JP6031844B2 - 圧入方法 - Google Patents
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また、同方法によれば、圧入部材に付与される押圧荷重が、圧入時の押圧荷重よりも低くされるため、圧入部材の軸の先端部周縁と被圧入部材の孔の開口部とが調心用のテーパ部にて接触しているときにはそのテーパ部に作用する押圧荷重が、圧入時の押圧荷重よりも低くなる。そのため、テーパ部に作用する押圧力の分力であって被圧入部材をワーク保持台に押し付ける分力(上述した第1分力FAに相当)は、押圧荷重を低下させない場合と比較して小さくなる。従って、被圧入部材とワーク保持台との間に生じる摩擦力は、押圧荷重を低下させない場合と比較して小さくなる。このようにして摩擦力が小さくなることにより、テーパ部に発生する分力であって孔の半径方向に作用する分力、つまり被圧入部材と圧入部材との軸心ずれを解消する方向に被圧入部材を移動させる分力を、ワーク保持台と被圧入部材との接触面で発生する摩擦力よりも相対的に大きくすることができる。
また、同方法によれば、上述した工程において、圧入部材に当接した押圧部を圧入部材から離間させることにより、圧入部材に付与される押圧荷重を確実に低下させることができる。また、このようにして押圧部を圧入部材から離間させているときには、弾性部材の付勢力が作用するピンによって、圧入部材は被圧入部材に付勢される。この弾性部材の付勢力は圧入荷重よりも小さくされているため、被圧入部材とワーク保持台との間に生じる摩擦力を十分に小さくすることができる。また、その弾性部材の付勢力は、上記テーパ部において、被圧入部材と圧入部材との軸心ずれを解消する方向に被圧入部材を移動させる分力を生じさせるため、テーパ部による調心作用を得ることができる。
同方法によれば、押圧荷重が低下される毎に、被圧入部材は、軸心ずれが解消する方向に移動するため、テーパ部による調心作用をより確実に得ることができる。
上記目的を達成するため、請求項4に記載の発明は、圧入部材及び被圧入部材のいずれか一方に形成された軸を他方に形成された孔に圧入する方法であって、前記軸の先端部周縁及び前記孔の開口部のうちの少なくとも一方には、前記軸の中心軸及び前記孔の中心軸を調心するテーパ部が形成されており、ワーク保持台に載置された前記被圧入部材に対して前記圧入部材を圧入する前には、前記先端部周縁と前記開口部とが前記テーパ部にて接触しているときに同テーパ部に発生する分力であって前記孔の半径方向に作用する分力を、前記ワーク保持台と前記被圧入部材との接触面で発生する摩擦力よりも大きくする工程を行い、前記工程では、前記圧入部材に付与される押圧荷重が圧入時の押圧荷重よりも低くされ、前記押圧荷重の低下を繰り返し行うことを要旨とする。
図1に示すように、ポンプ1は、内接ギヤ式のポンプ機構が設けられたポンプケース2を備えている。ポンプケース2には、ポンプ機構の吸入部及び吐出部が形成されたポンププレート4と、略円筒状に形成されたモータケース5とが固定されている。モータケース5の内部には、電動モータや制御基板7等が収容されている。モータケース5の開口端部には、略円板状に形成されたカバー8が取り付けられている。モータケース5の内部には、電動モータのステータ10が固定されている。
図2に示すように、シャフト13の軸方向の端面であって圧入孔30aに挿入される側の端面には、シャフト13の中心軸と同軸であって円錐状に形成された第1凹部13bが設けられている。また、シャフト13の軸方向の端面であって第1凹部13bが形成された端面とは逆側の端面にも、シャフト13の中心軸と同軸であって円錐状に形成された第2凹部13cが設けられている。そして、シャフト13において圧入孔30aに圧入される軸部13aの先端部周縁(角部)には、シャフト13の中心軸と同軸の軸側テーパ部13dが形成されている。
図3に示すように、インナギヤ30の中心には、同インナギヤ30の上記端面30bに垂直な上記圧入孔30aが形成されている。この圧入孔30aの孔径は、上記軸部13aの軸径に対して圧入代の分だけ小さくされている。そして、圧入孔30aの開口部には孔側テーパ部30cが形成されている。孔側テーパ部30cのテーパ角は、軸側テーパ部13dのテーパ角と同一にされている。
