また、前記した構成において、前記弾性部材は、前記弾性部材の短手方向で複数回屈曲するSバネとすることができる。
これによれば、Sバネによりシートクッションパッドを良好に支持することができる。
また、前記した構成において、前記Sバネは、左右方向に延びるように形成されるとともに、前後に離れて1つずつ設けられ、前記貫通孔は、前側に設けられたSバネに対応して設けられ、当該Sバネの前記貫通孔を囲む部分が、後方に向けて開口された構成とすることができる。
これによれば、乗員からの荷重が大きく加わる後側のSバネよりも荷重が加わり難い前側のSバネに対応して貫通孔を設けたので、貫通孔の変形を抑えて、ハーネス部材への負荷を低減することができる。また、シートクッションパッドの後部が乗員からの荷重によって大きく沈み込むことで、貫通孔および当該貫通孔内のハーネス部材が後方に引っ張られて移動しても、Sバネの貫通孔を囲む部分が後方を向いて開口しているので、ハーネス部材とSバネとの干渉を抑えることができる。
また、前記した構成において、前記貫通孔は、上側の開口よりも下側の開口の方が大きくなるように形成することができる。
これによれば、例えば貫通孔を鉛直方向に真っ直ぐ形成する構成に比べ、貫通孔の下側を広げているので、その分シートクッションパッドの軽量化を図ることができる。また、貫通孔の上側の開口は小さいので、例えば貫通孔の上側の開口を大きくして軽量化を図る構造に比べ、乗員がシートクッションパッドに座ったときに貫通孔の存在を感じることによって生じる違和感を抑えることができる。
本発明によれば、弾性部材と貫通孔が、弾性部材の長手方向に沿った一の鉛直面を横切るように配置されているので、貫通孔付近を弾性部材で支えて貫通孔付近の変形を抑えることができ、ハーネス部材への負荷を低減することができる。
また、本発明によれば、貫通孔を下側から見て弾性部材とは重ならない位置に配置することで、ハーネス部材を貫通孔に通す作業時に弾性部材が邪魔にならないので、当該作業を容易にすることができる。また、貫通孔と弾性部材が重ならないので、ハーネス部材と弾性部材との干渉を抑えることができる。
また、本発明によれば、弾性部材を貫通孔の周縁に沿うように形成することで、弾性部材によって貫通孔付近をより良好に支持することができる。
また、本発明によれば、弾性部材をSバネとすることで、Sバネによりシートクッションパッドを良好に支持することができる。
また、本発明によれば、乗員からの荷重が大きく加わる後側のSバネよりも荷重が加わり難い前側のSバネに対応して貫通孔を設けることで、貫通孔の変形を抑えることができるので、ハーネス部材への負荷を低減することができる。また、Sバネの貫通孔を囲む部分を後方に向けて開口させることで、シートクッションパッドの後部が乗員からの荷重によって大きく沈み込んで、貫通孔および当該貫通孔内のハーネス部材が後方に引っ張られて移動しても、ハーネス部材とSバネとの干渉を抑えることができる。
また、本発明によれば、貫通孔を、上側の開口よりも下側の開口の方が大きくなるように形成することで、例えば貫通孔を鉛直方向に真っ直ぐ形成する構成に比べ、シートクッションパッドの軽量化を図ることができる。また、貫通孔の上側の開口が小さいので、乗員がシートクッションパッドに座ったときに貫通孔の存在を感じることによって生じる違和感を抑えることができる。
一実施形態に係る乗物用シートとしての車両用シートの斜視図である。 車両用シートに内蔵されるシートフレームの斜視図である。 シートクッションパッドを下から見た斜視図(a)と、貫通孔付近の断面図(b)である。 Sバネやシートクッションパッドを下から見た下面図である。 表皮取付部材と表皮材を下から見た斜視図である。 貫通孔をSバネの前後方向の幅からはみ出すように配置した形態を示す下面図である。
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、乗物用シートの一例としての車両用シートの全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
図1に示すように、車両用シートSは、自動車の運転席に使用されるシートであり、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを主に備えている。
シートクッションS1およびシートバックS2には、図2に示すようなシートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するシートクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するシートバックフレームF2とから主に構成されている。シートクッションS1は、シートクッションフレームF1に、ウレタンフォームなどのクッション材からなるシートクッションパッド100(図3参照)と、合成皮革や布地などからなる表皮材200(図5参照)を被せることで構成され、シートバックS2は、シートバックフレームF2に、クッション材からなるシートバックパッドと、合成皮革や布地などからなる表皮材を被せることで構成されている。
シートクッションフレームF1は、略矩形の枠状に形成されるフレームであり、自動車のフロアに設けられる左右一対のスライドレールSRのそれぞれに対して前後移動可能に支持されるスライダSL上に設置されている。これにより、車両用シートSは、前後位置を調整可能となっている。