本実施形態では、支持行程、接触行程、荷重低下工程、挿入行程、及び支持解除行程の順で各工程が進められていくことにより、圧入が完了する。
(支持行程)
図5の(A)に示す支持行程では、まず、インナギヤ30の圧入孔30aに第2ピン72を挿入した状態で、インナギヤ30をワーク保持台70に載置する。そして、シャフト13の第1凹部13bに第2ピン72の先端部72aをはめるとともに、押圧部50を前進させる、つまりワーク保持台70に近づく方向(図5に示す矢印G方向)に押圧部50を移動させ、シャフト13の第2凹部13cに第1ピン52の先端部52aをはめる。これによりシャフト13が押圧部50とワーク保持台70との間で支持される。
(接触行程)
上記支持工程にて、シャフト13の支持が完了すると、次の接触工程では、図5の(B)に示すように、押圧部50をさらに前進させることにより、押圧部50の押圧面54をシャフト13の端面に当接させる。そして、シャフト13の軸側テーパ部13dとインナギヤ30の孔側テーパ部30cとが接触すると、押圧部50の前進移動を停止させる。なお、軸側テーパ部13dと孔側テーパ部30cとの接触は、適宜の方法で検出すればよい。例えば、ワーク保持台70に近づく方向に向かって押圧部50を移動させるために同押圧部50に付与する荷重は、軸側テーパ部13dと孔側テーパ部30cとが接触すると急激に大きくなる。そこで、こうした荷重の急激な変化を検出することで、軸側テーパ部13dと孔側テーパ部30cとの接触を検出することができる。あるいは、初期位置からの押圧部50の移動量を計測することで、軸側テーパ部13dと孔側テーパ部30cとの接触を推測することも可能である。
(荷重低下工程)
上記接触工程にて、押圧部50の前進停止が完了すると、次の荷重低下工程では、図5の(C)に示すように、押圧部50を一旦後退させる、つまりワーク保持台70から離れる方向(図5の矢印P方向)に押圧部50を一旦移動させる。これによりシャフト13の端面に接触していた押圧面54が同シャフト13から離間するため、シャフト13に付与される押圧荷重は、圧入時の押圧荷重よりも低くなる。そのためテーパ部(軸側テーパ部13d及び孔側テーパ部30c)に作用する押圧荷重も、圧入時の押圧荷重よりも低くなる。また、この荷重低下工程では、第1スプリング53の付勢力が作用する第1ピン52によって、シャフト13がインナギヤ30に付勢されるように、押圧部50の後退量は決められている。これによりテーパ部(軸側テーパ部13d及び孔側テーパ部30c)にてシャフト13の先端部周縁が圧入孔30aの開口部に接触している状態を維持しつつ、シャフト13に付与される押圧荷重は圧入荷重よりも低くなる。
(挿入行程)
上記荷重低下工程にて、押圧部50の後退が完了すると、次の挿入工程では、図5の(D)に示すように、押圧部50を再び前進させて押圧面54をシャフト13の端面に接触させ、さらに押圧部50を前進させることによって、圧入孔30aへの軸部13aの圧入を完了させる。なお、第2ピン72はワーク保持台70から出入り可能に構成されている。そのため、第2ピン72は、圧入孔30aへの軸部13aの挿入が進むにつれて徐々に軸部13aに押されていき、ワーク保持台70の孔71内に収容されていく。
(支持解除行程)
上記挿入工程にて、圧入孔30aへの軸部13aの圧入が完了すると、次の支持解除工程では、図5の(E)に示すように、押圧部50が大きく後退される。これにより押圧部50の押圧面54はシャフト13の端面から離間する。そして、第1ピン52の先端部52aもシャフト13の第2凹部13cから離れて、シャフト13の支持は解除される。そしてその後、シャフト13が圧入されたインナギヤ30は、ワーク保持台70から取り除かれる。
図6に示すように、本実施形態でも、シャフト13の軸部13aとインナギヤ30の圧入孔30aとの軸心を合わせるために、調心用のテーパ部を設けるようにしている。すなわち圧入部材であるシャフト13の先端部周縁には軸側テーパ部13dが形成されている。また、被圧入部材であるインナギヤ30には、シャフト13の軸部13aが圧入される圧入孔30aが形成されており、この圧入孔30aの開口部には孔側テーパ部30cが形成されている。インナギヤ30はワーク保持台70に置かれており、インナギヤ30において圧入孔30aの中心軸に直交する端面30bは、ワーク保持台70に接触している。