シートバックフレームF2は、その下部がシートクッションフレームF1の後部にリクライニング機構RLを介して回動自在に連結されている。これにより、シートバックS2は、シートクッションS1に対し前後に傾動可能となっている。
なお、本明細書において、前後、左右および上下は、リクライニング機構RLによってシートバックS2が倒されていない状態の車両用シートSに着座した乗員を基準とする。
次に、シートクッションフレームF1およびシートクッションパッド100について詳細に説明する。
シートクッションフレームF1は、左右一対のサイドフレーム10と、左右のサイドフレーム10に架け渡される弾性部材の一例としての2つのSバネ20と、各サイドフレーム10の前部を連結するパンフレーム30と、各サイドフレーム10の後端部を連結する連結パイプ40とを主に備えている。
左右のサイドフレーム10は、前後方向に延びる金属製のフレームであり、左右に離間して配置されている。左右のサイドフレーム10の略前半分の部位には、パンフレーム30が配置され、略後半分の部位には、2つのSバネ20が互いに前後に離れた状態で取り付けられている。
Sバネ20は、左右方向に延びる長尺状のバネであり、前後方向(Sバネ20の短手方向)で複数回屈曲するように形成されている。詳しくは、Sバネ20は、前側に向けて凸となるように略円弧状に屈曲する複数の前側屈曲部21と、後側に向けて凸となるように略円弧状に屈曲する後側屈曲部22と、略直線状に延びて前側屈曲部21と後側屈曲部22とを連結する複数の連結部23と、最も外側に配置される前側屈曲部21または後側屈曲部22に形成されてサイドフレーム10に係合する係合部24とを有している。
パンフレーム30は、上方および後方に開口した略箱状に形成されている。
そして、左右のサイドフレーム10、パンフレーム30および2つのSバネ20の上には、図3(a)に示すシートクッションパッド100が被せられている。これにより、当該シートクッションパッド100が、各サイドフレーム10、パンフレーム30および各Sバネ20によって下から支持されている。
図3(a),(b)に示すように、シートクッションパッド100の略中央部には、乗員がシートクッションS1に着座したことを検知するための着座センサ300のハーネス部材310が挿通される貫通孔110が上下に貫通するように形成されている。この貫通孔110は、矩形の孔であり、上側の開口111よりも下側の開口112の方が大きくなるように形成されている。
これにより、例えば貫通孔を鉛直方向に真っ直ぐ形成する構成に比べ、貫通孔110の下側を広げているので、その分シートクッションパッド100の軽量化を図ることが可能となっている。また、貫通孔110の上側の開口111は小さいので、例えば貫通孔の上側の開口を大きくして軽量化を図る構造に比べ、乗員がシートクッションパッド100に座ったときに貫通孔110の存在を感じることによって生じる違和感を抑えることが可能となっている。
図4に示すように、貫通孔110は、前後2つのSバネ20のうち前側のSバネ20と前後方向で同じ位置に配置されている。詳しくは、貫通孔110の一部と前側のSバネ20の一部が、前後方向で同じ位置(左右方向に沿った一の鉛直面PF上)に位置している。言い換えると、貫通孔110と前側のSバネ20は、左右方向(Sバネ20の長手方向)に沿った一の鉛直面PFを横切るように配置されている。
これにより、貫通孔110付近を前側のSバネ20で支えることができるので、貫通孔110の変形を抑えて、ハーネス部材310への負荷を低減することが可能となっている。また、乗員からの荷重が大きく加わる後側のSバネ20よりも荷重が加わり難い前側のSバネ20に対応した位置に貫通孔110を設けたので、例えば後側のSバネに対応した位置に貫通孔を設ける構造と比べ、貫通孔110の変形をより抑えることができ、ハーネス部材310への負荷をより低減することが可能となっている。
また、貫通孔110は、下側から見てSバネ20とは重ならない位置、詳しくはSバネ20の一対の連結部23の間に配置されている。これにより、ハーネス部材310を貫通孔110に通す作業時にSバネ20が邪魔にならないので、当該作業を容易にすることが可能となっている。また、貫通孔110とSバネ20が重ならないので、ハーネス部材310とSバネ20との干渉を抑えることが可能となっている。
また、一対の連結部23は、矩形の貫通孔110の周縁に沿うように当該貫通孔110に近接して形成されている。これにより、Sバネ20の連結部23によって貫通孔110付近をより良好に支持することが可能となっている。
また、Sバネ20の貫通孔110を囲む部分、つまり、前側屈曲部21および一対の連結部23で構成される凹形状部分は、後方に向けて開口されるように形成されている。これにより、シートクッションパッド100の後部が乗員からの荷重によって大きく沈み込むことで、貫通孔110および当該貫通孔110内のハーネス部材310が後方に引っ張られて移動しても、Sバネ20の貫通孔110を囲む部分が後方を向いて開口しているので、ハーネス部材310とSバネ20との干渉を抑えることが可能となっている。
図2および図5に示すように、連結パイプ40は、円筒状のパイプであり、その略中央部には、表皮取付部材50が溶接等により固定されている。表皮取付部材50は、円柱状の金属製部材を折り曲げてなる部材であり、主に、2つの被係合部51と、各被係合部51の間に設けられる凹形状部52と、各被係合部51の左右方向外側に設けられる取付部53とを有している。
各被係合部51は、左右方向に延びる棒状の部位であり、互いに左右方向に離れて配置されるとともに、連結パイプ40から離れた位置に配置されている。そして、各被係合部51には、表皮材200に設けられた2つの係合部210が係合されている。
凹形状部52は、下側(連結パイプ40とは反対側)に開口するように形成され、その両端部が各被係合部51の左右方向内側の端部に繋がっている。
取付部53は、各被係合部51の左右方向外側の端部から上側(連結パイプ40側)に向けて延び、その先端が連結パイプ40の周面に沿って屈曲されている。
そして、凹形状部52と各取付部53が、溶接等により連結パイプ40に固定されている。これにより、例えばU字状の表皮取付部材の両端(2箇所)を連結パイプに固定するものに比べ、表皮取付部材50を3箇所で連結パイプ40に強固に固定することが可能となっている。
また、凹形状部52の内側には、例えばヒータ用のハーネス部材400が配置されている。ここで、例えばU字状の表皮取付部材の両端を連結パイプに固定する構造では、ハーネス部材を表皮取付部材と連結パイプとの間に通さなければならず、ハーネス部材の配置作業が煩雑になる。これに対して、本実施形態のように表皮取付部材50の中央部を凹形状部52とすると、ハーネス部材400を凹形状部52の開口から内側(連結パイプ40側)に簡単に挿入することができるので、ハーネス部材400の配置作業を容易にすることが可能となっている。
2つの係合部210は、表皮材200の後側の端部において左右方向に間隔を空けて配置されており、それぞれ先端が被係合部51の周面に沿って屈曲することで被係合部51に係合可能となっている。なお、係合部210は、表皮材200の他の端部においても適宜設けられている。そして、表皮材200のうち前述した2つの係合部210の間の部位220が、ハーネス部材400に対向している。これにより、乗員がハーネス部材400に触れるのを表皮材200で抑えることが可能となっている。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
前記実施形態では、貫通孔110を一対の連結部23の間に配置したが、本発明はこれに限定されず、貫通孔110を、例えばU字状の前側屈曲部21内や、一対の後側屈曲部22の間に配置してもよい。また、貫通孔110は、必ずしもSバネ20の前後方向の幅内に配置する必要はなく、例えば、図6に示すように、Sバネ20の前後方向の幅から外側にはみ出すように配置してもよい。つまり、貫通孔110とSバネ20が、左右方向に沿った一の鉛直面PFを横切るように配置されていればよい。
前記実施形態では、Sバネ20(弾性部材)を左右方向に延びるように形成したが、本発明はこれに限定されず、弾性部材はシートクッションパッドの一端側から他端側に延びていればよく、例えば前後方向に延びていてもよい。
前記実施形態では、貫通孔110を矩形の孔としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、円状や矩形以外の多角形状の孔であってもよい。
前記実施形態では、弾性部材としてSバネ20を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、他の線バネや板バネなどであってもよい。ただし、Sバネを利用する場合には、例えば直線状の線バネに比べ、シートクッションパッドを良好に支持することができる。
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。
20 Sバネ
100 シートクッションパッド
110 貫通孔
310 ハーネス部材
PF 鉛直面
S 車両用シート
S1 シートクッション
S2 シートバック

Claims (6)

  1. シートクッションおよびシートバックを備える乗物用シートであって、
    前記シートクッションは、
    ハーネス部材が挿通される貫通孔を有するシートクッションパッドと、
    前記シートクッションパッドの一端側から他端側に延びるように配置され、当該シートクッションパッドを下から支える長尺状の弾性部材とを備え、
    前記弾性部材の一部と前記貫通孔の一部が、前記弾性部材の長手方向に沿った一の鉛直面に配置されていることを特徴とする乗物用シート。
  2. 前記貫通孔は、下側から見て前記弾性部材とは重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記弾性部材は、前記貫通孔の周縁に沿うように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の乗物用シート。
  4. 前記弾性部材は、前記弾性部材の短手方向で複数回屈曲するSバネであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の乗物用シート。
  5. 前記Sバネは、左右方向に延びるように形成されるとともに、前後に離れて1つずつ設けられ、
    前記貫通孔は、前側に設けられたSバネに対応して設けられ、当該Sバネの前記貫通孔を囲む部分は、後方に向けて開口していることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
  6. 前記貫通孔は、上側の開口よりも下側の開口の方が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
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