(1)シャフト13の軸部13aの先端部周縁及びインナギヤ30の圧入孔30aの開口部には、軸部13aの中心軸及び圧入孔30aの中心軸を調心するテーパ部をそれぞれ形成している。そして、ワーク保持台70に載置されたインナギヤ30に対してシャフト13を圧入する前には、軸部13aの先端部周縁と圧入孔30aの開口部とが上記テーパ部にて接触しているときにそのテーパ部に発生する分力であって圧入孔30aの半径方向に作用する第2分力F2を、ワーク保持台70とインナギヤ30との接触面で発生する摩擦力よりも大きくする工程を行うようにしている。
・荷重低下工程で、押圧荷重の低下を繰り返し行うようにしてもよい。図7に、この変形例における荷重低下工程の一例を示す。
・上記実施形態では、本発明にかかる圧入方法の一例として、内接式ギヤポンプのシャフト13をインナギヤ30に圧入する方法に適用した。しかし、本発明の適用対象は、これらシャフト13及びインナギヤ30の圧入方法に限定されるものでは無く、この他の圧入部材を被圧入部材に圧入する方法にも適用することができる。
Claims (5)
- 圧入部材及び被圧入部材のいずれか一方に形成された軸を他方に形成された孔に圧入する方法であって、
前記軸の先端部周縁及び前記孔の開口部のうちの少なくとも一方には、前記軸の中心軸及び前記孔の中心軸を調心するテーパ部が形成されており、
ワーク保持台に載置された前記被圧入部材に対して前記圧入部材を圧入する前には、前記先端部周縁と前記開口部とが前記テーパ部にて接触しているときに同テーパ部に発生する分力であって前記孔の半径方向に作用する分力を、前記ワーク保持台と前記被圧入部材との接触面で発生する摩擦力よりも大きくする工程を行い、
前記圧入部材に当接して圧入荷重を付与する押圧部と、
同押圧部に設けられて圧入荷重よりも小さい付勢力を発生する弾性部材と、
前記押圧部に設けられて前記弾性部材の付勢力により前記圧入部材を前記被圧入部材に付勢するピンとが設けられており、
前記工程では、前記圧入部材に付与される押圧荷重が圧入時の押圧荷重よりも低くされ、前記圧入部材に当接した前記押圧部を同圧入部材から離間させるとともに前記ピンによって前記圧入部材を前記被圧入部材に付勢する
圧入方法。 - 前記工程では、前記押圧荷重の低下を繰り返し行う
請求項1に記載の圧入方法。 - 前記被圧入部材に前記孔が形成されており、
前記ワーク保持台には、前記被圧入部材の前記孔の内径よりも小さい外径を有して同ワーク保持台から出入りする冶具が設けられており、
前記被圧入部材の前記孔に前記冶具を挿入する
請求項1または2に記載の圧入方法。 - 圧入部材及び被圧入部材のいずれか一方に形成された軸を他方に形成された孔に圧入する方法であって、
前記軸の先端部周縁及び前記孔の開口部のうちの少なくとも一方には、前記軸の中心軸及び前記孔の中心軸を調心するテーパ部が形成されており、
ワーク保持台に載置された前記被圧入部材に対して前記圧入部材を圧入する前には、前記先端部周縁と前記開口部とが前記テーパ部にて接触しているときに同テーパ部に発生する分力であって前記孔の半径方向に作用する分力を、前記ワーク保持台と前記被圧入部材との接触面で発生する摩擦力よりも大きくする工程を行い、
前記工程では、前記圧入部材に付与される押圧荷重が圧入時の押圧荷重よりも低くされ、前記押圧荷重の低下を繰り返し行う
圧入方法。 - 圧入部材及び被圧入部材のいずれか一方に形成された軸を他方に形成された孔に圧入する方法であって、
前記軸の先端部周縁及び前記孔の開口部のうちの少なくとも一方には、前記軸の中心軸及び前記孔の中心軸を調心するテーパ部が形成されており、
ワーク保持台に載置された前記被圧入部材に対して前記圧入部材を圧入する前には、前記先端部周縁と前記開口部とが前記テーパ部にて接触しているときに同テーパ部に発生する分力であって前記孔の半径方向に作用する分力を、前記ワーク保持台と前記被圧入部材との接触面で発生する摩擦力よりも大きくする工程を行い、
圧入前には前記被圧入部材はチャックで把持されており、前記工程以降では前記チャックを解放する
圧入方法。
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